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混迷する英国のEU離脱(ブレグジット)問題

 英国のメイ首相は11日に予定していた欧州連合(EU)離脱案の議会採決を延期すると表明した。英議会では離脱案への反発が強く、メイ政権は大敗を避けるために採決を先延ばししたとされる。

 ある程度予想された事態が発生した。このまま採決に持ち込めば、反対多数となることが予想され、無秩序な離脱の可能性が強まることになる。

 メイ首相の欧州連合(EU)離脱計画が議会の承認を得られず無秩序な離脱に至る場合、英経済は少なくとも第2次世界大戦以降で最悪の不況に陥る恐れがあると、イングランド銀行が28日公表した報告書で厳しい警告を発していた。

 とはいえ、解決策も見いだせない。そもそも論として離脱するならきっぱりと離脱すべきだが、英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの間での国境管理という問題が存在する。

 離脱案では、問題が解決するまでの安全策として「英国をEUとの関税同盟に残す」という安全策などを盛り込んだそうだが、これにはきっぱり離脱すべき派が、うんとは言わない。さらに議会は果たして国民が選択した離脱を選択しようとしているのかにも疑問が残る。

 アイルランドの国境問題が引っかかっていることで、メイ首相も将来、安全策から確実に抜け出せる妙案も示せないでいる。しかし、これはあくまでひとつの理由である。これまでのような欧州連合(EU)に残ることで得ていた利点を失いたくはないというのも大きな要因とみられる。

 EUのトゥスク大統領は10日、採決延期を受け、ツイッターに「英国との離脱案の再交渉には応じない」と投稿した。一方で「英議会の承認を容易にする方法を議論する用意はある」と述べ、メイ首相との対話には応じる考えを示した(日経新聞電子版)。

 メイ首相が苦境に立たされていることは十分承知ながら、安易な妥協も当然できない。このままでは英国を主体とした金融経済危機が生じる懸念もある。EU内ではフランスの状勢もやや怪しくなってきている。米中の貿易摩擦への懸念も再度強まるなか、あらたなリスクが欧州から生じる可能性もありうるため、今後の状勢も慎重に見ていく必要がありそうである。


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# by nihonkokusai | 2018-12-12 09:37 | 国際情勢 | Comments(0)

日銀の金融緩和これくしょんの行く末

 艦隊これくしょん(艦これ)というゲームがある。元々はパソコンのプラウザゲームであったが、現在ではスマートホンでもできる。ユーザー数は200万人を突破し、人気ゲームといえる。実は私もこのゲームをしており、先日、ユーザーのオフ会に参加した。その席での会話のなかで、面白い事実が明らかとなった。

 艦隊これくしょんのブラウザ版のサービスを開始したのが、2013年4月23日であった。つまり開始して5年以上経過している。このゲームは太平洋戦争における日本海軍の艦隊がモデルになっている。その太平洋戦争は1941年12月8日の真珠湾攻撃に始まり、1945年8月15日に終戦を迎えた。

 つまり太平洋戦争の日本海軍の艦隊がモデルとなってゲームが、太平洋戦争の期間を超えてきたのである。それだけ人気を博しているともいえる。私自身、このゲームを通じてこれだけの数の戦争に投じられた船が存在し、多くの海戦があったことを思い知らされた。日本海軍がどのようにして負けていったのかもこのゲームを通じてあらためて知るようになった。

 ちなみに私は横須賀生まれだが、父親が親戚の元海軍将校を頼って横須賀に住んでいたことを、父の死後だいぶ経ってから知った。

 それはさておき、その面白い事実というのは、2013年4月に、やはりこれほど長く続くと予想されていなかったものが始まっていたのである。日銀は2013年4月4日に量的・質的緩和政策、いわゆる異次元緩和策を決定した。これは2年で2%の物価目標を達成するためとして、非常に大胆な非常時対応ともいえる緩和策を講じた。

