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国債の基礎知識、約定日と決済日、入札日と発行日の関係

国債など有価証券の取引には約定日(売買した日)と決済日(資金と証券の受渡日)が存在している。この関係は国債の入札日と発行日の関係にもあたる。つまり売買を行った日と別に決済日・発行日が存在している。これは個人が国債を購入する際などは注意する必要がある。

例えば個人向け国債では、5月募集分は募集期間が5月11日から5月31日に設定されている。この募集期間内に購入した個人向け国債はすべて6月15日が発行日となる。つまり、銀行預金などと異なり、個人向け国債の利子が付くのは現金を証券会社などに入金した日からではなく発行日からとなる点に注意する必要がある。これは募集という発行形式をとっているためでもある。

国債や株式などの有価証券にはそれを売買した日(約定日)とは別に決済日が設けられており、実際に有価証券を所有した日は決済日となる。つまり利子は決済日から付くことになる。これは券面と現金との受け渡しの手続きに時間が必要であったためである。たとえば遠隔地での取引で実際に券面を確認する必要性があったためである。

国債など債券についてはペーパレス取引、つまり券面の発行はせず電子上での決済となっていることで、約定日から売買約定日から起算して原則3営業日目の日に受渡し決済を行っている。これをさらに短縮して来年5月から売買約定日から起算して原則2営業日目の日に受渡し決済を行うことが検討されている。

これに対して株式市場では通常売買日を含めて4営業日目に行われているのは、国債などに比べてペーパレス化等が遅れたためとみられる。その株式の決済についても2019年から1日短縮される見通しとなっている。

国債の入札も財務省と業者の国債の売買契約となるため約定日ということになり、それとは別に発行日(受渡日)が設けられている。これは約定日と決済日の関係と同じであるが、諸々の理由で国債の償還月は発行日20日になるなどしていた。それを一部2年債などを除いて来年5月からT+1に統一しようとの動きとなっている。


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# by nihonkokusai | 2017-06-02 09:27 | 国債 | Comments(0)

来年5月の国債決済期間の短縮に合わせ、国債の発行日もT+1に

財務省は新発国債の入札から発行までの「決済期間」について、入札の翌営業日にそろえる方針だと5月31日の日経新聞が報じた。

国債など有価証券の取引には約定日(売買した日)と決済日(資金と証券の受渡日)が存在している。これは入札における入札日と発行日の関係と同じものとなる。

国債の決済に関しては、2012年4月23日約定分から「T+2」に決済を行うようになった。つまり売買約定日から起算して原則3営業日目の日に受渡し決済を行っている。

このため国債入札に関しても5年債、10年債、20年債、30年債については、入札日を含めた3営業日目の日(T+2)が発行日となっている。ただし、3月、6月、9月、12月のいわゆる国債の償還月については、20日が発行日となっている(20日が休日の場合は翌営業日)。

償還月の発行日が20日となっているのは、償還を迎えた国債への再投資を円滑に進めるなどの理由があった。ただし、これだと入札日から発行日までの期間が大きく空いてしまうことになる。たとえば今日6月1日入札の10年国債の発行日は6月20日である。これに対して5月9日に入札された10年国債の発行日は11日であった。

償還月の発行日が20日となっていることで、実は日銀の国債買入にも影響が出ていた。日銀は発行されていない国債を購入することはできない。つまり発行日を過ぎないと買入対象とならないのである。償還月に際しては20日まで日銀が買入対象にできないため、国債を入札した業者は期間リスクを負うことになる。

また2年債については償還月等に関わらず、入札日のあった月の翌月15日が発行日となる。これは年金支払いに併せていたもののようである。

国債の決済についてはT+1に向けての検討が進められている。つまり売買約定日から起算して原則2営業日目の日に受渡し決済を行うことが検討されている。日本証券業協会の国債の決済期間の短縮化に関する検討ワーキング・グループの報告によると国債取引の決済期間T+1化については平成30年5月1日(火)約定分から実施することを予定している。

「国債取引の決済期間T+1化等の実施予定日について」日本証券業協会

http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/content/jisshiyoteibikouhyou.pdf

