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日銀短観、10年ぶりの回復が意味するものとは

 日銀が10月2日に発表した9月の短観では、大企業製造業の業況判断指数(DI)がプラス22となった。前回6月調査のプラス17から5ポイント改善した。22ポイントの改善は2007年9月のプラス23以来、10年ぶりの水準となった。

 大企業製造業の業況判断指数は株価指数とも連動性が高く、ここにきての日経平均の上昇の背景には当然ながら、この企業業績の改善も影響していよう。

 9月25日の記者会見で、茂木経済財政・再生相は国内景気について「戦後2位のいざなぎ景気(1965年11月~70年7月の57カ月)を超える景気回復の長さになった可能性が高い」との認識を示した。9月も回復となれば、2012年11月から58カ月と「いざなぎ景気」を上回り、戦後2番目の長期回復局面となる(9月25日日経新聞)。

 実感なき景気回復とされるが、少なくとも景気が落ち込んでいるわけではない。今回の短観の大企業製造業DIの「2007年9月」以来10年ぶりの回復と、「2012年11月」からの景気回復基調とそれぞれの日付けをみると、今回の景気回復の意味するところが現れてくる。

 一見すると2012年11月からの景気回復は、2012年12月の総選挙で登場したアベノミクスによる効果と見えなくもない。日銀が2013年4月に日銀は異次元緩和を呼ばれた量的・質的緩和を決定し、その2013年4月にプラスに浮上した全国消費者物価指数(除く生鮮食料品、コア)は1年後にプラス1.5%まで上昇した。

 今回の景気回復には日銀の異次元緩和を中心としたアベノミクスが功を奏したのであろうか。今回の日銀短観の数字の背景として、日銀による緩和効果といった説明はなく「世界経済の回復を背景とした企業業績の好調が景況感を押し上げた」との説明があった。実際には日銀の緩和効果よりも世界経済の回復が日本経済も支えているとみたほうが説明がつく。

 アベノミクスやその中心となった日銀の異次元緩和が即、景気や物価に影響を与えたかにみえたのは、あくまでタイミングが良かったに過ぎない。そもそもアベノミクスがスタートする前の2012年11月から景気が改善した背景は、欧州の信用不安という世界的な金融経済リスクの後退によるものとみた方が自然である。金融市場でもリスク回避の巻き戻しが起きつつあるところに、安倍氏の輪転機発言があり、ヘッジファンドが仕掛けて急激な円安・株高が生じ、あたかもアベノミクスが景気に大きく影響したかに見えることとなる。

 今回の日銀短観の水準が2007年9月の水準に戻ったということも、ある意味象徴的な出来事といえる。2007年8月に起きたのがパリバ・ショックであった。つまりリーマン・ショックに繋がる一連の金融経済危機がこのころ発生していたのである。リーマン・ショックとギリシャ・ショックに代表される百年に一度とされる2度の危機が収まってきたのが、2012年11月あたりからであり、時間をかけてやっとそれらの危機以前の水準にまで景気が回復してきたといえる。

 これについて日銀の異次元緩和がまったく効果はなかったとは言わないまでも、そこまでやる必要性はまったく認められないし、現実に物価に影響を与えていない。FRBはすでに正常化に向けた動きを本格化させているが、日銀は物価目標に縛られて身動きが取れなくなっている。本当にこれで良いのであろうか。


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# by nihonkokusai | 2017-10-03 09:37 | アベノミクス | Comments(0)

物価上昇の背景と金融政策の影響

 9月29日に発表された8月の全国消費者物価指数は総合で前年同月比プラス0.7%、日銀の物価目標となっている生鮮食品を除く総合(コア)で同プラス0.7%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア)で同プラス0.2%となった。

 コア指数の最近の推移をみてみると5月と6月が前年比プラス0.4%、7月が同プラス0.5%、8月が同プラス0.7%とじりじりと上昇幅が拡大している。

 8月の前年比が拡大した要因として、原油や液化天然ガスの価格が上昇し、電気料金と都市ガス代が値上がりしたこと、さらに高額療養費制度の見直しで70歳以上の高齢者の自己負担額が引き上げられたことなどが主な理由としている(NHK)。

 原油価格の指標として使われているWTI先物は6月に42ドル近辺にあったのが、じりじりと回復し50ドルの大台を回復している。10月1日からヤマト運輸は宅急便を値上げするなど、今後はさらに物価上昇圧力が加わることも予想され、前年プラス1%あたりまでの上昇も十分ありうるか。

