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欧州中央銀行(ECB)も軸足を金融緩和縮小に修正か、取り残される日銀

27日にポルトガルで開催されたECBの年次政策フォーラムで、ECBのドラギ総裁は「景気回復が続く中、政策スタンスはより緩和的になる。ECBは政策手段のパラメーターを調整することで景気回復に対応することが可能だ。これは政策スタンスを引き締めるためではなく、ほぼ同じに維持することが狙いだ」と語った。

かなり回りくどい発言ながら、「今は全ての兆候がユーロ圏の回復の強さが増し、裾野が広がっていることを指し示している。 デフレ圧力はリフレの力に置き換わった」とも語っており、つまり景気回復が続くと金融緩和の効果がより大きくなるとし、その効果を一定に保つには緩和そのものを調整、つまり緩和策を縮小することを示唆した格好となった。

ドラギ総裁は、インフレ基調が持続的かつ自律的になるためには、かなりの金融緩和が依然必要だとも述べているが、引き締めではなく景気回復に即した緩和策の調整であるならば、それがありうることを示した。

6月8日のECB理事会では政策金利の据え置き、量的緩和プログラムの現状維持を決定した。政策に関する声明では、追加利下げに関する文言を削除し、追加緩和に前向きの姿勢から中立姿勢に修正した。ただし、基調的インフレの指標は引き続き弱い状態にとどまっていると慎重姿勢は維持しており、大規模な刺激策を維持すると表明していた。債券購入プログラムの縮小について話し合われなかったとされている。

この時点で市場は、ECBはひとまず「追加緩和」に向けた前傾姿勢から中立姿勢に戻しただけと判断していた。テーパリングなどの緩和策の縮小にはまだ距離があるのではとの見方も強かった。しかし27日のドラギ総裁の発言から、9月の理事会あたりで緩和策の縮小を検討するのではとの観測が出てきた。

市場はこれに反応し、27日のドイツの10年債利回りは0.37%と前日の0.24%から大きく上昇した。フランスの10年債利回りも0.73%と前日の0.59%から大きく上昇し、英国10年債利回りも1.09%と前日の1.01%から上昇した。欧州の国債安を受けて米国債にも売りが波及し、10年債利回りは2.20%と前日の2.13%から上昇した。

ただし、複数の関係筋からとして、この総裁の発言について、総裁は弱めのインフレ期間への容認を示したものであり、差し迫った政策引き締めを意図していないとの見方を示した(ロイター)。これは急激なユーロ安や欧州の長期金利の上昇をみて、少しブレーキを掛けておこうとの意図も働いたとみられる。

FRBはすでに正常化路線を歩んでいる。27日の講演でイエレン議長は、少なくとも自分が生きているうちに再び金融危機が起きるとは考えていないと語っていたが、これこそFRBの正常化に向けた動きの背景にあろう。いまは非常時ではない。それにも関わらず非常時の対策を続けるのはやはりおかしい。

カナダの中央銀行であるカナダ銀行は利上げを模索しており、ポロズ総裁は次回7月の会合での利上げの可能性に言及した。イングランド銀行でも利上げ派が増えてきていたが、ついにカーニー総裁も今回のECBのフォーラムで中銀は利上げを実施する必要が出てくる可能性があり、MPC(イングランド銀行の金融政策を決める金融政策委員会)はこの件について向こう数か月以内に討議すると述べた。そして、最も緩和に積極的であったECBも慎重ながら大胆な緩和策の調整を準備しはじめた。

日銀もステルステーパリングは国債需給の関係から行っているとはいえ、物価目標にはかなりの距離があり、考え方を大きく変えない限り、異常な建て付けとなってしまった金融緩和策を継続せざるを得ない状況にある。いずれ日銀だけが取り残され、緩和することだけに意義があるような状況に追い込まれるリスクも出てこよう。


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by nihonkokusai | 2017-06-30 10:05 | Comments(0)

