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「追加緩和と円高」

 5日の日経新聞では「日銀、追加緩和を検討」との記事があり、それによると日銀は追加の金融緩和策の検討に入り、3月16日から17日に開催される決定会合で、追加緩和について本格的な議論を始めるそうである。ただし、一部の審議委員が慎重姿勢なため3月の決定は見送り、4月に具体策を詰める可能性があるとした。

 この内容については、新型オペの期間を現行の3か月から6か月程度、供給規模を現行の10兆円から拡大することが、議論の中心になるそうである。つまり昨年12月1日の臨時の金融政策決定会合で決定した新型オペをバージョンアップを計るようである。

 しかし、何故このタイミングで先々の決定予定がスクープされたかたちとなったのか。一面トップというからには観測記事ながらもそれなりの裏を取ってのものであるはずである。このタイミングの発表の背景には、どうやら今回も「円高」が影響していたものと思われる。ギリシャの財政問題などによるリスク回避の動きなどから、3月に入りドル円は88円台前半をつけ、ユーロ円は3月2日に一時120円を割り込んでいた。

 この円高を受けての日銀の動きが結果として記事として現れた可能性がある。その理由としては12月1日の臨時会合の背景を再確認すると垣間見れる。当時の様子を振り返ってみたい。

 政府がデフレを宣言した2009年11月20日、日銀の金融政策決定会合が開催されたが、日銀は景気判断を上方修正させた。日銀にはデフレを宣言した政府と距離を置こうとの意見が多かったそうである(日経新聞)。

 しかし、26日には今年1月21日につけた87円10銭を割り込み一気に86円台に突入し1995年7月以来の水準をつけた。ドバイショックも加わって、27日にドル円は一時85円割れとなった。

 この急激な円高とそれを受けた株安に対し、政府は日銀に理解を示す藤井財務相と古川元久、大塚耕平の両内閣副大臣らが、日銀との調整役となり、27日に藤井財務相と白川総裁が都内で極秘会談を行なった(日経)。

 29日には首相官邸で、12月2日の首相と日銀総裁の会談でデフレ克服での強調で足並みを揃える段取りを確認したそうで、それが30日の日銀総裁による突然のデフレ発言に繋がったとみられる。

 さらに、日銀には金融面から経済を下支えるようにと、政府からもう一押しもあり、政府との対立が決定的となるのを回避するため、講じた政策が12月1日の新オペということになったものとみられる。

 藤井財務相は前日に日銀が追加緩和すれば効果ある、量的緩和ということなら経済効果あると発言していたが、日銀が臨時の決定会合を開いてなんらかの量的緩和策をとるであることを知っていたような発言であった。

 「量的緩和策」という言葉から2001年3月から2006年3月まで続いた量的緩和策と同様のリザーブ・ターゲットへの移行もあるかと個人的には見ていたが、実際に12月1 日に発表されたものは、国債や社債、CPを担保に0.1%の固定金利で3か月程度の期間で10兆円規模の資金供給資金を供給する新たなオペであった。日銀の白川総裁はその後の会見で「広義の量的緩和策」と発言した。

 昨年の円高の背景のひとつは、LIBORの6か月物の金利まで日米逆転となっていたことも指摘されており、国債も担保に出来て10兆円規模の新オペで、ターム物とよばれる3か月や6か月などやや長めの金利の低下を促すことも期待できる。間接的ながら円高に対応し、企業金融支援オペと違って国債や地方債も担保にできることで国債などの保有をしやすくなる利点もある。そして、政府に日銀が協力してデフレや円高に対応する姿勢を示したともいえたのである。
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by nihonkokusai | 2010-03-08 10:05 | Comments(0)
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