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債券ディーラーの中期債の売買高が大幅減少

 8月20日に発表された7月の公社債投資家別売買高によると投資信託、個人、その他を除いて総じて債券を買い越していた。都銀は799億円の買い越し。6月は2兆2512億円と大幅買い越しと2年7か月ぶりの水準となっていたが、7月の買越額は大きく減少した。

 海外投資家は買い越しではあったものの、7394億円の買い越しに止まり、6月の7993億円の買い越しに続いて1兆円を割り込んだ。

 7月の全体の国債の売買高は174兆円程度と6月の212兆円程度から落ち込んだものの、5月の171兆円程度よりは多く、それなりに規模は保った格好ではあった。ところがこれを年限別で見てみると大きな変動が生じていた。

 6月から7月にかけて国債全体では38兆円程度、売買高が落ち込んでいたが、そのうち中期ゾーンが22兆円ほど売買高が落ち込んでいた。この結果、中期ゾーンの国債の売買高は35兆円程度となり、これは証券業協会で残しているデータで2004年4月以降、最低の水準となっていた。

 これを投資家別で確認したところ、都銀は6月から7月にかけて1兆円程度売買高が減少し、海外投資家も9000億円程度減少していたが、それほど大きな減少とはなっていなかった。今回、最も減少していたのは債券ディーラーとなっていた。

 債券ディーラーによる7月の中期ゾーンの売買高は21兆得程度と6月の39兆円程度から大きく減少させるとともに、7月の債券ディーラーによる中期ゾーンの売買高も2004年4月以降、最低水準となっていたのである。

 たしかに7月は日本相互証券などでの業者間売買で、中期ゾーンはカレントの出合いも限られていた。中期債の最大の買い手である海外勢がベーシススワップの縮小を背景に売買高を減少していたことも影響していようが、その海外投資家の売買高の減少はそれほど大きくない。

 むしろ証券会社などの債券ディーリングでは、顧客向けのポジションを保有してのディーリングなどを極力縮小させ、日銀の買入に向けた国債入札の応札に止めているのではないかとみられる。

 これが一時的な現象となるのかは8月の国債の売買高を確認する必要がある。しかし、日銀の異次元緩和による国債の大量買入が、債券市場で機能不全を招いていることは確かであり、またマイナスとなっている中期ゾーンの利回りが国内投資家との売買をやりにくくさせていることも確かであろう。今回の中期ゾーンに対する債券ディーラーの売買高の大きな減少は、日銀による異次元緩和の副作用を示すものではなかろうか。


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# by nihonkokusai | 2017-08-28 09:44 | Comments(0)

物価が上がらないことで見えなくさせているリスク

 25日に発表された7月の全国消費者物価指数は総合で前年同月比プラス0.4%となり、日銀の物価目標である生鮮食品を除く総合は同プラス0.5%となり、6月のプラス0.4%からプラス幅を拡大させた。生鮮食品及びエネルギーを除く総合は同プラス0.1%に止まった。

 電気代,都市ガス代などの上昇幅が拡大し,エネルギーにより総合の上昇幅が拡大した格好となった。下押し要因としては携帯電話機があるが、25日の日経新聞によると2018年1月分からは格安スマホの料金も反映されるそうである。

 6月に比べて前年比のプラス幅は拡大したが、それでもプラス0.5%に止まる。日銀は物価目標に達成できなかった理由として原油価格の下落も挙げていたが、その原油価格を加味しなければ前年比プラス0.1%となってしまうことにもなる。

 民進党代表選に立候補した前原誠司元外相と枝野幸男前幹事長が日銀の2%の物価目標の見直しを提案しているそうである。「物価目標2%を中長期の目標に変えて、当面は1%を目指すことが現実的ではないか」と前原氏は23日のラジオ番組で述べたとか。

 日銀の物価目標は現在でも、あくまで中長期の目標であり、それを変えることに意味はあるのかとのご意見もあるかもしれない。1%が適切なのかどうかはさておき、いま必要なのは、2%に縛られ自由度を失っている日銀の金融政策に対し、その縛りを緩め、出口政策を取りやすくさせることだと思う。

