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ビットコインと円との大きな違い

 円は日本の法定通貨である。国は法定通貨を定めることで、その通貨を「決済手段として使う権利」が定められる。通常、国はひとつの法定通貨を有している。法定通貨が持つ、この「決済手段として使う権利」は「強制通用力」と呼ばれる。日銀券を用いて支払いを行った場合には、相手がその受取りを拒絶することができないという「法貨としての強制通用力」を持っている。

 現在、日本で使うことのできるお札は22種類ある。この「使うことができる」ということを「強制通用力がある」と言い、日銀券は日銀法で法貨として無制限に通用すると定められている。ただし、補助貨幣などの貨幣には一定の制限があり、硬貨の場合は「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第7条」により、同じ硬貨は20枚まで強制通用力を有していると定められている。

 強制通用力を認められた貨幣による決済は、額面で表示された価値の限度で最終的な決済と認められ、受け取る相手側はこれを拒否できない。つまり、日本国内で円を使う場合に、日銀券は制限なく使用できる。反対に強制通用力の無いものでは、決済を拒否できることになる。

 日本における通貨の「円」とビットコインなどの仮想通貨などとの大きな違いは、この通貨の強制通用力の有無ということになろう。さらに法定通貨と強制通用力で守られた「通貨」は交換力が保証される。つまり流動性が保証される。これに対して仮想通貨はこういった交換力の保証がない。

 法律で守られていないビットコインと法定通貨である円が、もし同じような利用価値を有することになるとなれば、日本の国民が法律を遵守することがなくなり、法律というかそれを制定する国への信用度が極度に低下する場合となろう。

 いまの日本では日銀が国債を異常な規模で購入していようが、いまのところ国や国債、そして円に対する信認は非常に強い。日本国債の利回りが低位で推移し続けているのも国への信認が背後にあり、それは国の法律に守られた円に対する信認が強いことも示している。

 また、日本国内での商取引が極めて閉鎖的であることで、円の使い勝手が良いことなどがあり、国際的に流動性の高いドルなど他の通貨がそれほど流通していない要因となっている。日本の物価が安定していることで、円の価格変動リスクが極めて少ないことも大きく影響していよう。

 これに対してビットコインなどは極めて価格変動リスクが大きいこともあり、投機的な利用はさておき、通貨として利用が日本国内で拡がることは現状は考えづらいのである。


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# by nihonkokusai | 2017-10-22 10:55 | 金融 | Comments(0)

9月の債券、海外投資家は押し目買い

 20日に発表された9月の公社債投資家別売買高によると、都銀は1兆1532億円の売り越しとなり、それに対して海外投資家は2兆4042億円の買い越しとなっていた。海外投資家は6月、7月と買い越し額は1兆円を割り込んでいたが、8月は3兆円近くの買い越しとなっており、9月はそれよりは買い越し額は縮小していたとはいえ、存在感を示した格好となった。

 8月の都銀は小幅買い越しとなっていたが、9月は1兆円を越す売り越しとなり、同時に発表された国債の投資家別売買高をみると中期ゾーンを9050億円、 超長期ゾーンを2357億円売り越していた。これに対して海外投資家は中期ゾーンを1兆8317億円、長期ゾーンを4557億円買い越していた。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 11532(2357、816、9050)

地方銀行 -35(674、-231、850)

信託銀行 -4208(-2913、1061、-1079)

農林系金融機関 -2722(-2512、284、20)

第二地銀協加盟行 312(364、-114、0)

信用金庫 -1643(-562、306、40)

その他金融機関 -1366(-259、-218、60)

生保・損保 -4227(-3647、41、14)

投資信託 -477(151、306、-430)

官公庁共済組合 -262(-212、2、0)

事業法人 -473(-57、1、0)

その他法人 -925(-188、-39、90)

外国人 -24042(-967、-4557、-18317)

個人 241(-34、26、4)

その他 18967(7153、-5340、21058)

債券ディーラー 415(-5、931、-460)

 9月の全体の国債売買高は201兆円程度となり、6月の212兆円以来の200兆円台を回復した。中期ゾーンの売買高は7月に35兆円程度と一時的に落ち込んでいたが、8月、9月と50兆円台を回復させている。