 太平洋戦争も山本五十六など現実には米国を相手にまともに戦えるとは思っていなかったようで、短期決戦で講和条約に持ち込むことが目的であったとされる。しかし、初戦では戦果を挙げてもミッドウェー海戦あたりから状勢は変わり、泥沼化する。

 日銀の異次元緩和も当初1年間は順調に見えた。しかし、日銀が目標とする消費者物価指数は2014年4月の前年比プラス1.5%まで上昇した後は低迷する。これをこのタイミングでスタートした消費増税による影響が大きかったためとする意見がある。まったく影響はなかったとは言わないまでも、それよりも大胆な緩和策が物価に波及する経路そのものが見いだされていないなか、他の要因を含めた一時的な物価上昇ではなかったのかとの見方ができる。

 結局、日銀の金融政策もそれから泥沼化する。緩和の総動員となり、結果として「長短金利操作付き量的・質的緩和策」となり、現在に至る。まさに金融緩和これくしょん(緩これ?)とも言える状況にある。しかし、いまだ物価目標は達成されていない。現在ではこの異次元の金融緩和策をどのようにして続けられるのかを模索しているような状況にも映る。

 現在の日銀の金融政策の末路が太平洋戦争のようになると言うわけではないものの、両者ともに予想された戦果は上がらず、出口政策が取れなくなってしまったという状況は似ている。始めてしまった以上、負けを負けとして認められないというのはわからなくはない。しかし、それにより大きな犠牲を生んでしまう懸念はある。このあたり歴史に習うことも必要ではないかと思うのである。


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# by nihonkokusai | 2018-12-11 09:43 | 日銀 | Comments(0)

日本国債の急変動に備え、墓場まで持っていってもらっては困る情報

 先日、元日銀関係者と話をする機会があった。金融政策の決定にも関わっていた人であり、話のなかで「墓場まで持っていく」という表現が気になった。その話の内容については当然ながら話してはくれなかったが、察するに日銀の金融政策の変遷において議事要旨どころか議事録にも載らない話というものが存在していることに、あらためて気付かされた。

 政治家や大手企業経営者のみならず、その立場によっては、墓場まで持っていかざるを得ない情報というか、守秘義務が生じる情報を明らかにしないまま消えてしまったものは多数あると思う。

 なぜそんなことを考えていたのかというと、現在の日銀による異次元の緩和策からは、いずれ出口に向かわざるを得なくなると思ったためである。日銀の出口戦略により何が起きるのか、そのためにはどのような準備をしておく必要があるのかを考えておくことも必要であろう。もちろん想定されるのは、日銀の出口戦略による債券市場への影響となる。

 外為市場や株式市場も無関係ではいられないが、現在の日銀の金融政策は長期金利コントロールが含まれており、いわゆる国債の官製相場からの脱却が見込まれ、それによる債券市場の動揺は免れない。もし市場がオーバーシュートしたならば、どのような対処が必要なのか。

 債券市場のクラッシュの事例はそれほど多くはない。また同じようなクラッシュになると想定することがそもそもおかしいこともわかってはいる。それでも例えば1998年末の「資金運用部ショック」では何が要因となり、どのような対処がされ、市場はどのような動きとなっていたのかを各方面からスポットをあてて探ることで、クラッシュ時の状態を再現することも必要になるのではなかろうかと思うのである。

 ちなみに運用部ショックは、当時、現在の日銀のように国債を大量に保有し、市場から日銀のオペのような買入も行っていた資金運用部が、国債引受を削減させるとか、国債買入を停止するとのアナウンスがひとつのきっかけとなっていた。

 運用部ショックに関わる情報については、各方面がそれぞれ秘密裏に抱え込んでいることで、実態を明らかにすることはかなり難しいと言わざるを得ない。たとえば現実に誰が国債を大量に売ったのか、また債券先物を売ったのは誰か。具体的な手口情報は当事者や取引所関係者などしか入手できない。クラッシュに対して財務省や日銀はどのような動きを具体的にしていたのかについても当事者でなければわからない。我々が知っているのは新聞記事に載ったもの、市場での噂などによる情報、実際の価格の動きでしかなかった。