 金融政策が能動的に物価を動かせるのかという根本的な疑問はあるものの、とりあえずそれは置いといて、金融政策が物価に働きかけるという前提でも、日銀に金融政策の裁量の自由を与える必要がある。それでなくても、物価目標が達成できないからとして、量をさらに拡大し、マイナス金利を導入し、長期金利までコントロール下に置こうとした。しかし、それらの手段でも物価が動くわけではなく、国債市場を機能不全にし、長期金利を押さえつけることで日本の債務リスクを見えなくさせるなどの弊害も生んでいる。

 いまのところ市場はおとなしくしているが、何かのきっかけで暴れる懸念もないわけではない。もし今後物価が上がれば上がったで、それに連動し長期金利も上昇するとなれば、債券市場の現場にいる人達の多くにとっては金利が上昇するという未体験の事態が生じることになる。それ以上に過去の金利がつく世界を知っている我々世代でも、ここまで膨らんだ国債残高の上での金利上昇は未体験ゾーンである。つまり長期金利は上昇するとどのような事態が起きるのかはかなり不透明であり、この物価上昇力の鈍い環境はそのようなリスクを覆い隠していることになる。



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# by nihonkokusai | 2017-08-26 10:35 | Comments(0)

トランプ大統領は議会との壁も構築中

 トランプ大統領は22日、アリゾナ州フェニックスで開かれた支持者の集会で、米国はおそらくある時点でNAFTAを終了させることになるだろうと述べるとともに、政府を閉鎖しなければならなくても、壁を建設すると述べた。これらの発言を受けて、23日の米国株式市場は下落し、米債は買われ、リスク回避の動きとなった。この発言がどうしてリスク回避の動きとなったのかを整理してみたい。

 議会は今会計年度が終了する9月末までに、新年度の歳出法案を成立させなければならない。しかし議会で合意が得られない場合には、つなぎ予算案を承認しつつ、新年度の本予算の協議を続けることになる。新年度予算案を審議する期間は少なく、今回のそのケースとなる可能性が高い。しかし、つなぎ予算と本予算のどちらも折り合いがつかないとなれば、政府機関の閉鎖という事態が発生する。

 ムニューチン財務長官やポール・ライアン下院議長などは「連邦政府機能の一部閉鎖」という事態は発生させないと主張しているものの、今回のトランプ大統領の発言により、政府閉鎖の可能性が現実化しつつある。

 トランプ大統領は選挙公約にメキシコ国境の壁建設を掲げていた。ところが2018年度の歳出法案には、メキシコ国境沿いの壁建設費用は含まれていない。上院(定数100)での可決には60の賛成票が必要ーとなるが、上院の共和党議席は52で、民主党の一部が支持しなければ可決できないことになる。

 政府機関閉鎖は過去何度か起きてはいる。直近では2013年10月にオバマ前政権の医療保険制度改革法(オバマケア)向け支出を巡り、ねじれ状態となっている米国議会では次年度予算が成立せず、与野党の対立が解けないまま、およそ18年ぶりに政府機関の一部が閉鎖される事態となった。

 そしてもうひとつの問題がある。債務上限問題である。米国政府は財政赤字を支えるために米国債を発行して借入をする必要がある。この債務については上限が議会で決められており、債務上限に達した場合、議会があらためて債務上限の引き上げに応じなければならない。もしこれができなければ政府はデフォルト(債務不履行)に陥る。

 財務省は9月29日までに議会が債務上限を引き上げてくれることを要望しているとされる。ただし財務省には緊急時の予備財源があり、デフォルトが起きるのは早くて10月半ば以降になる。通常、歳出予算案と債務上限の2つは本来別々に審議されるが、今回はセットで取り上げられる公算が大きいとされている。(ロイターの記事より引用)。

 いずれの法案も上院を通すには民主党の一部が支持しなければ可決できない。ここに民主党が反対するメキシコ国境の壁建設の予算を強引に求めると、かなりこじれ、政府機関の閉鎖やデフォルトが現実味を帯びることになる。

 トランプ大統領は高い支持を得ている退役軍人関連の法案に、債務上限引き上げ措置を盛り込むよう議会の共和党指導部に求めていたそうだが、共和党上院院内総務と下院議長は両法案を抱き合わせにしない決定を下したとか。すごく簡単にできたはずなのに今はめちゃくちゃだ、とはトランプ大統領(ブルームバーグ)。妙な裏技を使おうとしたトランプ大統領の方がめちゃくちゃのような気がしなくもない。

