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日経平均は年初水準を回復、調整は終了か

 7月18日にドル円は113円台を回復し、年初の水準を回復させた。東京株式市場では日経平均が23000円に接近している。前日のニューヨーク株式市場では、ナスダックが過去最高値を更新。欧州市場ではイタリアの国債が買い進まれている。

 これらの動きからは総じてリスク回避の巻き戻しのようにみえるが、相場の地合そのものが良い状況があらためて確認されたもの見ている。

 日経平均株価のこれまでの最高値は1989年12月末大納会につけた38915円となる。ここがピークとなり、いわゆるバブル崩壊が始まる。そのバブル崩壊後の安値が、2009年3月10日の7054円となった。38915円から7054円下落の半値戻しが、22984円となる。つまり日経平均で抜けそうで抜けなかったのは23000円というよりも、この半値戻しの水準と言えた。

 今年1月に日経平均はこの23000円を抜けて24000円台まで上昇したが、そこでいったんピークアウトしてしまった。1月24日にムニューシン米財務長官はスイスのダボスで開かれている世界経済フォーラムで、明らかに弱いドルは我々にとって良い、と述べた。このあたりをきっかけにドル円は下落し、日経平均も調整局面入りした。

 2月5日にダウ平均は一時1597ドル安となり、取引時間中として過去最大の下げ幅となり、引け値も1175ドル安となって引け値の前日比でも過去最大の下げ幅を記録した。米国株式市場では今年に入ってからもキャタピラーやボーイング、スリーエムなどに加えて、FAANGを中心としたハイテク株が買い進まれ、ダウ平均、ナスダックともに過去最高値を更新し続けていた。これはゴルディロックス相場(適温相場)とも呼ばれていたが、その反動売りが入り、これも日経平均を押し下げる要因となった。

 その後、いわゆるトランプリスクが顕在化し、米中の貿易摩擦拡大懸念が生じた。イタリアの政局への懸念などもあって、リスク回避の動きからなかなか日経平均は戻り切れず、23000円が上値の壁となっていた。

 これに対してドル円は3月につけた104円台が底となり、じりじりと回復基調となっていた。米中の貿易摩擦拡大懸念はなくなったわけではないものの、それよりも地合の良さが表面化しつつある。いずれ再びトランプリスクが顕在化する恐れはあるものの、ひとまず調整局面はまもなく終了してくる可能性がありそうである。

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# by nihonkokusai | 2018-07-19 09:28 | 金融 | Comments(0)

株やドル円、原油価格などの先行きを値動きから占ってみた

 今後の金融市場の動きをファンダメンタルズやイベントリスクなどをいったん無視して、純粋に価格の動きだけ、つまりチャートから占ってみたい。

 日本の株式市場について日経平均の最近の動きを確認してみると、今年1月に24000円台に乗せたあと3月に20000万円近くまで下落し、そこがいったん底となった。5月に23000円台を回復してから、再び22000円割れとなったところで切り返し、再度23000円に接近した。その後再度売られ、21500円をいったん割れ込んで、ここにきて下げ止まりつつある。日足チャートでみると23000円のところでダブルトップを形成したようにみえたが、ここにきての相場上昇でそれが崩れる可能性が出てきた。これにより日経平均は再度23000円を試し、ここを抜けてくる可能性がある。

 それをフォローしそうなのが、ドル円の動きか。ドル円は今年初めの113円台から、3月にかけて下落基調となり、104円台まで下落した。その後は上昇トレンドを形成し、7月18日には113円台に上昇している。今年初めの水準に戻ってきたことで、ひとまず115円を試しにくる可能性がある。これは日経平均の押し上げ要因となりうる。

 更に米株も日経平均のフォローとなりうる。ここにきてナスダックが切り返しており、再び過去最高値を更新してきた。米中の貿易摩擦拡大の懸念等はあるものの、ナスダックはチャートからみて地合そのものは悪くはない。S&P500もあらためて1月末につけた高値を取りに行く可能性がある。これに対してダウがなかなか抜け切れない格好となっている。

