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欧米主体に世界的に長期金利が上昇、その背景とは

 4月19日の金融市場ではなかなか珍しいことが起きていた。欧米を中心として世界的に長期金利が上昇していたのである。香港、シンガポール、インドやオセアニア、そして英国を中心としてスイスなども含めて欧州の長期金利も軒並み上昇し、米国の長期金利も上昇していた。

 これだけ一斉に上昇するのは珍しい。それぞれ個別にいろいろな要因も指摘されていた。たとえば米長期金利の上昇のひとつの背景に、長短金利スプレッドが大きく縮小していたが、その反動が起きて、これまで比較的低位となっていた長期金利が上昇したというものである。

 欧州では特に英国の長期金利が上昇していた。この日、イングランド銀行のカーニー総裁は英国が今後数年間に数回の利上げを準備すべきと発言したが、5月の利上げが既定路線ではないとも示唆しており、カーニー発言が大きく影響したようには思えない。

 欧州では英国を含め、フランスやスペインの国債の発行が影響との見方もあるが、それだけでここまで金利が動くことも考えづらい。

 今回の動きはたまたまであった可能性もあるが、これだけ同じに動いたとなれば、やはり何らかの要因もあった可能性も否定できない。その要因と考えられるものに商品市況があった。

 原油価格の指標のひとつとなっているWTIは18日に68ドル台に上昇してきた。サウジアラビアが原油価格を80~100ドル近辺に引き上げたい意向だと報じられたが、節目を抜けてきているだけに80ドルあたりまで上昇してくる可能性はチャート上伺える。

 この原油価格の上昇だけでなく、アルミやニッケルが急騰している。これはロシアのUCルサールに対する米国の制裁措置によるものとの見方がある。

 ブルームバーグによると、アルミニウム価格は6年ぶり高値、ニッケルは2009年以来の大幅高を記録。アルミニウム生産に必要な原料であるアルミナは過去最高値に達したそうである。

 このように原油だけでなく、米国の保護貿易主義などを受けて、アルミニウムなど商品価格の高騰が物価の上昇要因となり、それが世界の長期金利にも影響を及ぼしている可能性がある。そうであれば今回の世界的な金利上昇の要因となりうるのではなかろうか。

 世界的な長期金利上昇のなかにあって、日本の長期金利は引き続き低位安定となっている。これは日銀が強引に抑え込んでいるからともいえるが、このまま他国の長期金利が上昇基調となった際に、日銀がどこまで長期金利を抑え込めるのか。それをいずれ試しにくることも予想される。


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# by nihonkokusai | 2018-04-21 10:36 | 債券市場 | Comments(0)

ドル円がここにきて反発してきた理由

 外為市場では、ここにきて円高の修正のような動きとなっている。ドル円は3月22日の104円60銭台あたりが目先のボトム(底)となり、じりじりと反発し20日に107円後半あたりまで上昇している。ユーロ円も3月22日に一時129円を割り込んだが、そこから反発し19日に133円に接近している。

 ユーロ円は133円台を抜けてくるとチャート上からは、135円あたりまであっさりと上昇してくる可能性がある。また、ドル円も108円台あたりを抜けてくると110円あたりまで上昇してくる可能性が出てきた。

 今年に入りドル円は113円台あたりから下落トレンドとなり、3月22日に104円60銭台まで下落した。1月のドル円の下落の背景としては、日銀による国債買入の縮小、ムニューシン財務長官によるドル安を歓迎する発言、黒田日銀総裁による、(物価が)ようやく目標に近い状況にあると思うとの発言があった。市場が日銀の政策に過敏になっていた面もあるが、米国政府の本音が垣間見えたことで円高が進んだ。

 日銀は1月31日に中期ゾーンの国債買入を増額した。そして、2月に入りダウ平均は5日に記録的な下げとなりゴルディロックス相場(適温相場)が変調をきたし、米国を主体に株式市場が一時的な調整局面を向かえた。これによりリスク回避の動きを強め、円高が進行した。日銀は2月28日に超長期国債の買入を減額した。