 大手格付け会社フィッチ・レーティングスは23日、米連邦政府の債務上限が10月までに引き上げられない場合、米国の長期債務格付けを引き下げ方向で見直す可能性があるとの見解を示した。


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# by nihonkokusai | 2017-08-25 09:58 | 国際情勢 | Comments(0)

財政リスクを見えづらくさせている日銀の長期金利操作

 財務省は2018年度の概算要求で、国債の元利払いに必要な想定金利を1.2%に設定する。17年度予算の概算要求時点から0.4%引き下げる。国債費は足元で国の一般会計の4分の1を占める巨額な歳出項目で、社会保障費に次ぐ。現段階での国債費の見込み額は、23兆8214億円(日本経済新聞の記事より)。

 日銀による長短金利操作付き量的・質的緩和により、長期金利も日銀のコントロール下に置かれた。2%の物価目標を達成させるためのひとつの手段とし、その10年物国債金利(長期金利)がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行うとしている。

 長短金利操作付き量的・質的緩和の導入以降の長期金利の動向とそれに対応した日銀による指し値オペなどを含む買入状況をみると、このゼロ%程度というのはマイナス0.1%あたりからプラス0.1%あたりのレンジとなっていると予想されている。

 金融政策の目標となっている消費者物価指数(除く生鮮食料品)の前年比は直近に発表された6月の数字でプラス0.4%となり、2%には届いていない。2%程度に達する時期について、2018年度頃になる可能性が高いと日銀は指摘している(7月発表の経済・物価情勢の展望より)。

 物価目標は来年度中に達成する見込みがないことを日銀が示している以上は、今後は何かしらの変動要因が生じるようなことがない限り、長期金利は0.1%以下に抑えられる可能性が高いともいえる。

 これを反映して財務省は国債の元利払いに必要な想定金利を1.2%に引き下げた。それでもまだ高い水準にはある。これは、あらかじめ想定金利を高めに設定することで「余裕財源を確保する」という目的も意識か(日経新聞の記事より)。

 また、日銀が長期金利をコントロールしているとはいえ、長期金利が市場で決定されている以上はブラックスワンリスクも存在し、日銀が抑えきれなくなる事態も可能性は極めて低いながらも存在する。

 原油価格の急騰といった何かしらの事態で物価そのものが跳ね上がる可能性もまったくないわけではない。このためある程度、実勢に比べて余裕を持ち高めに設定しているものと思われる。

 長期金利が極めて低い水準で抑えられていることで、結果として利払い費も抑えられている。今後長期金利が上昇してくるとなれば、国債残高が過去最高水準を更新続けている現状下、大きな負担になることも予想される。

 国債残高が膨れあがる過程で、長期金利はじりじりと低下基調となっていることで、国の予算のなかでの国債の利払い費は抑えられている。ここで長期金利が上昇してくるとなれば、じわりじわりと国の予算を圧迫する事態も予想される。日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和はそういったリスクも見えなくさせており、この点も注意しておく必要は当然あろう。



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# by nihonkokusai | 2017-08-24 10:08 | 国債 | Comments(0)

7月の中期ゾーンの国債売買高は2004年以降の最低水準に、ディーラーが大幅縮小

 8月20日に日本証券業協会は7月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -799(-1413、-703、1905)

地方銀行 -1825(31、-630、180)

信託銀行 -1902(-664、-2278、685)

農林系金融機関 -2716(-2239、70、-30)

第二地銀協加盟行 -1668(-315、-886、0)

信用金庫 -2920(-475、-880、30)

その他金融機関 -1414(-17、-413、-225)

生保・損保 -2973(-2549、-92、66)

投資信託 136(115、372、-293)

官公庁共済組合 -283(-62、0、0)

事業法人 -515(-16、-4、0)

その他法人 -966(-217、-50、103)

外国人 -7394(353、-411、-7001)

個人 191(1、26、3)

その他 23165(12863、-5406、19687)

債券ディーラー -277(-225、-301、288)