 ちなみにコアCPIの前年比がプラス0.7%となったのは2014年11月以来となる。2013年5月にコアCPIはプラスを回復し、2014年4月にプラス1.5%までプラス幅を拡大させた。日銀が量的・質的緩和を決定したのが2013年4月であり、1年後にプラス1.5%まで上昇し2%の物価目標ができるかに思えた。

 しかし、日銀の異次元緩和策がこのようにタイムリーに効果が出たとする考え方自体、おかしかった。日銀も緩和効果が出るまである程度タイムラグがあるとしていたはずである。つまりこのときの物価の上昇は日銀の緩和効果がダイレクトに効いたというよりも、円安や消費増税に向けた駆け込み効果等の影響が大きかった。

 その後の消費者物価指数は再びマイナスに転じたが、これを2014年4月からの消費増税による影響とすることもおかしい。もちろんそれまでの反動もあったろうが、円安効果が一巡した上、原油価格の下落などが影響を与えたとの見方の方が自然である。

 日銀の大胆な金融政策は実は物価に対してダイレクトな影響は与えていないことを、日銀はこの4年ちょっとで示すことになった。元々無理があったリフレ派の考え方を無理矢理日銀に押しつけ、その結果が出なかったことで日銀の無理矢理な政策だけが残されてしまっている。

 日銀は9月の金融政策決定会合における主な意見に、「2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されている。もっとも、その実現までにはなお距離があることから、現在の強力な金融緩和を粘り強く推進していくことが重要である。」とあった。これはたぶん黒田総裁など執行部の意見かとも思われるが、「現在の強力な金融緩和を粘り強く推進していくこと」をそろそろ再考する必要があると思われる。


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# by nihonkokusai | 2017-10-01 17:10 | 日銀 | Comments(0)

物価上昇の背景と金融政策の影響

 9月29日に発表された8月の全国消費者物価指数は総合で前年同月比プラス0.7%、日銀の物価目標となっている生鮮食品を除く総合(コア)で同プラス0.7%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア)で同プラス0.2%となった。

 コア指数の最近の推移をみてみると5月と6月が前年比プラス0.4%、7月が同プラス0.5%、8月が同プラス0.7%とじりじりと上昇幅が拡大している。

 8月の前年比が拡大した要因として、原油や液化天然ガスの価格が上昇し、電気料金と都市ガス代が値上がりしたこと、さらに高額療養費制度の見直しで70歳以上の高齢者の自己負担額が引き上げられたことなどが主な理由としている(NHK)。

 原油価格の指標として使われているWTI先物は6月に42ドル近辺にあったのが、じりじりと回復し50ドルの大台を回復している。10月1日からヤマト運輸は宅急便を値上げするなど、今後はさらに物価上昇圧力が加わることも予想され、前年プラス1%あたりまでの上昇も十分ありうるか。

 ちなみにコアCPIの前年比がプラス0.7%となったのは2014年11月以来となる。2013年5月にコアCPIはプラスを回復し、2014年4月にプラス1.5%までプラス幅を拡大させた。日銀が量的・質的緩和を決定したのが2013年4月であり、1年後にプラス1.5%まで上昇し2%の物価目標ができるかに思えた。

 しかし、日銀の異次元緩和策がこのようにタイムリーに効果が出たとする考え方自体、おかしかった。日銀も緩和効果が出るまである程度タイムラグがあるとしていたはずである。つまりこのときの物価の上昇は日銀の緩和効果がダイレクトに効いたというよりも、円安や消費増税に向けた駆け込み効果等の影響が大きかった。

 その後の消費者物価指数は再びマイナスに転じたが、これを2014年4月からの消費増税による影響とすることもおかしい。もちろんそれまでの反動もあったろうが、円安効果が一巡した上、原油価格の下落などが影響を与えたとの見方の方が自然である。

 日銀の大胆な金融政策は実は物価に対してダイレクトな影響は与えていないことを、日銀はこの4年ちょっとで示すことになった。元々無理があったリフレ派の考え方を無理矢理日銀に押しつけ、その結果が出なかったことで日銀の無理矢理な政策だけが残されてしまっている。

 日銀は9月の金融政策決定会合における主な意見に、「2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されている。もっとも、その実現までにはなお距離があることから、現在の強力な金融緩和を粘り強く推進していくことが重要である。」とあった。これはたぶん黒田総裁など執行部の意見かとも思われるが、「現在の強力な金融緩和を粘り強く推進していくこと」をそろそろ再考する必要があると思われる。