 3月1日にトランプ大統領は、中国の過剰生産によって安く輸入されている鉄鋼製品が米国の安全保障の脅威になっているとして、25%の高い関税を課す異例の輸入制限措置の発動を正式に決める意向を明らかにした。これを受けて米中の貿易摩擦への懸念が強まり、リスク回避の動きから円高が進む。

 ドイツの政党の連立交渉、イタリアの総選挙などもリスク要因となったが、韓国と北朝鮮が首脳会談を開くことで合意したとのニュースが飛び込んできた。このあたりからやや地合が変化してきたように思われる。

 ただし、異例の輸入制限措置の発動により、中国との貿易摩擦の強まりとともに、北朝鮮と米国の緊張が再度高まる懸念も出てきたことで、金融市場ではリスク回避の動きを急速に強めたのが3月22日となった。

 米中がそれぞれ報復措置をとるなど貿易摩擦が激化するのではとの懸念が強まったが、トランプ政権の幹部らから貿易戦争を回避する時間は十分にあるとの発言との発言に加え、中国の習近平国家主席が昨日の講演で、自動車の関税引き下げや金融市場の開放、年内に一部製品の輸入関税を引き下げる方針を表明したことで貿易摩擦の懸念が後退。このあたりから円高圧力も後退してきたように思われる。

 今回の日米首脳会談でも為替に関してはそれほど強い表現はなく、米株も回復基調となったことなどもあり、さらに北朝鮮の地政学的リスクが後退かとの見方も強まったことで、過度なリスク回避の動きは後退してきた。さらに米長期金利の上昇なども手伝って、ここにきての円高修正の要因となっているとみられる。ここからの動きの鍵のひとつとなりそうなのが、北朝鮮との首脳会談も控えたトランプ政権の動向かと思われる。


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# by nihonkokusai | 2018-04-20 15:57 | 為替 | Comments(0)

デジタル通貨を中央銀行が発行すべきなのか

 日銀の雨宮副総裁はIMF・金融庁・日本銀行共催 FinTechコンファレンスにおける挨拶のなかで、中央銀行が発行するデジタル通貨に関してコメントしていた。

 日銀を含め多くの中央銀行は、歴史的には、支払決済手段の濫立やこれに伴う混乱に対処するために誕生した。中央銀行の登場により、それまでの、「数多くの支払決済手段の信頼性をいちいち調べなければいけない状況」から脱却し、支払決済システムにおける情報処理コストは大きく低減したと雨宮副総裁は指摘している(日銀のサイトにアップされている挨拶の邦訳より引用)。

 日銀が発行する日銀券を用いて支払いを行った場合には、相手がその受取りを拒絶することができない、つまり日銀券は「法貨としての強制通用力」を持っている。これはつまり日本国内で円を使う場合に、日銀券は制限なく使用できることになる。

 中央銀行は銀行券と中央銀行預金の供給に特化する一方で、民間銀行はこれを核とする信用創造活動を通じて、広義マネーとしての預金通貨を供給している。中央銀行と民間銀行による二層構造は、通貨制度の安定性と効率性を両立させる、歴史的知恵であったと言える(挨拶の邦訳より引用)。

 このため、もし中央銀行がデジタル通貨を自ら発行するとなると、単純化していえば、一般の家計や企業が中央銀行に直接口座を持つことになり、通貨制度の二層構造や、民間銀行を通じた資金仲介などに、大きな影響を及ぼす可能性があると雨宮副総裁は指摘している。

 南米ウルグアイの中央銀行はブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用した「法定デジタル通貨」の試験運用を開始した。スウェーデン中銀による「eクローナ」構想、中国人民銀行による「法定数字貨幣」の計画、オランダ「DNBcoin」の開発、カナダの「CAD-coin」など世界各国で研究が進んでるとされ、日銀も研究は進めていると思われる。

 しかし、現実的に我々が日銀に口座を持って、決済を行うということは技術的なものだけでなく、民間銀行の業務の在り方にも大きな影響を与えかねない。歴史によって生まれた通貨制度の二層構造が、いまのところ金融経済にとってはベターなものであり、そこに利便性の面だけで、中央銀行がデジタル通貨を発行するとなれば、金融のシステムが大きく変化する可能性もありうる。

