「インフレーション・ターゲットの進化系」
また、中国経済について、何人かの委員が不動産価格の一段の上昇など、過熱懸念が生じているとの見方を示した。このうちの1人の委員は、不動産価格について、このところ沿海部よりも内陸部の上昇率が高く、80年代末における日本のバブル最終局面で、東京よりも地方の地価上昇率のほうが大きかったことと類似しているとの指摘もあった。
今後、日本のバブル崩壊の教訓が果たして生かされるのかどうか。興味深い。
そして一番注目されたのが、日銀が採用している金融政策運営の枠組みとインフレーション・ターゲットとの関係のところか。
複数の委員は、いわゆるインフレーション・ターゲットについて、すでに採用しているところは、柔軟な枠組みになってきていると指摘した。
また、別の複数の委員は、日銀の金融政策運営の枠組みは、物価の安定だけでなく、金融的な不均衡の蓄積等の様々なリスクにも目配りできるなど、従来のインフレーション・ターゲットを進化させたものであり、最近の国際的な議論を先取りしたものであると付け加えた。
進化と言う言葉を使った、この別の複数の委員とはいったい誰なのかもちょっと興味がある。どちらかと言えば現在の日銀の金融政策運営の枠組みは、インフレーション・ターゲットをバージョン・アップしたものとは考え辛い。ゼロ金利政策や量的緩和策などを経て、別途進化を遂げたものであり、かなりオリジナルなものであると思うのだが。