7月30日に実施された2年国債(利率0.1%)の入札では、最低落札価格100円00銭5厘(0.097%)、平均落札価格100円00銭6厘(0.096%)となり、落札利回りは2005年6月の入札以来の0.1%割れとなった。応札倍率も11.83倍とやはり2005年6月の入札(268.48倍)以来の二桁台となるなど、かなりの需要がみられた。
公社債投資家別売買高をみると、外国人は昨年10月以降、10兆円を超える短期債の買い越しが継続している。
7月5日に開催されたECB政策理事会では、政策金利であるリファイナンス金利を0.25%下げて、1999年のユーロ導入以来の過去最低水準となる0.75%とすることを決定し、さらに民間銀行がECBに預金を預け入れる際の預金ファシリティ金利も0.25%引き下げられゼロ%とした。このため、預金ファシリティに預けられた資金が、日本の短期債に流れ込んでいるとの見方もある。しかし、これについては為替リスクが伴う上、今朝の日経新聞にもあったように、預金ファシリティに滞留していた資金は、利子はつかないが安全な当座預金に向かったと思われ、日本の短期債への影響はなかったのではないかと思われる。
ただし、すでにドイツなどの2年債利回りはマイナスとなっており、安全資産としてドイツなどの中短期債を購入していた投資家が、その一部を買わせリスクを負っても日本の中期債に振り向けてきている可能性はありうる。
もちろんその前に、短期国債を主体に大口の買い手となっている日銀の存在も、中短期債の需給に逼迫感を強めさせている事も確かで、ここに海外投資家の買いが追い打ちをかけた結果での未達現象であるとも言える。
日銀は7月12日の決定会合で、固定金利方式・共通担保資金供給オペ等で未達となるケースが多く出てきたことから、固定金利方式・共通担保資金供給オペを5兆円減額し、その分短国買入を5兆円増額し、さらに短国買入の入札下限金利の0.1%を撤廃した。その後、7月18日には、通常の長期国債買い入れ(輪番オペ)の残存期間1年以下を対象に0.1%の下限金利を撤廃していた。
それぞれ、日銀が目標どおりの国債を買い入れて資金を供給しやすくするための措置であるが、それでも今回のように残存1年以上の国債買入で未達が発生したことで、1年を越す期間の国債買入の下限金利0.1%の撤廃観測も出ていたようである。
国債買入の下限金利の撤廃は、金融政策とは異なる技術的なものであり、これを金融政策決定会合で決める必要はなく、7月18日のようにいつ事務的に発表されようが問題はない。7月12日の基金の国債買入の下限金利の0.1%等も金融政策の変更とは異なるものであった。ただし、実際に日銀が残存1年を越す国債買入の下限金利を撤廃するかどうかは、不透明であるが、今後札割れが度重なれば、その思惑は強まるとみられる。
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