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米国、ドイツ、英国の長期金利動向に変化

 米国とドイツ、英国の10年国債の利回り、いわゆる長期金利の動きはかなり似通っている。格付け上位国であり、お互いの影響も受けやすい。これは日本の長期金利にも、ある程度はあてはまるが、こちらは日銀のイールドカーブコントロールに抑えられていることで、日本の長期金利は大変狭いレンジ内で似通った動きとなっている。

 しかし、ここにきて米国、ドイツ、英国の長期金利の動きに連動性がなくなりつつある。

 米国の長期金利は9月上旬に2%近辺まで低下していたが、ここからトレンドラインを形成し上昇基調となっている。市場では12月のFOMCでの年内3回目の利上げに不透明感をいだいていたが、FRB関係者の発言などから、利上げ観測が強まってきた。さらにFRB議長人事で、タカ派とされるテイラー氏の可能性が浮上したことでの米債安、つまり長期金利の上昇もあった。FRB議長人事はパウエル理事の昇進が有力視されているが、テイラー氏の副議長就任の可能性もある。いずれにしてもこれまでのFRBの政策が維持されるとみて良いと思われる。12月の利上げが意識されれば、2.6%あたりまでの長期金利の上昇があってもおかしくはない。

 これに対してドイツの長期金利は9月上旬の0.3%付近からいったん0.5%近くに上昇後は、0.35%あたりから0.50%のレンジ内での上げ下げとなり、ここにきて再び0.4%割れとなっている。ECBは26日の理事会で量的緩和政策の縮小を決めた。今回の決定は大規模な緩和政策のペースを緩めるものであり、正常化に向けた一歩との見方ができなくはないが、FRBなどに比べると極めて慎重姿勢となっている。このECBの慎重さがドイツの長期金利の戻りが抑えられている要因となり、米長期金利とはやや異なった動きとなっている。さらにスペインの政治情勢も意識されているとみられ、リスク回避によるドイツ国債への買いとの動きも絡んでいよう。

 そして英国の長期金利であるが、9月上旬の1%割れから米・独の長期金利と同じように上昇したものの、1.3%台でもみ合う格好となっている。ドイツの長期金利ほどの落ち込みはなく、高い水準で次のトレンドを探ろうとしている。11月2日のイングランド銀行のMPCでは10年ぶりの利上げが予想されているのが、この水準を維持している背景にあるとみられる。利上げが決定してもある程度は織り込み済みかもしれないが、問題はFRBのように正常化の歩みをここから始めるのかどうかである。つまりイングランド銀行はここから利上げを続けてくるのかどうか。それともECBのような慎重さを前面に出してくるのか。MPCの動向が英国の長期金利の動向を握っている。

 結論としては、ここにきて米国とドイツ、英国の長期金利の動きにやや違いが出ているのはそれぞれの中央銀行のスタンスの違いが反映されていると言える。


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by nihonkokusai | 2017-10-31 09:35 | 債券市場 | Comments(0)

衆院選挙の結果を受けて、日銀の金融政策は変わるのか

 10月22日に投開票が行われた衆議院選挙では、自民党が284議席を獲得し、自民・公明両党で313議席となり、与党で定数(465)の3分の2を超えた。当初は台風の目かとされた希望の党は失速し、新たに出てきた立憲民主党が勢いづくものの、結果としては野党同士での票の奪い合いのような結果となり、与党の圧勝となった。

 この衆院選挙の結果を受けて、日銀の金融政策にどのような影響が出るであろうか。そもそも今回の選挙では、アベノミクスの柱である日銀の異次元緩和の影響、それに絡む財政再建に向けた動きについては、ほとんど争点とはなってはいない。

 消費増税を行うとしたのが自民党であり、野党の多くは消費増税反対という立場をとった。その自民党も消費税率10%への引き上げの財源の一部を「生産性革命」と「人づくり革命」の2つの大改革に活用するとしており、基礎的財政収支を黒字化するとの目標は堅持するとしているものの、財政再建については二の次といった方針となっている。

 野党も今回の選挙で財政再建を柱とするような政策を打ち出す政党はなかった。現状は財政問題についてアラームとなるはずの国債は日銀による大量の買入とイールドカーブコントロールによって利回りが押さえつけられていることもあり、今回の選挙に向けた各党の動きをみても、財政規律にやや緩みが生じているようにも思われる。

