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日経平均がバブル崩壊後の高値更新、気をつけるべきリスクとは

 11月7日の東京株式相場では日経平均株価が389円25銭高の22937円60銭で引けたことで、1996年6月に付けたバブル崩壊後の高値となる22666円80銭を抜け、1992年1月以来、25年ぶりの水準を回復させてきた。

 この背景にあるのは国内企業の業績回復などもあるが、海外株式市場の上昇による影響が大きい。米国株式市場ではダウ平均、ナスダック、S&P500の主要3指数が過去最高値を更新し続けており、ロンドン株式市場でもFTSE100種総合株価指数やフランクフルト株式市場でドイツ株式指数(DAX)も過去最高値を更新している。

 欧米の株式市場が過去最高値を更新している割に、日本の株価はやっとバブル崩壊後の高値を更新した程度ともいえるかもしれない。それでもやっとここにきて世界的な株価の上昇トレンドに東京株式市場も乗ってきた。

 実感なき景気回復と言われてはいるが、それでも企業の決算等は好調となるなど景気が回復していることは確かである。ただし、今回の世界の株高には物価上昇が伴っていないことも特色となっており、それが熱狂なき株高といえるような状況となっている。

 物価が上昇しないことで、日米欧の中央銀行の金融政策は異常ともいえる緩和策を継続させている。米国のFRBはいち早く出口政策をとってはいるが、それでもかなり慎重に進めており、膨れあがった買入資産の縮小にも慎重である。イングランド銀行は10年ぶりの利上げを決定したが、再利上げは予想以上の慎重姿勢を見せている。ECBもテーパリングではなくダウンサイジングとの表現を使うなど買入規模の縮小にも慎重姿勢となっている。日銀も出口との表現は封印せざるを得ない状況にある。

 この日米欧の中央銀行の慎重姿勢も手伝っていわゆる金融相場と業績相場が同時に起きるという状況となっている。

 リーマン・ショックやギリシャ・ショックに代表される大きな世界的な金融経済リスクが後退し、世界経済は回復基調となり企業業績は回復し、そこに大規模な緩和効果も残っていたことで、株価をつり上げている。

 現在の世界的株価の上昇はバブルなのかと言えば、いずれはバブルと呼ばれる可能性は高い。ただし、その頂点が見えているわけではない。日本のバブルも崩壊して初めてバブルと呼ばれた。

 ではどのようなタイミングで今回の株価の上昇トレンドが変化するのか。それもまた日米欧の中央銀行の行方に掛かっているような気がする。物価の低迷と中央銀行による大規模な国債を主体とした資産買入は特に日本で財政への懸念を覆い隠すかたちになっている。この好環境が崩れることになると、あらたなリスクが生じる可能性がある。その意味では東京オリンピックが開催される2020年は注意すべき年となるかもしれない。戦後初めて国債が発行されたのは、前回の東京オリンピック後であった。


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# by nihonkokusai | 2017-11-09 09:56 | Comments(0)

原油価格が上昇すれば日銀の物価目標達成も?

 ここにきて原油価格が再び上昇の兆しを見せ始めている。11月6日の原油先物市場では、サウジアラビア政府が数十人の王族や閣僚を汚職容疑で拘束したとのニュースや、そのサウジアラビアはイエメンの反体制派が首都リヤドに向けた弾道ミサイルを迎撃したことなど、中東情勢の緊迫化を受けて原油価格が上昇したとされた。

 協調減産延長への期待も原油価格上昇の背景にあり、WTI先物は57ドル台となり、終値で2015年6月以来の高値をつけた。このまま上昇トレンドが続けば、2015年6月以来の60ドル台回復の可能性もある。チャート上は60ドル近辺が目先の天井になるとみられるが、ここを大きく抜けると80ドルあたりまで大きな節目はない。いまのところ、ここまで急伸することは現実的ではないが、中東情勢が緊迫化するなどした場合には絶対にないとは言い切れない。

 ここ数年の原油先物の推移をみてみると、2014年7月あたりまで上昇基調となっており、WTIは100ドル台をつけていた。しかし、2014年7月あたりから年末にかけて大きく下げ、2016年には30ドルあたりまで下落した。

