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日米首脳会談の目的はひとまず日本への圧力ではなさそう

 2日の日経新聞によると、政府が10日に米ワシントンで開く日米首脳会談で提案する経済協力の原案が1日、明らかになったとされる。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が米国のインフラ事業に投資することなどを通じ、米で数十万人の雇用創出につなげる。対米投資などで米成長に貢献できる考えを伝え、トランプ政権との関係強化につなげるそうである。

 日米で通商政策や経済協力を話し合う閣僚級協議を新たに立ち上げることも検討し、日本側はメンバーに麻生副総理・財務相、世耕経済産業相、岸田文雄外相らの参加が想定されているそうである。

 私は1月26日に「トランプ政権登場による日銀の金融政策への影響」とのタイトルのコラムで次のような指摘をしていた。

 「トランプ氏は大統領選後初の会見で貿易赤字の相手国として、中国とメキシコとともに日本の名前を挙げていた。これに対して麻生財務相は13日の閣議後会見で「日本やメキシコよりドイツの方が(米国の赤字は)上ではないか。なぜドイツが出ていないのか」と疑問を呈した。日本政府は2月上旬の日米首脳会談開催を目指し、安倍首相の訪米に麻生副総理兼財務相が同行する方向で調整を進めている。麻生氏の同行は米側からの要請によるものとされる。果たして麻生氏の同行を米国が何故要請したのかはわからない。あの独特のスタイル(服装)をトランプ氏が気に入ったからというわけではないと思うが、貿易赤字の相手国として日本が意識されている可能性は十分ありうる。」

 この麻生氏の同行を米側が求めている理由は何か、個人的にもたいへん関心があった。財務大臣を通じて日銀にプレッシャーを掛けるのかのように読めなくもなかったが、実は日本側が何かしらの支援策をすでに準備しており、その関係で麻生副総理・財務相も同行するのではないのかとの観測があった。2日の日経新聞の記事を読む限り、どうやらその観測が正しいものであったようである。

 さらに今回の日米首脳会談のあとにトランプ大統領と安倍首相がゴルフをする方向で調整が進められているという。2016年11月、就任前のトランプ氏とニューヨークで会談した際にも、安倍首相は本間ゴルフのべレスS‐05シリーズのなかでも最高級の5Sをプレゼントしたとされる。トランプ氏が安倍首相に用意していたプレゼントもゴルフウェアとゴルフ用品とされる。すでにゴルフする気が満々のようであった。正式な首脳会談のあとにプライベートな機会を用意していることをみると、今回の日米首脳会談は友好を深めることを意図しているかに思える。

 それでは何故、ここにきてトランプ氏は中国や日本が市場で何年も通貨安誘導を繰り広げ米国はばかをみているといった発言するなどしていたのか。攻撃して譲歩を求めているとの見方もできようが、そもそもの発言の対象が異なっているのかもしれない。いまだにトランプ大統領の政策は読めない部分が多いが、こと日本に関しては少なくともトップ同士は形式上ではあるかもしれないが、うまくいっているようであり、それは今後のトランプ政権の日本に対する対応に少なからず影響を与えるものであると思われる。ちなみに安倍首相は「為替問題は、財務長官と財務大臣で議論なされるべき。首脳会談でやり合うのは、本来ふさわしいと思っていない」とも発言している。だから麻生大臣が呼ばれたとも言えるのであろうか。

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# by nihonkokusai | 2017-02-03 09:57 | 国際情勢 | Comments(0)

日銀の国債買入の減額は継続か

 日銀は1月31日の金融政策決定会合では、金融政策について賛成多数で現状維持を決定した。今回も長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)と資産買入れ方針それぞれに、佐藤委員と木内委員が反対した。両委員とも今年7月が任期満了となる。総裁の後任人事の行方が取りざたされているが、個人的には佐藤・木内委員の後任の方が少し心配である(ここにリフレ派を入れるとかなりややっこしくなる)。

 それはさておき、注目された「買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約80兆円)をめどとしつつ」との文言は削減も修正もされなかった。すでに調節目標が量から金利に移行しており、形骸化した数字で現実からも乖離しつつあるが、簡単には外せないとの認識かとみられる。なぜかこれについての質問も総裁会見では一回程度しか出なかった(何故だろう)。