イングランド銀行やカナダ銀行の総裁も利上げ示唆の意味

27日にポルトガルで開催されたECBの年次政策フォーラムで、ECBのドラギ総裁は景気回復に即した緩和策の調整、つまり景気が順調に回復するのであれば、緩和効果を一定に保つための利上げの可能性を指摘した。

ただし複数の関係筋からとして、この総裁の発言について、総裁は弱めのインフレ期間への容認を示したものであり、差し迫った政策引き締めを意図していないとの見方を示した(ロイター)。

市場が予想以上に反応したため、少し火消しに走ったものとみられ、これはドラギ総裁の発言を否定するものではない。

カナダ中銀のポロズ総裁も同フォーラムで、次回7月の会合での利上げの可能性に言及した。すでにウィルキンス上級副総裁は6月12日の講演で利上げの準備が整っていると、これまでで最も強い調子で示唆していた。

さらに今度は、イングランド銀行のカーニー総裁が同フォーラムで、中銀は利上げを実施する必要が出てくる可能性があり、MPCはこの件について向こう数か月以内に討議すると述べた。カーニー総裁は20日にロンドン市内での講演で「今はまだ金融政策の調整を開始するときではない」とし、利上げは時期尚早との認識を示したばかり。

このときのMPCでは、フォーブス委員だけが利上げを主張するとみられていたのが、そこにマカファーティー、ソーンダーズ両委員が利上げ派に加わった。さらにチーフエコノミストのアンディ・ホールデン理事からも政策引き締めを遅らせ過ぎることのリスクが高まっているとの認識が示された。カーニー総裁による時期尚発言は、利上げ賛同派が増えたことによる市場の動揺を抑えるための火消しかと思われた。しかし、そのカーニー総裁自らもECBの年次政策フォーラムで利上げを示唆した格好となった。

すでにFRBは正常化に向けて利上げを行っている。バランスシートの縮小も年内に着手する予定である。イエレン議長は27日の講演で、少なくとも自分が生きているうちに再び金融危機が起きるとは考えていないと語っていたが、この認識が欧米の中央銀行にも広まりつつあるように思われる。

イングランド銀行にとっては英国のEU離脱による影響も危惧されようが、それによるポンド安と物価高も無視できなくなりつつある。ユーロ圏については金融機関等への問題やギリシャの財政問題等も残るが、少なくとも金融危機のリスクは後退というか沈静化したというのが、共通認識となっているのではなかろうか。

欧米の中央銀行による過去にない大胆な金融緩和の主目的はデフレ脱却ではない。物価目標達成も必要ながら物価そのものは日本とは違い2%に近い、もしくは英国のようにそれを大きく上回っている。

そもそも金融政策がどれだけ物価に影響を与えられるのかという疑問に対しては、特に日銀が壮大な実験を行った結果も出ていよう。少なくとも日本では消費者物価指数の構成要素などの変更がない限り、原油価格や為替動向によって一時的にコアCPIが2%台に跳ね上がってもいずれゼロ近傍に収斂する。これは日銀の金融政策如何によって動いているわけではないことは、CPIの推移と日銀の政策、もしくは原油価格の動向などを重ね合わせると理解できるはずのもので、日銀も本来は十分理解しているはずのものであろう。だから2006年の量的緩和解除の条件はCPIのゼロ%がキーになっていた。

話が少し逸れてしまったが、欧米の中央銀行による非伝統的な金融緩和を含む大胆緩和の背景にあったのものは、百年に一度という金融危機による金融経済の影響を緩和するものあった。しかし、現実には市場の動揺を沈めるという効果を意識していた。

その危機は後退し景気そのものも不透明感が薄れ、株式市場の指数は過去最高値を更新するような中、非常時の対策をいつまでも続けることによる副作用も意識されてきた。このあたりが今回の欧米の中央銀行が、非常時の政策から平時の政策に切り替えようとの動きの背景にあろう。

