牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

<   2017年 11月 ( 25 )   > この月の画像一覧

英中銀が10年ぶりの利上げ、再利上げは慎重の構え

 英国の中央銀行であるイングランド銀行は11月2日の金融政策委員会(MPC)で、10年ぶりとなる利上げを決定した。7対2の賛成多数で政策金利を過去最低の0.25%から0.50%に引き上げることを決めた。カンリフ副総裁とラムスデン副総裁が、賃金の伸びは低く現時点で利上げを正当化できないとして利上げに反対し、据え置きを主張した。

 利上げは2007年7月以来、10年4か月ぶりとなる。ただし、金利と並ぶ政策の柱のもうひとつ量については、英国債の保有枠を4350億ポンドで据え置いた。

 カーニー総裁は、10年ぶりに利上げを決めた理由について、「利上げをしなければ、物価の上昇率を目標とする2%に保つのが難しい。経済が堅調なことから、利上げすべきタイミングだと判断した」と説明した。ただし、イギリス経済にとってEUからの離脱を決めたことによる影響は大きいとして、「今後の利上げのペースは緩やかで限定的にとどまる」と述べた(NHK)。

 そして会合後に発表した声明から、「前回声明に盛り込まれていた市場が見込んでいるよりも大幅な利上げが必要となる可能性がある」との文言が削除された。

 今後の利上げに関してカーニー総裁は、2020年末までに25ベーシスポイントの追加利上げを2回行うという投資家らの見方と同じと説明した。つまりFRBに比べてかなり慎重な利上げペースになることを示した。

 これを受けて2日のロンドン市場ではポンドが下落し、英国債は買い進まれた。英国債に関しては観測で売って、実際の利上げを決定したことで買い戻すような動きにも見えるが、再利上げは予想以上に慎重との見方も英国債の買い戻しやポンド売りを誘ったものと思われる。

 今回、いわゆる執行部である総裁と副総裁の票が割れたが、これはイングランド銀行では珍しいことではない。また、金利ではなく量についてはイングランド銀行はあらかじめ保有枠の拡大幅と期間を設けて一定期間に買入を行っていたことで、FRBのように毎月の購入額を決めて購入し続けるというパターンではないため、テーパリングの必要はない。今後、イングランド銀行が国債等の保有枠の削減を行ってくるのかは、はっきりしないが、こちらもかなり慎重に行ってくるであろうと予想される。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-11-07 09:54 | 中央銀行 | Comments(0)

日銀は物価見通しを何故間違えたのか

 10月30日に発表された経済・物価情勢の展望、いわゆる展望レポートによると、2017年度の物価見通しは前回7月時点の見通しの前年比プラス1.1%からプラス0.8%に下方修正された。

 この場合の物価とは、日銀の物価目標となっている消費者物価指数(除く生鮮食品)であり、数字は政策委員見通しの中央値である。今回の下方修正は9月の消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比がプラス0.7%に止まるなどしたことによる修正とみられる。

 2018年度については前年比プラス1.4%(7月時点でプラス1.5%)、2019年度については前年比プラス1.8%(7月時点でプラス1.8%)となっている(2018年度は消費税率引き上げの影響を除くケース)。展望レポートによると2%程度に達する時期は、2019年度頃になる可能性が高いとしている。

 それでは2年前の2015年10月に発表された展望レポートの予測を確認してみたい。2015年度の見通しがプラス0.1%、2016年度がプラス1.4%、2017年度がプラス1.8%となっていた。予測は大きく外れていると見ざるを得ない。2015年10月のレポートでの物価についての見通しでは下記のような説明があった。

 「2%程度に達する時期は、原油価格の動向によって左右されるが、同価格が現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、2016年度後半頃になると予想される。」

 参考までに2015年10月末の原油価格を代表する指標としてのWTI先物は46.22ドルであった。それが1年後の10月末に49.78ドル、今年10月30日現在は54ドル近辺となっており、大幅に上昇はしていないが緩やかには回復している。

