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「日銀金融政策決定会合議事要旨(3月16・17日分)より」

3月16日から17日に開催された日銀金融政策決定会合議事要旨が発表された。この会合では政策金利については全員一致で現状維持としたが、固定金利オペを大幅に増額することにより、やや長めの金利の低下を促す措置を拡充することとした。この新型オペの「拡充策」については、須田委員および野田委員が反対していた。早速、その内容を確認してみたい。

わが国の経済情勢に関しては「輸出や生産の増加や、個人消費の持ち直しを背景に、わが国の景気は持ち直しているとの認識」で一致した。また、ある委員が「これまでの景気の持ち直しは、内外における各種対策や在庫復元の動きに支えられたものであり、民間需要の自律的回復力はなお弱い状況が続いている」と述べている。

何人かの委員は「こうした景気動向は、1月の中間評価に概ね沿った動きであるものの、アジア向け輸出の強さなどを映じて、中間評価対比で幾分上振れ気味で推移している」との認識を示した。

先行きについても、何人かの委員は「2010 年度前半の成長率がそれなりに高ければ、民間需要の自律的回復の基盤が整えられる可能性がある」との見方を示していた。

どうやら景気についてやや強気の見方となっている委員が複数いたようである。

消費者物価指数に関して、複数の委員から「消費者物価指数の基調的な傾向を示す刈り込み平均の前年比マイナス幅がこのところ縮小してきている」との指摘があった。「刈り込み平均」とは個別品目の価格変化率分布の両裾15%ずつを控除したものである(日銀、金融研究第18巻参照 http://www.imes.boj.or.jp/japanese/zenbun99/yoyaku/kk18-1-5.html)

物価についても見方は分かれているようである。ある委員は「実体経済の持ち直しが物価に波及するには相応のラグがあり、今後、物価面で、景気持ち直しの影響が現れてくる可能性が高いと述べた」のに対し、「何人かの委員は、需給環境の改善は緩やかであるため、物価のマイナス幅の縮小も緩やかにならざるを得ないと」述べている。そらにある委員は、「過去、短期間で物価が大きく上昇したのは、資源価格の高騰や税制の変更といった場合のみであり、需給環境の改善に伴う物価上昇には時間がかかる」と発言している。このあたりそれぞれの発言者が誰なのか気になるところでもある。

物価のリスクについても、何人かの委員が「中長期的な予想物価上昇率の下振れには引き続き注意する必要がある」と述べたのに対しある委員は、「新興国・資源国経済の過熱に伴う資源価格の上昇により、わが国の消費者物価も上振れるリスクにも注意する必要がある」と見方が分かれている。

金融環境については、何人かの委員は「日本銀行による潤沢な資金供給によって、資金余剰感は一段と強まっており、各種のターム物金利は低水準横ばい圏内で推移している」と述べたが、何人かの委員は「長めの期間のユーロ円レートは低下基調にあるが、短国レートなどと比べて、依然やや高めの水準にある」と指摘。

そして注目の「やや長めの金利の低下を促す措置」についての議論では、

「景気が持ち直し、物価の下落幅が縮小しているこの段階で追加的な緩和措置を実施することは効果的であり、固定金利オペを大幅に増額することにより、やや長めの金利の低下を促す措置を拡充すれば、経済・物価の改善の動きを確かなものとすることに資するのではないか」と述べた。

景気が改善傾向を示す中での追加緩和する理由として、経済・物価の改善の動きを確かなものとするためとしている。

多くの委員は「固定金利オペの資金供給額を20 兆円程度に増額するという今回の措置の拡充は、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰するために中央銀行としての貢献を粘り強く続けていくとの方針を、改めて明確に示すものであると」述べた。

さらに何人かの委員は、「特別オペが3月をもって完了し、4月以降、オペの残高が漸次減少していく中で、固定金利オペによる資金供給額を大幅に増額することで、追加的な金融緩和の効果が得られる」と述べている。

しかし、複数の委員は「足もとの各種経済指標は概ね想定どおりに推移しており、日本経済は現在持ち直しの過程にあることなどから、今回、追加の緩和措置を講じることは不適当」と述べた。この複数の委員とは追加緩和策に反対した須田委員および野田委員であろう。また、このうち、ある委員は「市場機能に与える影響等も踏まえると、追加緩和については、慎重な検討が必要である」と指摘した。

情報発信のあり方について、多くの委員は、今回の金融政策決定会合のかなり前から、追加金融緩和策を検討しているとの報道がなされ、市場にも様々な思惑が高まったことに言及。

何人かの委員は「事前の報道や市場の思惑が高まってしまうと、金融政策決定会合の結果が予想に沿ったものでも、逆に予想に反したものとなっても、結局、中央銀行の政策運営に対する信認が失われる可能性がある」と述べている。

情報発信のあり方については、今後、これまで以上に細心の注意を払っていく必要があるとの見方で一致したようであるが、そもそも何を根拠に事前報道がなされたのか。観測報道というよりも実際の動きに基づいたような報じられた感があった。

政府関係者からは次のような発言もあった 「日本銀行におかれては、今後とも、政府と密接な情報交換・連携を保ちつつ、適切かつ機動的な金融政策の運営によって、早期のデフレ克服を目指すとともに、経済を下支えされるよう期待する。」
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by nihonkokusai | 2010-04-12 09:59 | Comments(0)
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