 9月の債券相場は米債が年内利上げ観測の強まりなどから下落トレンドとなり、円債も同様に下落した。この間に都銀などは利益確定売りを急いだようだが、海外投資家はしっかり押し目買いを入れていたようである。


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# by nihonkokusai | 2017-10-21 13:22 | 債券市場 | Comments(0)

FRB議長人事レースの行方を占う

 米国のトランプ大統領は17日、FRB議長を既に名が挙がっている5人から選ぶつもりであり、近く発表すると述べた。トランプ大統領は11月3~14日に日本を筆頭にアジア各国を歴訪する予定で、この出発までに発表するようである。トランプ大統領はイエレン議長と19日前後に面談した後、人事案を正式に固めるとみられる。

 トランプ大統領が絞り込んだ5人の候補はパウエルFRB理事、ウォーシュ元FRB理事、テイラー米スタンフォード大教授、コーン国家経済会議(NEC)委員長、そしてイエレン議長となる。

 パウエル氏は共和党のジョージ・ブッシュ政権で財務次官を務め、中立派とされる。これに対してスタンフォード大学経営大学院講師を務めるケビン・ウォーシュ元理事は同じ共和党ながらタカ派とされる。テイラー米スタンフォード大教授も共和党に近くタカ派の代表格ともいえる。テイラー氏は本命視はされていなかったが、ホワイトハウスでの面談でトランプ大統領に好印象を与えたとされ、市場では議長候補として脚光を浴びつつある。コーン国家経済会議(NEC)委員長に関してはトランプ大統領と距離も出来ているようで、議長レースから後退しつつあり、ウォーシュ元理事の可能性も後退しつつあるという。

 トランプ大統領に指名の選択権があるため、FRB議長候補の予想は難しい。しかし、5人もの候補から絞るということ自体、イエレン議長の再任の可能性は薄いということなのかもしれない。これはイエレン議長本人の意向も重要となるが、健康への不安もある。予定されるトランプ大統領とイエレン議長の会見では、イエレン氏本人の意向の確認とともに、自分以外の後継者のなかからの推薦者を確認するためのものとの見方もできなくはない。

 そうであれば、いまのところ本命は現役のFRB理事でイエレン議長を補佐してきたパウエルFRB理事といえるのではなかろうか。トランプ大統領も就任後はイエレン議長を「大いに尊敬している」と選挙期間中の批判的な態度を一変させ、いまのFRBの政策にも理解を示しているとみられ、政策の継続が念頭にあればパウエルFRB理事の議長昇格の可能性は高いように思われる。

 ダークホースがトランプ氏の好感度が上がったとされるテイラー教授ではあるが、正常化という実務がいま重視されているFRBにあっては外部採用はできれば避けたいところではなかろうか。ジョン・テイラー氏は70歳という年齢もネックとなるかもしれない。ちなみにパウエルFRB理事は64歳。年齢だけでみればウォーシュ元理事は47歳とまだ若い。イエレン議長は71歳と年齢にも不安が残るところではある(トランプ大統領も71歳ではあるが)。ちなみにコーン氏は57歳である。


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# by nihonkokusai | 2017-10-19 09:57 | Comments(0)

「『円』対『仮想通貨』」

 ビットコインの価格が乱高下するなどしていることで、再びビットコインなどの仮想通貨がニュースなどでも取りあげられている。しかし、特に日本ではこの仮想通貨が法定通貨である円に取って代わるような事態となることは考えづらい。

 日本国内での「円」の利用については、まったく支障がない。それどころか日本人は特に現金主義であり、世界的に電子マネーや仮想通貨といった新たな決済手段が広がりつつあるなかでも、日本は引き続き他国と比べて現金を好む傾向が強いとされている。

 日銀が今年2月に発表したレポートによると、日本の現金流通高の名目国内総生産(GDP)比は2015年末時点で19.4%となり、日本の現金流通高のGDP比はユーロ圏の10.6%、米国の7.9%、英国の3.7%など他の主要国と比べて際立って大きい。

 この要因として日銀が指摘しているもののひとつは「タンス預金」として使わないまま滞留している現金が多いこと。日本は治安が相対的に良く、現金を保管しても盗難のリスクが低いこと、低金利が長く続いていることで、預金していても金利収入がほとんど得られないことなどとなっている(2月21日日経新聞記事より引用)。

