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「東電・東ガス、10月値上げ」

 日経新聞によると、東京電力と東京ガスは10月から半年ぶりに料金を引き上げる。東京電力は1か月の料金を6203円、東京ガスは6699円のそれぞれの料金を10-12月に100円前後引き上げる。ガソリンも値上げが続いている。レギュラーガソリンは19日時点で125.3円で前週よりも0.2円上昇し 3週連続の値上がりとなった。8月以降も3-4円程度値上げせざるを得ない状況となっているようである。日本航空や全日空も11月以降に一律100円以上の国内線の値上げを探っているようである。

 これにより日本経済へのマイナスの影響もあると思われるものの、10月以降のコアCPIのプラス幅がさらに拡大されそうな要素ともなりうる。
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# by nihonkokusai | 2005-07-22 10:29 | 景気物価動向 | Comments(0)

「人民元2%の切り上げ」

 中国人民銀行は21日、人民元を1ドル8.276元から8.11元へ約2.1%切り下げ、基準値の上下0.3%以内で変動(取引バンドは1ドル8.0857-8.1343)、対ドルベッグ制を廃止し、通貨バスケット制度を採用すると発表。

 切り上げのタイミングは予想外であったものの切り上げ幅が2%に止まったことからその影響はとりあえず限定的なものと見られる。問題はこれをきっかけに元が今後どの程度切り上げられるかによるものとなろう。通貨バスケット制度を採用するということから、米債は長期債などが大きく売られたが、これはあくまで地合いが悪かったところへ材料が加わったためとも見られる。ドル円についても円安がかなり進行していただけにその反動が大きかったと見ておいた方が良さそうである。

 今回の元切り上げは小さな一歩ではあるものの、まさに歴史的な出来事とも言えるものと思われる。ニクソンショックやその後のスミソニアン合意なんかも比較されるのではなかろうか。参考までに当時の様子は下記のような状況であった。

 「昭和46年(1971年)年8月15日に、当時のニクソン米国大統領は、米国の国際収支の赤字を削減してドルの流出を防ぐ目的により、外国の通貨当局に対してドルと金との交換停止を通告したのである。これによって、戦後続いてきたドルを基軸通貨とする固定相場制は終了し、1ドル360円の固定相場制は中止され、変動相場制に移行したのである。欧州各国は変動相場制の対応に追われるなか、日本だけは輸出企業を守るために、円レートを守ることを最優先課題とした。12月のスミソニアン合意により、1ドルは308円に切り下げられたのだが、円の切り上げが不可避となっても、それを最小限に押さえ込もうと必死の対応をしたのである。その結果が、大量の国債発行による内需拡大と極端な金融緩和の実施となった。」

(文春新書「日本国債は危なくない」より)
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# by nihonkokusai | 2005-07-22 10:29 | 国際情勢 | Comments(3)

「昭和30年代の高度経済成長」

 昭和30年(1955年)あたりから日本経済は高度経済成長の波に乗り、好景気が昭和39年(1964年)まで続くことになる。

 昭和30年(1955年)から昭和32年(1957年)にかけて、日本は「神武景気」と呼ばれた大型景気を迎えた。1950年から1953年における朝鮮戦争による所謂、朝鮮特需によって、もたらされた。神武景気の名前の由来は、神武天皇が即位して以来最大の好景気だからだそうである。

 昭和31年の経済白書には「もはや戦後ではない。われわれはいまや異なった事態に当面しようとしている。回復を通じての成長は終わった。今後の成長は近代化によって支えられる」と表記されているが、それだけ戦後の日本経済が立ち直ってきたという証でもあった。電気冷蔵庫、電気洗濯機、テレビ受信機の「三種の神器」が登場し、こういった家電製品の普及は個人消費に大きく貢献したと言われる。

