牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

米国のトランプ大統領によるドルが強すぎ発言の真意とは?

米国のトランプ大統領は12日、ホワイトハウスでのウォールストリート・ジャーナルとのインタビューで、「ドルが強くなり過ぎている。これは人々が私を信頼しているためで、私のせいでもある。だが、結果的には打撃となる」と指摘した。

トランプ大統領はまた中国は「為替操作国ではない」と言明し、今週財務省が公表する主要貿易相手国の為替報告書で、中国を為替操作国には認定しないと明らかにした。トランプ氏は選挙期間中、就任初日に中国を為替操作国に認定すると主張しており、この見解を180度転換した。これは北朝鮮への中国の関与を期待してのものともの見方もある。

トランプ大統領はFRBが低金利を維持するのが好ましいとの見解も示した。さらにイエレン議長については、尊敬していると指摘し、現行の任期を迎える2018年で「おしまいになる訳ではない」とし、続投に含みを残した。こちらも以前にトランプ大統領は、イエレン議長の再任はないと言い切っていただけに方針が変わったようである。

今回の金融に絡んだトランプ大統領の発言については、発言やツイートの内容が良く変わるトランプ大統領の発言とはいえ、注意する必要がある。

シリア空軍基地へのミサイル攻撃を巡り、トランプ米政権内の内紛が表面化している。トランプ氏の最側近だったバノン大統領上級顧問・首席戦略官がシリア攻撃に反対する一方、トランプ氏の娘婿クシュナー大統領上級顧問が実施を求めたとされる。トランプ氏の従来の過激路線を推進するバノン氏と、穏健路線を重視するクシュナー氏やコーン国家経済会議(NEC)委員長の対立が激化しているなか、シリア攻撃は「穏健派」の主張を取り入れたものとなった。トランプ大統領はバノン大統領上級顧問・首席戦略官を更迭するのではないかとの観測も出ている。

今回のトランプ大統領の発言も、このトランプ米政権内の過激派から穏健派への移行が影響している可能性がある。中国を為替操作国には認定しないとの発言などがそれを示している(バノン氏はいずれ中国との戦争は避けられないと主張している)。そして減税などのトランプ氏の掲げた政策が進まないなか、経済政策の必要性から、ドル高の是正や低金利の維持に向けた発言をトランプ大統領が行ってきた可能性がある。雇用の回復などに対してはイエレン議長が主導しているFRBの金融政策による効果も大きいとの認識もあるのか、イエレン議長の再任についても含みを持たせる発言を行った。こちらも穏健派の主張を取り入れた可能性がある。

FRBの正常化路線に関する発言はなかったようではあるが、正常化に向けたFRBの利上げはある程度容認しているものの、景気に悪影響を与えかねない程度までの利上げは望んではいないということであろうか。このあたりの舵取りはイエレン議長に任せても大丈夫という認識か。

ちなみにドルが買われていたのは、市場参加者がトランプ大統領を信任しているためとの見方にはかなり違和感がある(本人も半ばジョークのつもりで言ったのかもしれないが)。まったくないとは言えないものの、ドル高の背景としてはFRBが正常化を進める程度に雇用を中心に景気が回復し、物価もFRBの想定近くに上昇してきていることによる影響が大きい。FRBの利上げもあってドルが買われている側面がある。もちろんトランプ大統領の経済政策への期待やそれによる物価上昇も意識されたかもしれないが、それはここにきてかなり裏切られた格好となっている。


[PR]
# by nihonkokusai | 2017-04-14 10:02 | 国際情勢 | Comments(0)

北朝鮮への懸念で近隣国の日本の通貨が買われる不思議

昔の相場の格言に「有事のドル買い」というのがあった。これは戦争などが起こった場合、いわゆる有事の際に外国為替市場においてドルが買われやすいことを意味する。軍事大国でもある米国の通貨のため、安全性が高いとされる上に、ドルは最も流動性が高く、ほかの通貨よりも信用リスクや流動性リスクが低いことで、有事の際には買われやすいことを意味していた。しかし、この有事のドル買いという言葉は最近ではあまり通用しなくなった。地政学的リスクの強まりによりドルが買われる場面はあるが、こと円に対してはドルが下落することが多い。