 もちろん現金に慣れ親しんでしまっていることで、便利とはわかっていても電子マネーよりもつい現金を使ってしまう面もある。コンビニでの利用もいまだ現金の割合も多いようである。

 これは日本の円の決済のしやすさや、その価値が安定していることも影響している。電子マネーは便利ではあるが、ひとつの電子マネーが、すべての店で決済ができるわけではない。

 またビットコインなどを使った際のように、今日買ったコーヒーの値段が明日、大きく変動するようなこともない。

 同じ円で使える電子マネーの普及もなかなか進まないなか、日々値動きがあり、さらにその決算についても一定の手続きが必要な「仮想通貨」が日本国内で通貨として普及することは、円の信認や価値がこれまで通り維持されるという前提では考えづらい。  

 仮想通貨は通貨という名称はついていても、国内では投機的な対象物となっており、ブロックチェーンという仕組みは応用が可能で普及する可能性はあるものの、仮想通貨自体が「通貨」として普及する可能性は極めて低いと言えよう。


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# by nihonkokusai | 2017-10-18 09:49 | 金融 | Comments(0)

マイナス金利で得をしているのは誰なのか

 日銀が2016年2月に導入した「マイナス金利付き量的・質的緩和政策」はすこぶる評判が悪かった。特に多額の資金運用を行っている投資家にとって、本来であれば安全資産であるはずの国債を保有することで運用成績がマイナスとなる事態は運用そのものに支障を来すことになる。

 日銀のマイナス金利政策の狙いのひとつとして、ポートフォリオ・リバランスというものがある。日銀が安全資産とされる国債を大量に買い占め、国債の利回りを徹底的に引き下げることにより、資金運用を行っている投資家に対し、貸し出しや国債以外の金融資産に資金を振り向けさせようとするものである。

 しかし、年金にしろ、預貯金にしろ資金を払い込んだ人たちには、大きなリスクを負っての運用は本来望んではいないはずである。少なくとも元金が目減りするようなことは考えていないのではなかろうか。だからこそ、これまでは年金や銀行などは国債を主体とした運用をしてきた。その国債も保有することで運用益がマイナスとなる事態となってしまった。

 日銀は金融業界からのマイナス金利政策に対する批判を受けてそれを修正したのが、2016年9月の長短金利操作付き量的・質的金融緩和である。これは何と言うことはない、長期金利、つまり10年債利回りのマイナス化を避けて、期間の長い国債の利回りはプラスにさせる政策ともいえる。それでも長期金利は0.1%以下に押さえ込まれている。

 その結果、我々が受け取る利息もほとんどない事態が続いている。日銀の異次元緩和で物価が上がらなかったことで、その事態がさらに延長され続けている。それでも足元物価をみると消費者物価指数(除く生鮮食料品)で前年比プラス0.7%程度までは回復している。しかし、長期金利は日銀のイールドカーブコントロールによって引き続き0.1%を下回っているが、それがなければもう少し上昇してもおかしくはない。

 日銀の金融政策によって金利そのものは大きく押さえ込まれ、中期ゾーンの金利あたりまではいまだマイナスとなっている。景気は回復基調が続いていることは確かで、我々は本来もらえるはずの金利を、物価を上昇させるためとして、それが享受できない状況が続いていることになる。

 それではマイナス金利政策で得をしている人がいるのか。マイナス金利政策に恩恵を受けているのは、国債を低い利回りで発行でき、国債費が抑えられる政府となる。それは裏返すと財政規律を緩めかねないものともなっている。

 それとともに海外投資家もマイナス金利でも利益が出せる。日本の金融機関による海外の国債などへの投資の際に、円をドルに転換する必要があり、その際に付くドルのプレミアム分を相手方の海外の金融機関などは得ることができる。つまり海外投資家は多少のマイナス金利でもプレミアム分があるため、それで鞘を抜くことができる。

 10月16日の日経新聞の「マイナス金利、海外中銀にプラス」との記事では、その鞘を取る投資家にアジアや欧州の中央銀行も含まれていることを示していた。日銀は海外の中央銀行から預かる資金に今年6月からマイナス金利を適用しているが、それは日銀に預けてある資金の一部だけの適用となっている。このため、海外中銀による日銀の預金残高は10月10日時点で過去最高額となっているようである。


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# by nihonkokusai | 2017-10-17 09:48 | 日銀 | Comments(0)

