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米国債保有高では3月現在で日本がトップ、4月に中国に逆転される可能性も

米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、今年3月の国別の米国債保有高のトップは引き続き日本で1兆1185億ドルとなった。2位は中国(China、Mainland)で1兆876億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り

(単位、10億ドル)

日本(Japan)  1118.5

中国(China, Mainland)  1087.6

アイルランド(Ireland)  315.1

ブラジル(Brazil)  259.5

ケイマン諸島(Cayman Islands )249.9

スイス(Switzerland)  234.5

英国(United Kingdom) 227.9

ルクセンブルグ(Luxembourg )217.1

香港(Hong Kong)  201.9

台湾(Taiwan) 185.2

1位の日本については、4月の対外対内証券投資売買契約の状況によると、居住者による対外債券(中長期債)投資は4兆2559億円の処分超となり、月次の売り越し額としては過去最大規模となっていた。このため、米国債の保有額が大きく減少してくる可能性がある。ただし、この数字が直接、この米財務省が発表している米国債国別保有残高に反映されない可能性もある。こちらも4月の数字が要チェックとなりそう。

2位中国の外貨準備は2017年1月に3兆ドルを下回っていたが、2月にはかろうじて3兆ドルを回復しており、米国債保有高もここにきてやや増加傾向にある。4月に順位が入れ替わるのかどうか確認したい。

3位にアイルランドが入っているのは低い法人税により、アップルやグーグル、フェイスブックを含め米企業700社以上がアイルランドに子会社を置いており、そこで得た利益がアイルランドの銀行にプールされ、それを米国債で運用しているためとの指摘もある。たしかにユーロ危機の際にはアイルランドも財政危機に陥ったように、国そのものには余裕なくこの金額の米国債を保有しているというのは米国企業などに依存している面は大きそうである。


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by nihonkokusai | 2017-05-22 09:56 | 国債 | Comments(0)

日本の通貨単位を「円」とした意外な人物とは

金融取引に使われるのはお金であり、我々が使っているそのお金の単位は言うまでもなく「円」である。その円が生まれたのは明治時代であった。明治政権が目指したのは、西洋諸国に対抗するため、産業や資本主義の育成を行い国家の近代化を進めることであった。この積極的な殖産興業政策を行うため、さらに日本が独立国家として世界から認知されるためにも、統一した貨幣制度は必要不可欠なものとなる。

明治政府は1868年に純正画一な貨幣を製造することを決定し、1969年に大隈重信の建議により、新貨幣は十進法によるものとし、その価名を「円」とすることを決定した。大隈重信はその建議の中で、「第一に外国貨幣が円形で携帯に便利であり、この際旧来の方形を円形に改むべきである、第二に両分朱は四進法のため計算上非常に不便であるから、各国にならって十進法とすべきである」としたそうである。(早稲田大学のホームページより)。

現在の1万円札には、大隈の設立した早稲田大学のライバルとも言える慶応義塾の創始者である福沢諭吉の肖像が使われているのも何か「円」ではなく「縁」も感じる。

1871年には、最初の貨幣法である新貨幣条例が公布され、日本の貨幣の単位として円が正式に採用された、これによって近代的な貨幣の枠組みは整ったのである。

しかし、新貨幣の鋳造は進まず、明治政府は緊急の必要に応じるため「太政官札」、「民部省札」などと呼ばれた、いわゆる不換紙幣を発行した。金銀貨による幣制の統一を目指していたものの、貨幣素材の不足や造幣能力の不十分さもあって、金銀貨の鋳造はなかなか進まなかったのである。この金銀貨に代わる支払手段として、このような不換紙幣の発行に依存せざるを得なかった。これが結果として日本での中央銀行である日本銀行の設立の要因となった。

円は上記のように明治政府により1871年に定められた。英米人の影響で「en」ではなく「yen」と綴られることとなった円を、ドルの習慣に合わせてその頭文字Yに同様の二重線を入れたものが円マークの「¥」となり、JPYとも表記される。「円」の名前の由来としては、新貨のかたちが円形に統一されたためとか、洋銀の中国別称である「洋円」を継承したため、さらに香港銀貨と同品位、同重量の銀貨を製造することとした関係から香港銀貨の「壱圓」(洋円1個の意味)にちなむといった説がある。また、人々がお金を表すときに人差し指と親指で円を作ったところから、この名がついたという説もあった。