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# by nihonkokusai | 2017-10-01 17:09 | 日銀 | Comments(0)

解散総選挙により日本の国債市場も動揺か

 9月27日の日本の債券市場では、久しぶりに先物が大きく下落し22銭安の150円58銭で引けた。債券先物の20銭程度の下落は過去の動きからは普通に見えるが、ここにきてはそこそこ値幅が大きいものとなっていた。

 この日本の債券先物の下落に誘発されたかのように、米国債やドイツの国債が日本時間の27日の午後から売られていた。円債の売りはこの米債安の影響を受けたかにもみえなくもない。

トランプ大統領は連邦法人税率を35%から20%に下げる税制改革案を正式に発表したことで景気刺激策として捉えられるとともに、財源としては国債発行で補うのではないかとの観測も手伝い、 27日の米国市場で米国債は大きく下落した。

 27日の日本時間の午後、すでにこの動きが察知されて米債が売られたのかは定かではないが(国内投資家脳裏とも)、その後の米国市場で一段安となったのは、税制改革案による影響であったと思われる。

 米10年債利回りは2.3%台に乗せてきた。これは税制改革案だけでなく、12月のFOMCでの利上げ観測の強まりも当然ながら背景にある。このまま米10年債利回りが2.4%台に上昇してくるとなれば、大きな節目となっている2.6%を伺う可能性もある。

 これには米国の税制改革だけでなく、足元物価の状況次第の面がある。FRBのイエレン議長がミステリーとしていた物価が原油価格の上昇なども背景に回復してくるとなれば、米長期金利を押し上げる要因ともなりうる。むろん、物価が「謎」のままであれば戻りが抑えられる可能性はある。

 円債がこの米債の影響を受けやすいことは確かであるが、27日の日本の債券先物の相場の崩れ方は海外発というよりも国内要因によるものではなかろうか。

 その背景として考えられるのが解散総選挙となる。希望の党の出現、そこに民進党が解党して加わるなど予想外の出来事が、日本の政治の変化を意識させてきているのではなかろうか。

 これまでも海外では予想できなかった米国でのトランプ政権の誕生があり、フランスではマクロン旋風が吹き荒れ、英国ではまさかの総選挙の過半数割れといったことが起きている。同様のことで日本で起きてもおかしくはない。

 日本で政権交代が起きるのかどうかはさておき、安倍一強と呼ばれた状況が変化する可能性が出てきた。これは日銀の金融政策などにも影響を与えかねない。現在の異次元緩和策が修正されるようなことになると国債市場そのものが再び動き出すこともありうる。27日の債券先物の動きはそれほど大きなものではなかったが、何かの予兆めいた動きのようにも思えたのである。

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# by nihonkokusai | 2017-09-29 10:05 | 債券市場 | Comments(0)

イエレン議長はあらためて年内利上げを示唆

 FRBのイエレン議長は26日の全米企業エコノミスト協会での講演で、「インフレ率が目標の2%に戻るまで金融政策を据え置くのは賢明ではない」と述べ、緩やかな利上げが現在のところ最も適切な政策スタンスだとの認識を示した上で、「ゆっくりし過ぎないよう注意するべきだ」と述べた(ブルームバーグ)。

 20日のFOMCでは政策金利であるフェデラルファンド金利の誘導目標を年1.00~1.25%のまま据え置いた。そして、2008年~14年に購入した米国債などの保有量を10月から段階的に減らすことを決定した。そして、 FOMC後に公表した政策金利見通し(ドットチャート)では、参加者16人のうち11人が年末までに追加利上げを予測していることを明らかにした。

 この日の会見でイエレン議長は物価動向について、今後数年で2%の近辺に回復し、安定するという見通しを変えなかった。物価の2%割れは多分にミステリーだとも表現していた。

 26日の講演後の質疑応答でも今年の物価停滞について「謎」と述べていたようであるが(日経新聞電子版)、基本姿勢としては緩やかながらも、ゆっくりしすぎない利上げを意識しているようである。

 これはつまり足元の物価データなどからFRBが予想している今年の年3回目の利上げは困難、との見方を修正させようとの意図があるようである。余程の事態が発生しない限り、FRBのシナリオは12月のFOMCでの利上げ決定とみて良いよう思われる。

 余程の事態としては北朝鮮リスクなども挙げられよう。こちらはすでに話し合いの余地もなくなりつつあり、何かしらのきっかけで軍事衝突を招く懸念がないわけではない。しかし、今のところは軍事衝突に進展する可能性は薄いとの見方も強い。

