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日銀のステルステーパリングに過剰反応?

 日銀は1月9日の国債買入において、超長期ゾーンの国債買入額を減額した。残存10年超25年以下は1900億円と前回の2000億円から減額し、残存25年超も800億円と前回までの900億円から減額した。残存10年超25年以下の減額は2016年12月28日以来、残存25年超は2017年11月24日以来の減額となる。

 この減額は債券市場でもサプライズと受け止められたが、反応そのものはこれまでの減額時と同様にさほど大きなものではない。債券先物は売られたといっても9銭安での引けであった。10年債も売られたが0.010%上昇の0.065%と大きくは動いていないし、そもそも現物債は商いそのものが通常に比べても少なく、超長期ゾーンにもパラパラと売りが入った程度であった。つまり円債市場は大きくは動いていなかった。

 来年度の国債発行計画で超長期ゾーンも含めて発行額が減額されることもあり、どこかのタイミングでの減額は想定されていた。ただし、年末でもなければ年度末でもなく、このタイミングというのがやや意外性があり、さらに来年度の発行額で減額がない20年ゾーンも絡んでいたあたりに、小さなサプライズはあった。しかし、債券市場ではその程度であった。

 日銀は2016年9月の長短金利操作付き量的・質的緩和政策によって、政策目標を量から金利に戻している。「概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約80兆円)をめどとしつつ」という数字は残したものの、約80兆円は目標数値ではない。すでに今年度ペースでは60兆円を割り込んでいる。日銀は金利をコントロールするために、国債買入額の微調整を行っているという格好ながら、現実には買入額を減少させている。これはステルステーパリングとも呼ばれているが、いまに始まったことではない。

 しかし、今回の日銀による国債買入の減額は、外為市場が特に反応を示した。ドル円が113円近辺から112円台半ばにドスンと下落したのである。さらには9日の米国債券市場で10年債利回りが2.55%と前日の2.47%から大きく上昇したのも、日銀のステルステーパリングがひとつの要因と指摘されている。

 9日の日銀の国債買入オファーのタイミングでのドル円のこの反応は、特に大きな材料もないなか、「国債買入の減額」という表現にシステム的な反応を起こした可能性もある。米債も売りのきっかけ待ちのところに、この材料に反応した面もあったのかもしれない。

 ただし、欧米の中央銀行が正常化に向けて舵を取ろうとしているなか、頑なに物価目標達成に向けて大規模な緩和策を継続する日銀に対して、海外投資家もこれはやはりおかしいと感じ始めている事も確かなのかもしれない。

 結果としてのステルステーパリングは、あくまで買い入れる国債に限界が見えてきたことによる。このため、量ではなく金利に再度着目し、2016年1月にマイナス金利政策を取ったら、金融界からの批判が集中、その批判をかわして、国債の買入額に縛られずにイールドカーブをスティープ化させるために編み出されたのが、長短金利操作付き量的・質的緩和策といえる。ある意味苦肉の策ではあったが、これが案外うまくいっているというのが現状である。ただし、これは正常化に向けた動きではない。

 それでも景気拡大時に非常時の金融政策を続けることに対してはやはり疑問は残る。世界的な景気拡大とそれを受けての原油高などによって物価がいよいよ上がってくる可能性も出てきている。日銀にとっては物価目標が達成されず、むしろ低迷し、長期金利が低位で押さえつけられる環境の方が実はベターであるともいえる。しかし、物価や金利を取り巻く外部環境が今後、劇的に変化してくる可能性もある。量については調整が出来ても、金利については物価目標達成が見えない限り調整はしないというのが日銀の現在のスタンスとみられる。しかし、果たしてそのスタンスがどこまで維持できるのか。市場も多少なり疑問を抱きつつあることも、今回の過剰反応に現れていたのかもしれない。


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# by nihonkokusai | 2018-01-11 09:48 | 日銀 | Comments(0)

2018年のビックリ予想、日経平均の3万円台達成!