 7月の国債の投資家別売買高をみると投資信託、個人、その他を除いて総じて買い越しとなっていた。

 都銀は799億円の買い越し。6月は2兆2512億円と大幅買い越しと2年7か月ぶりの水準となっていたが、7月の買越額は大きく減少した。

 海外投資家は買い越しではあったものの7394億円の買い越しに止まり、6月の7993億円の買い越しに続いて1兆円を割り込んでいる。期間別にみると海外投資家は昨年10月以来の超長期債の売り越しともなっていた。  7月に入っての債券相場は、ECBの緩和バイアス解除が意識されて10年債利回りは0.105%と日銀の長期金利の誘導目標を試す動きとなった。日銀はこれに対し10年債の0.110%の水準で指し値オペを実施した。これ以降の債券先物はじりじりと戻りを試すような展開となったが、商いそのものは多くはなかった。

 下記のデータをみると投資家全体の商いはそれほど落ち込んではいないが、中期ゾーンの国債売買高は35兆円弱となっており、これは証券業協会のデータ(2004年4月)以降では過去最低水準となっている。海外投資家の中期ゾーンの売買減少も影響していたとみられるが、海外投資家による中期ゾーンの7月の売買高は6月に比べて8966億円の減少にすぎなかった。ところが全体では21兆5365億円も前月から減少していた。これを部門別で確認してみたところ、証券会社などの「債券ディーラー」の売買高の落ち込みが反映されていたのである。

投資家全体の売買状況

全体     超長期   長期   中期

1月1996647、303116、412877、588101

2月1958526、340593、481039、496524

3月2041609、385293、472883、558183

4月1914346、373287、391855、488680

5月1707093、320073、345208、435486

6月2124250、448132、436196、565359

7月1741728、379807、439950、349994

海外投資家の売買状況(マイナスは買い越し)

差し引き売買高、(超長期、長期、中期)、国債売買高、うち中期

2016年

4月-36565(328、-9142、-27271)、294983、62513

5月-16775(1347、-6186、-10933)、246889、34315

6月-36565(328、-9142、-27271)、344055、65055

7月-16693(1860、-4453、-13200)、275366、61036

8月-16838(-1108、-5390、-9702)、302397、65718

9月-27674(-3320、-4283、-19310)、380542、102124

10月-5717(1051、-5636、166)、264616、62534

11月-11672(2275、-2448、-10674)、302551、48912

12月-26198(-970、2054、-26261)、317612、57609

2017年

1月-23784(-1153、-504、-19500)、294839、61994

2月-11210(-2687、3009、-10323)、292813、51127

3月-17190(-4603、1222、-12886)、312730、58810

4月-21075(-3562、-4623、-11957)、321272、43951

5月-19887(-803、-6541、-11738)、269888、47170

6月-7993(-3809、557、-3745)、286134、45447

7月-7394(353、-411、-7001)、254981、36481



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# by nihonkokusai | 2017-08-23 09:58 | 債券市場 | Comments(0)

ジャクソンホール会議を市場関係者が注目する理由

 米国のカンザスシティ連邦準備銀行は今年の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)を8月24~26日に開催する。

 米国ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催のシンポジウムは市場参加者にとり大きな注目材料となっている。

 ジャクソンホール (Jackson Hole) とはワイオミング州北西部に位置する谷のことを意味する。これには著名学者などとともに、日銀の黒田総裁など各国の中央銀行首脳が多数出席することで、金融関係者によるダボス会議のようなものとなっている。

 なぜこのようなシンポジウムが、ワイオミング州ジャクソンホールという小さな街で行なわれるかといえば、FRB議長だったポール・ボルカー氏がフライ・フィッシングの趣味があり、この街を良く訪れていたお気に入りの場所であったからという説がある。

 ロシア危機とヘッジファンド危機に見舞われた1998年に、当時のグリーンスパンFRB議長がこのカンザスシティ連銀主催のシンポジウムの合間に FRB理事や地区連銀総裁とひそかに接触し、その後の利下げの流れをつくったとされている。

 1999年には日銀の山口副総裁(当時)と、バーナンキ・プリンストン大学教授(当時、のちのFRB議長)が、日本のバブルに対する日銀の金融政策の評価をめぐり、論争を行ったことでも知られる。

 さらに2010年8月27日にはバーナンキ議長(当時)がQE2を示唆する講演をジャクソンホールで行った。このシンポジウムに出席していた白川日銀総裁(当時)は予定を1日に早めて急遽帰国し、8月30日の9時から臨時の金融政策決定会合を開催し、新型オペの拡充策を決定している。