 そしてもうひとつ注目された夕方公表の「当面の長期国債等の買入れの運営について」であったが、こちらもまったく変更はなかった。いや1か所だけあった。それは5年超10 年以下の「1月最終回」分が4500億円となっていたことである。これが2月初回では4100億円と元に戻されている。つまりこれから伺えることは5年超10年以下の400億円の増額は一時的な金利上昇(もしくはその懸念)に対応するものであったといえることである。

 1月の日銀の国債買入で最も注意すべきことは、当然ながら1年超5年以下が1回分スキップされていたことである(金額は8200億円分もあった)。それは昨年12月の段階で1年超5年以下の回数表示をそれまでの6回程度から5~7回程度と修正されていたことから、用意周到に準備されていたことも伺える。つまり日銀としては金融政策については手をつけず、さらに画餅となっている80兆円という数字も変更せずに、国債買入のペースを今後の需給を睨んで調節してきた格好となる。

 当然ながら金融政策は企画局が立案し決定会合で政策委員が決定する形式となっているが、日々の国債買入については金融市場局の仕事となる。金融政策の範疇を超えないところでの必要な調整を行うことが求められ、その結果が1月の中期ゾーンの買入スキップということになったのではなかろうか。

 ところがここにあらたな不透明要因が現れてきた。米国のトランプ大統領である。トランプ大統領は31日にホワイトハウスでの製薬会社幹部との会合で、中国や日本が市場で何年も通貨安誘導を繰り広げ米国はばかをみていると発言。資金供給と通貨安誘導で有利な立場にあるとも主張し、日銀の量的緩和政策などを念頭に置いて批判した可能性が出てきた。

 過去の歴史を見ても日本は米国の圧力を無視できない。その意味では、実勢にあった買入の量の調節はやりやすくなったとも言えるのかもしれない。次回会合でトランプ氏の意向を反映し、80兆円という数字を取り除き、国債買入については今後減額する用意があるといった意向を示すことも可能になるためである。ただし、トランプ氏の問題はそんなところにあるものではないことも確かではある。

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# by nihonkokusai | 2017-02-02 09:57 | 日銀 | Comments(0)

追い風受けた日銀の金融政策の行方

 1月30日から31日にかけて今年最初の日銀金融政策決定会合が開かれる。この会合では経済・物価情勢の展望、いわゆる展望レポートも同時に発表される。

 黒田総裁は12月26日の講演で、「日本経済は、これまでは、いわばグローバル経済の「逆風」の中で奮闘してきましたが、世界経済が新たなフェーズに入る中で、これからは「追い風」を受けてさらに前進していくことが可能な状況になってきていると思っています。」と強気の姿勢を示した。これを受けて展望レポートでは経済成長率や物価の見通しを引き上げる可能性も指摘されている。

 黒田総裁の指摘した「追い風」とは、いわゆるトランプ相場と呼ばれた円安・株高の流れを意識したものと思われる。もちろんこの背景にある百年に一度とされた大きな金融経済危機からの脱却も考慮に入れてのものとなろう。

 しかし、トランプラリーと呼ばれた動きはいったん調整局面を迎えた。それを先導した米長期金利の上昇やドル高、さらには米国株式市場の上昇の動きは昨年12月半ばあたりで一服し、その後は反動安となった。この調整の動きがどの程度続くのか。それとも単なる調整ではなく、実際のトランプ氏の大統領就任でピークアウトしてしまった可能性も全くないとは言えない。

 今後の米国経済の動向はトランプ政権の政策も大きく関わってくるであろうことは確かで、アメリカ・ファーストと呼ぶ、自国優先主義の政策が米国経済、しいては世界経済にとってどのような影響を及ぼすのか。市場はこのような保護主義的な政策に対してはリスク要因と捉えている。

 それでもトランプ政権の政策の目標は米国の雇用環境をさらに良くしようとさせようとするものであり、ここにきての米国の消費者物価指数の上昇もあり、物価がFRBの想定以上のピッチで上昇する可能性がある。そうなれば年内の複数回の利上げを可能性にさせよう。

 トランプラリーの反動は一時的なものとなり、米長期金利が3%に向けて上昇してくればドル円も再度上昇基調に転じることも予想される。日本の消費者物価も円安や原油価格の上昇を背景にいずれプラスに転じてこよう。そうなると日銀の物価目標に向けて、フォローの風が再び吹く可能性はある。

 それは日本の長期金利にとって上昇要因ともなるが、果たして日銀はゼロ%程度という長期金利の目標をそのまま維持し続けるられるのか。このあたりも今後の日銀の金融政策の動向をみる上でも注目要因となる。

