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米長期金利が2.95%と3%に接近してきた背景

 2月21日に公表された1月30~31日開催のFOMC議事要旨では、物価がFRBの目標とする2%に届かない状態が続くリスクや賃金が明確に十分な上昇トレンドを示していないことで、利上げについては慎重になるべきとの意見が数名のメンバーから出されていた。

 これを受けて21日の米国市場では米10年債利回りは一時2.87%に低下し、利上げペースは緩やかとの見方から、ダウ平均は一時300ドル超上昇した。

 しかし、何人かメンバーからは最近の経済状況に加えて税制改革の影響を踏まえ、景気見通しを引き上げたことが示された。経済には「相当の基調的な勢い」があると記され、多数の参加者からはより強い経済見通しにより、政策金利も「gradual increases 段階的な上昇」から「further gradual increases 段階的な更なる利上げ」となることが示された。

 これにより2018年の利上げペースは予定通りの3回程度となることが予想され、3月の利上げ観測がより強まった。これを受けて米債は戻り売りに押されることになり、米10年債利回りは反転し、2.95%と2014年1月以来の水準に上昇した。この米長期金利の上昇が嫌気されて、米株は戻り売りに押されダウ平均は166ドル安、外為市場ではドルが下落した。

 利上げペースについては、議長がイエレン氏からパウエル氏に変わっても変化はないとみられる。景気の拡大などによって利上げペースが維持されるとなれば、米長期金利は目先の節目とされる3%を超えてくることも予想される。

 ただし、今回の米長期金利の上昇要因はこれだけではないと思われる。FOMC議事要旨の内容は会合後に示された声明文等にも記されていたことでもあり、21日の動きはやや過剰反応にも見えた。このため今回の金利上昇は、需給悪化なども意識されたものであったと思われる。

 金利上昇には景気の拡大にともなう物価上昇を意識した良い金利上昇に対して、国債の需給悪化や財政赤字の拡大などを意識した悪い金利上昇がある。実際にはどの部分が良いとか悪いとかではなく漠然とした判断となるものではあるが、米長期金利の3%あたりまでの上昇であれば、FRBの利上げペースに応じた「良い」金利上昇ともいえよう。しかし、ここからさらに上昇ピッチを早めると、米財政への警告ともなる「悪い」金利上昇が加わるとの見方もできる。3%がすでに目前となっているだけに、ここからの米長期金利の動向には注意する必要がある。


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# by nihonkokusai | 2018-02-23 10:01 | 債券市場 | Comments(0)

ECBの次期総裁はドイツから?

 ユーログループ(ユーロ圏財務相会合)は19日に、今年の5月末に退任するコンスタンシオECB副総裁の後任としてスペインのデギンドス経済相を選定した。これにより2019年に任期満了となるドラギ総裁の後任には、ドイツなどユーロ圏北部出身者が選ばれる公算が高くなった。ECBは総裁も副総裁も任期は8年と長い。

 3月の欧州連合(EU)首脳会議で正式決定し、デギンドス氏はコンスタンシオ副総裁の後任として6月1日に就任する予定となっている。

 日経新聞によるとECBの副総裁ポストはアイルランド中銀総裁のレーン氏とデギンドス氏が争っていたが、形勢不利とみたアイルランドがレーン氏の立候補を取り消したことで、デギンドス氏に決まった。欧州議会では「レーン氏の方がふさわしい」という意見もあったが、ドイツなどに押し切られたそうである。レーン氏はECBのチーフエコノミスト(専務理事)に就くとの見方がある。

 日銀も総裁と副総裁のポストはある程度、バランスが考慮される。総裁は財務省出身者と日銀プロパーの交替制の時期もあったが、現在はそのようなパターンではなくなっている。しかし、総裁と副総裁のポストは財務省と日銀出身者が分け合い、そこに学者が加わるといったパターンが多い。