 2018年の東京株式市場は4日の大発会で、抜けそうで抜けなかった23000円をあっさりと抜いてきた。昨年末は大納会で年内の最高値を更新し、いわゆる「掉尾の一振」になるかと期待されたがそれは叶わなかった。しかし、新年早々にこの23000円をクリアしたことは、むしろ今後さらに日経平均が上昇してくることを予感させるものとなった。

 日経平均の23000円台達成は単に節目を抜いただけということだけでなく、実はチャート上、なかなか破壊力のある水準を抜いたことになる。

 株式市場では「掉尾の一振」といった相場格言のようなものが数多くある。それは江戸時代の大阪堂島での米相場当たりから続くものも多い。堂島での米の先物取引は現在の金融先物取引の原型となっているだけでなく、値動きもあり、ローソク足などを使ったテクニカル分析もすでに行われていた。本間宗久によって編み出された酒田五法はテクニカル分析のバイブルとも言える。

 そんな相場格言のひとつに「半値戻しは全値戻し」というものがある。大きな相場下落があり、その後回復基調となり、相場下落時の高値から安値の半値まで戻ると、相場は再び下落前の高値まで戻るという習性があることを示すものである。ただし、相場に絶対はなく、半値に戻せば絶対に全値戻しとなるわけではない。しかし、その確率が比較的高いとの過去の相場体験に基づいた格言といえる。

 日経平均株価の最高値は1989年12月末大納会につけた38915円となっている。1989年はまさに掉尾の一振となったが、ここがピークとなり、いわゆるバブル崩壊が始まる。そのバブル崩壊後の安値が、2009年3月10日の7054円となった。38915円から7054円下落の半値戻しが、22984円となる。つまり日経平均で抜けそうで抜けなかったのは23000円というよりも、この半値戻しの水準と言えた。

 これを年が変わって抜けてきたことの意味は大きい。「掉尾の一振」となれば、1989年の相場を思い出されて目先のピークアウト感が出てくる可能性もあった。しかし、新年早々に直近の高値を更新してきたことは、今年の相場そのものの動きを予感させるものとなる。さらに半値戻しを達成したとなれば、全値戻しを連想させることになる。

 日経平均はこれにより30000円が視野に入り、全値戻しとなる可能性も見えてきた。すでに米国などの株価指数は過去最高値を更新しており、日本の株価指数が最高値を更新してもまったく不思議はない。世界経済の拡大傾向は当然、日本国内の景気にも好影響を与えよう。国内要因としても、新元号のスタートや東京でのオリンピック・パラリンピックの開催など大きなイベントも控えており、国内景気がさらに拡大し、株価はこれから本格的に上昇トレンドを迎える可能性も十分にありうるのではなかろうか。


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# by nihonkokusai | 2018-01-10 09:19 | 金融 | Comments(0)

物価目標の呪縛から日銀を解き放つ必要も、見えない我々への負担も意識すべき

 新年早々の東京株式市場は米国主体にロケットスタートとなっており、日経平均株価があっさりと23000円台に乗せて、上げ幅を拡大させてきている。この背景にあるのは、世界的な景気の回復である。リーマン・ショックやギリシャ・ショックに代表される世界的な金融経済危機が終焉し、新たなステージに入ってきたとも言えよう。

 2度の世界的な金融経済危機に際して、日米欧の中央銀行は過去に例のない大規模な金融緩和策を講じてきた。米国の中央銀行であるFRBはすでに正常化に着手しているものの、それも極めて慎重に行っている。英国の中央銀行のイングランド銀行も同様であり、欧州中央銀行(ECB)も正常化に向けた動きは極めて慎重である。日銀は表面上は向きさえ変えていないものの、とりあえず追加緩和に目を向けることはなくなりつつある。

 いずれにしても日米欧の積極的な金融緩和策により、大量の資金が金融市場で渦巻いており、その資金が米国の株式市場に向けられ、日本の株式市場にも入り込んでいる。もしかすると今後はコモディティと呼ばれる商品にも向けられる可能性もあり、原油価格が思わぬ上昇となる可能性もないとはいえない。

 見方によればこの状況はバブルの様相に見えなくもない。しかし、特に日本をみると来年の新元号のスタートや2020年の東京でのオリンピック・パラリンピックの開催なども控え、国内景気がさらに拡大し、株価はこれから本格的に上昇トレンドを迎える可能性も十分にありうる。

 あまり楽観的な見方も禁物であり、北朝鮮の地政学的リスクや中東リスク、欧州の政治動向などリスク要因にも目を配る必要はある。しかし、2007年あたりから2012年あたりにかけての世界的な危機的状況が再来する可能性は極めて低いことも確かである。