 米長期金利の動向をみてみると、ひとます低下基調トレンドから2.8%台での足踏み状態となりつつある。今後、戻りを試し、2.9%あたりをつけてくる可能性はある。2.9%台に乗せると物価動向など次第では3%が再び見えてくるが、こちらもなかなか抜けきれない。

 物価の押し上げ要因となりそうなのが、原油価格の動向となる。WTIは一時75ドル台に上昇した。トランプ大統領は原油価格の引き下げを望んでいるようだが、サウジアラビアなどはWTIで80ドル台への上昇を見込んでいるとされる。ただし、75ドルを付けてからは、いったん達成感も出たのか売りに押されて、70ドルを割り込んできている。これで上昇トレンドが終了とみるのは、まだ早計か。ただし、今回の調整はやや長引くかもしれない。

 世界的な景気拡大が続くとの前提に立つと、いずれWTIが80ドルを突破し、それが米長期金利の上昇を促し、米長期金利の上昇によって日米の長期金利差が拡大し、ドル円も上昇してくると言うシナリオもありうるか。

 日米金利差については、米国の長期金利の動向次第となる。日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和政策が続く限りは、日本の長期金利はゼロ%近辺に抑えられる。ただし、債券市場の機能低下などの副作用が見え始めており、何かしらの金融政策の微調整は今後ある可能性も。ただし、それでも日本の長期金利の上昇は限られよう。


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# by nihonkokusai | 2018-07-18 09:52 | 金融 | Comments(0)

円安が進行する不思議

 ドル円は今年初めの113円台から、3月にかけて下落基調となり、104円台まで下落した。その後は上昇トレンドを形成し、7月13日には112円台後半に上昇している。今年初めの水準に戻るのは時間の問題となってきた。

 ドルがほぼ全面高となり、これはドルが貿易戦争の恩恵を受けるとの見方によるものとされているが、円はドルだけでなくユーロやポンドに対しても下落していることで、円が売られているとの見方もできる。

 ドル円については日米の長期金利スプレッドが動く要因のひとつとなっているが、日米の長期金利のスプレッドは日本がほぼゼロ%に張り付いているので、米長期金利次第となる。こちらは戻りが鈍く、2.8%台で推移が続いており、日米金利差がドル円の押し上げ要因とはなっていない。

 12日に発表された6月の米消費者物価指数は前月比0.1%上昇、前年比で2.9%上昇となった。食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比0.2%、前年比で2.3%上昇。総合の前年比では2012年2月以来の伸びとなった。物価も為替に影響を与えるが、通常は長期金利の動向を通じてのものとなる。12日の米10年債利回りはこのCPIが事前予想を下回ったとして、むしろ低下していた。

 FRBの正常化について、今年の利上げは4回との見方が強まっており、これもドルの押し上げ要因となるが、やはり長期金利が上がっていないことで、FRBの利上げそのものがドル円の上昇の主要因とは判断しづらい。

 以前では日銀の金融調節に外為市場は敏感になっていたが、ここにきて日銀による国債買入の減額もほとんど材料視していない。ただし、7月の決定会合での物価が上がらないことに対する点検を受けて、8月以降、何かしらの調整を行うのではとの観測も一部に出ている。これはドル円にとっては下落要因、つまり円高要因となるはずである。しかし、これもある程度、織り込んだ上での円安の動きとなっているのか。

 ドル円は実需的な動きとの見方もある。また、トランプ政権の強引なやり方は、まさにアメリカンファーストの象徴となり、それはつまり外為市場でのドルファーストということになるのであろうか、

 それでは円の下落をどう見たら良いのか。アベノミクスの効果が出ての円安との見方は、ここにきての日銀の動きからもそうではないと見ざるを得ない。円安は安倍政権にとって好都合なのかもしれないが、果たして日本経済にとってもそうなのであろうか。

 日経平均や円債の動向を見る限りは、日本売りになっているわけではない。あくまで相対的にドルが高く、円が安い状態となっている。いまのところこの理由の説明は難しい。このままドル円のトレンドが継続するとなれば、115円が見えてくる。


