「ソブリン・デフォルト」
ニューヨーク・タイムズが「日本がデフォルト(債務不履行)の危機に陥るか、通貨価値が崩壊する」との説を紹介したそうだが、ここにきて日本の財政悪化がクローズアップされつつある。
政府も、国家戦略室の下に「財政に対する市場の信認確保に関する検討会」を設置する方針を決めたと伝えられた。来年度予算編成での国債発行や財政規律のあり方などに関して経済・金融の専門家や市場関係者から意見を聞き、来年度予算に反映させたい考えだそうである(日経新聞)。
ただし、来年度予算に果たしてどれだけ財政規律が意識されるのか。新規国債の発行額を44兆円程度に抑えるのでは財政規律を重んじたとは言えない。44兆円という数字自体が異常に大きなものであることを認識すべきであろう。
海外からは日本を財政を危惧する声も上がってきているが、過去の歴史の中で、金融危機に陥った2~3年後あたりから、ソブリン・デフォルト(政府債務不履行)の大波に襲われてきたと分析した本(「THIS TIME IS DIFFERENT:Eight Centuries of Financial Folly」)も一部話題になっている。
すぐに日本の財政が破綻するとか、国債が暴落することは考えられない。しかし、年々、新規国債が発行されここにきてその増加ペースが早まってきていることは、ありえないとみられていた日本のソブリン・デフォルトの危険性を少しずつ高めていることは確かなことである。
果たして日本の国債発行にどれだけ市場が耐えられるのか。破綻に向けた耐久レースなどは行なうべきものではない。まだ、市場には若干の余裕もありそうなうちに財政再建に向けて手を打っておかなければ、いずれ取り返しのつかない事態になりうる。