この国債決済のT+1化に合わせ、国債の入札についても発行日をT+1、つまり入札の翌営業日にすることになる。その際、これまで20日としていた償還月の発行日もT+1に統一する予定とみられる。ただし2年債については発行日が翌月と月跨ぎとなっていることからT+1への移行ではなく、翌月15日の発行から1日の発行に前倒しされる見込みのようである。

決済日や発行日までの短縮は、電子上の決済となり券面等の受け渡しは必要がなくなっていることで、決済リスクの軽減や、償還資金で新発債を購入する需要が薄れつつある現状を踏まえたものとされるが、日銀の国債買入への対応という側面が大きいとみられる。


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# by nihonkokusai | 2017-06-01 10:08 | 国債 | Comments(0)

日銀の物価目標達成までにはまだかなりの距離が存在

5月26日に公表された4月の全国消費者物価指数は総合で前年同月比プラス0.4%となり7か月連続のプラスとなった。日銀の物価目標ともなっている生鮮食品を除く総合は前年比プラス0.3%となり、こちらは4か月連続の上昇となった。生鮮食品及びエネルギーを除く総合は前年比変わらず。

寄与度をみてみると、原油価格の底打ちによる影響が引き続き大きいようである。ガソリンなどの上昇幅が縮小したものの,電気代がプラスに転じ都市ガス代などの下落幅が縮小し、エネルギーにより総合の上昇幅が寄与していた。

全国消費者物価指数の先行指標とされる5月の東京都区部の指数は、除く生鮮で前年比0.1%の上昇となり、2015年12月以来のプラスとなった。電気代やエアコンなど家庭用耐久財の上昇、携帯電話機のマイナス幅縮小が寄与した。

このように日本の消費者物価指数は原油価格の底打ちの影響によって、やっと前年比プラスに転じてきている。しかし、欧米の物価指数に比べてもかなり低い水準にあるといえる。

いまでも日銀の異次元緩和は継続されており、日銀のバランスシートは膨らみ続け、市場から異常ともいえる大量の国債の買い入れを続けている。日銀はこれによって物価目標を達成するとしていたが、いっこうに達成する気配はない。

日銀は物価目標の達成時期を延期し続け、さらに質的・量的緩和の拡大やマイナス金利の導入、長期金利を政策目標に据えたりと手を変え品を変え、次元が入り組んだ妙な金融政策を打ち立ててしまっている。これが物価に直接影響していないことは、どう見ても明らかではなかろうか。

いまのところ国債価格が急落するといった副作用が出ているわけではない。だから効果の有無はおいといて、異常な政策を日銀は続けているわけだが、効果が出ない以上は効果が出るかもしれない新たな手段(財政政策含む)を講じるのではなく、いったん異常な政策そのものを後退させて、将来のリスクを摘む必要もあるのではなかろうか。それを本来警告するはずの長期金利の機能を日銀自ら摘み取ってしまっていることも確かではあるのだが。


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# by nihonkokusai | 2017-05-30 09:46 | 日銀 | Comments(0)

米利上げとバランスシート縮小に向けたスケジュールは維持か

5月24日に公表された5月2、3日に開催された米国の金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、「メンバーは総じて、緩和策を一段と取り除く前に最近の経済指標の弱含みが一時的とのさらなる証拠を待つのが賢明と判断した」とした。つまり足元の米国の経済指標がやや弱いものが出ていることもあり、それが一時的なものであるのかどうかを見定めてから、緩和策の縮小、つまり追加利上げを判断するとしている。

ただし大半のメンバーは足元の弱含みのデータが、今後の経済物価見通しに対して変更を加えるものではなく、今後の緩やかな金融緩和程度の縮小が適切であるというのも変える必要が無いと概ね合意したとしていた。これはつまり景気判断を変えざるを得ないほどの余程悪い経済指標の発表でもない限りは、予定通りに6月のFOMCでの利上げを決定する可能性が依然として高いことを示唆した格好となった。

市場では経済指標の悪化と、それによる物価見通しの不確実性を危惧するメンバーが複数いたことで、今後の正常化に向けたFRBの歩みがより慎重になるのではないかと捉えた。これを歓迎した格好となり、米株高のひとつの要因となった。しかし、慎重な見方をするメンバーがいるのは確かながらも、市場が抱いている今後のFRBの正常化のスケジュールが後ずれするようなことは考えづらい。

