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税収の見積もりが27年ぶりの高水準に

 国の2018年度税収の見積もりが58兆円を超え、27年ぶりの高水準となる公算が大きくなったと29日付けの日経新聞が伝えている。国の税収が58兆円を超えれば1991年度の59.8兆円以来となり、バブル期の好景気に並ぶ水準となる。

 この税収増の背景にあるのは8%への消費税率引き上げ分とともに、企業収益が過去最高を更新するなど、世界的な景気回復による国内景気への影響も大きい。賃金の伸び悩みなどから景気回復への実感はあまりないかもしないが、物価上昇も抑えられていることで緩やかな回復との認識も広まっているとみられる。

 本来であれば、景気の低迷時には政府による財政対策などによってある程度の歳出を増加させることも必要になろう。しかし、それは財政悪化を招くことになる。このため、景気回復時の税収増加分は、財政健全化にむけて赤字国債の削減に振り向けるのが本筋といえよう。

 しかし、2018年度の国の歳出規模は当初予算としては6年続けて過去最大を更新し、98兆円前後に達する見込みとなるなど、税収が増えた分、歳出も増加させている。このため財政健全化はお座なりにされているのが現状である。

 安倍首相は2019年10月の消費増税を予定通り行い、増収分の使途について約2兆円分を国の借金返済から「人づくり革命」などに変更す教育無償化や社会保障制度の見直しにあてるとしている。

 何が何でも借金返済に努めるべきと言うわけではないが、本来であれば財政悪化に向けたアラームとなるべき国債の利回りも日銀の異次元緩和によって押さえ込まれており、財政規律が緩みやすい状況となっている。これはアリキリギリスのイソップ寓話で言えば、キリギリス状態といえる。もう少しアリの立場となって、予算編成等も考える必要もあるのではなかろうか。


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# by nihonkokusai | 2017-11-30 09:38 | 財政 | Comments(0)

税収の見積もりが27年ぶりの高水準に

 国の2018年度税収の見積もりが58兆円を超え、27年ぶりの高水準となる公算が大きくなったと29日付けの日経新聞が伝えている。国の税収が58兆円を超えれば1991年度の59.8兆円以来となり、バブル期の好景気に並ぶ水準となる。

 この税収増の背景にあるのは8%への消費税率引き上げ分とともに、企業収益が過去最高を更新するなど、世界的な景気回復による国内景気への影響も大きい。賃金の伸び悩みなどから景気回復への実感はあまりないかもしないが、物価上昇も抑えられていることで緩やかな回復との認識も広まっているとみられる。

 本来であれば、景気の低迷時には政府による財政対策などによってある程度の歳出を増加させることも必要になろう。しかし、それは財政悪化を招くことになる。このため、景気回復時の税収増加分は、財政健全化にむけて赤字国債の削減に振り向けるのが本筋といえよう。

 しかし、2018年度の国の歳出規模は当初予算としては6年続けて過去最大を更新し、98兆円前後に達する見込みとなるなど、税収が増えた分、歳出も増加させている。このため財政健全化はお座なりにされているのが現状である。

 安倍首相は2019年10月の消費増税を予定通り行い、増収分の使途について約2兆円分を国の借金返済から「人づくり革命」などに変更す教育無償化や社会保障制度の見直しにあてるとしている。

 何が何でも借金返済に努めるべきと言うわけではないが、本来であれば財政悪化に向けたアラームとなるべき国債の利回りも日銀の異次元緩和によって押さえ込まれており、財政規律が緩みやすい状況となっている。これはアリキリギリスのイソップ寓話で言えば、キリギリス状態といえる。もう少しアリの立場となって、予算編成等も考える必要もあるのではなかろうか。


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# by nihonkokusai | 2017-11-30 09:37 | 財政 | Comments(0)

アジア通貨危機や山一破綻から20年、当時何が起きたのか

 日銀の黒田総裁は「通貨危機から20年、これからの20年」と題する講演をアジア証券人フォーラム年次総会で行っていた。今年はアジアの通貨危機から20年目となる。

 また、1997年11月24日に山一証券が経営に行き詰まり、自主廃業に追い込まれた。こちらも20年目となる。いったい1997年には何が起きていたのか。当時の状況を振り返ってみたい。