6日に米軍がシリアに向けてミサイル攻撃を行った。そして間髪入れずに今度は、8日に原子力空母カール・ビンソンを中心とする第1空母打撃群がシンガポールから朝鮮半島に向けて出航した。米国のトランプ大統領は11日、ツイッターで「中国が北朝鮮問題を解決すれば、米国とより良い貿易取引ができるだろうと中国の習近平国家主席に説明した」と投稿した。さらに「中国が協力を決断するなら、それはすばらしいことだ。そうでなければ、中国抜きでわれわれが問題を解決する」とも投稿しており、中国が行動しないのであれば、米国が単独で対応する用意があるという考えを改めて示した。

海上自衛隊が朝鮮半島の近海に向けて航行中の米空母カール・ビンソンと共同訓練を検討しているとも伝えられており、これも北朝鮮を刺激する可能性がある。今月は金日成主席の誕生日を15日に迎えるなど、北朝鮮で記念日が続くことで北朝鮮が新たな挑発行為に出る懸念もあり、一触即発のリスクも高まっている。

金融市場動向をみると特に欧米の株式市場などでは、それほど大きな動揺を示していないが、外為市場ではじわりじわりと円高が進行し、「ドルは強すぎる」とのトランプ大統領の発言も加わって、ドル円は一時109円割れとなった。リスク回避の動きから金の先物も買われ、ニューヨーク金先物相場は5か月ぶりの高値をつけている。

金が買われるのは何となくわかるが、地政学的リスク回避の動きだからといって円が買われるというのは理屈に合わない。今回のリスク回避の動きの背景にはシリアという中東の国の問題というより、地理的に日本と非常に近い北朝鮮の影響が大きい。何かしらの有事が発生した場合に、米国と日本への影響やそのリスクを考えると日本に対する影響の方が大きくなるはずである。それにも関わらず何故、円がドルに対しても買われるのであろうか。

リスク回避の円買いは、理屈で動くというよりも長きにわたり市場で形成されてきた条件反射的な動きに思える。たしかに先進国のなかで政治は安定しているようにみえる。しかし、安倍首相以前は毎年のように首相が替わっていた国であった。しかも膨大な政府債務を抱え、中央銀行はやや無謀とも言える政策を続けている国である。これらは日本国債の潜在的なリスクを高めているともいえる。それでも円が買われるのは、日本への信認が維持されている裏返しでもあるのかもしれない。しかし、それでも北朝鮮における地政学的リスクの高まりによる円買いに対しては、違和感を持たざるを得ない。


[PR]
# by nihonkokusai | 2017-04-13 09:43 | 為替 | Comments(1)

フランス大統領選は混戦模様となり、不透明感を強める

フランス第5共和政の第10回大統領選挙は2017年4月23日(日)と5月7日(日)に実施される。フランス国民による直接投票によって大統領が決まる。

フランス大統領の選挙日程が2回予定されているのは、第1回目の投票で全体の過半数の票を取った候補が出ない際に、投票率の上位2名によって決選投票が行われるためである。1965年以降、第1回投票で大統領に決まった候補者はなく、今回もこれまでの世論調査などからも決選投票は不可避とみられている。

今回の大統領選挙が最も注目されているのが、極右政党、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首である。ルペン党首はユーロ圏離脱や欧州連合(EU)離脱の国民投票実施を掲げている。英国のEU離脱や米国でのトランプ大統領の登場の流れがフランスでも強まるとなれば、このルペン党首が勢いづくことになる。

欧州でポピュリズムや極右の流れがさらに加速されるのかどうか。その試金石とされたのが3月15日に実施されたオランダの議会下院の選挙であった。

オランダの議会下院の選挙では、ルッテ首相が率いる中道右派の与党・自由民主党が8議席減らすものの33議席を獲得し、第1党の座を維持した。ウィルダース氏が率いる極右政党の自由党は20議席を獲得したが、当初予想されていた倍増の30議席までには至らなかった。

フランスの大統領選挙でも、ルペン党首の人気の高まりを懸念したEU残留派の有権者を中心に、オランド大統領のもとで経済相を務めたマクロン候補への支持に拡がりを見せている。このため、無所属のマクロン候補が有力候補となりつつある。39歳という若さもその魅力のひとつとなっている。ところがここにきてダークホースが出てきた。

