「今週の債券相場」
国債需給への懸念などをきっかけに10月上旬あたりから海外ファンドが債券の売り仕掛けをしていたものとみられ、また大手銀行も買い控えていたことも手伝って債券相場は下落基調となっていた。
しかし、10日に10年債利回りは1.485%まで上昇し1.5%に接近した際、藤井財務相の「長期金利上昇を危惧、財政悪化懸念の是正に努める」(ロイター)の発言などをきっかけに1.455%まで戻すなど、売り方も慎重姿勢となってきた。
懸念された米国債入札も9日の3年債、10年債入札ともに無難な結果となり、11日も現物の長期や超長期債主体に生保などの投資家の買いが入り、先物は137円92銭まで上昇した。そして、12日には10年債に投資家のまとまった買いが入った。
さらにこの日実施された5年国債の入札は、最低落札価格は事前予想をやや上回り、テールもわずかに2銭と前回の4銭から縮小、そして発行額が今回から1千億円増額されたが応札倍率も3.69倍と前回の2.17倍を上回るなど、好調な結果となった。これをきっかけに海外ファンドなどが債券先物などの買戻しの動きを強め、債券先物は前日比65銭高の138円51銭まで上昇した。債券相場の上昇基調は13日も続き、10年債利回りは1.330%まで低下し、債券先物は139円台を一時回復した。
国債需給悪化を意識した下落相場は、10日に長期金利が1.485%まで上昇に1.5%に迫ったところで反転した。しかし、国債需給悪化懸念が完全に払拭されての反転ではない。日米の国債入札を無難にこなし、11日から12日にかけて長期債や超長期債に投資家によるまとまった押し目買いが入ったことにより、売り仕掛けていた海外ファンドなどが買戻しを急いだことが相場反転の要因となった。
先行きの国債需給を見る上では、これから第二次補正予算や来年度予算編成の動きが本格化することで、その動向には注意が必要となる。当面は12月の国債の大量償還などを睨んだ投資家などによる買いが下支えとなり、戻りを試す展開が予想される。しかし、買い一巡後は再び国債需給などが意識され、戻り売りが入ってくる可能性がある。