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「予見可能なものはリスクにはならない」

 相場の世界では当たり前とも思われることに、予見可能なものもしくは予想可能なものというものはリスク要因にはならないということがある。この場合のリスクとは急激な価格変動リスクを主に示すが、ある程度予想されているものに対しては、相場の世界で言われるところの、すでに価格というか市場参加者の意識の中に織り込まれるためである。本来のリスクというものは、予見不可能なもの、もしくは想定の範囲外にあったことが起きることによってもたらせられる。

 一昨年の債券相場の急落要因のひとつに、銀行などによるリスク管理の手法、バリュー・アット・リスクが指摘されていた。このリスク管理手法はある程度予測可能なリスクに対して用いられるものであり、想定外のリスクには対処しきれず、むしろ傷口を広げてしまう結果となった。これでは本来の意味でのリスク管理手法とは言えないであろう。機械的にリスクを管理することはかなり無理がある。

 次期FRB議長にバーナンキ氏が指名されたが、前任のグリーンスパン議長がカリスマと言われた所以は、ブラックマンデーやLTCMの破綻、9・11のテロといった予見不可能であった出来事に適格に対応したことによるところが大きい。

 日本のバブルについても、それが崩壊するまではリスクとしての認識はほとんどなかったのでなかろうか。もちろんバブル崩壊の危険性を指摘する声は皆無ではなかったが、のちに不良債権という爆弾を日本が抱え込み、長年にわたって日本経済が苦しむことになろうなどとは、少なくともバブルの絶頂期などには予見はできなかったはずである。

 これを裏返してみれば、現在懸念されているようなものは、実はそれほど大きなリスク要因とはならない可能性が高い。もちろんそのリスクを考慮して事前に対処を施すことが可能なためでもあろう。たとえば米国の住宅価格の上昇をバブルもしくはグリーンスパン議長は泡とも表現したが、との認識が強まっていること自体、それが結果として米国経済に大きな打撃を与えることは少ないものと思われる。

 原油価格の上昇というリスクに対しても、これは突発的に起きたものではなく、中国経済や米国経済の拡大といったものが根本にあり、今後についてもある程度の予見も可能なものであるため、やはり言われているほどのリスクとはなりえないものと思われる。もちろんハリケーンといった突発的な出来事による大きな価格変動といったものは予見不可能なため、これはリスク要因とも言える。

 何事も、危ない危ないといわれているものは意外と起きず、まさに予想だにしなかった出来事が起きることでパニックが生じ、これがリスクとな。リスク管理能力とはそういったことに対処する能力のことであろう。
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# by nihonkokusai | 2005-10-26 10:37 | 債券市場 | Comments(0)

「日銀の国債買い」

 2001年3月19日に量的緩和政策が取られてからの金融政策の変更における当座預金残高と国債買いをピックアップしてみると下記のとおりとなる。

2001年3月19日 当座預金残高5兆円程度に増額。
2001年8月14日 当座預金残高6兆円程度に増額。国債買入月6千億円ペースに。
2001年9月18日 当座預金残高が6兆円を上回ることを目標に。
2001年12月19日 当座預金残高が10~15兆円程度に。国債買入月8千億円ペースに。
2002年2月28日 当座預金残高が10~15兆円程度に。国債買入月1兆円ペースに。
2002年10月30日 当座預金残高15~20兆円程度に。国債買入月1兆2千億円ペースに。

2003年3月20日 福井俊彦氏日銀総裁に就任。

2003年3月25日 4月1日以後郵政公社の発足に伴い当座預金残高17~22兆円程度に。
2003年4月30日 当座預金残高22~27兆円程度に。
2003年5月20日 当座預金残高が27~30兆円程度に。
2003年10月10日 当座預金残高の目標値の上限を引き上げ27~32兆円程度に。
2004年1月20日 当座預金残高が30~35兆円程度に。
2005年5月20日 なお書き修正

 10月20日の参院財政金融委員会においても、「政府に対し直接ファイナンスする意図は一切持たないことが大事」といったコメントもあったように、福井総裁は、財政問題に組み入れられることは極力避けていると思われる。そして、国債買入は量的緩和解除後も簡単には減額できないであろうことを就任時より認識していたものとも推測されるのである。
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# by nihonkokusai | 2005-10-25 14:39 | 日銀 | Comments(0)