 2013年4月あたりからのコアCPIの予想以上の上昇ペースの背景には、アベノミクスをきっかけとした急速な円高調整による円安効果と、消費増税にむけた駆け込み需要、さらには福島原発問題の影響が残るなかでのエネルギー価格の上昇による影響が大きかった。これにより消費増税の影響を除いたコアCPIは前年比1.5%半ばあたりまで上昇し、異次元緩和効果で2%の目標に向けて順調に上昇しているかのように見えた。

 しかし、日銀の異次元緩和が直接物価に働きかけていたわけではないことを2014年5月以降のCPIの前年比の低下が示すことになる。原油価格が2014年7月あたりから急速に下落基調となっていただけでなく、ドル円が110円台から105円台となるなど円安調整も加わってのコアCPIの前年比の落ち込みとなった。2015年2月にはゼロ%となり、同年8月にはマイナスとなっている。このCPIの落ち込みは消費増税によるものとの指摘もあったようだが、原油価格や為替の動向に影響を受けていたとみる方が自然であろう。

 ここにきての原油先物価格の上昇とドル円の上昇も加わって、コアCPIは前年比プラス0.7%あたりまで回復してきている。これは決して日銀の緩和政策によるものではなく、原油価格やドル円の推移で説明可能であろう。そうであれば、今後のCPIの行方を占う上ではWTIが60ドルの壁を破ってくるのかが注目される。もし突破してくるとなればコアCPIの1%台回復も見えてくる。もしまた1.5%あたりまで、たまたま上昇した際には、そのあたりで日銀も手を打ってはどうであろうかとは個人的に思うのであるが。


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# by nihonkokusai | 2017-11-08 09:45 | 日銀 | Comments(0)

英中銀が10年ぶりの利上げ、再利上げは慎重の構え

 英国の中央銀行であるイングランド銀行は11月2日の金融政策委員会(MPC)で、10年ぶりとなる利上げを決定した。7対2の賛成多数で政策金利を過去最低の0.25%から0.50%に引き上げることを決めた。カンリフ副総裁とラムスデン副総裁が、賃金の伸びは低く現時点で利上げを正当化できないとして利上げに反対し、据え置きを主張した。

 利上げは2007年7月以来、10年4か月ぶりとなる。ただし、金利と並ぶ政策の柱のもうひとつ量については、英国債の保有枠を4350億ポンドで据え置いた。

 カーニー総裁は、10年ぶりに利上げを決めた理由について、「利上げをしなければ、物価の上昇率を目標とする2%に保つのが難しい。経済が堅調なことから、利上げすべきタイミングだと判断した」と説明した。ただし、イギリス経済にとってEUからの離脱を決めたことによる影響は大きいとして、「今後の利上げのペースは緩やかで限定的にとどまる」と述べた(NHK)。

 そして会合後に発表した声明から、「前回声明に盛り込まれていた市場が見込んでいるよりも大幅な利上げが必要となる可能性がある」との文言が削除された。

 今後の利上げに関してカーニー総裁は、2020年末までに25ベーシスポイントの追加利上げを2回行うという投資家らの見方と同じと説明した。つまりFRBに比べてかなり慎重な利上げペースになることを示した。

 これを受けて2日のロンドン市場ではポンドが下落し、英国債は買い進まれた。英国債に関しては観測で売って、実際の利上げを決定したことで買い戻すような動きにも見えるが、再利上げは予想以上に慎重との見方も英国債の買い戻しやポンド売りを誘ったものと思われる。

 今回、いわゆる執行部である総裁と副総裁の票が割れたが、これはイングランド銀行では珍しいことではない。また、金利ではなく量についてはイングランド銀行はあらかじめ保有枠の拡大幅と期間を設けて一定期間に買入を行っていたことで、FRBのように毎月の購入額を決めて購入し続けるというパターンではないため、テーパリングの必要はない。今後、イングランド銀行が国債等の保有枠の削減を行ってくるのかは、はっきりしないが、こちらもかなり慎重に行ってくるであろうと予想される。


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# by nihonkokusai | 2017-11-07 09:54 | 中央銀行 | Comments(0)

日銀は物価見通しを何故間違えたのか

 10月30日に発表された経済・物価情勢の展望、いわゆる展望レポートによると、2017年度の物価見通しは前回7月時点の見通しの前年比プラス1.1%からプラス0.8%に下方修正された。