市場の予想する正常化のスケジュールとしては年内3回(3月の利上げ実施込み)、つまりあと6月と9月のFOMCでの利上げと、年内にバランスシートの縮小を開始するであろうとの予想となっている。今回のFOMC議事要旨でこの予想が大きく修正されたとは思いづらい。

それを示すものとして、年内のバランスシートの縮小の開始を示していたことがあげられる。その手段として、満期を迎えた米国債などの再投資額を3か月ごとに縮小するとの事務方スタッフの提案について、参加者はおおむね賛同したとしている。12月のFOMCでこのバランスシートの縮小を決定すると年内開始が時間的に厳しくなる可能性がある。そうなると9月もしくは6月のFOMCでこのあたりを詰めてくる可能性がありうる。

また、今後の利上げスケジュールについて大きな修正がなさそうなことを、ブレイナード理事が議事要旨発表後というなかなか微妙なタイミングで指摘する格好となった。ブレイナード理事は利上げに慎重な「ハト派」の代表格であり、今回のFOMCで物価見通しの不確実性を危惧するメンバーの一人であったと予想される。

ところがそのブレイナード理事は25日、世界経済について「ここ数年で最も明るい」との認識を示した。「欧州経済の成長が堅調なうえ、日本は安定し、新興国も良好になりつつある」と説明。そのうえで「FRBの経済見通しに対する下振れリスクは軽減された」と述べていた(日経新聞)。

これは見方によれば、FOMC議事要旨で市場が今後の正常化のスケジュールについて、FRBがより慎重になることを期待し過ぎることに対し、少しブレーキを掛けてきたようにも思われる。今回の発言は議長など執行部の意向を反映した可能性もあり、今回のハト派のブレイナード理事の発言は注意しておく必要があろう。


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# by nihonkokusai | 2017-05-29 09:47 | 中央銀行 | Comments(0)

メンバーが大きく入れ替わったG7サミット

イタリアのタオルミーナで26日から27日にかけて先進7か国(G7)首脳会議(サミット)が開催されている。

石油ショックで世界経済が混乱した1973年にその対応を巡って日本、米国、英国、フランス、西ドイツの各財務相が集まった。これがG5の枠組みの始まりとなった。1975年にはこのG5にイタリアが加わっての首脳会議(サミット)がスタートする。1976年にカナダが、1998年にロシアが加わりG8となった。しかしクリミア侵攻をしたロシアが排除されて、その後はG7に戻っている。

今回参加するのは日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの首相となる。このうち前回の伊勢志摩サミットからは今回の主催国のイタリアと、米国、英国、フランスの首脳が変わった。つまりドイツのメルケル首相と日本の安倍首相、カナダのトルドー首相以外の4首脳が初参加となる。

昨年6月に英国は国民投票の結果、EU離脱が決定されてキャメロン英首相は辞意を表明し、保守党党首選挙の結果メイ首相が就任した。11月の米国の大統領選挙では予想外のトランプ氏の勝利となった。12月のイタリアの改憲を問う国民投票で大敗したレンツィ首相は辞任し、次期首相にジェンティローニ外相が指名された。注目の今年4月、5月に実施されたフランス大統領選挙では親EU派のマクロン氏が勝利した。

反グローバル派筆頭ともいえる米国のトランプ大統領ではあるが、形骸化が指摘されるG7の改革を提起するとの観測も出ている。G7の会議そのものにも懐疑的になる懸念がある。それに対してユーロ離脱を決定した英国のメイ首相がどう対応するのか。ドイツのメルケル首相とトランプ大統領の対立も予想され、ぎくしゃくしそうな首脳同士の橋渡しとして期待されているのがG7のベテランともいえる日本の安倍首相のようである。フランスのマクロン大統領にとってはいきなりの本格デビュー戦となるが、こちらの対応も気になるところ。

いずれにしても昨年の伊勢志摩サミットから世界の政治情勢は大きく変化してきている。中東や北朝鮮などの地政学的リスクも懸念材料となる。世界経済そのものはFRBが正常化路線を進められるほどには回復基調となっている。しかし、経済はさておき政治リスクが増加していることは確かであり、今回のG7はその政治リスクが試される場となりそうである。これまでのG7同士の関係とは大きく変化してくることも予想され、タオルミーナのG7は要注目となりそうである。