オピニオンウェイが6日に公表した調査によると、4月23日の第1回投票でのルペン氏の支持率は25%、マクロン氏は24%となっていたが、共産主義の支持を集める急進左派のジャン・ルク・メランション氏が追い上げを見せて、1ポイント上昇して16%となったのである。ちなみに5月7日の決選投票予想はマクロン氏が60%で、ルペン氏の40%を上回った。(NEWSWEEK)。

以前に与党・社会党など左派陣営のブノワ・アモン氏と共産主義の支持を集める急進左派のメランション氏が、協力の可能性をめぐり協議していることを明らかになったが、これは決裂したようである。

2002年のフランス大統領選挙の際には1回目の投票で現職のシラク大統領に次いで、極右政党・国民戦線(FN)のジャンマリ・ルペン党首(マリーヌ・ルペン氏の父)が2位で決選投票に進んだ。決選投票では1回目の選挙で敗れた左派の社会党候補の支持者もルペン氏を当選させないために、ライバルであった保守系政党のシラク氏支持に回り、シラク氏が大差で勝利していたということもあった。

今年のフランス大統領選挙では、ルペン氏が大統領選挙で勝つことはないだろうとの予想がいまのところ大勢を占めているが、この予想が昨年の米国大統領選挙の時のように覆されることとなれば、フランスのユーロ離脱も意識される可能性がある。いまのところその懸念は後退しつつある。しかし、今後の動向次第ではフランス大統領選挙が混戦模様となり、決選投票でのルペン氏敗退とのシナリオに不透明感が強まることもありうるため、注意が必要となる。



[PR]
# by nihonkokusai | 2017-04-12 09:46 | 国内情勢 | Comments(0)

中東・アジアでの地政学的リスクの高まりに対して、市場の反応が鈍い理由

米国防総省は6日夜(日本時間7日午前)、米軍が巡航ミサイル「トマホーク」59発をシリアの同国軍施設に発射し、対シリア攻撃を開始したと発表した。

このシリア空軍基地へのミサイル攻撃を巡り、トランプ米政権内の内紛も表面化している。トランプ氏の最側近だったバノン大統領上級顧問・首席戦略官がシリア攻撃に反対する一方、トランプ氏の娘婿クシュナー大統領上級顧問が実施を求めたとされる。

トランプ氏の従来の過激路線を推進するバノン氏と、穏健路線を重視するクシュナー氏やコーン国家経済会議(NEC)委員長の対立が激化しているなか、今回のシリア攻撃は「穏健派」の主張を取り入れたものという、なんとも皮肉な結果となっている。

そしてティラーソン米国務長官は9日放送のABCテレビの番組で、シリアへのミサイル攻撃は北朝鮮への警告の意味が込められていたと強調し「他国への脅威となるなら、対抗措置を取るだろう」と述べた(日経新聞電子版)。

ただし、ティラーソン米国務長官は米国には北朝鮮の「レジーム・チェンジ(体制転換)」には関心がないとも述べている。

米海軍当局者は8日に原子力空母カール・ビンソンを中心とする第1空母打撃群が、シンガポールから朝鮮半島に向け、同日出航したと明らかにした。空母打撃群は1隻の空母とそれを護衛する3隻のイージス艦、そして攻撃型原潜によって構成される。

7日から8日にかけての市場の反応を見る限り、米軍によるシリア攻撃による影響は限定的と言える。7日に発表された3月の米雇用統計で非農業雇用者数が前月比9.8万人増となり、市場予想を大幅に下回ったことに影響を受けて、ドルやダウ平均が下落した面があった。しかし、非農業雇用者数については悪天候が一時的に影響したとの見方があり、3月の失業率は4.5%と2007年5月以来、約10年ぶりの水準に低下したていたことで、さほど悪材料とはならず、7日のダウ平均は小幅安での引けとなった。

