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深みにはまった日銀

 7月29日の日銀金融政策決定会合で「金融緩和の強化」が決定され、ETF(上場投資信託)の買入を現行の3.3兆円から6兆円とすることや企業・金融機関の外貨資金調達環境の安定のための措置を決めた。

 今回の日銀の決定会合では大規模な(真水部分はさておき)政府の経済政策と歩調を合わせて、大胆な金融緩和策を講じるとの見方が多かった。事前のエコノミストなどの市場関係者へのアンケートでは7、8割が追加緩和ありと予想していた。結果として追加緩和が決定されたということで、今回の追加緩和はサプライズではないものとなった。

 ただし、私を含め緩和策は限界が近いため無理はせずに現状維持との見方も少なからずあった。結果からみれば追加緩和はあったが、それは緩和を予想していた人々にとっては「これだけなのか」といった失望感も拡がった。私ら現状維持派としては、やるとしてもこの程度なのは致し方ないとの認識でもあった。

 むろんETFの6兆円の買入は決して小さな金額ではないし、株式市場に与える影響も大きい。しかし、これまでの黒田総裁のサプライズ緩和は、その規模の大きさやマイナス金利政策といった予想外の政策(黒田総裁本人がマイナス金利を否定していたこともあるが)であったことで、今回も過剰な期待感が出ていたこともたしかである。特に今回はいかにも政府筋が日銀に歩調を合わさせようと動いていた節もあるため、海外勢中心に異様な期待感が出ていた。それはヘリマネ現象としても現れていた。

 バーナンキ前FRB議長を日銀総裁や安倍首相と会わせ、いかにもヘリマネが重視されているかのような印象を持たせた。通常であれば議論が出ることすらおかしいはずの政策が公然と議論されるまでになってしまった。しかし、その後さすがにヘリマネはおかしいとの認識が強まると、今度は50年国債の発行を持ち出してきた。これはつまり現行の法律では永久債の発行が無理であるとわかり、代替手段として50年債を持ってきたとのではなかろうか。しかし、それも即座に否定され、ヘリマネ推進は今度は政府の財政政策と歩調を合わせる格好としての追加緩和観測を強めさせる手段に転じたのかもしれない。

 日銀が政府の強い要請を受けて29日までの金融政策決定会合で追加緩和策を具体的に検討している、と決定会合前にロイターが複数の関係筋の話として伝えた。さらに「政府は日銀に追加緩和を実施するよう懸命に働き掛けており、追加緩和が決まれば声明を公表する準備を進めている。」ともロイターは伝えている。ヘリマネはさておき、日銀に何らかの追加緩和を検討するように働きかけていたことは確かではなかろうか。

 その回答が追加緩和といはいえ、ほぼETFの買入増額という強化だけに過ぎなかった。日銀は12月の補完措置で国債買入の額を拡げようとしたが量の拡大はせずに、今年1月にはマイナス金利という新たな手段を導入した。このためECBのようにマイナス金利を引き下げることで緩和効果が出るとの期待もあったろう。しかし、量については国債買入の限界が意識されて手をつけられず、マイナス金利についてはメガバンク、ゆうちょ銀行などに加え、生保あたりからも批判的な声が上がり、その深掘りも諦めざるを得なかった。その結果出たのが今回のETFだけ、というものであった。

 29日に発表された6月の消費者物価指数は総合が前年同月比マイナス0.4%、ベンチマークとなっている生鮮食料品を除く総合(コア)が同マイナス0.5%、食料及びエネルギーを除く総合が同プラス0.4%となった。コア指数は前月のマイナス0.4%からマイナス幅を拡大させ、2013年3月以来のマイナス幅となった。つまり2013年4月の量的・質的緩和以前の水準にまでマイナス幅を拡げたことになる。

 これに対して6月の完全失業率は3.1%となり、前月に比べて0.1ポイント改善し、およそ21年ぶりの低い水準となった。同月の有効求人倍率は1.37倍と前月から上昇し、24年10か月ぶりの高水準となった。

 いわゆるアベノミクスが始まって物価はすぐに上昇する格好となり、コアCPIは2013年3月の前年比マイナス0.5%から、2014年4月にはプラス1.5%まで上昇した。しかし、ここがピークとなった。2014年10月には量的・質的緩和の拡大を行い、2016年1月にはマイナス金利政策を決定したが、コアCPIの前年比は低下し続け、今回のマイナス0.5%に低下した。

 雇用だけみるといかにもアベノミクスの効果があったに見えるが、そもそもアベノミクスの柱が異次元緩和にあり、その目的が物価の2%への上昇であったのだから、雇用の改善はデフレ脱却によるものではなくて別の要因によるものということになろう。

 このように物価目標からますます遠ざかり、一時値を戻していた原油価格も再び下落しつつあることで物価上昇への抑制圧力を除くことは容易ではない。大胆な金融政策でも物価には効果がないことを日銀が自ら立証してしまった格好となっている。