 1997年4月に減税の財源として消費税の引き上げが実施された。財政構造改革と、この消費税の導入がその後の景気後退の要因とも指摘されたが、実際にはバブルの後遺症ともいえる不良債権処理の遅れがその大きな要因となった。

 企業の破綻が相次ぎ、7月4日に東海興業、7月30日に多田建設、8月19日大都工業、9月18日ヤオハンが会社更正法の適用申請を行った。11月に入ると金融システム不安が一気に表面化し、3日に三洋証券が会社更正法適用を申請、17日には北海道拓殖銀行が経営破綻し北洋銀行への営業譲渡を発表した。さらに24日には山一證券が自主廃業を届け出、26日には徳陽シティ銀行が分割譲渡と金融機関が相次いで破綻したのである。

 三洋証券の破綻の際に、コール市場での小規模なデフォルトが発生した。金融機関同士で取引しているコール市場という信用の上で成立している金融市場の中で、戦後初のデフォルトが起き、これが他の金融機関破綻の引き金となったのである。信用リスクと流動性リスクの増大により、金融システム不安が一気に高まった。

 日本の景気悪化によって進行した円安と米国の強いドル政策が、ドルと自国通貨の為替レートを固定するドルペッグ制を採用していたアジア各国に悪影響をもたらしていた。1997年5月にタイの通貨バーツの暴落を皮切りに、アジアの新興諸国の通貨が連鎖的に暴落し、東アジア全域の経済が大混乱に陥る。

 1990年代に入り外為取引の自由化が実施され、資金の移動が活発化した。米ドルと連動相場制(ドルペッグ制)を採用していたこれら通貨は、ドルが低位で安定していた際には高金利政策で資金を流入させていたものの、1995年以降のアメリカによる強いドル政策により、ドル・ペッグ制を採用していたアジア諸国の通貨も上昇し、通貨高により輸出が伸び悩むなど経済への影響も出てきた。この通貨高と景気悪化というギャップに目をつけたジョージ・ソロスのクオンタム・ファンドなどのヘッジファンドにタイ・バーツなどの通貨が狙い撃ちにされ、この仕掛け的な売りに耐えられなくなり、アジア諸国の通貨が暴落したのである。

 これを受けて東アジア各国の株は急落し、成長率は軒並みマイナスとなり、企業倒産や失業が急増した。これに対しIMFを中心とした国際金融支援が特に経済に大きな打撃を受けたタイ、インドネシア、韓国に対して実施されたのである。


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# by nihonkokusai | 2017-11-29 08:53 | 金融の歴史 | Comments(0)

現金が消えたスウェーデンの事例

 11月27日の毎日新聞に「スマホ決済、現金消えた スウェーデン、パンも献金も」との記事が掲載されていた。日本ではやっと1万円超え5万円以下の支払いでカード派が現金派を上回った程度で現金の流通量は先進国のなかでも極めて高い。それに対してスウェーデンでは、中央銀行のリクスバンクが実施した調査で、財布に現金を入れていない人は15%に達したそうである。

 スウェーデンでは現金の代わりに何が使われているのかといえば、もちろんビットコインのような仮想通貨ではない。カード決済も多いようだが、近年急速に普及したモバイル決済である。特に同国の複数の有力銀行が共同で開発したスウィッシュ(Swish)と呼ばれるモバイル決済が広く使われている。

 日本ではなかなか普及が進まないものの、海外でよく利用されているものとして「デビットカード」がある。デビットカードは自分の銀行口座から即時決済されるものであり、このアプリ版といえるものがスウィッシュといえる。

 2012年に運営を開始したスウィッシュは、携帯番号と銀行口座が紐付けされ、店での支払いや個人間のお金のやりとりが瞬時にできる。国民の半数以上が使い、若年層(19~23歳)の利用率は95%に達するそうである(毎日新聞)。

 日本でも高額紙幣の廃止論議が出てはいるが、現金の使い勝手が良すぎる面もあって、キャッシュレス化は進んでいない。海外では脱税やマネーローンダリング対策もあっての高額紙幣廃止も行われている。しかし、日本では多少の脱税目的等の現金保有があったとしても、早急に高額紙幣を廃止する必要性は感じられない。また、偽造防止技術も進み偽札製造も難しいとされている。

