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イングランド銀行による利上げの可能性が高まる

 英国政府統計局(ONS)が25日発表した英国の7~9月の国内総生産(GDP)速報値は前期比0.4%増となり、市場予想を上回った。

 英国の中央銀行であるイングランド銀行は9月14日の金融政策委員会(MPC)で、政策金利を過去最低の0.25%で据え置くことを決めた。7対2の賛成多数での決定となり、マカファティー氏とソーンダース氏が前回会合に続き、0.25ポイントの利上げを主張した。この会合からホッグ委員の後任のラムズデン委員が加わり3月以降で初めて、フルメンバーとなる9人での採決となった。

 市場では9月のMPCで利上げ主張派がひとり増えて6対3とすることで将来の利上げの可能性を示唆するのではとの観測も出ていた。しかしそうはならなかった。そのような回りくどいやり方ではなく、同時に発表したMPCの議事要旨で「経済が継続的な緩みの縮小や基調インフレ圧力の段階的な上昇の見通しと一致する経路をたどるなら、今後数か月(over the coming months)での一定の金融刺激策縮小は適切となる可能性があると、過半数の委員は判断した」と年内の利上げの可能性を示唆していた。

 カーニー総裁もあらためて、向こう数か月で緩和縮小が必要になるかもしれないと自らも判断していると会見で発言しており、イングランド銀行は早ければ次回11月のMPCで利上げに踏み切る可能性を強く示唆した格好となった。

 次回のMPCは来週の11月2日に開催される。今回のGDP統計はイングランド銀行による11月のMPCで経済動向を確認するための最後の主要経済指標となる。それが市場予想を上回ったことにより、11月のMPCでの利上げ観測がさらに高まった。

 英政府統計局が10月17日に発表した9月の消費者物価指数は前年同月3.0%増となっており、2012年4月以来、約5年半ぶりに上昇率が3%台に乗せていた。これも利上げを後押しする材料となる。

 イングランド銀行のカンリフ副総裁は23日に11月のMPCで利上げを支持するかどうかについて、あらためて疑念を表明していた。このため、カンリフ副総裁が利上げに反対票を投じる可能性がある。日銀の金融政策決定会合では執行部と呼ばれる総裁と2人の副総裁の票が割れることは皆無ではないが、通常は考えづらい。これに対してイングランド銀行は総裁自身が少数派に回ることがあるなど、個人の意見が重視される。このため副総裁が反対したとしてもそれが多数派になるとは限らない。

 市場では11月2日のMPCで0.25ポイントの利上げを約80%程度織り込んでいるとされる。もし利上げが決定されるとなれば、10年ぶりとなる。



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# by nihonkokusai | 2017-10-27 09:52 | Comments(0)

FRB議長選出に向けたトランプ大統領のパフォーマンス

 米国のトランプ大統領は24日、上院共和党の昼食会に出席し、次期FRB議長候補を巡り、上院議員に挙手投票を求めたと複数の議員が明らかにしたそうである。スコット議員は、トランプ大統領から「勝者の発表はなかったが、私はテイラー氏が勝利したと考えている」と述べた(ブルームバーグ)。

 これを受けて米債はさらに売り込まれ、ドルは買われたようだが、こういったやり方はあまり好ましいと思えない。ラウンズ議員は大半の議員が挙手しなかったため誰が有望か判断は難しいと語ったそうだが、それは当然であろう。いくら議会の承認かせ必要といえど、FRB議長の指名も議会が行うのであれば挙手する必要があろうが、今回については大統領のパフォーマンスとしか思えない。ただし、FRB議長の承認は議会が行うことで、ニュアンスを探ろうとしたのかもしれないが。

 コーカー議員も手を挙げなかったそうで、その理由として「FRB議長を選ぶ極めて優れた方法だとは思わないため、私は参加を断った」と話した。もしもトランプ大統領がいまだFRB議長を決めきれず、承認に必要となる共和党議員の反応を聞きたかったのであれば、このような妙な手段ではなく、共和党の有力者に直接ヒアリングすべきであろう。

 まもなく大統領による次期FRB議長の指名が行われると思われる。今回の昼食会でのアトラクションは、共和党議員がイエレン議長の再任は望んでいないことを確認したかったのであったとしても、これに対し米国で大統領に次いで影響力のあるといわれるFRB議長の指名人事を控えて、大きな権限を持っている大統領がすべき行為ではないのではなかろうか。もしかするとそれだけ大統領も悩んでいるということなのかもしれないが。