 このような好環境にあって、実は景気そのものの足を引っ張りそうなのが、日銀の異次元緩和ではなかろうか。経済・物価動向に沿った金利水準を市場で形成させず、日銀が無理矢理金利を押さえ込む必然性がますます見えてこない。国民に金利を与えずその分が我々の負担ともなっており、結局、日銀の異次元緩和政策は膨大な債務を抱えた国の財政には貢献する格好となっている。この状態で本当に良いものなのか、我々がよく考える必要があろう。もし金利が動けば金融機関も資金運用がやりやすくなり、その結果収益が改善し、これが金融株の上昇要因となり、株価をさらに上昇させる要因にもなりうる。潤沢な資金を抱える企業も多く、金利の上昇は以前に比べてそれほどのマイナス要因にならない。

 もしかすると今年は順調に物価が上昇してくる可能性もありうる。そうなれば、日銀は2%という物価目標に固執せずに、柔軟に政策金利、つまり長短金利の目標水準を変更させ、それにより景気や物価に好影響を与えるようにすべきではなかろうか。非常時の対策を現在のような好況時まで続けるのは極めておかしい。その分の負担がどこかに掛かることになり、それが実は我々国民に掛かっていることも認識すべきである。そろそろ物価目標の呪縛から日銀を解き放つ必要がある。今年は意外にそのチャンスなのではなかろうか。

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# by nihonkokusai | 2018-01-07 11:13 | Comments(0)

2018年のビックリ予想、日銀の物価目標達成!

 年初ということで2018年の金融市場動向についていろいろと予想や予測が出ていると思うが、意外性のあるものとして物価が日銀の金融政策の目標としている水準に達するというビックリ予想が現実化する可能性が出てきた。

 日銀が金融政策において政府と共有して目標としているのは消費者物価指数である。以前は消費者物価指数の総合であったが、2016年9月の決定会合で長短金利操作付き量的・質的緩和を決定した際、日銀はこの目標とする物価を総合から除く生鮮(コア)に置き換えているので、現在はコア指数(以下、コアCPI)を見る必要がある。

 このコア指数に大きな影響を与えているのは、日銀の金融政策である、と書いたら納得するであろうか。少なくとも私は納得しないし、むしろ何を言っているのだとの反論が多数くることも予想される。日銀の金融政策で物価を動かせるのかとの議論はここ5年程度で決着を見た気がするが、それはさておき、コアCPIを大きく動かせる要因に原油価格がある。

 新年早々の東京株式市場は日経平均がいきなり大幅高となり、幸先の良いスタートとなった、この背景にあったのが米国株式市場の上昇であるが、その背景に経済指標により世界的な景気の拡大が明らかになったことや、景気拡大による需要拡大を見込んだ原油価格の上昇があった。

 その原油価格のベンチマークといえるWTIが2015年につけた61ドル台の目先の高値を抜いてきたのである。このまま原油先物の上昇基調が止まらないとなれば、次の節目は100ドルあたりまで特にない。WTIが100ドル台を回復する理由はいまのところ見あたらないが、今後さらに世界的に景気が拡大する可能性もあり、過剰流動性による余剰資金が入り混むなどすれば、WTIの100ドル台回復が絶対にないとも言い切れなくなってきた。

 日銀の目標のコアCPIの数値は前年比であり、このまま原油価格が上昇基調を続けると当然、CPIに大きな影響を与える。実はこのコアCPIが2%を超えたことが、2000年台にも存在した。2008年7月に日本のコアCPIは前年比2.4%増、8月にも同2.4%増となっていた。このときの物価上昇は、瞬間147ドル27セント(7月11日)、 引け値で145ドル29セント(7月3日)まで急伸していたWTIによるもの、つまり原油価格の急激な上昇によるものであった。

 この背景にあったのが中国など新興国の経済成長による原油への需要の拡大とそれを見越した動きとも言えた。しかし、そのタイミングではすでにサブプライムローン問題が金融市場を脅かしており、その後リーマン・ショックに代表される金融経済危機によって原油価格は急落し、日本のコアCPIも前年比は2009年3月にマイナスに転じている。

 この経験もあってか日銀は「2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続する」としている。つまり何かのきっかけで瞬間的に2%をつけてもそれは物価目標達成とは認めないと意地を張るようである。