 運用ショックの分析が果たして日銀の出口戦略に行かせるかどうかはわからない。それでも債券市場の現実のクラッシュがどのようにして起き、どのようにして収縮していったのかを明らかにしておくだけでも事前準備にはなるのではなかろうか。そのためには墓場まで持っていってもらっては困る情報が多数あるように思われたのである。


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# by nihonkokusai | 2018-12-09 18:06 | 日銀 | Comments(0)

FRBの利上げ停止観測は金融市場の救世主になりうるのか

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)が「FRBは18~19日のFOMCで利上げをした後、(利上げを一時休止して)様子をみることを検討している」と報じた。

 6日の米国株式市場では、ダウ平均は一時785ドル安まで下げたが、この記事を受けて急速に下げ幅を縮小させて結局、ダウ平均は79ドル安となった。

 以前にもFRBのパウエル議長は、金融当局が進めている政策金利の引き上げについて、将来のある時点でいったん休止する可能性があることを示唆したことがある。これは今年8月の出来事であったが、現実には9月に利上げが決定され、12月もFOMCでも利上げが決定されていると見込まれている。

 パウエル議長は11月28日のニューヨークでの講演で、「金利は歴史的な基準ではなお低く、依然として経済に対して中立な水準を巡る幅広い推計値をわずかに下回る」と述べ、政策金利が景気をふかしも冷やしもしない「中立金利」に近いとも言及した。

 市場ではこの発言を受けて利上げの打ち止めが近いのではないかとの思惑が広がった。このときの講演の主題が金融政策ではなかったことで、何かしらの示唆を与えたわけではないとの見方もあった。しかし、私はこの発言は意図的なものではなかったかと思っている。ニュアンスが大きく変化してきた兆しのように思えた。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事も観測に過ぎないかもしれないが、FRBの意志が見え隠れしているように思われる。現在の米国を取り巻く状況や金融市場の動向を見る限り、FRBの利上げについては12月18~19日のFOMCの利上げでいったん打ち止めして、様子を見る必要があるのではないかと思われる。

 米中貿易戦争は一時休戦となったが、今後はファーウェイ問題なども絡みさらに激化する懸念がある。原油を巡る動きも不透明感強め、英国のEU離脱を巡る今後の動きも読めない状況にある。

 私が先月末に書いた「米国利上げの早期打ち止め観測」でも指摘したが、現実には12月のFOMCでの利上げは行っても、それ以降はかなり不透明感を強めることも予想される。今回のパウエル議長の発言(11月28日のニューヨークでの講演)の背景としては、トランプ政権への配慮といったものではなく、原油価格が大きく下落するなどしていることで、米国景気そのものの減速懸念などがあると思われる。そうであれば雇用統計など含めた経済指標での悪化が目立つようになれば、利上げを早めに停止してくる可能性はある。

 ちなみに7日に発表された11月の米雇用統計では、非農業雇用者数は前月比15.5万人増と予想を下回ったが、失業率は3.7%と横ばいとなり、平均時給伸び率は前年同月比3.1%と高止まりした。この数値を見る限り、いまのところ米国の景気減速感はそれほど出ていない。

 注意すべきは、FRBが来年の利上げを休止したとしても、それで米国株式市場などの地合いが一変するとは考えづらいことである。もちろんいったんは好感し、パウエルプットなる表現も飛び交うかもしれないが、そもそも米利上げが米国株式市場の調整等の主因であったわけではない。米中間を巡る貿易戦争などが解決に向かわない限り、さらに世界的な景気減速観測が後退しない限り、地合が大きくかわるとは思えない。金融政策だけが金融市場の決定要因ではない。


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# by nihonkokusai | 2018-12-08 10:51 | 中央銀行 | Comments(0)

