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FRBの正常化のゴールは政策金利の3%としているが、それは可能なのか

FRBのイエレン議長は今年1月18日の講演で、米雇用の回復とインフレ基調の継続を受け、「2019年末まで、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利を年2、3回のペースで引き上げる」との見通しをFRB内でおおむね共有していると述べていた。政策金利が長期の中立金利見通しである3%に近づくとの見方も示した。

今年3回の利上げと、2018年と2019年も0.25%刻みでそれぞれ3回ずつ引き上げるとすれば2019年末までには3%に届く計算となる。ちなみに6月13、14日でのFOMCで政策金利は0.75~1.00%から1.00~1.25%に引き上げられる見込みとなっている。

FRBの物価目標はPCEの物価指数(PCEデフレーター)の総合指数の2%としているが、今年4月のPCEのデフレーターは前年同月比1.7%の上昇となっており、FRBの目標には届いていない。それでもFRBの年内3回程度とする利上げに意向は変えていない。

米国の経済指標は、6月2日に発表された米雇用統計の非農業雇用者数が予想を下回ったが、失業率は4.3%に低下するなど、ややまだら模様となってはいる、しかし総じてしっかりしており、それが米国株式市場にも反映されて、ここにきてS&P500やダウ平均、ナスダックは過去最高値を更新していた。

ハト派の代表格であるはずのブレイナード理事も5月25日に世界経済について「ここ数年で最も明るい」との認識を示し、「欧州経済の成長が堅調なうえ、日本は安定し、新興国も良好になりつつある」と説明した。そのうえで「FRBの経済見通しに対する下振れリスクは軽減された」と述べていた。

トランプ政権の誕生や欧州での選挙などがリスク要因となり、米利上げペースを遅らせる懸念はあったが、いまのところはそのリスクは顕在化していない。欧州ではオランダの総選挙、フランスの大統領選挙でもポピュリズムの台頭は抑えられた。今後、ドイツ、イタリアでの選挙も予定されているが、ユーロというシステムは維持されていくものとみられる。中東や北朝鮮などの地政学的リスクも残るが、こちらも金融市場を混乱させるほどの影響を与えうる可能性はいまのところ小さい。

もちろんこれまで百年に一度とされた金融危機が立て続けに起きるなどしており、油断は禁物ではある。しかし、むしろその歴史的なリスクの後退が、FRBの正常化を可能にさせているともいえる。それでも本当に政策金利を3%にまで引き上げられるのかといえば、低位安定している米長期金利の動きをみても容易ではないようにみえる。個人的にはせいぜい2%あたりが限度かなと思うのであるが。



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# by nihonkokusai | 2017-06-12 09:29 | Comments(0)

FRBの正常化のゴールは政策金利の3%としているが、それは可能なのか

FRBのイエレン議長は今年1月18日の講演で、米雇用の回復とインフレ基調の継続を受け、「2019年末まで、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利を年2、3回のペースで引き上げる」との見通しをFRB内でおおむね共有していると述べていた。政策金利が長期の中立金利見通しである3%に近づくとの見方も示した。

今年3回の利上げと、2018年と2019年も0.25%刻みでそれぞれ3回ずつ引き上げるとすれば2019年末までには3%に届く計算となる。ちなみに6月13、14日でのFOMCで政策金利は0.75~1.00%から1.00~1.25%に引き上げられる見込みとなっている。

FRBの物価目標はPCEの物価指数(PCEデフレーター)の総合指数の2%としているが、今年4月のPCEのデフレーターは前年同月比1.7%の上昇となっており、FRBの目標には届いていない。それでもFRBの年内3回程度とする利上げに意向は変えていない。

米国の経済指標は、6月2日に発表された米雇用統計の非農業雇用者数が予想を下回ったが、失業率は4.3%に低下するなど、ややまだら模様となってはいる、しかし総じてしっかりしており、それが米国株式市場にも反映されて、ここにきてS&P500やダウ平均、ナスダックは過去最高値を更新していた。