 物価に対しては原油価格の動向も当然影響を与える。ここにきてWTIは50ドルの大台を回復するなどしており、少なくとも物価を抑制する要因とはなくなりつつある。今後、物価については上昇圧力を強めることも予想され、これは米国のみならず日本も同様であるかもしれない。


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# by nihonkokusai | 2017-09-28 15:51 | 中央銀行 | Comments(0)

壊されたJGBアラート、財政規律を無視するな

 9月22日に財務省で国債市場特別参加者会合が開催された。国債市場特別参加者とは、いわゆるプライマリー・ディーラーであり、まさに国債市場の専門家集団ともいえる。今回はこの会合の議事要旨から、「最近の国債市場の状況と今後の見通しについて」との意見のなかから特に財政規律に関する発言をピックアップしてみた。

 「(国債の)価格発見機能については、財政拡大という話が出た際に、本来、利回りが上がって、そういった動きをけん制する機能があったところ、現在のマーケットの中には見られない。こうした状況が長期化するに従って、本来あるべき価格との乖離が大きくなっていく。こうした事態をこのまま見過ごしていいのかという懸念は絶えず持っている。」

 「足元、政府が本来よりもはるかに安い金利でファンディングできる環境にあり、この間に財政健全化を進めること、金融政策の正常化が進められた場合に十分に対応できるよう市場環境を整備すること、年限毎の国債発行残高の構成を検討すること等の政策を是非積極的に実施してほしい。」

 「昨日に中国の国債の格付が引き下げられたが、将来的に日本国債の大幅な格下げがあると、金融機関の外貨ビジネスの活路が断たれてしまう。財政健全化に向けた動きは緩めるべきではない。」

 「市場の発信機能の低下が挙げられる。本来、財政規律、景気の好不調、今後の経済見通し等に対して、市場は様々なサインを発信するが、ボラティリティが低下していることによって、市場の発信機能が低下している。金融当局及び発行当局は、市場からのサインを見て政策判断を行っていくことが望ましいが、発信機能が低下していくことによって、結果として政策判断を間違えるリスクが高まっている。」

 安倍首相は25日の午後6時から記者会見を開き、28日召集の臨時国会の冒頭で衆院を解散する考えを表明した。消費税の増収分の使途変更を表明した上で、2兆円規模の新たな経済対策を年内に策定する意向を示した。

 アベノミクスと呼ばれたリフレ政策は国債そのものが道具にされた。日銀が国債を大量に買い入れることで物価上昇を狙ったが、そんな簡単に物価が上がるものではなく、国債市場の機能不全と実態経済に即しない長期金利の押さえ込まれた状態が続いている。

 このような状況は非常時に行うべきものであるはずなのにも関わらず、日本の景気は「いざなぎ」を超えた可能性が高いそうである。これが日銀の異次元感のおかげと判断するのは勝手だが、それならそれで結果が出ているのであれば日銀の異次元緩和を緩めても良いのではなかろうか。

 今回の選挙はそんな歪んだ状況を修正してくれる選挙になるのではとの期待があった。しかし、台風の目となりそうな希望の党も景気が実感を伴って回復するまでの消費増税の凍結を打ち出している。そうなると現在の日銀の異次元緩和ありきの政策が想定される。これがどのようなリスクを含んでいるのかは、上記の国債市場参加者の発言をみればわかろう。財政リスクはないのではなく、力尽くで見せなくしているだけである。国債の価格発見機能も日銀によって押さえ込まれている。

 発信機能が低下していくことによって、結果として政策判断を間違えるリスクが高まっている、との指摘があったが、今回の選挙でも政策判断を間違える可能性は十分にありうる。この前提にあるのが国債市場がおとなしくしてくれていれば、ということになろう。そうしたいのであれば、まずは財政規律を維持することを重視すべきで、それを最も重視しているのが、リフレ政策を採用していた安倍首相という皮肉な状態となっている。


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# by nihonkokusai | 2017-09-27 09:51 | 国債 | Comments(0)

8月の国債売買高は回復

 9月20日に発表された8月の公社債投資家別売買高によると海外投資家が3兆円近くの買い越しとなり、都銀、生保、投資信託なども小幅買い越しとなっていた。ただし、都銀の買い越しは675億円に止まった。同時に発表された国債の投資家別売買高をみると中期と超長期は買い越しとなっていたが、長期ゾーンは売り越しとなっていた。