衆議院選挙の行方次第で金融政策に影響は出るのか

 衆議院選挙は10月10日に公示され、22日に投開票が行われる。選挙の行方は不透明感を強めている。ただし、安倍首相は党首討論会で「(与党で)過半数を取れば首相指名を受ける候補として出る」と述べていた。自民党の衆院解散時勢力は287で、今回全議席465の単独過半数となるのは233議席となる。いまのところ自民党は単独でも過半数は維持するのではとの予想となっている。

 台風の目となりそうな希望の党については、当初の勢いは姿を消しつつあり、ある程度の議席は確保するにしても、政権を奪取するほどの勢いとはなりそうもない。安倍政権が維持される可能性が高いのではなかろうか。

 今回の衆院選挙次第では日銀の金融政策の行方にも影響が出る可能性があったが、安倍政権の続投となれば、2%の物価目標も維持され現在の政策が維持されることになろう。ただし、安倍政権もすでに軸足は金融政策によるデフレ脱却を主軸に打ち出していない。自民党の公約のなかの「アベノミクスの加速」は下記のようになっている。

 「わが国の経済は確実に回復している。この流れを確かなものにするため、「生産性革命」と「人づくり革命」の2つの大改革を断行することによって、力強い消費を実現し、経済の好循環を完遂する。」

 もちろん現在の金融政策は維持するという前提の上での上記の政策となろうが、少なくとも日銀の金融政策に期待する比重は、かなり後退してくるともいえるのではなかろうか。

 消費税については2019年10月に消費税率を10%に引き上げるとし、その際、「全世代型社会保障」への転換など「人づくり革命」を実現するため、消費税率10%への引き上げの財源の一部を活用するとしている。あくまで財源の一部であり、財政再建を後退させる事ではない面も強調している。

 その財政再建については、基礎的財政収支を黒字化するとの目標は堅持するとしている。同時に債務残高対国内総生産(GDP)比の安定的な引き下げも目指すとし、引き続き歳出・歳入両面からの改革を進め、目標達成に向けた具体的計画を策定するとしている。

 この財政再建の文章も残っている以上は、ひとまず国債への信認も維持されよう。アベノミクスについては、日銀の異次元緩和の効果等を含め、かなりいろいろと疑問は多いのも事実であり、必ず物価目標を達成しなければならないとの空気が変化してくる可能性もありうる。


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# by nihonkokusai | 2017-10-16 15:49 | アベノミクス | Comments(0)

世界的な株高の謎、日経平均も20年10か月ぶりの高値更新

 10月11日の東京株式市場で日経平均株価は前日比57円76銭高の20881円27銭で引けた。2015年6月に付けた第2次安倍政権の発足以降の高値を上回り、1996年12月5日以来、約20年10か月ぶりの高い水準となった(11日の日経新聞電子版より)。

 米国株式市場では、ここにきてダウ平均、ナスダック、S&P500の主要3指数が過去最高値を更新し続けていた。10月に入ってのロンドン株式市場でもFTSE100種総合株価指数は過去最高値を更新し、フランクフルト株式市場でドイツ株式指数(DAX)も過去最高値を更新している。

 日経平均株価の過去最高値は1989年の大納会(12月29日)に記録した38915円87銭となっている。ここからいわゆるバブルの崩壊によって日経平均は大きく崩れた。日経平均が約21年ぶりの水準に回復したとはいえ、欧米の株価指数が過去最高値を更新しているのに比べると日本の株価の上昇ピッチは緩やかなものとなっている。それだけバブル崩壊の後遺症が大きかったとも言えよう。

 日経平均のここ21年間の動きをみると、日経平均株価は2003年4月28日の7607円88銭がバブル崩壊後の安値となり、いったん底打ちした。2003年5月の、りそな銀行に対する資本注入によって、大手銀行は潰さないといった意識が強まり銀行株などが買われた。米国や中国などの経済成長などを背景に、日本の景気も徐々に回復し始め、その後上昇基調を強めたのである。

 中国など新興国経済の回復により、日経平均は2007年7月9日に18261円98銭まで上昇した。しかし、サブプライム問題に端を発した世界的な金融経済ショックが日本も襲い、さらにそれが沈静化したかしないかのタイミングでギリシャを発端とした欧州の信用不安が襲ってきた。このため、日経平均は2009年3月10日に7054円98銭まで下落し、バブル崩壊後の最安値を更新。その後も2012年末あたりまで低迷が続くことになる。