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# by nihonkokusai | 2017-05-27 10:42 | 国際情勢 | Comments(0)

中国の格下げによる市場への影響は軽微か

格付会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日に中国の人民元建てと外貨建ての国債格付けをAa3からA1に1段階引き下げたと発表した。中国は潜在的な成長力の鈍化に伴い、政府の債務負担が増加し、財政の健全性が損なわれるとの見通しを反映した(日経QUICKニュース(NQN))。

同社による中国格下げは1989年以来となるそうである。また、A1との格付けは日本国債と同じである。

ムーディーズの格下げ発表を受け、中国人民元は売られ、中国株も一時的に下げた。東京株式市場もやや上げ幅を縮小させる場面もあったが、影響は限られた。

格付会社による格下げが市場に大きなインパクトを与えた例としては、2010年のギリシャの財政問題が表面化した際の格下げがある。格下げによって市場の動揺が増幅されることになり、問題がアイルランドやスペイン、イタリアなどにも飛び火した。

また、2011年8月に格付会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、米国の長期格付けを最上位のAAAからAA+に1段階引き下げた。同社が米国債を格下げするのは1941年の現行制度開始以来初めてとなったが、これによる市場への影響は限られた。米国債は質への逃避の動きから買い進まれたぐらいであった。

これは、民間格付会社が格付けを1ノッチ引き下げたからといって、投資家が保有する大量の米国債をいきなり売却することは考えづらく、金融市場における信用度、そして流動性などを見ても、ほかに代替資産が見当たらないためである。 ただし、米国の格付会社が自国の国債の格付けを引き下げということはある意味ショッキングな出来事でもあり、マスコミでも大きく取り上げられた。

民間格付け会社によるソブリンの勝手格付け(依頼されたものではない格付け)は、たしかに警告として受け止める必要はある。しかし、だからといって、これを受けて市場参加者が動揺する必要はない。当時のバーナンキFRB議長は下記のような発言をしていた。

「ある意味で、S&Pの米格付け見通し引き下げがわれわれに伝えることは何もない。新聞を読む人なら誰でも米国が非常に深刻な長期的財政問題を抱えていることは知っている」

これは日本国債の格付け変更時にもいえることで、日本国債は格付会社の格下げがあってもほとんど動揺していないというか、材料視すらしていない場合が多い。

今回の中国の国債格下げについても、なぜこのタイミングで1989年以来の格下げを発表したのかという意外性はあったかもしれない。しかし欧州の信用不安時のように市場の動揺をさらに加速させるようなきっかけにでもならない限り、それによる影響は限られたものになると予想される。


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# by nihonkokusai | 2017-05-26 09:58 | 国債 | Comments(0)

注目される今週末イタリアで開催のG7、その歴史を振り返る

イタリアのタオルミナで26日から27日にかけて先進7か国(G7)首脳会議(サミット)が開催される。前回の伊勢志摩サミットからは今回の主催国のイタリアと、米国、英国、フランスの首脳が変わった。つまりドイツのメルケル首相と日本の安倍首相、カナダのトルドー首相以外の4首脳が初参加となる。

石油ショックによる世界経済の混乱を受けて1973年に、その対応を巡って日本、米国、英国、フランス、西ドイツの各財務相が集まった。これが先進5か国蔵相・中央銀行総裁会議(G5)と呼ばれるG(Group)がつく国際会議のスタートとなった。

先進5か国蔵相・中央銀行総裁会議 (G5) で最も有名となったのが、1985年9月22日にG5による為替レート安定化に関する合意、通称プラザ合意であろう。このG5は秘密裏に行われ、当時の蔵相の竹下登は、千葉にゴルフに出かけ1ラウンド、プレーした後、成田空港に向かった。澄田日銀総裁は風邪を理由に予定をキャンセルしマスク姿で駆けつけたそうである。当時のG5は存在自体も認められていなかったようだが、プラザ合意は市場に影響を及ぼすためにあえてG5の存在を明かにさせたとされる。

最初の主要国首脳会議(サミット)は、1975年の日、米、英、仏、西独、伊の6か国によるフランスでのランブイエサミットであった。翌1976年にカナダが加わりG7となる。1998年にロシアが加わりG8となった。

