「当面の債券相場の見通し」
また5月1日に発表された3月の全国消費者物価指数(除く生鮮食料品)は、前年同月比で0.1%の低下となり、2007年9月以来、1年半ぶりに前年比マイナスとなった。また、完全失業率は4.8%と前月比0.4ポイントの上昇となり、3月の有効求人倍率は0.52倍と前月を0.07ポイント下回るなど雇用情勢は引き続き悪化を示した。 日銀が4月30日に発表した展望レポートでは、「最近に至り、在庫調整の進捗などを背景に、世界的に景気の下げ止まりに向けた動きがみられ始めている」との表現があった。
景気に対してはまだまだ予断を許さない状況ながら、日経平均株価は9000円台に乗せるなど、景気回復への期待も徐々に強まってきている。
この景気回復への期待や国債需給への懸念などを受け、債券先物は4月に入り138円を割り込み、昨年11月以来続いてきた138円から140円近辺でのレンジ相場から下に抜けてきた。ただし、今度は新たに136円50銭から137円50銭というレンジを形成してきた。長期金利では1.4%から1.5%のレンジ相場となっている。
補正予算に伴う国債発行計画については、ほぼ市場のコンセンサス通りとはなったが、今年度の税収見積もり修正などによる年末に向けてのさらなる増発も確実視されている。実際に7月以降とみられる国債入札動向を見極めたいとの投資家も多く、国債への需給懸念も債券相場の上値を抑えた。また、今後の米国債需給への懸念と米景気回復への期待などから、米10年債利回りは3%台に乗せ、米債安も円債の売り要因となった。しかし、投資家の押し目買いも下値では控えており、下値も限られ、その結果としてレンジ相場を再び形成してきた。
今後は引き続き国債需給や景気動向、株価や為替の動向を睨みながらの展開となろうが、国債需給への懸念が払拭できない反面、投資家の動向次第では戻りを試すことも考えられ、当面は長期金利での1.35%から1.55%の動きを予想している。