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# by nihonkokusai | 2017-01-31 08:42 | 日銀 | Comments(0)

日銀による国債買入の調整が債券市場参加者を疑心暗鬼にさせている

 25日の日銀の国債買入での中期ゾーンのスキップが、債券市場参加者を疑心暗鬼にさせつつある。日銀が何故スキップをしたのか、その理由が明確に見えてこないためである。

 25日夕方のロイターの記事によると、日銀幹部は同日のオペの内容について「最近のオペの結果や国債市場の需給環境を勘案して決めた」と語ったそうである。また、オペ運営に関して「国債買入オペの金額・タイミング・回数は、金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を促すために適切に対応する」と述べたとされる。

 27日の10時10分に日銀は国債買入をオファーした。国庫短期証券、1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下。1年超3年以下、3年超5年以下は予想通りで、金額も前回と同じ4000億円、4200億円。これで中期ゾーンの買入は今月5回目となる。

 スケジュール上、30日は2年国債入札があり、31日は日銀の金融政策決定会合の結果の出る日であり、両日に中期ゾーンの国債買入がオファーされる可能性は極めて薄い。これによって今月の中期ゾーンの買入は5回に止まり、12月までの6回から1回分スキップされる。

 ところが27日の国債買入では「5年超10年以下」について金額を23日のオペで4100億円となっていたものを4500億円と400億円増額させた。これを市場は好感し、債券先物は149円90銭台から150円台に上昇し、ドル円も115円台に乗せてきた。

 これは25日の国債買入での中期ゾーンスキップの代わりに、5年超10年以下を増額したとみえなくもない。これはこれでむしろ中期は1回スキップされるとの見方が強まることになる。参考までに月ベースに直すと中期ゾーン1回分のスキップは8200億円の削減、5年超10年以下は400億円6回で2400億円増とトータルでは減額となる。

参考、日銀サイトの「国債買入」
https://www.boj.or.jp/mopo/measures/mkt_ope/ope_f/index.htm/
参考、日銀サイトのオペレーション(日次公表分)
http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_o.htm

 25日の債券市場は日銀の中期ゾーンの買入スキップを受けて売られたが、押し目買いが入り少し戻していた。ところが25日の米国市場でダウ平均は壁となっていた2万ドルを突破し、米10年債利回りも2.5%台に上昇した。これを受けて26日の円債は下落し、10年債利回りも0.085%と25日つけた0.080%を上回った。20年債は0.660%、30年債は0.840%、そして40年債利回りは1%台に乗せていた。

 このあたりも意識して27日に日銀は微調整というか金額としてスキップ分の多少の穴埋めと長期金利の0.1%も意識しての5年超10年以下での増額を行ったのであろうか。このゾーンは先物にも直結するので、先物の買い戻しを誘うことも意識したのかもしれない。

 しかし、これでまた市場関係者は余計に混乱しつつあるのではなかろうか。いったい日銀は何をしたいのか、何を考えているのかと。

 日銀が何をしたいのかは、昨年9月に長短金利操作付き量的・質的緩和の決定である程度、明らかになっている。量では物価が動かない、マイナス金利は副作用のほうが意識されている。そこで量から金利に操作対象を戻して、なおかつ長期金利を操作目標に加えた。

 本来であればマネタリーベースとともに巨額の国債買入についても修正を加えるべきであった。米国の金利上昇やその背景にある物価の上昇等を考慮すれば、日銀のマイナス金利政策そのものが時代遅れのものとなる。来年度の国債発行額の減少や日本の国債の利回り回復傾向による国債への投資家ニーズの回復も予想され、巨額の国債買入継続が難しくなることが予想される。それらを考慮した結果が中期ゾーンのスキップの本心だとしても、日銀としては為替市場などへの影響も意識され、緩和に前向き姿勢も崩せない。できることならマイナス金利政策もやめて、保有残高の増加額年間約80兆円をめどとするとの文面も削除すべきであろうが、利上げやテーパリングとみられる可能性があり、それが為替市場にも影響が出ることを恐れて踏み込めない。

 これが結果としての27日での5年超10年以下の400億円の増額の調整理由ではないかとも予想される。看板は下ろせないが先行きを考えると出来る範囲で調整を入れざるを得ない。しかし、それが市場参加者との意思疎通を余計に悪くさせる要因ともなっているのではなかろうか。

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# by nihonkokusai | 2017-01-28 10:36 | 日銀 | Comments(0)