しかし、日銀は世界的な金融危機が沈静化しているタイミングで政権に押しつけられる格好で異次元緩和を打ち出し、本来金融政策で動かすことが困難であるにも関わらず、2%という物価目標達成を打ち出してしまった手前、引くに引けなくなってしまっている。いずれ日銀だけが蚊帳の外となり、皆帰宅してしまったのに大胆緩和組に居残り続けざるを得なくなることも想定される。


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by nihonkokusai | 2017-06-30 10:05 | 中央銀行 | Comments(0)

3月末に日銀の日本国債保有シェアは4割に膨れ、銀行の保有額は大きく減少

日銀は6月27日に資金循環統計(1~3月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は3月末時点で約1809兆円ととなった。12月末時点では約1815兆円となっていた(改定値)。

個人の金融資産の内訳は、現金・預金が「前年比」で2.3%増の約932兆円となった。株式等が同7.9%増の約181兆円、投資信託も7.2%増の約99兆円となっていた。

この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。残高トップの日銀の国債保有残高は386兆7756億円、40.0%のシェアとなった。前期比(速報値)からは15兆9503億円の増加。残高2位の保険・年金基金は233兆9974億円(24.2%)、2兆4694億円。残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で190兆174億円(19.6%)、13兆5640億円。4位が海外投資家で56兆5684億円(5.8%)、3兆4680億円。5位が公的年金の49兆138億円(5.1%)、2022億円。6位が家計の12兆5263億円(1.3%)、2020億円。その他が38兆7490億円(4.0%)、6兆5862億円となっていた。

2016年12月末(確報値)に比べ、国債(短期債除く)の残高は9兆5669億円減少し、967兆6479億円となった。

12月末(確報値)に比べて大きく増加したのは、国債を買い入れている日銀でシェアは4割となった。今回前期比で増加したのは、ほかに「海外」と「その他」となっていた。

もう少し細かい区分けで見てみると、12月末に比べて大きく減少したのは国内銀行で約8兆円の減少となった。中小企業金融機関等(ゆうちょ銀行含む)も約5兆円減、企業年金の1兆円減となっていたのに対し、ディーラー・ブローカーは4兆円程度増となっていた。

短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1083兆円となり、日銀が約427兆円で39.5%のシェアとなっていた。そして海外勢の残高は約116兆円と短期債を含めると国債全体の10.8%のシェアとなっていた。


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by nihonkokusai | 2017-06-28 09:54 | 国債 | Comments(0)

日銀の物価目標は2%で本当に良いのか

26日に「金融政策決定会合における主な意見(2017年6月15、16日開催分)」が公表された。このなかで「金融政策運営に関する意見」について確認してみたい。

「物価の伸びが鈍い背景には、人々の将来不安や適合的期待形成などやや構造的な要因もある。ごく短期間で「物価安定の目標」を達成することは容易でなく」(主に意見より)

2013年4月に「量的・質的緩和」の導入を決定した際には、日銀は「消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」と明確に表明していた。それが2年でできなかったことを日銀自ら証明した格好だが、その言い訳として上記の文言が果たしてふさわしいものといえるであろうか。言い訳にしか聞こえないのだが。

「2%の「物価安定の目標」の達成には未だ距離があるが、「量的・質的金融緩和」は、雇用の改善、消費の継続的な増加、財政状況の改善という成果を上げている。」(主に意見より)

これについては2013年4月に黒田総裁が波及経路として次ぎのような説明がなされていた。

「物価安定目標の早期実現を約束し、次元の違う金融緩和を継続することにより、市場や経済主体の期待を抜本的に転換する効果が考えられます。先ほどお話ししたデフレ期待の払拭です。予想物価上昇率が上昇すれば、現実の物価に影響を与えるだけでなく、実質金利の低下などを通じて民間需要を刺激することも期待できます」(2013年4月12日の黒田日銀総裁の講演より)

予想物価上昇率は上昇せず、現実の物価に影響を与えられていないにも関わらず、どのような経路によって「雇用の改善、消費の継続的な増加、財政状況の改善」という結果が出ているのか。たしかに実質金利の低下による効果がなかったとはいえないものの、金融政策以外の要因、たとえば世界的なリスクの後退などによる海外初の要因が大きく影響していたとはいえまいか。