 また、それによって効率的ではあるものの、個人や企業の資金の流れが一元管理されてしまうということにもなりかねない。現状ではキャッシュレス化の流れは必要なのかもしれないが、そのために中央銀行がデジタル通貨を発行するということはあまり現実的なものではないと思われる。


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# by nihonkokusai | 2018-04-19 09:59 | 日銀 | Comments(0)

トランプ大統領はFRB副議長にクラリダ氏を指名

 米国のトランプ大統領は16日、米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)の副議長に、米債券運用大手パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)の幹部でコロンビア大学の教授でもあるリチャード・クラリダ氏を指名すると明らかにした。トランプ大統領はこのほか、FRB理事にカンザス州銀行監督当局のミシェル・ボウマン氏を指名する(ロイターの記事より引用)。

 クラリダ氏はジョージ・W・ブッシュ元政権で財務次官補(経済政策担当)を務め、10年余りにわたりPIMCO勤務で金融市場についての知見を培ってきたとされる(ブルームバーグ)。

 クラリダ氏は昨年10月に退任したフィッシャー前副議長の後任となる。こちらは金融政策全般を担当する副議長ポストとなる。もうひとりの副議長は昨年10月に就任したクオールズ氏(銀行監督担当副議長)。

 ダドリー氏の後任として6月18日付でニューヨーク連銀の次期総裁に就任するサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁と共に、クラリダ氏はエコノミストという立場から、2月に議長に就任したパウエル氏を支えることになる。

 FRBの正副議長を含む理事職(定員7)は現在、4つが不在という事態となっている。パウエル議長とクオールズ副議長(金融規制担当)が就任し、理事としてはブレイナード理事だけとなっている。昨年11月に理事に指名された米カーネギーメロン大教授のグッドフレンド氏は、議会の承認がまだ得られていない。

 もちろんクラリダ氏とボウマン氏も就任には上院の承認が必要となる。共和党が多数を占める上院ではあるが、FRBに対する風当たりも強いようで、すんなりと承認されるのかどうかは不透明。

 ちなみに2018年にFOMCで投票権を持つほかのメンバーは、ニューヨーク連銀総裁に加え、メスター・クリーブランド連銀総裁、ボスティック・アトランタ連銀総裁、ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁(6月18日からの次期総裁は未定、メアリー・デイリー氏との見方も)、バーキン・リッチモンド連銀総裁となる。


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# by nihonkokusai | 2018-04-18 09:44 | 中央銀行 | Comments(0)

シリアへのミサイル攻撃に対し金融市場は冷静に受け止める

 米国のトランプ大統領は東部時間13日午後9時(日本時間14日午前10時)にホワイトハウスでテレビ演説を行い、シリア・アサド政権の「化学兵器施設」に対する局所攻撃を命じたと発表した。首都ダマスカス郊外東グータ・ドゥーマに対してシリア政府軍が化学兵器を使用したと疑われている攻撃に対応するもので、英仏軍との合同作戦が「すでに始まっている」と述べた(BBC)。

 国防総省によると、発射されたミサイルは105発(米85発、英仏20発)。地中海東部などに展開する米艦船や原子力潜水艦から巡航ミサイル「トマホーク」を発射。B1戦略爆撃機からも空中発射ミサイルで攻撃した。英仏の戦闘機や艦船もミサイル攻撃に加わった(朝日新聞)。

 アサド政権軍が40発以上の地対空ミサイルを発射したが、米側への影響はなく、ロシアの防空システムは稼働しなかったとされる。米政権は昨年4月にもアサド政権軍がシリア北西部で化学兵器を使用したとして、シリア中部の政権軍基地に巡航ミサイルを発射し、戦闘機約20機を破壊した(朝日新聞)。

 これを受けてロシアは「国際法と国連憲章に違反する」と米英仏を非難する決議案を安保理に提出したが否決された。決議案に賛成した国はロシア、中国、ボリビアの3か国であったようである。

 11日にトランプ大統領は、シリアに対しミサイルが飛んでいくぞ、とツイッターに書き込み、シリアに対するミサイル攻撃を強く示唆した。加えて、シリアのアサド政権を支援しているロシアを批判した。これを受けて11日米国市場は、リスク回避の動きを強め、米株は売られ、米国債は買われて利回りは低下した。