なお、中国では本来の通貨単位である「圓」を「元」に代替したが記号は日本の円記号と同じである。 韓国・北朝鮮の「ウォン」も「円」の朝鮮語読みである。


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by nihonkokusai | 2017-05-21 09:28 | 金融の歴史 | Comments(0)

日本の弥生時代に貨幣が存在していた?

神戸新聞によると、紀元14~40年にかけて中国古代国家の「新」「後漢」で鋳造されたとされる貨幣「貨泉」3枚が、兵庫県南あわじ市八木入田の入田稲荷前遺跡で見つかったそうである。弥生時代に日本へ流入したとみられ、一度に出土した数量としては全国で3番目の規模となるとか。

弥生時代にすでに中国の通貨が日本に存在していたという事実にまず驚いた。この記事によると貨泉は九州や近畿、瀬戸内海沿岸などの遺跡ですでに計約180枚が見つかっていたそうである。今回の発見で神戸市の市教委は「海上交通の要衝だった淡路島が弥生時代の流通で果たした役割を考える上で重要な史料」とコメントしている。弥生時代にはすでに中国との交易が盛んであったとか。ただし、弥生時代は物品貨幣の社会で、実用の貨幣だったとは考えがたく、交易拠点にもたらされた小型青銅器の一つではないかとの専門家のコメントも記事に掲載されていた。

しかし、貨幣という存在そのものがすでに弥生時代に中国からもたらされていたことには驚きであった。ただし、世界史を見るとその時代には各地で貨幣は流通していたことも事実である。

世界における最初の鋳造貨幣は、紀元前7世紀ごろに現在のトルコ西部に位置するリディアで発行されたエレクトロン貨とされている。紀元前6世紀頃のギリシア期において、貨幣使用を中心とした貨幣経済化が進む。ローマでは紀元前46年頃にカエサルのもとで行なわれた鋳造策などによって、貨幣体制は整ってきた。

中国の最初の鋳造貨幣は、春秋戦国時代に作られた貝貨のような形をした蟻鼻銭(ぎびせん)と言われている。紀元前221年に中国を統一した秦の始皇帝は、秦で用いられていた環銭の形に銭貨を統一し、すでに発行されていた「半両銭」という円形方孔貨に統一された。

そして貨泉は前漢と後漢の間にあった新(紀元8年~23年)の時代の貨幣であり、鋳造期間が短かったこともあり、一緒に出土した土器などの年代をはかるキーとなっているそうである。

たしかに出土された貨泉の枚数は少なく、貨泉が通貨として使われた可能性は少ないかもしれない。しかし、通貨という認識はすでに当時からあった可能性がある。どうも我々というか私が勝手に抱いていた弥生時代のイメージと実際とはかなりギャップがあるような気がする。ちなみに日本で貨幣が生まれたのは下記のような経緯からとされている。

金銀などの貴金属を貨幣として利用するに際には、地金などよりも一定の重量に鋳られた固まりのほうが便利となる。飛鳥板蓋宮伝承地など7世紀後半の飛鳥時代を代表する遺跡のなかから「無文銀銭」と称される小孔が穿たれただけの銀製の小円板が出土している。この無文銀銭も和同開珎の銀銭1枚と同等の価値を有する「貨幣」ではないかとみられている。

708年の和銅元年に日本最初の「公鋳貨幣」として「和同開珎」が律令制府により鋳造された。701年に「大宝律令」が完成し、平城京への遷都の準備中でもあった矢先、現在の関東地方の武蔵国秩父郡で和銅が発見された。遷都などで大量の資金が必要としていた政府は、中国などに習って貨幣発行の準備していたところでもあり、政府は年号まで「和銅」と改元して、わが国最初の公鋳貨幣を発行したのである。和同開珎は唐の時代に発行された「開元通宝」がモデルとされているが「開元通宝」は、始皇帝が銭貨を統一する際から中国で用いられた円形方孔貨となっていた。