 そうはいっても、仮に2%の物価目標が原油価格の上昇を主因に、少し気の早い消費増税の駆け込み需要なども巻き込んで達成されたらどうるのか。世界的な景気拡大、雇用のタイト化等々、物価を側面支援する要因も多くなってきている。これはどうも絵空事ではなくなってきている。むしろ物価目標に固執するあまり身動きの取れない日銀にとっては、より柔軟な政策に変更する良いタイミングとなるかもしれない。

 異次元緩和を含むアベノミクス政策によって、時間はかなり掛かったものの、物価目標の達成が見えてきた。デフレ脱却は間違いない。アベノミクスを支えるリフレ政策は間違っていなかった?(間違っていたとは思うが)。そうなのであれば、マイナス金利政策を修正し、ステルステーパリングではなく、正式にテーパリングも開始することが、物価目標達成とそれによるデフレ脱却をより広くアピールできると現政権に説明すれば、日銀の意地元緩和政策ではなく、異次元緩和政策の軌道修正も可能なのではなかろうか(期待をこめて)。


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# by nihonkokusai | 2018-01-06 11:59 | 日銀 | Comments(0)

もし原油先物が100ドル台回復となれば日銀の物価目標達成も?

 1月3日のニューヨーク原油先物市場でウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は大幅反発となり、中心限月の2月限は前日比1.26ドル高の1バレル61.63ドルで引けた。中心限月ベースでは2014年12月初旬以来、約3年1か月ぶりの高値を付けた。この水準は新たなシェール掘削が正当化されるために必要とされる水準の61ドルを上回っているとされる。

 ここにきての原油価格の上昇は、米北東部を寒波が襲っているためにヒーティングオイルの需要が高まったことなどによる短期的な要因も背景にあるものの、世界的な景気拡大による需要増加などが大きな要因である。

 それだけでなく過剰供給の緩和も当然ながら背景にある。石油輸出国機構(OPEC)とOPEC非加盟国のロシアなどの主要産油国による協調減産の効果が出ている。また、イラクのルアイビ石油相が、世界の原油在庫が減少している一方で、中国とインドの需要が増加していることから、2018年に原油価格が上昇すると楽観視していると述べていた(ブルームバーグ)。

 WTI先物のチャートをみるとすでに4日に62ドル台を付けて、節目とされる2015年につけたの目先の高値を抜けてきた。ただし、原油の需要が急激に増加したわけではなく、ここにきてややショートカバー的な動きも出たとみられ、いったんはこの水準が目先高値となる可能性も高いとみている。

 それでも、もしこのまま原油先物の上昇基調が止まらないとなれば、次の節目は100ドルあたりまで特にない。チャートを見る限りにおいてWTIの100ドル台回復は十分ありうる。ただし、シェールオイルとの兼ね合いなどもあり、WTIが100ドル台を回復する理由はいまのところ見い出せない。それでも2017年12月の世界の製造業購買担当者景気指数(PMI)が、約7年ぶりの水準になるなど、さらに世界的に景気が拡大する可能性もあり、WTIの100ドル台回復が絶対にないとも言い切れないことも確かである。

 景気の回復とそれに伴う原油価格の上昇となれば、日本の物価にも当然影響が出てくる。日銀の物価目標である消費者物価指数(除く生鮮食料品)は、日銀の金融政策などよりも原油価格の影響を受けやすい。原油価格の上昇などを背景に11月の消費者物価指数(除く生鮮食料品)は、すでに前年比プラス0.9%まで上昇してきている。

 ちなみにWTIが100ドルを超えるとなれば2014年7月以来となる。2014年7月の日本の消費者物価指数(除く生鮮食料品)は前年比プラス1.3%、同じ年の4月に直近のピークとなる前年比1.5%をつけていた。これには急激な円安調整、さらにはこの年4月の消費増税を控えての駆け込み需要や便乗値上げなども影響していたことも確かである。

 ただし、今回は2017年のような原油価格の高止まり状態継続ではなく、100ドルに向けた上昇基調となれば、消費者物価指数(除く生鮮食料品)の「前年比」への影響はさらに大きくなる。円安などにはあまり期待はできないものの、世界経済の回復により国内景気も好調を持続し、雇用のタイト化などの物価上振れ可能性要因もあり、これによって日銀の物価目標が達成される可能性もないとは言い切れなくなってきている。。

 そうは言っても、いまのところWTIの100ドル台を正当化しうる材料も見当たらないため、あくまでこれはいまのところ初夢というか、仮定・想定の話ではある。ただし、この点だけは強調しておきたいが、もし仮に原油価格の上昇を背景に日銀の物価目標が達成されたとしても、日銀の異次元緩和が主要因ではない。


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# by nihonkokusai | 2018-01-05 10:17 | Comments(0)

マイナス金利政策の修正の可能性

 日銀の黒田総裁は昨年12月22日の金融政策決定会合後の記者会見において、下記のような発言をしていた。

 「特にリバーサル・レートという学術的な分析を採り上げたからといって、昨年9月以来の長短金利操作付き量的・質的金融緩和について見直しが必要だとか、変更が必要だということは全く意味していません。」

 11月13日のスイス・チューリッヒ大学での講演でも黒田総裁が「リバーサル・レート」について指摘したことで、金融界からの批判も出ていたマイナス金利政策について、日銀はそれをいずれ調整するのではとの思惑が出ていた。しかし、その可能性はないと総裁はあらためて明言した。

 しかし、マイナス金利政策は、どのような経路によって物価や景気に働きかけているのかは不透明であり、金融機関の収益を圧迫するマイナス金利政策は、見直す必要があるのではなかろうかと私は思っている。株式市場や為替市場が動揺するのではとの懸念はあるが、現実には金融株などには好材料となり、株価にプラスに働く可能性すらありうる。

 10月30、31日に開催された日銀金融政策決定会合議事要旨でも下記のような発言が複数の委員からあった

 「複数の委員は「物価安定の目標」の達成を急ぐあまり、極端な金融緩和策をとると、金融不均衡の蓄積や金融仲介機能の低下といった副作用が生じ、結果的に十分な政策効果が得られない可能性があると述べた。」

 また、日銀の宮野谷理事はロイターとのインタビューで、下記のような発言をしていた。

 「ただ、債券キャピタル・ゲインを得られる余地はかなり減少しており、信用コストの一段の低下も期待し難い。そうした中で資金利ざや縮小のデメリットが大きくなり、金融機関の不満が強まっている」

 日銀がすぐにでもマイナス金利政策の調整に動く兆しは、いまのところはない。しかし、今後さらに物価が上昇してくる可能性もある。11月のコアCPIは前年比で0.9%増となり、1%も見えてきた。原油価格も上昇してきている。もちろん2%の物価目標達成には距離はあるが、物価に応じたイールドカーブ形成もいずれ必要となるのではなかろうか。その際にマイナス金利政策から脱すると、むしろ日本の景気回復やデフレ脱却が意識され、その上金融機関の収益の改善も見込めるとなれば、株式市場にとっても悪材料ではなく好材料視される可能性もある。正常化に向けた出口政策は難しくても、景気や物価の状態をみながらの金融政策の微修正ならば検討しても良いのではなかろうか。


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# by nihonkokusai | 2018-01-04 09:40 | 日銀 | Comments(0)

2017年の債券相場を振り返る

 2017年の債券相場を一言で表すと、「動かない」ということになりそうである。債券先物の中心限月(除くナイトセッション)でみると、年内の高値は9月8日につけた151円51銭、年内の安値は2月3日につけた149円28銭。つまり年内の債券先物の値幅は2円23銭しかなく過去最少値幅を更新した。

 また、現物の10年債利回りもマイナス0.015%から0.150%の間の動きとなって、こちらも過去最低の値幅となっていた。

 何故、動かないといえば、日銀のイールドカーブコントロールが効いているとしか言いようがない。日銀が2016年9月に決定した長短金利操作付き量的・質的金融緩和によって、金融政策のターゲットが量から金利に戻り、長期金利そのものもターゲットとなった。ターゲットはゼロ%としているものの、これまでの指し値オペなどの状況からみて、マイナス0.10%あたりからプラス0.1%あたりに置いていると推測され。10年債利回りはほぼその水準に収まっている。

 日銀により10年債利回りが抑えられたのが2月3日であり、10年債利回りが0.150%まで上昇した際に、0.110%水準での指し値オペが実施され、これによって長期金利の上値が抑えられた。また、9月には10年債利回りが一時マイナスとなったが、これは日銀というよりも市場が10年債利回りのマイナス化を高値警戒といったかたちで嫌ったような格好となった。

 FRBは3月、6月、12月のFOMCで追加利上げを決定した。しかし、物価がFRBの想定する水準に届いていないこともあり、米10年債利回りの上昇は限られた。3月に2.6%近辺に上昇したあと、9月に2%近くまで低下し、その後2.5%あたりまで戻した。

 今年はオランダの議会下院選挙やフランス大統領選などもあり、政治リスクも気にされていたが、大きなリスク要因とはならなかった。英国のEU離脱についてもいまのところそれほど大きなリスク要因とはされていない。むしろ北朝鮮や中東の地政学的リスクが意識されたが、こちらも大きく材料視されることはなかった。

 米国株式市場は上昇を続け、3指数は過去最高値を更新し続けた。日本でも雇用を主体とした景気回復もあって、日経平均は23000円近くまで上昇した。物価も前年比で1%近くまで上昇しているが、いまのところ日銀は動く姿勢をみせておらず、長期金利は日銀のターゲットのなかで推移している状況となった。


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# by nihonkokusai | 2017-12-31 12:23 | 債券市場 | Comments(0)

韓国の利上げを指摘した日銀の政策委員の意図とは

 12月20、21日に開催された日銀の金融政策決定会合における主な意見が28日に公表された。このなかで「金融政策運営に関する意見」をピックアップしてみて行きたい。

 「現在の金融緩和政策のもとで、企業や家計の支出活動を支える金融環境は、きわめて緩和した状態にある。」

 これについては異論はない。

 「当面の金融政策運営については、これまでの方針を維持し、2%の「物価安定の目標」の実現に向けて、現在の政策枠組みのもとで、強力な金融緩和を粘り強く進めていくことが適当である。」

 このときの決定会合でも金融政策は現状維持となったが、それについての説明といえる。

 「息長く経済の好循環を支えて「物価安定の目標」の実現に資するべく、現在の金融政策を継続するべきである。」

 現状維持派の意見が続く。ただし、「息長く経済の好循環」を何故、非常時の対応の拡大版ともいえる異次元の緩和政策で支えねばならないのかはわからない。

 「2%の「物価安定の目標」達成にまだ距離がある現在は、金融政策は現状維持が妥当である。」

 つまりまだ出口の議論は早いぞということであろうか。

 「物価上昇の勢いが増す状況には距離があることから、腰を据えて、きわめて緩和的な金融環境を維持すべく、金融政策を運営していくことが必要であると判断している。」

 こちらも同様。

 「2%の「物価安定の目標」を実現するためには、適合的期待による予想物価上昇率の引き上げに時間がかかる可能性があることを踏まえ、強力な金融緩和を息長く続けることが重要である。」

 あれほどの緩和策を打ち出したにもかかわらず、適合的期待による予想物価上昇率の引き上げに時間がかかり過ぎていることについては、どのように説明するのであろうか。

 「今後、2%に向けて物価が上昇し、経済の中長期的な成長力が高まるもとでは、金融緩和政策の効果は強まることになる。そうした環境変化や政策の副作用も考慮しながら政策運営にあたることが必要である。」

 「政策の副作用」という言葉が出てきた。

 「海外の状況をみて「量的・質的金融緩和」の出口を求める議論が盛んである。しかし、直近の韓国の政策金利引き上げの背景を考えた場合、物価は 1.5%程度でアンカーされているといえ、実質GDPは平均3%以上で成長している。さらに、家計の債務残高はGDPの90%にもなっている。韓国の状況と比べても、日本の金融政策の転換は時期尚早である。」

 なぜ、突然、韓国を事例に持ってきたのであろうか。この発言は原田委員からのものとみられるが、日本の金融政策の転換は時期尚早であることを示すのに、韓国の事例を持ち出してくる必要があるのかががわからない。

 「先行き、経済・物価情勢の改善が続くと見込まれる場合には、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みのもとで、その持続性を強化する観点も含め、金利水準の調整の要否を検討することが必要になる可能性もあるのではないか。」

 内容からみて銀行出身の鈴木委員あたりからの発言か。今後、金利水準の調整の要否を検討してくるのかどうか。副作用についての発言とともに、金利水準の微調整についての意見が出てきたことはかなり興味深い。

 「消費税増税や米国景気後退などのリスク要因を考慮すると 、2018年度中に「物価安定の目標」を達成することが望ましく、10年以上の国債金利を幅広く引き下げるよう、長期国債の買入れを行うことが適当である。」