 この場合の物価とは、日銀の物価目標となっている消費者物価指数(除く生鮮食品)であり、数字は政策委員見通しの中央値である。今回の下方修正は9月の消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比がプラス0.7%に止まるなどしたことによる修正とみられる。

 2018年度については前年比プラス1.4%(7月時点でプラス1.5%)、2019年度については前年比プラス1.8%(7月時点でプラス1.8%)となっている(2018年度は消費税率引き上げの影響を除くケース)。展望レポートによると2%程度に達する時期は、2019年度頃になる可能性が高いとしている。

 それでは2年前の2015年10月に発表された展望レポートの予測を確認してみたい。2015年度の見通しがプラス0.1%、2016年度がプラス1.4%、2017年度がプラス1.8%となっていた。予測は大きく外れていると見ざるを得ない。2015年10月のレポートでの物価についての見通しでは下記のような説明があった。

 「2%程度に達する時期は、原油価格の動向によって左右されるが、同価格が現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、2016年度後半頃になると予想される。」

 参考までに2015年10月末の原油価格を代表する指標としてのWTI先物は46.22ドルであった。それが1年後の10月末に49.78ドル、今年10月30日現在は54ドル近辺となっており、大幅に上昇はしていないが緩やかには回復している。

 2015年10月現在の物価を巡る状況については、「原油価格下落の影響が剥落するに伴って、物価安定の目標である2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる」と物価予測を誤った要因として原油価格を挙げていた。

 たしかに原油価格は緩やかに上昇し、コアCPIは足元で前年比プラス0.7%にまで回復している。コアCPIに関しては原油価格の影響が大きいことは確かである。ところが、この原油価格の影響を除いた生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア)でみると今年9月は前年比プラス0.2%に止まっている。これをみても原油価格の押し下げだけが物価を抑制していたわけではないということになる。

 日銀の物価見通しは何故間違えたのか。本来、日銀は物価の予測を含めた調査機関としても日本有数の組織である。展望レポートの数字はあくまで政策委員の予測であるが、データ等の背景説明は受けているはずである。今の日銀には2%の物価目標達成というバイアスが掛かりすぎてしまっていることが、このような予測にも影響を与えているのではないかと思われる。


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# by nihonkokusai | 2017-11-06 09:41 | 日銀 | Comments(0)

日銀片岡審議委員の提案の意図は何か

 10月31日の日銀金融政策決定会合では、8対1の賛成多数によって現在の緩和策を次回会合まで継続することを決定した。今回反対票を投じたのは、7月に審議委員に就任したばかりの片岡剛士委員であった。

 片岡委員は、「オーバーシュート型コミットメントを強化する観点から、国内要因により「物価安定の目標」の達成時期が後ずれする場合には、追加緩和手段を講じることが適当であり、これを本文中に記述することが必要として反対した。」

 日銀はアベノミクスの主軸として大胆な緩和策を実施してきたが、物価目標の到達予想時期を後ずれさせてきた。31日の展望レポートでは「(物価目標の)2%程度に達する時期は、2019年度頃になる可能性が高い」としているが、これもかなり怪しいものとなっている。時期が進むに従ってさらに後ずれする可能性は非常に高い。

 これについて「国内要因により」物価安定の目標の達成時期が後ずれする場合には、追加緩和手段を講じる必要があると片岡委員は主張した。「国内要因」を除くとなれば、為替や原油価格などの要因を除いてということになろうか。そうなると消費者物価指数はほぼゼロ近傍が続いていることで、追加緩和策が今後も常に必要になるということになろう。

 そもそもこれまでの異次元緩和で何故、物価目標を達成できなかったのか。追加緩和で物価上がる保証はあるのか。どのような追加緩和ならどういう経路で物価が上がるのかといった説明も当然必要になる。

 今回、片岡委員は長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)についても反対票を投じている。これについては「イールドカーブにおけるより長期の金利を引き下げる観点から、15年物国債金利が 0.2%未満で推移するよう、長期国債の買入れを行うことが適当である」との説明があった。

 日銀が現在行っている金融緩和策は長短金利操作付き量的・質的緩和であり、操作目標は量から金利に戻している。片岡委員は政策目標の量への回帰といった修正ではなく、金利目標の修正を提案してきた。しかし、それが何故15年物国債金利で0.2%なのか。