 「なべ底景気」と言われる景気減速を経て、昭和34年(1959年)あたりから再び景気が上向き、のちに「岩戸景気」と呼ばれた神武景気を上回る好景気が続いた。「天照大神が天の岩戸に隠れて以来の好景気」から「岩戸景気」と名づけられたそうだが、このころ私は生まれている。私が生まれてまもなく写された写真には、白黒テレビが写っていたが、皇太子のご成婚によってテレビ受像機が急速に普及したのもこの頃だそうである。ちなみにテレビ放送開始は昭和28年である。「投資が投資を呼ぶ」とも言われ設備投資が景気を引っ張り上げていった。鉄鋼や造船、自動車、電気などの工場や石油コンビナートが京浜工業地帯などに立ち並んでいった。この「岩戸景気」は42か月にも及ぶ持続的な景気となったのである。

 昭和35年(1960年)に実施された池田内閣による「所得倍増」をスローガンとした高度経済成長政策も日本経済の追い風になった。まじめに働けば給料は確実に増えてゆき徐々に出世も可能となった。夢のマイホームも次第に夢ではなくなり、主婦も家電製品の浸透とともに重労働となっていた家事からだいぶ開放されるようになっていた。まずしいなりに夢を抱ける時代であった。まじめに働けば親の世代よりも裕福になれると信じ、日本人は一生懸命働いたのである。
 国民は確かに幸せになったと思う。当時の日本の経済システムが有効に機能し、それは政治としてもある面での成功を果たしたともいえる。しかし、所得倍増計画を言い出した池田さん自身が、晩年「何か国家としての忘れ物をしてきてしまった」と側近に漏らしているといわれるように、そのつけはあとの時代に露見してくる。

 昭和38年(1963年)には「東京オリンピック」を控えて公共投資が活発化した。夢の超特急といわれた東海道新幹線や首都高速道路、東京モノレール、そして黒四ダムといった大型の公共工事が次々に行われてきたのである。
 しかし、東京オリンピックが始まった昭和39年(1964年)10月ごろから日本の景気は急速に冷え込みはじめ後退局面に入ったといえる。すでに昭和36年(1961年)ごろから中小企業の倒産が増加しており、株価も下落していた。企業収益も減りつつあったのだが、それが顕在化したのが昭和39年(1964年)の後半であった。

 昭和40年(1965年)に入ると、サンウエーブや山陽特殊製鋼など大手企業の破綻が相次いだ。株価も急落し続け、信用不安も広がりをみせていた。信用不安に対しては、山一證券への日銀法25条にもとづく無担保・無制限の特別融資(日銀特融)が実行されたことでなんとか収まったのだが、株価の下落はさらに続いた。これが「40年不況」と呼ばれ、金融緩和も効果がなく、財政面からの公共事業が促進されることになり、戦後初めてとなる「国債発行」が準備されることとなったのである。

 昭和40年(1965年)7月、佐藤栄作首相、福田赳夫蔵相のもと、政府は財政投融資の増額と、特例国債(赤字国債)発行を内容とする補正予算を決定した。税収不足を補うために発行されたこの時の特例国債(赤字国債)の発行額は2,000億円。同時に、昭和41年度(1966年度)の予算編成における「建設国債」の発行と大型減税も決定したのである。
 昭和41年(1966年)1月に、戦後初めての赤字国債(特例国債)が、期間7年、利率6.5%、価格98円60銭で発行された。そして、3月には大蔵省資金運用部による国債の引受も開始された。これにより、歳入を全額、税収や日本銀行納付金などの税外収入で賄えた均衡予算主義は崩れさった。この年以降、財政に国債が組み入れられようになり、「財政新時代」の幕開けとも言われたのである。

 昭和41年度(1966年度)に発行された建設国債は、6,656億円。昭和42年度(1967年度)は7,094億円。そして昭和43年(1968年)は少し減って4,621億円の国債が発行されている。しかし、すでに景気は回復し、経済成長率は3年連続で10%を上回っていた。いわゆる「いざなぎ景気」である。景気が回復基調となっても国の借金は増え続けていくのである。明らかに何かが変ってきたと言わざるを得ない。私は戦後の経済成長の区切りとして戦後初めての国債発行時ととらえている。
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# by nihonkokusai | 2005-07-21 10:45 | 国債 | Comments(0)