 海外投資家の買い越し額は7月が7394億円、6月が7993億円と1兆円を割り込んでいたが、8月は大きく切り返した格好となった。中期を2兆円近く買い越し、長期も1兆円近い買い越しとなっていた。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -675(-3879、7699、-6037)

地方銀行 7127(586、4949、-59)

信託銀行 1974(-712、16、1739)

農林系金融機関 207(-142、205、-39)

第二地銀協加盟行 1832(599、1216、10)

信用金庫 6091(2187、3109、0)

その他金融機関 1230(453、383、471)

生保・損保 -1193(-1196、435、-11)

投資信託 -588(-407、322、-100)

官公庁共済組合 107(55、74、73)

事業法人 -867(27、84、10)

その他法人 -382(139、-53、4)

外国人 -29837(-546、-9377、-19211)

個人 207(0、23、4)

その他 28159(5697、9978、15495)

債券ディーラー -740(-110、-243、-292)

 7月の全体の国債の売買高は174兆円程度と6月の212兆円程度から落ち込んでいたが、8月は195兆円となり、売買高は6月の水準には及ばなかったが増加した。

 7月は中期ゾーンの売買高が大きく落ち込んでいたが、こちらも回復し、7月の35兆円程度から8月は51兆円程度に回復した。7月の中期ゾーンの売買高を大きく減らしていたディーラーも中期ゾーンの売買高は7月の21兆円程度から33兆円程度に回復させた。ちなみに7月の債券ディーラーによる中期ゾーンの売買高も2004年4月以降、最低水準となっていた。

 7月に証券会社などの債券ディーリングでは、顧客向けのポジションを保有してのディーリングなどを極力縮小させ、日銀の買入に向けた国債入札の応札に止めていたのではないかとみられる。しかし、8月の数字を見る限り、これは一時的な現象とも思える。ただし、8月は米債が買われていたことなどから、円債も買い進まれ相場環境が良かったことも売買高の回復に繋がっていた。9月に入り、長期金利は再び上昇しつつあり、環境が変わってきていることで、売買高を維持できているのかも注意したい。


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# by nihonkokusai | 2017-09-26 10:03 | 債券市場 | Comments(0)

日銀は日本国債の4割を保有

 日銀は9月21日に資金循環統計(4~6月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は6月末時点で約1832兆円となり、株価の上昇傾向などを背景に過去最高を更新した。3月末時点では約1808兆円となっていた(改定値)。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が「前年比」で2.6%増の約945兆円となった。株式等が同22.5%増の約191兆円、投資信託も15.6%増の約100兆円となっていた。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

 残高トップの日銀の国債保有残高は401兆8899億円、41.3%のシェアとなった。前期比(速報値)からは15兆1143億円の増加。残高2位の保険・年金基金は233兆2975億円(24.0%)、6999億円減。残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で182兆1565億円(18.7%)、7兆8609億円減。4位が海外投資家で57兆3831億円(5.9%)、8147億円増。5位が公的年金の46兆8594億円(4.8%)、2兆1544億円減。6位が家計の12兆2544億円(1.3%)、2719億円減。その他が39兆586億円(4.0%)、3096億円増となっていた。

 2017年3月末に比べ国債(短期債除く)の残高は5兆2515億円増加し、972兆8994億円となった。

 3月末に比べて大きく増加したのは、国債を買い入れている日銀でシェアは4割を上回っている。今回も前期比で増加したのは「海外」と「その他」となっていた。

 3月末に比べて大きく減少したのは国内銀行で3兆7886億円の減少となっていた。また、中小企業金融機関等(ゆうちょ銀行含む)も減少させており、3兆5881億円の減少となった。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1085兆円となり、日銀が約437兆円で40.3%のシェアとなっていた。短期債を含めたもので40%を超えたのははじめてとなった。そして海外勢の残高は約117兆円と短期債を含めると国債全体の10.8%のシェアとなっていた。海外については、世界最大の政府系ファンドが日本国債の保有額を削減するとしており、今後保有シェアが後退する可能性がある。


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# by nihonkokusai | 2017-09-23 15:22 | 国債 | Comments(0)

FRBは2008年の金融危機後の量的緩和政策を完全に終結

 9月19、20日に開催されたFOMCでは、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は年1.00~1.25%のまま据え置いた(全員一致)。そして、2008年~14年に購入した米国債などの保有量を10月から段階的に減らすことを決定した。2008年の金融危機後の量的緩和政策を完全に終結し、大幅に膨らんだ保有資産の縮小を始める(日経新聞)。