和同銅銭には1個1文の価値が付され、江戸時代末までの約1200年間にわたってわが国貨幣制度のなかで重要な役割を果たした銭貨の基礎がこれによって構築された。

和同開珎以前に存在した貨幣として上記の「無文銀銭」と共に「富本銭」が知られているが、「和同開珎」が広範囲に貨幣として流通した日本最古の貨幣として認識されている。「和同開珎」は畿内とその周辺では貨幣として使われたようだが、地方では富と権力を象徴する宝物としてしか使われなかったとされている。


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by nihonkokusai | 2017-05-20 08:36 | 金融の歴史 | Comments(0)

何故、このタイミングで安倍首相と黒田日銀総裁が会談したのか

日銀の黒田東彦総裁は17日に首相官邸で安倍晋三首相と会談した。黒田総裁が首相官邸に首相を訪ねるのは1月11日以来、4か月ぶりとなる。黒田総裁は会談後、記者団に「金融緩和をしっかり続けていくとだけ申し上げた」と明らかにした。「首相から特別の注文はなかった」とも述べた(日経新聞電子版)。

5月には金融政策決定会合の予定はない。首相から何かしら要請されるような状況でもない。今回は前回の会談から4か月経っており、首相のスケジュールと黒田総裁のスケジュールが空いたところで定例とも言える会談が設定されたと思われる。黒田総裁も首相との会談について「定例的なもの」とあえて強調していた。

官邸側としても日銀の金融政策で物価目標が達成されておらずとも、今年1~3月期のGDPが年率プラス2.2%の成長率と5期連続でプラスになるなどしており、あえて追加緩和を要求するようなことは考えづらい。むしろ物価が上昇しない、つまり金利も超低位のなかでの経済成長は政権にとっても好都合のはずである。ここで物価が2%に向けて急上昇し、長期金利も上昇するようなことになると、財政面への影響が出てくることも予想される。その意味ではいまの環境は政権にとっては好環境とも言えよう。

しかし、そうはいっても日銀が首相の意向を汲んで、異次元緩和を行っているという事実は残る。しかもそれで物価は上がってこないということも露見した。そもそもアベノミクスと称された政策の根底、つまり異次元緩和で物価を上げてデフレ解消との前提に大きな間違いがあったものの、いわば結果オーライといった事態となっている。

それでもいまの日本が危機的な状況にあるわけでもなく、景気が落ち込んでいるわけでもないにも関わらず、非常時の以上金融政策を長らく続けてしまっているということも事実である。それはそれで潜在的なリスクが膨らんできていると見ざるを得ない。本来であれば、ステルステーパリングとかではなく、妙なかたちで積み上げてしまった金融緩和政策の修正を図り、将来のリスクを取り除くことが求められてしかるべきであろう。

しかし、異次元緩を押しつけたのが現政権であり、自らの政策の根底が間違っていたことを認めるようなことも現在の日銀はしづらいというか、できないであろう。少なくとも政権が代わり、リフレ政策に疑問を持つ首相でも就任しない限り、現在の状況は継続することが予想される。そのあたりを暗黙のうちに確認したのかもしれない。

ただし、日銀が国債を持てばその分の政府債務はカウントされない、などとの考え方がいかに危険なものであるのか。その危険性が試される日が来ないとは言い切れないことも確かである。そのあたりのリスクを日銀と官邸が共有しているようには見えないことも危惧すべき問題と思われる。


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by nihonkokusai | 2017-05-19 10:00 | 日銀 | Comments(0)

何故、このタイミングで安倍首相と黒田日銀総裁が会談したのか

日銀の黒田東彦総裁は17日に首相官邸で安倍晋三首相と会談した。黒田総裁が首相官邸に首相を訪ねるのは1月11日以来、4か月ぶりとなる。黒田総裁は会談後、記者団に「金融緩和をしっかり続けていくとだけ申し上げた」と明らかにした。「首相から特別の注文はなかった」とも述べた(日経新聞電子版)。