 今後も安倍政権にとり、財政健全化は無視できないとしながらも、景気回復の持続を可能にするためにも財政出動に頼ることになることが予想される。その意味でも日銀には現状の政策を維持してもらう必要がある。

 日銀にとっては2%の物価目標が達成されていないことで、現状の長短金利操作付き質的・量的緩和を継続させる必要がある。ただし、巨額の国債買入を継続させるためには、ある程度買入額を調整する必要がある。すでに日銀は政策目標を量から金利に移すことで、量については縛られる必要がなくなり、買入の持続性も意識してのステルステーパリングを行っている。

 問題はこの異次元緩和の持続性であるが、物価目標達成がなかなか難しい状況にあり、いずれ長短金利操作付き量的・質的緩和の調整は必要となろう。しかし、そのタイミングも難しい。金融機関の収益悪化などからマイナス金利政策についても再び批判的な声が強まることも予想される。このあたりの調整は来年4月の黒田日銀総裁の任期満了のタイミングに絡んで行われることも予想される。


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by nihonkokusai | 2017-10-30 09:56 | 日銀 | Comments(0)

ECBは緩和ペースを緩める政策を決定

 ECBは26日の理事会で量的緩和政策の縮小を決めた。2017年12月末としていた国債などの資産購入の終了時期を2018年9月末まで延ばした上で、2018年1月以降の資産購入量を現在の月600億ユーロから月300億ユーロに減額する。

 今回の決定は大規模な緩和政策のペースを緩めるものであり、正常化に向けた一歩との見方ができなくはないが、FRBなどに比べると極めて慎重となっている。ドラギ総裁は今回の決定について、FRBが行ったようなテーパリングではなく、ダウンサイジングとしている。

 買入の終了時期を固定しないことには大多数が賛成したようで、必要に応じ来年9月末以降の延長も検討する考えを示した。経済環境次第では増額の可能性も残している。さらに資産買い取りが終了するまで政策金利を動かさないとも改めて表明しており、利上げというかマイナス金利政策の調整は、早くても2018年9月末以降になることになる。

 ユーロ圏の物価上昇率は目標の「2%近く」には届いておらず、あくまで緩和ペースをやや緩める程度の認識であることを市場参加者に認識させて、ユーロ高といった動きを牽制しようとの意図も垣間見える。実際に26日の外為市場では、ユーロがドルに対して売られ、約1年4か月ぶりの大きな下落を記録した。そして、ユーロ圏の国債もむしろ買い進まれていた。

 FRBはすでに正常化に向けてテーパリングを完了させ、利上げも行っている。イングランド銀行は資産買入の方法が日銀やイングランド銀行と異なるため、毎月の資産買入額を減額するといったテーパリングが必要なく、11月2日のMPCで10年ぶりに利上げを模索する。これに対してECBは大胆な緩和策のペースをやや緩めるだけで、緩和効果は残そうとしている。

 そして今年9月の全国消費者物価指数(除く生鮮食料品)が前年比プラス0.7%と、いまだ2%の物価目標に距離のある日銀も異次元緩和を継続させてはいるが、すでに調節目標を量かに金利に移したことで現実的にはテーパリングを行っている。しかし、これもECB同様にテーパリングとの認識ではなく、国債市場の状況に合わせた調節との立場を取っている。


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by nihonkokusai | 2017-10-28 13:03 | 中央銀行 | Comments(0)

イングランド銀行による利上げの可能性が高まる

 英国政府統計局(ONS)が25日発表した英国の7~9月の国内総生産(GDP)速報値は前期比0.4%増となり、市場予想を上回った。

 英国の中央銀行であるイングランド銀行は9月14日の金融政策委員会(MPC)で、政策金利を過去最低の0.25%で据え置くことを決めた。7対2の賛成多数での決定となり、マカファティー氏とソーンダース氏が前回会合に続き、0.25ポイントの利上げを主張した。この会合からホッグ委員の後任のラムズデン委員が加わり3月以降で初めて、フルメンバーとなる9人での採決となった。