 片岡委員の発言であろう。10年以上の国債金利を幅広く引き下げれば、物価目標が達成できる仕組みについて具体的に説明してほしい、気がする。

 「ETFをはじめ各種リスク資産の買入れについては、株価や企業収益などが大きく改善していることや、今後も堅調に推移すると見込まれることを踏まえると、政策効果と考え得る副作用について、あらゆる角度から検討すべきである。」

 こちらでも「副作用」という表現が出ている。トヨタ出身の布野委員の意見のようにもみえる。ETFの買入に対しても調整する必要はあると思う。これについては市場との対話を重視すればできないことではないと思う。

 「現在の金融緩和政策は、企業の新陳代謝や規制改革によって労働生産性が高まる過程で増大する失業を吸収しうる経済環境を整えることで、労働生産性引き上げにも貢献する。」

 物価はどこに行ってしまったのか。労働生産性引き上げが物価にも影響するということなのであろうが、そもそも現在の金融緩和政策、つまり国債をたくさん買っているような政策がどのように雇用に働きかけているのか。まったく影響はないとは言わないまでも、あくまで金融政策は後方支援的なものではないのかと思うのだが。


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# by nihonkokusai | 2017-12-29 09:30 | Comments(0)

片岡委員の意見への反論に垣間見える日銀の本音?

 日銀は26日に10月30、31日に開催された日銀金融政策決定会合議事要旨を公表した。色々と指摘したいところはあるが、特に興味深かったのが、下記のある委員の意見に対する反論である。

 この「ある委員」とはこの会合において、「イールドカーブにおけるより長期の金利を引き下げる観点から、15年物国債金利が 0.2%未満で推移するよう、長期国債の買入れを行うことが適当であるとして反対した」片岡委員である。

 「ある委員は、より長期の金利を引き下げる観点から、10年物国債金利に代えて、15 年物国債金利が 0.2%未満で推移するよう長期国債の買入れを行うことが適当であるとの意見を述べた。」

 片岡委員はその前の会合で、現在のイールドカーブのもとでの金融緩和効果は、2019年度頃に2%の物価上昇率を達成するには不十分であるとして、金融政策の現状維持に反対したが、対案として新たな議案は出していなかった。そもそも対案が必要なのかどうかはさておき、10月30、31日の会合では具体案を出してきたものの、それに対して複数人から反撃を受けた格好となった。

 「この委員の意見に対して、何人かの委員は、15年物国債金利を引き下げた場合の経済・物価に及ぼす具体的な政策効果や、それをもたらすメカニズムが明らかでないと指摘した。」

 何人かの委員が何人なのかは具体的ではないが、3、4人程度とみて良いか。ここには少なくとも片岡氏と同様にリフレ派とされる岩田副総裁、原田委員や櫻井委員ではない可能性が高い。そのあとにもう一人の委員が下記の発言をしている。

 「この点について、別のある委員は、15年物金利のような超長期ゾーンの引き下げは、保険や年金の運用利回りの低下などを通じ、国民のマインド面に影響を及ぼすことが懸念されると付け加えた。」

 これは発言内容からみて鈴木委員の発言ではないかと思われる。そうなると何人かの委員には審議委員だけでなく、黒田総裁もしくは中曽副総裁が含まれている可能性もありうるか。

 片岡委員はこれもあってか、次の12月の決定会合では下記のように意見を修正している。

 「2018年度中に「物価安定の目標」を達成することが望ましく、10年以上の国債金利を幅広く引き下げるよう、長期国債の買入れを行うことが適当であるとして反対した。」

 10月30、31日の会合での片岡委員の意見に対して複数人が反論してきたのは、何かしらの逆鱗に触れた可能性もありうるか。

 10月30、31日の会合では実は下記のような発言もあった。

 「大方の委員は、現在の金融市場調節方針のもと、強力な金融緩和を粘り強く推進していくことが適切であり、現時点で追加緩和を行うべきではないとの認識を共有した。」

 あえて「追加緩和を行うべきではない」との強い表現としたのは何故か。ここに日銀としての本音が隠れているように思われる。これは片岡委員の追加緩和の提案に対する複数人からの反論にも現れたということではなかろうか。