5月には金融政策決定会合の予定はない。首相から何かしら要請されるような状況でもない。今回は前回の会談から4か月経っており、首相のスケジュールと黒田総裁のスケジュールが空いたところで定例とも言える会談が設定されたと思われる。黒田総裁も首相との会談について「定例的なもの」とあえて強調していた。

官邸側としても日銀の金融政策で物価目標が達成されておらずとも、今年1~3月期のGDPが年率プラス2.2%の成長率と5期連続でプラスになるなどしており、あえて追加緩和を要求するようなことは考えづらい。むしろ物価が上昇しない、つまり金利も超低位のなかでの経済成長は政権にとっても好都合のはずである。ここで物価が2%に向けて急上昇し、長期金利も上昇するようなことになると、財政面への影響が出てくることも予想される。その意味ではいまの環境は政権にとっては好環境とも言えよう。

しかし、そうはいっても日銀が首相の意向を汲んで、異次元緩和を行っているという事実は残る。しかもそれで物価は上がってこないということも露見した。そもそもアベノミクスと称された政策の根底、つまり異次元緩和で物価を上げてデフレ解消との前提に大きな間違いがあったものの、いわば結果オーライといった事態となっている。

それでもいまの日本が危機的な状況にあるわけでもなく、景気が落ち込んでいるわけでもないにも関わらず、非常時の以上金融政策を長らく続けてしまっているということも事実である。それはそれで潜在的なリスクが膨らんできていると見ざるを得ない。本来であれば、ステルステーパリングとかではなく、妙なかたちで積み上げてしまった金融緩和政策の修正を図り、将来のリスクを取り除くことが求められてしかるべきであろう。

しかし、異次元緩を押しつけたのが現政権であり、自らの政策の根底が間違っていたことを認めるようなことも現在の日銀はしづらいというか、できないであろう。少なくとも政権が代わり、リフレ政策に疑問を持つ首相でも就任しない限り、現在の状況は継続することが予想される。そのあたりを暗黙のうちに確認したのかもしれない。

ただし、日銀が国債を持てばその分の政府債務はカウントされない、などとの考え方がいかに危険なものであるのか。その危険性が試される日が来ないとは言い切れないことも確かである。そのあたりのリスクを日銀と官邸が共有しているようには見えないことも危惧すべき問題と思われる。


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by nihonkokusai | 2017-05-19 10:00 | 日銀 | Comments(0)

ロシアゲート問題でトランプリスクが再浮上し、市場が動揺

トランプ大統領は、ロシア側に機密性の高い情報を漏らしたと報じられた。トランプ大統領は「テロなどに関する事実を共有したかった。私にはそうする権限がある」と主張していたが、野党だけでなく与党からも問題視する意見が出ており、新たな火種となりつつある。

トランプ大統領を巡るロシアに関する問題は「ロシアゲート」とも呼ばれているようで、これは1972年6月にワシントンの民主党本部で起きた盗聴侵入事件に始まり、現職大統領が辞任に追い込まれたという政治スキャンダル、「ウォーターゲート事件」を意識したものか。

トランプ大統領とロシアとの関係への疑惑は、FBIのジェームズ・コミー長官を解任したことでも強まっていた。外交や安全保障に直結する幹部を全て交代させたトランプ大統領だが、FBI長官だけは残留させていた。そのコミー長官を何故、このタイミングで解任したのか。解任前にトランプ大統領は自らがロシア関係の問題で捜査の対象になっていないと確認したことを明かしている。すでにトランプ政権のマイケル・フリン安全保障補佐官はロシアを巡る疑惑で辞任しているが、この問題もトランプ大統領はまったく関わっていないと見る方が不自然に見える。

実際にトランプ大統領は解任したコミー長官の在任中、同氏にフリン前大統領補佐官とロシアとの関係を巡る捜査を打ち切るよう求めていたとも報じられた。トランプ氏には捜査を妨害しようとしたとの疑いが浮上しており、大統領罷免などの可能性まで取り沙汰され始めた(ロイター)。