 市場では9月のMPCで利上げ主張派がひとり増えて6対3とすることで将来の利上げの可能性を示唆するのではとの観測も出ていた。しかしそうはならなかった。そのような回りくどいやり方ではなく、同時に発表したMPCの議事要旨で「経済が継続的な緩みの縮小や基調インフレ圧力の段階的な上昇の見通しと一致する経路をたどるなら、今後数か月(over the coming months)での一定の金融刺激策縮小は適切となる可能性があると、過半数の委員は判断した」と年内の利上げの可能性を示唆していた。

 カーニー総裁もあらためて、向こう数か月で緩和縮小が必要になるかもしれないと自らも判断していると会見で発言しており、イングランド銀行は早ければ次回11月のMPCで利上げに踏み切る可能性を強く示唆した格好となった。

 次回のMPCは来週の11月2日に開催される。今回のGDP統計はイングランド銀行による11月のMPCで経済動向を確認するための最後の主要経済指標となる。それが市場予想を上回ったことにより、11月のMPCでの利上げ観測がさらに高まった。

 英政府統計局が10月17日に発表した9月の消費者物価指数は前年同月3.0%増となっており、2012年4月以来、約5年半ぶりに上昇率が3%台に乗せていた。これも利上げを後押しする材料となる。

 イングランド銀行のカンリフ副総裁は23日に11月のMPCで利上げを支持するかどうかについて、あらためて疑念を表明していた。このため、カンリフ副総裁が利上げに反対票を投じる可能性がある。日銀の金融政策決定会合では執行部と呼ばれる総裁と2人の副総裁の票が割れることは皆無ではないが、通常は考えづらい。これに対してイングランド銀行は総裁自身が少数派に回ることがあるなど、個人の意見が重視される。このため副総裁が反対したとしてもそれが多数派になるとは限らない。

 市場では11月2日のMPCで0.25ポイントの利上げを約80%程度織り込んでいるとされる。もし利上げが決定されるとなれば、10年ぶりとなる。



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by nihonkokusai | 2017-10-27 09:52 | Comments(0)

FRB議長選出に向けたトランプ大統領のパフォーマンス

 米国のトランプ大統領は24日、上院共和党の昼食会に出席し、次期FRB議長候補を巡り、上院議員に挙手投票を求めたと複数の議員が明らかにしたそうである。スコット議員は、トランプ大統領から「勝者の発表はなかったが、私はテイラー氏が勝利したと考えている」と述べた(ブルームバーグ)。

 これを受けて米債はさらに売り込まれ、ドルは買われたようだが、こういったやり方はあまり好ましいと思えない。ラウンズ議員は大半の議員が挙手しなかったため誰が有望か判断は難しいと語ったそうだが、それは当然であろう。いくら議会の承認かせ必要といえど、FRB議長の指名も議会が行うのであれば挙手する必要があろうが、今回については大統領のパフォーマンスとしか思えない。ただし、FRB議長の承認は議会が行うことで、ニュアンスを探ろうとしたのかもしれないが。

 コーカー議員も手を挙げなかったそうで、その理由として「FRB議長を選ぶ極めて優れた方法だとは思わないため、私は参加を断った」と話した。もしもトランプ大統領がいまだFRB議長を決めきれず、承認に必要となる共和党議員の反応を聞きたかったのであれば、このような妙な手段ではなく、共和党の有力者に直接ヒアリングすべきであろう。

 まもなく大統領による次期FRB議長の指名が行われると思われる。今回の昼食会でのアトラクションは、共和党議員がイエレン議長の再任は望んでいないことを確認したかったのであったとしても、これに対し米国で大統領に次いで影響力のあるといわれるFRB議長の指名人事を控えて、大きな権限を持っている大統領がすべき行為ではないのではなかろうか。もしかするとそれだけ大統領も悩んでいるということなのかもしれないが。

 ちなみに来年4月に黒田日銀総裁は任期を迎える。こちらの指名人事は最終的には首相官邸が握っている。もちろん議会での承認が必要ではあるが、いまの日本では与党が過半数を握っており、さらに官邸が出した人事案を反対する与党議員はいないと思われる。もし安倍首相が与党議員に誰が適任かと昼食を取りながら挙手投票を求めても、与党議員はただ困惑するだけとなるのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2017-10-26 09:55 | 中央銀行 | Comments(0)