 2014年8月22日のジャクソンホール会議でECBのドラギ総裁は、ユーロ圏のインフレ期待が「大幅な低下を示した」と発言した。この発言は講演原稿にはなく同総裁の「アドリブ」であった。さらに政策姿勢を一段と調整する用意があるとした講演原稿の中でも「必要になった場合は」の文言が省かれていた。つまりこれらはドラギ総裁が資産購入プログラムの導入を示唆したとされた。その後、9月4日のECB政策理事会では現状維持との大方の市場参加者の予想に反して、利下げとともに、10月からの資産買入れを決定した。

 今年の会議では25日に「金融の安定」をテーマにイエレンFRB議長が講演する予定となっている。9月のFOMCでのバランスシートの規模縮小決定は市場もほぼ織り込んでいるが、年内の追加利上げの有無に関しては見方が分かれており、これについて何かしらの示唆があるのではないかと、今回の講演内容も注目されている。ただし、物価動向次第という姿勢に変化はないとみられる。

 2015年と2016年のジャクソンホール会議にはECBのドラギ総裁は出席しなかったが、今年の会合には参加し25日に講演を行う予定のようである。3年ぶりに出席することもあり、何かしらの政策変更の示唆の可能性がありうるか。前回出席した2014年のジャクソンホール会議への出席時にドラギ総裁は政策変更の可能性を示唆していたので今回も政策変更の可能性を示唆するのではとの観測も出ている。ECBが資産買い入れを段階的に縮小する方針を9月の政策理事会で示唆かとの観測があり、資産購入規模を現行各月600億ユーロ規模から徐々に縮小する計画を発表すると見られている。その示唆があるのかどうかが注目されている。


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# by nihonkokusai | 2017-08-22 07:57 | 中央銀行 | Comments(0)

FRBの正常化に向けたロードマップに変更なしか

 ニューヨーク連銀のダドリー総裁は14日にAP通信とのインタビューで、FRBが9月にバランスシート縮小を開始するとの見通しは不合理ではなく、経済指標が持ちこたえれば年内あと1回の利上げがある、との見方を示した(ロイター)。

 7月26日のFOMCの声明文では、4兆5000億ドル規模のバランスシートの規模縮小について、前回の「年内に着手する」としていたものが、「比較的早く開始する」に修正されていた。これにより次回9月のFOMCにおいてバランスシート縮小を決定するとの見方が強まっていた。それを今回のダドリー発言が裏付けた格好となる。

 バランスシートの規模縮小の手段としては、満期を迎えた債券への再投資を減らすことで資産を縮小するかたちとなる。開始時の資産圧縮規模は米国債が月60億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)などは月40億ドルを上限とし、3か月ごとに上限を引き上げて、1年後には米国債が月300億ドル、MBSなどは月200億ドルとする。そして、今回ダドリー総裁はFRBのバランスシートの規模について、5年後には2兆5000億~3兆5000億ドルに縮小するとの見通しも示した。

 市場ではすでに9月のFOMCでのバランスシートの規模縮小決定は相当程度織り込んでいる。しかし、年内もう一回の利上げが可能かどうかについては見方が分かれ、発表される経済指標によってその予測の度合いも変化している。

 今回、ダドリー総裁は、「経済見通しがどのように推移するかによる」とし、経済が自身の予想通りに進展するなら「年内あと1回の利上げ実施を支持する」とした(ロイター)。

 7月11日の半期に一度行われる米下院金融委員会の公聴会で、イエレン議長は「FOMCは向こう数か月、インフレの動向を注視していく」と指摘した。イエレン議長は物価動向に注視しているのに対し、ダドリー総裁は経済の今後の動向を注視するとしており、物価面だけでないことを示した。

 いずれにしても物価がこのまま低迷し続け、予想を下回る経済指標が多く出るようなことになると利上げを急ぐ必要はない。しかし、余程の落ち込みがなければ利上げを検討する可能性が高いとみておく必要があろう。

 一昨年と昨年の利上げは1回に止まったが、今年はそれが3回の予定となり、FRBのロードマップでは来年と再来年も3回の予定となっているようである。いまのところはそれを修正するつもりはないようで、このあたりについては今月のジャクソンホールの会合でもさらに明らかにされるのではないかと思われる。