 ECBは過去に例のない国を跨いだ中央銀行だけに、こちらは国同士のパワーバランスが影響する。特に中核国と周辺国が対立している構図となっている。ドラギ総裁はイタリア出身、つまり周辺国から選出されているが、今回、副総裁に周辺国のスペインから選出されたということは、次期総裁は中核国、そのなかでもこれまでいろいろあって総裁を送り込めなかったドイツが、ドイツ連銀総裁のワイトマン氏を送り込もうとしているように思われる。

 中央銀行の金融政策を決めるメンバーにタカ派とかハト派と区別することにあまり意味はないと個人的には思っている。タカ派では緩和をしなければならないときは緩和策に賛成し、ハト派でも正常化が必要となればそれを積極的にすすめる。ハト派とされたイエレン前議長など良い例ともいえる。日銀の政策委員にいたっては、リフレ派かそうでないかとの区分けになっているかのようにも思われる。

 それはさておき、少なくともドイツ連銀総裁のワイトマン氏はタカ派とされているように、ドラギ総裁とは対極的な立場となっている。ワイトマン氏は積極的な金融緩和政策に反対し続けてきた。ドラギ総裁は正常化にも極めて慎重であるが、これがワイトマン氏に変わればこれまでの慎重さはなくなり、正常化を進めてくることも予想される。


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# by nihonkokusai | 2018-02-22 09:42 | 中央銀行 | Comments(0)

1月に都銀は国債を大量買い越し、海外投資家は2014年6月以来の売り越しに

 2月20日に発表された1月の公社債投資家別売買高によると短期債を除いた数値で、都銀は2兆3756億円の買い越しと2兆円を超す大幅買い越しとなっていた。これは5年10か月ぶりの水準となるとか。国債の投資家別売買高をみると都銀は中期と長期をそれぞれ9562億円、9641億円買い越し、超長期も3844億円の買い越しとなっていた。1月は米債安などを受けて円債も下落トレンドとなっており、この過程で都銀は押し目買いを入れてきた格好となる。

 これに対して海外投資家は1月は2377億円の「売り越し」となっていた。海外投資家の短期債を除いたものとしての売り越しは2014年6月の715億円の売り越し以来となる。海外投資家は長期を7590億円、超長期を828億円売り越し、中期は5032億円の買い越しとなっていた。ちなみに海外投資家が直近で最も買い越し額が少なかったのは2016年5月の680億円の買い越し。

 「その他」は2兆2640億円と2兆円を超す大幅売り越しとなっていた。12月は1兆8917億円と11月の2兆5746億円の売り越しに続いて、大量売り超しが継続。今回も中期と超長期をそれぞれ1兆円以上売り越している。「その他」は主に政府関係機関であり、ゆうちょ銀行やかんぽ生命も含まれており、金額からみて、ゆうちょ銀行による売り越しとみられる。

 1月は海外が買いの勢いにブレーキが掛がかり、「その他」が大量に売り越していたものを都銀がカバーした格好。結果的に債券相場は1月の下落基調から、2月は回復基調となっている。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -23756(-3844、-9641、-9562)

地方銀行 -4356(-252、-2757、50)

信託銀行 -4605(-1450、-7058、3743)

農林系金融機関 -5965(-4543、-170、10)

第二地銀協加盟行 -751(-146、-486、200)

信用金庫 -3987(-1043、-1570、27)

その他金融機関 -1214(-416、-234、553)

生保・損保 -3432(-3572、108、312)

投資信託 95(77、-492、612)

官公庁共済組合 -299(-151、4、0)

事業法人 -610(12、-241、0)

その他法人 -548(-64、-57、0)

外国人 2377(828、7590、-5032)

個人 165(1、17、3)

その他 22640(10601、2812、13465)

債券ディーラー -592(-385、-305、102)


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# by nihonkokusai | 2018-02-21 10:02 | 債券市場 | Comments(0)