個人向け国債の販売が好調持続の理由

 財務省のサイトには個人向け国債のページがあり、その中に「個人向け国債の発行額の推移」をクリックすると発行額のデータがエクセルファイルで確認することができる。

 個人向け国債は今年3月の発行額が9315億円となり、ここがいったんピークとなり、4月の発行額は2030億円に落ち込んでいたが、これには販売する金融機関側の事情もあった。

 個人向け国債は証券会社やゆうちょ銀行を含む銀行などが販売している。その際に販売額に応じて、財務省は金融機関に募集発行事務取扱手数料を支払っている。それが2017年4月発行分(3月募集分)から下記のように引き下げられた。このため金融機関は、個人向け国債が人気化しているタイミングで、しかも手数料が高いうちに積極的に大量に販売しようと、現金を贈呈するといったキャンペーンを強化したものとみられる(キャンペーンの原資は下記手数料となる)。

固定3年額面100円あたり40銭が20銭に

固定5年額面100円あたり50銭が30銭に

変動10年額面100円あたり50銭が40銭に

 2016年度の個人向け国債の発行予定額は3種類合計で4兆5556億円となり、2015年の2兆1367億円から倍増し、2007年度の4兆6617億円以来、9年ぶりの高い水準となっていた。

 2008年度以降、低迷し続けていた個人向け国債の発行額が何故、2016年度は大きく増加したのか。個人向け国債の発行額が低迷していた最大の理由が利率の低さにあった。利率の低い状態は2016年度も続いたが、日銀が2016年1月にマイナス金利政策を導入したあたりから状況が変わってきた。

 さすがに預貯金金利はマイナスになることはなかったものの、0.01%程度に低下したままとなっていた。周りの金利が下がったことで、個人向け国債の最低保証金利の0.05%が相対的に魅力的なものとなったのである。これが個人向け国債発行額増加の最大の理由となろう。

 今年の4月以降も日銀による長短金利操作付き量的・質的緩和策は継続しており、預金金利は低位のまま推移している。今年の4月の個人向け国債の販売額は3月の反動もあり、大きく減少し、5月も1895億円と減少していたが、ボーナス月となる6月募集の7月発行分は3256億円と3000億円台を回復していた。

 日銀による長短金利付き量的・質的緩和政策を受け、特に10年変動タイプに影響する10年債利回りは当面、ゼロ%近辺に押さえ込まれることになる。預貯金金利も0.01%近辺のまま推移するとなれば、個人向け国債の最低保障利回りの0.05%の見直し等がない限りは、相対的な優位さは継続する。このため金融機関の販売に対するインセンティブは手数料の引き下げで多少後退しても、個人投資家によるニーズの強さに変化はないとみられる。

 今回の衆院選挙の与党圧勝により、日銀の異次元緩和はさらに継続される見込みとなっている。低金利が継続され、個人向け国債の最低保障利回りの0.05%の見直し等がない限りは、個人向け国債の人気は継続するとみられる。来年度の国債発行計画のなかでも、個人向け販売分は今年度計画の3兆円程度になると予想される。


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by nihonkokusai | 2017-10-25 09:50 | 国債 | Comments(0)

個人向け国債の販売が好調持続の理由

 財務省のサイトには個人向け国債のページがあり、その中に「個人向け国債の発行額の推移」をクリックすると発行額のデータがエクセルファイルで確認することができる。

 個人向け国債は今年3月の発行額が9315億円となり、ここがいったんピークとなり、4月の発行額は2030億円に落ち込んでいたが、これには販売する金融機関側の事情もあった。

 個人向け国債は証券会社やゆうちょ銀行を含む銀行などが販売している。その際に販売額に応じて、財務省は金融機関に募集発行事務取扱手数料を支払っている。それが2017年4月発行分(3月募集分)から下記のように引き下げられた。このため金融機関は、個人向け国債が人気化しているタイミングで、しかも手数料が高いうちに積極的に大量に販売しようと、現金を贈呈するといったキャンペーンを強化したものとみられる(キャンペーンの原資は下記手数料となる)。