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# by nihonkokusai | 2017-08-21 09:48 | 中央銀行 | Comments(0)

トランプリスクが再燃し金融市場が動揺、バノン氏更迭も解決策にならずか

 南部バージニア州で今月12日、白人至上主義や極右思想を掲げるグループとこれに抗議する市民グループが激しく衝突した上、市民グループに車が突っ込み、女性1人が死亡、30人余りが、けがをした。

 これに対しトランプ大統領は当初、白人至上主義などを明確に非難しなかったが、人種差別への問題意識が十分ではないなどと反発が広がったことから、白人至上主義団体のKKKなどを名指しで批判した。

 ところがトランプ大統領は15日に記者団に対し、「一方のグループは悪かったが、もう一方のグループも非常に暴力的だった。誰も言いたがらないが、私は言う」と述べ、市民グループについても非難した(以上、NHKニュースより)。

 これに関連して製造業諮問委員会と戦略・政策フォーラムのメンバーである企業経営者らが次々に辞任を表明し、トランプ大統領は16日、メンバーの辞任が相次いでいた2つの助言組織を解散するとツイッター投稿。経済界との対立姿勢を強めた。これにより、今後のトランプ政権の経済政策運営が更に困難になりかねない事態を招いた。

 与党・共和党の指導部や経済界だけでなく、陸海空と海兵隊の4軍トップも人種差別への批判の声を上げた。米軍最高司令官の大統領の考えに賛同しないことを示唆した異例の事態となり、まさに四面楚歌の状態に陥っている(日本経済新聞の記事)。

 白人至上主義者らと反対派との衝突に対するトランプ大統領の発言を巡っては、トランプ米政権で経済政策の司令塔を務めるコーン国家経済会議委員長がひどく動揺したとも伝えられ、辞任観測が流れた。ホワイトハウスがコーン氏は同職にとどまるとして噂を否定したものの、政権の混乱で税制改革などの経済政策への期待が一段と後退する事態は免れない。

 17日の米国株式市場でダウ平均が274ドル安と大きく下落したのはこれが要因となった。18日のダウも続落し76ドル安に。米株は3指数が過去最高値を更新するなど米国株式市場は高値圏で推移していただけに、さらに大きな調整が入る可能性もある。  

 バルセロナでの車両が群衆に突っ込むテロ事件を受けての不安も強まり、リスク回避の動きも手伝い17日の米国債は買われ、長期金利は低下した。しかし、トランプ大統領は、側近であるバノン首席戦略官・上級顧問を更迭すると発表、政権混迷の戦犯とされてきたバノン氏を排除することで事態打開を図る姿勢をみせた。これを受けて18日の米国債は買い戻されたが、これで事態が収束するとも思えない。

 さすがに今回の事態は今後のトランプ政権の行方を揺るが可能性が高い。全米各地で反人種差別集会も開かれているようである。トランプ政権の支持率がさらに低下するだけでなく、議会などとの対立色を強め、政策運営がさらに立ち行かなくなる懸念が強まる。


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# by nihonkokusai | 2017-08-20 12:32 | 国際情勢 | Comments(0)

トランプリスクが再燃し金融市場が動揺、バノン氏更迭も解決策にならずか

 南部バージニア州で今月12日、白人至上主義や極右思想を掲げるグループとこれに抗議する市民グループが激しく衝突した上、市民グループに車が突っ込み、女性1人が死亡、30人余りが、けがをした。

 これに対しトランプ大統領は当初、白人至上主義などを明確に非難しなかったが、人種差別への問題意識が十分ではないなどと反発が広がったことから、白人至上主義団体のKKKなどを名指しで批判した。

 ところがトランプ大統領は15日に記者団に対し、「一方のグループは悪かったが、もう一方のグループも非常に暴力的だった。誰も言いたがらないが、私は言う」と述べ、市民グループについても非難した(以上、NHKニュースより)。

 これに関連して製造業諮問委員会と戦略・政策フォーラムのメンバーである企業経営者らが次々に辞任を表明し、トランプ大統領は16日、メンバーの辞任が相次いでいた2つの助言組織を解散するとツイッター投稿。経済界との対立姿勢を強めた。これにより、今後のトランプ政権の経済政策運営が更に困難になりかねない事態を招いた。