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# by nihonkokusai | 2018-07-17 09:58 | 為替 | Comments(0)

日銀は異次元緩和による副作用の軽減策を検討か、日銀の英断を期待したい

 日銀の雨宮副総裁は以前、朝日新聞のインタビューで「物価上昇率2%」について、「簡単に機械的に達成することは難しくなっている」と認め、7月の金融政策決定会合で要因を再点検する方針を示した。

 「もう一度物価が上がりにくい理由、物価観の形成の仕方などを点検する。物価動向について何が起きているのかをきちんと詰める」とも語っていた。

 その結果次第では簡単には物価目標は達成できず、このままの状態では半永久的に異次元緩和を続けざるを得ない状況に陥る可能性もあるのではなかろうか。そうなると懸念さけるのが、異次元緩和による副作用となる。

 副作用のひとつが国債市場への影響となる。すでに債券先物は日中、数銭しか動かず、現物債もカレント物と呼ばれる直近発行された国債までもが日本相互証券で出合わない日が何日も出てきている。相場が動かなければ、債券市場関係者はファンダメンタルなどに応じた金利の調整といった経験を積めないばかりか、人材も流出しつつある。また膨大な国債を抱えていてもそれによるリスクへの意識がかなり薄れてきていると言わざるを得ない。国債利回りの上昇に耐えうる市場でなくなってきている。

 雨宮副総裁は「副作用が緩和のメリットをひっくり返す大きさにはなっていない」としつつ、「(副作用が)知らないうちにたまっていることもあるので、注意深く見ていく必要がある」と指摘していた。その副作用としては金融機関の体力を奪っていることもある。

 6月14、15日に開催された金融政策決定会合における主な意見で、ある委員から「金融機関では、保有有価証券の評価損益の悪化に加え、低収益店舗の減損リスクも生じてきている。」との意見が出ていた。

 国際決済銀行(BIS)の関連組織は5日公表した報告書の中で、低金利の長期化が銀行収益の下押しなどを通じ「金融システムの脆弱性の原因になりうる」と警鐘を鳴らした(日経新聞)。これは日本に限ったことではないものの、異次元緩和による日本の金融機関への影響も危惧すべきものとなる。

 時事通信は「日銀は大規模な金融緩和が長期化する中、金融機関の収益悪化や国債取引の低迷など緩和がもたらす副作用の軽減に向け本格検討に入る。」と伝えている。

 「今月末の金融政策決定会合でまとめる経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、物価見通しを下方修正する見込み。現在の大規模緩和策を抜け出す「出口」が見えない中、政策委員の一部でも、副作用への警戒感が広がっており、会合では突っ込んだ議論となりそうだ。」(時事)。

 この時事通信の記事は気になるところ。7月の決定会合で物価が上がらない要因を再点検し、このまま異次元緩和を続けて行くことによる副作用についても検討し、副作用を軽減しつつも大胆な緩和を継続するための政策について検討してくる可能性がある。

 ここにきて日銀の国債買入の減額などに為替市場が過剰反応してこなくなるなど、微調整イコール円高との認識が後退してきている状況も修正を行いやすくしているのではなかろうか。

 これにより、8月には何らかの調整を日銀が行ってくる可能性がある。国債やETFなどの買入額の柔軟化、そして長期金利コントロールの柔軟化などが候補となるのではないかと思われる。金融機関の収益など考慮するとマイナス金利政策をまず止めるべきと思われるが、これについてはややハードルは高いのではなかろうか。いずれにしても日銀の英断を期待したいところである。


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# by nihonkokusai | 2018-07-13 10:10 | 日銀 | Comments(0)

国内投資家は5月に米国債主体に外債を売り越しに

 9日に財務省は5月の国際収支状況(速報)を発表した。この中で、財務省のサイトにアップされた付表3にある対外・対内証券投資のうちの対内証券投資(地域別内訳)から日本の投資家がどのような海外資産を購入していたのかを確認してみたい。