このロシアゲート問題という新たな火種をトランプ政権は消し去ることができるのか。それともこれをきっかけにウォーターゲート事件によるニクソン大統領の辞任と同様の事態に発展するのかは読み切れないところがある。しかし、市場はこの問題を完全に無視できなくなりつつある。

フランスの大統領選挙でのマクロン氏の勝利、ドイツ最大州のノルトラインウェストファーレン州の議会選挙でメルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)が勝利したことにより、欧州の政治リスクは大きく後退した。そのタイミングでの米国の政治リスクの高まりにより、16日にはユーロドルは1.1ドル台に乗せ、ユーロ円は一時125円台に乗せてきた。

そして17日の欧米市場では、ロシアの米大統領選関与疑惑を巡りトランプ大統領に対する弾劾裁判の可能性も出てきたことで急速にリスク回避の動きを強めた。ドル円は一時110円台にまで急落(ドルに対して円高が進行)、125円台に乗せていたユーロ円も123円台となり、リスクオフの際の円の強さを意識させる動きとなった。

16日の欧米の株式市場はさほど動揺を見せておらず、ナスダックやロンドンの株価指数は過去最高値を更新中となった。しかし、17日のダウ平均は372ドル安となり、高値を更新していたナスダックも利益確定売りから158ポイントもの下げとなった。米10年債利回りは2.22%に低下し、前日の2.32%から0.1%もの利回り低下となった。

今後のロシアゲート問題の行方次第では、さらにリスク回避の動きを強める可能性があり、その動向にも注意を払う必要はありそうである。


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by nihonkokusai | 2017-05-18 09:30 | 国際情勢 | Comments(0)

ゆうちょ銀行が日銀の国債売買オペに参加、それぞれの思惑も

日本郵政グループのゆうちょ銀行が、日銀の国債売買オペに4月以降、参加しているようである。

4月19日にゆうちょ銀行は電子メールで「当行は、民営化以降、運用の高度化・多様化を進めており、その一環として、本件日銀オペの参加を申請し、この度日銀より承認されたもの」とコメントしていた(ブルームバーグ)。

私はてっきり、日銀の売買オペには、大量の国債を保有するゆうちょ銀行は当然参加していると勝手に思い込んでいた。しかし、確かに下記の日銀が公表した「国債売買オペの2016年度対象先公募(定例選定)の結果について」には、ゆうちょ銀行は入っていない。

「国債売買オペの2016年度対象先公募(定例選定)の結果について

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/rel161014a.pdf

ゆうちょ銀行が保有する国債額は73.5兆円規模となり日銀に次ぐ大きさである。ただし、運用等に制限もあったことで、日銀の国債売買オペには参加していなかったとみられる。

日銀にとってもすでに年間発行額規模の国債を購入しており、金融機関保有の国債の引き剥がしをしていかないと、この規模の買入はステルステーパリングをしているといえ、いずれ限界も来てしまう。そのような環境下、70兆円規模の国債を保有するゆうちょ銀行による国債売買オペへの参加は日銀にとっても願ったり叶ったりとなるのか。

しかし、ゆうちょ銀行にとって資産であるところの保有国債を日銀に売却してしまうとその資金の運用に困ることとなる。ただし、今後は資産運用の多極化も図るようで、それも今回の動きの背景にあるのかもしれない。ただし、証券会社などのように日銀トレードで鞘を取るといった運用が果たして可能なのであろうか。ちなみに、ゆうちょ銀行は国債入札参加者に含まれている。

財務省「国債に係る入札参加者一覧」

http://www.mof.go.jp/jgbs/topics/bond/bidders/index.htm

今回のゆうちょ銀行が日銀の国債売買オペに参加したことは、ゆうちょ銀行と日銀それぞれの思惑が働いているようにも思われる。


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by nihonkokusai | 2017-05-17 09:42 | 日銀 | Comments(0)