ハト派の代表格であるはずのブレイナード理事も5月25日に世界経済について「ここ数年で最も明るい」との認識を示し、「欧州経済の成長が堅調なうえ、日本は安定し、新興国も良好になりつつある」と説明した。そのうえで「FRBの経済見通しに対する下振れリスクは軽減された」と述べていた。

トランプ政権の誕生や欧州での選挙などがリスク要因となり、米利上げペースを遅らせる懸念はあったが、いまのところはそのリスクは顕在化していない。欧州ではオランダの総選挙、フランスの大統領選挙でもポピュリズムの台頭は抑えられた。今後、ドイツ、イタリアでの選挙も予定されているが、ユーロというシステムは維持されていくものとみられる。中東や北朝鮮などの地政学的リスクも残るが、こちらも金融市場を混乱させるほどの影響を与えうる可能性はいまのところ小さい。

もちろんこれまで百年に一度とされた金融危機が立て続けに起きるなどしており、油断は禁物ではある。しかし、むしろその歴史的なリスクの後退が、FRBの正常化を可能にさせているともいえる。それでも本当に政策金利を3%にまで引き上げられるのかといえば、低位安定している米長期金利の動きをみても容易ではないようにみえる。個人的にはせいぜい2%あたりが限度かなと思うのであるが。



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# by nihonkokusai | 2017-06-12 09:29 | Comments(0)

8日の一時的な円高と日本国債の急速な下落の仕掛け人

凍り付いていた債券市場が8日に突然氷解した。同じにドル円も急落し、一時109円30銭台をつけた。いったい何があったのか。

その兆候は中短期債にあった。膠着相場のなかにあって中短期ゾーンの国債がじりじりと売られていた。昨年11月17日に日銀は中期ゾーン主体の急激な金利上昇を抑制するため、初の指し値オペを実施した。その水準が2年利付国債370回の買入利回りでマイナス0.090%、5年利付国債129回の買入利回りはマイナス0.040%であった。

日銀にとっては中短期債の目安として、超過準備の一部にかかる付利のマイナス0.1%がある。長短金利操作付き量的・質的緩和の政策金利は短期でマイナス0.1%、長期でゼロ%程度となる。このため中期ゾーンでのマイナス0.1%以上の利回りに上昇してきたことで、昨年11月17日に指し値オペを実施してきたといえる。

今回も中期債はその水準に接近していた。この背景には中短期債への需要が後退したことがあげられよう。マイナス金利でも買える投資家は限られるというか実質、日銀と海外投資家となる。そのうち日銀は今年度の国債発行額の減少に合わせて買入額を減額した。さらに海外投資家にとってベーシススワップにおけるプレミアムの縮小で妙味が薄れてきた。

ベーシススワップにおけるプレミアムが存在していたのは、国内投資家による外債への需要があった。日銀のマイナス金利政策もあり、国内での利回り追求が難しくなり地銀などを中心に外債投資を増加させていた。円をドルに替える必要があり、その需要の強さがプレミアムを発生させ、外銀などがそのプレミアムの範囲内で多少のマイナス金利でもお釣りがくる日本国債での運用を行っていた。また単純にこのプレミアムによって日本国債投資を行っていた海外投資家も存在していたとみられる。

ところが、昨年12月あたりから国内投資家は外債を売り越すようになった。金融庁が外債運用を拡大させている一部の地域金融機関を対象に米国債の価格下落が経営に与える影響などの立ち入り検査を実施することなども影響した可能性があるが、いずれにしてもプレミアム分が剥げ落ちた分、日本国債の中短期債への投資妙味が後退した。

6月8日には5年国債の入札が予定されていた。日銀の絶対防衛ラインとみられるマイナス0.1%に接近していたこともあり、これはかなり警戒されていた。8日の前場に2年債利回りはマイナス0.100%、5年債利回りはマイナス0.080%にそれぞれ上昇していた。この日は3か月物TDBの入札もあったが、こちらもマイナス0.1%を上回る結果となっていた。ただし、この日の5年債入札は大手銀行系証券などが積極的に応札したこともあり、順調な結果となった。

