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解散総選挙により日本の国債市場も動揺か

 9月27日の日本の債券市場では、久しぶりに先物が大きく下落し22銭安の150円58銭で引けた。債券先物の20銭程度の下落は過去の動きからは普通に見えるが、ここにきてはそこそこ値幅が大きいものとなっていた。

 この日本の債券先物の下落に誘発されたかのように、米国債やドイツの国債が日本時間の27日の午後から売られていた。円債の売りはこの米債安の影響を受けたかにもみえなくもない。

トランプ大統領は連邦法人税率を35%から20%に下げる税制改革案を正式に発表したことで景気刺激策として捉えられるとともに、財源としては国債発行で補うのではないかとの観測も手伝い、 27日の米国市場で米国債は大きく下落した。

 27日の日本時間の午後、すでにこの動きが察知されて米債が売られたのかは定かではないが(国内投資家脳裏とも)、その後の米国市場で一段安となったのは、税制改革案による影響であったと思われる。

 米10年債利回りは2.3%台に乗せてきた。これは税制改革案だけでなく、12月のFOMCでの利上げ観測の強まりも当然ながら背景にある。このまま米10年債利回りが2.4%台に上昇してくるとなれば、大きな節目となっている2.6%を伺う可能性もある。

 これには米国の税制改革だけでなく、足元物価の状況次第の面がある。FRBのイエレン議長がミステリーとしていた物価が原油価格の上昇なども背景に回復してくるとなれば、米長期金利を押し上げる要因ともなりうる。むろん、物価が「謎」のままであれば戻りが抑えられる可能性はある。

 円債がこの米債の影響を受けやすいことは確かであるが、27日の日本の債券先物の相場の崩れ方は海外発というよりも国内要因によるものではなかろうか。

 その背景として考えられるのが解散総選挙となる。希望の党の出現、そこに民進党が解党して加わるなど予想外の出来事が、日本の政治の変化を意識させてきているのではなかろうか。

 これまでも海外では予想できなかった米国でのトランプ政権の誕生があり、フランスではマクロン旋風が吹き荒れ、英国ではまさかの総選挙の過半数割れといったことが起きている。同様のことで日本で起きてもおかしくはない。

 日本で政権交代が起きるのかどうかはさておき、安倍一強と呼ばれた状況が変化する可能性が出てきた。これは日銀の金融政策などにも影響を与えかねない。現在の異次元緩和策が修正されるようなことになると国債市場そのものが再び動き出すこともありうる。27日の債券先物の動きはそれほど大きなものではなかったが、何かの予兆めいた動きのようにも思えたのである。

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by nihonkokusai | 2017-09-29 10:05 | 債券市場 | Comments(0)

イエレン議長はあらためて年内利上げを示唆

 FRBのイエレン議長は26日の全米企業エコノミスト協会での講演で、「インフレ率が目標の2%に戻るまで金融政策を据え置くのは賢明ではない」と述べ、緩やかな利上げが現在のところ最も適切な政策スタンスだとの認識を示した上で、「ゆっくりし過ぎないよう注意するべきだ」と述べた(ブルームバーグ)。

 20日のFOMCでは政策金利であるフェデラルファンド金利の誘導目標を年1.00~1.25%のまま据え置いた。そして、2008年~14年に購入した米国債などの保有量を10月から段階的に減らすことを決定した。そして、 FOMC後に公表した政策金利見通し(ドットチャート)では、参加者16人のうち11人が年末までに追加利上げを予測していることを明らかにした。

 この日の会見でイエレン議長は物価動向について、今後数年で2%の近辺に回復し、安定するという見通しを変えなかった。物価の2%割れは多分にミステリーだとも表現していた。

 26日の講演後の質疑応答でも今年の物価停滞について「謎」と述べていたようであるが(日経新聞電子版)、基本姿勢としては緩やかながらも、ゆっくりしすぎない利上げを意識しているようである。

 これはつまり足元の物価データなどからFRBが予想している今年の年3回目の利上げは困難、との見方を修正させようとの意図があるようである。余程の事態が発生しない限り、FRBのシナリオは12月のFOMCでの利上げ決定とみて良いよう思われる。

 余程の事態としては北朝鮮リスクなども挙げられよう。こちらはすでに話し合いの余地もなくなりつつあり、何かしらのきっかけで軍事衝突を招く懸念がないわけではない。しかし、今のところは軍事衝突に進展する可能性は薄いとの見方も強い。