 ところが、12日にトランプ大統領はシリアをいつ攻撃するかを言ったことは一度もないとツイートした。これを受けて12日の米国市場はリスク回避の巻き戻しといった動きとなり、米株は買い戻され、米債は売られ利回りは上昇した。

 これらの動きを見る限り、米国によるシリアへのミサイル攻撃は準備されていたが、11日にトランプ大統領は軍の最高司令官として、攻撃のタイミングについて、本来言ってはいけない軍事機密を呟いてしまい、それを慌てて修正したのが、12日の発言とみられる。

 11日から12日の金融市場の動きを見る限り、シリアへの米英仏による攻撃は中東の地政学的リスクを拡大させかねず、ロシアとの関係悪化により、緊張が高まることによってリスク回避の動きを強めさせかねにかった。

 ところが週明け、ミサイル攻撃後に開かれた16日東京市場での動きを見る限り、市場はかなり冷静さを取り戻している。ドル円は107円半ばに上昇し、米株先物や日経平均もしっかり。噂で売って、現実で買うといった動きにも見えなくもないが、想定していたような混乱は起きておらず、ロシア側からの出方も慎重となっていたことを好感か。これをきっかけに戦局が拡大するといったこともなく、一回限りの攻撃との見方もあり、市場は冷静さを取り戻しつつあるのではないかと思われる。

 これでシリアを巡る状勢が改善するとも思えないものの、トランプ大統領とすればやるべきことをやり、プーチン大統領も国連に訴えることでこちらも抗議すべきことはやったということであろうか。

 シリア大統領府は空爆から一夜明けた14日午前に、大統領府に出勤するアサド大統領の様子だという映像をツイートしたそうである。このように比較的冷静に受け止められていることも市場を安堵させているようにも思える。いまのところ、シリアへの攻撃は金融市場を大きく揺るがすような要因とはなっていない。


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# by nihonkokusai | 2018-04-17 09:40 | 国際情勢 | Comments(0)

米議会予算局の財政赤字試算とトランプ政権の希望的試算の違い

 米連邦議会の中立機関である米議会予算局(CBO)は9日、2020会計年度(2019年10月~20年9月)に財政赤字が1兆ドルを突破する試算を公表した(日経新聞)。

 トランプ政権と米議会は2017年末に10年間で1.5兆ドルの大型減税を決めており、さらに2年で歳出を3000億ドル増やす予算関連法も成立させた。トランプ大統領が2月に提出した予算教書によると、20年度に9870億ドルまで財政赤字が拡大するとしたが、2021年度以降は改善して2028年度の赤字幅は3630億ドルに縮小するとしていた。

 この理由としてトランプ政権は、減税で企業投資を後押しし、経済成長率を3%に高め、税収を確保するとしたものである。

 これに対してCBOの財政赤字の見通しは2017年度の6650億ドルから18年度には8040億ドル、2019年度も9810億ドルと段階的に悪化する。2020年度には8年ぶりに赤字幅が1兆ドルを突破するとの試算となっている。

 どちらの試算がより現実的なのかは言うまでもない。もちろんCBOである。減税すればいずれ成長率が高まり、その結果、税収増によって財政赤字が解消できるのかは甚だ疑問である。

 その国の景気実態によるが、減税がどの程度の効果を促すのかは状況に応じても異なる。景気の拡大期に行えば、ある程度の効果が出るかもしれないが、高度成長期でもなければ減税により税収を大きく拡大させるほどの効果があるとは思えない。また、他のファンダメンタルズの要因、国内外でのリスク要因などによっても減税による効果が相殺される懸念もある。

 財政悪化を食い止めるには、アリとキリギリスからの教訓からいえば、一時的に楽をしてあとで苦しむキリギリスではなく、アリのようにこつこつと財政の再建を行わなければ、財政は悪化するばかりである。

 それは日本におけるこれまでの財政の状況を確認すれば一目瞭然であろう。景気が少しでも悪化すれば財政政策が取られるものの、景気が回復して税収が増加してもそれを財政再建に回すようなことはほとんどせず、国家予算や国の債務は膨れ上がるばかりとなってきている。

 それに対して欧州ではユーロというシステム上、債務管理をしっかりするような仕組みとなっている。

 米国の財政赤字の拡大によって、すぐに大きな危機を迎えることにはならないと思うものの、日本のような債務悪化の状態に米国も陥るリスクがある。そのリスクが顕在化するとすれば日本が先となろうが、いまは日銀による大量の国債買入れがそのリスクそのものをみえにくくさせており、それはむしろ問題を深刻化させているようにも思える。


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# by nihonkokusai | 2018-04-16 10:08 | 財政 | Comments(0)

トランプ大統領に振り回される米国市場、いつまで続くのか

 米国のトランプ大統領が対中制裁関税の1千億ドル積み増しを検討するとしたのに対し、6日に中国も必ず反撃するとして対抗措置を取る姿勢を示した。ムニューシン米財務長官が貿易戦争になる可能性はあると指摘したことも嫌気して、米国株式市場は中国事業の比率が高い建機のキャタピラーなど主体に下落し、6日のダウ平均は572ドル安となった。やられたらやり返す、倍返しではないが、貿易戦争への懸念が強まった。

 ところが、トランプ政権の幹部らから貿易戦争を回避する時間は十分にあるとの発言があり、9日の米国株式市場では、米中の貿易摩擦を巡る過度な警戒が後退し、ダウ平均は一時400ドルを超す上昇となった。しかし、今度はFBIが9日にトランプ大統領の顧問弁護士の事務所を捜査したと報じられ、上げ幅を縮小させてダウ平均は46ドル高となった。

 中国の習近平国家主席は10日、中国海南省で開催中の博鰲(ボアオ)アジアフォーラムで演説し、「開放の新たな段階」を約束した。 演説は新政策をほとんど提示しなかったが、輸入促進や製造業の外資保有制限緩和、知的財産権の保護拡大に向けた提案を確認ないし膨らませた。これを受けてトランプ大統領はツイッターで、「関税や自動車障壁に関する中国の習主席の丁重な言葉に深く感謝する」と述べ、「知的財産と技術移転に関する見識」にも謝意を示し、「われわれは共に大きく前進する」とツイートした。これを受けて米中貿易戦争に対する懸念が後退し、11日の米国株式市場ではダウ平均は428ドル高となった。

 そして今度は、12日にトランプ大統領はシリアに対しミサイルが飛んでいくぞとツイッターに書き込み、シリアに対するミサイル攻撃を強く示唆した。これに加え、トランプ大統領はシリアのアサド政権を支援しているロシアを批判。米国とロシアの関係悪化も危惧され、米国市場はあらためてリスク回避の動きを強め、12日のダウ平均は218ドル安となった。

 ところが今度は、トランプ大統領はシリアをいつ攻撃するかを言ったことは一度もないとツイッターに書き込み、これを受けて米国によるシリアへの差し迫った軍事攻撃はないとの見方が強まった。13日の米国市場はリスク回避の巻き戻しといった動きとなり、ダウ平均は293ドル高となった。

 このように、ここにきての米国株式市場は連日のようにトランプ大統領によって振り回されている。そして今度は、トランプ大統領はTPP復帰検討を指示と複数の米メディアが伝えていた。こちらは中国絡みの面もあるが、中間選挙を控えて米国内の農業関係者に配慮するためとの見方もある。トランプ大統領はあらたな材料をまた投下した。

 いずれにしても、トランプ大統領の周辺が騒がしい上に、外交上の問題に対して、自ら真っ先にツイッターに投稿することで、市場は過度に警戒心を強め、それをあとでフォローする格好となることで、米国の株式市場や債券市場は日替わりメニューのごとく上げ下げとなり、振り回されてしまっている。

 むろん、トランプ大統領に絡んだ要因だけでなく、別の要因も市場に影響を与えてはいようが、なにぶんトランプ大統領絡みの動きは、貿易だけでなく軍事的な衝突まで意識させる内容なので、無視できない状況にある。このような相場はトランプ政権が続く限り、今後も継続するというのであろうか。



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# by nihonkokusai | 2018-04-14 10:03 | 金融 | Comments(0)