「6月の貿易統計」

6月の貿易統計が発表された。輸出は前年比+3.6%となり、懸念されていた対中輸出も+2.3%と5月のマイナスから再びプラスに転じた。アジアに対する輸出も回復。対米は好調持続で+11.2%。円安要因などもあることで輸出はそろそろボトムを打ったのと見方も出ている。
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# by nihonkokusai | 2005-07-21 10:04 | 景気物価動向 | Comments(0)

「15年変動利付国債の入札方式が変更」

本日の入札から15年変動利付国債の入札方式が変更される。入札当日の10時半に、財務省において基準金利とのスプレッド(5bp単位)を設定公表される。初期利子に適用する利率(基準金利-スプレッド)を基礎として、コンベンショナル方式による価格競争入札となる。なお、応募価格の単位は5銭刻みとなる。また、国債市場特別参加者を対象として、第Ⅰ非価格競争入札が実施される。
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# by nihonkokusai | 2005-07-21 09:39 | 国債 | Comments(0)

「本の紹介」

RPテック社での教育講座の執筆者のお一人でもある藤崎達哉氏が、なんとオーム社より「Excelで学ぶデリバティブとブラック・ショールズ」という本を出されました。早速、著者よりこの本をいただきました。ここであらためて御礼申し上げます。デリバティブにご興味のある方はぜひ読んでみてください。それにしてもバリバリの理系のオーム社から出版されるとは・・・。


そしてもう一冊。こちらも著者のお一人、平山賢一氏より書店に並ぶ前にお送りいただきました「国債と金利をめぐる300年史」。ありがとうございました。まさに平山氏ならではのタイトルのような気がします。金利関係者必読の本となりそうです。かなり内容も濃いですよ。ご興味のある方はぜひ書店にてお手にとってください。発売は7月28日からだそうです。東洋経済新報社より。
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# by nihonkokusai | 2005-07-21 09:15 | 趣味関心 | Comments(0)

「鷹くん鳩さんの日銀ウォッチング 第一回」


「プロローグ」

・・・・・・・・・・ はじまりはじまり

鷹「いきなり新シリーズが始まるって聞いて衣装もなにも揃えてないぞ」
鳩「本当に心の準備というものが必要だと思うんだけど、えっ、もう始まってるの」
鷹「えーと、今回から私、鷹と自称都会派お嬢さんの鳩さんで」
鳩「なによ自称って」
鷹「日本銀行の金融政策というのをお話することとなりました」
鳩「なんか難しそうだけど大丈夫かしら」
鷹「とりあえず日銀のホームページのおしえて日銀なんか読んで予習しないと」
鳩「あのね、もう始まった以上、ちょっと遅いんじゃないの」
鷹「それじゃあ、わかる範囲で話をするとしますか」
鳩「今、日銀の金融政策で目標にしているのが日銀の当座預金残高というものなのね」
鷹「以前は金利をターゲットにしていたんだけど、ついに目標の金利がゼロとなって」
鳩「操作の目標を日銀の当座預金残高という量に切り替えたのね」
鷹「量の目標は、これまで何度も引き上げられて、今は30~35兆円にもなっている」
鳩「なんか検討もつかない数字なんだけど、そんなに維持できるのかしら」
鷹「デフレが進行していて景気が悪くなっているときは問題はなかった」
鳩「しかも金融不安が強まっていたので資金は安全性を求めて日銀の当座預金に」.
鷹「それが流動性需要の高まりといった表現をされていたわけだね」
鳩「ところが金融不安が後退して、その金融機関の流動性需要が減少したきたと」
鷹「そのために5月20日に30~35兆円程度の目標に対してなお書きを修正し」
鳩「なお書きって、なおから先を付け加えた文章なのね、変な用語・・・」
鷹「一時的な下限割れも容認するようになったわけだね」
鳩「なお書き修正の時は、裏ではだいぶいろいろとあったようにも言われているわよ」
鷹「福井総裁はなお書き修正を方針変換の一歩と位置づけしたかったんじゃないかと」
鳩「それを谷垣財務相が強固に反対して、その結果、方針の変更はなくなったと」
鷹「すでに当預目標残高の引き下げについては2人の委員が提案している」
鳩「昨日の議事要旨を見ても市場機能を尊重しようとする委員も複数いるようね」
鷹「しかし、現実には量的緩和解除の3条件がある程度揃わないことには」
鳩「でも環境が次第次第に整いつつあると福井総裁などは見ているのかしら」
鷹「年末にかけての景気動向と消費者物価指数の動向が今後さらに注目される」
鳩「ということで、私達の新シリーズにも好御期待、週に一回ぐらい出てきます」