 物価に対しては原油価格の動向も当然影響を与える。ここにきてWTIは50ドルの大台を回復するなどしており、少なくとも物価を抑制する要因とはなくなりつつある。今後、物価については上昇圧力を強めることも予想され、これは米国のみならず日本も同様であるかもしれない。


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by nihonkokusai | 2017-09-28 15:51 | 中央銀行 | Comments(0)

壊されたJGBアラート、財政規律を無視するな

 9月22日に財務省で国債市場特別参加者会合が開催された。国債市場特別参加者とは、いわゆるプライマリー・ディーラーであり、まさに国債市場の専門家集団ともいえる。今回はこの会合の議事要旨から、「最近の国債市場の状況と今後の見通しについて」との意見のなかから特に財政規律に関する発言をピックアップしてみた。

 「(国債の)価格発見機能については、財政拡大という話が出た際に、本来、利回りが上がって、そういった動きをけん制する機能があったところ、現在のマーケットの中には見られない。こうした状況が長期化するに従って、本来あるべき価格との乖離が大きくなっていく。こうした事態をこのまま見過ごしていいのかという懸念は絶えず持っている。」

 「足元、政府が本来よりもはるかに安い金利でファンディングできる環境にあり、この間に財政健全化を進めること、金融政策の正常化が進められた場合に十分に対応できるよう市場環境を整備すること、年限毎の国債発行残高の構成を検討すること等の政策を是非積極的に実施してほしい。」

 「昨日に中国の国債の格付が引き下げられたが、将来的に日本国債の大幅な格下げがあると、金融機関の外貨ビジネスの活路が断たれてしまう。財政健全化に向けた動きは緩めるべきではない。」

 「市場の発信機能の低下が挙げられる。本来、財政規律、景気の好不調、今後の経済見通し等に対して、市場は様々なサインを発信するが、ボラティリティが低下していることによって、市場の発信機能が低下している。金融当局及び発行当局は、市場からのサインを見て政策判断を行っていくことが望ましいが、発信機能が低下していくことによって、結果として政策判断を間違えるリスクが高まっている。」

 安倍首相は25日の午後6時から記者会見を開き、28日召集の臨時国会の冒頭で衆院を解散する考えを表明した。消費税の増収分の使途変更を表明した上で、2兆円規模の新たな経済対策を年内に策定する意向を示した。

 アベノミクスと呼ばれたリフレ政策は国債そのものが道具にされた。日銀が国債を大量に買い入れることで物価上昇を狙ったが、そんな簡単に物価が上がるものではなく、国債市場の機能不全と実態経済に即しない長期金利の押さえ込まれた状態が続いている。

 このような状況は非常時に行うべきものであるはずなのにも関わらず、日本の景気は「いざなぎ」を超えた可能性が高いそうである。これが日銀の異次元感のおかげと判断するのは勝手だが、それならそれで結果が出ているのであれば日銀の異次元緩和を緩めても良いのではなかろうか。

 今回の選挙はそんな歪んだ状況を修正してくれる選挙になるのではとの期待があった。しかし、台風の目となりそうな希望の党も景気が実感を伴って回復するまでの消費増税の凍結を打ち出している。そうなると現在の日銀の異次元緩和ありきの政策が想定される。これがどのようなリスクを含んでいるのかは、上記の国債市場参加者の発言をみればわかろう。財政リスクはないのではなく、力尽くで見せなくしているだけである。国債の価格発見機能も日銀によって押さえ込まれている。

 発信機能が低下していくことによって、結果として政策判断を間違えるリスクが高まっている、との指摘があったが、今回の選挙でも政策判断を間違える可能性は十分にありうる。この前提にあるのが国債市場がおとなしくしてくれていれば、ということになろう。そうしたいのであれば、まずは財政規律を維持することを重視すべきで、それを最も重視しているのが、リフレ政策を採用していた安倍首相という皮肉な状態となっている。


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by nihonkokusai | 2017-09-27 09:51 | 国債 | Comments(0)

8月の国債売買高は回復

 9月20日に発表された8月の公社債投資家別売買高によると海外投資家が3兆円近くの買い越しとなり、都銀、生保、投資信託なども小幅買い越しとなっていた。ただし、都銀の買い越しは675億円に止まった。同時に発表された国債の投資家別売買高をみると中期と超長期は買い越しとなっていたが、長期ゾーンは売り越しとなっていた。

 海外投資家の買い越し額は7月が7394億円、6月が7993億円と1兆円を割り込んでいたが、8月は大きく切り返した格好となった。中期を2兆円近く買い越し、長期も1兆円近い買い越しとなっていた。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -675(-3879、7699、-6037)