 日本の債券市場での国債の売買は主にカレント物と呼ばれる直近発行された2年、5年、10年、20年、30年の国債に集中している。現在、15年の利付き国債の新発債は発行されていない。このため15年国債となると20年の国債が発行されて5年目の国債などということになるが、流通量は非常に少ないゾーンであり、その国債を日銀が買い入れるとなると大きく変動する可能性がある。というよりそもそも買入自体が難しい。もし15年の金利操作を10年債と20年債のカレントを使って行うのであれば、わざわざ15年にするのではなく20年の金利をターゲットにした方が良いのではなかろうか。

 そもそも、日銀が長短金利操作付き量的・質的緩和を決定した本当の理由は足元の金利はマイナスに置いても、長い期間の国債の利回りを引き上げてイールドカーブをスティープさせることであったはず。ここで長めの金利を引き下げたり、10年の目標金利をマイナスにしてしまうと再び日銀に対して金融機関の批判も高まることが予想される。だから15年金利を少しだけ引き下げるというのかもしれないが、それで物価目標を達成できるとも到底思えないのではあるが。


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# by nihonkokusai | 2017-11-05 11:46 | 日銀 | Comments(0)

FOMCは現状維持、12月の利上げを示唆、なぜ今回ではなく12月なのか

 11月1日に開催されたFOMCでは、投票メンバー9人の全員一致で政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標値を年1.00~1.25%のまま据え置いた。9月の前回会合では量的緩和で膨らんだ保有資産の縮小開始を決めた。次のステップは再利上げとなったが、そのタイミングは12月となるようである。

 今回の会合後に公表した声明文のなかでは「緩やかな利上げのもとで、経済の改善が続く」との見通しを示したことで、12月の次回会合での追加利上げを示唆した格好となった。足元経済がしっかりしているのであれば今回の会合で利上げを決定してもおかしくはない。

 今回の会合で利上げを見送ったのは保有資産の縮小による影響を見定めたいとの要因もあったのかもしれないが、ある程度のタイムスケジュールを意識したものとも言えなくもない。

 特に緩和策ではなく結果として引き締め策となる正常化は市場の動揺を抑え、できるだけ事前にそれを織り込ませる必要がある。これに対して緩和策は市場がそれを期待しているタイミングで行う方が効果が出る。ただし、この効果とは実態経済への直接効果というよりも市場の動揺を抑えることが主目的となる。

 利上げのタイミングを12月としているのは、12月のFOMCでは議長会見が予定されていることも影響している。正常化のステップの際の政策変更は、これまでも議長会見が予定されているFOMCで行われていた。政策変更について会合直後に市場に議長自ら説明することで、市場への理解を求めることも意識されているとみられる。

 米国大統領による次期FRB議長の指名は予想通りパウエルFRB理事となった。パウエル理事であれば、イエレン議長の路線を継承するとみられ、正常化に向けたステップも維持され、政策変更のタイミングも同じようなものになると予想される。


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# by nihonkokusai | 2017-11-03 09:17 | 中央銀行 | Comments(0)

日銀の異次元緩和は本当に必要であったのか

 総務省が10月27日に発表した9月の全国消費者物価指数は総合前年比プラス0.7%と8月と変わらず、生鮮食品を除く総合指数(コア)で前年比プラス0.7%とこちらも8月と変わらず。生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア)で前年比プラス0.2%とこちらも8月と変わらずとなった。

 コア指数は9か月連続で前年比プラスとなったものの、いまだ日銀の物価目標の2%に届く気配はない。生鮮食品及びエネルギーを除く総合がプラス0.2%程度に低迷していることからもわかるように、コア指数を引き上げているのは引き続きエネルギー価格の上昇によるものであり、ここに日銀の異次元緩和の影響が出ているわけではない。

 エネルギー関連では電気代、ガス代、灯油、ガソリンなどの上昇が影響を与えている。コア指数に関してはこのようにエネルギー価格の影響を受けやすいことがわかる。当然ながら、日銀が大量に国債やETFを購入すれば原油価格が上昇するわけではない。

 2012年12月の衆院選で出てきたアベノミクスは、急激な円安と株高のきっかけとなったことは確かであり、円安効果も加わりその後の消費者物価指数の上昇も招いた。しかし、それが円安や消費増税に伴う駆け込み需要による一過性のものであったことも確かであった。