一難去ってまた一難、ファーウェイ・ショックなどから金融市場はさらに不安定に

 12月1日の米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席による首脳会談を受けて、米中貿易戦争は一時的な休戦条約を締結した格好だが、貿易戦争を仕掛けたトランプ政権内で、主戦派と和平派が存在していることで、終戦に至る見込みはたっていない。米国は、中国が米国の先端技術を不当に奪って次世代産業を育成し米国の覇権を脅かそうとしている、との危機感を抱いているとされている。交渉にあたって主戦派が前面に出てきているようである。

 そこにあらたな火種が発生した。中国の華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)が米中首脳が休戦条約を締結した1日にバンクーバーで逮捕されていたのである。イランとの金融取引を禁じた米国の制裁を回避するための仕組みづくりに関った疑いがあるという(ロイター)。

 ファーウェイは中国最大の民営企業で、習近平指導部が進めるハイテク産業育成策「中国製造2025」で重要な役割を占める。ただし、日本でも各府省庁や自衛隊などが使用する情報通信機器から、安全保障上の懸念が指摘されるファーウェイとZTEの製品を事実上、排除する方針を固めたと伝えられたが(読売新聞)、米国はファーウェイなどの製品などについて注意喚起を行っている。ファーウェイを巡って、さらに米中の対立が深まる懸念がある。

 ここにきての株式市場の動向などをみても、米中貿易摩擦の激化などを受けての景気減速の懸念がかなり意識されはじめているといえる。日経平均やダウ平均は不安定な動きとなっているが、チャートからはレンジ相場を下抜ける可能性もありうる。

 債券市場をみると、日本の債券市場は先物の中心限月を見越しての踏み上げ的な動きとも取れるものの、米債の動きにも連動している。米10年債利回りは節目とみられた3%をあっさり下回り低下傾向となり、米国の長短金利スプレッドは縮小した。

 これには米中の問題などからのリスク回避による動きもあるが、原油価格の下落も影響していた。原油先物のチャートをみるとWTI先物の50ドル近辺でひとまず大きな下落相場は小休止となった。しかし、こちらもまだ予断を許さない。ロシアが減産に難色を示し、協調減産の行方に不透明感が強まるなどしている。

 OPEC総会などの動向も気になるものの、英国のEU離脱問題についても懸念材料となる。11日の採決を控えてメイ首相は苦境に立たされている。予想通り、否決されたとして、議会での動き次第では、再度、国民投票の実施の可能性も出ている。いずれにしても英国も不安定要素ではある。

 米中貿易摩擦も加わって、世界的な景気減速の懸念が強まり、それが日米欧の株価下落の要因となりつつある。米国経済を牽引してきたハイテク株にもアップルなどを主体に陰りも見えてきている。今回の株価の調整は一時的なものではない可能性も意識しておく必要があるように思われる。


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# by nihonkokusai | 2018-12-07 10:36 | 金融 | Comments(0)

米国での逆イールドの発生は景気減速の兆候なのか

 3日の米国債券市場では、3年債利回りが5年債利回りを上回り、2007年以来の逆転となり、米2年債と10年債の利回り較差も約10年ぶりの水準に縮小した。5日には2年債利回りが5年債利回りを上回った。

 縦軸を債券の金利、横軸を債券の期間として期間ごとの利回りをプロットすると曲線が描かれる。これがイールドカーブである。イールドカーブは通常、右肩上がりになりやすい。これは順イールドと呼ばれる。右肩上がりの傾斜がきつくなることをスティープ化と呼んでいる。

 これに対して短い期間の債券の金利が長い期間の債券の金利を上回るようなカーブが描かれることがある。これを逆イールドと呼んでいる。長い期間の金利と短い期間の金利の較差が縮小することをフラット化と呼んでいる。

 通常は長い期間の債券のほうが所有期間リスクが高くなることで、その分のリスクプレミアムが金利に上乗せされる。このため、イールドカーブはスティープ化していることが多い。

 ここに何らかの要因が加わって、フラット化が進み、逆イールドとなるケースがある。過去に逆イールドとなった際は景気後退局面が多かったこともあり、イールドカーブが逆イールドとなるのは景気後退を示唆しているとの見方がある。

 ただし、注意すべきは短期金利と長期金利は同じ金利ながらも、変動要因が異なる場合があることである。短期金利と長期金利のスプレッドだけをみて、それが景気後退を意味すると採るのはやや早計な見方となる。

 今回の長短金利のスプレッドの縮小について、特に短期金利の上昇の背景は明確である。短期金利は中央銀行の金融政策によって決定されるものであり、FRBが正常化にむけた利上げを行ってきたことで短期金利が上昇した。それが中期ゾーンの金利にも影響を与えている。

 しかし、長期金利は利上げにも関わらず上昇は限られたものとなっていた。これは景気後退によるものではないはずである。もしそうであれば、利上げを進められる環境にはないということになる。米長期金利が短期金利に比べて上昇速度が鈍っていたのは、景気の回復が比較的緩やかで、長期金利にも影響を与える物価の上昇も鈍く、インフレを連想させるようなものとなっていなかったことによる。

 さらに米長期金利、つまり米10年債の利回りになるが、その米10年債は何かしらのリスクが発生した際にリスク回避として買われることがある。もちろんその際は10年債だけでなく中期債なども買われようが、FRBの利上げによる短期金利の水準も意識されることで、長期債ほど買い進まれないということも考えられる。

 結果としては今回の米国でのイールドカーブの逆イールドの形成と、世界的な景気減速が同時進行する可能性はある。しかし、米国のイールドカーブの動きは少なくとも、11月あたりまでは景気というよりFRBの利上げや物価動向の影響を受けていたとみるべきではなかろうか。

 ただし、ここにきての米長期金利の低下が、景気減速を背景としたリスク回避の動きであるとすれば、逆イールドというか、ここにきてのイールドカーブの平坦化は、目先的に世界経済の減速を見越したものとの見方もできなくはない。


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# by nihonkokusai | 2018-12-06 09:38 | 債券市場 | Comments(0)

日銀は実質的に超長期国債の買入を減額

 11月30日の夕方5時に日銀が公表した「当面の長期国債等の買入れの運営について」によると、12月の国債買入で10年超の超長期と呼ばれる国債の買入の回数が11月の5回から4回に削減された。

 これは12月という年末であり、カレンダー上に無理があったためとかではなく、将来の需給を見据えた実質的な減額といえる。

 来年度の国債発行では今年度の減額がなかった20年債を主体にカレンダーベースの発行額が削減されると予想されており、それもあって今回、超長期ゾーンの買入回数を削減することで月額の買入額も減少させてくるとみられる。

 今回は買入額そのものが中長期ゾーンに比較して超長期債は大きくないこともあり、一回あたりのオファー金額のレンジの修正はなかった。レンジは10年超25年以下は1500~2500程度、25年超が100~1000程度となっている。

 前回の10年超の国債買入は11月30日に行われ、10年超25年以下は1800億円、25年超は500億円となっていた。

 11月の10年超25年以下は1800億円が月額では5回で9000億円、25年超が500億円が5回で2500億円となっていた。

 これが12月は10年超25年以下は2000億円が4回でトータル8000億円、25年超は600億円が4回で2400億円あたりになると予想していたが、5日にオファーされた金額は10年超25年以下は2000億円であったが、25年超は500億円と前回と変わらずとなっていた。結局、この金額で4回の買入となれば、月額で10年超25年以下は1000億円減、25年超は500億円減となる。

 結果として実質的な減額となるが、これは国債の先行きの需給に応じた措置といえる。すでに日銀の金融政策の操作対象は国債買入などの量から、金利に戻しており、このため国債買入の減額は日銀の金融政策の変更などを意味するものではない。


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# by nihonkokusai | 2018-12-05 10:24 | 日銀 | Comments(0)

米中貿易戦争は一時的な休戦条約を締結、しかし市場のマインドは大きくは変わらずか

 1日にブエノスアイレスで開かれた米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席による首脳会談では、米国が来年1月に予定していた対中制裁関税の強化を猶予することを決定した。

 米中貿易摩擦の発端はトランプ政権の発端にあるものの、いずれこれほど極端なかたちではなくても、米中の貿易摩擦が起こるのは必然ともいえた。それだけ中国の存在力が高まっていたともいえる。

 トランプ大統領はこの決定に対して、「米中首脳による素晴らしいディール(取引)になった。」と自画自賛したようだが、今回の決定はあくまで一時的な猶予期間を設けたに過ぎない。それでも会談にこぎ着けたこと自体は多少なり評価しなければならないかもしれない。

 米中貿易戦争は一時的な休戦条約を締結した格好だが、貿易戦争を仕掛けたトランプ政権内で、主戦派と和平派が存在していることで、終戦に至る見込みはたっていない。

 今回のディールのお膳立てをしたのが、和平派というか国際協調派のムニューシン財務長官やクドロー国家経済会議(NEC)委員長などとされる。米中貿易摩擦を睨んだ株価の動きなども当然意識したものとなっていよう。

 これに対して首脳会談にも臨席したライトハイザー通商代表部(USTR)代表やナバロ大統領補佐官らは主戦派、つまり対中強硬派は中国に対する批判を弱めていない。

 米国は、中国が米国の先端技術を不当に奪って次世代産業を育成し米国の覇権を脅かそうとしている、との危機感を抱いているとされている(3日付毎日新聞)。

 90日の停戦の間に知的財産権の保護など5分野で協議を続けるそうだが、90日で協議がまとまるとも思えない。90日以内に合意できなければ、米国は制裁関税強化に踏み切るとされている。

 トランプ大統領のディールはあくまで一時的な時間稼ぎに過ぎない。それでも市場はこれをいったん好感した。しかし、問題を先送りされたに過ぎないことで、これをきっかけに相場のマインドが大きく変わることは期待しにくいのではなかろうか。


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# by nihonkokusai | 2018-12-04 09:42 | 国際情勢 | Comments(0)

キャッシュレス化に潜む災害時リスク、韓国の事例

 11月24日に韓国のソウル中心部で通信最大手KTの通信ケーブルが焼ける火事があり、3日間にわたって一部地域で同社の携帯電話やインターネットが使えなくなり、カード決済もできなくなった。キャッシュレス決済の比率が9割に達する韓国では現金を持ち歩かない人も多く、混乱が広がった(26日付朝日新聞)。

 韓国では買い物の際、現金ではなく、クレジットカードや日本のデビットカードに似た「チェックカード」を使って決済するのが一般的とされている。「チェックカード」とはいわゆる銀行ATM用のカードで、日本ではこの銀行カードで現金の出し入れ、振込みなどを行なうが、韓国ではこのカードそのもので支払いができる。

 キャッシュレス化については、国によって何が主体となっているのか異なっている。中国などではQRコードを利用したスマホ決済、韓国ではチェックカード、そして香港ではオクトパスカードなどとなっている。

 方式は異なっても、いずれのキャッシュレス決済においても電子取引となっていることで災害時には弱い。今回の韓国の事例でも、それを浮き彫りにしたといえる。韓国のように9割近くまでキャッシュレス化が進んでしまうと、通信ができなくなったり、停電などによってキャッシュレス決済ができなくなってしまう。これは消費者だけでなく、店舗側にも大きな影響を与えかねない。

 通産省は日本のキャッシュレス化について80%あたりまで引き上げたいとしているようだが、そこまで引き上げる必要があるのかも再考する必要もあるのではなかろうか。給与振り込みやカードの引き落としなども電子決済とすれば、日本のキャッシュレス化は進んでいるとの見方もある。それでも現金利用が多いことも確かである。それには現金の利便性だけでなく、「もしも」の時の現金利用も意識されているのではなかろうか。

 日本では地震などの自然災害が多く、停電などが続くと電子決済はできなくなる。それに対して現金の決済は災害時でも可能となる。しかし、レジが使えなくなるなど現金も利用できないケースもあり、災害時の停電なども想定した対応が求められる。

 現金利用を抑えることで、ATMの設置やメンテナンス費用、現金の保管や移動時のセキュリティ費用などを削減することも必要ながらも、ある程度の現金決済は残しておくことも必要なのではなかろうか。「もしも」の際にどうするか。そちらへの対応を考慮した上での、キャッシュレス化を考えることも必要と思われる。


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# by nihonkokusai | 2018-12-02 09:54 | 金融 | Comments(0)

米国の長期金利の3%割れと原油先物の50ドル割れの背景は共通、世界経済の減速の兆候

 11月29日の米国債券市場では、28日のパウエルFRB議長の発言を受けて、早期打ち止め観測が強まり、米10年債利回りは一時3%を割り込んだ。米長期金利の3%割れは9月18日以来となる。

 やや腑に落ちないのは、28日の米国債券市場の動きであった。同日の米株式市場では、パウエル議長の発言を受けて利上げ打ち止めが近いとの思惑が広がり、ダウ平均は素直に617ドル高となっていた。しかし、同日の米国債券市場では何事もなかったかのように3.06%と前日比とほぼ変わらずとなっていたのである。

 この日は原油先物も大きく下落しており、米債は買われていてもおかしくなかったが、買われなかった。ところが、29日の東京時間に米債はあらためて買い進まれ、29日の米国時間の早朝に一時3%割れとなった。結局、この日の米10年債利回りは3.03%と前日の3.06%から低下した。

 この米債の動きをみると10年債利回りで3%が大きな抵抗線になっているようにみえなくもない。ただし、29日に発表されたコアPCEデフレータが予想を下回るなど、外部環境は国債の買い方優位にみえる。3%はそれほど強い抵抗線ではなくなるのではなかろうか。

 そして、29日にはサウジのエネルギー産業鉱物資源相がサウジ単独での減産は行わないと表明したことや、28日に発表されたEIAの週間在庫統計で米原油在庫が予想以上に増加したことから、原油先物の指標となっているWTI先物は一時50ドル割れとなった。

 先日、チャートの月足ベースでみると10月と11月のWTI先物の下落は、2014年に100ドルを超えていたWTIが急落し、2015年1月に50ドルを割り込んだ相場の当初の動きにも似ていると指摘した。このときの調整は2016年1月あたりまで続き、WTI先物は30ドルを割り込んでいる。

 チャート上からも50ドルは心理的名節目となっているとみられる。これに対して、産油国であるロシアのプーチン大統領が28日に原油価格について同国としては60ドルなら満足できるとの見解を示した上で、「OPECとは連絡を取り合っており、必要に応じて共同の取り組みを続ける用意がある」と言及した(ロイター)。

 このプーチン発言等を受けて、来週開かれるOPEC総会で協調減産が決定されるのではないかとの期待が広がり、原油先物に買い戻しが入って、29日のWTI先物1月限は結局、1.16ドル高の51.45ドルとなった。

 原油先物価格のここにきての下落は、トランプ大統領が原油価格は高過ぎると表明したことも一因となっていた。そのトランプ大統領はG20で予定していたロシアのプーチン大統領との会談を中止すると明らかにした。ロシアがウクライナの艦船を拿捕した事件が背景にあるそうだが、原油価格を巡っても米国とロシアの対立色が見え隠れしている。

 注意すべきは、FRBの利上げ早期打ち止め観測による米長期金利の一時3%割れと、原油在庫増などを受けたWTI先物の一時50ドル割れの要因としては、米国を含む世界経済の景気減速懸念があることである。

 あくまでいまのところ懸念ではあるものの、世界経済の減速の兆候が経済指標等に現れてくれば、この流れを人為的に止めることは難しくなる。


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# by nihonkokusai | 2018-12-01 10:28 | 景気物価動向 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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