地方銀行 7127(586、4949、-59)

信託銀行 1974(-712、16、1739)

農林系金融機関 207(-142、205、-39)

第二地銀協加盟行 1832(599、1216、10)

信用金庫 6091(2187、3109、0)

その他金融機関 1230(453、383、471)

生保・損保 -1193(-1196、435、-11)

投資信託 -588(-407、322、-100)

官公庁共済組合 107(55、74、73)

事業法人 -867(27、84、10)

その他法人 -382(139、-53、4)

外国人 -29837(-546、-9377、-19211)

個人 207(0、23、4)

その他 28159(5697、9978、15495)

債券ディーラー -740(-110、-243、-292)

 7月の全体の国債の売買高は174兆円程度と6月の212兆円程度から落ち込んでいたが、8月は195兆円となり、売買高は6月の水準には及ばなかったが増加した。

 7月は中期ゾーンの売買高が大きく落ち込んでいたが、こちらも回復し、7月の35兆円程度から8月は51兆円程度に回復した。7月の中期ゾーンの売買高を大きく減らしていたディーラーも中期ゾーンの売買高は7月の21兆円程度から33兆円程度に回復させた。ちなみに7月の債券ディーラーによる中期ゾーンの売買高も2004年4月以降、最低水準となっていた。

 7月に証券会社などの債券ディーリングでは、顧客向けのポジションを保有してのディーリングなどを極力縮小させ、日銀の買入に向けた国債入札の応札に止めていたのではないかとみられる。しかし、8月の数字を見る限り、これは一時的な現象とも思える。ただし、8月は米債が買われていたことなどから、円債も買い進まれ相場環境が良かったことも売買高の回復に繋がっていた。9月に入り、長期金利は再び上昇しつつあり、環境が変わってきていることで、売買高を維持できているのかも注意したい。


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by nihonkokusai | 2017-09-26 10:03 | 債券市場 | Comments(0)

日銀は日本国債の4割を保有

 日銀は9月21日に資金循環統計(4~6月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は6月末時点で約1832兆円となり、株価の上昇傾向などを背景に過去最高を更新した。3月末時点では約1808兆円となっていた(改定値)。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が「前年比」で2.6%増の約945兆円となった。株式等が同22.5%増の約191兆円、投資信託も15.6%増の約100兆円となっていた。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

 残高トップの日銀の国債保有残高は401兆8899億円、41.3%のシェアとなった。前期比(速報値)からは15兆1143億円の増加。残高2位の保険・年金基金は233兆2975億円(24.0%)、6999億円減。残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で182兆1565億円(18.7%)、7兆8609億円減。4位が海外投資家で57兆3831億円(5.9%)、8147億円増。5位が公的年金の46兆8594億円(4.8%)、2兆1544億円減。6位が家計の12兆2544億円(1.3%)、2719億円減。その他が39兆586億円(4.0%)、3096億円増となっていた。

 2017年3月末に比べ国債(短期債除く)の残高は5兆2515億円増加し、972兆8994億円となった。

 3月末に比べて大きく増加したのは、国債を買い入れている日銀でシェアは4割を上回っている。今回も前期比で増加したのは「海外」と「その他」となっていた。

 3月末に比べて大きく減少したのは国内銀行で3兆7886億円の減少となっていた。また、中小企業金融機関等(ゆうちょ銀行含む)も減少させており、3兆5881億円の減少となった。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1085兆円となり、日銀が約437兆円で40.3%のシェアとなっていた。短期債を含めたもので40%を超えたのははじめてとなった。そして海外勢の残高は約117兆円と短期債を含めると国債全体の10.8%のシェアとなっていた。海外については、世界最大の政府系ファンドが日本国債の保有額を削減するとしており、今後保有シェアが後退する可能性がある。


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by nihonkokusai | 2017-09-23 15:22 | 国債 | Comments(0)

FRBは2008年の金融危機後の量的緩和政策を完全に終結

 9月19、20日に開催されたFOMCでは、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は年1.00~1.25%のまま据え置いた(全員一致)。そして、2008年~14年に購入した米国債などの保有量を10月から段階的に減らすことを決定した。2008年の金融危機後の量的緩和政策を完全に終結し、大幅に膨らんだ保有資産の縮小を始める(日経新聞)。