 さらに日銀は異次元緩和によって円安を招いて物価を上昇させるとの見方について、総裁自身がそれは目的としていないと発言していた。ドル円の125円が黒田ラインと呼ばれているのも、それが影響している。

 大胆な緩和策が物価上昇を招いて、雇用など含めて景気も回復するというのが、そもそものアベノミクスの目的であったはずである。ところが物価はいつまでたっても目標には届かず、しかし雇用は回復し低成長ながらも景気も回復基調となっている。これは米国などの景気回復に助けられている面も当然ある。日銀の異次元緩和がなければ、ここまで日本の景気は回復しなかったとの意見もあるが、異次元緩和の効果のほどは物価を見る限りは疑わしい。果たして物価を上昇させられなかった日銀の異次元緩和は本当に必要であったのであろうか。


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# by nihonkokusai | 2017-11-02 09:35 | 日銀 | Comments(0)

米国、ドイツ、英国の長期金利動向に変化

 米国とドイツ、英国の10年国債の利回り、いわゆる長期金利の動きはかなり似通っている。格付け上位国であり、お互いの影響も受けやすい。これは日本の長期金利にも、ある程度はあてはまるが、こちらは日銀のイールドカーブコントロールに抑えられていることで、日本の長期金利は大変狭いレンジ内で似通った動きとなっている。

 しかし、ここにきて米国、ドイツ、英国の長期金利の動きに連動性がなくなりつつある。

 米国の長期金利は9月上旬に2%近辺まで低下していたが、ここからトレンドラインを形成し上昇基調となっている。市場では12月のFOMCでの年内3回目の利上げに不透明感をいだいていたが、FRB関係者の発言などから、利上げ観測が強まってきた。さらにFRB議長人事で、タカ派とされるテイラー氏の可能性が浮上したことでの米債安、つまり長期金利の上昇もあった。FRB議長人事はパウエル理事の昇進が有力視されているが、テイラー氏の副議長就任の可能性もある。いずれにしてもこれまでのFRBの政策が維持されるとみて良いと思われる。12月の利上げが意識されれば、2.6%あたりまでの長期金利の上昇があってもおかしくはない。

 これに対してドイツの長期金利は9月上旬の0.3%付近からいったん0.5%近くに上昇後は、0.35%あたりから0.50%のレンジ内での上げ下げとなり、ここにきて再び0.4%割れとなっている。ECBは26日の理事会で量的緩和政策の縮小を決めた。今回の決定は大規模な緩和政策のペースを緩めるものであり、正常化に向けた一歩との見方ができなくはないが、FRBなどに比べると極めて慎重姿勢となっている。このECBの慎重さがドイツの長期金利の戻りが抑えられている要因となり、米長期金利とはやや異なった動きとなっている。さらにスペインの政治情勢も意識されているとみられ、リスク回避によるドイツ国債への買いとの動きも絡んでいよう。

 そして英国の長期金利であるが、9月上旬の1%割れから米・独の長期金利と同じように上昇したものの、1.3%台でもみ合う格好となっている。ドイツの長期金利ほどの落ち込みはなく、高い水準で次のトレンドを探ろうとしている。11月2日のイングランド銀行のMPCでは10年ぶりの利上げが予想されているのが、この水準を維持している背景にあるとみられる。利上げが決定してもある程度は織り込み済みかもしれないが、問題はFRBのように正常化の歩みをここから始めるのかどうかである。つまりイングランド銀行はここから利上げを続けてくるのかどうか。それともECBのような慎重さを前面に出してくるのか。MPCの動向が英国の長期金利の動向を握っている。

 結論としては、ここにきて米国とドイツ、英国の長期金利の動きにやや違いが出ているのはそれぞれの中央銀行のスタンスの違いが反映されていると言える。


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# by nihonkokusai | 2017-10-31 09:35 | 債券市場 | Comments(0)

衆院選挙の結果を受けて、日銀の金融政策は変わるのか

 10月22日に投開票が行われた衆議院選挙では、自民党が284議席を獲得し、自民・公明両党で313議席となり、与党で定数(465)の3分の2を超えた。当初は台風の目かとされた希望の党は失速し、新たに出てきた立憲民主党が勢いづくものの、結果としては野党同士での票の奪い合いのような結果となり、与党の圧勝となった。