このようなタイミングで8日の13時半過ぎあたりから、債券先物とドル円に仕掛け的な売りが入ったのである。ドル円は110円あたりから109円30銭台に下落、債券先物は高値から40銭下落した。40銭というのは以前では普通に動いた値幅ではあったが、ここにきて膠着感が強まっていただけに大きな動きに見えた。債券先物が日中40銭も動いたのは、2月3日に59銭動いて以来となる。しかもここにきての債券先物の日中出来高は1兆円から2兆円台で推移していた。ところが8日の債券先物の日中出来高は限月間スプレッド取引の分を差し引いても5兆円程度あり、なんらかの仕掛け的な動きとみることができる。

また、現物債は10年債も0.075%まで利回りが上昇したが、40年債は1%台に、30年債は0.8%台に利回り上昇するなど超長期ゾーンの下落幅が大きかった。超長期債の商いは中期債などに比べて、さほど多くはないこともあり、これまでも海外投資家が仕掛ける際は超長期債を使うことも多いように思われ、仕掛け的な動きの可能性があった。

同じようなタイミングでドル円も下落し、下げ幅は限られたものの日経平均も下落した。この仕掛け的な売りのきっかけとして、「日銀、出口論は「時期尚早」から「説明重視」に」とのブルームバーグの記事や、日経新聞の「金融庁が地銀の債券保有に新規制」との報道も指摘された。ただし、海外で大きなイベントを控えているなか、国内投資家がポジションを大きく減少させなければいけないほどインパクトのある記事の内容ではなかったように思われる。

むしろここにきての日本の債券市場の中短期債の軟調な地合と5年債入札、さらに海外での英国の総選挙、ECB理事会、コミー前FBI長官の議会証言などを控えて、国内投資家が動きづらいところに、仕掛け的な動きでロスカットなどを誘った可能性がある。

ドル円は8日の段階で110円台を回復し、英国の総選挙、ECB理事会、コミー前FBI長官の議会証言などでは特にサプライズもなく、9日の東京株式市場でも日経平均は2万円台を回復している。

しかし、債券については中短期債の地合悪化は続くとみられる。昨年11月のトランプ相場による急激な金利上昇ではなく、今回はあくまで緩やかな金利上昇に止まっており、9日の日銀の国債買入でも特に増額等の処置はとられていない。中短期債はマイナス0.1%以上の金利ならば、銀行などのニーズも出てくることで自動ブレーキが掛かることへの期待もあるが、いずれにしても海外投資家などの動向見ながら、債券は神経質な展開が継続すると予想される。


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# by nihonkokusai | 2017-06-11 10:14 | 債券市場 | Comments(0)

国内投資家は4月の大量の外債の売り越しから、5月は大量の買い越しに転じていた

少し前のデータとなってしまうが、5月11日に公表された4月の対外対内証券投資売買契約の状況によると、居住者による対外債券(中長期債)投資は4兆2559億円の処分超となり、月次の売り越し額としては過去最大規模となってた。

ただし、このデータでは具体的にどの国の債券を売ったのなかまでは把握できなかった。それが6月8日に公表された国際収支の付表で確認することができた。参考までにこの国際収支の付表がアップされるサイトは下記となっており、そのなかで今年4月分の速報値の「付表3」の「主要国・地域ソブリン債への対外証券投資」で確認できる。

http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/release_date.htm

これによると4月に国内投資家は米国のソブリン債(中長期)を3兆6642億円売り越していた。ソブリン債とは主に国債のことを示すため、米国債を大量に売却していたのである。また、ドイツのソブリン債(中長期)も6319億円売り越していた。

昨年12月からの売り越しの内訳を「主要国・地域ソブリン債への対外証券投資」で確認してみると12月は米債を2兆3894億円、フランスの債券を1483億円売り越していた。1月は米債を1兆6298億円、フランス国債を1894億円売り越し、2月は米債を1326億円、フランス国債を1兆5180億円売り越し。3月は米債は1兆398億円の買い越しとなっていたが、フランス国債を9428億円売り越していた。

4月のフランスのソブリン債(中長期)については1971億円の売り越しに止まっていたため、4月の外債の売り越しの要因はフランス大統領選挙などを睨んだリスク回避とかではなかったようである。

地銀などは日銀のマイナス金利政策の影響で日本国債で利回りが稼げず、外債投資を増加させていた。しかし、金融庁は外債運用を拡大させている一部の地域金融機関を対象に米国債の価格下落が経営に与える影響などの立ち入り検査を実施することになり、特に4月に地銀などが保有する米国やドイツの国債のポジションをいったん大きく削減させていた可能性もあった。

ところが、6月8日に公表された5月の対外対内証券投資売買契約の状況をみると、今度は 3兆1074億円の買い越しとなっていた。米国債利回りは5月11日あたりに2.4%台に上昇後、直近では2.1%台にまで低下している。これは日本の投資家の買いも背景にあった可能性が出てきた。4月は単純に利益確定売りであった可能性も否定はできない。また、それまでかなり売り越してしまった分、資金の運用先に困っている状況に変わりはなく、米債の利回りなどをみて押し目買いを入れてきた可能性もある。

「5月の対外対内証券投資売買契約の状況」財務省

http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/itn_transactions_in_securities/month.pdf


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# by nihonkokusai | 2017-06-09 09:43 | 債券市場 | Comments(0)

中期国債利回りが日銀の絶対防衛ライン?に接近中

ここにきて債券市場は膠着感をさらに強めているが、その膠着相場のなかにあって中期ゾーンの国債がじりじりと売られている。債券先物は150円台後半でしっかりしているように、総じて債券相場は堅調ななか中期債、特に2年債が売られている。

5月当初はマイナス0.200%台となっていた2年国債の利回りは本日一時マイナス0.100%まで売られた。また5年債利回りも5月当初はマイナス0.160%あたりだったのが、本日入札を控えていることもあり、マイナス0.080%とマイナス0.1%を割り込んでいる。債券は利回りと価格が反対に動く事に加え、マイナス金利となっていることで、ややっこしいが、マイナス金利幅が縮小していることは利回りが上昇していることになり、利回りが上昇しているということは価格は下落していることになる。

2年債のマイナス0.100%という水準は昨年11月16日につけたマイナス0.095%以来の水準となる。その翌日の11月17日に日銀は初の指し値オペを実施した。しかもその対象に2年債と5年債が入っていた。日銀の指し値オペとは金利上昇を抑制するために行われる。つまりそのような水準までここにきて2年債と5年債利回りは上昇してきたといえる。なぜ昨年11月17日に日銀は指し値オペを実施したのかを振り返ってみたい。

日銀は2016年11月17日に初の国債の指し値オペをオファーした。この目的は何かと問われれば、トランプ相場によるところの米長期金利の上昇を受けての日本の国債利回り上昇の抑制となる。

日経QUICKニュース社の取材に答えた日銀の金融市場局の担当者は、指し値オペの実施を初めて通知したことについて「短中期の金利の急速な上昇を踏まえたもの」とした。

黒田日銀総裁は17日午前の参院財政金融委員会で、米金利の上昇につれて日本の金利に上昇圧力がかかる中、長短金利を操作目標としたイールドカーブ・コントロール政策の下では、日本の金利上昇を容認することはないと語った(ロイター)。

日銀が17日は20年国債の入札日であるにも関わらず、異例の国債買入、しかも初の国債の指し値オペをオファーした背景には16日の債券相場の動きがあった。10年債利回りは16日の引け後にプラス0.035%まで上昇し、2年債利回りはマイナス0.095%、5年債利回りはマイナス0.040%に上昇したのである。