「国際収支状況」財務省 http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/release_date.htm

 対外証券投資で日本国内の投資家は、海外の中長期債をネットで1兆4543億円の売り越しとなっていた。売り越しは2月以来となる。ちなみに4月は2兆2888億円買い越しとなっていた。これを地域別内訳で確認してみたい。

 米債については2兆710億円の売り越しとなり、4月の7026億円の買い越しから売り越しに。ドイツ債については7121億円の売り越し、4月も6722億円の売り越しとなっていた。フランス債は1571億円の売り超し、4月は2980億円の買い越し、オランダ債は1329億円の買い越し、4月は3060億円の買い越しとなっていた。そして、イタリア債は854億円の売り越し、4月は1691億円の買い越し。スペイン債を387億円の買い越し、4月は3499億円の買い越しとなっていた。英国債は3971億円の買い越し、4月は196億円の買い越し。

 昨年10月以降、日本の投資家はドルヘッジコストの高騰を嫌気して、欧州債へのシフトを進めてきたとされる(ロイター)。日本の投資家がユーロを介して欧州の国債などを購入すると一定の利回りが確保できたためとも言える。特にイタリアやスペインなど周辺国の国債利回りは、ドイツなど中核国の国債の利回りに比べて高い。

 5月にはイタリアの政情不安が意識され、リスク回避の動きを強めた。米国債やドイツ国債などが買い進まれたことで、利益確定売りを国内投資家が行っていたものとみられる。

 6月の対外及び対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)によると、居住者が外債(中長期債)を1兆591億円買い越していた。6月に入り米債はいったん売られていたことで、そのタイミングで国内投資家は押し目買いを入れてきた可能性がある。


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# by nihonkokusai | 2018-07-12 10:05 | 債券市場 | Comments(0)

英国の外相辞任でも英国市場は動揺せず

 サッカーのワールドカップロシア大会のベスト4には、フランスとベルギー、クロアチアとイングランドが進出し、準決勝は10日(日本時間11日)と11日(同12日)に行われる。イングランドは1990年のイタリア大会以来7大会ぶりの4強入りとなったが、準々決勝の試合会場には、英国の閣僚や英国王室メンバーの姿はなかった。

 これは英国南西部のソールズベリーでの元ロシア人スパイの毒殺未遂事件を受け、ワールドカップへの閣僚などのボイコットを決めたためである。しかし、イングランドが準決勝まで進んだことで、ボイコットを決めたメイ首相への風当たりも強まっている。

 もともとメイ首相はあまりサッカーには関心はなかったともされているが、政治的にもメイ首相はいま英国を離れるわけにはいかないような状況に追い込まれている。

 メイ首相が欧州連合(EU)離脱を巡って、EUとの関係を重視する穏健離脱の方針を打ち出したことに反発し、強硬派とされ、EUとの交渉の責任者であるデービスEU離脱担当相が8日に辞任した。9日にはやはり強硬派とされるジョンソン外相が辞任した。

 これを受けて外為市場ではポンドがドルに対して下落した。しかし、その下落も落ち着き、いまのところ英国発の金融市場でのリスクオフといった動きにはなってはいない。それどころかロンドン株式市場では、ポンド安を「好感」し、代表的な株価指数であるFTSE100種は続伸となっていた。ただし、英国債は買われ、10年債利回りは1.25%と先週末の1.27%から低下しており、多少はリスクオフの動きが出ていた可能性もある。

 確かに外相辞任により、英国のEU離脱の先行きが不透明になるものの、いまのところ離脱支持派の議員らはメイ首相に退陣を迫るようなことはなく、首相に対する不信任投票の動きも出ていない。

 現実として英国はメイ首相の穏健路線を取らざるを得ないと思われ、むしろ閣僚から強硬派の二人が辞任したことで、穏健路線を進めるきっかけになる可能性はある。ジョンソン外相の後任に指名されたジェレミー・ハント保健・社会福祉相は、元々はEU残留派だった。

