「低迷する個人向け国債への対応策」
長期金利の低下を受けて、5年固定タイプの利率が前回の0.58%から0.50%に引き下げられ、10年変動タイプの初期利子も前回の0.80%から0.71%に引き下げられたことが、販売不振の大きな要因とみられる。また、個人向け国債に比較して利率の高い個人向け社債の発行も相次いでおり、こちらに個人の資金が流れていることも個人向け国債の販売不振の要因か。
ここにきて政府・与党の追加経済対策にともなう16兆円規模の国債追加発行などから、需給悪化懸念が強まり、10年債利回りは1.5%近くまで上昇し、5年債利回りも一時0.9%まで上昇した。しかし、この水準でもまだ投資家ニーズは強まると思われず、過去の例からは5年固定タイプで1%の利率は最低でも必要かと思われる。
長期金利の動向については相場次第という面もあり、今後、低迷する個人向け国債の販売梃入れのためには、新たな需要の掘り起こしも必要となりそうである。財務省はそのため3年物の個人向け国債を検討していると伝えられているが、これもやはり利率次第となる。
それよりも、政府による経済対策と呼応し、少子化対策の一環として、将来の子供の学費のための個人向け国債の購入に際しては、利子を非課税にすることなどを検討してはどうか。これは確か米国での個人向け国債にそのような税制の優遇措置があったように思う。
また、途中換金できない期間が10年変動タイプで1年、5年固定タイプは2年と少し長く、これをそれぞれ半年程度に短縮させることはできないだろうか。
10年変動タイプの販売低迷がここにきて顕著となっている。10年変動タイプの金利の設定方法がわかりづらい面や10年という期間が長いということで販売不振の理由とみられる。このため3年物を販売することとなった際には、10年変動タイプを休債して3年と5年に絞ることも検討してはどうか。
相続税減免措置付きの無利子国債という個人向け国債の発行も政治家などから提言されているようだが、これは政治的問題でもあるが、果たしてニーズそのものがあるのかどうかも疑わしい面もある。