1月に都銀は国債を大量買い越し、海外投資家は2014年6月以来の売り越しに

 2月20日に発表された1月の公社債投資家別売買高によると短期債を除いた数値で、都銀は2兆3756億円の買い越しと2兆円を超す大幅買い越しとなっていた。これは5年10か月ぶりの水準となるとか。国債の投資家別売買高をみると都銀は中期と長期をそれぞれ9562億円、9641億円買い越し、超長期も3844億円の買い越しとなっていた。1月は米債安などを受けて円債も下落トレンドとなっており、この過程で都銀は押し目買いを入れてきた格好となる。

 これに対して海外投資家は1月は2377億円の「売り越し」となっていた。海外投資家の短期債を除いたものとしての売り越しは2014年6月の715億円の売り越し以来となる。海外投資家は長期を7590億円、超長期を828億円売り越し、中期は5032億円の買い越しとなっていた。ちなみに海外投資家が直近で最も買い越し額が少なかったのは2016年5月の680億円の買い越し。

 「その他」は2兆2640億円と2兆円を超す大幅売り越しとなっていた。12月は1兆8917億円と11月の2兆5746億円の売り越しに続いて、大量売り超しが継続。今回も中期と超長期をそれぞれ1兆円以上売り越している。「その他」は主に政府関係機関であり、ゆうちょ銀行やかんぽ生命も含まれており、金額からみて、ゆうちょ銀行による売り越しとみられる。

 1月は海外が買いの勢いにブレーキが掛がかり、「その他」が大量に売り越していたものを都銀がカバーした格好。結果的に債券相場は1月の下落基調から、2月は回復基調となっている。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -23756(-3844、-9641、-9562)

地方銀行 -4356(-252、-2757、50)

信託銀行 -4605(-1450、-7058、3743)

農林系金融機関 -5965(-4543、-170、10)

第二地銀協加盟行 -751(-146、-486、200)

信用金庫 -3987(-1043、-1570、27)

その他金融機関 -1214(-416、-234、553)

生保・損保 -3432(-3572、108、312)

投資信託 95(77、-492、612)

官公庁共済組合 -299(-151、4、0)

事業法人 -610(12、-241、0)

その他法人 -548(-64、-57、0)

外国人 2377(828、7590、-5032)

個人 165(1、17、3)

その他 22640(10601、2812、13465)

債券ディーラー -592(-385、-305、102)


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# by nihonkokusai | 2018-02-21 10:02 | 債券市場 | Comments(0)

日銀の総裁と副総裁人事で注目すべき点

 政府は16日、日本銀行の黒田東彦総裁を再任させる人事案を国会に提示した。日銀総裁を2期連続で務めるのは第20代の山際正道総裁以来54年ぶりとなる。副総裁には雨宮正佳日銀理事、若田部昌澄早稲田大学教授を充てる案も示された(ブルームバーグ)。

 黒田総裁は前任の白川総裁(当時)が、空白期間を埋めるために4月8日の任期を待たずに副総裁の任期に合わせるため退任したことで、黒田総裁は2013年3月20日に就任した。この際には翌月の4月8日でいったん任期満了となり、あらためて2013年4月9日に就任した格好となっており、これはどのようにカウントされるのかはわからないが、とりあえず2期連続と報じられている。

 そのような細かいところはさておき、総裁候補としては以前からスイス大使の本田悦朗氏の名前が挙がっていた。しかし、政府としては消費増税に反対している本田氏を総裁とする案は結果として飲めなかったと思われる。そうなると黒田総裁の続投が最有力となるが、同じ財務省出身の黒田総裁と本田氏の組み合わせも、考え方の違い等を含めて考えづらかった。雨宮理事の副総裁昇格は予定通りとなると、問題はもうひとりの副総裁人事となっていた。