 この衆院選挙の結果を受けて、日銀の金融政策にどのような影響が出るであろうか。そもそも今回の選挙では、アベノミクスの柱である日銀の異次元緩和の影響、それに絡む財政再建に向けた動きについては、ほとんど争点とはなってはいない。

 消費増税を行うとしたのが自民党であり、野党の多くは消費増税反対という立場をとった。その自民党も消費税率10%への引き上げの財源の一部を「生産性革命」と「人づくり革命」の2つの大改革に活用するとしており、基礎的財政収支を黒字化するとの目標は堅持するとしているものの、財政再建については二の次といった方針となっている。

 野党も今回の選挙で財政再建を柱とするような政策を打ち出す政党はなかった。現状は財政問題についてアラームとなるはずの国債は日銀による大量の買入とイールドカーブコントロールによって利回りが押さえつけられていることもあり、今回の選挙に向けた各党の動きをみても、財政規律にやや緩みが生じているようにも思われる。

 今後も安倍政権にとり、財政健全化は無視できないとしながらも、景気回復の持続を可能にするためにも財政出動に頼ることになることが予想される。その意味でも日銀には現状の政策を維持してもらう必要がある。

 日銀にとっては2%の物価目標が達成されていないことで、現状の長短金利操作付き質的・量的緩和を継続させる必要がある。ただし、巨額の国債買入を継続させるためには、ある程度買入額を調整する必要がある。すでに日銀は政策目標を量から金利に移すことで、量については縛られる必要がなくなり、買入の持続性も意識してのステルステーパリングを行っている。

 問題はこの異次元緩和の持続性であるが、物価目標達成がなかなか難しい状況にあり、いずれ長短金利操作付き量的・質的緩和の調整は必要となろう。しかし、そのタイミングも難しい。金融機関の収益悪化などからマイナス金利政策についても再び批判的な声が強まることも予想される。このあたりの調整は来年4月の黒田日銀総裁の任期満了のタイミングに絡んで行われることも予想される。


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# by nihonkokusai | 2017-10-30 09:56 | 日銀 | Comments(0)

ECBは緩和ペースを緩める政策を決定

 ECBは26日の理事会で量的緩和政策の縮小を決めた。2017年12月末としていた国債などの資産購入の終了時期を2018年9月末まで延ばした上で、2018年1月以降の資産購入量を現在の月600億ユーロから月300億ユーロに減額する。

 今回の決定は大規模な緩和政策のペースを緩めるものであり、正常化に向けた一歩との見方ができなくはないが、FRBなどに比べると極めて慎重となっている。ドラギ総裁は今回の決定について、FRBが行ったようなテーパリングではなく、ダウンサイジングとしている。

 買入の終了時期を固定しないことには大多数が賛成したようで、必要に応じ来年9月末以降の延長も検討する考えを示した。経済環境次第では増額の可能性も残している。さらに資産買い取りが終了するまで政策金利を動かさないとも改めて表明しており、利上げというかマイナス金利政策の調整は、早くても2018年9月末以降になることになる。

 ユーロ圏の物価上昇率は目標の「2%近く」には届いておらず、あくまで緩和ペースをやや緩める程度の認識であることを市場参加者に認識させて、ユーロ高といった動きを牽制しようとの意図も垣間見える。実際に26日の外為市場では、ユーロがドルに対して売られ、約1年4か月ぶりの大きな下落を記録した。そして、ユーロ圏の国債もむしろ買い進まれていた。

 FRBはすでに正常化に向けてテーパリングを完了させ、利上げも行っている。イングランド銀行は資産買入の方法が日銀やイングランド銀行と異なるため、毎月の資産買入額を減額するといったテーパリングが必要なく、11月2日のMPCで10年ぶりに利上げを模索する。これに対してECBは大胆な緩和策のペースをやや緩めるだけで、緩和効果は残そうとしている。

 そして今年9月の全国消費者物価指数(除く生鮮食料品)が前年比プラス0.7%と、いまだ2%の物価目標に距離のある日銀も異次元緩和を継続させてはいるが、すでに調節目標を量かに金利に移したことで現実的にはテーパリングを行っている。しかし、これもECB同様にテーパリングとの認識ではなく、国債市場の状況に合わせた調節との立場を取っている。


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# by nihonkokusai | 2017-10-28 13:03 | 中央銀行 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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