そもそもこの雇用統計が注目されている理由は、米国の景気動向をみる指標であるとともに、FRBの金融政策に大きく影響するためである。そのFRBの金融政策を巡っては、ニューヨーク連銀のダドリー総裁が興味深い発言をしていた。3月31日にダドリー総裁は、バランスシート縮小を開始すれば利上げを休止する可能性があるとしたが、ダドリー総裁は7日、この休止というのは既に非常に短い意味があり、短い休止を強調したのである。かなり苦しい言い訳にも聞こえるが、要するにバランスシート縮小開始は、利上げをそこで止めるわけではないということであった。このダドリー総裁の修正発言もあり、7日の米国債はリスク回避で買われるのではなく、むしろ売られていたのである。

7日のドイツや英国の国債は、リスク回避の動きもあって買われていたのに対し、米国債はリスク回避よりもダドリー総裁発言に大きく影響を受けていた。現状、市場の感応度が地政学的リスクよりも、FRBの金融政策の方に対しての方が大きいことが伺える。

米軍によるシリア攻撃に関してはロシアの反応が最大の注目点となっていた。ロシア政府は、米国によるシリア空軍基地へのミサイル攻撃について厳しく批判したものの、ティラーソン米国務長官のロシア訪問は予定通り進める見通しとなっている。ロシアが強攻策に出るようなことはなさそうであり、その意味で地政学的リスクがさらに高まる様子はいまのところみられない。このあたりも市場がさほど神経質とはなっていない要因とみられる。

リスクとしては北朝鮮の方がむしろ高い可能性はある。米軍による第1空母打撃群の朝鮮半島の派遣が、北朝鮮への抑止効果となるのか、反対に北朝鮮がさらに過激な行動に出るのか。このあたりは米中首脳会談の最中にシリア攻撃を行っていたことも影響してこよう。

つまりこちらは中国の出方がポイントとなる。これについても、米中首脳会談で何らかの協議が行われた可能性は当然ありうる。突発的なことが発生したとしても、中国は静観している可能性もある。ただし、その突発的なことが起きた際には、地理的にも近い東京市場には大きな影響が出ることが想定される。中朝国境付近に中国軍が15万人展開を始めたという情報がツイッターなどで飛び交っているようだが、北朝鮮で何らかの動きが起きた際にはリスク回避の動きから、一時的にせよ円高進行、株式市場の急落に加え、再び国債が買われることで長期金利が低下することもありうるか。


[PR]
# by nihonkokusai | 2017-04-11 09:01 | 国際情勢 | Comments(0)

中東・アジアでの地政学的リスクの高まりに対して、市場の反応が鈍い理由

米国防総省は6日夜(日本時間7日午前)、米軍が巡航ミサイル「トマホーク」59発をシリアの同国軍施設に発射し、対シリア攻撃を開始したと発表した。

このシリア空軍基地へのミサイル攻撃を巡り、トランプ米政権内の内紛も表面化している。トランプ氏の最側近だったバノン大統領上級顧問・首席戦略官がシリア攻撃に反対する一方、トランプ氏の娘婿クシュナー大統領上級顧問が実施を求めたとされる。

トランプ氏の従来の過激路線を推進するバノン氏と、穏健路線を重視するクシュナー氏やコーン国家経済会議(NEC)委員長の対立が激化しているなか、今回のシリア攻撃は「穏健派」の主張を取り入れたものという、なんとも皮肉な結果となっている。

そしてティラーソン米国務長官は9日放送のABCテレビの番組で、シリアへのミサイル攻撃は北朝鮮への警告の意味が込められていたと強調し「他国への脅威となるなら、対抗措置を取るだろう」と述べた(日経新聞電子版)。

ただし、ティラーソン米国務長官は米国には北朝鮮の「レジーム・チェンジ(体制転換)」には関心がないとも述べている。

米海軍当局者は8日に原子力空母カール・ビンソンを中心とする第1空母打撃群が、シンガポールから朝鮮半島に向け、同日出航したと明らかにした。空母打撃群は1隻の空母とそれを護衛する3隻のイージス艦、そして攻撃型原潜によって構成される。

7日から8日にかけての市場の反応を見る限り、米軍によるシリア攻撃による影響は限定的と言える。7日に発表された3月の米雇用統計で非農業雇用者数が前月比9.8万人増となり、市場予想を大幅に下回ったことに影響を受けて、ドルやダウ平均が下落した面があった。しかし、非農業雇用者数については悪天候が一時的に影響したとの見方があり、3月の失業率は4.5%と2007年5月以来、約10年ぶりの水準に低下したていたことで、さほど悪材料とはならず、7日のダウ平均は小幅安での引けとなった。