 2015年10月現在の物価を巡る状況については、「原油価格下落の影響が剥落するに伴って、物価安定の目標である2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる」と物価予測を誤った要因として原油価格を挙げていた。

 たしかに原油価格は緩やかに上昇し、コアCPIは足元で前年比プラス0.7%にまで回復している。コアCPIに関しては原油価格の影響が大きいことは確かである。ところが、この原油価格の影響を除いた生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア)でみると今年9月は前年比プラス0.2%に止まっている。これをみても原油価格の押し下げだけが物価を抑制していたわけではないということになる。

 日銀の物価見通しは何故間違えたのか。本来、日銀は物価の予測を含めた調査機関としても日本有数の組織である。展望レポートの数字はあくまで政策委員の予測であるが、データ等の背景説明は受けているはずである。今の日銀には2%の物価目標達成というバイアスが掛かりすぎてしまっていることが、このような予測にも影響を与えているのではないかと思われる。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-11-06 09:41 | 日銀 | Comments(0)

日銀片岡審議委員の提案の意図は何か

 10月31日の日銀金融政策決定会合では、8対1の賛成多数によって現在の緩和策を次回会合まで継続することを決定した。今回反対票を投じたのは、7月に審議委員に就任したばかりの片岡剛士委員であった。

 片岡委員は、「オーバーシュート型コミットメントを強化する観点から、国内要因により「物価安定の目標」の達成時期が後ずれする場合には、追加緩和手段を講じることが適当であり、これを本文中に記述することが必要として反対した。」

 日銀はアベノミクスの主軸として大胆な緩和策を実施してきたが、物価目標の到達予想時期を後ずれさせてきた。31日の展望レポートでは「(物価目標の)2%程度に達する時期は、2019年度頃になる可能性が高い」としているが、これもかなり怪しいものとなっている。時期が進むに従ってさらに後ずれする可能性は非常に高い。

 これについて「国内要因により」物価安定の目標の達成時期が後ずれする場合には、追加緩和手段を講じる必要があると片岡委員は主張した。「国内要因」を除くとなれば、為替や原油価格などの要因を除いてということになろうか。そうなると消費者物価指数はほぼゼロ近傍が続いていることで、追加緩和策が今後も常に必要になるということになろう。

 そもそもこれまでの異次元緩和で何故、物価目標を達成できなかったのか。追加緩和で物価上がる保証はあるのか。どのような追加緩和ならどういう経路で物価が上がるのかといった説明も当然必要になる。

 今回、片岡委員は長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)についても反対票を投じている。これについては「イールドカーブにおけるより長期の金利を引き下げる観点から、15年物国債金利が 0.2%未満で推移するよう、長期国債の買入れを行うことが適当である」との説明があった。

 日銀が現在行っている金融緩和策は長短金利操作付き量的・質的緩和であり、操作目標は量から金利に戻している。片岡委員は政策目標の量への回帰といった修正ではなく、金利目標の修正を提案してきた。しかし、それが何故15年物国債金利で0.2%なのか。

 日本の債券市場での国債の売買は主にカレント物と呼ばれる直近発行された2年、5年、10年、20年、30年の国債に集中している。現在、15年の利付き国債の新発債は発行されていない。このため15年国債となると20年の国債が発行されて5年目の国債などということになるが、流通量は非常に少ないゾーンであり、その国債を日銀が買い入れるとなると大きく変動する可能性がある。というよりそもそも買入自体が難しい。もし15年の金利操作を10年債と20年債のカレントを使って行うのであれば、わざわざ15年にするのではなく20年の金利をターゲットにした方が良いのではなかろうか。

 そもそも、日銀が長短金利操作付き量的・質的緩和を決定した本当の理由は足元の金利はマイナスに置いても、長い期間の国債の利回りを引き上げてイールドカーブをスティープさせることであったはず。ここで長めの金利を引き下げたり、10年の目標金利をマイナスにしてしまうと再び日銀に対して金融機関の批判も高まることが予想される。だから15年金利を少しだけ引き下げるというのかもしれないが、それで物価目標を達成できるとも到底思えないのではあるが。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-11-05 11:46 | 日銀 | Comments(0)