原油価格が約3年ぶりの水準に上昇した要因とは。次のターゲットは80ドルか

 原油価格がここにきて再び上昇してきた。指標となっているWTI先物5月限は、4月11日に一時67.45ドルと約3年ぶりの高値をつけてきた。

 11日に原油先物が大きく買われた要因としては、米国のトランプ大統領がシリアに対しミサイルが飛んでいくぞとツイッターに書き込み、シリアに対するミサイル攻撃を強く示唆したことで中東での地政学的リスクが意識された。

 また、サウジアラビアがイエメンで活動する武装組織フーシ派が首都リヤドなどに向け発射した弾道ミサイル3発を迎撃したと発表したことも、原油価格の上昇要因となっていた。

 しかし、そのような目先的な要因ばかりでなく、原油価格は上昇しやすい状況にあったことで、そのきっかけとなったにすぎないとの見方もできる。実際に12日にはトランプ大統領のツイッターを受けて、米国によるシリアへの差し迫った軍事攻撃はないとの見方から、米国市場ではリスク回避の巻き戻しが起きていたが、原油先物は前日比で上昇していた。

 原油価格が上昇しやすい背景としては、世界的な景気拡大による原油への需要の拡大がある。それとともに、原油価格の下落を防ぐためにサウジアラビアなど石油輸出国機構(OPEC)諸国とロシアなどが協調して減産してきたことも要因となる。

 10日にも原油先物は大きく上昇していたが、この背景にサウジアラビアが80ドル近くへの原油価格上昇を望んでいると伝わったことも要因としてあった。

 WTIは2014年7月から2015年1月あたりにかけて急落し、その急落相場から立ち直りかけているところである。チャート上からはWTIは66ドルあたりを上抜けると100ドルあたりまで節目らしい節目はない。

 その66ドル近辺でいったん上値が重くなっていたが、ここを抜けてくれば、ひとまずサウジアラビアの目標値でもある80ドルあたりが次の節目となる。もし80ドル近辺までの上昇があるとすれば、それは当然ながら物価にも影響を与えることになる。


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# by nihonkokusai | 2018-04-13 09:35 | 景気物価動向 | Comments(0)

中国の習近平国家主席の発言で貿易摩擦懸念は、ひとまず後退

 中国の習近平国家主席は10日、中国海南省で開催中の博鰲(ボアオ)アジアフォーラムで演説し、「開放の新たな段階」を約束した。 演説は新政策をほとんど提示しなかったものの、輸入促進や製造業の外資保有制限緩和、知的財産権の保護拡大に向けた提案を確認ないし膨らませた。

 トランプ大統領はツイッターで、「関税や自動車障壁に関する中国の習主席の丁重な言葉に深く感謝する」と述べ、「知的財産と技術移転に関する見識」にも謝意を示し、「われわれは共に大きく前進する」と記した。(以上、ブルームバーグの記事より引用)。

 トランプ政権は3月23日に米通商拡大法232条に基づき、鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限を発動した。国内の鉄鋼・アルミ産業の衰退が「国家の安全保障上の脅威になる」として、一部の例外国を除き、鉄鋼は25%、アルミは10%の追加関税を課す。また、3月22日に1974年通商法301条に基づく対中制裁措置の発動を決定し、これにより情報通信機器や機械など約1300品目を対象に25%の関税を課すことになる。

 これに対して中国は4月4日に米国からの輸入品約500億ドル相当に25%の追加関税を課す計画を発表した。対象には大豆や自動車、化学品、航空機などが含まれた。米国のトランプ政権が打ち出した関税措置への対抗策といえる。

 これに対してトランプ大統領は5日に声明文を公表し、中国の不当な報復を踏まえて、1000億ドルの対中追加関税の検討を通商代表部(USTR)に指示したことを明らかにした。自分で仕掛けておきながら、やられたらやり返す、まさに貿易戦争を仕掛ける気なのかと市場は危惧した。

 このため10日の中国の習近平国家主席による発言が注目されていた。場合によると中国も態度をさらに硬化させて、貿易戦争がエスカレートするのではとの危惧も出て当然の状況となっていた。