「日銀はバーナンキ氏指名を意識していたのか」

 日銀が来春あたりに向けての量的緩和解除への意向を強めた背景には、米国の次期FRB議長人事が少なからず影響していた可能性がある。10月上旬のレポートにおいてインフレ目標導入の可能性について次のようにコメントした。

 「仮に米FRBの次期議長が、もしインフレ目標政策を導入した際には、世界の主な中銀が採用したこととなり、将来、日銀としてもその導入の検討をする可能性は否定できないことも確かではある。」

 次期FRB議長がバーナンキ氏に指名されたが、バーナンキ氏の持論でもあるインフレ目標政策を導入する可能性は否定できない。もちろん、そのためには多くの壁があることも事実である。議会の承認も必要となるであろうし、それ以前にFOMCメンバーでインフレ目標導入賛成派が多数になる必要がある。また当初は、市場へのあらぬ混乱を避ける上でも前任のグリーンスパン議長の方針を世襲してくる可能性が高い。

 しかし、それでも持論をいずれ展開してくる可能性がないわけできなく、日銀としてもFRBがインフレ目標政策を取ってくる可能性もある程度は意識せざるを得ない。

 あまり勘繰ってもいけないが、先日はグリーンスパン議長を福井総裁は日本にも呼んでいる。この際にも、次期議長についても何がしかの話もあってしかるべきではなかったかとも思われる。もちろん次期議長を決めるのは米大統領ではあるが。

 バーナンキ氏が議会で承認されれば、次期FRB議長に就任するのは来年2月1日と予定されている。また、就任後の新議長を迎えてのFOMC は3月28日に開催される。ここにきて日銀は、早ければ今年度中にも量的緩和解除の3つの条件が整うといった見方もしている。3月決算はあまり意識していないといった声も日銀内部にはあるようにも聞いている。このため解除については、4月末が本命とも見られるものの2月あたりの解除の可能性もないとは言えない。

 「来年1~3月内での量的緩和解除の可能性もあらためて出てきている。たとえ今年10月のCPIからゼロ以上となったとしても、3か月分のコアCPIを確認できるのは1月27日であり、確認後の決定会合は2月8・9日となる」(9月末拙著レポートより)

 日銀の量的緩和解除に向けての動きは当然ながら、景気や物価動向を睨んで3つの条件が満たされることを前提にしている。しかし、ここにきて解除に向けての姿勢を強めていること自体、地ならし的なものを指摘する声もあるが、多少なりとも米FRB新議長就任時期といったものも意識されていた可能性もあるのではなかろうか。
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# by nihonkokusai | 2005-10-25 10:45 | 日銀 | Comments(0)

「つくばスタイルフェスタ2005とTXのその後」

 久しぶりの休日の晴天となった23日の日曜日。一度、見ておきたかったTXの研究学園駅周辺で行われている「つくばスタイルフェスタ2005」に行ってきた。なにせTX開通前は自動車の走行試験場でもあったところで、広い土地にほとんど何もない状態で、駐車場も目一杯広い。会場まで歩くのもたいへんである。まあ良い運動になったと思えば良いか。

 いくつか見たいものがあったが、そのひとつが片岡鶴太郎氏デザインの「鶴太郎アートハウス」、別名「男の隠れ家」とも命名されていた通り、真ん中の池を囲むような部屋の作りはまさに独創的なものがあった。退職後はこんな家に住めたらなあ、とひとつの理想の家でもあるのかもしれない。

 「手作り古民家再生住宅」は都会から来た人には懐かしいものとなろう。ただ、一緒に連れて行った長女が、一人暮らしの老人宅にボランティアでお弁当を届けたときには、こんな家が多くて、どの家でも土間でお茶をごちそうになったと言っていた。これはまだ過去のものんのではなく、地元ではしっかりまだまだ残っているようである。ただし一人暮らしの老人宅というのが気になった。たぶん子供夫婦と同居していたら、家は建て替えされていたのであろうか。

 第三開場では世紀の発明といわれる「セグウェイ」の試乗があった。長女が乗りたかったようだが待ち時間がかなり長そうで断念した。会場内をすいすい走っているのを見たが、これは確かに面白い乗り物のようである。

 10月1日から開催された「つくばスタイルフェスタ2005」は土日の天候に恵まれず、予想入場者数には届くか届かないか微妙なところにあるようである。しかし、昨日はそれなりに人も来ていた。昨日はJAXA筑波宇宙センター(つくば市)の一般公開で、来場者向けに野口聡一宇宙飛行士の報告会もあり、その帰りに寄ってきた人などもいたようである。