 岩田副総裁は一応学者枠ともいえるが、財務省主審の総裁と日銀プロパーの副総裁、そして学者というかエコノミスト的な立場の副総裁がバランスが良い。しかし岩田副総裁はリフレ枠でもあったようで、官邸もリフレ積極論者を岩田副総裁の後任に据えたいとされている。ここに問題があった。リフレ派での学者枠となれば、実は若田部氏の可能性もないとは言えなかったが、個人的にその選択肢はどうかと思っていた。

 個人的な意見はさておき、リフレ派の意見をいまだ重視している官邸としてはこの選択肢を取らざるを得なかったのであろう。ただし、審議委員には同じリフレ派で若田部氏の先輩格である原田氏がいる。リフレ派も一枚岩ではないようで、今後はリフレ派同士で意見を戦わせる場面が出てくるかもしれない。

 もうひとつ注目すべきは、副総裁となる雨宮理事(企画局、金融市場局、金融研究所)の後任人事となる。これについては日銀が内田真一名古屋支店長を理事に昇格させる方向で検討していることが16日、分かったと時事が伝えていた。

 異次元緩和を雨宮理事と支えたのが内田企画局長(当時)であったことで、立場は変わるが雨宮氏と内田氏のコンビが復活となるようである。

 こうして日銀の総裁と副総裁さらに企画担当理事の人事が出そろうこととなる(正式には国会の承認等が必要だが)。これを見る限り日銀は現在の政策を進めていくことが予想される。いまのところ金融政策の微調整は考えづらいが、マイナス金利政策のマイナス面を長短金利操作付きに変更させて、金融機関からの反対論を封じ、さらに量の縛りをなくして異次元緩和の継続性を強めるなど、今後も状況に応じた修正はありうると思われる。ただし、あらたに世界的な危機的状況が起きない限りは、リフレ派の一部が主張する追加緩和も封印されるであろうと予想される。


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# by nihonkokusai | 2018-02-20 09:42 | 日銀 | Comments(0)

現金主義のドイツと日本におけるキャッシュレス化

 現金主義で知られるドイツで、決済に占める現金の割合が半分以下に下がったことが、ドイツ連銀が14日公表した調査結果で明らかになった。約2000人を対象にした調査によると、2017年の取引に占めた現金の割合は47.6%で、2014年の53.2%から低下した。(ロイター)。

 世界的にキャッシュレス化の動きが進んでいると言われるなかで、このドイツや日本ではそれほど進んでおらず、現金主義となっている。これはドイツや日本が遅れているというよりも、それだけ現金利用に障害がなく、どこでも安全に現金が使えるシステムが存在していることなども要因かと思われる。

 そうはいってもコンピュータでの決済が進み、電子マネーの利用が拡大していることで、日本とドイツも少しずつキャッシュレス化は進んでいる。日本でもすでに現金決済の割合は50%を割り込んでいる。

 ドイツではカードの中では特にデビットカードが人気となり、昨年の決済の4分の1余りを占めていた。クレジットカードもじわじわと普及しているそうである(ロイター)。

 日本ではカード決済のウエイトが相対的に小さく、支払手段として現金が幅広く使われているが、各種カードの一人当たり合計保有枚数をみると、日本では一人当たり平均で7.7枚とかなり多い。ただし、クレジットカードの利用は多くてもデビットカードの利用は少なく、このあたりドイツと対照的な面がある。

 日本におけるカード決済金額をみると次のような特徴がみられると日銀のレポートが指摘していた。

・電子マネーによる決済金額は、各国平均を大きく上回っている。

・クレジットカードは、概ね各国平均並みに利用されている。

・デビットカードによる決済金額は、各国平均を大きく下回っている。

 現金の利用ではどうしてもコストが掛かることで、いずれ電子マネーを主体とした決済が進むとみられるが、現金決済に何かしら支障があるわけでもなく、今後の日本やドイツのキャッシュレス化の進行度合いは緩やかなものとなると思われる。

 自分でもカードなどは保有しているものの、財布に現金がないと不安である。クレジットカードや電子マネーがどこでも使えるわけではなく、外出の際には、ある程度の現金を保有していないと何かしらのときに決済できないリスクも意識してしまう。

 東日本大震災などを経験し、携帯電話が通じず、電気が止まってしまった際には、やはり現金が決済手段として有効になることを身にしみて感じていたこともあり、もしもの決済リスクも意識して現金を保有している面もある。


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# by nihonkokusai | 2018-02-19 09:10 | 金融 | Comments(0)

黒田体制が継続することで金融政策の微調整すら難しくなった日銀

 日銀の鈴木人司審議委員は2月8日の和歌山市の講演において次のように発言していた。

 「金融機関は、大手および地域金融機関ともに収益の中心はやはり資金収益にあり、これが金利自体の低下および利ざやの縮小によって減少しているわけですが、現時点においては、金融機関は磐石な財務基盤を有し、流動性等についてもストレス耐性を有していますので、金融システムあるいは金融仲介機能に支障が出ていることはないと私どもは分析しています。金融緩和が非常に長期化する中では、そうした影響というのは累積的に溜まっていくということですから、先々それが問題になってくるという可能性はあるわけです。将来的には調整することは十分に有り得るだろうと考えていますが、ご案内の通りそうした意見はまだ一部に止まっているのではないかと思います。」

 鈴木委員は三菱東京UFJ銀行出身であり、金融機関に対する日銀の金融緩和による影響については審議委員のなかでもかなり注意を払っていると思われる。今回の鈴木委員の講演と会見で注目されたもののひとつが、現在の金融政策の微調整の可能性に関するものであり、その答えのひとつが上記となる。結論として、将来的な調整するとの意見はまだ一部に止まっているようである。

 今年1月の金融政策決定会合の主な意見では、「金利水準の調整を検討することが必要になる可能性もあるのではないか」、「ETFをはじめとする各種リスク資産の買入れについて、政策効果と考え得る副作用について、あらゆる角度から検討すべきである」との指摘があった。鈴木委員を含めて複数の委員が、金融政策の微調整の可能性を指摘していた。

 これに対して黒田総裁は1月の記者会見で、展望レポートで予想物価上昇率の判断を「弱含み」から「横ばい」に引き上げられたことに関して、「予想物価上昇率が上がったから直ちに金利の調整が必要になるとは全く考えていません」と発言していた。これから伺えることは、足元物価の上昇や欧米の長期金利の上昇などにより、日本の長期金利に上昇圧力が掛かっても、0.11%で抑えつけると主張しているように思われる。現実に欧米の長期金利の上昇を受けて日本の長期金利が0.1%に接近したことで、2月2日に日銀は0.11%での指し値オペを実施した。

 この動きをみても、ターゲットとしている長期金利の調整は、現状はありえない。そして黒田総裁が再任され黒田体制が続く限りは、よほどの事態が起きない限り、今の政策を継続させていかざるを得ない。異次元緩和を裏で支えていた雨宮理事の副総裁への昇格が、どのような変化をもたらすのかも読みづらいが、政府としても現在の金融政策の維持を念頭に置いた今回の総裁・副総裁人事ともなる。もうひとりの副総裁はさておいて。


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# by nihonkokusai | 2018-02-17 10:14 | 日銀 | Comments(0)

米長期金利が上昇しても米株が買われた理由

 2月14日に発表された1月の米消費者物価指数は前月比0.5%の上昇となり、市場予想を上回った。前年同月比では2.1%の上昇となる。これを受けて14日の米債は売られ、10年債利回り(米長期金利)は一時2.92%まで上昇した。

 14日の米国株式市場は、この金利上昇を嫌気した売りが先行したものの、金利上昇を受けた金融株の買い、原油先物の上昇を受けた石油関連株の買い、さらにはアップルなどハイテク株にも買いが入ったことなどから、ダウ平均は253ドル高となり、ナスダックも130ポイントの上昇となった。