「2%「物価安定の目標」は、消費者物価指数の上方バイアス、金融政策の対応余地、グローバル・スタンダードの観点から堅持することが重要である」(主に意見より)

日米の消費者物価指数の過去推移などみてみると、基準となりそうな物価水準は明確に異なっている。2006年の量的緩和解除の条件に消費者物価指数のゼロ近傍というのがあったが、それは日本特有の消費者物価指数の水準を意識したものであったはず。グローバル・スタンダードを持ち込む必要があったのかも再確認する必要はあるのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2017-06-27 10:02 | 景気物価動向 | Comments(0)

FRBの金融政策の正常化スケジュール予想

6月19日にニューヨーク連銀のダドリー総裁は講演で、「拡大局面がやや長期化しているが、実際のところまだ長く継続すると強く確信している」と述べ、物価に関しても、「インフレ率は望ましい水準を若干下回っているものの、労働市場の引き締まりが続き賃金も少しずつ持ち直すことで、2%の目標に緩やかに回帰するだろう」と述べた。

6月13日、14日に開催されたFOMCでは、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を年0.75~1.00%から1.00~1.25%に引き上げた。投票メンバー9人のうち8人の賛成多数での決定となり、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は金利据え置きを主張して反対票を投じた。カシュカリ総裁は16日にロイターとの電話インタビューで、利上げを見送るべきと考えるのは私一人ではないとの見方を示していた。

FOMC開催日の14日に5月の米消費者物価指数(CPI)が発表されたが、総合指数は前年同月比では1.9%上昇となり、前月の2.2%の上昇から上昇幅は縮小した。食品とエネルギーを除くコア指数も前月比0.1%上昇と予想を下回り、前年同月比では1.7%上昇と、2015年5月以来の低い伸びとなった。

これを受けて14日の米債は買われていた。今後のFRBの利上げが慎重ペースになるのではとの期待も背景にあったとみられる。しかし、ダドリー総裁はそういった観測を打ち消すべく、景気や物価に対して強気の姿勢を示した。

実はイエレン議長も14日のFOMC後の会見で、最近のインフレ指標の低下は一時的な事柄が要因と指摘していた。ダドリー総裁はイエレン議長と同じような見方をしているというか、フィッシャー副議長含めた執行部は、政策金利を長期の中立金利見通しである3%に達成させるという利上げシナリオは堅持しているとみられる。

今後のFRBのFRBの正常化スケジュールについては、利上げとともにバランスシート縮小も進めることが予想されている。4兆5000億ドルの保有証券縮小計画については年内に着手すると表明し、その手段も示した。満期を迎えた債券への再投資を減らすことで資産を縮小するかたちとなり、開始時の資産圧縮規模は米国債が月60億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)などは月40億ドルを上限とし、3か月ごとに上限を引き上げて、1年後には米国債が月300億ドル、MBSなどは月200億ドルとする。

イエレン議長は14日の会見でバランスシート縮小に関して比較的早期に開始する可能性を示した。つまり9月のFOMCあたりで決定してスタートすることが予想される。利上げについては9月にバランスシート縮小と同時に行うというよりも、少しずらして12月に決定するのではと予想される。


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by nihonkokusai | 2017-06-25 10:15 | 中央銀行 | Comments(0)

4月の米国債保有高はかろうじて日本がトップをキープ

米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、今年4月の国別の米国債保有高のトップは引き続き日本がキープしていた。

4月の日本の米国債保有高は1兆1069億ドルとなった。2位は中国(China、Mainland)で1兆922億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)