そもそもこの雇用統計が注目されている理由は、米国の景気動向をみる指標であるとともに、FRBの金融政策に大きく影響するためである。そのFRBの金融政策を巡っては、ニューヨーク連銀のダドリー総裁が興味深い発言をしていた。3月31日にダドリー総裁は、バランスシート縮小を開始すれば利上げを休止する可能性があるとしたが、ダドリー総裁は7日、この休止というのは既に非常に短い意味があり、短い休止を強調したのである。かなり苦しい言い訳にも聞こえるが、要するにバランスシート縮小開始は、利上げをそこで止めるわけではないということであった。このダドリー総裁の修正発言もあり、7日の米国債はリスク回避で買われるのではなく、むしろ売られていたのである。

7日のドイツや英国の国債は、リスク回避の動きもあって買われていたのに対し、米国債はリスク回避よりもダドリー総裁発言に大きく影響を受けていた。現状、市場の感応度が地政学的リスクよりも、FRBの金融政策の方に対しての方が大きいことが伺える。

米軍によるシリア攻撃に関してはロシアの反応が最大の注目点となっていた。ロシア政府は、米国によるシリア空軍基地へのミサイル攻撃について厳しく批判したものの、ティラーソン米国務長官のロシア訪問は予定通り進める見通しとなっている。ロシアが強攻策に出るようなことはなさそうであり、その意味で地政学的リスクがさらに高まる様子はいまのところみられない。このあたりも市場がさほど神経質とはなっていない要因とみられる。

リスクとしては北朝鮮の方がむしろ高い可能性はある。米軍による第1空母打撃群の朝鮮半島の派遣が、北朝鮮への抑止効果となるのか、反対に北朝鮮がさらに過激な行動に出るのか。このあたりは米中首脳会談の最中にシリア攻撃を行っていたことも影響してこよう。

つまりこちらは中国の出方がポイントとなる。これについても、米中首脳会談で何らかの協議が行われた可能性は当然ありうる。突発的なことが発生したとしても、中国は静観している可能性もある。ただし、その突発的なことが起きた際には、地理的にも近い東京市場には大きな影響が出ることが想定される。中朝国境付近に中国軍が15万人展開を始めたという情報がツイッターなどで飛び交っているようだが、北朝鮮で何らかの動きが起きた際にはリスク回避の動きから、一時的にせよ円高進行、株式市場の急落に加え、再び国債が買われることで長期金利が低下することもありうるか。


[PR]
# by nihonkokusai | 2017-04-11 09:01 | 国際情勢 | Comments(0)

日本国債の基準値が決定される仕組み

 国債を売買するにあたっての基準値は日本証券業協会が発表しているもの以外に、日本相互証券が発表しているものがある。また、プライマリー・ディーラーなどはそれぞれ独自の基準値を出している。

 そもそもこういった基準値はどのように決定されているのであろうか。債券の売買は店頭取引(つまり相対)で行われている以上、個々の売買がどのレートで行われているのかはわからない(当然、守秘義務も発生する)。

 このため日本証券業協会や日本相互証券は業者(主に証券会社)に聞き取り調査をすることで、その基準値(気配)を掴んでいる。それは主に15時現在の国債の利回りや価格となる。日本相互証券などが発表している気配表に基づいて、国債のポジションを抱えている金融機関は保有評価額を算出することになる。

 それでは業者はどのようにその日のトレード(売買)の際のレートを決定しているのであろうか。まず参考にするのは、前営業日の基準値となる。前営業日から当日の朝にかけて、海外市場動向などを元におおよその相場の居所を探る。そして、債券先物の寄り付きの位置などを見て、ある程度の相場の強弱を探るとともに、当日の財務省による国債入札や日銀による国債買入といったものも考慮し、投資家の需要などを元にしてイールドカーブの状況を推測する。それに基づいて、前日の基準値からどの程度利回りが乖離しているのかを探ることとなる。