 ちなみに来年4月に黒田日銀総裁は任期を迎える。こちらの指名人事は最終的には首相官邸が握っている。もちろん議会での承認が必要ではあるが、いまの日本では与党が過半数を握っており、さらに官邸が出した人事案を反対する与党議員はいないと思われる。もし安倍首相が与党議員に誰が適任かと昼食を取りながら挙手投票を求めても、与党議員はただ困惑するだけとなるのではなかろうか。


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# by nihonkokusai | 2017-10-26 09:55 | 中央銀行 | Comments(0)

個人向け国債の販売が好調持続の理由

 財務省のサイトには個人向け国債のページがあり、その中に「個人向け国債の発行額の推移」をクリックすると発行額のデータがエクセルファイルで確認することができる。

 個人向け国債は今年3月の発行額が9315億円となり、ここがいったんピークとなり、4月の発行額は2030億円に落ち込んでいたが、これには販売する金融機関側の事情もあった。

 個人向け国債は証券会社やゆうちょ銀行を含む銀行などが販売している。その際に販売額に応じて、財務省は金融機関に募集発行事務取扱手数料を支払っている。それが2017年4月発行分(3月募集分)から下記のように引き下げられた。このため金融機関は、個人向け国債が人気化しているタイミングで、しかも手数料が高いうちに積極的に大量に販売しようと、現金を贈呈するといったキャンペーンを強化したものとみられる(キャンペーンの原資は下記手数料となる)。

固定3年額面100円あたり40銭が20銭に

固定5年額面100円あたり50銭が30銭に

変動10年額面100円あたり50銭が40銭に

 2016年度の個人向け国債の発行予定額は3種類合計で4兆5556億円となり、2015年の2兆1367億円から倍増し、2007年度の4兆6617億円以来、9年ぶりの高い水準となっていた。

 2008年度以降、低迷し続けていた個人向け国債の発行額が何故、2016年度は大きく増加したのか。個人向け国債の発行額が低迷していた最大の理由が利率の低さにあった。利率の低い状態は2016年度も続いたが、日銀が2016年1月にマイナス金利政策を導入したあたりから状況が変わってきた。

 さすがに預貯金金利はマイナスになることはなかったものの、0.01%程度に低下したままとなっていた。周りの金利が下がったことで、個人向け国債の最低保証金利の0.05%が相対的に魅力的なものとなったのである。これが個人向け国債発行額増加の最大の理由となろう。

 今年の4月以降も日銀による長短金利操作付き量的・質的緩和策は継続しており、預金金利は低位のまま推移している。今年の4月の個人向け国債の販売額は3月の反動もあり、大きく減少し、5月も1895億円と減少していたが、ボーナス月となる6月募集の7月発行分は3256億円と3000億円台を回復していた。

 日銀による長短金利付き量的・質的緩和政策を受け、特に10年変動タイプに影響する10年債利回りは当面、ゼロ%近辺に押さえ込まれることになる。預貯金金利も0.01%近辺のまま推移するとなれば、個人向け国債の最低保障利回りの0.05%の見直し等がない限りは、相対的な優位さは継続する。このため金融機関の販売に対するインセンティブは手数料の引き下げで多少後退しても、個人投資家によるニーズの強さに変化はないとみられる。

 今回の衆院選挙の与党圧勝により、日銀の異次元緩和はさらに継続される見込みとなっている。低金利が継続され、個人向け国債の最低保障利回りの0.05%の見直し等がない限りは、個人向け国債の人気は継続するとみられる。来年度の国債発行計画のなかでも、個人向け販売分は今年度計画の3兆円程度になると予想される。


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# by nihonkokusai | 2017-10-25 09:50 | 国債 | Comments(0)

個人向け国債の販売が好調持続の理由

 財務省のサイトには個人向け国債のページがあり、その中に「個人向け国債の発行額の推移」をクリックすると発行額のデータがエクセルファイルで確認することができる。

 個人向け国債は今年3月の発行額が9315億円となり、ここがいったんピークとなり、4月の発行額は2030億円に落ち込んでいたが、これには販売する金融機関側の事情もあった。