 米国のダウ平均の推移をみてみると2009年3月あたりからじりじりと上昇基調となっていた。この流れに日経平均が乗れなかったのは、バブルの後遺症だけでなく、世界的な金融経済リスクに対するリスク回避の動きで、急激な円高が進行していたことも影響していよう。しかし、その世界的な危機が後退しつつあったタイミングでアベノミクスが登場し、リフレ政策を受けたヘッジファンドなどの仕掛けも手伝い、円高の急激な調整が入り、日経平均も回復基調となった。

 その後、日本経済は緩やかながら回復基調が継続した。これには米国経済の回復、懸念された中国など新興国経済の落ち込みが大きくなかったことなども上げられよう。それでも欧米の株式市場が過去最高値を更新していることについては謎ともいえる。もしその背景に日米欧による非伝統的な金融政策、特に異常な規模の量的緩和策の影響があったとすれば、FRBの正常化も進みつつあり、ECBも緩和縮小に舵をとりつつあり、日銀も実質的なステルス・テーパリングを行っていることで、いずれピークを迎えることも予想されるのである。


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# by nihonkokusai | 2017-10-14 12:12 | 中央銀行 | Comments(0)

ロクイチ国債の暴落を知っているか

 10月の日本経済新聞の「私の履歴書」は、野村證券株式会社副社長や日本取引所グループの最高経営責任者(CEO)などに就任した斉藤惇氏が執筆している。10月12日の「私の履歴書」では下記のような記述があった。

 「78年から79年にかけて発行された表面利率6.1%の国債、いわゆるロクイチ国債が、79年から80年にかけて大暴落する局面にも立ち会った。そんな中でも野村はしぶとかった。」

 ロクイチ国債と聞いてピンとくるのは、当日の債券市場を知る一部の人に限られようが、日本国債の最初の暴落とも言える出来事であった。

 国債の流動化があまり進んでいなかったころに、国債は一度大きな暴落を経験している。それがロクイチ国債と呼ばれた国債の暴落である。1978年は当時とすれば低金利局面であり、4月にそれまで発行された10年国債の最低利率である利率6.1%(通称、ロクイチ国債)の国債が発行された。

 1979年4月以降は本格的な金利上昇局面となり、国債価格は大きく下落した。景気拡大や原油価格の上昇により、6月にロクイチ国債の利回りは9%を超えてきた。この国債の下落を受けて、12月には金融機関の保有国債の評価法が、従来の低下法から原価法または低価法の選択性となった。

 1980年に日銀は2月、3月と立て続けに公定歩合を引き上げ、長期金利も大きく上昇し、ロクイチ国債は暴落した。4月にロクイチ国債の利回りが12%台にまで上昇し、国債を保有している金融機関がパニック状況に陥ったのである。その後、米国金利の急激な低下などにより債券市況は急回復したが、ロクイチ国債の暴落は大蔵省(現財務省)の国債管理政策にも大きな影響を与えたとされる。

 斉藤惇氏によるロクイチ国債に関する記述は少なかったものの、最後の「そんな中でも野村はしぶとかった」との部分が非常に気になった。ロクイチ国債の暴落に当時の野村證券がどう立ち向かったのか。数少ない国債暴落時の経験だけに、できればその経験を将来に生かすためにも、そのときの状況を知りたいものである。


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# by nihonkokusai | 2017-10-13 09:38 | 債券市場 | Comments(0)

スペイン・カタルーニャ州の独立問題とは何か

 カタルーニャ州のプチデモン州首相は、10月1日に行われた住民投票の結果、カタルーニャがスペインから独立する権利を得たと強調した上で、スペイン政府との交渉を視野に今後数週間、独立を延期すると発表した(NHKニュースより)。

