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「国債の流動性リスク」

債券など金融商品には流動性リスクというリスクが存在します。これは市場リスクとも呼ばれ、市場における売買が円滑に行われなかったことにより、期待していた収益が得られなくなるリスクのことです。

債券などの金融商品は、いつでも売りたいときに売れて買いたい時に買えるかどうかという点が重要です。国債のように流動性に優れているものであれば、通常は適正な水準で必要な金額を売買することが可能です。国債市場は一度に数千億円という売り買いすらこなせる市場になっているため、国債の流動性はかなり高いといえます。国債は現金に次ぐ流動性を誇っているとも言われ、これも国内の金融機関が積極的に国債を購入する大きな理由ともなっています。

それに対し、発行額の少ない債券などは希望する価格で売れなかったり、買い手が見つからないといったことが現実にありえるのです。国債でも発行額が比較的少なかく、買い手が偏在していた15年変動利付国債や物価連動債では、なかなか買い手が出てこないなど流動性リスクの問題が生じたことがありました。

また、取引の相手方に経営不安説が流れたり、システムが故障で停止したりするなど、なんらかの特殊事情によって決済が滞ってしまうリスクも流動性リスクといえます。そのひとつの典型例としてリーマン・ショックが上げられるます。

2008年9月のリーマン・ブラザーズ証券の破綻の際に、「正確な財務状況が確認されるまで既往契約に基づく決済を停止する」旨を発表したことで、約定済みの国債取引が一切履行されないという非常事態が発生しました。

この結果、リーマンが国債取引について引き起こしたデフォルトの規模は、2008年9月の予定分だけでも約7兆円規模に上ったのです。これによりリーマンと決済を予定していた相手先では、ポジション再構築(リーマンから引渡しを受けられなかった国債の調達及びリーマンに引き渡す予定であった国債の売却処分を余儀なくされたのです。また、リーマンから引渡しを受けなかったものについては、即日にその国債を調達することもできずフェイルを余儀なくされました。リーマン・ショックのあった2008 年9月において、累計で6兆円弱のフェイルが市場で発生しました。リーマン破綻の経験を通じて、市場では、「破綻等のストレス時にモノ・金を予定通りに受け取れないリスク」(デフォルト・フェイルに伴う流動性リスク)が、概念上の存在に止まらない現実的なリスクとして、改めて強く認識されたのです。 (「リーマン・ブラザーズ証券の破綻がわが国決済システムにもたらした教訓」日本銀行資料より、http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/research07/data/ron0903a.pdf)

このリーマン破綻による国債取引への支障の経験により、国債市場において流動性リスクが現実に生じることが明らかになりました。この流動性リスクへの対応策のひとつとして検討されているのが、国債の決済期間を短縮しようというものです。証券、銀行など金融業界と日銀、金融庁は国債の決済日を現在の売買日の3日後(T+3)から、翌日(T+1)に短縮する方向で検討に入ったと伝えられています。ちなみにT+1のTとは「Trade date」のことで証券の売買が成約された日、つまり約定日を意味します。

参考、「国債の決済期間の短縮化に関する検討ワーキング・グループ」(第1回)議事要旨

http://www.kessaicenter.com/finish/kokusaik1.pdf
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by nihonkokusai | 2010-01-28 14:55 | Comments(0)
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