 与党・共和党の指導部や経済界だけでなく、陸海空と海兵隊の4軍トップも人種差別への批判の声を上げた。米軍最高司令官の大統領の考えに賛同しないことを示唆した異例の事態となり、まさに四面楚歌の状態に陥っている(日本経済新聞の記事)。

 白人至上主義者らと反対派との衝突に対するトランプ大統領の発言を巡っては、トランプ米政権で経済政策の司令塔を務めるコーン国家経済会議委員長がひどく動揺したとも伝えられ、辞任観測が流れた。ホワイトハウスがコーン氏は同職にとどまるとして噂を否定したものの、政権の混乱で税制改革などの経済政策への期待が一段と後退する事態は免れない。

 17日の米国株式市場でダウ平均が274ドル安と大きく下落したのはこれが要因となった。18日のダウも続落し76ドル安に。米株は3指数が過去最高値を更新するなど米国株式市場は高値圏で推移していただけに、さらに大きな調整が入る可能性もある。  

 バルセロナでの車両が群衆に突っ込むテロ事件を受けての不安も強まり、リスク回避の動きも手伝い17日の米国債は買われ、長期金利は低下した。しかし、トランプ大統領は、側近であるバノン首席戦略官・上級顧問を更迭すると発表、政権混迷の戦犯とされてきたバノン氏を排除することで事態打開を図る姿勢をみせた。これを受けて18日の米国債は買い戻されたが、これで事態が収束するとも思えない。

 さすがに今回の事態は今後のトランプ政権の行方を揺るが可能性が高い。全米各地で反人種差別集会も開かれているようである。トランプ政権の支持率がさらに低下するだけでなく、議会などとの対立色を強め、政策運営がさらに立ち行かなくなる懸念が強まる。


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# by nihonkokusai | 2017-08-20 12:32 | 国際情勢 | Comments(0)

日銀が長期国債の買入額を減らしても市場は動揺せず

 日銀は8月16日の国債買入のオファーの際、5年超10年以下の買入予定額を前回の4700億円から300億円減額し4400億円とした。

 日銀は7月24日の国債買入で5000億円から300億円減額し4700億円としていたことで、同じ金額の300億円減額となっていたが、市場は今回の減額をサプライズと受け取った。なぜなら減額はいずれあるとしても、200億円として4500億円に戻すとみていたためである。

 2016年当初は5年超10年以下の毎回の買入額が4500億円程度であった。しかし、世界的な長期金利の低下を受けてこの年の7月に4300億円に減額した。そして2016年9月30日にも残存5年超10年以下の買入予定額を4100億円に減額した。

 今年1月27日に日銀は残存5年超10年以下の買入予定額を4500億円と400億円増額させてきた。これは25日の国債買入での中期ゾーンスキップの代わりに、5年超10年以下を増額した格好となった。しかし、1月末に発表された「当面の長期国債等の買入れの運営について」で残存5年超10年以下の買入予定額の2月初回買入は4100億円と元に戻された。

 ところが、2月3日には残存5年超10年以下の買入予定額を4500億円に戻していた。2日の10年債利回りは0.115%まで上昇していたため、それ以上の上昇を抑えるのが目的とみられた。

 これに対し3日に日銀は残存5年超10年以下の買入予定額を4500億円に増額したものの、市場は元に戻しただけとの読みとなった。ある程度の10年債利回りの上昇を日銀は容認していると解釈され、債券が大きく売られた。この急激な利回り上昇を受けて、日銀は指し値オペを実施。5年超10年以下の額を4500億円から5000億円に増額した。

 その後欧米の長期金利の上昇は落ち着いたことから、5年超10年以下の買入予定額を7月24日ら4700億円に減額し再調整し、8月16日にも再調整したが4500億円に戻すのではなく4400億円とした。

 このパターンで行くと来月にも300億円減額し4100億円とすることも予想される。

 8月16日の5年超10年以下の買入予定額の減額による影響は一時的なものとなった。むしろその後、10年債は買い進まれ、債券先物も上昇しており、減額規模はさておき、市場はこの減額はかなり想定していたとみられる。そもそもいまの日本の債券市場は管理相場に近く、売り材料には反応しにくい相場となっていることもあるのだが。


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# by nihonkokusai | 2017-08-18 09:45 | 日銀 | Comments(0)
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