 ただし、高額紙幣廃止云々ではなく、このようなモバイル決済を利用したキャッシュレス化に関しては今後、日本でも進むことが予想される。すでにSuicaなどJRのカードやnanacoなどのコンビニのカードを使うことで、小銭を持ち歩くことも少なくなった人も多いのではなかろうか。

 大手銀行でも三菱UFJが「MUFGコイン」を発表するなど、銀行口座のお金をスマートフォンで簡単に支払えるような仕組みが検討されている。これは仮想通貨とされているが、1円が1コインとすることで結局は円の支払いと同じ仕組みとなる。しかし、各銀行がそれぞれモバイル決済を導入するとなれば、小売店側の対応も銀行毎に必要となってしまう。このためスウェーデンのように大手行などが共同で開発して単一のモバイル決済の仕組みを作れば、日本でも現金決済ではなくモバイル決済が急速に普及する可能性がある。

 現金は持ち歩くなり、保存するなりすることで、大きな負担やリスクを伴う。それがモバイル決済を使えば軽減される。金融機関にとってもモバイル決済が普及すれば、ATMなどの設置費用を軽減できる。また、モバイル決済では小額といえども手数料を取れることも魅力となろう。

 ただし、それを使う側からすればお金の流れをすべて銀行に把握されてしまうという懸念もあるかもしれない。しかし、それ以上に使い勝手が良ければ利用は進むのではなかろうか。


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# by nihonkokusai | 2017-11-28 09:51 | Comments(0)

米国債保有高は引き続き中国がトップ

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、9月の国別の米国債保有高は中国が4か月連続のトップとなった。ただし、中国の米国債の買い越し継続は8月での7か月連続でストップした。

 9月の中国(China、Mainland)の米国債保有高は1兆1808億ドルとなった。2位は日本で1兆0960億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)

中国(China, Mainland)  1180.8

日本(Japan)  1096.0

アイルランド(Ireland)  310.8

ブラジル(Brazil)  272.8

ケイマン諸島(Cayman Islands ) 267.6

スイス(Switzerland)  254.9

英国(United Kingdom) 237.4

ルクセンブルグ(Luxembourg )214.1

香港(Hong Kong)  194.7

台湾(Taiwan) 183.9

 ベスト10の顔ぶれは前回と同じで順位にも変化はなかった。日本は昨年10月に中国を抜いて米国債保有額でトップとなっていたが、今年6月に再び中国に抜かれ、9月も2位のままとなった。

 中国の外貨準備高は増加し続けており、7月には3兆ドルを突破し、9月末の外貨準備高は3兆1090億ドルとなり、8か月連続で増加していた。しかし、米国債の保有高そのものは9月は1兆1808億ドルと、8月の 1兆2005億ドルからは減少した。

 米10年債利回りの推移をみると9月はそれまでの低下基調から一転し、再び上昇基調となった。9月8日頃に2%近くまで低下していた米10年債利回りは、北朝鮮リスクが後退し、フロリダ州を直撃したハリケーン被害が警戒されたほど大きくないとの観測も加わり、12月のFOMCでの利上げ観測が再び強まったことなどから、リスク回避の巻き戻しにより上昇基調となった。9月末に米10年債利回りは2.33%台に上昇しており、中国の米国債保有高の減少は相場の下落過程での利益確定売りを急いだ可能性がある。

 ちなみに日本も8月の1兆1017億ドルから9月は1兆960億ドルに減少させており、やはり利益確定売りを進めていた可能性がある。


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# by nihonkokusai | 2017-11-27 09:28 | Comments(0)

国債発行額が予定より上振れしている理由

 11月22日に開催された国債市場特別参加者会合の議事要旨が財務省のサイトにアップされた。内容その1は「平成30年度国債発行計画について」となっていた。

 ここではまず、10月18日に開催された「国の債務管理の在り方に関する懇談会」での議論の紹介があった。ここでは、「中長期的な需給動向を分析し、供給側では近年、低金利環境の下で、将来の金利上昇リスクを抑制するため、短中期債の発行額を減額し、超長期債の発行額の増額を行ってきた」とあった。

 そして「近年、銀行が国債保有残高を減少させてきた一方、生命保険会社は超長期債の保有残高を増加させてきたことが、結果として、供給側の超長期債の残高の顕著な増加等と整合していたが、今後この構図が変化する可能性がある」との財務省からの指摘があった。

 国債市場特別参加者会合の議事要旨では「年限別の需要動向については、意見が分かれた。人口動態の変化に伴う投資家の需要変化の可能性等を踏まえ、超長期債を増額し中・短期債を減額してきた従来方針を見直す必要を指摘する見解が出された一方、超長期債への継続的な需要の存在や債務の長期化を継続する意義を指摘する意見もあった」とされているが、要するに今後は「短中期債の発行額を減額し、超長期債の発行額の増額」していた方針にブレーキを掛ける必要があるとの認識であると思われる。

 これについて国債市場特別参加者会合のメンバーからいろいろと意見が出されていた。財務省としては30年と40年の発行額の減額を意識しているとみられ、参加メンバーからも同意する意見が多くみられていた。

 さらに平成30年度国債発行計画の策定に当たって留意すべき点として以下の指摘が財務省から指摘されていた。

 「通常の入札による国債発行分を示す「カレンダーベース市中発行額」が2.7兆円上振れており、これが、結果として、「年度間調整分」の下振れ、すなわち前倒債の発行増の要因となっている。これは、カレンダーベース市中発行額を額面での発行を前提として積算してきたことによるもの。30年度計画においては、見積もりの適正化の観点から、オーバーパー発行となる分を見込んでカレンダーベース市中発行額を積算し、収入実績の上振れを抑制することが必要」

 これは何を指摘しているのかといえば、カレンダーベースの国債発行額が、当初見込んでいた金額より上振れしていたということを示している。カレンダーベースの発行額とは何ぞやとなるとさらに説明が必要だが、とにかくも入札によって発行される今年度の国債の額が当初見込みを2.7兆円上回ってしまっているということである。

 国債発行計画の見積もりは額面ベースで行っているが、実際の発行金額は落札価格によって異なってくる。もし発行価格が額面を上回ればその分、当初計画の発行金額を上回ることになる。日銀の異次元緩和による日銀の大量の国債買入やイールドカーブコントロールによって、オーバーパー、つまり額面を上回る発行が多くなっている。10年国債でみると2015年10月以降は額面を超える価格で応札されている。その分が、2.7兆円の上振れとなっているのである。

 この分は当初予定外の分であるために、前倒債の発行増として処理されるが、予想外の前倒し債の発行増となってしまうことになる。これを避けるために、「オーバーパー発行となる分を見込んでカレンダーベース市中発行額を積算」する必要性があるとしているのである。

 利付国債の最低利率が0.1%であることで、日銀のイールドカーブコントロールによって10年債利回りが0.1%以下に抑制されており、それにより必然的に10年債の価格が100円を超えてしまうことなどを想定して、市中発行額を積算する必要があるとの指摘であろう。


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# by nihonkokusai | 2017-11-26 18:20 | 国債 | Comments(0)

株高なのに円高の理由

 11月22日の東京株式市場は前日の米国株式市場で久しぶりに主要3指数が史上最高値を更新したことなどから、買いが先行し日経平均は一時22600円台後半まで上昇した。ここにきて、利益確定売りなどに押されていた東京株式市場であったが、米株の回復なども手伝い日経平均は再び23000円も視野に入ってきそうである。

 これに対して外為市場ではドル円の上値が重くなっている。上値が重いというより、ドル円はダウントレンド入りしているようにも思われる。ドル円は11月6日に114円70銭台まで上昇していたが、そこから下落基調となり、11月17日には一時111円台を付けていた。22日のドル円も戻りが鈍く、112円台前半での推移となっていた。

 日経平均とドル円が常にリンクしていねわけではないが、リーマン・ショックやギリシャ・ショックに代表される世界的な金融経済危機が生じた際には、リスク回避の動きから日経平均は下落し、ドル円も下落(円高)となっていた。ところがこの危機の後退時に登場したアベノミクスをきっかけに、リスク回避の反動が一気に生じ、今度は日経平均は急反発し、ドル円も上昇(円安)となった。

 その後も比較的、日経平均とドル円はリスクオンやリスクオフに絡んだ材料に同様の反応を示していた。しかし、ここにきてあらためて日経平均とドル円の動きに連動性がみられなくなっている。