日銀によるオペの指し値が、2年利付国債370回の買入利回りでマイナス0.090%、5年利付国債129回の買入利回りはマイナス0.040%とまさに16日に売り込まれた水準近辺であった。

17日の初の国債指し値オペの応札はゼロとなった。実勢利回りが指し値よりも低下したためのことではあるが、これで2年債と5年債の利回りの下値の防衛ラインが意識されることとなる。2年債利回りでマイナス0.090%、5年債入利回りでマイナス0.040%の指し値オペの水準もしくは、日銀の超過準備の一部に掛かるマイナス金利、つまり付利のマイナス0.1%がある意味、日銀の防衛ラインともいえる。

ここにきての中期債の利回りの上昇は、海外投資家からのニーズの低下で需給そのものが緩んできたためともいえる。その背景には地銀などが海外の国債投資を抑制しつつあることで、ドルの調達ニーズの後退なども影響している可能性がある。つまり外的要因よりも需給に絡んでの利回り上昇といえる。

昨年11月の指し値オペは利回りの水準というよりも、日銀関係者の発言などから上昇ピッチの速さを意識していた可能性もある。今回のような緩やかな利回り上昇であれば、日銀は無理やり押さえ込むようなことをしてくるのかどうかは疑問である。ただし、一応防衛ラインともいえるマイナス0.1%に近づいたことで指し値オペの警戒とともに、付利の水準を下回ると押し目買いも入るとみられ、いったん利回り上昇にブレーキが掛かることが予想される。


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# by nihonkokusai | 2017-06-08 10:13 | 債券市場 | Comments(0)

予想下回る米雇用統計受けても買われた米国株式市場、この強さの背景とは

6月2日に発表された5月の米雇用統計では非農業雇用者数は13.8万人となり、予想の18.5万人を大きく下回った。さらに雇用者数は過去2か月分も下方修正された。失業率は0.1%低下の4.3%と2001年5月以来の低い水準となったが、平均時給は前年同月比で2.5%増と予想をやや下回った。

これを受けて2日の米国市場では米長期金利は低下し、10年債利回りは一時2.14%に低下した。ドルも円やユーロに対して下落した。ところが米国株式市場も上昇し、ハイテク株など主体に買われダウは62ドル高、ナスダックも58ポイント高となり、S&P500種株価指数も含めて、3指数ともに連日の最高値更新となったのである。

6月1日には本来あまり材料視はされないはずのADP雇用レポートが材料視されて、ダウ平均は3月1日以来の過去最高値更新となった。実際にADP雇用レポートはさほど雇用統計とリンクしていておらず、非農業雇用者数は予想を下回った。それにも関わらず失業率の低下や、FRBの利上げペースは緩やかになりそうとの期待が2日の買い要因となったとされる。

ADP雇用レポートで非農業雇用者数が市場予想を大幅に上回ったことを好感して米株は買われたが、現実にはそんなに良くなかった米雇用統計の非農業雇用者数を受けても買われた米国株式市場が続伸となったのは、それだけ地合が良いというか、ある意味バブル相場の様相を呈しているといえるかもしれない。この場合のバブル相場はどのような材料が出ても、買い要因に変換して買い材料にしてしまうような地合を示す。2日の買いの主役がこれまで相場を引き上げていたハイテク株であり、アマゾン・ドット・コムやフェイスブックなどが上場来高値を付けていた。この地合に変化がない限りは米国株式市場の上昇基調は継続されるとみられる。

5日の米国株式市場では、今週の英国の総選挙やECB理事会、コミー前FBI長官の議会証言なども控え様子見気分強まるなか、利益確定売りに押されたが、ダウ平均の下げは22ドル安程度に収まっていた。グーグルの持ち株会社アルファベットが節目の1000ドルを突破するなどこの日もハイテク株は買われていた。