日銀の国債買入オペが債券市場を揺るがした理由

 1月25日の10時10分、日銀は国債買入をオファーした。内容は残存期間10年超25年以下を1900億円、残存期間25年超を1100億円、物価連動債を250億円となった。債券市場参加者はこれを確認して驚き、債券を売り急いだ。

 債券先物は150円を割り込み、149円85銭まで下落した。10年債利回りは0.080%と昨年12月19日以来の水準に上昇し、5年債利回りもマイナス0.095%、2年債利回りもマイナス0.195%をつけ、20年債利回りは0.655%、30年債利回りは0.830%、40年債利回りは0.995%に上昇したのである。10年債利回りは前日24日の引けが0.040%であったので一気に倍になった格好である。

 いったい何が起きたのか。これは毎日、日銀のオペに対応している参加者でないと即座には反応できないものであったかと思う。私はこの時間帯は昼のコラムを書いている。値動きも途中で確認はしているので、25日のこの動きにびっくりしたが、どうしてなのかはすぐには理解できなかった。

 少し時間が掛かってしまったが、次第にその理由がはっきりしはじめた。そのひとつが10年超25年以下の1900億円、残存期間25年超の1100億円という金額にあった。ここにきて超長期債の利回りが上昇してきており、12月に日銀が国債買入増額に踏み切った前の水準に上昇していたことで、一部に増額の期待があったようなのである。急激な利回り上昇ではなかったことで、増額はないと自分では思い込んでいたが、その増額期待が裏切られた格好となったようである。

 しかし、主因はこれとは違うところにあった。25日の日銀の国債買入の市場参加者の予想は、そもそも残存10年超25年以下と残存期間25年超に加えて「1年超3年以下」、「3年超5年以下」も含まれていたのである。もちろん市場の事前予想通りに日銀が買入を行うわけではなく、多少ずれることはままある。しかし、ここにカレンダーの問題があった。

 1年超3年以下と3年超5年以下は一応セットとなっており、1月はすでに4回の買入が実施されていた。12月には6回実施されており、1月も当然6回あると市場参加者は読んでいた。26日以降のカレンダーをみると27日に1年超3年以下、3年超5年以下を含めた買入が予想されているが、もう25日の買入でスキップされたことで、残り一日が見つからない状態となってしまったのである。

 これが月初めや月半ばであれば、調整が利くかもしれないが、1月も押し迫っている上に26日には流動性供給入札、30日には2年国債入札、30~31日は日銀の金融政策決定会合が予定されていたことで、市場参加者が、えっとなったのである。通常、利付国債の入札日や決定会合当日には日銀は国債買入をオファーしない。ただし、流動性供給入札日や決定会合初日にはオファーの例はあった。このため26日の可能性はあったが流動性供給入札が予定されているだけでなく、中期ゾーンの買入を2日続けて行ったケースは過去ない。現実に26日に日銀は国債買入を見送った。

 27日に中期ゾーンを含めて、予定通り実施されるとして、30日には2年国債入札、31日は決定会合の結果が出る日で中期ゾーンの買入オファーの可能性は極めて薄い。つまり、日銀は1月の1年超3年以下、3年超5年以下の買入を1回スキップするのではとの観測が強まったことで、25日の10時10分過ぎに債券が大きく売られたのである。

 1年超3年以下は一回当たり4000億円、3年超5年以下は同4200億円程度の買入を行っているので、1回分と言えども合計8200億円の買入額が12月と比べて減額となってしまう。年間にすれば8200億円の12か月分、つまり10兆円規模となる。これはテーパリングなのではないかとの観測が出てもいたしかたない。

 日銀はこれまで国債利回りの上昇に対して、指し値オペや小幅の増額などで調整を行っていたが、今回は何もしないことによって大きな金額の調整を行おうとしているのか。

 何故日銀は中期債の買入を1回スキップするのか(本当にするのかは31日までわからない)。その前兆といえるものは確かにあった。日銀は12月30日に公表された当面の長期国債等の買入れの運営についての1月分から、それまでの中期ゾーンの買入を「6回程度」から「5~7回程度」に修正していた。これは5回もありうるということを事前に示していたのかもしれない。

 今回のスキップの理由としては2年債利回りの低下なども指摘されているが、それほど急激に低下していたわけではない。ただしその裏側には中期ゾーンへの海外投資家などからの強い需要もあったことになり、市場に流通する中期債がタイトとなっていた。日銀の巨額の買入が続き、いずれ今後のオペでの札割れリスクもあって、少しペースを落とそうとしたのかもしれない。