 このひとつの要因として米長期金利の動きが影響しているように思われる。米国の10年債利回りは10月26日に2.46%あたりまで上昇後、上値が重くなり、ここにきて2.3%台主体での推移となっている。12月のFOMCでの利上げの可能性は市場でも意識されており、それを織り込んでの動きでもある。

 この米長期金利がそれほど上昇していない背景としては、FRBの正常化が慎重に進められている面もあろうが、米国の物価がさほど上昇していない面が大きい。原油先物などをみるとWTIは50ドル台に乗せるなどしているものの、10月の米消費者物価のコア指数は前年比1.8%増となっている。FRBの物価目標はPCEデフレータであるが、このコア指数も2012年半ばあたりからFRBの目標である2%を下回り続けている。

 つまりは米国の物価が思うほど前年比で上昇しておらず、その結果、米長期金利の上昇が抑制され、それによってドル円の上値が抑えられ、株式市場の動きと乖離を見せているように思われるのである。


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# by nihonkokusai | 2017-11-23 08:52 | 金融 | Comments(0)

FRBのイエレン議長は理事ポストも辞すると発表

 FRBのイエレン議長は20日、パウエル次期議長が就任した時点で、理事ポストも退任すると表明した(日経新聞電子版)

 トランプ大統領は11月2日に来年2月に任期満了を向かえるイエレンFRB議長の後任に、FRBのパウエル理事を指名した。これによりイエレン議長の再任はなくなった。イエレン氏は来年2月に議長職は失うが、これでイエレン氏がFRBを去るとは限られなかった。イエレン氏はFRBの理事としての任期が残されていたためである。

 FRB議長の任期は4年だが、FOMCで投票権を持つ理事職は任期が14年と長い。中央銀行の独立性を保つためとして、理事には長い任期が与えられている。イエレン氏は2010年にサンフランシスコ連邦準備銀行総裁からFRB副議長に就任した。このため、理事としては2024年まで任期が残っていた。

 このため、イエレン氏は議長職の任期が切れても理事としてFRBに残る可能性があったが、今回あらためて、トランプ大統領への書簡で、パウエル次期議長が正式に就任するのにあわせて理事職も退任する意向を伝えたのである。

 FRBはトランプ氏が指名した金融監督担当のクオールズ副議長がすでに就任しているが、フッシャー氏が10月に副議長職を辞しており、7席ある理事ポストのうち、現時点で既に3つが空席となっている。イエレン氏の退任により、これが4つとなる。

 さらにニューヨーク連銀のダドリー総裁も2018年半ばまでに退任する予定と伝えられている。FOMCの投票権のあるメンバーは理事会からの7名の理事全員と地区連銀から5名の連銀総裁で12名によって構成されている。連銀総裁の参加者のうち1名はニューヨーク連銀総裁が常任となり、残りの4名はその他の地区連銀総裁が1年交替で務める。決定された金融政策に基づいて金融政策を実行するのがニューヨーク連銀であるように、ニューヨーク連銀総裁も立場上は副議長クラスとなっている。

 つまりダドリー総裁も辞任するとなれば、FOMCの投票権を持つメンバーがもうひとつ減ることになる。FRB理事は大統領が任命し、上院の承認を受ける必要がある。これに対してニューヨ-クの総裁はニューヨーク連銀理事会が後任指名のための委員会を設置し候補者を指名するようである。

 いずれにしても今後、FOMCの投票権を持つメンバーにトランプ大統領が指名するとみられる4名の理事と、同じく投票権をもつニューヨーク連銀総裁も入れ替わる可能性が高い。これにより、FOMCの今後の勢力図にどのような変化が起きるのかも注意する必要がある。


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# by nihonkokusai | 2017-11-22 09:45 | Comments(0)

10月の債券売買、都銀が大きく買い越しに

 11月20日に発表された10月の公社債投資家別売買高によると、都銀は1兆2339億円の買い越しとなった。9月に都銀は1兆1532億円の売り越しとなっており、決算を意識した動きとみられる。都銀は9月に中期債を9050億円売り越していたが、10月には中期債を1兆5060億円買い越していた。

