「国債への注目度」
さて、国内では菅新政権による財政再建への取り組みが注目されている。菅政権になっての内閣支持率の急回復の背景には、バラマキ型から財政再建重視への姿勢の変化に国民が安心感を覚えたことも大きいのではなかろうか。小泉政権発足の際にも新規国債の発行額を30兆円に抑えるというものかあったが、菅新首相も2011年度は新規国債の発行額を今年度と同じ44兆円以下とする方針を打ち出している。
2011年度から3年間の予算編成の枠組みを示す「中期財政フレーム」についても、国債の利払い費を除く一般会計の歳出額が、地方交付税交付金を含めて今年度並みの71兆円以下を、3年間続けるとの方針がその骨格となるようである(朝日新聞)。
ただし、税収の大幅に伸びが期待できない中、子供手当ての満額支給などに加え社会保障費の自然増により6兆円規模の歳出増が予想されている。さらに税外収入では今年度のように5兆円規模とみられる埋蔵金は期待できない。子供手当ての満額支給などは再検討されるようだが、新規国債の発行額を今年度当初予算の44.3兆円に抑えることはかなり困難を伴うことも確かである。
そしてこの先10年程度の財政再建の指針を示す「財政運営戦略」では、財政状況の健全度を示す基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字を「5年後に半減、10年後に黒字化」と明記する方針とも伝えられた。
財政再建に向けては消費税の引き上げなど税制の抜本改革も必要となる。増税をしながらも景気の底上げを図るという第三の道が果たしてうまく機能できるのかどうかは不透明である。しかし、現時点では財政再建と景気回復の両方に目配りする施策が求められることも確か。新政権は国民による国債への注目度を意識したことで、支持率を回復させたとも言える、その信頼を裏切らずに今後も掲げた政策を進めることができるのかどうか。その可能性についても参院選挙で問われるのではなかろうか。