 カタルーニャ州の独立問題は欧州の新たな火種となっており、スペインの国債も一時大きく売られるなどしていた。

 スペインの北東部にあるカタルーニャ州は1979年にスペイン国家内で自治州の地位を得たが、歴史的にフランスと結びつきが強く独立志向が強い地域となっている。

 10月1日にカタルーニャ州において実施されたカタルーニャの分離独立の是非を問ういわゆる「州民投票」に際しては,独立支持派と治安関係者の間で小競り合いが発生し,州政府の発表によれば,800人以上の負傷者が発生した。カタルーニャ州政府は一方的な独立宣言を行う可能性があり、中央政府はこのような行為は違法であるとして認めていない。日本の外務省はサイトでカタルーニャ州に渡航・滞在される方は、安全に注意する必要があることを認識するよう呼びかけている(外務省のサイトより一部引用)。

 ちなみにカタルーニャ州の州都はバルセロナである。有名なサッカークラブであるFCバルセロナの愛称「バルサ」はカタルーニャ語読みから来ているそうである。

 それはさておき、プチデモン州首相は賛成多数で独立が承認されれば、「48時間以内に独立宣言を行う」と公約していた。10日夜からバルセロナにある州議会が開かれ、この中でプチデモン州首相は、住民投票では独立賛成が大多数を占めたと報告し、「住民投票の結果、カタルーニャは共和国として独立国家になる権利を得た」と述べて、スペインから独立する正当性を強調した。そのうえで「スペインとの問題を解決するには対話が必要だ」と述べ、住民投票は憲法違反だとしているスペイン政府との交渉も視野に今後数週間、独立を延期すると発表した(NHKニュースより一部引用)。

 10日の欧州市場はひとまずこのプチデモン州首相による独立延期の発表を好感した格好となった。プチデモン州首相とは政府との交渉の余地を探りたいとみられるが、スペイン政府がカタルーニャ州の自治権の停止も含めた強硬措置に乗り出す可能性もあるとされ、問題が深刻化する懸念もある。これがユーロシステムを揺るがすような事態に発展するのかは読みづらいが、今後の動きには注意すべきと思われる。


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# by nihonkokusai | 2017-10-12 09:33 | 国際情勢 | Comments(0)

国民の関心はさほど高くはない日銀の異常な緩和政策

 日銀は6日に「生活意識に関するアンケート調査」(第71回<2017年9月調査>)の結果を発表した。

 これによると「景況感」については「良くなった」との回答が第68回(2016年12月)が4.4、第69回(2017年3月)が6.2、第70回(2017年6月)が6.5、第71回(2017年9月)7.6となっており、「また悪くなった」との回答は同29.2、24.3、22.7、21.1と減少している。「景況感」については「変わらない」との解答が最も多いものの、着実に回復していることも確かである。景況判断の根拠としては「自分や家族の収入の状況から」との回答が最も多かったようで、雇用の回復とともに賃金が増加していることが伺える。

 物価に対する実感(1年後、現在対比)は、「かなり上がる」が同6.9、5.6、7.7、6.2となり、「少し上がる」が同57.8、61.4、67.7、64.2となり、「上がった」との回答が減少した格好となっている。

 消費者物価前年比上昇率2%の「物価安定目標」の認知度については、「知っている」との回答が同28.6、29.6、27.7、26.7となっていた。さらに日本銀行が「積極的な金融緩和を行っていること」に対する認知度については、「知っている」が同43.2、33.8、40.1、28.1となっていた。「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の認知度については、「知っている」が同24.4、20.6、23.3、16.5となり、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という「積極的な金融緩和」に戸惑いを見せているようにも見受けられる。

 足元景気が着実に回復していることをこのアンケート調査は示しているが、それが日銀による積極的な金融緩和によるものとの認識ではなさそうである。金融緩和の波及経路など考慮しても、日銀が積極的な金融緩和を行って物価の上昇期待が強まり、それが景況感を改善させている、といった流れになっているわけではないことをこの結果は示している。

 これだけ異次元の緩和を日銀が行っているにも関わらず、これについての国民の関心もさほど高くはない。「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」が債券市場にどのような影響を与えているのかといったこともほとんど知られていないであろう。少なくとも金融緩和は景気に良いとの漠然とした認識があり、このため今回の衆院選挙でも、この日銀の異次元緩和に異を唱える政党がほとんどみられず、むしろ現在の政策を維持することが重要との認識も強い。本来であれば米国がすでに行っているように異常な緩和を修正するタイミングにあるが、日銀はそれができない。この状態は決して健全な状態にあるとは思えないのだが。



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# by nihonkokusai | 2017-10-11 09:59 | 日銀 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
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