財務相・中央銀行総裁会議については1986年の東京サミットで先進7か国財務相・中央銀行総裁会議、つまりG7がスタートする。1999年にはG7にロシア、中国、韓国、インド、インドネシア、オーストラリア、トルコ、サウジアラビア、南アフリカ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、EU(欧州連合)を加えた財務相・中央銀行総裁会議、G20がスタートした。

2008年にはリーマン・ショックを受けてG20での首脳会議がワシントンで開かれ、サミットの20か国版がスタートする。2014年にはクリミア侵攻をしたロシアがG8から排除されて再びG7に戻る。

かなりややっこしいが首脳会議にはG7とG20があり毎年開催されている。財務相・中央銀行総裁会議にもG7とG20が存在する。首脳会議には首脳のほか財務大臣及び外務大臣などが出席する。1998年からは財務大臣会合及び外務大臣会合などが首脳会合の前に別途開催されるようになった。

世界経済及び為替に関する議論をする財務相・中央銀行総裁会議にはユーログループに属する3か国(独、仏、伊)の中央銀行総裁の代わりに欧州中央銀行(ECB)総裁が出席している。また、欧州委員会代表、EU議長国、IMF専務理事、世界銀行総裁なども参加している。


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# by nihonkokusai | 2017-05-25 09:42 | 国際情勢 | Comments(0)

ドイツのメルケル首相がECBの緩和策を遠回しに批判

ドイツのメルケル首相は22日、ベルリンの学校で開かれたイベントで学生たちに「ユーロは弱過ぎる。これは欧州中央銀行(ECB)の政策が理由だ。これによってドイツ製品が相対的に安くなっている。従って、ドイツ製品はよく売れている」と語ったそうである(ブルームバーグ)。

また原油安も輸入価格の低下を通じてドイツ貿易黒字の一因になっているとして、原油価格が今の1.5倍ならドイツの輸入額は増えると指摘。「ではどうしたらよいのか。我々にできるのは国内で投資を増やすことだ」と語った。

中央銀行の金融緩和によって通貨安にし、通貨安によって国内製品の輸出を促進させて国内景気を回復させ、ついでに物価も上昇させるというのは、我が国ではアベノミクスと呼ばれている。ところが今回のメルケル首相の発言はメルケルミクスを意識した発言などではない。

むしろドイツの貿易黒字の拡大が米国などから批判されており、そのドイツの貿易黒字問題についてメルケル首相はユーロ相場と原油価格の2つが押し上げ要因となっており、これらはいずれも政府の管轄外だとも指摘したのである。

今週開催される主要7か国首脳会議(G7)で、米国政府がドイツの貿易黒字問題について一段の対処を求めることが予想され、それに対して予防線を張ったとも言えよう。また、こういった批判の矛先をECBに向けさせようとしているようにも見受けられる。今回のメルケル発言を受けて、市場ではドイツが欧州中央銀行(ECB)に対し緩和解除への圧力を強めるのではないかとの観測も広がっていた。

そもそもドイツ関係者はECBの緩和政策に対して批判的な見方をしてきた。ドイツの中央銀行(ブンデスバンク)は過去の教訓から金融緩和による国債買入等に対して反対の立場を取ってきた。それは下記のような歴史の教訓によるものである。

第一次世界大戦の敗戦により、ドイツは天文学的な賠償金を背負わされ、財政支出の切り札になったのが、国債を大量発行しライヒスバンクに買い取らせるという手法であった。その結果、ドイツはハイパーインフレに見舞われ、ライヒスバンクの後継者であるブンデスバンク(連邦銀行)は、インフレに対して極度に神経質となり、その要因となった中央銀行による国債買入に対して警戒感というか嫌悪感を強めることになる。


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# by nihonkokusai | 2017-05-24 09:26 | Comments(0)

米国債保有高では3月現在で日本がトップ、4月に中国に逆転される可能性も

米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、今年3月の国別の米国債保有高のトップは引き続き日本で1兆1185億ドルとなった。2位は中国(China、Mainland)で1兆876億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り

(単位、10億ドル)