 現在の日銀はよほどの事態が発生しない限りは追加緩和を講じることは想定していないと思われる。これは物価目標の達成の有無に関わらずである。それは現在の強力な緩和策であれば、それで十分効果が出てくるとの認識によるものと思われる。

 ただし、現実には上記反対者の言葉を借りると、異次元緩和を講じた場合の「経済・物価に及ぼす具体的な政策効果や、それをもたらすメカニズムが明らかでない」ことも確かではなかろうかと思う。それでも、これからさらなる深みにはまることは避け、量の調整も可能な現在の長短金利操作付き量的・質的緩和を継続させざるを得ないのではなかろうかと思われる。


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# by nihonkokusai | 2017-12-28 10:05 | 日銀 | Comments(0)

今後の物価上昇シナリオもありうるか

 12月26日に発表された11月の全国消費者物価指数は総合指数が前年比プラス0.6%と10月のプラス0.2%からプラス幅を拡大させた。日銀の物価目標となっている生鮮食品を除く総合は前年比プラス0.9%と10月の0.8%から小幅拡大させた。生鮮食品及びエネルギーを除く総合も前年比プラス0.3%と10月のプラス0.2%から拡大させた。

 ガソリン価格の前年比値上げ幅が拡大したほか、食品や外国パック旅行費などが指数を押し上げた格好となった。電気代やガス代、携帯電話料金は押し下げ要因となっていた。

 物価はじりじりと前年比プラス幅を拡大させているものの、日銀の物価目標の2%にはまだ距離があり、これによって日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和政策が調整されることはないというのが一般的な見方になろうか。

 26日には10月30、31日に開催された日銀金融政策決定会合議事要旨の発表もあったが、このなかで以下の記述があった。

 「一人の委員は、資本および労働市場の双方において過大な供給余力が残存していると見込まれるほか、2019年の消費税率の引き上げを踏まえ、現時点で追加緩和策を講じ、「物価安定の目標」の早期達成への確度を高めるべきであると主張した。」

 上記の発言は片岡審議委員によるものと思われるが、ここで注意したいのは追加緩和についてではなく、「2019年の消費税率の引き上げ」の部分である。

 前回の消費税の引き上げは2014年4月であったが、消費者物価指数(除く生鮮)は2013年4月の日銀の量的・質的緩和政策の導入時の前年比マイナス0.3%から、消費増税の引き上げが実施された2014年4月にはプラス1.5%にまで上昇した。

 しかし、2014年4月以降の消費者物価指数(除く生鮮)の前年比はプラス幅を縮小させ、2015年2月にはゼロ%となっていた。

 これは一見、日銀の異次元緩和が効果を発揮して物価を前年比1.5%まで押し上げたが、消費増税によって個人消費が低迷し、人々の予想物価も低下し、その結果物価はゼロ%を下回ってしまった、かに見えなくもない。そうであれば、片岡委員の発言に意味はありそうにみえるが、本当にそうであろうか。

 そもそも2013年4月の日銀による異次元緩和導入時から消費増税時までの物価の上昇は、急激な円安、それによる株高と株高による地合の改善、そもそもの円高株安の大規模な調整の背景にあった世界的規模のリスクの後退、それによる欧米の景気の回復、さらには消費増税前の駆け込み需要と便乗値上げ等によって説明ができるのではなかろうか。

 消費増税後の物価の低迷は原油価格の下落も大きな要因となった。消費増税が実施された2014年4月に100ドル程度で推移していた原油先物(WTI)は2015年入り50ドルを割り込んでいた。消費者物価指数は原油価格に大きな影響を受けているのは言うまでもない。

 前置きが長くなってしまったが、結果として何が言いたいのかといえば、2019年10月の消費税の引き上げに向けて今後、物価が上昇していく可能性があるという点である。片岡委員は消費増税後の事を心配しているのかもしれないが、その前に消費者物価指数は日銀の物価目標に再び接近する可能性もある。

 これには原油価格が上昇気味に推移し、日米の金利差なども意識しての円安ドル高なども想定し、そこに今回も駆け込み需要や便乗値上げが絡むといった想定も必要となる。むろん、これも日銀の異次元緩和の影響によるものではなく、外部要因によるものではあるが、そんなシナリオも描けるのではなかろうか。これで日銀が出口に向かうのかはさておくが。


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# by nihonkokusai | 2017-12-27 10:39 | 景気物価動向 | Comments(0)
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