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「高速道路の無料化」

 民主党の公約では、子ども手当てやガソリン暫定税率の廃止、高速道路の無料化などの家計支援策は初年度に約7兆円、農家への個別所得補償なども加えると2013年度には16.8兆円に広がる(9月3日日経新聞)。

 暫定税率の廃止により2.5兆円の減税となり、高速道路の無料化(首都高速。阪神高速を除く)では国民負担は2兆円程度軽くなると民主党は試算している。

 民主党のマニフェストでは下記のように記載されている。

 高速道路を原則無料化して、地域経済の活性化を図る。

 政策目的は、流通コストの引き下げを通じて、生活コストを引き下げる。産地から消費地へ商品を運びやすいようにして、地域経済を活性化する。高速道路の出入り口を増設し、今ある社会資本を有効に使って、渋滞などの経済的損失を軽減する。

 具体策としては、割引率の順次拡大などの社会実験を実施し、その影響を確認しながら、高速道路を無料化していく。所要額は1.3兆円程度

 9月4日付けの日経新聞によると、日本の高速道路料金は普通車で150円の基本料金に走行距離1KMあたり24.6円かかる計算となっている。米国やドイツの高速道路のほとんどが無料であり、フランスがおよそ半分、イタリアは三分の一だそうである。日本の高速料金が高いのは通行料で建設費を賄わざるを得なく、不採算の高速道路建設に充てるため、いまだにほとんどの路線で料金が徴収されているのが現状である。

 高速道路の無料化による環境問題や鉄道・フェリーなど公共交通機関への影響を懸念する声もあるが、そもそも不採算の高速道路をあちこち作ってしまったツケを高速料金として国民が支っている状況を考えれば、財源問題などがクリアーできれば、料金の引き下げや無料化はある意味当然行なわれてしかるべきと思う。

 しかし、その財源は大きな問題となる。日経新聞では高速道路の建設に絡む有利子負債は3月末で30.7兆円となり、これを高速6社が年間で約2.3兆円の料金収入の大半を充てている。無料となれば当然ながら料金収入はなくなる。民主党は、この負債をほかの国の借金と同様に60年間で返済する計画で、そうなれば国の長期債務残高の約600兆円にこの30兆円が上乗せされる。それでも年間の元本と利息の支払いで年間1.3兆円の財政負担で済むとして、所要額は1.3兆円程度となっている。ただし、6社で6千億円の高速道路の維持管理費はこれには含まれていない。

 すでに抱えてしまった有利子負債はいずれ何らかのかたちで処理せざるを得ない。料金収入に頼らないとないのは良いとしても、それが国の債務に上乗せされ将来の国民負担を増加させることとなれば、むしろ結果として債務削減を遅らせてしまうことにもなりかねない。また、高速道路の安全面を考慮すれば維持管理費は今後も必要となり、首都高速や東名高速などの老朽化等を考慮すればさらに大きくなる可能性もある。やはり財源はかなり問題も含んでいると思われる。
by nihonkokusai | 2009-09-04 11:00 | 国債
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