「2008年度末と2009年度末の債券比較」
2009年度の債券先物中心限月(9時~15時)の高値は12月1日の140円48銭、安値は6月11日につけた135円47銭であった。
安値をつけた6月は補正予算に絡んだ国債増発がスタートするなど国債需給への懸念とともに、政府が6月の月例経済報告で基調判断から「悪化」の表現を削除するなど景気の回復期待が背景にあった。そして、高値をつけた12月1日は、日銀が臨時会合を開催し、追加緩和を決定した日である。
現物債を見てみると10年306回債の2009年度の引けは1.395%となった。2008年度末の引けは1.340%となっており、0.055%の利回上昇となった。2009年度の長期金利の推移を見ると、最高利回りはやはり2009年6月につけた1.560%であり、最低利回りは12月につけた1.190%であった。
2年291回債の利回りの2009年度末は0.170%の引けとなったが、2008年度末の利回りは0.410%であった。さすがに年度内2度の日銀の追加緩和が効いて、0.24%と大きく利回りは低下していた。
5年88回債の2009年度末の利回りは0.550%だが、2008年度末の5年債利回りは0.780%と、やはり2年債と同様に0.23%の低下となった。
ただし、超長期債を見てみると20年116回債利回りの2009年度末の引けは2.170%となり、2008年度末の引け2.135%からは、0.035%とわずかながらも利回りは上昇した。 30年債の2009年度末の引けは2.295%だが、2008年度末は2.030%と、こちらはほとんど変わらずとなっていた。
つまり債券先物や長期債、超長期債はほぼ2008年度末の水準近くで2009年度の引けとなったものの、中短期債は日銀の追加緩和の影響などから大きく低下していたと言える。
2009年度は政権が変り、ソブリンリスクが高まるなど材料は豊富であったが、長期金利の居所だけから見る限り、大きな変化はなかったと言える。もちろん日銀の追加緩和などが相場のアンカーになったことも確かである。 ちなみに2009年度末の日経平均株価は11089.94円で大引けとなったが、こちらの2008年度末は8109.53円であり、ここからは3000円近くの上昇となっていた。