固定3年額面100円あたり40銭が20銭に

固定5年額面100円あたり50銭が30銭に

変動10年額面100円あたり50銭が40銭に

 2016年度の個人向け国債の発行予定額は3種類合計で4兆5556億円となり、2015年の2兆1367億円から倍増し、2007年度の4兆6617億円以来、9年ぶりの高い水準となっていた。

 2008年度以降、低迷し続けていた個人向け国債の発行額が何故、2016年度は大きく増加したのか。個人向け国債の発行額が低迷していた最大の理由が利率の低さにあった。利率の低い状態は2016年度も続いたが、日銀が2016年1月にマイナス金利政策を導入したあたりから状況が変わってきた。

 さすがに預貯金金利はマイナスになることはなかったものの、0.01%程度に低下したままとなっていた。周りの金利が下がったことで、個人向け国債の最低保証金利の0.05%が相対的に魅力的なものとなったのである。これが個人向け国債発行額増加の最大の理由となろう。

 今年の4月以降も日銀による長短金利操作付き量的・質的緩和策は継続しており、預金金利は低位のまま推移している。今年の4月の個人向け国債の販売額は3月の反動もあり、大きく減少し、5月も1895億円と減少していたが、ボーナス月となる6月募集の7月発行分は3256億円と3000億円台を回復していた。

 日銀による長短金利付き量的・質的緩和政策を受け、特に10年変動タイプに影響する10年債利回りは当面、ゼロ%近辺に押さえ込まれることになる。預貯金金利も0.01%近辺のまま推移するとなれば、個人向け国債の最低保障利回りの0.05%の見直し等がない限りは、相対的な優位さは継続する。このため金融機関の販売に対するインセンティブは手数料の引き下げで多少後退しても、個人投資家によるニーズの強さに変化はないとみられる。

 今回の衆院選挙の与党圧勝により、日銀の異次元緩和はさらに継続される見込みとなっている。低金利が継続され、個人向け国債の最低保障利回りの0.05%の見直し等がない限りは、個人向け国債の人気は継続するとみられる。来年度の国債発行計画のなかでも、個人向け販売分は今年度計画の3兆円程度になると予想される。


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by nihonkokusai | 2017-10-25 09:50 | 国債 | Comments(0)

中国による米国債への買い越し続く

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、8月の国別の米国債保有高のトップは中国が3か月連続のトップとなった。さらに中国の米国債の買い越しは7か月連続となった。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」 http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 8月の中国(China、Mainland)の米国債保有高は1兆2005億ドルとなった。2位は日本で1兆1017億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)

中国(China, Mainland)  1200.5

日本(Japan)  1101.7

アイルランド(Ireland)  307.2

ブラジル(Brazil)  273.6

ケイマン諸島(Cayman Islands ) 260.0

スイス(Switzerland)  248.3

英国(United Kingdom) 225.4

ルクセンブルグ(Luxembourg )213.4

香港(Hong Kong)  197.3

台湾(Taiwan) 180.4

 ベスト10の顔ぶれは前回と同じで順位にも変化はなかった。日本は昨年10月に中国を抜いて米国債保有額でトップとなっていたが、今年6月に再び中国に抜かれ、8月も2位のままとなった。中国は7月から345億ドル増加させたが、日本は114億ドル減少させていた。

 中国の外貨準備高は7か連続で増加し、7月には3兆ドルを突破し、8月末の外貨準備高は3兆915億ドルとなっていた。7月から108億ドル増え、7か月連続で増加した。これも中国による米国債買入の原資のひとつとなっていることは確かである。為替介入(ドル売り元買い)が減少してきたことも影響しているようである。

 米10年債利回りの推移をみると8月ほぼ一環して低下傾向となり(価格は上昇)、9月8日頃に2%近くまで低下していた。8月の利回り低下は中国による買いも影響していたとみられるが、日本は利回りが低下する過程で利益確定売りを入れていたようである。


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by nihonkokusai | 2017-10-24 09:35 | 国債 | Comments(0)

ビットコインと円との大きな違い

 円は日本の法定通貨である。国は法定通貨を定めることで、その通貨を「決済手段として使う権利」が定められる。通常、国はひとつの法定通貨を有している。法定通貨が持つ、この「決済手段として使う権利」は「強制通用力」と呼ばれる。日銀券を用いて支払いを行った場合には、相手がその受取りを拒絶することができないという「法貨としての強制通用力」を持っている。

