「続、注目の2011年度の国債発行額」
提言はこの2兆円の使途について、デフレ脱却や雇用拡大などにつながる分野に配分し、その配分方法は各省が出してきた政策を「公開コンテスト」にかけ、首相が最終決定するとのこと(産経新聞)。この考え方については、至極ごもっともで国の予算はできるだけデフレ解消などのために有効活用してもらいたい。ただし、それはあくまで財政に余裕があればという前提である。
提言では社会保障費の自然増分約1.3兆円の要求も認め、地方交付税については22年度予算と同水準の17.5兆円を確保すると明記した。つまり、総枠は71兆円に抑えるとしながら、社会保障費の自然増分約1.3兆円に加え、さらに2兆円の特別枠が今年度に比べて増加する。結局、3.3兆円の増加分は、2010年度で23兆円規模となっている政策的経費から絞り込む必要がある。
特別枠予算の財源を捻出するにあたっては、社会保障費などを除いた政策的経費を原則一律1割程度削減するよう指示する方針のようだが、各省庁からの反対意見も出てくると予想され、これは容易ではない。しかし、政策的経費を絞り込まない限りは、歳出の大枠を71兆円以下にすることは困難である。
提言では、国債発行額は10年度の発行額を上回らないよう全力をあげるとしてはいるが、そもそも国債費を除く一般会計の歳出総額の抑制すら難しい状況になっており、税収外収入での埋蔵金頼りの姿勢は現実には難しくなりつつあり、どこまで国債発行額抑制に「全力をあげる」ことができるのかたいへん疑問である。
消費税の引き上げがすでにトーンダウンしている現政権であるが、財政再建の掛け声も次第にトーンダウンしてくる可能性がある。ここにきて、さらにダウンしてきている長期金利はこの政府の動きを完全に無視続けて良いものであろうか。