日本(Japan)  1106.9

中国(China, Mainland)  1092.2

アイルランド(Ireland)  299.9

ブラジル(Brazil)  267.7

ケイマン諸島(Cayman Islands ) 256.8

スイス(Switzerland)  234.1

英国(United Kingdom) 231.5

ルクセンブルグ(Luxembourg )212.1

香港(Hong Kong)  196.6

台湾(Taiwan) 185.6

4月に日本国内の居住者による対外債券(中長期債)投資は4兆2559億円の処分超となり、月次の売り越し額としては過去最大規模となっていた。内訳をみると米国のソブリン債(中長期)を3兆6642億円も売り越していた。ソブリン債とは主に国債のことを示すため、米国債を大量に売却していたのである。このため、4月は場合によると米国債保有高で再び中国に逆転されるのではないかと思われたが、かろうじてトップをキープしていた。

2位中国の外貨準備は2017年1月に3兆ドルを下回っていたが、4月末の外貨準備高は3兆300億ドルと3か月連続で増加し、中国の米国債保有は今年1月以降は増加傾向にある。

6月8日に公表された5月の対外対内証券投資売買契約の状況では、今度は 3兆1074億円の買い越しとなっていた。米国債利回りは5月11日あたりに2.4%台に上昇後、直近では2.1%台にまで低下しているが、これは日本の投資家による買いも影響していた可能性がある。このため、5月の米国債保有高も日本がトップをキープすることが予想される。


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by nihonkokusai | 2017-06-24 16:15 | 国債 | Comments(0)

原油先物価格が再び下落傾向に、物価への影響も注意

21日の原油先物市場では、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)8月物が一時、42.05ドルと期近物として2016年8月11日以来ほぼ10か月ぶりの安値をつけた。今年1月に55ドル台をつけていたが、50ドル台で次第に上値が重くなり、米在庫増が嫌気されて3月に50ドルを割り込んだ。

その後いったん買い戻されて53ドル台まで回復。しかし、米国内での増産が続いていることなどを嫌気して4月に再び50ドル割れとなり、主要産油国が減産しても需給改善につながりにくいとの見方から5月5日に43ドル台に下落した。

そこから再び切り返したが、52ドルあたりまで。5月25日のOPECと非加盟の主要産油国がOPEC総会後の閣僚会合において協調減産を2018年3月まで9か月間延長することで合意したにも関わらず、利益確定売りに押され50ドル割れとなった。そこからダウントレンド入りし5月5日の直近安値を下回ってきた。

ここにきての原油先物の下落には、これといって材料が出ているわけではない。今回の下げのきっかけが、予想通りの減産合意によるものであったことをみても、原油先物の上値の重さが伺える。これには米国の増産が続いていることや、ナイジェリアやリビアなどで供給拡大の動きなどもあり、根強い供給過剰懸念が原油先物の下落の背景にあるとみられる。

今回は中国など新興国の景気動向などを背景とした原油先物の下げでなく、需給そのものが反映された格好の下落であるため、急落は考えづらい反面、大きな戻りも期待しづらい。次の下値のポイントは昨年8月1日につけた39ドル台、つまり40ドルを割り込むかどうか焦点となりそうである。

原油価格の動向は直接、物価に反映されることから、日銀にとってはさらに物価目標が遠のくことも予想され、FRBの今後の利上げペースにも影響してくる可能性がある。


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by nihonkokusai | 2017-06-23 09:56 | 景気物価動向 | Comments(0)

イングランド銀行の利上げ派が増加、カーニー総裁は利上げは時期尚早と火消しに走る

15日に開催されたイングランド銀行の金融政策委員会(MPC)では、政策金利を0.25%に据え置くことを決定した。今回もフォーブス委員だけが利上げを主張するとみられていたのが、そこにマカファーティー、ソーンダーズ両委員が利上げ派に加わり、5対3の僅差での現状維持決定となっていた。MPCの委員3人が利上げを支持したのは2011年以来となる。これを受けて市場では今後のイングランド銀行の利上げの可能性を意識し始めていた。

これを意識してか、イングランド銀行のカーニー総裁は20日、ロンドン市内で講演し「今はまだ金融政策の調整を開始するときではない」とし、利上げは時期尚早との認識を示し、火消しに走った。ところが、15日のMPCで据え置きに賛成していたハルデーン理事が21日の講演で、自身が近く利上げ支持に転じる公算が大きいと表明した。また、利上げ開始が後手に回るリスクが増えているとの認識を示した。さらにMPCメンバーでイングランド銀行のチーフエコノミスト、アンディ・ホールデン氏からも政策引き締めを遅らせ過ぎることのリスクが高まっているとの認識を示すとともに、6月の利上げを支持することも検討したと明らかにした。

