牛さん熊さんブログ

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無償化財源に教育国債という安易な考え方

 2月8日の日経新聞によると、自民党は大学などの教育に関する財政支援に必要な財源を確保するため「教育国債」の議論を近く始めるそうである。安倍首相は1月の施政方針演説で「誰もが希望すれば高校にも専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければならない」と述べ、高等教育の無償化に意欲を示した。教育無償化はもともと日本維新の会が改憲案の柱として掲げてきた。


 ただし、全国の大学・短大が学生から1年間に徴収する授業料総額は約3兆1000億円に上るという(時事通信)。大学に限っても巨額の財源が必要となる。麻生財務相は6日の衆院予算委員会で、教育国債について「償還財源の当てはない。実質は親世代が税負担や教育費から逃げるため、子どもに借金を回すものだ」と述べ、否定的な見解を示した。


 ここにはいくつかの大きな問題が潜んでいる。「誰もが希望すれば、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければならない」との首相の訴えは理解できなくはないが、とにかく大学に行けば良いという考え方にそもそも問題はなかろうか。


 これは国民の理解が得やすく、これをきっかけに憲法改正に持っていきたいとの意図も見え隠れし、日本維新の会と自民党の関係強化も狙いのようにみえる。このあたりの問題については、ここではひとまず置いて、その財源として浮上している「教育国債」にも大きな問題があると思われる。


 そもそも財源の目処もないものについて国債を発行すれば良いという考え方があまりに安易すぎる。たしかにいまの日本の債券市場では日銀が異常な量の国債を買い入れていることもあり、需給はかなりタイトとなっている。日本国債の利回りも日銀の長短金利操作によって低位に押さえつけられており、国債を発行しやすい環境にあることは確かである。しかし、この環境そのものがすでに変化してきており、このような好環境が未来永劫続くと予想することの方が危険である。日銀もいずれは出口政策を議論せざるを得なくなる。


 それでなくても2020年までのプライマリー・バランスの黒字化達成には赤信号が点滅している状況となっているところに、名称を変えたといえど国債を増発するには無理があろう。いまならば年間5兆円程度の国債を増発しても日本の債券市場での需給面では何ら問題はなく、いくらでも調整は利くだろうとの見方もあろうが、国債は打ち出の小槌ではない。市場がいくら安定していようが、市場参加者が日本国債に対するリスクを完全に忘れ去っているわけではない。国債を発行せずに、その分はあらたな税収で賄うものであれば話は別だが、償還財源の当てのない国債を発行することによって財源を補うという考え方は、やや安易な発想と指摘せざるを得ない。



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# by nihonkokusai | 2017-02-15 09:34 | 国債 | Comments(0)

FRBも次第にトランプ色が強まることに

FRBは10日、タルーロ理事が今年4月5日をメドに退任すると発表した。タルーロ理事がトランプ大統領に退任の意向を伝える手紙を提出したそうである。タルーロ理事はオバマ前大統領の指名を受け2009年1月28日に就任した。空席となっていた金融監督担当副議長の任務を代行し、金融危機後の金融システムの規制強化に関わった。任期は2022年1月末まで残っていた(日経新聞電子版)。

FOMCの投票権のあるメンバーは理事会から7名の理事と、地区連銀から5名の地区連邦銀行総裁の合計12名によって構成される。現在のFRB理事の布陣は、ジャネット・イエレン議長、スタンレー・フィッシャー副議長、ダニエル・タルーロ理事、ジェローム・パウエル理事、ラエル・ブレイナード理事の5名である。FRBの理事会は本来、7人の理事で構成されるが現在空席が2つある。

タルーロ理事は、FRBの金融監督当局者として新たな規制の導入を主導するなどし、金融危機や深刻な景気後退への対応に尽力、最も厳しい銀行監督当局者の一人として高い評価を得ていた。しかし、金融規制を見直す大統領令にトランプ氏が署名するなど、今後は規制緩和の動きを強めることが予想され、タルーロ氏が退任表明は想定内との見方もあった。タルーロ氏が退任する意向を示したとのニュースが伝わると、株式市場では銀行株が上昇するなどしていた。

これで4月5日以降のFRB理事の空席は3つとなる。さらにイエレン議長の任期が2018年1月までとなっており、トランプ氏は再任しないことをすでに表明している。またフィッシャー副議長の任期も2018年中となっている。

トランプ氏は空席となっているFRB理事の3つの席をいずれ指名してくると予想され、いずれ議長、副議長も変えるとなれば、FRB理事会がトランプ色の強いものに刷新される可能性が出てきた。ラエル・ブレイナード理事はトランプ候補と大統領選挙で戦ったクリントン氏に近く、いずれブレイナード理事の去就が注目されることがあるかもしれない。