 日銀は昨年9月に長短金利操作付き量的・質的緩和の決定において、操作対象をマネタリーベースという「量」から、長期と短期の「金利」に戻している。しかし、いわゆるリフレ派と呼ばれる委員の賛同を得る必要もあってか、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」とともに、国債買入についての量を保有残高の増加額年間約80兆円をめどとするとして80兆円という数字を残している。ただし、あくまで「めど」であり、いまのペースでも80兆円は大きく割り込み70兆円台になると予想されている。ここでもし今後中期の回数を月5回とすると60兆円台となってしまう。

 来年度の国債発行額は中期ゾーンを含めて減額されることもあり、国債の利回りも超長期債主体に上昇しつつある。日銀にとっては巨額の国債買入を継続するのは次第に困難になることが予想される。そのため事前に手を打ったとの見方もできる。そうであれば、もしかすると31日の日銀の金融政策決定会合では、「買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約80兆円)をめどとしつつ」との部分が削除もしくは修正される可能性がありうるということなのであろうか(問題はリフレ派委員を説得できるかとなるのだが)。

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# by nihonkokusai | 2017-01-27 09:57 | 日銀 | Comments(0)

トランプ政権登場による日銀の金融政策への影響

 トランプ新米大統領の政策が如何なるものなのかは、いまだはっきりしていない面はあるが、選挙期間中からスローガンとしていた「アメリカ・ファースト」と呼ぶ自国優先主義、反グローバリゼーションを強く打ち出してくることが予想される。トランプ大統領は早速、TPPから「永久に離脱する」とした大統領令に署名した。

 トランプ氏は大統領選後初の会見で貿易赤字の相手国として、中国とメキシコとともに日本の名前を挙げていた。これに対して麻生財務相は13日の閣議後会見で「日本やメキシコよりドイツの方が(米国の赤字は)上ではないか。なぜドイツが出ていないのか」と疑問を呈した。

 日本政府は2月上旬の日米首脳会談開催を目指し、安倍首相の訪米に麻生副総理兼財務相が同行する方向で調整を進めている。麻生氏の同行は米側からの要請によるものとされる。

 果たして麻生氏の同行を米国が何故要請したのかはわからない。あの独特のスタイル(服装)をトランプ氏が気に入ったからというわけではないと思うが、貿易赤字の相手国として日本が意識されている可能性は十分ありうる。

 財務省が発表した2016年通年の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4兆741億円の黒字だった。貿易黒字は東日本大震災前の2010年以来6年ぶり。対米黒字額は6兆8347億円の黒字となり、2年ぶりに減少したものの、巨額の黒字であることに変わりはない。

 次期財務長官に指名され承認待ちのスティーブ・ムニューチン氏は、過度に強いドルは経済に短期的にマイナスの影響を与える可能性があると発言するなど、トランプ政権はドル安政策は取らないまでもドル高に対して警戒していることも確かであろう。

 そうなると日本が円安政策を進めるようなことは今後、かなり困難となりかねない。米国がドル安誘導をすることはないとしても、日本の円安誘導と取られかねない政策もしづらくなる。

 ドル円は日米金利差だけで動くものではないが、ここにきて日米の長期金利のスプレッドに連動するような動きとなっている。トランプ政権は国内雇用を改善させようとしており、米国の物価上昇もあり、FRBは年内複数回の利上げの可能性がある。米長期金利は上昇基調にいったん調整が入ったものの、FRBの利上げが可能となれば、いずれ3%に向けて上昇していくとみられる。

 そんななか、果たして日銀は長短金利操作付き量的・質的緩和政策で、特に長期金利をゼロ%近辺で抑え続けられるのか。

 25日の日銀の国債買入では、一部に期待があった超長期債の買入増額は見送られた。さらに中期の買入も予想されたが、それが見送られたことで、債券先物は久しぶりに大きく売られる場面があった。40年債利回りは1%近くまで利回りが上昇した。

 日銀にとってトランプ政権の登場は、結果として出口政策を取らざるを得ない状況に向かわせることになるのかもしれない。消費者物価もプラスに改善することも予想され、外部環境もそれを促すのではなかろうか。追加緩和手段に乏しく、今後の国債買入についても限界が意識されるなか、長短金利操作付き量的・質的緩和政策を取らざるを得なくなった日銀にとっても、これはむしろ好都合かもしれない。問題はそれをどのようにしてスムーズに進められるのかとなり、市場参加者との対話も重視されることになる。