 2008年から14年10月までのQEと市場で呼ばれた量的緩和で、FRBは米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を大量に買い入れたことで、保有する資産量が9千億ドルから4.5兆ドルまで膨らんだ。10月以降は満期を迎えた債券や証券への再投資を取りやめる格好で資産圧縮に着手する。保有する米国債やMBSを10月から3か月の縮小幅は米国債が月60億ドル、MBSなどは40億ドル削減する。削減額の上限は段階的に増やし、いずれは月500億ドルまで引き上げる。

 FOMC後に公表した政策金利見通し(ドットチャート)では、参加者16人のうち11人が年末までに追加利上げを予測していることを明らかにした。利上げ回数の見通しは2018年が3回、2019年が2回、2020年は1回となった。長期の中立金利予測は前回の3%から2.75%に引き下げられた。

 10月からの資産縮小開始は事前にかなりアナウンスされていたことで予想通り。ただし、年内3回目の利上げについては市場参加者の間でも見方が分かれていたこともあり、20日の米国市場はこの利上げを織り込むような動きとなった。ただし、米10年債利回りの上昇はそれほど大きくはなく2.3%台には乗せてこなかった。

 FOMC後の会見でイエレン議長は、物価動向には「今後数年で2%の近辺に回復し、安定する」という見通しを変えなかった。しかし、数年前までの物価停滞は、労働市場のたるみやエネルギー価格の低迷といった「非常に納得できる理由があった」のに対し、「今年はこうした要素がなく、物価の2%割れは多分にミステリーだ」と発言していた。

 ドットチャートやイエレン議長の発言からは、12月のFOMCでの今年3回目の利上げの可能性は高いと見ざるを得ない。金融市場も落ち着いており、利上げ観測の再燃や資産圧縮に対する警戒感はそれほど強くはないことで、これもFRBの正常化をやりやすくさせよう。


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by nihonkokusai | 2017-09-22 09:33 | 中央銀行 | Comments(0)

世界最大の政府系ファンドが日本国債の保有額を削減か

 世界最大の政府系ファンド(SWF)であるノルウェー政府年金基金は債券投資を縮小したうえで、運用通貨を絞り込む方針を打ち出した。日本国債をはじめ流動性の低い債券は投資対象から外れる可能性が高い(9月20日の日経新聞より)。

 8兆クローネ(約112兆円)のSWF資産を運用する同基金は今月初旬、運用方針の大幅な見直しを財務省に提案した。資産の約三分の一を投資する債券運用で、通貨をドル、ユーロ、ポンドの3通貨に限定するようである。日本国債には債券運用の6%強にあたる1690億クローネ(約2兆3700億円)を投資してきたが、保有比率を引き下げる方針のようである。

 日銀が年間発行相当額の規模で日本国債を買い入れている状況が続いているなか、2兆円程度の国債が仮に売却されても問題はないとの見方もできなくはない。

 しかし、今回のノルウェー政府年金基金などの政府系ファンド(SWF)の動きは、ほかの運用者にも影響を与えかねない。海外投資家による日本国債投資はここにきてやや減少しつつあるが、それに拍車を掛ける可能性がある。そうなると日本国債の流動性がさらに低下してくる懸念もありうる。

 日銀は長短金利操作付き量的・質的緩和政策により、大量の国債買いとそれを使っての長期金利のコントロールを行っているが、それは国債市場の流動性を大きく低下させている。日本の債券市場の規模は米国に次ぐ世界第2位ではあるが、この流動性の低下によって海外の大手運用会社の運用に値しないとなれば、さらに流動性を低下させ、その魅力を低下させかねない。また、日銀による大量の国債買入で金利そのものが低すぎてパフォーマンスを上げられなくなっていることも撤退要因となっていよう。

 こういった動きは日銀の出口政策をますます困難にさせかねない。日本国債の買い手として日銀の存在感がさらに大きくなりかねず、それはつまり財政ファイナンスとも見なされかねない。

 日銀は2%の物価目標を達成するまで異次元緩和を続けるつもりのようだが、それは日本国債の流動性とその市場機能低下との引き換えに行うことになる。物価目標達成という着地点も見えないだけに、今後さらなる市場機能の低下も予想され、市場参加者もますます減少しかねない。思わぬリスクで市場が動いたときなど対処のしようがなくなる懸念もある。市場が市場として機能しなくなったとき何が起きるのか。あまり想像したくないのも確かである。


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by nihonkokusai | 2017-09-21 09:23 | Comments(0)