 つくばエクスプレスは10月に入り私の通勤時間帯では乗降者数が増えてきている。つくば始発も6時台でも遅い時間となると座れなくなってきているとか。今日24日でちょうど開通して2か月が経過する。今月に入ってからの平均乗降者数などもまもなく発表されるとは思うが、このままいけば初年度一日平均目標の13万5千人はクリアーできるのではないかと思うのだが。そういえば、TXからは富士山が綺麗に見えるといわれていたが、今朝始めて富士山を見ることができた。高架で車窓も広いため、筑波山から日光連山、箱根から富士山と一望できた。
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# by nihonkokusai | 2005-10-24 13:53 | つくばエクスプレス | Comments(0)

「朝日新聞一面に、量的緩和を来春にも解除との記事」

 本日の朝日新聞の一面は、「量的緩和を来春にも解除」との記事であったのだが、何故今になってこの記事を一面に持ってきたのか、やや不可解な部分があり気になる。もちろんこれまでに朝日自体が量的緩和解除に関する記事をあまり出していなかったためもあるのかもしれない。大きなニュースがない場合には、こういった記事で一面を埋めるといったこともよくある。もし、それならば事前にある程度の準備も進んでいたはずである。しかし、ネットでこの記事が配信されたのは10時頃であった。急遽、一面トップにこの記事を入れてきた可能性もありそうである。

 それにも関わらずその内容にはあまり新鮮さはない。すでに今月末発表される展望リポートにおいて、2006年度のCPIの見通しについても0.3%の上昇から0.1か0.2ポイント程度引き上げる方向で検討するとは日経新聞などで報じられており、これはスクープといったものにはならない。「(CPIは)年末にかけてゼロ%ないし若干のプラスに転じる」との見方も、すでに会見などで福井総裁は繰り返し述べているものである。

 もし何がしかのスクープのようなものが含まれるとすれば、政府の見方であろうか。量的緩和解除のための3条件を達成すれば、解除に対する政府の反対は少ないとの「見方もある」としている。3つめの条件を確認する上では来年3月の日銀短観の結果が出る来年4月ごろの解除が有力であるとしている。もちろん来年4月末の可能性というのはマーケットではコンセンサスにすでになりつつはあるが。

 そして「政府内では景気回復を前提に財政再建路線を強める動きがあり」とも指摘している。小泉首相の在任中に脱デフレ宣言はしたい意向も強いことも確かであろう。最近になって、日銀に向けての竹中氏のトーンがややダウンしているという印象を個人的に持っていたが、今回の朝日の記事はこういった微妙な政府の日銀の姿勢への対応の変化を示しているとも取れるのではないかとも考えられる。

 あまり穿った見方も禁物であり、日銀の記事でやや乗り遅れたとみた朝日がここにきてトップに持ってきたといった解釈もあるかもしれない。ネットへのアップの遅れも別途事情があってのものの可能性もあるため、あくまで個人的にこの記事がやや気になったというも付け加えておきたい。
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# by nihonkokusai | 2005-10-24 10:58 | 日銀 | Comments(0)

「プレゼントのご当選者」

 「日本を変えるプランB」」(関西学院大学出版会)の本のプレゼントにたくさんのご応募いただきありがとうございました。抽選の結果、名古屋市の堀澤様、兵庫県の柏木様がご当選されました。おめでとうございます。本は明日以降の発送となりますので少々お待ちください。
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# by nihonkokusai | 2005-10-24 09:49 | 本の紹介 | Comments(0)

「日銀の国債買い切り」

 量的緩和解除観測が強まる中、日銀執行部はこれまであえて国債の買い切りには触れないようにしてきたようにも見受けられた。日銀総裁が速水さんから福井さんに代わってからの金融政策の変更時において決定的な違いがひとつある。日銀の当座預金残高を引き上げた際に国債の買い切りを増やし続けた速水さんに対して福井総裁に代わってからは一度も国債買い切りの額は引き上げられていないのである。