5月の雇用統計を受けて、FRBの金融政策の行方についても緩やかな利上げが意識されたようだが、それはどの程度の緩やかさなのであろうか。市場では今回の雇用統計を受けても年内3回の利上げ予想に大きな変化はない。3月に続いて今月6月のFOMCでも利上げは確実視されている。ただし、その次は9月か12月かの判断は分かれているようである。また、保有資産の償還の乗り換え分の縮小についても年内開始するであろうとされている。

さらにその後の利上げのペースまで市場は意識しているのであろうか。イエレン議長は今年1月18日の講演で、米雇用の回復とインフレ基調の継続を受け、「2019年末まで、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利を年2、3回のペースで引き上げる」との見通しをFRB内でおおむね共有していると述べた。政策金利が長期の中立金利見通しである3%に近づくとの見方も示した(日経新聞電子版の記事より)。

2018年と2019年も0.25%刻みでそれぞれ3回引き上げるとすれば2019年末までには3%に届く計算になるが、このペースがもう少し緩慢になるのではとの認識も市場で出ているということなのであろうか。


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# by nihonkokusai | 2017-06-06 09:46 | 投資 | Comments(0)

日本でビットコインの利用は普及しないであろう理由

最近、ビットコインに関する話題も多く、世間の注目度も次第に高くなってきているように思われる。いろいろとビットコインに関するベンチャー企業も立ち上がっているようである。しかし、ビットコインが貨幣の代替品として日本で普及する可能性は極めて低いと見ている。

ビットコインはその名の通り、貨幣のような使い方ができる。しかし、円やドルのように政府や中央銀行などに保証された正式な通貨ではない。ブロックチェーンという仕組みそのものが存在の裏付けとなっているが、国といった組織によって保証されたものではない。

逆を言えばその国の信用力に問題がある場合や、国という枠を超えて取引を行う際には貨幣の代替品としてビットコインのニーズがある。これはある意味、国際基軸通貨のドルと似たようなところがある。ドルであれば世界各国との取引に使うことができる。そのようなメリットもビットコインは保持している。

確かに海外への送金ではかなり手数料が掛かるし面倒である。その点ではビットコインは便利ではあるが、それについてはブロックチェーン技術を使って日本のメガバンクなどでも円にリンクさせる電子通貨の実験を行っている。メガバンクの電子通貨は円に連動していることで国内で利用する際には価格変動リスクは存在しない。しかし、ビットコインの相場はかなり大きく変動するなど、常に価格変動リスクに晒される。投機的な目的でビットコインを利用する人はいても、日本人が国内の商取引でビットコインを利用する必要性はほとんどない。

日銀の金融政策の目的は円という価値を維持することであり、つまりは極度のインフレなどになって貨幣価値が急落してしまうことを避けようとするものとなる。ただし、対外的な価値、すなわちドルに対する円の価値を維持させることが目的ではない。為替介入は日銀の実行部隊が行うが、指示するのは財務大臣である。

日本では日銀という組織が金融政策のみならずインフラ整備等により円の価値を維持させている。ビットコインにはこのような信用を裏付ける組織が存在しているわけではない。裏を返せば国の通貨が信用ならない国、規制によって海外での通貨利用が制限されている国などでは利用価値はあっても、日本の一般国民がビットコインを使うインセンティブはなく、投機もしくは一部海外送金手段など以外には利用目的が存在しないと思われる。


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# by nihonkokusai | 2017-06-04 08:51 | 金融 | Comments(0)

日米の株価上昇の背景

6月2日の東京株式市場では、心理的な壁とされていた日経平均の2万円をあっさりと抜けてきた。これまで付けそうで付けなかった2万円ではあったが、予想以上に強い米国株式市場の動向などを背景にあっさりと抜けてきた格好となった。

