「世界的にソブリンリスクが意識される」
米国債の大幅続落の原因は、5年国債入札の結果が不調と受け止められたことによる。落札利回りが2.605%と入札締め切り時点での入札前取引での利回り2.560&近辺を大きく上回った。応札倍率は2.55倍と前回の2.75倍を下回り、昨年9月以来の低いものとなり、間接入札の比率も39.7%と前回の40.3%を下回り、昨年7月以来で最低を記録した。
間接入札の比率の低さの要因は、年度末控えて日本の機関投資家が応札を控えたからとの見方もあるようだが、それはどうであろうか。一方、米政府が中国に対する人民元切り上げ圧力を再び強め始めたことが影響しているとの指摘もあった、さらにソブリン債を保有するリスクが意識されたとの指摘もあった。
米債券市場では前日の2年債入札の結果も低調なものとなっており、今日の7年債入札への警戒感も強まり、米10年債利回りは前日比0.17%高い3.85%、2年債利回りは同0.06%高い1.09%となった。前日に続いて、昨日も10年物の米ドルスワップ金利が米10年債の利回りを一時下回る場面があった。スワップスプレッド・ポジションのアンワインドで米国債の売りに拍車をかけた側面もあったようだが、ソブリンリスクが意識された出来事でもあろう。
いずれにせよこの米債の下落を受けて、ドイツ連邦債10年物利回りも一時3.1%台に上昇した。そして、イギリスでは25億ポンドの予算案を発表し、日本と同様に本格的な財政再建は先送りされている。
世界的にソブリンリスクが意識され、当然ながら日本国債も例外とはなるとは考え辛い。日銀の追加緩和がアンカーとなり中短期債はしっかりするとみられるが、長期・超長期債にはあらためて売りが入る可能性がある。