 2001年3月19日に量的緩和政策が取られてからの金融政策の推移をここで簡単に見て行きたい。

2001年3月19日
1.金融市場調節の操作目標の変更、金融市場調節に当たり、主たる操作目標を、これまでの無担保コールレート(オーバーナイト物)から、日本銀行当座預金残高に変更する。(日銀当座預金残高が5兆円程度となるよう金融市場調節を行う。なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。)
2.新しい金融市場調節方式は、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで継続する。
3.日本銀行当座預金残高を5兆円程度に増額する(最近の残高4兆円強から1兆円程度積み増し
3.長期国債の買入れ増額、日本銀行当座預金を円滑に供給するうえで必要と判断される場合には、現在、月4千億円ペースで行っている長期国債の買い入れを増額する。ただし、日本銀行が保有する長期国債の残高は、銀行券発行残高を上限とする。

2001年8月14日

1.金融市場調節方針の変更、日本銀行当座預金残高をこれまでの5兆円程度から6兆円程度に増額する。
2.これまで月4千億円ペースで行ってきた長期国債の買い入れを、月6千億円ペースに増額する。

2001年9月18日
1.金融市場調節方針の変更、当面、日本銀行当座預金残高が6兆円を上回ることを目標として、潤沢な資金供給を行う。
2.公定歩合を0.15%引き下げ0.10%とし、明日より実施する。
3.補完貸付制度、補完貸付制度(いわゆるロンバート型貸付制度)の公定歩合による利用上限日数を、今積み期間(9月16日~10月15日)について、5営業日から10営業日に引き上げる。

2001年12月19日
1.金融市場調節方針の変更、日本銀行当座預金残高が10~15兆円程度となるよう金融市場調節を行う。なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。
2.長期国債買入れの増額、これまで月6千億円(年7.2兆円)ペースで行ってきた長期国債の買い入れを月8千億円(年9.6兆円)ペースに増額する。
3. 金融市場調節手段の拡充(CP現先オペの積極的活用、資産担保CPを現先オペ対象と適格担保に加えるための実務的検討を早急に進める、住宅ローン債権・不動産担保証券を裏付け資産とするABSを適格担保に加えるための実務的検討を早急に進める。手形オペ・全店買入のオファー頻度引き上げ、国債買入・国債レポ・CP現先・手形売出オペの輪番制を廃止し全先に毎回オファーを行う)

2002年2月28日
1.年度末に向けた一層潤沢な資金供給、日本銀行当座預金残高が10~15兆円程度となるよう金融市場調節を行う。なお、当面、年度末に向けて金融市場の安定確保に万全を期すため、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。
2.長期国債買入の増額、資金供給を円滑に行うため、長期国債の買い入れを、これまでの月8千億円(年9.6兆円)ペースから、月1兆円(年12兆円)ペースに増額する。
3.ロンバート型貸出における公定歩合適用期間の拡大、3月1日~4月15日までの間、すべて公定歩合による利用を可能とする。
4.適格担保拡大の検討、預金保険機構向け・地方交付税特別会計向け貸付債権の適格担保化の実務的検討を早急に進める。

2002年9月18日
「金融システムの安定に向けた日本銀行の新たな取り組みについて」を公表
1.金融機関による保有株式削減努力の促進策=日銀による銀行保有株の直接買取=の導入検討(10月11日に「株式買入等基本要領」を制定
2.不良債権問題についての基本的な考え方の整理・公表
(金融政策決定会合終了後、通常会合で決定)

2002年10月30日
1.金融市場調節方針の変更、日本銀行当座預金残高の目標値を、これまでの「10~15兆円程度」から、「15~20兆円程度」に引き上げる。
2.長期国債買入れの増額、これまで月1兆円ペースで行ってきた長期国債の買い入れを、月1兆2千億円ペースに増額する。
3.手形買入期間の延長、これまで「6か月以内」としてきた手形買入の期間を「1年以内」に延長する。

2002年12月17日
「企業金融円滑化策について」を公表
1.証書貸付債権の担保拡大、債務者種類および当初貸付期間毎に担保掛け目を細分化し、3年以内の証貸債権の担保掛け目を引き上げるとともに、5年超10年以内の証貸債権を、新たに適格担保化。
2.資産担保コマーシャル・ペーパー(ABCP)の適格基準の緩和、2004年度末までの時限措置として日銀取引先の保証するABCPを適格の扱いとする。
3.ストリップス債の適格担保化