1日の米国株式市場では、本来あまり材料視はされないはずのADP雇用レポートが材料視されて、ダウ平均は3月1日以来の過去最高値更新となった。ADP雇用レポートで非農業雇用者数が市場予想を大幅に上回り、2日に発表される5月の米雇用統計でも非農業雇用者数(NFP)が、予想(+18.5万人程度)より上振れるのではとの見方が強まったためのようである。

しかしこのADP雇用レポートはさほど雇用統計とリンクしていないことでも知られており、通常であればあくまで雇用統計をみる上での参考数字の位置づけのはずで、ダウ平均の過去最高値をフォローするような経済データではなかったはずである。現実に2日に発表された5月の米雇用統計では非農業雇用者数は前月比13.8万人増と予想の18.5万人を下回っていた。

ところが2日の米国株式市場はこの数字を確認してもダウは続伸となり連日で最高値更新となった。FRBの利上げペースが緩やかになるとの見方もあるようだが、それでは強かったADP統計に反応したことに矛盾する。むしろ、FRBによる6月と9月の利上げ、年内の買い入れた資産の償還分の乗り換え縮小は織り込んでしまっているのではなかろうか。

この米国株式市場の強さの背景には、別の要因が絡んでいるように思われる。1日の米国株式市場ではナスダックも過去最高値を更新したが、ナスダックは5月26日にも過去最高値を更新するなどしていた。今回はダウ平均の高値更新が注目されたものの、米国株式市場はアップルやアマゾンなどハイテク株への買いがここにきての上昇の原動力となっている。2日もアマゾンやフェイスブックなどが最高値を更新した。

トランプ政権誕生によってハイテク産業に対する懸念も出ていたが、結局、米国経済を牽引しているのはハイテク産業となった。そのハイテク産業の株価上昇の背景にはAIなどの技術への期待などがある。AI技術によって雇用が縮小するとの懸念も出ていたが、ここにきての米国雇用の堅調さを見る限りは、むしろハイテク産業が米国の雇用を拡大させているとの見方も可能となる。ハイテク技術があらたな産業を生み出す可能性なども期待されていよう。

もうひとつ注意すべきは米長期金利の動向となる。米株やドルの上昇にも関わらず、2日の米長期金利は2.16%と低下していた。米債も年3回の利上げの可能性と年内のバランスシート縮小開始も織り込み済みとみられるものの、その後を含めて正常化に向けたFRBの動きはかなり慎重になるであろうとの期待もある。

足元の物価をみてみると4月のPCEのデフレーターが前年同月比1.7%上昇とFRBの目標である2%には届いていない。インフレの兆候はなく、これが米長期金利の上昇を抑えている。原油価格も減産合意によって、なんとかWTIは50ドル近辺にいるが、こちらの上値は重く上昇圧力は強まっていない。この物価の抑制により、FRBもより慎重に正常化に向けた調整を行うであろうとの期待も米長期金利を抑えている。長期金利が低位で安定していることも、株式市場にはプラス要因として働いているとみられる。


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# by nihonkokusai | 2017-06-03 13:55 | 金融 | Comments(0)

国債の基礎知識、約定日と決済日、入札日と発行日の関係

国債など有価証券の取引には約定日(売買した日)と決済日(資金と証券の受渡日)が存在している。この関係は国債の入札日と発行日の関係にもあたる。つまり売買を行った日と別に決済日・発行日が存在している。これは個人が国債を購入する際などは注意する必要がある。

例えば個人向け国債では、5月募集分は募集期間が5月11日から5月31日に設定されている。この募集期間内に購入した個人向け国債はすべて6月15日が発行日となる。つまり、銀行預金などと異なり、個人向け国債の利子が付くのは現金を証券会社などに入金した日からではなく発行日からとなる点に注意する必要がある。これは募集という発行形式をとっているためでもある。

国債や株式などの有価証券にはそれを売買した日(約定日)とは別に決済日が設けられており、実際に有価証券を所有した日は決済日となる。つまり利子は決済日から付くことになる。これは券面と現金との受け渡しの手続きに時間が必要であったためである。たとえば遠隔地での取引で実際に券面を確認する必要性があったためである。