 ただ、メイ首相にとってロシアとの関係悪化がなければ、ワールドカップの貴賓席に座り、イングランドチームの躍進を自らの追い風にできるチャンスもあったはず。もしこのままイングランドが決勝に進むようなことがあれば、国民の支持を得るためとして、ボイコットの方針を覆す必要が出てくるかもしれない。


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# by nihonkokusai | 2018-07-11 09:54 | 国際情勢 | Comments(0)

米長期金利は低迷し、3%台回復は遠のくのか

 米労働省が6日に発表した6月の雇用統計では、非農業雇用者数が前月比21.3万人増と予想の19.5万人増を上回った。失業率は18年ぶりの低水準である前月の3.8%から4.0%に上昇したが、雇用環境の改善により、多くの人が職を探し始めたことが要因となった。1時間当たりの賃金は前月から0.2%上昇と5月の0.3%から伸びがやや鈍化した。

 6日に米政府は340億ドル規模の中国製品に対する追加関税を予定通り発動し、中国商務省はその直後に声明を発表し、直ちに対抗せざるを得ないと表明し同額相当の米製品に関税を課すことを示唆した。

 貿易戦争が拡大してきたわけだが、6日の米国株式市場はこれについては比較的冷静に反応したようである。これはすでに予定されていたことで株価にはある程度織り込まれていたためとみられる。市場は予想されていたことについては、噂で売って事実で買い戻すような動きを示す。今後注意すべきは、市場の予想を超えて貿易戦争が拡大するようなことであるが、これについては予想も難しい。

 6日の米国債券市場では、米雇用統計を受けての米景気拡大が意識されての株高を嫌気したものの、賃金の伸び率鈍化により、インフレ拡大の懸念が後退したことで、むしろ買われて米10年債利回りは2.82%と前日の2.83%から小幅低下していた。

 米10年債利回りの推移をみると、5月半ばに一時3%台に乗せてから、その後低下して現在は2.8%台にいる。米長期金利の低下の要因としては、米国と中国など貿易相手国に対する関税の発動とそれに対する対抗措置による貿易摩擦拡大の懸念があった。また、イタリアでの五つ星運動と同盟による連立政権が発足も懸念材料とされた。

 6月13日のFOMCでは予想通り、政策金利を年1.50~1.75%から1.75~2.00%に引き上げられた。また、今年の利上げ回数の見通しは、これまでの3回から計4回となった。しかし、これによる米長期金利への影響も限定的であった。

 米商務省が6月29日に発表した5月の個人消費支出(PCE)価格指数で、FRBの物価の目安としている、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月2.0%の上昇となり、6年ぶりにFRBの物価目標である2%を達成した。しかし、これに対しての米長期金利の反応も限られていた。

 さらに物価に影響を与える原油価格もあらためて上昇しつつあり、7月に入りWTI先物8月限は一時75ドル台に上昇した。しかし、これによる米債への影響もいまのところ限定的となっていた。

 トランプ政権がさらにいろいろと仕掛けてくる可能性もあり、先行きが不透明な分、米長期金利の戻りが抑制されている面はあるかもしれないが、それにしても米長期金利の戻りは鈍く、それはドル円の上値も重くさせている。

 もう少し様子を見る必要はあるものの、米長期金利の低迷はいつまで続くのか。3%への戻りは今後、かなり厳しくなるのか。もし米長期金利がこのままの状態が続き、FRBの利上げが継続すると、さらに米国の長短金利のスプレッドは縮小することになる。


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# by nihonkokusai | 2018-07-10 09:38 | 債券市場 | Comments(0)

日本のキャッシュレス化に必要なのは、仮想通貨などではなくデビット決済の普及か

 ビットコインなど仮想通貨が出現し、ネット上で生み出された仮想通貨が法定通貨に置き換わり、これにより日本でもキャッシュレス社会が到来するのではとの見方が出ていた。しかし、仮想通貨の価格が乱高下したことにより通貨としての機能が疑問視された上に、巨額の不正流出事件などもあり、それが法定通貨に置き換わる可能性はないとみた方が良い。