 海外投資家は10月に8963億円買い越しとなっていた。9月は2兆4042億円と久々に大きく買い越していたが、10月の買い越し額は7月以来の1兆円割れとなった。海外投資家は長期債を3366億円、中期債を4360億円買い越していた。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -12339(2421、1054、-15060)

地方銀行 -4913(-440、-1258、-1342)

信託銀行 -946(-828、-3162、3866)

農林系金融機関 -4457(-2640、177、0)

第二地銀協加盟行 -1350(-560、-391、0)

信用金庫 -3802(-884、-619、20)

その他金融機関 -743(531、-241、4)

生保・損保 -4103(-2059、-10、-285)

投資信託 -1174(-222、6、-935)

官公庁共済組合 -226(-143、2、0)

事業法人 -750(-59、-4、2)

その他法人 -587(-164、-5、431)

外国人 -8963(496、-3366、-4360)

個人 237(0、22、3)

その他 4230(3274、-394、5094)

債券ディーラー 186(81、-8、209)

 10月の全体の国債売買高は183兆円程度となり、9月の201兆円程度から減少していた。全体の中期ゾーンの売買高は10月は51兆円程度となり、50兆円台を維持させているが、このうちの海外投資家は26兆円程度となり、9月の30兆円程度からは減少した。

 10月の債券相場は9月の下降トレンドがいったん収まり、債券先物で150円台前半主体のもみ合い相場となっていた。このなかで都銀などは決算を意識した売買を行っていたとみられ、相場そのものは膠着相場となっていたが、それなりに出来高も維持していた。


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# by nihonkokusai | 2017-11-21 09:14 | 債券市場 | Comments(0)

マネーの膨張は何を招くのか

 日経新聞が11月14日から連載をはじめた「モネータ 女神の警告」という特集が面白い。14日の「第一部 異次元緩和の領域」ではいくつか興味深い指摘があった。

 そのひとつが、カンボジアでの通貨の流通のうち85%がドルであるとの指摘である。カンボジアの自国通貨のリエルは15%であるが、これは主に少額貨幣のセントが使えない分の代用になっているようである。カンボジアの地価は急騰し、バブルの様相を呈しており、FRBの出口戦略次第ではカンボジア経済に大きな影響を与えかねない状況になっている。

 もうひとつの興味深い指摘が、アップルの保有する1500億ドルもの社債である。保有社債そのものではなく、1500億ドルの余資を抱えている点に注意したい。余資は積み上がる一方となっている。これはもちろんアップルの業績好調による面が大きいものの、重厚長大産業のように巨額の設備投資が必要ないデジタル産業であることも大きい。米国経済を支えているのが、いわゆるハイテク産業であり、このような余資が積み上がりやすい環境となっている。

 さらに世界銀行の統計を基に2016年の通貨供給量が87.9調ドルと日本円で約1京円に膨らんでいる点も指摘している。2000年代半ばまでは、この世界全体のマネーの増加と世界全体のGDPがほぼ同じ規模で膨らんできた。ところが、リーマン危機後の日米欧の中銀による金融緩和策によって、マネーだけが膨らみ続けGDPを大きく上回る状況となってきた。

 特集のタイトルにあった「モネータ」とは英語のマネーの語源となったラテン語だそうだが、そのマネーには3つの機能がある。価値の保存機能、交換機能(決済機能)、価値の尺度機能である。

 日本など先進国では長寿社会となり老後に不安を抱えた個人とともに、企業なども余資を蓄えている。これはマネーの保存機能を重視していると言えよう。金利は極めて低い状態となっているが、積極的な投資というよりも価値の保存が優先されているように思われる。

 カンボジアなどではマネーの交換機能を重視するあまり、他国通貨への依存度を深め、それは自国内で調整が利かないリスクを孕むことになる。

 マネーの価値尺度という機能面では、これだけのマネーの流通量がありながら、その価値を維持し続けている。つまりインフレが抑制されている。

 日本の物価の低迷の要因を含めて、1990年あたりからマネーを巡る外部環境が大きく変化した。このあたりを認識しておかないと、いまの置かれた状況が読めなくなる。さらに今後、マネーの膨張にブレーキが掛かかることが予想され、その際に何が起きるのかも想定しておく必要がありそうである。


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# by nihonkokusai | 2017-11-20 09:36 | インフレ・デフレ | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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