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# by nihonkokusai | 2017-01-26 09:53 | 日銀 | Comments(0)

2016年の日本国債に対する海外からの投資動向

 財務省の国際収支の発表には付表として対外・対内直接投資、対外・対内証券投資も発表されている(財務省トップページ > 国際政策 > 関連資料・データ > 国際収支状況 > 報道発表資料(発表日別)。

http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/release_date.htm

 ここから昨年の日本の中長期債(主に日本国債)への海外からの投資について見てみたい。全体では以下の通り(すべて速報値の数字)。

取得  処分  ネット(億円)
1月 86,054 79,640 6,414
2月 106,434 90,026 16,408
3月 111,032 118,688 -7,656
4月 105,806 64,649 41,157
5月 56,368 47,575 8,793
6月 89,513 96,891 -7,378
7月 84,491 67,448 17,043
8月 77,452 66,069 11,384
9月 117,559 118,082 -523
10月 71,759 69,442 2,317
11月 75,190 74,803 387

 このうちの欧州からの日本の中長期債への投資については下記の通り。
取得  処分  ネット
1月 73,787 62,138 11,649
2月 88,102 75,692 12,410
3月 87,947 94,394 -6,447
4月 73,414 52,344 21,071
5月 45,267 38,090 7,177
6月 65,847 72,517 -6,670
7月 57,012 58,239 -1,227
8月 53,772 56,123 -2,350
9月 85,001 87,811 -2,810
10月 55,585 62,631 -7,045
11月 57,542 59,445 -1,904

 このうちのアジアからの日本の中長期債への投資については下記の通り。
取得  処分  ネット
1月 3,355 8,759 -5,404
2月 12,231 6,604 5,628
3月 5,784 12,208 -6,425
4月 16,486 4,724 11,763
5月 6,410 3,769 2,640
6月 11,637 10,053 1,584
7月 9,190 2,756 6,434
8月 15,169 2,394 12,775
9月 16,311 9,424 6,886
10月 5,854 2,200 3,654
11月 9,607 10,623 -1,016

このうち北米からの日本の中長期債への投資については下記の通り。
取得  処分  ネット
1月 7,867 6,235 1,631
2月 5,092 5,070 23
3月 13,752 8,437 5,316
4月 14,433 7,243 7,190
5月 3,890 5,042 -1,152
6月 10,403 8,975 1,428
7月 16,482 5,060 11,422
8月 6,321 5,796 526
9月 15,104 13,381 1,723
10月 9,892 4,147 5,745
11月 6,545 3,802 2,742

 2016年は年明け早々に金融市場は世界的に波乱含みの展開となった。米利上げにより新興国への資金の流れに変化が生じ、原油安もあり新興国経済への影響が危惧された。年初はいわゆるリスクオフの動きを強めた。日銀は1月29日の日銀の金融政策決定会合では追加緩和策として、マイナス金利付き量的・質的緩和を導入した。その結果、日本の長期金利は初めてマイナスとなった。1月から2月にかけての欧州勢を中心とした日本国債への買いはリスクオフの動きによるもの。3月の売り越しは10年債利回りまでマイナスとなったためとみられる。しかし、4月には中期債主体に大きく買い越している。

 英国でのEU離脱か残留かを問う国民投票を控え、まさかとみられていたブレグジット(Brexit)と呼ばれるのEU離脱リスクが意識されるようになった。あらたなリスク回避の動きからドイツの長期金利がマイナスとなり、現実に6月23日の英国の国民投票でEUからの離脱が決まった。

 このブレグジットによる世界の金融経済に与えるリスクは限定的となり、これをきっかけにして世界的なリスク回避の動きからの本格的な反転が生じた。

 7月8日に日本の10年債利回りはマイナス0.300%に低下し過去最低を記録した。日本だけでなく米国やドイツ、英国などの10年債利回りも軒並み過去最低を更新する事態となった。ここが結局、長期金利のボトムとなった。

 ここで日本国債も調整局面を迎えることになるが、その下落過程で7月に米国が大きく買い越していた。しかし、7月以降は欧州からは売り越しが続く。それを北米やアジアがカバーした格好ながら、11月は中国主体にアジアが売り越しとなった。これは中国が米国債だけでなくドルを円に替えて投資した日本国債も売却していたことを示すとみられる。下記は中国の数値となる。

