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「国債の決済」

 国債の決済に関しては、1995年時点ですでにアメリカ、イギリスなどは約定日から起算して2営業日目(T+1)つまり翌日決済を行っていたが、当時日本ではまだ特定日決済の5・10日決済をおこなっていた。ちなみに「特定日決済」とはある期間に約定された取引の決済をすべて特定の日に行う決済である。これに対して取引を常に約定日から一定期間経過後に決済するのは「ローリング決済」と呼ばれる。

 その後日本でも1996年9月19日の売買分より、約定日から起算して8営業日目(T+7)に決済を行うローリング決済に移行し、1997年4月21日売買分から約定日から起算して4営業日目(T+3)に決済を行うことになり、現在に至っている。

 1988年に日銀ネットが稼動し、日銀の当座預金を用いた金融機関同士の資金決済や国債決済が日銀ネットを通じて行なわれている。金融機関同士が行う資金取引の決済や国債など証券取引の代金の決済や、民間決済システムの最終的な決済に、日銀の当座預金での振替が利用されている。日銀が金融機関との間で行っているオペレーションや貸出し、国庫金の受払い、国債の発行・償還に伴う資金の受払いなどについても、日銀の当座預金を介して決済が行われている。日銀はこうした資金や国債の決済が安全かつ効率的に行われるようにするために、コンピュータ・ネットワークシステムを構築し、これが「日銀ネット」とも呼ばれる日銀金融ネットワークシステムである。国債の入札も日銀ネットを使っている。

 そして、証券と資金の振替が同時に行われる決済方式であるDVP決済(DVP、Delivery versus Payment)が1994年に導入された。これは資金の受払いと国債の受渡を相互に条件付け、一方が行われない限り他方も行われないといった仕組みである。

 また、2001年からは国債決済にRTGS(即時グロス決済)(RTGS、 Real-Time GrossSettlement)が導入された。システミック・リスクに対応するため、日銀ネットを使った決済については、1日の決まった時間に多くの受払いを、まとめて受払差額のみを決済する方式(時点ネット決済)から、個別に随時決済を行うRTGS(即時グロス決済)という方式に一本化していている。RTGSによる決済では、1件ずつ即時に決済を行うため、ある金融機関で決済不能が生じても、その影響を受けるのは取引相手の金融機関だけとなり、そこから連鎖的な決済不能といった事態は回避できる。

 2005年5月からは日本国債清算機関の業務が開始され、国債の決済に対してのリスクはかなり軽減されている。日本国債清算機関(JGBCC:Japan Government Bond Clearing Corporation)とは、国債決済が従来の時点決済からRTGS(Real Time Gross Settlement)決済に移行し、その後、欧米並みの清算機関創設の機運が高まり声が、国債市場の主要プレーヤである証券会社・銀行・短資会社等の共同出資により2003年10月に設立されたものである。

 現物国債のほとんどが店頭で取引されており、約定から決済に過程は、約定から照合、そして清算、決済といった流れとなっている。清算機関が創設される以前は、清算がないまま各当事者が相互に日銀ネット上で決済を行なっていた。しかし、清算機関が創設されたことにより、参加者同士の取引に関わる決済は、原則に日本国債清算機関に集約され、清算(ネッティング)を経て決済を行うことが可能となったのである。つまり参加者は決済上の相手方リスクを負うことなく、ネッティングにより決済量を大幅に減少させた上で、安全かつ効率的に決済することが可能となっている。
by nihonkokusai | 2010-01-29 13:25
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