4月に地銀などが米国債やフランスの国債を過去最大規模で売り越しか

5月11日に公表された4月の対外対内証券投資売買契約の状況によると、居住者による対外債券(中長期債)投資は4兆2559億円の処分超となり、月次の売り越し額としては過去最大規模となったようである。

「4月の対外対内証券投資売買契約の状況」財務省

http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/itn_transactions_in_securities/month.pdf

11日の発表には国別の状況は記載されておらず、これは6月に公表される国際収支の付表で確認するほかない。

国際収支の付表がアップされるサイト

http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/release_date.htm

上記のサイトでは3月の数字まで確認できるが、対外証券投資(中長期債)に関しては、昨年11月までは全体での買い越しが続いていたのが、12月に2兆1136億円の売り越しとなり、今年1月も1兆2593億円の売り越し、2月が2兆1164億円の売り越しと大量の売り越しが続いていた。3月は3727億円の売り越しとなり、売り越し額は減少していた。

昨年12月からの売り越しの内訳を「主要国・地域ソブリン債への対外証券投資」で確認してみると12月は米債を2兆3894億円、フランスの債券を1483億円売り越していた。1月は米債を1兆6298億円、フランス国債を1894億円売り越し、2月は米債を1326億円、フランス国債を1兆5180億円売り越し。3月は米債は1兆398億円の買い越しとなっていたが、フランス国債を9428億円売り越していた。

フランスの10年債利回りの推移をみると、昨年11月の米大統領選挙を受けての米10年債利回りと連動するかのようにフランスの10年債利回りも上昇してきた。米大統領選挙前に0.5%割れとなっていたフランスの10年債利回りは、今年1月末に1%台に乗せてきた。米10年債利回りが12月のFOMCでの利上げ決定を受けていったんピークアウトしていたにもかかわらず、フランスの10年債利回りは3月半ばあたりまで上昇を続けた。この背景にあったのは今年4月、5月のフランス大統領選挙に向けた思惑であった。

国内投資家による12月以降の米国債の売却の要因のひとつとしては、米大統領選挙の結果を受けたトランプ政権の経済政策への思惑やFRBによる昨年12月と今年の3月の利上げにみられる正常化を睨んだものであったとみられる。

またフランス国債についてはフランスの大統領選挙を睨んだものであったとみられ、4月と5月の大統領選挙を前にして、4月もフランス国債を大量に売り越していた可能性はある。また売り越し規模からみても米国債も大量に売り越していた可能性がある。

さらに別の要因が影響していた可能性がある。5月16日の日経新聞の記事によると、昨年12月以降のフランス国債の売却は地銀などの売りではないかとの指摘があった。地銀などは日銀のマイナス金利政策の影響で日本国債などでは運用益が稼げず、外債投資を活発化させていた。しかし、上記のような米国債やフランス国債の利回りの上昇などもあり、金融庁が外債運用を拡大させている一部の地域金融機関を対象に米国債などの価格下落が経営に与える影響などの立ち入り検査を実施することになったと3月に報じられた。このため特に4月に地銀などが保有する米国債やフランス国債のポジションを大きく削減させていた可能性がある。いずれにしても来月発表される国際収支の付表にて確認してみたい。


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by nihonkokusai | 2017-05-16 09:41 | Comments(0)

6月の米利上げの行方

5月2日と3日に開催されたFOMCでは金融政策の現状維持を決定した。声明文では、「第1四半期の経済成長の減速は一時的である可能性が高い」とし「経済活動が緩やかなペースで拡大し、労働市場の状況はさらにいくらか力強さを増し」、その上で「インフレ率は中期的に2%近辺で安定すると予測している」としていた。

この声明文の内容からみて6月のFOMCでの利上げの確率は高いとみられる。利上げに向けた環境が整っているのであれば、何故5月のFOMCでは現状維持であったのか。これはFRBは公には認めてはいないものの、ある程度のルートマップが存在し、3月、6月そして9月のFOMCで利上げを行った上で12月のFOMCで保有資産の再投資を止めることで、膨らんだバランスシートの縮小に着手するのではとみられているためである。