 ケネス・S・ロゴフの「現金の呪い」などから、日本でも高額紙幣を廃止すべきとの声も出ていた。Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせたFintechという造語も生み出され、日本の高額紙幣廃止議論にIT技術を絡めて、キャッシュレス化を進めるべき議論と仮想通貨への期待が混ざり合い、日本でどのようにしてキャッシュレス化を進めるべきかという議論が置き去りにされてしまった感がある。

 そもそも高額紙幣廃止議論とキャッシュレス化は特に日本では議論の本質が異なる。犯罪防止のために日本で高額紙幣を廃止すべきという議論はロゴフ氏の著書にもあったが、あまりに日本の現金利用が多いのは犯罪に使われているに違いないとの認識が前提にあったように思う。これについては税金等に絡んでまったくないとは言い切れないが、たとえば日本円が巨額のマネーロンダリングに利用されているようなことは考えづらい。

 ここですべき議論は、日本が海外に比べて特に小額取引のキャッシュレス化が遅れているように見えるが、それは何故なのかという点ではなかろうか。そもそもキャッシュレス化は店舗側を含めて使う人達に利便性はあるのかと言う議論から始めなければならないと思う。

 なぜ日本で現金利用比率が高いのかについては、日本円への信頼度の高さ、ATMなどを使った利便性の高さ、偽札の少なさ、治安の良さなど挙げられているが、日銀を中心に現金を使える高度のインフラが整備されているためである。

 中国などが現金を飛び越えてスマホ決済の普及が拡大したのは、自国通貨の使いにくさがむしろ背景にあった。一般電話の普及が遅れていたところが、家庭電話でなく携帯電話が一気に普及したようなものである。

 それでは日本でもキャッシュレス化は必要なのかと問われれば、費用の問題も含めて必要だと思われる。ただし、キャッシュレス化の浸透については国ごとに理由も異なる事は確かである。それでは何が日本でのキャッシュレス化を阻んでいるのか。ここに面白い事例がある。オランダである。ユーロ圏ではスウェーデンなどの北欧に次いでキャッシュレス化が進んでいる。

 オランダも日本と同様にデビット決済の普及が進んでいなかった。ちなみにデビット決済とは自分の銀行口座に紐付けされたカードなどで、口座の資金を店舗での支払いに充てることができるものである。

 オランダではデビット決済を普及させるため、銀行間の提携が図られ、さらに特に店舗側で、現金利用よりもデビット決済の方が費用が軽減できることを中央銀行での議論などを通じて広めた。これらをきっかけに急速にデビット決済の普及が進み、それがオランダでのキャッシュレス化普及の原動力となった。

 日銀はレポートで日本においてデビットカードの利用が広まっていない理由として次のような説明をしていた。

 「米国では銀行業界が、大量の小切手処理に伴うコスト削減の観点から、小切手を代替するデビットカードの普及に努めたのに対し、日本ではもともと小口決済において小切手の利用が普及していなかったことや、クレジットカードの発行に伴う審査が諸外国に比べ厳しくなく、比較的多くの人々がクレジットカードを持てること、さらには、このようなクレジットカードが利用される際、一回払いが選択される場合が多く、機能的にはもともとデビットカードに類似した使われ方がなされていることなどが挙げられる。」(日銀レポートより)

 たしかにこのような理由もあろうが、そもそもデビット決済に馴染みがないことも大きい。中国やスウェーデン、さらに韓国のキャッシュレス化をみても、そのキーとなっているのがデビット決済を主体とした銀行と紐付けされた決済となっている。日本でスマホ決済を主体としてキャッシュレス化を浸透させるためには、デビット決済のような銀行と紐付けされた決済が必要になる。

 そのためにはオランダの事例のように銀行間の提携と、店舗側に対してデビット決済が費用面などで有利なことを認識してもらうこと、その有利さを出すためには多種多様の方式ではなく、単一の決済方式に集約することなどが求められるのではなかろうか。

 スマホ決済などの利用については、その利用状況そのものが利用価値の大きな情報データとなりうることで、このあたりも注意しながら、政府や中央銀行などが先導役となり、進めて行く必要もあるのではなかろうか。


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# by nihonkokusai | 2018-07-09 15:40 | 金融 | Comments(0)

物価が低迷している謎を解き明かせるのか

 日銀は7月30、31日に開催される金融政策決定会合で、物価動向を再検証する。雨宮副総裁は朝日新聞のインタビューで、「もう一度物価が上がりにくい理由、物価観の形成の仕方などを点検する。物価動向について何が起きているのかをきちんと詰める」と語っていた。今回は検証ではなく点検という位置づけである。

 このインタビューで雨宮副総裁は、物価の伸び悩みは先進国に共通するとし、「『アマゾン・エフェクト』と呼ばれるネット販売の物価引き下げ効果」などを理由に挙げた。日本では人手不足でも賃上げは非正規雇用が中心で、正規雇用では雇用安定を重視する傾向が強いとも指摘。「労働需給の引き締まりが賃金上昇に及ぶのに時間がかかる」と述べていた。

 日銀はアマゾンなどのインターネット通販の拡大に伴って、消費者物価指数(除く生鮮食品、エネルギー)の伸び率が0.1~0.2%程度押し下げられるとする試算結果を公表している。ネット通販との競合度が高いとみられる日用品や衣類には、0.3%程度の押し下げ効果があるとの結果も出している。

 日経新聞の記事によるとドラッグストアーが医薬品だけでなく食品でも安値をけん引していることで、消費者物価指数を0.1%ほど押し下げているとの試算も出ていた。

 企業業績が上向いているにも関わらず、それが賃上げには回りづらくなっていることも確かで、例えば日銀が27日に発表した資金循環統計(速報)によると、2017年度の民間企業(金融を除く)の資金余剰が27兆6672億円となり、2016年度から10兆円あまり増え、7年ぶりの高水準となった(日経新聞)。

 世界経済の拡大基調が寄与して国内企業の業績も伸びてはいるものの、余剰資金は賃上げや設備投資には向かわず、今後のリスクも意識してか内部にため込まれている。日本企業は自力で収益を上げているというよりも、欧米を主体とする景気拡大という他力によって、業績が向上していることもいえることで、無理に勝負に出ることはせずに、国内でのポール回しに徹しているようにもみえる。

 これらの状況を打破するために、果たして日銀の異次元緩和はどれだけ有効なのか。そして、グローバルスタンダードとされる物価目標の2%という数字は適切なのかも本来であれば、再検証する必要はないのか。

 日銀が2013年4月に異次元緩和を決定してからの物価の動向も検証する必要があろう。日銀の緩和策が強力に物価に働きかけるのであれば、他の要因によってそれが阻害されることは考えづらい。2014年4月の消費増税が物価低迷の要因と指摘する声も出ているが、これについても検証してほしいところではある。


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# by nihonkokusai | 2018-07-08 15:07 | 景気物価動向 | Comments(0)

日銀の異次元緩和は神の領域を侵したものなのか

 日銀の原田泰審議委員は石川県での金融経済懇談会における挨拶で、金融政策に対する批判への若干の反論として次のように説明を行っていた。

 「その中で、QQEはインパール作戦のようなもので、一刻も早く撤退すべきだという方もいます。インパール作戦とは、1944年3月から7月初旬まで展開された、ビルマから進軍してインド北東部の都市インパール攻略を目指した作戦のことです。これは莫大な犠牲を出して惨憺たる失敗に終わり、無謀な作戦の代名詞としてしばしば引用されています。途中食糧はなく、餓死者を続出し、敵戦闘機に襲撃され、マラリアに罹病し、参加人員10万人のうち戦死者3万人、戦傷および戦病のため後送されたもの2万、残存兵力5万のうち半分以上も病人という状況に陥り、日本軍は壊滅的打撃を受けました。しかし、QQEはほとんどの経済指標を改善させているのです。QQEを日本軍のインパール作戦と比べるのは比喩のつかい方として誤りだと思います。」