取得  処分  ネット
4月 11,476 1,407 10,069
5月 4,768 1,239 3,528
6月 8,140 4,688 3,452
7月 6,055 834 5,221
8月 12,222 630 11,592
9月 10,219 5,273 4,947
10月 2,705 723 1,982
11月 1,523 6,808 -5,285

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# by nihonkokusai | 2017-01-25 09:48 | 国債 | Comments(0)

神の見えざる手による美人投票の結果がトランプ氏なのか

 有名な経済学者のケインズは著作で、金融市場における投資家の行動パターンを表す例え話としての美人投票を挙げている。「投票者は自分自身が美人と思う人へ投票するのではなく、平均的に美人と思われる人へ投票するようになる」と。

 イギリスの哲学者でもあり経済学者でもあったアダム・スミスの著書「国富論」の中に書かれている「見えざる手」という言葉は、本の中でわずか1回しか使われていないにも関わらず、有名な言葉として今に伝わっている。

 この「見えざる手」の意味するところは、「利己的に行動する人々が市場において自由競争をおこなえば、自然と需要と供給は収束に向かうことで、経済的均衡が実現され、社会的安定がもたらされる」というものである。

 これは相場にも使われる。市場での価格の決定は利己的に行動する人々が市場において自由競争をおこなえば、需要と供給は収束に向かい、それによって価格が決定される。

 日々の金融市場での価格の動向をみていると常に不安定に揺れ動いている。それが何かしらのきっかけで、ひとつの方向に動き出すこともある。これはケインズ的に言えば、投票が割れているときはなかなか方向感は出ないが、皆の意見が集約されるようになると方向性が決まると言うことか。

 この意見の集約とその結果としての方向性が、相場の世界では読みづらいというよりも基本的に読めない。だから金融市場での動きは常に不安定となる。先を読めるものはいないし、仮にいたとしてもそれはたまたまである。

 1年先の日経平均やドル円、長期金利の水準をピタリ言い当てた人はいるかもしれない。しかし、そこに至るまでの過程、流れを含めて的確に読める人はいないし、いたとすればタイムフライヤーとなろう。だからこそ相場の世界は面白い。

 しかし、ここにきての世界の政治の流れも相場以上に読めなくなってきている。昨年の英国や国民投票や米国の大統領選挙の結果は事前の予想が覆された。これは政治の流れが、これまでの価値尺度では計れなくなってきたともいえるのかもしれない。皆が美人だと思って投票すると思った人が当選せず、まさかと思った人物が、神の見えざる手によって選ばれる。しかし、これを歴史という大きな流れにあてはめると、意外に違和感はないといった見方もできるのかもしれない。相場の世界も何だこの動きは、と見ていたものが、結果からみると後で納得することも多い。

 その歴史の流れの変化を捉えることも、トランプ大統領の今後の動向や英国のEU離脱による影響、今年のフランス、ドイツの選挙の行方、さらには日銀の金融政策の行方を占う上でも重要になってくるのかもしれない。その結果としての金融市場の動きを読む上でも重要な要素となろう。

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# by nihonkokusai | 2017-01-24 09:51 | 国際情勢 | Comments(0)

トランプ大統領の登場は物価や金利の上昇要因になるのか

 1月20日にトランプ氏が次期大統領に就任した。金融市場では昨年の米国大統領選挙でトランプ候補がクリントン候補を破ったことから、一時的にリスク回避の動きが起きたが、すぐに切り返してトランプ相場やトランプラリーと呼ばれる相場展開となった。

 トランプ氏が減税や規制緩和などを行うとの期待が出たことで、原油価格の下げ止まりなども加わり物価の上昇期待も強まった。12月にはFOMCでの再利上げの決定もあり、米長期金利が上昇し、これがドル高を招き、米国株式市場は上昇した。ドル高円安も加わり、東京株式市場も上昇した。

 この円安、株高、原油高や物価上昇期待は日銀も歓迎し、「世界経済は、ようやくグローバル金融危機の負の「レガシー」を清算して、新たなフェーズに入りつつあるように窺われます。」と黒田総裁は12月26日の講演で発言している。

 相場の世界には噂で買って事実で売るという格言もある。トランプ氏は就任演説においても減税等の具体的な言及はなく、その意味では期待感が先走っていた感もある。米国のダウ平均は2万ドルが厚い壁となって跳ね返され、ドル円も118円台まで上昇後、戻り売りに押された格好となった。