 15日に米長期金利は一時2.94%まで上昇していたが、この日のダウ平均は306ドル高となり25000ドル台を回復している。

 2月5日に米国株式市場で、ダウ平均は一時1597ドル安となり、取引時間中として過去最大の下げ幅となり、引け値も1175ドル安となって引け値の前日比でも過去最大の下げ幅を記録した。

 5日のダウ平均の大きな下落のきっかけは米国の長期金利とされた。2月2日に発表された米雇用統計で平均時給が高い伸びとなったことから、FRBの利上げペースの加速観測が強まり、2日の米10年債利回りは一時2.85%と2014年1月以来の水準に上昇した。しかし、5日の米長期金利はダウ平均の急落で2.70%に低下しており、あくまで米長期金利はひとつのきっかけに過ぎなかったようにも思われる。

 14日には消費者物価指数の上昇によって、米長期金利が5日の2.85%も大きく上回り、2.92%に上昇したにもかかわらず、米株は上昇していた。この背景のひとつとして米株の変動性指数(VIX)指数が不安心理が高い状態とされる20を下回ったことなども指摘されていた。このときの株価の急落はゴルディロックス相場(適温相場)とも呼ばれていた相場の反動が一時的に起きたとみることができよう。

 米長期金利は次の節目とされる3%に接近してきた。3%あたりであれば、ゴルディロックス経済(適温経済)やFRBの金融政策の正常化により利上げに即した金利上昇ともいえる。しかし、ここからさらに金利上昇が加速されるとなれば、米国債の需給悪化や米国の財政悪化なども意識されたものとなる可能性があり、注意したい。

 そして米長期金利の上昇と米株の上昇が相まっていたにもかかわらず、ドル円が107円を大きく割り込んできている。この理由の説明はなかなか難しいが、金利や景気などとは別な要因によって動いている可能性がある。そのひとつが日銀総裁・副総裁人事の不透明感ではなかったかと個人的には思っている。


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# by nihonkokusai | 2018-02-16 09:55 | 債券市場 | Comments(0)

GDPは8四半期連続のプラスに、日本の景気拡大は続く

 14日に発表された2017年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は実質で前期比0.1%増、年率換算で0.5%増となった。事前予想は下回り、前回7~9月期の2.2%増に比べると小幅な伸びに止まったものの、プラスは8四半期連続となり、1980年以降では約28年ぶりの長さとなった。

 自動車の売れ行きや外食が好調だったことなどから個人消費は0.5%増と2四半期ぶりのプラスに。また設備投資も0.7%増と5四半期連続でプラスとなった。それに対して住宅投資は2.7%減。公共投資は0.5%減となっていた。

 物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比0.0%の上昇。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.5%の上昇となった。

 GDPは過去の数字でもあり市場への影響は限定的となっていた。しかし、日本の景気拡大が継続していることを確認できた格好となっている。ただし、物価は引き続き抑えられている。

 ここにきての東京株式市場は米国株式市場の調整を受けて、下落トレンドとなっているが、今回のGDPをみてもわかるように、景気の落ち込みや新たなリスクの顕在化などが調整要因となっているわけではない。むしろ、世界的な景気拡大により、物価への上昇圧力も強まり、米長期金利の上昇などが調整のきっかけとなっている。しかし、いまのところはファンダメンタルに基づいた金利上昇ともいえることで、これが景気に水を差すことは考えづらい。もちろん米国債の発行増などによる需給悪化懸念はあるものの、それでもいまのところ米長期金利は3%にも届いていない(14日に2.92%まで上昇)。

 米国株はひとまず下げ止まりともなりつつあり、ここからはあらためて世界的な景気拡大を材料に戻りを試すことも予想される。為替の動きなど気になるところではあるものの、ゴルディロックス(適温)経済は継続していることがあらためて意識されて、次第に底堅い動きとなってくるのではなかろうか。


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# by nihonkokusai | 2018-02-15 09:59 | 景気物価動向 | Comments(0)