トランプ政権がFRBの政策に対してどのような認識を持っているのかはいまだはっきりしていない。ただし、現在の正常化路線については否定はしておらず、過度な金融緩和を求めるようなことはせず、ファンダメンタルに即したある程度の金利上昇も容認してくる可能性はある。このあたりが次第にはっきりしてくると、今後のFRBの政策にも影響が出てくる可能性があり、それはつまり日銀の金融政策の行方にも影響を与えてくる可能性がある。


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# by nihonkokusai | 2017-02-14 09:28 | 中央銀行 | Comments(0)

日本の債券先物の建玉が10兆円台に復活した理由



 2月3日に大阪取引所に上昇している長期国債先物の中心限月の建玉が10兆円を回復した。債券先物の建玉が10兆円台を越えたのは2016年2月4日以来となる。この日付けを見てピンと来た人もいるのではなかろうか。この数日前となる1月29日の日銀金融政策決定会合でマイナス金利付き量的・質的緩和の導入を決定していた。


 昨年1月29日に日銀が決定したマイナス金利政策により、その後の国債の利回りは20年ゾーンあたりまでマイナスとなってしまった。債券市場では日銀のマイナス金利政策による国債利回りのマイナス化を受けて参加者が減少し、その結果として債券先物の建玉も減少していったのである。


 国債の利回りのマイナス化により、銀行や年金や生保などの資金運用に支障を来すようになり、日銀のマイナス金利政策に対して金融機関からも批判が相次ぐようになった。三菱東京UFJ銀行は国債市場特別参加者制度の資格を返上したが、これも国債利回りのマイナス化が影響していたといえる。


 こうした金融機関などからの批判を受け、日銀は総括的な検証を行うとともに昨年9月に長短金利操作付き量的・質的緩和政策を決定した。これまで日銀は操作できないとしていた長期金利を操作対象に加えたわけであるが、この政策の目的はマイナス金利政策の修正と言えた。


 つまり国債のイールドカーブをある程度スティープ化させて、金融機関の資金運用をやりやすくさせることが目的となったのである。これを受けてマイナスに沈んでいた10年国債の利回りがプラスに浮上し、債券市場での売買高も回復基調となった。債券市場の機能が回復し、それを示す象徴的なもののひとつが、この債券先物の建玉の10兆円台回復と言える。


 しかし、問題はこれからである。債券市場を取り巻く環境は改善しつつある。世界的な過度のリスク要因は後退し、原油価格の上昇もあり、欧米を中心に物価はしっかりしてきた。FRBの利上げとその背景にある雇用の改善等で米長期金利は2.5%近辺まで上昇してきた。日本の金利も上昇圧力が強まりつつある。そのなかにあって日銀は長期金利を国債の買入オペの調節で抑えようとしているが、その調節は容易なことではない。2月3日に日銀は指し値オペを実施したが、これは頻繁に使えるものでもない。債券市場の機能が回復すればするほど、市場を無理矢理押さえ込むには無理が生じることにもなるのである。



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# by nihonkokusai | 2017-02-13 09:52 | 債券市場 | Comments(0)

中国の国債先物市場に異変が生じた理由とは

 中国の国債先物市場に昨年10月あたりから異変が起きているとロイターが報じている。昨年11月の5年債と10年債の先物の取引高は8200億元と前月から倍増。さらに12月は過去最高の1兆7700億元へと2倍に増えて、わずか3か月間で4倍に膨れ上がった。1月も旧正月の連休があったにもかかわらず、約1兆2000億元と高水準を維持しているという。


 現在のかたちでのデリバティブ、つまり金融派生商品が登場したのは米国のシカゴにおいてである。ニクソン・ショックを経て、1972年にシカゴ商業取引所(CME)で通貨先物取引が開始された。1975年にはシカゴ商品取引所で初めて金利先物が上場され、こののち金融の世界にもデリバティブ取引が世界的に広がって行くことになる。シカゴで始まった先物取引は、江戸時代における日本の大阪(大坂)の堂島における米の先物市場が参考にされたとされる。


 1985年10月に日本において戦後初の金融先物市場として東京証券取引所に上場したのも長期国債先物(債券先物)取引であった。米国に続いて英国そして日本、ドイツ、フランスなどの先進国が国債先物を相次いで導入することとなった。1998年のアジア通貨危機後は、危機によって損害を被った韓国やシンガポール、香港、台湾などの国・地域で国債先物取引が次々と導入される。


 中国も1992年に国債先物取引を導入していた。しかし、市場環境の整備が十分でなかったことなどから、1995年2月23日に上海証券取引所で巨額の決済不履行が発生し、取引が停止に追い込まれた。この事件は先物の対象銘柄番号から「327事件」と呼ばれた。


 その後の中国の国債発行額は年々増加し、規模はアジアで2番目となってきた。市場も整備され、1996年以降は中国において金利の市場化に向けた改革も進展した。このため中国金融先物取引所(中金所)は国債先物取引を2013年9月6日に再開したのである。


 再開したものの、中国の国債利回りが低迷していたことでヘッジの需要は弱く、商いがさほど盛り上がってはいなかった。ところが昨年、中国政府が金融政策を引き締めに転換し、中国の国債利回りが3年ぶりに底を打った格好となったことで、国債先物の取引も盛り上がってきた。


 ただし、この中国の商いの急激な増加の主役は個人とされる。日本の債券先物取引は1985年のスタート当初こそ個人の参加がみられたが、現在はほとんど個人は参加していない。個人向けの債券先物のミニ取引も低迷している。それに対し中国では個人が投機的な目的で参入し、その分、価格変動も大きくなっているものとみられる。


 個人が債券先物取引に参入することは決して悪いことではなく、債券先物取引の裾野を拡げるためにも必要と思う。しかし、個人が先導して国債先物取引を行っているというのは、やや危うい面も感じざるを得ない。



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# by nihonkokusai | 2017-02-11 10:57 | 日銀 | Comments(0)

日銀が国債残高の4割を保有する意味はあるのか

 日銀が保有する国債の残高が1月31日現在、358兆1977億円となり(日本銀行が保有する国債の銘柄別残高の合計数字)、1月末時点の国債の発行残高、約894兆3357億円に占める日銀の保有割合は初めて4割を超えた。着実に日銀が保有する国債残高は増え続けている。いずれ発行残高の5割を越える日もくるかもしれない。これがいったい何かを示すのかをあらためて考えてみたい。


 そもそも日銀が2013年4月に量的・質的金融緩和を導入する直前の2013年3月末は11%程度に過ぎなかった国債の保有割合が、4年足らずの間に40%にも増えてしまっている。日銀は何のために、これほどの国債を購入したのか。しなければいけなかったのか。


 それは物価を上げるためではなかったのか。しかし、その物価は上がるどころか前年比マイナスという水面下にいる。これは日銀の国債買入が少なすぎたから、というわけはなかろう。結論から言えば、日銀がいくら異次元の国債買入をしようとも物価は動かせなかった。結果として日銀の大量の国債残高が残り、長期金利を操作するという手段に追い込まれた。これにより国債買入の額を減らすに減らせない状況に追い込まれてしまった。


 それだけではない。金融市場における中核的な存在であったはずの国債の流動性を日銀は低下せしめた。年間発行額のほとんどを日銀が買ってしまうため、一般に出回る国債の量が急減した。


 ところが異常な金融緩和を続けなければいけない状況にいま日本が陥っているわけでもない。日銀は無理矢理に国債の利回りを押さえつけているが、これでいったい何をしたいのかがわからない状況になりつつある。もし日本の長期金利を抑えれば、日米金利差が拡大して円安になり、円安により物価に刺激を与えようとのシナリオであれば、今度はトランプ政権が黙ってないであろう。


 日銀は昨年9月の長短金利操作付き量的・質的緩和政策の決定により、調節目標をマネタリーベースから金利に差し替えている。それにもかかわらず保有残高の増加額年間約80兆円というめどの数字を残してしまったために、本来削減すべき国債残高を削減できずにいる。いや削減しようとしたが、市場参加者との意志の疎通がうまく行かず、その結果、指し値オペなど含めて、余計に買わざるを得ない状況に追い込まれてしまった。


 日銀はそろそろ腹をくくって、多少の円高となろうが、マイナス金利政策を止めて、80兆円という目処の数字も取り除き、ファンダメンタルに即した長短金利の居所を修正する方針に改めるべきではなかろうか。あくまでこれは引き締め策ではなく、異次元緩和を通常次元に戻す調整として行えば良いのではなかろうか。そうでもしないと今後は矛盾がどんどん拡がるばかりとなりかねない。



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# by nihonkokusai | 2017-02-10 09:43 | 日銀 | Comments(0)

日銀の政策委員はイールドカーブ・コントロールをどう考えているのか

 日銀は8日に金融政策決定会合における主な意見(1月31日、2月1日開催分)を公表した。このなかの金融政策運営に関する意見において次のようなものがあった。

 「日本は2%の物価安定目標からほど遠い位置にあるので、米国の金利が上がっても、短期金利をマイナス0.1%に、10年物国債金利を0%程度に維持する形で、イールドカーブ・コントロールを続けるべきである。」

 短期金利をマイナスにし、長期金利をゼロに押さえ込めば何故、物価目標を達成できるのか。この意見のキーは「米国の金利が上がっても」という箇所にあろう。つまり日米の金利差を拡大させることで、「円安」効果を狙っている事を示している。これを知ったらトランプ氏がゴルフ場で文句を言ってきそうである。

 「わが国の経済・物価情勢は着実に改善しているが、海外経済を巡る不確実性等も踏まえると、早急な政策変更には慎重であるべきである。当面は、現行の枠組みの下で、粘り強くその効果を見守ることが肝要である。」

 「早急な政策変更」とは何であろうか。文脈から察するにこれは追加緩和よりも引き締め転換を意識したものとみられる。つまり長期金利には上昇圧力が掛かっているが、長期金利の目標水準の引き上げといった「早急な政策変更」は当面、避けるべきとの意見であろう。これはつまりその分、潜在的な利上げ圧力が加わりつつあるとの見方ともなる。

 「米国長期金利の上昇などを受けて、日本銀行が長期金利の操作目標を引き上げるのではないかとの憶測も聞かれるが、2%の物価安定目標にはまだ距離があるため、現在の方針を堅持することが何より重要である。」

 ここではっきり「長期金利の操作目標を引き上げ」と言及している。物価安定目標にはまだ距離があるためにそれは避けるべきというのは、日米の長期金利差が意識されていることになる。

 「現行の金融政策の枠組みは所期の効果を発揮している 。オペレーションの柔軟な調整等、その運用についても市場は冷静に受け止めている。」

 現行の金融政策の枠組みは所期の効果を発揮していないし(物価はマイナス)、オペレーションの柔軟な調整等、その運用についても市場は冷静に受け止めておらず、慌てた日銀は3日、指し値オペ実施に追い込まれているのだが。

 「グローバルな市場の不透明感が高いもと、些細なことでレベル感は大きく変わり得るものであり、そうした時にイールドカーブのコントローラビリティに対する市場の疑念が高まりかねない。執行部に一定の裁量を持たせ、肌理細かな調節運営を引き続き行うことが重要である。」

 前半部分には同意であるが、執行部に一定の裁量を持たせ、肌理細かな調節運営を行おうとした結果が、ここにきての国債買入を巡るゴタゴタの要因となっている。債券市場のマインドを読みながら、しっかり対話を行った上で、適切な調節運営が求められるが、それがうまくいっているようには思えない。

 「イールドカーブ・コントロールのもとでは、国債買入れオペの金額やタイミング、回数などは実務的に決定され、日々のオペ運営によって先行きの政策スタンスを示すことはないことを、改めてはっきりと説明していくことが重要である。」

 金融政策のスタンスそのものは政策委員が決定することである。ただし、国債買入の継続性に問題も生じ、それに対してテーパリングと映らないよう、金利の上昇圧力が強まる環境のなか、買入額の縮小を図るという、なかなか困難な対応を日銀の執行部に求めているようであるが、それには限界があることも露見しつつある。

 「日本銀行は、短期金利だけでなく、長期金利についても、 2%の物価安定目標を安定的に実現するために操作を行っている。このため、物価が低位で推移するもとで、米国長期金利が大幅に上昇すると、長期金利目標を実現するための金利操作は一層困難度合いが高まる。この点からも、イールドカーブ・コントロールの枠組みを見直すメリットは大きい。資産買入れ額に新たに目標を設定し、それを秩序だって段階的に低下させていくことが、政策の持続性と市場の安定性を高める。」

 これが正論であると思う。しかし、これはどう考えても緩和策の修正に映ってしまうため、それが建前上できないところにいまの日銀の金融政策の矛盾点がある。  「10年金利の目標をゼロ%程度とすることに反対であり、望ましい経済・物価情勢の実現に最適なイールドカーブの形状は適度にスティープであるべきと思う。また、理論的には、国債買入れの進捗とともにストック効果から金利低下圧力がかかるので、金融調節方針と整合的なイールドカーブ実現のためには、市場の反応を慎重に探りつつ減額を模索していけばよい。経済・物価情勢の改善を先取りして長期金利が上昇する場合、市場追随で政策を調整していくのがプルーデントな政策運営と思う。なお、短国買入れについては、市場動向を慎重に見極めつつ一段の減額を模索すべきである。」

 こちらについても同意である。この2つの意見は木内委員と佐藤委員の意見と思われるが、このふたりの委員は7月で任期満了となる。こういった正論から日銀はさらに遠ざかってしまうのであろうか。


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# by nihonkokusai | 2017-02-09 09:49 | 日銀 | Comments(0)

フランスの大統領選挙の行方が市場の波乱要因に

 2月6日の欧米市場の動きは少し変わっていた。それが顕著に現れていたのが国債市場である。欧州の債券市場ではフランス、イタリア、スペインの国債が売られた反面、ドイツや英国の国債が買われ、米国債も買われた。リスク回避のような動きにも見えるが、どうやらその起点はフランスにあった。だからリスク回避の動きにも関わらずフランスの国債が売られたのである。

