「S&Pは英国債の格付け見通しをネガティブに引き下げ」
S&Pはこの理由を、追加財政投資により英国政府の債務残高が2013年までにGDPと同じ規模に接近し、その後も同程度で推移していく可能性があるためと説明した。
「We have revised the outlook on the U.K. to negative due to our view that, even assuming additional fiscal tightening, the net general government debt burden could approach 100% of GDP and remain near that level in the medium term」
英国債の発行を行なっている英債務管理庁(Debt Management Office、DMO、 http://www.dmo.gov.uk/)が発表した今年度(2009年4月から2010年3月)の国債発行額は過去最高の2200億ポンドになるとの見通しを示している。2008年4月から2009年3月までの国債発行額は1500億ポンド弱で過去最高となった(ロイター)。
これを受けて昨日の欧州市場では、まず英国債先物とポンド相場が急落したが、それ以上に米国も多額の財政赤字を抱えることで米国債の格下げされる懸念が強まり、米国市場に影響が波及し、米国市場は株、債券、ドルが下落するというトリプル安の様相となった。
これに対し、S&PはトリプルAを確認した1月の発表に言及した。1月にS&Pは、財政の悪化は一時的と予想しており米国の他のクレジットが持つ強さは現在の圧力を持ちこたえるだろうとの見解を示していた(ロイター)
英国債の格下げは視野に入りつつあるようだが、果たしてS&Pは自国の国債の格下げに踏み切れるかどうかは疑問である。格付はあくまで投資のひとつの目安に過ぎないことで過度に反応する必要はない。しかし、今回の米国市場の動揺の背景には、米国債の格下げの懸念というよりも需給そのものへの懸念があるのではないかと思われる。