イングランド銀行のMPCは9名のメンバーより構成される。総裁1名、副総裁2名、理事2名と、財務大臣により任命された外部委員4名の合計9名となる。しかし、3月14日に利益相反の可能性を申告しなかったとして批判されていたホッグ副総裁(銀行・市場担当)が辞任したことで一人空席となっていた。

9名のメンバーがフルで揃っていても議長以外の政策委員の意見が仮に真二つに割れた場合などは、まさに4対4となる。MPCでは採決にあたって頻繁に反対票が見られ、そして過去には9名のうち4名までもが反対に回ることもあり、総裁自身が少数派となってしまったこともあった。つまりカーニー総裁が利上げに反対しても、多数決で覆される可能性がある。

ただし、利上げを主張し続けていたフォーブス委員は、今月末に退任し、米マサチューセッツ工科大学(MIT)に戻る予定となっている。ハモンド財務相は19日にフォーブス委員の後任としてロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のエコノミストであるシルバナ・テンレイロ氏をイングランド銀行金融政策委員会(MPC)の外部委員に指名した。

マカファーティー、ソーンダーズ両委員が利上げ派に加わったのは物価を意識して、フォーブス委員の意志を引き継ぐという意味合いがあったのかもしれないが、どうやら流れは利上げに傾いているようにも感じられる。今後はテンレイロ氏の動向次第でバランスがさらに変化してくる可能性もありうる。また、ホッグ副総裁の後任もいずれ指名されるとみられ、こちらの人事にも注意しておく必要がある。


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by nihonkokusai | 2017-06-22 10:00 | 中央銀行 | Comments(0)

5月の債券市場ではメガバンクが買い越しに転じる

6月20日に日本証券業協会は5月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行-14782(-5216、-1087、-7778)

地方銀行-2150(500、-1082、-200)

信託銀行 1822(-1816、2954、676)

農林系金融機関-2589(-1812、0、105)

第二地銀協加盟行-479(-86、-145、0)

信用金庫-3475(-488、-97、32)

その他金融機関-698(-302、463、46)

生保・損保-2863(-2597、314、19)

投資信託-372(-439、88、330)

官公庁共済組合-138(20、0、2)

事業法人-238(-21、1、0)

その他法人-595(-89、-29、15)

外国人-19887(-803、-6541、-11738)

個人 163(2、28、3)

その他 19645(9555、1265、13598)

債券ディーラー-449(-61、-250、-128)

5月の国債の投資家別売買高をみると「信託銀行」、「個人」、「その他」を除いて総じて買い越しとなっていた。4月が銀行系主体に売り越しとなっていたが、それと対称的な動きとなった。期初の売り等でいったん外したポジションを買い戻した格好か。

都銀は1兆4782億円の買い越し。先月は1兆3436億円の売り越しとなり、4か月ぶりの買い越しとなる。超長期と中期ゾーン主体の買い越しとなった。超長期の買い越し額は2011年9月以来の大きさとなっていた。地銀は長期主体、農林系は超長期主体の買い越し。ただし、信託銀行は長期主体の売り越しとなっていた。売り越し金額でのトップは引き続き「その他」の1兆9645億円の売り越し。中期と超長期主体に売り越しとなった。

買い越し額のトップは引き続き海外投資家で、中期債主体に1兆9887億円の買い越しとなっていた。

5月の債券相場を振り返るとゴールデンウイーク中の債券相場は閑散小動き。7日のフランス大統領選の決選投票ではマクロン氏が勝利し、リスクオンの動きが意識されて円債は上値が抑えられた。FRBの緩やかな正常化の動きを連想さて米債は買われ、円債も月末にかけてやや押し目買いが入った。ただし、5月の10年国債の利回りの月中値幅がどうやら過去最小となったようで値動きは限られた。全体の売買高も海外投資家を含めてやや低調なものとなっていた。