・・・・・・・・・・プロローグ 完。
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# by nihonkokusai | 2005-07-20 10:51 | 日銀 | Comments(0)

「2005年6月14、15日開催分金融政策決定会合議事要旨より」

「当面の金融政策運営に関する委員会の検討の概要」を私なりの分析をしてみたい。

「当面の金融政策運営について、委員は、消費者物価の前年比が小幅ながらマイナスを続けている現状では、(1)所要準備額を大幅に上回る潤沢な流動性を供給し、(2)そうした政策を消費者物価指数に基づく「約束」に沿って続けていく、という現在の量的緩和政策の枠組みを堅持すること、が重要であるという点で、前回決定会合に続き認識を共有した。」

7月以降、特に10月以降、仮の話ではあるが予想されるように、消費者物価の前年比が小幅ながら「プラス」を続けている状況となった際には、この文面はどのように変化するのであろうか。それは置いといてこの部分には特に違和感はない。ただ本当に「認識は共有」されているのかどうかちょっと疑問も残るが。

「その上で、金融システム不安が後退するもとで、金融機関の流動性需要が減少し資金余剰感が強まっている状況を踏まえて、複数の委員は、量的緩和政策をより円滑に運営していくためには、当座預金残高目標を減額することが適当であるとの見解を示した。」

これは今回も反対した福間委員と水野委員のコメントであることは明確。

「一人の委員は、金融環境が変化しているにもかかわらず巨額の当座預金残高を維持することは市場機能の回復を妨げるほか、金融規律の低下に繋がるリスクがあるなどデメリットの方が大きいとして、当座預金残高目標を「27~32兆円程度」に減額し、「なお書き」を前回決定会合での修正前の文言に戻すことが適当であるとの見解を示した。」

上記は福間委員のコメントと見られる。「市場機能の回復を妨げる」ことや゛金融規律の低下に繋がるリスク」のデメリットに言及。そしてもし減額するならば「なお書き」を前回決定会合での修正前の文言に戻すということも当然と言えば当然。

「また、もう一人の委員は、当座預金残高をある程度引き下げていかないと短期金融市場の機能は回復しないと主張し、当座預金残高目標を「25~30兆円程度」に減額することが適当であると述べた。」

水野氏である。今回は福間氏とは別に当座預金残高目標を「25~30兆円程度」に減額することを提案している。3兆円下げるか5兆円下げるか、あまり幅は関係ないようにも思われるものの、どうせなら一緒に同じ額での引き下げを提案してほしい気もする。実際に減額するようなことになって、審議委員が皆微妙に違う数値を提案してきたら、まとまるものもまとまらなくなる懸念も(?)。

「これに対して、大方の委員は、現在の金融市場調節方針を継続することが適当であるとの見解を述べた。」

まだ、こちらの方が当然多数である。

「多くの委員は、景気が「踊り場」にある中で、金融市場調節方針の変更を行うと、日本銀行の金融緩和スタンスが後退したと誤解されるリスクがあるとの認識を示した。」

福井総裁もここにきて景気認識を前進させたようにも思われるが、もし踊り場を脱した場合には「金融緩和スタンスが後退したと誤解されるリスク」は後退するということになるのであろうか。それともまた景気が減速するリスクは存在するとかなんとか(?)

「一人の委員は、デフレ克服にマイナスの影響が出ないことへの理解を得ながら、慎重に当座預金残高目標を減額していくことは将来の選択肢の一つと指摘しつつも、景気が「踊り場」にある中では、現状の金融市場調節方針の継続が適当であると述べた。」

須田委員であろうか。減額については「踊り場」を脱した際には賛成に回るものと考えられる。

「ある委員は、量的緩和政策の効果の中には家計・企業の期待に働きかける効果があると思うが、金融市場調節方針の修正にあたっては、こうした期待に働きかける効果を損なうことのないよう、極めて慎重な配慮が必要であるとの認識を示した。」

上記は、あくまで憶測であるが、中原審議委員あたりのコメントと思われるが西村委員の可能性もありそう。

「別の一人の委員は、当座預金残高目標を減額することは、量的緩和政策の時間軸効果を減殺してしまうリスクがあり、現在の目標水準を維持することは、デフレ克服を確かなものとし、市場機能の回復を可能とする最短の途であると述べた。」

こちらは岩田副総裁のコメントか?

「前回決定会合で修正した「なお書き」の扱いについて、一人の委員は、金融機関の流動性需要の減少やそのもとでの「札割れ」の頻発といった基本的な構図に変化がないもとで、今後様々な要因によって、金融機関の資金需要が減少するような場合には、市場機能への影響に配慮しつつ、最大限の資金供給努力を行っても、当座預金残高目標の維持が難しくなる場合も考えられることから、「なお書き」を維持することが適当であると述べた。」

なお書きに対する発言である。まずは総裁から、といったところか。

「また、何人かの委員も、「なお書き」を修正した趣旨については、市場でほぼ正確に理解されてきており、「なお書き」を変更する必要はないとの見解を述べた。この間、一人の委員は、前回修正した「なお書き」を維持することには敢えて反対するものではないが、発動基準や配慮すべき市場機能の内容について、必ずしも明確でない面もあることから、今後とも議論を行いつつ、残高目標達成に向けてのオペレーション上の努力を一貫して続けていくことが重要であると述べた。」

これがどの委員の発言なのか。「敢えて反対するものではない」とのコメントも気になる。「発動基準や配慮すべき市場機能の内容について、必ずしも明確でない面もある」と疑問を呈している。こちらが中原委員のコメントである可能性も。

「この点に関連して、委員は、前回会合における「なお書き」修正の趣旨は、金融機関の流動性需要が減少していることを踏まえ、金融機関の資金需要が極めて弱いと判断される場合には、当座預金残高が一時的に目標値を下回ることがありうるとしたものであり、今後の政策決定に関して何かを積み残しているものではないという点を改めて確認した。」

上記は総裁であろう。そうなるとその前の発言者は総裁の意図するところにやや疑問を挟んでいる委員と思われる。のちほど慎重な発言をしている武藤副総裁ととれなくもないが、岩田副総裁も含めて総裁の意思と反するような発言を決定会合の場で行うというのは、考えづらい。そうなれば、目標修正には反対ながらなお書き修正には賛成票を投じた中原委員と見るのが妥当であろうか。

「複数の委員は、金利の正常化に向けた第一歩というような今後の政策と結びつけた形で解釈されることがないよう、対外的な情報発信には正確を期す必要があると付け加えた。」

これは形式上(?)の公式見解と私は見ているので、総裁や副総裁などの意見であるものと思われる。

また、量的緩和政策のもとでの資金供給が市場機能へ及ぼす影響についても議論があった。

この部分はやや興味深い。

「ある委員は、資金供給オペレーション期間の長期化により、例えば短期国債の金利がほぼ一様にゼロに貼り付くなど、タイム・バリューのない異常な金利形成になっていると述べた。」

量的緩和策の時間軸効果が働いていることを考え合わせれば、異常な金利形成は日銀自らの働きかけによるもののはずである。

「また、一人の委員は、 2006年度にかけて量的緩和政策の枠組みを変更する可能性が徐々に高まると想定されるもとで、長めの資金供給オペレーションにより金利を無理に押し下げてしまうと、金利に関する市場の情報発信機能を損なうことになるため、オペレーション期間の長期化は避けるべきであると指摘した。」

たぶん水野委員のコメントであろう。量的緩和策を行っている段階においては金利に関する市場の情報発信機能はどうしても避けられない。それが可能となるのは日銀が完全に方向を転じてからである。技術的な対応からでは情報発信は無理と思われる。

「別の委員は、同様の観点から、オペレーション期間の短期化を進めるべきとの見解を示した。」

それでなくてもオペレーション期間を短期化してはますます札割れが多発し、だからこそ今年度末を超えるような長距離砲を撃っているはずである。実際のオペレーションの現場の意見も聞いているとは思うのだが、オペレーション期間の短期化は進めるべきものであるかもしれないが、現状進められるものではないと思う。もちろんこれがいずれ時代遅れとなってしまった長距離砲を持った巨艦、戦艦大和のように大いなる無駄なものとならないことを祈るばかりでもあるが。

「これに対して、複数の委員は、市場機能の尊重は中央銀行にとって極めて重要なテーマであるが、潤沢な資金供給がイールドカーブを押し下げる効果を持ち得ることは量的緩和政策の宿命でもあると指摘した。」

まさに宿命であると私も思う。「宿命」という響きがちょっと嫌な響きにも聞こえるが。

別の一人の委員は、量的緩和政策は、当初から市場機能への影響と政策目的達成との間のバランスを保ちつつ進められてきた政策であるとした上で、経済金融情勢が変化してきている中で、当座預金残高目標が自己目的化し、市場機能に過度の悪影響を及ぼすことは出来る限り避けるべきであると述べた。

自己目的化という表現は2日の福島県金融経済懇談会における水野審議委員挨拶の中に「当座預金残高目標の維持が自己目的化しないように」というのがあるが、また、武藤副総裁も23日の大分市内で講演し「自己目的化の残高達成は止め、市場に少しでも機能が残る運営にした」ともコメントしている。上記の「2006年度にかけて量的緩和政策の枠組みを変更する可能性が徐々に高まると想定される」とのコメントがもし水野委員であれば、これは武藤副総裁のコメントである可能性がある。「市場機能への影響と政策目的達成との間のバランスを保ちつつ進められてきた政策」というコメントも武藤副総裁ではないかと思えるのだが。ただし自己目的との表現を講演等で行っているのは二人であっても、それがある程度日銀の共通用語となっている可能性もある。その場合、最後にまとめていることを考え合わせ、福井総裁の可能性もありうる。なお以上のコメントはすべてあくまで私の推測であることをお断りしておきたい。
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# by nihonkokusai | 2005-07-19 16:59 | 日銀 | Comments(0)

「りんごは赤じゃない」

 「クラス崩壊」といった言葉は最近聞こえなくなってきたが、小中学校などの荒れようは一時的ほどはひどくはなくなってきたにせよ、まだまだ大きな社会問題である。同年代の子供を持つ親の一人として、学校の問題はたいへんな関心事でもある。幸い娘達の通っている学校は比較的おとなしい生徒が多く、都会の学校ほどの問題はそれほど起きてはないと聞いている。それでも問題がないわけではないという。

 先生が体罰をすることが社会問題視された時期があり、現在の先生は生徒に対して厳しくしかりつけることをためらっている感もある。それ以上に生徒が過激化暴力化し、先生に対して暴力を振るうといったことも年中行事になっている。学校の窓ガラスが割られるのも頻繁にあると聞く。ただ、それを届ければ記事になってしまうため余程のことがなければ届出も控えてしまうらしい。

 なんとも情けない世の中になっているが、これを「ゆとり教育」の影響といったものだけに原因を求めるてもいけないと思う。大げさに言えば社会構造の変化なども影響しているのではないかと思う。しかし、日本でも荒れた学校が多いと言われる神奈川県にあって、しかも大都会横浜の公立の中学校で、荒れていた生徒も頭が上がらないといわしめた教師がいた。この本はそんな先生の話である。