3月、6月そして9月のFOMCで利上げを行うとの予想の背景には、年3回の利上げとしてバランスを配慮した面もあるかもしれないが、いずれも議長会見が予定されたFOMCであるということも絡んでいよう。ちなみに2013年12月のテーパリングの決定、2015年12月の政策金利の0.25%~0.50%への引き上げ。2016年12月0.50%~0.75%への引き上げ、2017年3月の0.75~1.00%の引き上げのいずれも、議長会見の予定されていたFOMCで決定された。

6月の利上げについて懸念材料となっていたのが、欧州の政治リスクであった。フランス大統領選挙でマクロン氏が勝利したことでユーロ分裂の危機は後退し、これもFRBの利上げの阻害要因とはならなくなった。

5日に発表された4月の米雇用統計では非農業雇用者数が21.1万人増と予想を上回った上に失業率は4.4%と約10年ぶりの水準に低下した。平均時給が前年同月比で2.5%増と前月から減速したものの、これも利上げにはフォローの要因となろう。

米議会の与野党は連邦政府の9月末までの支出をまかなう暫定予算案の内容で合意しており、政府機関閉鎖リスクも後退している。

12日に発表された4月の米消費者物価指数は前月比0.2%の上昇となり予想を下回ったが、これも6月の利上げの阻害要因とはならないとみられる。ちなみに前年比では2.2%の上昇。食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比0.1%上昇。前年比では1.9%上昇となっていた。

米10年債の利回りの推移を見る限り、6月の利上げをそれほど織り込んでいるようには見えない。これは今回に限らずではあるが、欧州の政治リスク等もあったことでリスク回避から利回り上昇が抑えられていた面もある。FRBの正常化に向けた政策に対し過度な反応は避けているようにも見える。

いずれにしても現在の環境に大きな変化がない限り、6月のFOMCでの利上げ決定の可能性は高いと見ている。


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by nihonkokusai | 2017-05-15 10:00 | 中央銀行 | Comments(0)

英国のEU離脱による混乱リスク

5月11日のイングランド銀行の金融政策委員会(MPC)では、7対1の賛成多数で金融政策の現状維持を決定した。フォーブス委員が即時の利上げを主張した。残りの委員らも上向きのニュースがあれば、利上げ支持に回るのはそう難しくないとの姿勢を示した。そしてスムーズな離脱を想定した経済予測の通りに景気が拡大すれば、市場が示唆しているよりも速いペースでの利上げが必要となる可能性があるとの認識を示した(ブルームバーグ)。

イングランド銀行の政策委員は定員が9名だが、シャーロット・ホッグ委員の辞任によって現在は8人となっている。

同時に経済予測も発表したが、これはEUとの交渉がこじれないことを想定した予測だそうである。カーニー総裁も「これとは別に、無秩序な交渉プロセスになる場合の予測も準備しなければならないだろうが、まだ行っていない」と会見でコメントした。

カーニー総裁の発言を受け、外為市場ではポンドが下落した。EU離脱の際の混乱の可能性、それによる英国経済への影響、さらにはイングランド銀行が利上げではなく、さらなる金融緩和を迫られる可能性などが意識されたものとみられる。

しかし、このポンド安が英国経済にはプラスとなるとの見方で、英国の株式市場はしっかりするなど一概にリスク回避の動きばかりとはなっていない面もある。イングランド銀行は2017年のインフレ予想は2.7%と従来の2.4%から引き上げたが、これはポンド安の影響も加味されているとみられる。

フランスの大統領選挙でのマクロン氏の勝利によって、ひとまずユーロ圏の政治リスクは大きく後退した。しかし英国はEU離脱をすでに決定してしまっており、今後どのようなかたちでEUを離脱し、それが英国経済や金融市場にどのような影響を及ぼすのかは不透明要因となる。グローバルに展開している金融機関などにとってもロンドン市場の今後を考慮すれば不安要因となろうが、いまのところ金融市場が英国リスクで動揺するようなことはない。しかしこれについても潜在的な不安要素となっていることも確かであろう。


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by nihonkokusai | 2017-05-14 10:24 | 国際情勢 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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