 現在、日本で使うことのできるお札は22種類ある。この「使うことができる」ということを「強制通用力がある」と言い、日銀券は日銀法で法貨として無制限に通用すると定められている。ただし、補助貨幣などの貨幣には一定の制限があり、硬貨の場合は「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第7条」により、同じ硬貨は20枚まで強制通用力を有していると定められている。

 強制通用力を認められた貨幣による決済は、額面で表示された価値の限度で最終的な決済と認められ、受け取る相手側はこれを拒否できない。つまり、日本国内で円を使う場合に、日銀券は制限なく使用できる。反対に強制通用力の無いものでは、決済を拒否できることになる。

 日本における通貨の「円」とビットコインなどの仮想通貨などとの大きな違いは、この通貨の強制通用力の有無ということになろう。さらに法定通貨と強制通用力で守られた「通貨」は交換力が保証される。つまり流動性が保証される。これに対して仮想通貨はこういった交換力の保証がない。

 法律で守られていないビットコインと法定通貨である円が、もし同じような利用価値を有することになるとなれば、日本の国民が法律を遵守することがなくなり、法律というかそれを制定する国への信用度が極度に低下する場合となろう。

 いまの日本では日銀が国債を異常な規模で購入していようが、いまのところ国や国債、そして円に対する信認は非常に強い。日本国債の利回りが低位で推移し続けているのも国への信認が背後にあり、それは国の法律に守られた円に対する信認が強いことも示している。

 また、日本国内での商取引が極めて閉鎖的であることで、円の使い勝手が良いことなどがあり、国際的に流動性の高いドルなど他の通貨がそれほど流通していない要因となっている。日本の物価が安定していることで、円の価格変動リスクが極めて少ないことも大きく影響していよう。

 これに対してビットコインなどは極めて価格変動リスクが大きいこともあり、投機的な利用はさておき、通貨として利用が日本国内で拡がることは現状は考えづらいのである。


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by nihonkokusai | 2017-10-22 10:55 | 金融 | Comments(0)

9月の債券、海外投資家は押し目買い

 20日に発表された9月の公社債投資家別売買高によると、都銀は1兆1532億円の売り越しとなり、それに対して海外投資家は2兆4042億円の買い越しとなっていた。海外投資家は6月、7月と買い越し額は1兆円を割り込んでいたが、8月は3兆円近くの買い越しとなっており、9月はそれよりは買い越し額は縮小していたとはいえ、存在感を示した格好となった。

 8月の都銀は小幅買い越しとなっていたが、9月は1兆円を越す売り越しとなり、同時に発表された国債の投資家別売買高をみると中期ゾーンを9050億円、 超長期ゾーンを2357億円売り越していた。これに対して海外投資家は中期ゾーンを1兆8317億円、長期ゾーンを4557億円買い越していた。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 11532(2357、816、9050)

地方銀行 -35(674、-231、850)

信託銀行 -4208(-2913、1061、-1079)

農林系金融機関 -2722(-2512、284、20)

第二地銀協加盟行 312(364、-114、0)

信用金庫 -1643(-562、306、40)

その他金融機関 -1366(-259、-218、60)

生保・損保 -4227(-3647、41、14)

投資信託 -477(151、306、-430)

官公庁共済組合 -262(-212、2、0)

事業法人 -473(-57、1、0)

その他法人 -925(-188、-39、90)

外国人 -24042(-967、-4557、-18317)

個人 241(-34、26、4)

その他 18967(7153、-5340、21058)

債券ディーラー 415(-5、931、-460)

 9月の全体の国債売買高は201兆円程度となり、6月の212兆円以来の200兆円台を回復した。中期ゾーンの売買高は7月に35兆円程度と一時的に落ち込んでいたが、8月、9月と50兆円台を回復させている。

 9月の債券相場は米債が年内利上げ観測の強まりなどから下落トレンドとなり、円債も同様に下落した。この間に都銀などは利益確定売りを急いだようだが、海外投資家はしっかり押し目買いを入れていたようである。


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by nihonkokusai | 2017-10-21 13:22 | 債券市場 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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