 それでは現実にトランプ大統領が就任後の米国の経済政策はどのようなものとなり、それが金融市場にどのように反映されていくであろうか。

 トランプ政権の閣僚にはゴールドマン・サックス出身者が多く登用されている。トランプ氏は選挙期間中、ウォール街と距離を置いていたものの、むしろウォール街の意向が反映されやすい政権となる可能性がある。

 いまのところトランプ氏は金融市場動向に関しての具体的な言及はない。これは控えているのか、関心があまりないのかはわからないが、日本の安倍政権のように中央銀行への圧力を強めるようなことは考えづらい。金融市場の実務派が政権の中核を担う以上はリフレ的な政策を取るようなことも考えづらい。ファンダメンタルに即した金利の上昇などはある程度、容認してくることが予想される。

 このため米国を中心とした過度な金融緩和への依存からの脱却の流れは継続しよう。トランプ大統領は米国内の雇用を中心とした景気の回復に力を入れるとみられ、それでなくても雇用の改善が続いていることもあり、これは物価を予想以上に引き上げる可能性がある。

 原油価格がOPECの減産合意を受けてしっかりしていることも物価上昇を促す可能性がある。そうなればFRBによる年内複数回の利上げを可能にするかもしれない。これらからみて、米長期金利高や株高、ドル高の流れは一時的な調整は入っても、今後も継続するのではないかと予想される。

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# by nihonkokusai | 2017-01-23 09:50 | 国際情勢 | Comments(0)

海外投資家は再び日本国債を大量買い越しに

 1月20日に日本証券業協会は12月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

12月の公社債投資家別差し引き売買高
注意、マイナスが買い越し
単位・億円 ()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 5592(3837、-5129、7465)
地方銀行 1875(1257、-744、2263)
信託銀行 -1213(-2665、514、1114)
農林系金融機関 -2836(-2364、24、0)
第二地銀協加盟行 111(146、-229、80)
信用金庫 -2846(448、-1089、11)
その他金融機関 3724(1248、1021、1800)
生保・損保 -2376(-3468、264、726)
投資信託 -912(-79、555、-870)
官公庁共済組合 -208(-149、0、0)
事業法人 -375(-6、56、1)
その他法人 -677(-252、146、80)
外国人 -26198(-970、2054、-26261)
個人 128(4、-31、4)
その他 5782(6150、-5334、8511)
債券ディーラー -617(-42、-406、-142)

 11月8日の米大統領選挙でのトランプ氏が勝利したことをきっかけに金利高、ドル高、株高が起き、これはトランプ・ラリーと呼ばれた。12月のFOMCでの利上げ観測が一層強まり、米長期金利はあっさりと2%台に乗せてきた。日本の国債の利回りも上昇し、日銀は11月17日に中期ゾーンの利回り上昇抑制のため、初の国債の指し値オペをオファーした。

 12月14日には日銀の国債買入で。10年超25年以下が2000億円(前回1900億円)、25年超が1200億円(前回1100億円)とそれぞれ100億ずつ増額。さらにこの増額とは別に、16日に残存10年超の国債買い入れを実施することも事前通告するなど異例尽くめの対応を行う。15日に米長期金利が一時2.6%台まで上昇し、16日には日本の10年債利回りが0.1%ちょうどまで上昇したが、ここでいったん日米の長期金利の上昇はピークアウトした。

 12月の国債の投資家別売買高をみると都銀は5592億円の売り越しとなり、11月の2兆620億円の買い越しから売り越しに転じている。都銀の国債売買高をみると長期債を買い越していたが、中期と超長期は売り越しに。

 海外投資家は中期債主体に2兆6198億円の買い越しと、11月の1兆1672億円の買い越しよりも買越額は増加した。全体の売買高も回復していた。これを見る限り、海外投資家は日本国債への投資を継続しているようである。

海外投資家の売買状況
月 売買高(マイナスは買い越し)、(超長期、長期、中期)、全体売買高、うち中期

4月-36565(328、-9142、-27271)、294983、62513
5月-16775(1347、-6186、-10933)、246889、34315
6月-36565(328、-9142、-27271)、344055、65055
7月-16693(1860、-4453、-13200)、275366、61036
8月-16838(-1108、-5390、-9702)、302397、65718
9月-27674(-3320、-4283、-19310)、380542、102124
10月-5717(1051、-5636、166)、264616、62534
11月-11672(2275、-2448、-10674)、302551、48912
12月-26198(-970、2054、-26261)、317612、57609

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# by nihonkokusai | 2017-01-21 12:44 | 国債 | Comments(0)
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