 その上で、ディーラーなりの相場観に基づいて投資家との売買を行う。そして、投資家の売買により生じたポジションの調整などのため、日本相互証券などで売り買いを行う。もちろん日本相互証券での売買はディーラーの相場観による単純売買も行われている。この日本相互証券の端末は多くの証券会社や銀行にあり、そこで出合った利回りは外部から見ることができ、今度はそれが参考データとなる。

 日本相互証券ではカレント物と呼ばれる直近入札された2年、5年、10年、20年、30年債の売買が頻繁に行われることで、今度はその水準も参考にして、投資家との売買を行うことになるのである。

 また債券相場のおおよその流れは債券先物が参考になる。現物債に比べて常に価格が変動しており、その動向をチェックすることにより、相場の流れを掴み、現物債の売買の参考にされるのである。

[PR]
# by nihonkokusai | 2017-04-09 09:02 | 国債 | Comments(0)

FRBの情報漏洩問題、中央銀行の情報漏洩は何故起きるのか

リッチモンド連銀のラッカー総裁は4日、2012年の機密情報漏洩事件に関わったとして、即日辞任すると発表した。

ラッカー総裁は声明で2012年10月2日に調査会社メドレー・グローバル・アドバイザーズのアナリストと話した際、その後のFRB内の会合で話し合われる予定の政策選択肢についてアナリストが詳細な情報を握っていることが分かったとした。だがアナリストとの会話でコメントを拒否しなかったため、その情報を確認もしくは事実と承認しているかのような印象を与えた可能性があると述べた(WSJ)。

問題となったのはメドレー・グローバル・アドバイザーズの2012年10月の顧客向けリポートで、FRB内部の政策協議に関して市場を動かしかねない情報が含まれていたとされる。この問題を巡り下院共和党や連邦当局が調査を行っていた(WSJ)。

メドレー・グローバル・アドバイザーの有料レポートはメドレー・レポートと呼ばれ、真偽のほどはとにかくも金融に関する特ダネが掲載されることがあり、それが市場を動かすということがあった。最近ではあまり聞かなくなったものの、私が債券ティーラーの現役時代はこのレポートの記事がよく話題となっていた。

2012年10月当時の自分で書いたものを確認してみたが、メドレー・レポートに触れたものはなかった。しかし、それを探しているときに面白いものを見つけた。2012年10月31日の日銀の金融政策決定会合で追加緩和が決定されていたが、それについては私は下記のような事を書いていた。

「日銀は31日の金融政策決定会合で、追加緩和策を決定した。事前に資産買入等基金の10兆円程度プラスリスク資産の増額は報じられていた。今回は政府による経済対策と歩調を合わせた格好となっており、この報道は日銀関係者というよりも政府関係者から漏れた可能性が高いと思われる。」

憶測で書くなと言われそうではあるが、この際には決定会合の内容が事前に漏れていたことは確かであった。これはこの会合に限らずで、以前には決定会合の最中に決定内容が速報といった格好で報じられることもあった。かなり大昔となるが、日銀短観そのものが1週間前に漏洩して債券ディーラー間で回し読みされていたということもあったそうである。

中央銀行の金融政策、大昔では公定歩合の上げ下げとかは報道関係者にとり、そのスクープを抜くことが大きな勲章のようなものになっていたとされている。これもあってか、やや金融政策に関する事前報道が加熱していた時期もあった。ところが、こと日銀に関しては黒田総裁が就任してからは、そういったことがほとんどなくなった。だからこそ黒田日銀の追加緩和がサプライズと称されたのである。黒田総裁の異次元緩和そのものについては個人的には批判的ながらも、この情報漏洩を完全に遮断している姿勢に対しては評価している。

ただし、中央銀行が作為的に金融政策の情報を流すケースもあることにも注意する必要がある。いまのFRBがまさにそうである。年内複数回の利上げをするぞと関係者がコメントしている。これは当然ながら情報漏洩ではない。特に金融緩和ではなく、その反対方向に向かう際にはそれを市場に浸透させ、市場の動揺を押さえ込む必要があるためである。


[PR]
# by nihonkokusai | 2017-04-06 09:48 | 中央銀行 | Comments(0)