FOMCは現状維持、12月の利上げを示唆、なぜ今回ではなく12月なのか

 11月1日に開催されたFOMCでは、投票メンバー9人の全員一致で政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標値を年1.00~1.25%のまま据え置いた。9月の前回会合では量的緩和で膨らんだ保有資産の縮小開始を決めた。次のステップは再利上げとなったが、そのタイミングは12月となるようである。

 今回の会合後に公表した声明文のなかでは「緩やかな利上げのもとで、経済の改善が続く」との見通しを示したことで、12月の次回会合での追加利上げを示唆した格好となった。足元経済がしっかりしているのであれば今回の会合で利上げを決定してもおかしくはない。

 今回の会合で利上げを見送ったのは保有資産の縮小による影響を見定めたいとの要因もあったのかもしれないが、ある程度のタイムスケジュールを意識したものとも言えなくもない。

 特に緩和策ではなく結果として引き締め策となる正常化は市場の動揺を抑え、できるだけ事前にそれを織り込ませる必要がある。これに対して緩和策は市場がそれを期待しているタイミングで行う方が効果が出る。ただし、この効果とは実態経済への直接効果というよりも市場の動揺を抑えることが主目的となる。

 利上げのタイミングを12月としているのは、12月のFOMCでは議長会見が予定されていることも影響している。正常化のステップの際の政策変更は、これまでも議長会見が予定されているFOMCで行われていた。政策変更について会合直後に市場に議長自ら説明することで、市場への理解を求めることも意識されているとみられる。

 米国大統領による次期FRB議長の指名は予想通りパウエルFRB理事となった。パウエル理事であれば、イエレン議長の路線を継承するとみられ、正常化に向けたステップも維持され、政策変更のタイミングも同じようなものになると予想される。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-11-03 09:17 | 中央銀行 | Comments(0)

日銀の異次元緩和は本当に必要であったのか

 総務省が10月27日に発表した9月の全国消費者物価指数は総合前年比プラス0.7%と8月と変わらず、生鮮食品を除く総合指数(コア)で前年比プラス0.7%とこちらも8月と変わらず。生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア)で前年比プラス0.2%とこちらも8月と変わらずとなった。

 コア指数は9か月連続で前年比プラスとなったものの、いまだ日銀の物価目標の2%に届く気配はない。生鮮食品及びエネルギーを除く総合がプラス0.2%程度に低迷していることからもわかるように、コア指数を引き上げているのは引き続きエネルギー価格の上昇によるものであり、ここに日銀の異次元緩和の影響が出ているわけではない。

 エネルギー関連では電気代、ガス代、灯油、ガソリンなどの上昇が影響を与えている。コア指数に関してはこのようにエネルギー価格の影響を受けやすいことがわかる。当然ながら、日銀が大量に国債やETFを購入すれば原油価格が上昇するわけではない。

 2012年12月の衆院選で出てきたアベノミクスは、急激な円安と株高のきっかけとなったことは確かであり、円安効果も加わりその後の消費者物価指数の上昇も招いた。しかし、それが円安や消費増税に伴う駆け込み需要による一過性のものであったことも確かであった。

 さらに日銀は異次元緩和によって円安を招いて物価を上昇させるとの見方について、総裁自身がそれは目的としていないと発言していた。ドル円の125円が黒田ラインと呼ばれているのも、それが影響している。

 大胆な緩和策が物価上昇を招いて、雇用など含めて景気も回復するというのが、そもそものアベノミクスの目的であったはずである。ところが物価はいつまでたっても目標には届かず、しかし雇用は回復し低成長ながらも景気も回復基調となっている。これは米国などの景気回復に助けられている面も当然ある。日銀の異次元緩和がなければ、ここまで日本の景気は回復しなかったとの意見もあるが、異次元緩和の効果のほどは物価を見る限りは疑わしい。果たして物価を上昇させられなかった日銀の異次元緩和は本当に必要であったのであろうか。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-11-02 09:35 | 日銀 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー