「参院選の結果を受けて日本の財政の行方に懸念も」
今回の民主党の敗北は、菅総理による消費税発言がきっかけとされるが、それが主因ではあるまい。同じく消費税の引き上げを公約に掲げた自民党が改選前の71議席から84議席に躍進している。ただし、菅総理が10%の消費税引き上げを主張したあとの、発言のブレを嫌気したことは確かであろう。
今回の民主党の敗北はある程度、予想されていたことでもあり、株式市場など金融市場への影響は限定的と思われる。しかし、先行きの政局に対しての不透明感の強まりにより、今後、マーケットに大きく影響を及ぼす可能性がある。特に9月の民主党の総裁選の結果次第では、日本の首相がまた変わる可能性もある。すでに日本の財政そして経済の立て直しは待ったなしの状況にあり、海外投資家もその行方を虎視眈々と睨んでいるはずである。
特に日本の財政再建については、G20での例外措置を受けたように、海外からは見放された格好にすらなっている。国内資金で賄えるからといっても、時間的猶予がそれほど残されているわけでもない。今後は日本の財政再建の道筋をしっかりとつけられるのかどうかが大きな焦点となるはずである。
衆院解散がなければ、あと3年間は大きな国政選挙はない。しかし、日本の財政そのものはここ2、3年のうちに大きな転換点を迎える可能性がある。その中にあって、政権そのものの基盤を確固たるものしなければ、財政改革等の進展は望みようもなく、さらに危機的状況を迎えやすくなる。日本国債の価格が安定して推移しているうちに改革を推し進めなければ、政権そのものどころか日本を支える基盤自体が揺るぎかねない。