マーケットの新たなリスク要因、米・中・北朝鮮に英・露

米国のトランプ大統領は3月24日に「オバマケア見直し法案」の下院本会議での採決を見送り、同法案を撤回した。また、トランプ大統領が指名した連邦最高裁判事候補者の上院における承認を巡り不透明感も強まっている。さらに複数の州がトランプ政権の省エネ規制適用見合わせを違法として法的措置も辞さない構えを表明するなど、トランプ氏には逆風が吹いており、ロシアとの疑惑などもあり、トランプ政権の政策運営能力を疑問視する声も出始めている。

これに対してトランプ大統領は外交面で北朝鮮に対する強硬姿勢を示すことで、国民の目を背けさせているとの見方もある。トランプ大統領は北朝鮮の核・ミサイル開発を巡り、中国が協力しなければ単独行動も辞さない構えを示した。4月6、7日に南部フロリダ州の別荘で開催されるトランプ氏と習近平・中国国家主席の首脳会談を控え、警戒感が強まっている。中国としては北朝鮮問題は取り扱いの難しい問題であるが、米国の単独行動を許すとも思えず、米中首脳会談での北朝鮮問題をどのように取り扱うか、通商・為替政策を含めて注意する必要がある。米中首脳会談を睨んでか、北朝鮮は5日に弾道ミサイルを発射するという挑発行為に出た

3月29日、英国のメイ首相はEU基本条約(リスボン条約)50条を発動し、EUに対して離脱を正式に通知したが、さっそく問題が生じている。イベリア半島南端にある英領ジブラルタルを巡っての問題である。スペイン継承戦争後、1713年のユトレヒト条約でジブラルタルは英国の領土となったが、ジブラルタルでは周辺のスペイン人住民約1万人が働いており、毎日境界を通って通勤しているとされる。スペインのダスティス外相は、英領ジブラルタルについて、英国がEUを離脱した後も「境界を閉じるつもりはない」と表明したが、いずれこれが火種になるのではとの懸念も出ている。

そして4月3日にロシア第2の都市であるサンクトペテルブルクの地下鉄で爆発が発生し、多くの死傷者が出た。この日はプーチン大統領がベラルーシのルカシェンコ大統領との会談のためにサンクトペテルブルクに滞在中だったそうだが、ロシア連邦捜査委員会はテロの疑いがあるとして刑事捜査を開始したとされる。

4月3日の欧米市場では、米国やドイツ、英国の国債が買い進まれた。つまり長期金利が低下したわけだが、この動きはリスク回避の動きのようにも見えた。3月の米国の自動車販売台数が予想を下回り、米国で長く続いた販売好調局面が勢いを失いつつある可能性も意識されたようだが、地政学的リスク等を含めたリスクに市場が再び敏感になりつつあるのかもしれない。


[PR]
# by nihonkokusai | 2017-04-05 09:06 | 国際情勢 | Comments(0)

FRBが物価目標としているPCEデフレーターが4年10か月ぶりに2%の目標越え

31日に発表された2月の個人消費支出(PCE)で、PCEデフレーターは前年同月比2.1%の上昇となり、上昇率はFRBの目標である2%を4年10か月ぶりに上回った。ただし、エネルギー・食品を除くコア指数は1.8%上昇となり、前月と変わらずとなった。

ここであらためてFRBが物価目標としているはPCEデフレーターとは何かを確認してみたい。

2012年1月25日のFOMCの終了後に発表された「長期目標と政策戦略」という声明文において、FRBは物価に対して特定の長期的な目標(ゴール)を置くこととし、それをPCEの物価指数(PCEデフレーター)の総合指数の2%とした。 

米商務省が発表している個人所得(Personal income)、個人消費支出(Personal consumption expenditures)、PCEデフレーター(Personal Consumption Expenditure Deflator)は米国の経済指標の中にあって、注目されるもののひとつである。

これは米国の個人の所得と消費について調査した指標であるが、このうち個人所得とは、社会保険料を控除し実際に個人が受け取った所得のこととなる。この個人所得は消費動向を決定付ける大きな要因ともみられている。賃金給与・賃貸・利子配当等といった所得の構成項目や、可処分所得・貯蓄率なども同時に発表される。