2003年3月20日、福井俊彦氏日銀総裁に就任。

2003年3月25日
金融市場調節の変更
3月31日までは、日本銀行当座預金残高が15~20兆円程度となるよう金融市場調節を行う。4月1日以後は、日本郵政公社の発足に伴い、日本銀行当座預金残高が17~22兆円程度となるよう金融市場調節を行う。
2.なお、当面、国際政治情勢など不確実性の高い状況が続くとみられることを踏まえ、金融市場の安定確保に万全を期すため、必要に応じ、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。
ロンバート型貸出における公定歩合適用期間の拡大、当分の間、すべての営業日を通じて公定歩合による利用を可能とする。 
金融機関保有株式の買入れ上限の引上げ、買入総額の上限を2兆円から3兆円、買入対象先毎の累計買入限度額5,000億円から7,500億円に。

2003年4月8日潤沢な資金供給が経済活動の拡大に効果的に結びついていくためには、金融緩和の波及メカニズムを強化するため、中堅・中小企業関連資産を主たる裏付資産とする資産担保証券を、時限的措置として金融調節上の買入れ対象資産とすることについて検討を進める。

2003年4月30日
1.金融市場調節方針の変更
日銀当座預金残高の目標値を、これまでの「17~22兆円程度」から「22~27兆円程度」に引き上げることを決定。
産業再生機構に対する証書貸付債権を新たに日本銀行の適格担保とする。

2003年5月20日
金融市場調節方針の変更、日本銀行当座預金残高が27~30兆円程度となるよう金融市場調節を行う。なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。

2003年6月11日
「資産担保証券の買入れとその考え方について」を公表、具体的スキームの骨子を取りまとめ、7月末までの実施に向けて所要の準備を進める。

2003年9月12日
1.「国債現先オペの期間延長の検討について」を公表。次回決定会合で報告するよう執行部に指示。
2.「シンジケートローン債権の担保受入について」を公表、実務面での検討を進めている執行部からの報告、

2003年10月10日
1.金融調節の柔軟性を高め、流動性供給面から機動的に対応する余地を広げる観点から、日本銀行当座預金残高の目標値の上限を引き上げ、これまでの「27~30兆円程度」から、「27~32兆円程度」とする。
2.金融調節を機動的に行う観点から、国債買現先オペの最長期間を現在の6か月から1年に延長する。
3.「金融政策の透明性強化について」を公表
(1)経済・物価情勢に関する日本銀行の判断についての説明の充実。「経済・物価の将来展望とリスク評価」(4月・10月に公表。以下「展望レポート」という)で示した標準的な見通しに比べ、上振れまたは下振れが生じていないか、3か月毎の(1月・7月の)決定会合で検討し、「金融経済月報」の「基本的見解」の中で公表する。
「金融経済月報」は、現在、決定会合の翌営業日に公表しているが、このうち「基本的見解」部分について、即日公表することとする。
総裁記者会見は、現在、月1回目の決定会合の翌々営業日に行っているが、月2回目の会合を含めてすべての決定会合後、当日中に行うこととする。
(2)量的緩和政策継続のコミットメントの明確化
金融政策面から日本経済の持続的な経済成長のための基盤を整備するため、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品。以下略)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで、量的緩和政策を継続することを約束している。日本銀行としては、このコミットメントについては以下のように考えている。
第1に、直近公表の消費者物価指数の前年比上昇率が、単月でゼロ%以上となるだけでなく、基調的な動きとしてゼロ%以上であると判断できることが必要である(具体的には数か月均してみて確認する)。
第2に、消費者物価指数の前年比上昇率が、先行き再びマイナスとなると見込まれないことが必要である。この点は、「展望レポート」における記述や政策委員の見通し等により、明らかにしていくこととする。具体的には、政策委員の多くが、見通し期間において、消費者物価指数の前年比上昇率がゼロ%を超える見通しを有していることが必要である
。こうした条件は必要条件であって、これが満たされたとしても、経済・物価情勢によっては、量的緩和政策を継続することが適当であると判断する場合も考えられる。

2004年1月20日
金融市場調節方針の変更、日本銀行当座預金残高が30~35兆円程度となるよう金融市場調節を行う。 なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。

2004年2月26日
「国債市場の流動性向上に向けた制度導入の検討」を公表、日銀保有国債を市場に供給しうる制度(いわゆる品貸し)の導入に関する実務的な検討を行い、準備が整い次第、決定会合に報告するよう執行部に指示。