日銀総裁・副総裁人事の行方は不透明

 安倍首相は4月8日に任期満了となる日銀の黒田総裁を続投させる人事案を月内にも国会に提示する。複数の政府関係者が明らかにしたと9日に日経新聞が報じた。

 黒田総裁の任期は今年の4月8日だが、その前に岩田規久男副総裁と中曽宏副総裁が今年の3月19日に任期を迎えるため、首相は執行部と呼ばれる総裁と副総裁2名の人事をまとめて国会に提示するとみられる。

 これまで次期日銀総裁人事として黒田総裁の続投との予想が多かったことや、政府や市場にとっても最も安全策であるようにみえることで、市場は特にこのニュースには反応薄となっていた。しかし、本当に黒田総裁が続投となるのかもまだ予断が許さない。

 黒田総裁は仮に続投となっても、任期途中で交代するであろうとの観測も出ていたように、本人としてはそれほど積極的に再任は望んではいないのではなかろうか。しかし、選択肢としては黒田総裁の続投以外では考えづらい面もある。官邸や財務省、日銀そしてマーケットにとっても最も無難な線となるのが黒田総裁の続投となる。個人的には中曽副総裁の昇格という選択肢もあると思うが、その可能性は薄いように思われる。

 本当に黒田総裁が続投となるのかはまだ予断が許さないと見ている理由は、黒田総裁本人の意志がどうなのかという点とともに、副総裁人事も絡んでくる。黒田総裁続投となれば、副総裁のうちの一人は日銀プロパーとなることが予想される。そうなると報じられているように異次元緩和の功労者ともいうべき雨宮理事の副総裁昇格の可能性が高い。

 2013年3月19日に日銀の白川方明総裁(当時)は4月8日の任期を待たず退任した。これは正副総裁が同時に3月20日から就任できるようにするためのものであった。黒田総裁は2013年3月20日に就任したが、この際には翌月の4月8日でいったん任期満了となり、あらためて2013年4月9日に就任した格好となっており、このため総裁の任期は5年後の今年の4月8日となっている。

 2013年3月19日に日銀総裁に黒田氏が就任したわけだが、日銀は金融政策ばかりしているところではない。金融政策は日銀業務のほんの一部にしか過ぎない。そのトップに日銀外から就任したわけであるから業務の把握、挨拶回り等々を考慮すれば、4月4日にあらたな金融政策を決定するのは時間的に無理があると個人的にみていた。しかし、結果的にこの短期間で量的・質的緩和政策を決定することになる。これは雨宮理事がかなり貢献していたであろうと推測される。その雨宮理事が副総裁の有力候補となっている。

 問題はもうひとつの副総裁の椅子となる。現在の岩田副総裁は一応学者枠ともいえるが、財務省主審の総裁と日銀プロパーの副総裁、そして学者というかエコノミスト的な立場の副総裁がバランスが良い。しかし岩田副総裁はリフレ枠でもあったようで、官邸もリフレ積極論者を岩田副総裁の後任に据えたいとされている。ここに問題がある。スイス大使の本田悦朗氏の名前も挙がっているが、黒田氏と反りが合うとは到底思えない。かといってリフレ派でほかに適当な人材も見当たらない。そもそもリフレ派に絞ること自体がおおいに疑問が残る。

 それを言ってしまえば結果としてリフレ派の主張を取り入れて大胆で異次元な、本来は非常時の金融緩和をおこなってきたにも関わらず、物価目標は達成できず、異次元の緩和を拡大したり、いろいろと付け加えた金融政策を作り上げた方々が続投すること自体にも問題があったように思う。

 それはさておき、もうひとりの副総裁人事が今後ネックとなってくる懸念もある。リフレ派などに絞り込まず、金融政策には中立的な学者あたりから選出してもらうのが一番良いはずだが、いまの官邸はそんな意見には耳を貸さないのであろうか。


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# by nihonkokusai | 2018-02-14 10:06 | 日銀 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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