「暫定税率の廃止」
総選挙の結果、政権を担うことになる民主党の政権公約に「暫定税率の廃止」が含まれている。民主党のマニフェストをあらためて確認してみたい。
目的を失った自動車関連諸税の暫定税率は廃止するとし、その政策目的は、「課税の根拠を失った暫定税率を廃止して、税制に対する国民の信頼を回復すためとある。 そして、2.5兆円の減税を実施し、国民生活を守る。特に、移動を車に依存することの多い地方の国民負担を軽減する。
ガソリン税、軽油引取税、自動車重量税、自動車取得税の暫定税率は廃止して、2.5兆円の減税を実施する。このため所要額は2.5兆円程度となる。将来的には、ガソリン税、軽油引取税は「地球温暖化対策税(仮称)」として一本化、自動車重量税は自動車税と一本化、自動車取得税は消費税との二重課税回避の観点から廃止するとしている。
暫定税率についてはこれまでの与野党の大きな争点のひとつとなっていたが、公約に掲げた民主党が政権を取ったことで、暫定税率は廃止される可能性が高まった。
これにより消費者負担が軽減されることは確かである。特に地方では自動車が重要な足となっており、我が家でも自動車は2台保有している。暫定税率の廃止により特に地方の住民に対しての恩恵は大きそうである。ある意味、交通の便に恵まれている都心に対しての格差是正といえるのかもしれない。
暫定税率の廃止については、税収という側面から見ると、それでなくても税収が大きく落ち込んでいる中にあって、さらに2.5兆円もの削減はかなり厳しいものとなろう。暫定税率が廃止されると、2010年度の税収は40兆円を割り込む可能性も指摘されている。
そして、物価の面からみると昨年のように原油先物価格の急騰などでインフレ圧力が強まっている状況から、現在はやや原油先物は値を戻しているもののインフレ圧力はかなり後退している状況にある。7月の全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年同月比2.2%の低下と、過去最大の下落率を記録している。暫定税率の廃止はインフレ圧力を緩和するためでもあったかと思われるが、むしろデフレ圧力を強めてしまう結果となる可能性もある。