国債など債券についてはペーパレス取引、つまり券面の発行はせず電子上での決済となっていることで、約定日から売買約定日から起算して原則3営業日目の日に受渡し決済を行っている。これをさらに短縮して来年5月から売買約定日から起算して原則2営業日目の日に受渡し決済を行うことが検討されている。

これに対して株式市場では通常売買日を含めて4営業日目に行われているのは、国債などに比べてペーパレス化等が遅れたためとみられる。その株式の決済についても2019年から1日短縮される見通しとなっている。

国債の入札も財務省と業者の国債の売買契約となるため約定日ということになり、それとは別に発行日(受渡日)が設けられている。これは約定日と決済日の関係と同じであるが、諸々の理由で国債の償還月は発行日20日になるなどしていた。それを一部2年債などを除いて来年5月からT+1に統一しようとの動きとなっている。


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# by nihonkokusai | 2017-06-02 09:27 | 国債 | Comments(0)

来年5月の国債決済期間の短縮に合わせ、国債の発行日もT+1に

財務省は新発国債の入札から発行までの「決済期間」について、入札の翌営業日にそろえる方針だと5月31日の日経新聞が報じた。

国債など有価証券の取引には約定日(売買した日)と決済日(資金と証券の受渡日)が存在している。これは入札における入札日と発行日の関係と同じものとなる。

国債の決済に関しては、2012年4月23日約定分から「T+2」に決済を行うようになった。つまり売買約定日から起算して原則3営業日目の日に受渡し決済を行っている。

このため国債入札に関しても5年債、10年債、20年債、30年債については、入札日を含めた3営業日目の日(T+2)が発行日となっている。ただし、3月、6月、9月、12月のいわゆる国債の償還月については、20日が発行日となっている(20日が休日の場合は翌営業日)。

償還月の発行日が20日となっているのは、償還を迎えた国債への再投資を円滑に進めるなどの理由があった。ただし、これだと入札日から発行日までの期間が大きく空いてしまうことになる。たとえば今日6月1日入札の10年国債の発行日は6月20日である。これに対して5月9日に入札された10年国債の発行日は11日であった。

償還月の発行日が20日となっていることで、実は日銀の国債買入にも影響が出ていた。日銀は発行されていない国債を購入することはできない。つまり発行日を過ぎないと買入対象とならないのである。償還月に際しては20日まで日銀が買入対象にできないため、国債を入札した業者は期間リスクを負うことになる。

また2年債については償還月等に関わらず、入札日のあった月の翌月15日が発行日となる。これは年金支払いに併せていたもののようである。

国債の決済についてはT+1に向けての検討が進められている。つまり売買約定日から起算して原則2営業日目の日に受渡し決済を行うことが検討されている。日本証券業協会の国債の決済期間の短縮化に関する検討ワーキング・グループの報告によると国債取引の決済期間T+1化については平成30年5月1日(火)約定分から実施することを予定している。

「国債取引の決済期間T+1化等の実施予定日について」日本証券業協会

http://market.jsda.or.jp/shiraberu/saiken/content/jisshiyoteibikouhyou.pdf

この国債決済のT+1化に合わせ、国債の入札についても発行日をT+1、つまり入札の翌営業日にすることになる。その際、これまで20日としていた償還月の発行日もT+1に統一する予定とみられる。ただし2年債については発行日が翌月と月跨ぎとなっていることからT+1への移行ではなく、翌月15日の発行から1日の発行に前倒しされる見込みのようである。

決済日や発行日までの短縮は、電子上の決済となり券面等の受け渡しは必要がなくなっていることで、決済リスクの軽減や、償還資金で新発債を購入する需要が薄れつつある現状を踏まえたものとされるが、日銀の国債買入への対応という側面が大きいとみられる。


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# by nihonkokusai | 2017-06-01 10:08 | 国債 | Comments(0)
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