投資家全体の売買状況 全体 超長期 長期 中期

1月1996647、303116、412877、588101

2月1958526、340593、481039、496524

3月2041609、385293、472883、558183

4月1914346、373287、391855、488680

5月1707093、320073、345208、435486

海外投資家の売買状況

月 売り越し買い越し(マイナスは買い越し)、(超長期、長期、中期)、国債売買高、うち中期

2017年

1月-23784(-1153、-504、-19500)、294839、61994

2月-11210(-2687、3009、-10323)、292813、51127

3月-17190(-4603、1222、-12886)、312730、58810

4月-21075(-3562、-4623、-11957)、321272、43951

5月-19887(-803、-6541、-11738)、269888、47170


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by nihonkokusai | 2017-06-21 10:02 | 債券市場 | Comments(0)

5月の債券市場ではメガバンクが買い越しに転じる

6月20日に日本証券業協会は5月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行-14782(-5216、-1087、-7778)

地方銀行-2150(500、-1082、-200)

信託銀行 1822(-1816、2954、676)

農林系金融機関-2589(-1812、0、105)

第二地銀協加盟行-479(-86、-145、0)

信用金庫-3475(-488、-97、32)

その他金融機関-698(-302、463、46)

生保・損保-2863(-2597、314、19)

投資信託-372(-439、88、330)

官公庁共済組合-138(20、0、2)

事業法人-238(-21、1、0)

その他法人-595(-89、-29、15)

外国人-19887(-803、-6541、-11738)

個人 163(2、28、3)

その他 19645(9555、1265、13598)

債券ディーラー-449(-61、-250、-128)

5月の国債の投資家別売買高をみると「信託銀行」、「個人」、「その他」を除いて総じて買い越しとなっていた。4月が銀行系主体に売り越しとなっていたが、それと対称的な動きとなった。期初の売り等でいったん外したポジションを買い戻した格好か。

都銀は1兆4782億円の買い越し。先月は1兆3436億円の売り越しとなり、4か月ぶりの買い越しとなる。超長期と中期ゾーン主体の買い越しとなった。超長期の買い越し額は2011年9月以来の大きさとなっていた。地銀は長期主体、農林系は超長期主体の買い越し。ただし、信託銀行は長期主体の売り越しとなっていた。売り越し金額でのトップは引き続き「その他」の1兆9645億円の売り越し。中期と超長期主体に売り越しとなった。

買い越し額のトップは引き続き海外投資家で、中期債主体に1兆9887億円の買い越しとなっていた。

5月の債券相場を振り返るとゴールデンウイーク中の債券相場は閑散小動き。7日のフランス大統領選の決選投票ではマクロン氏が勝利し、リスクオンの動きが意識されて円債は上値が抑えられた。FRBの緩やかな正常化の動きを連想さて米債は買われ、円債も月末にかけてやや押し目買いが入った。ただし、5月の10年国債の利回りの月中値幅がどうやら過去最小となったようで値動きは限られた。全体の売買高も海外投資家を含めてやや低調なものとなっていた。

投資家全体の売買状況 全体 超長期 長期 中期

1月1996647、303116、412877、588101

2月1958526、340593、481039、496524

3月2041609、385293、472883、558183

4月1914346、373287、391855、488680

5月1707093、320073、345208、435486

海外投資家の売買状況

月 売り越し買い越し(マイナスは買い越し)、(超長期、長期、中期)、国債売買高、うち中期

2017年

1月-23784(-1153、-504、-19500)、294839、61994

2月-11210(-2687、3009、-10323)、292813、51127

3月-17190(-4603、1222、-12886)、312730、58810

4月-21075(-3562、-4623、-11957)、321272、43951

5月-19887(-803、-6541、-11738)、269888、47170


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by nihonkokusai | 2017-06-21 10:02 | 債券市場 | Comments(0)
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