 個人向け国債は証券会社やゆうちょ銀行を含む銀行などが販売している。その際に販売額に応じて、財務省は金融機関に募集発行事務取扱手数料を支払っている。それが2017年4月発行分(3月募集分)から下記のように引き下げられた。このため金融機関は、個人向け国債が人気化しているタイミングで、しかも手数料が高いうちに積極的に大量に販売しようと、現金を贈呈するといったキャンペーンを強化したものとみられる(キャンペーンの原資は下記手数料となる)。

固定3年額面100円あたり40銭が20銭に

固定5年額面100円あたり50銭が30銭に

変動10年額面100円あたり50銭が40銭に

 2016年度の個人向け国債の発行予定額は3種類合計で4兆5556億円となり、2015年の2兆1367億円から倍増し、2007年度の4兆6617億円以来、9年ぶりの高い水準となっていた。

 2008年度以降、低迷し続けていた個人向け国債の発行額が何故、2016年度は大きく増加したのか。個人向け国債の発行額が低迷していた最大の理由が利率の低さにあった。利率の低い状態は2016年度も続いたが、日銀が2016年1月にマイナス金利政策を導入したあたりから状況が変わってきた。

 さすがに預貯金金利はマイナスになることはなかったものの、0.01%程度に低下したままとなっていた。周りの金利が下がったことで、個人向け国債の最低保証金利の0.05%が相対的に魅力的なものとなったのである。これが個人向け国債発行額増加の最大の理由となろう。

 今年の4月以降も日銀による長短金利操作付き量的・質的緩和策は継続しており、預金金利は低位のまま推移している。今年の4月の個人向け国債の販売額は3月の反動もあり、大きく減少し、5月も1895億円と減少していたが、ボーナス月となる6月募集の7月発行分は3256億円と3000億円台を回復していた。

 日銀による長短金利付き量的・質的緩和政策を受け、特に10年変動タイプに影響する10年債利回りは当面、ゼロ%近辺に押さえ込まれることになる。預貯金金利も0.01%近辺のまま推移するとなれば、個人向け国債の最低保障利回りの0.05%の見直し等がない限りは、相対的な優位さは継続する。このため金融機関の販売に対するインセンティブは手数料の引き下げで多少後退しても、個人投資家によるニーズの強さに変化はないとみられる。

 今回の衆院選挙の与党圧勝により、日銀の異次元緩和はさらに継続される見込みとなっている。低金利が継続され、個人向け国債の最低保障利回りの0.05%の見直し等がない限りは、個人向け国債の人気は継続するとみられる。来年度の国債発行計画のなかでも、個人向け販売分は今年度計画の3兆円程度になると予想される。


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# by nihonkokusai | 2017-10-25 09:50 | 国債 | Comments(0)

中国による米国債への買い越し続く

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、8月の国別の米国債保有高のトップは中国が3か月連続のトップとなった。さらに中国の米国債の買い越しは7か月連続となった。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」 http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 8月の中国(China、Mainland)の米国債保有高は1兆2005億ドルとなった。2位は日本で1兆1017億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)

中国(China, Mainland)  1200.5

日本(Japan)  1101.7

アイルランド(Ireland)  307.2

ブラジル(Brazil)  273.6

ケイマン諸島(Cayman Islands ) 260.0

スイス(Switzerland)  248.3

英国(United Kingdom) 225.4

ルクセンブルグ(Luxembourg )213.4

香港(Hong Kong)  197.3

台湾(Taiwan) 180.4

 ベスト10の顔ぶれは前回と同じで順位にも変化はなかった。日本は昨年10月に中国を抜いて米国債保有額でトップとなっていたが、今年6月に再び中国に抜かれ、8月も2位のままとなった。中国は7月から345億ドル増加させたが、日本は114億ドル減少させていた。

 中国の外貨準備高は7か連続で増加し、7月には3兆ドルを突破し、8月末の外貨準備高は3兆915億ドルとなっていた。7月から108億ドル増え、7か月連続で増加した。これも中国による米国債買入の原資のひとつとなっていることは確かである。為替介入(ドル売り元買い)が減少してきたことも影響しているようである。

 米10年債利回りの推移をみると8月ほぼ一環して低下傾向となり(価格は上昇)、9月8日頃に2%近くまで低下していた。8月の利回り低下は中国による買いも影響していたとみられるが、日本は利回りが低下する過程で利益確定売りを入れていたようである。


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# by nihonkokusai | 2017-10-24 09:35 | 国債 | Comments(0)

ビットコインと円との大きな違い

 円は日本の法定通貨である。国は法定通貨を定めることで、その通貨を「決済手段として使う権利」が定められる。通常、国はひとつの法定通貨を有している。法定通貨が持つ、この「決済手段として使う権利」は「強制通用力」と呼ばれる。日銀券を用いて支払いを行った場合には、相手がその受取りを拒絶することができないという「法貨としての強制通用力」を持っている。

 現在、日本で使うことのできるお札は22種類ある。この「使うことができる」ということを「強制通用力がある」と言い、日銀券は日銀法で法貨として無制限に通用すると定められている。ただし、補助貨幣などの貨幣には一定の制限があり、硬貨の場合は「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第7条」により、同じ硬貨は20枚まで強制通用力を有していると定められている。

 強制通用力を認められた貨幣による決済は、額面で表示された価値の限度で最終的な決済と認められ、受け取る相手側はこれを拒否できない。つまり、日本国内で円を使う場合に、日銀券は制限なく使用できる。反対に強制通用力の無いものでは、決済を拒否できることになる。

 日本における通貨の「円」とビットコインなどの仮想通貨などとの大きな違いは、この通貨の強制通用力の有無ということになろう。さらに法定通貨と強制通用力で守られた「通貨」は交換力が保証される。つまり流動性が保証される。これに対して仮想通貨はこういった交換力の保証がない。

 法律で守られていないビットコインと法定通貨である円が、もし同じような利用価値を有することになるとなれば、日本の国民が法律を遵守することがなくなり、法律というかそれを制定する国への信用度が極度に低下する場合となろう。

 いまの日本では日銀が国債を異常な規模で購入していようが、いまのところ国や国債、そして円に対する信認は非常に強い。日本国債の利回りが低位で推移し続けているのも国への信認が背後にあり、それは国の法律に守られた円に対する信認が強いことも示している。

 また、日本国内での商取引が極めて閉鎖的であることで、円の使い勝手が良いことなどがあり、国際的に流動性の高いドルなど他の通貨がそれほど流通していない要因となっている。日本の物価が安定していることで、円の価格変動リスクが極めて少ないことも大きく影響していよう。

 これに対してビットコインなどは極めて価格変動リスクが大きいこともあり、投機的な利用はさておき、通貨として利用が日本国内で拡がることは現状は考えづらいのである。


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# by nihonkokusai | 2017-10-22 10:55 | 金融 | Comments(0)

9月の債券、海外投資家は押し目買い

 20日に発表された9月の公社債投資家別売買高によると、都銀は1兆1532億円の売り越しとなり、それに対して海外投資家は2兆4042億円の買い越しとなっていた。海外投資家は6月、7月と買い越し額は1兆円を割り込んでいたが、8月は3兆円近くの買い越しとなっており、9月はそれよりは買い越し額は縮小していたとはいえ、存在感を示した格好となった。

 8月の都銀は小幅買い越しとなっていたが、9月は1兆円を越す売り越しとなり、同時に発表された国債の投資家別売買高をみると中期ゾーンを9050億円、 超長期ゾーンを2357億円売り越していた。これに対して海外投資家は中期ゾーンを1兆8317億円、長期ゾーンを4557億円買い越していた。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 11532(2357、816、9050)

地方銀行 -35(674、-231、850)

信託銀行 -4208(-2913、1061、-1079)

農林系金融機関 -2722(-2512、284、20)

第二地銀協加盟行 312(364、-114、0)

信用金庫 -1643(-562、306、40)

その他金融機関 -1366(-259、-218、60)

生保・損保 -4227(-3647、41、14)

投資信託 -477(151、306、-430)

官公庁共済組合 -262(-212、2、0)

事業法人 -473(-57、1、0)

その他法人 -925(-188、-39、90)

外国人 -24042(-967、-4557、-18317)

個人 241(-34、26、4)

その他 18967(7153、-5340、21058)

債券ディーラー 415(-5、931、-460)

 9月の全体の国債売買高は201兆円程度となり、6月の212兆円以来の200兆円台を回復した。中期ゾーンの売買高は7月に35兆円程度と一時的に落ち込んでいたが、8月、9月と50兆円台を回復させている。

 9月の債券相場は米債が年内利上げ観測の強まりなどから下落トレンドとなり、円債も同様に下落した。この間に都銀などは利益確定売りを急いだようだが、海外投資家はしっかり押し目買いを入れていたようである。


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# by nihonkokusai | 2017-10-21 13:22 | 債券市場 | Comments(0)

FRB議長人事レースの行方を占う

 米国のトランプ大統領は17日、FRB議長を既に名が挙がっている5人から選ぶつもりであり、近く発表すると述べた。トランプ大統領は11月3~14日に日本を筆頭にアジア各国を歴訪する予定で、この出発までに発表するようである。トランプ大統領はイエレン議長と19日前後に面談した後、人事案を正式に固めるとみられる。

 トランプ大統領が絞り込んだ5人の候補はパウエルFRB理事、ウォーシュ元FRB理事、テイラー米スタンフォード大教授、コーン国家経済会議(NEC)委員長、そしてイエレン議長となる。

 パウエル氏は共和党のジョージ・ブッシュ政権で財務次官を務め、中立派とされる。これに対してスタンフォード大学経営大学院講師を務めるケビン・ウォーシュ元理事は同じ共和党ながらタカ派とされる。テイラー米スタンフォード大教授も共和党に近くタカ派の代表格ともいえる。テイラー氏は本命視はされていなかったが、ホワイトハウスでの面談でトランプ大統領に好印象を与えたとされ、市場では議長候補として脚光を浴びつつある。コーン国家経済会議(NEC)委員長に関してはトランプ大統領と距離も出来ているようで、議長レースから後退しつつあり、ウォーシュ元理事の可能性も後退しつつあるという。

 トランプ大統領に指名の選択権があるため、FRB議長候補の予想は難しい。しかし、5人もの候補から絞るということ自体、イエレン議長の再任の可能性は薄いということなのかもしれない。これはイエレン議長本人の意向も重要となるが、健康への不安もある。予定されるトランプ大統領とイエレン議長の会見では、イエレン氏本人の意向の確認とともに、自分以外の後継者のなかからの推薦者を確認するためのものとの見方もできなくはない。

 そうであれば、いまのところ本命は現役のFRB理事でイエレン議長を補佐してきたパウエルFRB理事といえるのではなかろうか。トランプ大統領も就任後はイエレン議長を「大いに尊敬している」と選挙期間中の批判的な態度を一変させ、いまのFRBの政策にも理解を示しているとみられ、政策の継続が念頭にあればパウエルFRB理事の議長昇格の可能性は高いように思われる。

 ダークホースがトランプ氏の好感度が上がったとされるテイラー教授ではあるが、正常化という実務がいま重視されているFRBにあっては外部採用はできれば避けたいところではなかろうか。ジョン・テイラー氏は70歳という年齢もネックとなるかもしれない。ちなみにパウエルFRB理事は64歳。年齢だけでみればウォーシュ元理事は47歳とまだ若い。イエレン議長は71歳と年齢にも不安が残るところではある(トランプ大統領も71歳ではあるが)。ちなみにコーン氏は57歳である。


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# by nihonkokusai | 2017-10-19 09:57 | Comments(0)

「『円』対『仮想通貨』」

 ビットコインの価格が乱高下するなどしていることで、再びビットコインなどの仮想通貨がニュースなどでも取りあげられている。しかし、特に日本ではこの仮想通貨が法定通貨である円に取って代わるような事態となることは考えづらい。

 日本国内での「円」の利用については、まったく支障がない。それどころか日本人は特に現金主義であり、世界的に電子マネーや仮想通貨といった新たな決済手段が広がりつつあるなかでも、日本は引き続き他国と比べて現金を好む傾向が強いとされている。

 日銀が今年2月に発表したレポートによると、日本の現金流通高の名目国内総生産(GDP)比は2015年末時点で19.4%となり、日本の現金流通高のGDP比はユーロ圏の10.6%、米国の7.9%、英国の3.7%など他の主要国と比べて際立って大きい。

 この要因として日銀が指摘しているもののひとつは「タンス預金」として使わないまま滞留している現金が多いこと。日本は治安が相対的に良く、現金を保管しても盗難のリスクが低いこと、低金利が長く続いていることで、預金していても金利収入がほとんど得られないことなどとなっている(2月21日日経新聞記事より引用)。