 若干の反論としているが、インパール作戦の説明が若干ではない。それはさておき、QQEはほとんどの経済指標を改善させているのです、との説明を具体的にほしいところ。QQEがどのような経路を通じて日本の景気に良い影響を与えているのか。肝心の物価目標が達成されていないのに、そこを経由せずに景気に好影響を与えたのは何故なのか。日銀が行うべきは物価を安定させて景気拡大に寄与することであれば、物価は2%という数字に固執せずにインパール作戦とまで比喩された非常時の異次元緩和は、景気の回復を確認すれば、修正しても良いということになるのではないのか。

 そして、QQEに対する認知的不協和については次のように原田委員は述べていた。

 「QQEで経済は良くならないという自分の強い認識に対し、現実に経済が改善しているという事実を突き付けられたとき、その事実を否定、または、今は良くても将来必ず悪化すると主張して、不快感を軽減しようとするわけです。」

 以前も指摘したが、これはむしろ次のように言い換えられるのではなかろうか。

 「QQEで物価が上がるという自分の強い認識に対し、現実に物価が低迷しているという事実を突き付けられたとき、その事実を否定、または、今は低迷していても将来必ず上がると主張して、不快感を軽減しようとするわけです」

 さらに原田委員は次のようにも述べていた。

 「金融緩和政策の手段そのものを否定しようという心理もあるように思います。大胆な金融緩和は危険であり、そのような手段を取るべきではないというのです。人間は、太古からこのような感情をいだいていたのかもしれません。神話は、神に挑戦した人間たちの悲劇を繰り返し描いています。バベルの塔、太陽に近づいたイカロス、土で作られ、命を与えられたゴーレムが破滅を導いた神話です。QQEに反対する人々は、QQEも神の領域を侵すものだと言いたいのかもしれません。」

 日銀が2013年4月以降に行っている政策は、これまでの緩和策が慎重すぎるため、禁じ手とされた実質的な財政ファイナンスを行うことによって物価を上昇させようとするものともいえる。財政法で禁じられたものを行うにあたっては、日銀が禁忌を犯したとの見方はできる。しかし、それを例えるのにバベルの塔、イカロス、ゴーレムを持ち出すというのもなかなか大胆である。

 「また、歌舞伎の雷神不動北山桜(なるかみふどうきたやまざくら)には、朝廷が、邪悪な心を持った早雲(はやくも)王子を皇位から遠ざけるため、鳴神(なるかみ)上人に寺院建立を約束に、本来は女子として生まれるはずの子を超人的な力―変成男子(へんじょうなんし)の行法―により世継ぎの皇子として誕生させたという話があります。ところが、朝廷は、上人は自然の摂理を侵したとして、寺院建立の約束を反故にしてしまいます。しかし、QQEは自然の摂理を侵すような方策でしょうか。」

 QQEは自然の摂理を侵すような方策かどうかはさておき、財政ファイナンスやマネタイゼーションを何故、各国は禁じているのかは過去の歴史をみれば明らかとなる。ただし、神話の時代に遡るほどのものではない。

 「ローマに税金を払うべきか否かを問われたイエスは、銀貨に皇帝の肖像が彫られていることを人々に確認させた後に、「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返せ」と言われました。貨幣に関わる金融政策は、神のものではなく人間のものです。人間のものであれば、理論と事実に基づく議論を避けるべきではありません。」

 貨幣に関わる金融政策は、神のものではなく人間のものであることには異論はない。人間のものであれば、理論と事実に基づく議論を避けるべきではないことも全くもって同意である。そうであれば、神の領域を侵すとまで比喩された異次元緩和を行うことで、理論的には物価は上がると主張されていた方々に対しては、なぜ物価は上がらないという事実が起きているのかを改めて問うてみたい。


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# by nihonkokusai | 2018-07-07 08:05 | 日銀 | Comments(0)
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