2004年4月9日
「国債の補完供給制度の導入について」を公表、いわゆる「品貸し」の導入を決定。

2005年5月20日
一時的な日銀当座預金残高目標割れの容認、いわゆる「なお書き」の変更、日本銀行当座預金残高が30~35兆円程度となるよう金融市場調節を行う。なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。また、資金供給に対する金融機関の応札状況などから資金需要が極めて弱いと判断される場合には、上記目標を下回ることがありうるものとする。
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# by nihonkokusai | 2005-10-21 14:10 | 日銀 | Comments(0)

「宗次郎」

 TXのつくば駅に張ってあったポスターに、「宗次郎」のコンサートのお知らせがあった。場所を見ると我が家からクルマで20分程度のつくば市にある弥生時代の遺跡跡で行われるとあり、「無料」という文字も確認した上、15日の午後に出かけて行った。この日の午前中は土浦市でカレーのイベントがあったため、こちらも顔を出してきた。このため期せずして土浦市とつくば市のそれぞれの市長の挨拶を聞く羽目、いや、お聞きすることができた。

 宗次郎さんといえば、日本、いや世界を代表するオカリナ奏者である。CDもたくさん出されているが、ほとんど聞いたことはなかった。それでも子ども達に実際の生の演奏を聞かせることで多少なり情操教育の一環になるのではないかとの親の勝手な思惑も働いた。

 コンサートの前に、弥生時代の遺跡を復元した舞台で、奈良時代の舞を復元したものを見せてもらった。当時の貴族達はこんな感じでゆうげを楽しんでいたのかと、ややタイムスリップしたような気分もしたが、とにかくメリハリの利いた踊りは見事なものであった。まさに日本舞踊の元祖。

 さて、肝心の宗次郎さんのコンサートは「無料」とはいえ本格的なものであった。これまでも東大寺などでの野外コンサートを数多く行ってきているそうで、ライトの演出など見事であった。バックにいる演奏者もキーボード、バイオリン、ギター、パーカッションだけではあったもののベテラン揃いであり、音響設備もしっかりしていたこともあり、聞き応えのあるコンサートとなった。1時間半の予定がしっかりアンコールもあって2時間近いものとなった。子ども達はさいすがに途中からやや飽きてしまったようにも見えたが、大人はしっかり楽しんだ。

 オカリナの響きはどこか懐かしさを感じさせるものである。宗次郎さん御本人が作曲したものは哀愁といったものを感じさせるものが多かった反面、リズム感の伴うものもあり、こちらは南米あたりをイメージさせた。

 曲目の中には「大黄河」などオリジナルのほかに、「コンドルは飛んで行く」「もののけ姫」などポピュラーなものも組み入れられていた。最後のアンコールの曲は「天空のオリオン」。やはり生の演奏はすばらしい。特に野外ということもあり、次第に夕闇迫る中でのオカリナの響きは格別なものであった。これはぜひ家でも聞きたいと、帰りを急いだ関係で現地でCDは買えなかったが、帰宅してからアマゾンでしっかり注文した。
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# by nihonkokusai | 2005-10-20 14:03 | つくばエクスプレス | Comments(1)

「新型バイバック」

 財務省で19日開催された国債市場特別参加者会合(第8回)において、新たな目的の、国債整理基金による既発国債の買入(買入消却等)、いわゆるバイバックについての説明があった。(国債市場特別参加者会合(第8回)議事要旨より)

 その内容は次の通り。
・新しいバイバックについては、2006年1月を目途に開始する。
・主たる目的は、今年度、個人向け国債の発行額が当初予定よりも上振れしていること等を踏まえ、年度内の「ネット発行額の調整」とする。実際の買入れについては、必ずしも17年度中に全てを実施するわけではなく、買入額の一部については18年度に繰り越して実施することも考えている。
・2つ以上の目的をあわせ持つことも問題ないので、ネット発行額の調整という主たる目的の下、例えば償還期限の平準化という別の目的についても副次的に加味して、2006年度、2007年度、2008年度に償還を迎える期近物を対象とすることなども考えられる。
・その他の目的のバイバックについても市場環境等に応じ随時実施することはあり得る。
・物価連動債、15年変動利付債等、日銀のシステムでは対応できないものや、日銀が買い入れの対象としていないものについても、国債整理基金のバイバックの対象とできる。
・対象総額、一回あたりのロット、実施頻度等の詳細については、今後市場関係者の意見を踏まえつつ検討していく。現行のバイバックは月500億円で実施しており、これまでの市場関係者の意見を踏まえれば、だいたい1000億円を中心に、2000億円程度までの規模という印象を持っているが、いずれにせよ詳細については、今後市場関係者の意見を踏まえ検討する。