米国債保有高、中国がトップをキープ

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、7月の国別の米国債保有高のトップは2か月連続のトップとなり、日本は2位のままとなった。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」 http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 7月の中国(China、Mainland)の米国債保有高は1兆1660億ドルとなった。2位は日本で1兆1131億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)

中国(China, Mainland)  1166.0

日本(Japan)  1113.1

アイルランド(Ireland)  310.8

ブラジル(Brazil)  271.9

ケイマン諸島(Cayman Islands ) 259.2

スイス(Switzerland)  244.8

英国(United Kingdom) 229.7

ルクセンブルグ(Luxembourg )213.0

香港(Hong Kong)  199.1

台湾(Taiwan) 182.5

 ベスト10の顔ぶれは前回と同じで順位にも変化はなかった。日本は昨年10月に中国を抜いて米国債保有額でトップとなっていたが、今年6月に再び中国に抜かれ、7月も2位のままとなった。日本も中国も6月からそれぞれ2230億ドル、1950億ドル増加させたが順位に変動はなかった。

 中国の外貨準備高は6か連続で増加し、7月には3兆ドルを突破し、3兆800億ドルに達した。これが中国による米国債買入の原資となっていることは確かである。為替介入(ドル売り元買い)が減少してきたことも影響しているようである。

 米10年債利回りの推移をみると7月7日の2.4%近辺をピークに低下(価格は上昇)傾向となり、9月8日頃に2%近くまで低下していた。このため、8月も引き続き米国債の保有額を日本、中国ともに増やしている可能性がある。問題は金利が上がりだした9月の動向になると思われる。


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by nihonkokusai | 2017-09-20 09:50 | 国債 | Comments(0)

FRBのイエレン議長が会っていた意外な人物

 FRBのイエレン議長は、ドナルド・トランプ大統領の長女で大統領補佐官を務めるイバンカ・トランプ氏と7月に会談していた。公表された同議長の月間の動静で明らかになったとWSJが伝えた。

 FRB議長の任期は4年で、イエレン議長は来年2月3日で任期満了となる。その後任を巡ってはコーン国家経済会議(NEC)委員長が有力とされていたが、トランプ大統領はコーン氏を次期議長の候補としないと伝えられた。このため、FRB議長の後任については不透明感を強め、イエレン議長の再任の可能性も浮上している。

 イエレン議長とイバンカ氏の朝食を取りながらの会談は、次期FRB議長を巡ってのものではない、と思われるものの、なかなか興味深い。

 FRB議長の毎日のスケジュールは一定期間後に公開されている。公開されたイエレン議長の今年に入っての動向(1月から7月まで)を確認してみた。

February 6, Monday 11:20 AM- 11:50 AM Phone call with Governor Mark Carney, Bank of England

       12:00 PM- 1:00 PM 12:00 PM- 1:00 PMLunch with Gary Cohn, National Economic Council

February 16, Thursday9:45 AM- 10:00 AM Phone call with Secretary Mnuchin

February 23, Thursday 12:00 PM- 1:00 PM Lunch with Governor Mark Carney, Bank of England

February 27, Monday 9:00 AM- 10:00 AM Meeting with Governor Agustin Carstens, Bank of Mexico

           2:30 PM- 3:25 PM Meeting with Kiyohiko G. Nishimura, Former Deputy Governor, Bank of Japan

March 8, Wednesday 12:15 PM- 1:30 PM Lunch with Secretary Mnuchin

March 22, Wednesday 10:15 AM- 11:15 AM Meeting with Jamie Dimon, J P Morgan

April 19, Wednesday 9:00 AM- 10:00 AM Meeting with Chairman Thomas Jordan, Swiss National Bank

May 16, Tuesday 10:45 AM- 11:30 AM Meeting with Lord Mervyn King, former governor, Bank of England

          12:00 PM- 1:00 PM Lunch with Secretary Mnuchin

May 23, Tuesday 12:15 PM- 1:15 PM Lunch with Secretary Mnuchin

May 30, Tuesday 8:00 AM- 9:00 AM Breakfast with Secretary Mnuchin

June 21, Wednesday 8:00 AM- 9:00 AM Breakfast with Secretary Mnuchin

July 17, Monday 8:00 AM- 9:00 AM Breakfast with Ivanka Trump

July 18, Tuesday 4:00 PM- 5:00 PM Meeting with Chris Giancarlo, Acting Chairman, U.S. Commodity Futures Trading Commission

July 27, Thursday 8:00 AM- 9:00 AM Breakfast with Secretary Mnuchin

10:30 AM- 11:00 AM Phone call with Mr. Tharman Shanmugaratnam, Deputy Prime Minister of Singapore