 しかし、今回の中国の習近平国家主席の演説では、対抗措置といったものは出されず、新たな施策は出なかったものの、米国に配慮したような格好となっていた。

 トランプ大統領は演説等ではなくツイッターを利用して威嚇のような発言を繰り返すことで、市場はその真意が読み取れずにいた。ただし、以前にムニューシン財務長官が米政権が中国との間で建設的な対話をしていると発言するなど、米中の政府間で水面下の協議が進展しているのではとの観測もあった。

 貿易戦争がエスカレートして困るのは中国ばかりでなく、多少なり米国にも影響を与えかねない。それ以上に金融市場の混乱そのものが景気に悪影響を及ぼす懸念もある。当然ながら、ここにきての米国株式市場の動向などはトランプ政権も気に掛けていたのではないかと思われる。

 今回の中国の習近平国家主席の発言を見る限り、中国としても妥協点を探るような動きとなっているのではなかろうか。トランプ大統領の真意は読み取れないが、中間選挙を睨んで、公約は守っており、それによって米景気は上向いていることをアピールする狙いがあるとみられる。そのあたりも中国には見透かされている可能性もある。トランプ大統領が習近平国家主席の発言に、すばやく好意的な対応をみせたのも中国側の出方をある程度、読んでいた可能性がある。


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# by nihonkokusai | 2018-04-12 09:46 | 国際情勢 | Comments(0)

セブンイレブンが独自のスマホ決済を導入するそうだが

 コンビニ最大手のセブンーイレブンが、スマートフォンで支払いができる独自の決済サービスを来年春をめどに導入することになったそうである(NHK)。

 スマホを使った独自の決済サービスには、たとえば「Google Pay」、「Apple Pay」、「楽天ペイ」、「LINE Pay」、「モバイルSuica」などがある。しかし、現状ではスマホを使っての決済は特に日本ではそれほど普及してはいない。

 NHKニュースでは「コンビニ最大手のセブンーイレブンで、スマホを使った決済が本格的に導入されることで、キャッシュレスの動きが加速しそう」と指摘していたが、またひとつ新たなスマホ決済が増えるだけのような気がする。これがnanacoカードのように使えるところが限られものであれば、幅広く普及することは考えづらい。すでにnanacoカードを保有している人が、スマホの決済に買えるインセンティブもあまりない。

 スマホの決済を日本で普及させるには、現金のようにいつでもどこでも手軽に使えるものでなければならない。日本での現金主義の背景はいろいろと指摘されているが、安全性や流動性、治安の良さなどに加えて、ATMで現金が引き出せる利便性なども影響している。

 日本人にはスマホで決済する事に対しての壁みたいなものも存在している面もあるのではなかろうか。クレジットカードの普及によってカードに対する信頼性は多くの人が持っているとみられ、小銭入れにはクレジットカードだけでなく、多種多様なカードが入っている。しかし、それをスマホのアプリに置き換える人はそれほど多くはないのではなかろうか。

 スマホ決済に対する信頼度を現金利用のように高め、普及を促すには、それを使っても安心であり、特定の場所ではなく、日本全国いたるところで使えるものにしなければならない。ポイントなども大事かもしれないが、それは上記のようなセブンーイレブンのサービスの利用などにまかせて、普及させるためのスマホ決済サービスは、ほぼ現金と同じ利用とすべきである。それには利用者とともに店舗などでの手数料もかなり抑える必要がある。日銀券の利用に対して日銀は特に手数料などは徴収はしていない(ATM利用の場合に手数料は発生するケースはあるが)。

 そうであれば、メガバンク主導のモバイル決済の規格統一のほうが期待は持てるように思われる。日本ではデビットカードの利用はあまり普及していない。これは少額取引は現金かプリペイドカード、高額取引はクレジットカードを利用することで、デビットカードの出る幕がなかったためとみられる。

 スマホで自分の口座の現金を直接利用して決済する方式で、利用できる箇所が少なくともクレジットカードが利用できるところ程度は存在し、決済に対する時間がクレジットカード程度かそれ以下で、店側としての費用負担も極めて低いとなれば、スマホでの決済が国内でも普及する可能性はある。ただし、その普及にはスマホでの決済への信用度を高める工夫も求められるかもしれない。



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# by nihonkokusai | 2018-04-11 09:59 | 金融 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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