 それでは年度内の「ネット発行額の調整」をバイバックを使ってどのように行うのであろうか。その仕組みはこういったものとなる。個人向け国債が当初予算で想定した金額を実際の販売額が上回った際には、その上回った額は借換債の前倒し発行といったかたちにこれまでは振り変わっていた。ちなみに今年度の個人向け国債の発行予定額は3兆6000億円となっているが、4月発行の11回が2兆3374億円、10月発行の12回が1兆6423億円とすでに目標を上回っており、残り2回分の発行を考慮すると3兆円以上が前倒し発行分に振り変る可能性がある。しかし、バイバックによって借換債を買い入れ、その分新たに国債を発行しなければ、借換債の前倒し発行分の中でバイバックした分の減額ができるのである。参考までに、個人向け国債は通常は借換債として発行されており、また今年度の借換債の前倒し発行枠は30兆円である。
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# by nihonkokusai | 2005-10-20 11:10 | 国債 | Comments(0)

「国債先物取引市場開設20周年」

 1985年10月19日、東京証券取引所において日本ではじめての金融先物市場が誕生した。国債先物取引が開始されたのである。今日はそれからちょうど 20年目を迎えた。昨日はこれを記念して、東証で記念パーティーが開催された。幸田真音さんをゲストに向かえ、多くの関係者が出席し賑やかなパーティーとなった。

 1985年はこの先物市場の開設も含めて、債券市場にとっても大きな変革の年となっている。今回はこの1985年を少し振り返ってみたい。

 6月には金融機関のフルディーリングが開始されている。債券のディーリング業務とは既発債を売買する業務であり、それまでは証券会社にしか認められていなかったが、国債を大量に保有している都銀などの銀行が国債市場に本格的に登場することで、公社債の売買高は急増した。ただし、銀行は商品勘定保有国債であっても、翌月までの売却自粛期間が設けられていた。この売買自粛が完全に廃止されたのは1987年の9月であった。

 金融機関のフルディーリングの開始もあって、国債は活発に買われるようになり、その結果、7月には一時的ながら当時の指標銘柄である10年国債(68回債)の利回りが、代表的な短期金利のひとつであった手形レートを下回り、長短金利の逆転現象が生じたのである。

 この年9月には密かに先進5カ国の蔵相・中央銀行総裁がニューヨークのプラザホテルに集結し、米国の財政赤字と貿易赤字という双子の赤字を解消するため、為替をドル安方向に誘導させるとの合意を行った。いわゆるプラザ合意である。

 そして、前述のように10月19日に国債先物取引が開始され、東証の正会員である証券会社に加え、特別会員として都銀などもこの取引に参加することとなった。しかし、この債券先物取引はスタート直後に急落することとなる。

 10月25日に日銀はプラザ合意を受けて、第二の公定歩合といわれた短期金利の高め誘導を実施した。手形レート2か月物は0.5625%上昇して7.125%となり、コールレートも上昇した。これを受けて上場したばかりの債券先物は急落し、大量の売り注文により2日間値がつかないという大混乱となった。

 特に国債先物上場の際に委託取引で銀行などからヘッジのための大量の売り注文を受けていた証券会社などは、その注文に対して自己が買いポジションを膨らませていたことで、この急落によって大きな損失を発生させてしまったところも多かったようである。

 しかし、この日銀の動きは「勝手な解釈」によるものであったと大場智満元財務官がのちにコメントしている。実際に12月18日には短期金利の高め誘導はあっさりと解除されている。

 それから20年の月日が流れた。昨日のパーティー参加者も当時を知っている方は少数派であるとも思われる。すでに国債先物は債券市場にはなくなてならない商品ともなっており、現在でもたいへん高い流動性を保持している。25周年、30周年といった際にはこの国債先物の価格はどのように変っているのであろうか。いろいろな出来事を織り込みながら国債先物の価格はこれからも刻一刻と変化し続けるものと思う。
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# by nihonkokusai | 2005-10-19 13:18 | 債券市場 | Comments(0)
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