個人消費支出(PCE)とは1か月間に実際に米国の個人が消費支出した金額について集計したものであり、米国のGDPの7割を占める個人消費の動向は米経済にも大きな影響を与えることで注目されている。特に名目個人消費支出の前月比などが注目される。

名目個人消費支出(名目PCE)を実質個人消費支出(実質PCE)で割ったものが、個人消費支出(PCE)物価指数もしくはPCEデフレーターと呼ばれるものであり、これも同時に発表される。PCEデフレーター変化率がプラスであれば物価上昇、マイナスであれば物価下落と捉える。

特に価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたものを「コアPCEデフレーター」と呼び、FRBが物価指標の中で最も重要視している指標のひとつとなっている。その理由としては消費者物価指数に比べて、バイアスが生じにくいためとされている。

しかし、FRBが目標とするのはコア指数ではなく総合指数である。これは足下物価動向を見るにはコア指数が良いが、長期的に見ると総合指数が適切と判断したものとされている。ただし、過去の事例をみるとFRBはコアPCEデフレーターが2%を越えてくると段階的に利上げを行っていた。

参考までに日銀も2013年1月に2%の物価目標の導入を決定したが、この場合の物価目標は全国消費者物価指数の総合指数の前年同月比であった。ところが2016年9月の金融政策決定会合で長短金利操作付き量的・質的緩和を決定した際、この目標とする物価を総合から生鮮食料品を除くコア指数に置き換えている。


[PR]
# by nihonkokusai | 2017-04-04 09:47 | 景気物価動向 | Comments(0)

2017年度の日本国債の発行市場はどうなっているのか

2017年度の国債発行計画は、昨年12月22日の政府による来年度予算案の閣議決定のタイミングで発表されているが、あらためて確認しておきたい。

2017年度の予算案での新規国債(建設国債と赤字国債)の発行額は34兆3698億円となり、2016年度当初予算からは622億円の減額、三次補正後では4兆6648億円の減額となる。

2017年度の国債総発行額は153兆9633億円となり、これは2016年度当初からは8兆2395億円の減額、三次補正後でみると15兆8365億円もの減額となる。減額の理由は借換債が2016年度当初から3兆354億円減額され、財投債が4兆5000億円減額されるためである。

2017年度の国債総発行額の153兆9633億円のうち入札等で発行される、いわゆるカレンダーベースの国債発行額は141兆2000億円となる。2016年度当初に比べると5兆8000億円の減額となる。2017年度の前倒債の発行限度額は56兆円(今年度の48兆円から大幅増額)となり、この分は今後の国債発行の調節を可能とするバッファーとなる。

カレンダーベースの年限別の国債発行額をみてると、40年債が2016年度当初の4000億円6回から、来年度は5000億円6回と増額される。30年債は8000億円が12回と変わらず。20年債は2016年度の1.1兆円12回から1.0兆円12回に減額、10年債は2.4兆円が12回から2.3兆円12回に減額され、5年債は今年度の2.4兆円12回が2.2兆円12回に減額され、2年債は2.3兆円12回から2.2兆円12回に減額される。1年物短期国債も都合1.2兆円減額となる。10年物物価連動国債は4000億円の減額、流動性供給入札は1.2兆円増額となる。

このように短期債から20年債に至るまで減額され、一部の増額もあり、差し引き全体では5.8兆円の減額となる。日銀の国債買入においては、減額されるゾーンを主体に減額の方向で調整を行っている。

3月22日に財務省で開催された国債市場特別参加者会合では、2017年度の国債発行に際して、リオープン方式について財務省から説明があった。10年債については2015年度から、新発債の表面利率と入札日における市場実勢の乖離がおおむね30bps以内の場合に、リオープンによる発行としているが、それが継続される。

20年債・30年債・40年債のリオープン方式及び40年債の入札方式については2016度と同様に20年債・30年債は年間4銘柄とし、40年債は年間1銘柄で利回りダッチ方式の入札とする方向のようである。

また、国債市場特別参加者の応札責任を発行予定額の5%以上に引き上げることや、第1非価格競争入札の発行限度額を現行の発行予定額の10%から同20%に拡大する案も出された。これは7月以降に発行される国債の入札分から適用される予定である。


[PR]
# by nihonkokusai | 2017-04-03 14:40 | 国債 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー