「長期金利は新たな局面に」 (レポート原稿より、一部内容が昨日のものと重複)
10月3日に実質下期入りし、一部現物買いの期待もあった投資家の動きは鈍かった。3日に発表された日銀短観においても、数値自体は事前予想よりは良くなかったものの、景気の回復基調を示すものとなった。このため、株価の下落も一時的なものに止まり、日経平均は14000円に向けて上昇基調を強めている。
ここにきて、やや注目度が落ちていたとみられる欧米の景気や金利についても注意が払われるようになってきた。特に米国経済はハリケーンの被害によって一時的にせよ景気後退は避けられないと見られていたが、思いのほか影響は軽微であったことが経済指標などでも示されるようになってきた。米国の利上げも継続かとの観測も強まり、米国金利は上昇基調を強めており、欧州でもやはり金利が上昇しつつある。
株高や欧米金利の上昇に加え、国内の機関投資家が債券投資に慎重になっている最大の要因はやはり日銀の動向であろう。すでに年末にむけてのコアCPIのプラス浮上はほぼ確実視されている。また、日銀執行部をはじめ各審議委員からも今年度末から来年度初めにかけての量的緩和解除の可能性を示唆するコメントも出始めている。さらに衆院予算委員会において日銀の福井総裁は「異常な政策をいつまで続けろという声にくみすることは断固できない」ともコメントしており、解除に向けた強い姿勢を示したとも思える。
4日に5年債の利回りは0.8%台に上昇し、やや割高感のあった10年債も272回は1.560%に利回りが上昇した。また、先物は3月10日の137円 23銭を大きく割り込み年初来安値を更新し、136円台をつけてきている。先物のチャートを見る限り、あらためて下方トレンド入りしたものと見ざるを得ない。
先物の売りの主体は海外のヘッジファンドとも言われているものの、上記のように投資家の慎重な姿勢が相場全体を重くしているようにも感じられる。投資家の押し目買いが消えたわけではないものの、より慎重になっていることも確かであり、長期金利はあらたなステージ入りした可能性がある。