 4月から5月にかけてフランスでは大統領選挙が実質される。最新の世論調査では、当初最有力とされた中道右派のフィヨン氏が家族のスキャンダルで支持率が落ち込み、ルペン氏が首位に立っている。それを中道のマクロン氏と中道左派のアモン氏が追う構図となっている。その中道・無党派のエマニュエル・マクロン前経済相には不倫疑惑が浮上した(ロイター)。ここにきて主要候補者にさらなるスキャンダルが浮上したことで相対的に極右政党・国民戦線のル・ペン候補が優位となりつつある。

 ルペン氏は4月23日に行われる第1回投票では勝ち残っても、5月7日の決選投票でマクロン氏に敗れるとの大方の予想となっていた。しかし、このあたりの読みも怪しくなりつつある。米国の大統領選挙をみてもわかるように予想がまったく通用しなくなっている。

 フランス大統領選挙前には3月にオランダで選挙が実施される。この結果次第ではポピュリズム政党がさらに勢いを増し、反EUを掲げる国民戦線の支持率が高まる可能性がある。それが6月に実施されるフランスの国民議会選挙に影響を与え、社会党と共和党によるフランスの二大政党制を揺るがす可能性も出ているのである。

 その注目のルペン氏は6日の大統領選挙に向けた決起集会で、米国のトランプ政権の発足やイギリスのEU離脱の決定などを踏まえ、フランスも自国の利益を最優先にすべきだという立場を鮮明に打ち出した。英国が欧州連合の離脱を選択したことを称賛するとともに、フランスの有権者に対し「国益を第一とする」トランプ氏支持者に続くよう呼び掛けた。

 ポピュリズムの流れがフランスにも押し寄せるのではないかとの危惧から6日にフランス国債が売られ、外為市場では円が買われるなどのリスク回避型の動きが生じたといえる。

 また、ルペン氏のアドバイザーによると、ルペン氏は当選した場合、直ちに欧州連合首脳と欧州中央銀行の会議を招集し、かつての欧州通貨単位のような各国通貨のバスケットを採用してユーロに代えるよう要請する考えだいう(ブルームバーグ)。

 仮にユーロの中核ともいえる国のひとつフランスがユーロを離脱するようなことになれば、ユーロというシステムそのものの崩壊は免れない。まさに危機的状況を迎えることとなる。フランス大統領選挙の前にオランダでの選挙の動向にも注意したいが、いずれにしてもポピュリズム政党が勢いを増すようなことになると欧州そのものが新たなリスク要因となる懸念がある。


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# by nihonkokusai | 2017-02-08 09:47 | 国際情勢 | Comments(0)

日銀と債券市場の仁義なき戦い

 いずれ陥るであろうとされた日本銀行と債券市場との仁義なき戦いが始まった。そもそもの発端は、債券市場参加者が忌み嫌うリフレ政策を安倍政権が取り入れたこにある。日銀が大胆な金融緩和を実施すれば物価が上がり、デフレは解消するとしたのが2012年11月に登場したアベノミクスである。

 その手段として取りあげられたのが、2013年4月に日銀が決定した量的・質的緩和であった。日銀が国債を大胆に買い入れる。量とともに期間の長い国債も買い入れることにより、出口政策を遠ざけ、背信の陣を敷いた。そして大量の国債を市場から吸い上げることで債券市場の流動性も後退させることになる。

 市場から大量に国債を買って量を増やせば自ずと物価は上がるはずだったが、上がらない。そこで日銀は2014年10月にさらなる国債の買い入れ増額を決定する。量的・質的緩和の拡大である。これで国債の年間発行額の9割を日銀が買い入れることになる。これにより民間で買える国債の量はさらに減った。国債の利回りそのものも抑えられ、民間資金による国債の運用の場は狭まった。それでも市場参加者はなんとか耐えていた。しかし、その我慢に限界が来るのも時間の問題となった。そのきっかけは2016年1月に日銀が決めたマイナス金利付き量的・質的緩和であった。

 日銀のマイナス金利政策に市場は素直に反応し、10年債利回りどころか20年債利回りまで一時マイナスとなった。しかし、これによる民間での資金運用にマイナスの影響が出始めた。大手銀行や生保などのトップから批判が相次ぐなど、日銀にとって無視できない自体となった。

 その結果、それを修正してイールドカーブを立たせて民間に運用益を確保させようと決定したのが2016年9月の長短金利操作付き量的・質的緩和となった。過去の政策を否定できないため、次々と足し算しか出来なくなった日銀の金融政策は長期金利操作を加えるという荒唐無稽の手段に出た。それまで長期金利はコントロール出来ないという日銀の立場をあっさり覆したのである。

 長期金利を中央銀行がコントロールできるのか。そもそも物価をコントロールできるのかという大問題はとりあえず置いて、長期金利のコントロールについてあらたな社会実験が始まった。

 日銀の長期金利のコントロールは国債買入オペという手段を通じて行うことになった。すでに債券市場では日銀の国債買入による影響が非常に大きなものとなっていただけに、細かな買入調節(細かいといっても100億円単位だが)によって、国債の利回りの跳ね上がりや下がりすぎにブレーキを掛けようとした。しかし、これもあくまで金利が上がりにくい環境にあればそれも可能たったのかもしれない。

 ところがすでにFRBは利上げを行うなど非常時の対応が必要な危機的環境からは正常な段階に移行しつつある。原油価格も下げ止まり、リスク回避による円高圧力も後退した。欧米では物価がしっかりしつつあり、日本でも足元のコアCPIは前年比マイナスにあるが、近いうちに水面上に浮上し、前年比プラス1%程度あたりまで上昇してくることが予想されている。

 さらにもうひとつ日銀には大きな課題が課せられていた。国債買入への限界である。来年度の国債発行額の減額もあり、日銀は言葉にこそ出せないがあれを行う必要がある。だから1月の中期ゾーンの国債買入を1回スキップしたのである。あれとは国債買入額の縮小(テーパリング)であった。

 そんななかにあってのファンダメンタルズに即した長期金利の上昇を果たして日銀が抑制できるのかという課題が生じてきた。日銀としてはイールドカーブを立たせるためある程度の長い国債の利回り上昇は好都合となる。ファンダメンタルズに沿った長期金利上昇も本来容認したほうが、テーパリングにも好都合となる。ところが、長期金利についてはゼロ%と言ってしまった手前、ここをどう落とし前をつけるのかが課題となった。

 その結果が2月3日の変則的な時間帯(14時ではなく前倒しの12時半)の指し値オペとなった。これにより市場との対話どころか、完全に債券市場参加者の多くを敵に回してしまった格好となった。通常の国債買入で日銀に5年超10年以下を売った業者などが馬鹿を見た。さらに3日の通常オペのスタンスからはある程度日銀は長期金利上昇を容認とも読み取れ、売却した業者も多かったのではなかろうか。ところが日銀は0.110%という0.100%でもなく0.150%でもない、何を考えているのかというレベルで指し値オペをオファーした。

 この指し値オペで7239億円の国債を吸い上げてしまった。これでなんとか市場と折り合いをつけた(ように見えた)1月の中期ゾーンの減額分をより長いもので補充してしまった格好である。これで市場参加者と遺恨も残すこととなってしまった。

 3日の12時半の「指し値オペ」の実施は、日銀がコントロールしようとしている長期金利を決定している債券市場のマインドを日銀はまったくと言って良いほど読めていないことを示すとともに、日銀は慌てると何をしてくるのかわからないという不安感も市場に与えることとなった。

 6日は3日のゴタゴタがなければオペなしでもおかしくはなかったが、5年超10年以下4500億円、10年超25年以下1900億円、25年超1100億円を日銀は通常時間で国債買入オペをオファーした。すでに市場参加者は何が起きてもおかしくないとみており、これを受けて動くのは止めたように思える。

 そもそも日銀は市場と対話する気があるのか。本音で意見交換できるのか、もしそれがそれが無理となれば、市場は日銀がコントロールすることなどできないことを市場自らが示してくることも今後予想されるのである。

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# by nihonkokusai | 2017-02-07 10:10 | 債券市場 | Comments(0)

日銀が懸念しているのはトランプリスクか

 日銀は1月31日の金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決定した。1月25日の国債買入で予想された中期ゾーンの買入をスキップし、27日には5年超10年以下の国債買入を前回の4100億円から4500億円に増額するなどし、「保有残高の増加額年間約80兆円」というめどの数字を修正、もしくは削除してくるのではとの見方があったが、それは今回見送られた。

 すでに日銀は金融政策の調節目標をマネタリーベースという量から、長短金利という金利に変更しており、国債買入額の「80兆円」という数字にあまり意味はない。むしろ来年度の国債発行額の減少や、物価等のファンダメンタルズの好転による長い金利の上昇に伴う国債への国内投資家ニーズの増加を考慮すると、80兆円という買入はかなり困難になることが予想される。それでも外為市場や株式市場への影響等も考慮するとなかなかこの数字を下ろすことはできないようである。ただし、国債買入における調整は今後も継続されるとみられ、日銀の国債買入はかなり柔軟なものとなるであろうと予想される。

 日銀は31日に展望レポートも公表した。ここでは2016年度と2017年度の経済成長率見通しをそれぞれ上方修正した。2016年は前回10月発表分の1.0%から1.4%に、2017年度は同1.3%から1.5%に上方修正した。また消費者物価指数(除く生鮮食品)の見通しは2016年度分は10月のマイナス0.1%からマイナス0.2%に下方修正したが、ここにきてのコアCPIの足元数値を確認してのものとみられる。2017年度については1.5%という強気の数字を維持している。ただし、2月のコアCPIあたりからプラスに転じると予想されており、1.5%と言う数字はさすがに高いとみられるが一時的にそれに近い数字となることもありうるか。しかし、今後の見通しについては展望レポートで日銀は次のようなリスクも指摘していた。

 「経済の見通しについては、海外経済の動向を中心に下振れリスクの方が大きい。物価の見通しについては、海外経済や中長期的な予想物価上昇率の動向を中心に、下振れリスクの方が大きい。」

 海外の懸念材料とは、具体的な名前は出してはいないが、いわゆるトランプ米国大統領の登場とトランプ大統領による保護主義的な政策への懸念が挙げられよう。さらには保護主義的な政策がフランスやドイツの選挙などを通じて拡大する懸念を示しているのではないかと予想される。たしかに今年の経済や物価のリスクとして、これは意識せざるを得ないとみられる。

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# by nihonkokusai | 2017-02-05 16:14 | 日銀 | Comments(0)

債券市場のマインド読めず、失敗を繰り返す日銀

 2月2日に実施された10年国債の入札は最低落札価格100円07銭、平均落札価格100円12銭と最低落札価格は少し予想を下回り、テールは5銭と前回の3銭からやや流れた。応札倍率は3.62倍と前回の3.59倍を上回るが、結果はやや低調との見方となった。ただし、あくまで「やや」低調であり、それほど悪い結果ではなかった。

 しかし、10年債の0.1%近辺での投資家ニーズは長い年限の国債と比較して割高となっており(日銀の長期金利ターゲットで特に長期金利が押さえつけられた影響)、それほど盛り上がらなかったようである。それに加えて、日銀の国債買入対応として入札する業者も、日銀の今後の国債買入に向けた対応等がトランプ政権のプレッシャーも伴って(円安誘導ととられる政策が取りづらくなる)読み切れていなかったようである。

 ここで市場は日銀のイールドカーブコントロールによる長期金利の居所を改めて探りに来た。日銀のオペタイムは午前が10時10分、そして午後は14時となる。このため、14時前に市場は日銀が想定するとみていた長期金利の上限、0.100%を試しにいったのである。しかし14時に、一部期待したようなオペレーションは入らず、その結果、2日の10年債利回りは0.115%まで上昇した。

 そこであらためて注目されたのが、3日の10時10分の日銀による国債買入のオファーとなった。長期金利が0.1%という節目を越えたことで、日銀がどのような対応を行うのかが焦点となった。

 3日の10時10分の日銀の国債買入のオファーは、国庫短期証券買入1兆円、国債買入(残存期間1年以下)700億円、国債買入(残存期間5年超10年以下)4500億円となった。

 これをみて外為市場ではドル円が113円台にまで一時上昇したが、これは31日に発表された日銀の「当面の長期国債等の買入れの運営について」で5年超10年以下を4100億円としていたが、それがこの日のオペでは4500億円に再び増額したため、アルゴが単純に日本の長期金利低下による円安として反応したのではとの観測があった。これは見方を間違えていた。債券市場関係者の反応は債券先物をみるとわかるとおり、「売り」であった(長期金利で言えば上昇)。

 債券市場関係者が「売り」で反応した理由は、5年超10年以下のところの増額が前回と同様の400億円にとどまったこと(最大5300億円まで、つまり1200億円増まで可能)、さらに金利を抑えたいのであれば、ここは普通に超長期ゾーンをオファーすべきところ、それがなかったことによるとみられる。指し値オペについては、非常手段との認識でないとみられていたが、それでも多少の警戒があり、現実には指し値オペもなかったことで債券先物を売りやすくさせた面もあったのかもしれない。個人的にも予想していたのは5年超10年以下の400億円増額プラス超長期の国債買入程度であった。しかし、それを行っても日銀はある程度の長期金利の上昇を容認しているとの認識のもとで、10年債利回りが跳ね上がる可能性は十分にあるとみていた。

 つまり昨日の10時10分の日銀の国債買入の中身をみて、超長期も入らず、5年超10年以下も400億円の増額に止めたことで、ある程度の10年債利回りの上昇を日銀は容認しているとものサインとも受け止められ、債券先物が大きく売られることになった。債券先物は昨年12月16日につけた149円38銭も下回ったことで、あらためて下値模索の様相となった。10年債利回りは一時0.150%に上昇したが、この長期金利の上昇には別の伏線もあった、3日に公表された金融政策決定会合議事要旨(12月19・20日分)には、国債買入れの運営について下記のような意見があったのである

 「複数の委員は、市場では、「ゼロ%程度」との長期金利操作目標の上限・下限をそれぞれ+0.1%・-0.1%とする見方があることを指摘したうえで、そうした画一的な基準を設けることは適当ではないとの認識を示した」

 この複数の委員は単純に考えると佐藤・木内委員にみえるが、2人の委員だけでなく日銀の意向とも言えるものではないのかと市場はやや疑心暗鬼ともなっていたとみられる。日銀の想定している長期金利のターゲットの上限はプラス0.1%と厳密に置いているわけではないということを、日銀はオペレーションで示してきたのではないのか。それが10年債利回りの0.150%までの上昇に繋がったとの見方もできなくなかった。      

 この際に私は当日14時の指し値オペの可能性について質問を受けた。しかし、上記のことから想定されるのは、日銀はある程度の10年債利回りの上昇は黙認する可能性であり、その仮定の上で「ない」だろうと答えていたが、知り合いの市場関係者などから話しを聞くと、いや「ありうる」との答えが返ってきていた。

 なぜありうるのか、その理由を考えてみると、日銀はもしかすると400億円程度の増額で長期金利の上昇にブレーキを掛けられると信じていたのかもしれない(状況を考えるとそれはかなり債券市場の地合の読み方を間違えたともいえる)。もし日銀が読み間違えていたのであれば、10年債利回りの0.15%までの上昇は想定以上のピッチとなる上、ここで歯止めを掛けておかないと、0.200%あたりまで簡単に上昇するリスクが生ずる。それならば後場、14時のオペタイムでの0.150%での指し値オペの可能性は考えられるということになる。

 結果として日銀は通常のオペタイムではなく12時半というイレギュラーな時間帯に新「天下の宝刀」ともいうべき「指し値オペ」をオファーした。11月17日に初めて実施された指し値オペは実勢利回りが指し値よりも低下したため応札額がゼロとなり、いわば空砲であった。しかし、今回の国債買入は、対象が残存期間5年超10年以下の固定利回較差は0.006%(前日の引け値対比)となり、10年利付国債345回でみた買入利回りは0.110%となった。前場の10年債利回りの引け水準が0.140%近辺となっていたので、今度は空砲ではない。

 ここにいくつか問題点があった。ひとつは時間帯である。なぜ通常の14時でなく12時半だったのか。後場始まって何も手を打たずば、すぐにでも10年債利回りが0.200%あたりまで利回りが急上昇してしまうのを避けたいがため、後場いちで手を打ったのか。それとも黒田日銀特有のサプライズ狙いなのか、黒田総裁が国会に出席する予定の関係等も噂されたが、ようするに慌てたようである。それならば何故、朝方に手を打たなかったのかと言う疑問も沸く(あの程度の国債買入の調整でおとなしくなると思っていたのか、となれば読み間違えとなる)

 そしてなぜオペの水準を10年345回でみた0.110%にしたのかと言う疑問も残る。0.100%では決定会合議事要旨の内容と異なることにもなるが、それでも妙な刻みである。前日の引け0.115%を意識したのか。なぜ0.150%あたりにしなかったのか。0.150%であれば空砲となってしまうからかもしれないが、0.110%だと前場の国債買入の5年超10年以下の買入をした業者は、ここで日銀に売らず、指し値オペで入れたほうが儲かったこととなる。ちなみに指し値オペの応札額は7239億円となっていた。

 指し値オペの実施中、なかなか面白い現象が起きていた。業者間でのポジション調整の場でもある日本相互証券での10年345回の板で、0.110%のビッドが次々と打たれ一時オファーとなっていたのである。手数料等を考えると日本相互証券で0.110%で売らずとも日銀の指し値オペで売ったほうが費用は少ないはずなのにである。

 結果として3日の指し値オペは奏功し、10年債利回りは0.1%を割り込むこととなった。しかし、これで済むとは思われない。今後もこのようなドタバタが繰り返されることも予想される。日銀の相場の読みのまずさも露見してしまったことで、市場参加者は今後さらに日銀の国債買入オペが読みづらくなってしまった。そもそも長短金利操作付き量的・質的緩和という名前の長さからもわかるとおり、何でもくっつけてしまった日銀の金融政策は債券市場を蔑ろにした。そして長期金利はコントロールできると豪語した日銀だが、その市場マインドすら読めない日銀が果たして今後も的確に長期金利をコントロールできるのかという疑問を残すこととなった。

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# by nihonkokusai | 2017-02-04 15:22 | 日銀 | Comments(0)
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