 2008年から14年10月までのQEと市場で呼ばれた量的緩和で、FRBは米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を大量に買い入れたことで、保有する資産量が9千億ドルから4.5兆ドルまで膨らんだ。10月以降は満期を迎えた債券や証券への再投資を取りやめる格好で資産圧縮に着手する。保有する米国債やMBSを10月から3か月の縮小幅は米国債が月60億ドル、MBSなどは40億ドル削減する。削減額の上限は段階的に増やし、いずれは月500億ドルまで引き上げる。

 FOMC後に公表した政策金利見通し(ドットチャート)では、参加者16人のうち11人が年末までに追加利上げを予測していることを明らかにした。利上げ回数の見通しは2018年が3回、2019年が2回、2020年は1回となった。長期の中立金利予測は前回の3%から2.75%に引き下げられた。

 10月からの資産縮小開始は事前にかなりアナウンスされていたことで予想通り。ただし、年内3回目の利上げについては市場参加者の間でも見方が分かれていたこともあり、20日の米国市場はこの利上げを織り込むような動きとなった。ただし、米10年債利回りの上昇はそれほど大きくはなく2.3%台には乗せてこなかった。

 FOMC後の会見でイエレン議長は、物価動向には「今後数年で2%の近辺に回復し、安定する」という見通しを変えなかった。しかし、数年前までの物価停滞は、労働市場のたるみやエネルギー価格の低迷といった「非常に納得できる理由があった」のに対し、「今年はこうした要素がなく、物価の2%割れは多分にミステリーだ」と発言していた。

 ドットチャートやイエレン議長の発言からは、12月のFOMCでの今年3回目の利上げの可能性は高いと見ざるを得ない。金融市場も落ち着いており、利上げ観測の再燃や資産圧縮に対する警戒感はそれほど強くはないことで、これもFRBの正常化をやりやすくさせよう。


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# by nihonkokusai | 2017-09-22 09:33 | 中央銀行 | Comments(0)

世界最大の政府系ファンドが日本国債の保有額を削減か

 世界最大の政府系ファンド(SWF)であるノルウェー政府年金基金は債券投資を縮小したうえで、運用通貨を絞り込む方針を打ち出した。日本国債をはじめ流動性の低い債券は投資対象から外れる可能性が高い(9月20日の日経新聞より)。

 8兆クローネ(約112兆円)のSWF資産を運用する同基金は今月初旬、運用方針の大幅な見直しを財務省に提案した。資産の約三分の一を投資する債券運用で、通貨をドル、ユーロ、ポンドの3通貨に限定するようである。日本国債には債券運用の6%強にあたる1690億クローネ(約2兆3700億円)を投資してきたが、保有比率を引き下げる方針のようである。

 日銀が年間発行相当額の規模で日本国債を買い入れている状況が続いているなか、2兆円程度の国債が仮に売却されても問題はないとの見方もできなくはない。

 しかし、今回のノルウェー政府年金基金などの政府系ファンド(SWF)の動きは、ほかの運用者にも影響を与えかねない。海外投資家による日本国債投資はここにきてやや減少しつつあるが、それに拍車を掛ける可能性がある。そうなると日本国債の流動性がさらに低下してくる懸念もありうる。

 日銀は長短金利操作付き量的・質的緩和政策により、大量の国債買いとそれを使っての長期金利のコントロールを行っているが、それは国債市場の流動性を大きく低下させている。日本の債券市場の規模は米国に次ぐ世界第2位ではあるが、この流動性の低下によって海外の大手運用会社の運用に値しないとなれば、さらに流動性を低下させ、その魅力を低下させかねない。また、日銀による大量の国債買入で金利そのものが低すぎてパフォーマンスを上げられなくなっていることも撤退要因となっていよう。

 こういった動きは日銀の出口政策をますます困難にさせかねない。日本国債の買い手として日銀の存在感がさらに大きくなりかねず、それはつまり財政ファイナンスとも見なされかねない。

 日銀は2%の物価目標を達成するまで異次元緩和を続けるつもりのようだが、それは日本国債の流動性とその市場機能低下との引き換えに行うことになる。物価目標達成という着地点も見えないだけに、今後さらなる市場機能の低下も予想され、市場参加者もますます減少しかねない。思わぬリスクで市場が動いたときなど対処のしようがなくなる懸念もある。市場が市場として機能しなくなったとき何が起きるのか。あまり想像したくないのも確かである。


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# by nihonkokusai | 2017-09-21 09:23 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
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