日本(Japan)  1118.5

中国(China, Mainland)  1087.6

アイルランド(Ireland)  315.1

ブラジル(Brazil)  259.5

ケイマン諸島(Cayman Islands )249.9

スイス(Switzerland)  234.5

英国(United Kingdom) 227.9

ルクセンブルグ(Luxembourg )217.1

香港(Hong Kong)  201.9

台湾(Taiwan) 185.2

1位の日本については、4月の対外対内証券投資売買契約の状況によると、居住者による対外債券(中長期債)投資は4兆2559億円の処分超となり、月次の売り越し額としては過去最大規模となっていた。このため、米国債の保有額が大きく減少してくる可能性がある。ただし、この数字が直接、この米財務省が発表している米国債国別保有残高に反映されない可能性もある。こちらも4月の数字が要チェックとなりそう。

2位中国の外貨準備は2017年1月に3兆ドルを下回っていたが、2月にはかろうじて3兆ドルを回復しており、米国債保有高もここにきてやや増加傾向にある。4月に順位が入れ替わるのかどうか確認したい。

3位にアイルランドが入っているのは低い法人税により、アップルやグーグル、フェイスブックを含め米企業700社以上がアイルランドに子会社を置いており、そこで得た利益がアイルランドの銀行にプールされ、それを米国債で運用しているためとの指摘もある。たしかにユーロ危機の際にはアイルランドも財政危機に陥ったように、国そのものには余裕なくこの金額の米国債を保有しているというのは米国企業などに依存している面は大きそうである。


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# by nihonkokusai | 2017-05-22 09:56 | 国債 | Comments(0)

日本の通貨単位を「円」とした意外な人物とは

金融取引に使われるのはお金であり、我々が使っているそのお金の単位は言うまでもなく「円」である。その円が生まれたのは明治時代であった。明治政権が目指したのは、西洋諸国に対抗するため、産業や資本主義の育成を行い国家の近代化を進めることであった。この積極的な殖産興業政策を行うため、さらに日本が独立国家として世界から認知されるためにも、統一した貨幣制度は必要不可欠なものとなる。

明治政府は1868年に純正画一な貨幣を製造することを決定し、1969年に大隈重信の建議により、新貨幣は十進法によるものとし、その価名を「円」とすることを決定した。大隈重信はその建議の中で、「第一に外国貨幣が円形で携帯に便利であり、この際旧来の方形を円形に改むべきである、第二に両分朱は四進法のため計算上非常に不便であるから、各国にならって十進法とすべきである」としたそうである。(早稲田大学のホームページより)。

現在の1万円札には、大隈の設立した早稲田大学のライバルとも言える慶応義塾の創始者である福沢諭吉の肖像が使われているのも何か「円」ではなく「縁」も感じる。

1871年には、最初の貨幣法である新貨幣条例が公布され、日本の貨幣の単位として円が正式に採用された、これによって近代的な貨幣の枠組みは整ったのである。

しかし、新貨幣の鋳造は進まず、明治政府は緊急の必要に応じるため「太政官札」、「民部省札」などと呼ばれた、いわゆる不換紙幣を発行した。金銀貨による幣制の統一を目指していたものの、貨幣素材の不足や造幣能力の不十分さもあって、金銀貨の鋳造はなかなか進まなかったのである。この金銀貨に代わる支払手段として、このような不換紙幣の発行に依存せざるを得なかった。これが結果として日本での中央銀行である日本銀行の設立の要因となった。

円は上記のように明治政府により1871年に定められた。英米人の影響で「en」ではなく「yen」と綴られることとなった円を、ドルの習慣に合わせてその頭文字Yに同様の二重線を入れたものが円マークの「¥」となり、JPYとも表記される。「円」の名前の由来としては、新貨のかたちが円形に統一されたためとか、洋銀の中国別称である「洋円」を継承したため、さらに香港銀貨と同品位、同重量の銀貨を製造することとした関係から香港銀貨の「壱圓」(洋円1個の意味)にちなむといった説がある。また、人々がお金を表すときに人差し指と親指で円を作ったところから、この名がついたという説もあった。

なお、中国では本来の通貨単位である「圓」を「元」に代替したが記号は日本の円記号と同じである。 韓国・北朝鮮の「ウォン」も「円」の朝鮮語読みである。


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# by nihonkokusai | 2017-05-21 09:28 | 金融の歴史 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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