 もちろん現金に慣れ親しんでしまっていることで、便利とはわかっていても電子マネーよりもつい現金を使ってしまう面もある。コンビニでの利用もいまだ現金の割合も多いようである。

 これは日本の円の決済のしやすさや、その価値が安定していることも影響している。電子マネーは便利ではあるが、ひとつの電子マネーが、すべての店で決済ができるわけではない。

 またビットコインなどを使った際のように、今日買ったコーヒーの値段が明日、大きく変動するようなこともない。

 同じ円で使える電子マネーの普及もなかなか進まないなか、日々値動きがあり、さらにその決算についても一定の手続きが必要な「仮想通貨」が日本国内で通貨として普及することは、円の信認や価値がこれまで通り維持されるという前提では考えづらい。  

 仮想通貨は通貨という名称はついていても、国内では投機的な対象物となっており、ブロックチェーンという仕組みは応用が可能で普及する可能性はあるものの、仮想通貨自体が「通貨」として普及する可能性は極めて低いと言えよう。


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# by nihonkokusai | 2017-10-18 09:49 | 金融 | Comments(0)

マイナス金利で得をしているのは誰なのか

 日銀が2016年2月に導入した「マイナス金利付き量的・質的緩和政策」はすこぶる評判が悪かった。特に多額の資金運用を行っている投資家にとって、本来であれば安全資産であるはずの国債を保有することで運用成績がマイナスとなる事態は運用そのものに支障を来すことになる。

 日銀のマイナス金利政策の狙いのひとつとして、ポートフォリオ・リバランスというものがある。日銀が安全資産とされる国債を大量に買い占め、国債の利回りを徹底的に引き下げることにより、資金運用を行っている投資家に対し、貸し出しや国債以外の金融資産に資金を振り向けさせようとするものである。

 しかし、年金にしろ、預貯金にしろ資金を払い込んだ人たちには、大きなリスクを負っての運用は本来望んではいないはずである。少なくとも元金が目減りするようなことは考えていないのではなかろうか。だからこそ、これまでは年金や銀行などは国債を主体とした運用をしてきた。その国債も保有することで運用益がマイナスとなる事態となってしまった。

 日銀は金融業界からのマイナス金利政策に対する批判を受けてそれを修正したのが、2016年9月の長短金利操作付き量的・質的金融緩和である。これは何と言うことはない、長期金利、つまり10年債利回りのマイナス化を避けて、期間の長い国債の利回りはプラスにさせる政策ともいえる。それでも長期金利は0.1%以下に押さえ込まれている。

 その結果、我々が受け取る利息もほとんどない事態が続いている。日銀の異次元緩和で物価が上がらなかったことで、その事態がさらに延長され続けている。それでも足元物価をみると消費者物価指数(除く生鮮食料品)で前年比プラス0.7%程度までは回復している。しかし、長期金利は日銀のイールドカーブコントロールによって引き続き0.1%を下回っているが、それがなければもう少し上昇してもおかしくはない。

 日銀の金融政策によって金利そのものは大きく押さえ込まれ、中期ゾーンの金利あたりまではいまだマイナスとなっている。景気は回復基調が続いていることは確かで、我々は本来もらえるはずの金利を、物価を上昇させるためとして、それが享受できない状況が続いていることになる。

 それではマイナス金利政策で得をしている人がいるのか。マイナス金利政策に恩恵を受けているのは、国債を低い利回りで発行でき、国債費が抑えられる政府となる。それは裏返すと財政規律を緩めかねないものともなっている。

 それとともに海外投資家もマイナス金利でも利益が出せる。日本の金融機関による海外の国債などへの投資の際に、円をドルに転換する必要があり、その際に付くドルのプレミアム分を相手方の海外の金融機関などは得ることができる。つまり海外投資家は多少のマイナス金利でもプレミアム分があるため、それで鞘を抜くことができる。

 10月16日の日経新聞の「マイナス金利、海外中銀にプラス」との記事では、その鞘を取る投資家にアジアや欧州の中央銀行も含まれていることを示していた。日銀は海外の中央銀行から預かる資金に今年6月からマイナス金利を適用しているが、それは日銀に預けてある資金の一部だけの適用となっている。このため、海外中銀による日銀の預金残高は10月10日時点で過去最高額となっているようである。


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# by nihonkokusai | 2017-10-17 09:48 | 日銀 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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