12:30 PM- 1:30 PM Lunch with Gary Cohn, National Economic Council July 28, Friday

9:00 AM- 9:30 AM Meeting with Democratic Leader Nancy Pelosi

 朝食を挟んだり、電話で何度か会議をしていた相手として多かったのが、ムニューシン財務長官であった。財務長官と中央銀行のトップが相談し合うのは当然といえば当然に見えるが、果たして日本では麻生財務大臣と黒田日銀総裁は同様の会談を定期的に行っているのであろうか。

 他の中央銀行のトップとの会談で多かったのが、イングランド銀行のカーニー総裁であった。G7やG20などで会談する機会もあるとみられるが、それとは別に昼食を挟んだり、電話で会議をしていた。またキング前総裁とも会談していた。

 ほかの中央銀行のトップとの会談はメキシコとスイスの中銀トップとの会談であった。たまたまかもしれないが、ドラギECB総裁や黒田日銀総裁とのランチを挟んだり、電話での会談はなかった。ただし、日銀の元副総裁の西村氏とは2月に会談していた。どうやら距離感からみるとECBや日銀よりも、FRBはイングランド銀行に近いように思える。

 ほかにはコーンNEC委員長やJPモルガンのダイモンCEOとの会談もあった。次期FRB議長候補であったコーン委員長と、どのような話し合いがなされたのかも興味深い。トランプ大統領はコーン氏をFRB議長に指名しないようだが、コーン氏本人は意外にやる気であったのかもしれない。

 先日、ビットコインを巡る発言が注目されたダイモンCEOであるが、このところのワシントン詣でが多くなったそうであり、その一環としてイエレン議長と会ったようである。ダイモンCEOはどうやら大統領の座も狙っているのではとの観測もある。


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by nihonkokusai | 2017-09-18 11:36 | 中央銀行 | Comments(0)

イングランド銀行も早期利上げが視野に

 英国の中央銀行であるイングランド銀行は14日の金融政策委員会(MPC)で、政策金利を過去最低の0.25%で据え置くことを決めた。7対2の賛成多数での決定となり、マカファティー氏とソーンダース氏が前回会合に続き、0.25ポイントの利上げを主張した。今回からホッグ委員の後任のラムズデン委員が加わり3月以降で初めて、フルメンバーとなる9人での採決となった。

 市場では今回のMPCで利上げ主張派がひとり増えて6対3とすることで将来の利上げの可能性を示唆するのではとの観測も出ていた。しかしそうはならなかった。そのような回りくどいやり方ではなく、同時に発表した議事要旨で「経済が継続的な緩みの縮小や基調インフレ圧力の段階的な上昇の見通しと一致する経路をたどるなら、今後数か月(over the coming months)での一定の金融刺激策縮小は適切となる可能性があると、過半数の委員は判断した」とした。

 カーニー総裁もあらためて、向こう数か月で緩和縮小が必要になるかもしれないと自らも判断していると発言していた。イングランド銀行は早ければ次回11月のMPCで利上げに踏み切る可能性を強く示唆した格好となった。

 さらにハト派(緩和派)と見なされていたブリハ委員も講演で「経済指標の動きは中銀が利上げをしなければならない瞬間に近づいていることをますます強く示唆するようになっている」と述べた(ロイター)。

 英政府統計局が12日に発表した8月の消費者物価指数は前年同月比2.9%上昇と7月の2.6%上昇から加速し、4年ぶり高水準となっていた。この物価上昇が継続すれば、それを理由に利上げつまりFRBと同様に正常化に向けた動きを強めることになる。

 ECBも10月の理事会で国債買入の縮小などを決定するとみられている。ECBは今年12月末までは月600億ユーロペースで国債などの資産を買い入れていくことが決まっているが、来年以降はこのペースを徐々に落としていくことが予想される。利上げについては簡単には踏み込みそうにもないが、まずはテーパリングを視野に入れている。

 FRBは今月のFOMCで保有資産の縮小を決定するとみられている。年内あと一回とみられる利上げについてはやや不透明感を強めたが、14日に発表された8月の米消費者物価指数は前年同月比で1.9%の上昇と予想を上回っており、2%に届かなくてもこのあたりの水準であれば、利上げに支障は出ない可能性がある。ちなみに変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は同1.7%の上昇となっていた。


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by nihonkokusai | 2017-09-17 13:12 | 中央銀行 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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