 数々の美術コンクールを総なめにしたことなどで知られる美術の先生の話ではあるがそれはあくまで結果である。この先生のすごさはその授業にある。まずは規律を覚えさせるためにいろいろな工夫をする。授業に集中させる仕組みを考え出すとともに、一人一人のプライドを持たせるようさせることにより、生徒のやる気を出させる。また、「りんごは赤じゃない」といったように記号化された画一的な見方しかできなくなっている生徒達に物の本質を見分けさせようとする。りんごは決して赤ではない。自然に生まれたものは単色であるはずでなく、多様な色が混ざり合っている。当たり前のことが今の子供達、いや親までも理解できなくなっている。

 この本を読むと、教育はシステムではない、覚えれば良いものでもない。大人の論理だけでもめている教科書問題などは教育を受ける子供達にとってはマイナス効果しかないようにも思える。

 つまり、教育はまさに教師にあるということを教えられるのである。ノーベル賞受賞者などが一様に述べていることに、すぐれた教師との出会いがある。教育を立て直すためには、受身に回るだけの先生ではなく攻めが出来て、生徒の心構えまで変えられるような教師が必要である。カリキュラムを変えれば良いといった問題ではないということをこの本は教えてくれるような気がする。新潮文庫。
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# by nihonkokusai | 2005-07-19 12:57 | 趣味関心 | Comments(0)

「7月末から8月にかけての日銀当座預金残高」

 本日の来年3月決算期日を迎える手形全店買い入れオペが札割れとなった。今月末から来月中旬にかけて再び日銀の当座預金残高が目標値である30兆円を割り込む懸念があるため、今後日銀がどのように対応してくるのか注目される。

 7月25日は国債発行などもあり日銀の当座預金残高はこのままでは30兆円を割り込む可能性が強い。さらに来月3日から15日にかけては27兆円から28 兆円台となることが予想され、日銀も何がしかの資金供給手段を講ぜざるを得ない。しかし、肝心の来年3月決算期日を迎える手形全店買い入れオペが札割れとなったことなど見てもなかなか苦しい対応を迫られそうである。

 日銀の福井総裁は13日の会見において次のようにコメントしている。

 「枠組み修正ということとは全然別に、金融市場の状況の変化に即して現実的な金融政策としての何がしかの調整が必要かどうか。この点については前々回なお書きを修正することによって、この金融市場における流動性需要の大きな波という厳しい局面に対応し得るようになった。今後の市場状況の変化と照らし合わせながら、よく観察していけば良い。今のところ、ここで何らかの予定的行動を隠し持っているということはない。今後、全くオープンに判断していけば良いと思っている」

 「金融システムの安定度合いが強まるにつれて、金融市場の中の反応がどのように変わるか、それは今までのところなお書き措置で十分だということで対処したわけである。今後、市場がどのような反応をさらに示してくるかということによって判断していかなければならない。今のところそうしなければならないという感じで見ているわけではない。なお、量的緩和の枠組みそのものを修正するということとは別の話としてお答えしたところである」

 以上のコメントを見る限り、量的緩和の枠組みそのものを修正するということではなく、技術的な対応については「全くオープンに判断していく」ため、目標値の変更の可能性も全くないとは言い切れない。

 ただし武藤副総裁は「私は札割れとか資金需要の減退だけを理由に当座預金残高を下げるという立場に立っていない」とも6月23日の記者会見などでコメントしているが、これはたとえば谷垣財務相なども同様の考え方をしているとも思われる。このため技術的対応といえど非常に困難を伴いそうである。

 25日以降、いろいろな手段を講じたにもかかわらず30兆円を維持できない日が続くようなことがあれば、自然と下限変更を求める声が上がってくるといった可能性もある。今回は日銀は先んじて動くよりもそういった声の広がりを待っての変更といった可能性もないとはいえない。とにかく今後のオペ等などから今月25日以降の日銀当座預金残高の行方については目を離せない。ちなみに、日銀の金融政策決定会合は7月27日、そして8月8日と9日に開催される予定となっている。
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# by nihonkokusai | 2005-07-15 15:05 | 日銀 | Comments(1)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
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