 これに対して日銀も何らかの手を打たざるを得なくなり、その回答が今回の決定会合の声明文での下記の部分である。

 「海外経済・国際金融市場を巡る不透明感などを背景に、物価見通しに関する不確実性が高まっている。こうした状況を踏まえ、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現する観点から、次回の金融政策決定会合において、「量的・質的金融緩和」・「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」のもとでの経済・物価動向や政策効果について総括的な検証を行うこととし、議長はその準備を執行部に指示した。」

 これをどう取るか。日銀は金融政策が物価に効果があるとのスタンスに変化はない。しかし、2年で2%という物価目標は達成されておらず、その検証もせずに追加緩和を進めることはおかいしいとの指摘もこれまでにあった。やっとそれに対して日銀も重い腰を上げたわけだが、その検証は原油安や消費増税など外部要因による影響を前面に出して、2年という期間を設けずに2%の物価目標達成を目指すといったものとなり、波及効果の分析等ではなく、言い訳を前面に押し出したものとなるのではなかろうか。

 戦争に反対していた山本五十六が真珠湾攻撃に望んだのは短期決戦を目指し、講話により和平の道を目指したとされる。当初の真珠湾攻撃は予想以上の成功を収めたが、ミッドウェー海戦で戦況が代わり、戦争は長期化し泥沼化していく。現在の日銀をこの太平洋戦争の日本軍の状況とたとえてみる向きも多い。昨日の黒田総裁の会見をみても決意だけは動かない、前進あるのみとし姿勢を維持していた。まだ買える国債は三分の二もある、マイナス金利の深掘りも可能と発言しても、今回なぜそれを講じなかったのかという点については具体的な言及は避けている。

 次回9月の会合では「検証」をするとともに、今回しなかった大胆な緩和をしてくるとの期待の声も出ているが、残念ながら目標達成できなかった言い訳を述べることと、長期戦の構えを示した上で竹槍を準備させるようなことになるのではなかろうか。むろん国債をもっと大胆に買入れ、マイナス金利を一層深掘りすることは技術的には可能ではある。ヘリマネまで踏み切るかもしれない。しかしそれは戦艦大和の玉砕攻撃に例えられよう。国債市場を大胆に破壊するようなことになりかねない。どんどん深みにはまる日銀だが、最後にその影響を被るのは誰なのかも考えておく必要があろう。

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by nihonkokusai | 2016-07-30 10:58 | 日銀 | Comments(0)

9月の米利上げの可能性は意外に高い?

 7月26、27日に開催されたFOMCでは政策金利の据え置きを決定した。6月のFOMCでは予想されていた利上げを見送ったが、この際には海外情勢の不透明性が大きいとし、英国の欧州連合離脱(ブレグジット)問題では、国民投票の結果が将来の政策を決定する上で考慮する要因となると指摘した。つまり6月に利上げが見送られた背景としては。英国の国民投票を控えて市場がリスク回避のような動きを強めていたことが挙げられよう。

 その警戒されていた6月23日の英国の国民投票により、英国のEUからの離脱が決まった。開票時間に市場が開いていた東京市場では、日経平均が1000円以上も下落し、ドル円は一時99円台まで下落するなど、ややパニック的な動きとなった。しかし、このようなパニック的な動きは一時的なものとなり、その後の米国の株式市場ではダウ平均やS&P500が過去最高値を更新するなど金融市場はしっかりしている。世界の金融経済に与える影響は比較的限定的なものとなった。

 今回は6月に賛成に回ったカンザスシティー連銀のジョージ総裁が再び利上げを主張して反対に回ったが、ほかのメンバーは現状維持に賛成した。現実に英国のEU離脱が決定したこともあり、もう少し様子をみようとしたもののではなかろうか。

 会合後に発表された声明文では、労働市場が力強さを増し、経済活動が緩やかな速度で拡大していることを示していると指摘した。雇用の伸びについては5月は弱かったが、6月は力強かったとしている。また、景気見通しへの短期的リスクは弱まってきたと指摘した。

 7月の利上げが見送られた背景には、慎重になった面とともに、議長会見のある会合での決定も意識されたのではなかろうか。これにより9月のFOMCでの利上げの可能性が高まったとみているが、いくつか注意すべき事柄がある。

 むろん経済物価動向、特に雇用統計などの経済指標なども重要であるが、それとともに8月25~27日にカンザスシティー連銀が開く経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でイエレン議長の講演が予定されていることである。過去、金融政策の変更の可能性のある前といったタイミングでは欠席するケースもあった。今年は6月に利上げを決定して少し余裕をもってジャクソンホールで講演とのスケジュールのはずが、英国のために予定が狂った可能性もありうる。急な欠席はないと思うが、このジャクソンホールのイエレン議長の講演も注目となる。

 そしてもうひとつ大きなイベントが米国で控えている。11月の米大統領選挙である。FRBは中立の立場となるものの、当然ながら無視はできない。共和党候補のトランプ氏は大統領となった際にはFRB議長を交代させるとも言っている。言うことを聞く人物を中央銀行の執行部としてとして送り込むというのは、どこかの国でもあった気がするが、それはさておき、そんな政治の干渉を受ける前にイエレン議長は正常化を進めたいのではないかとも思われるのである。そんな意味からも7月のFRBの利上げの可能性は意外に高いのではないかとみている。

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by nihonkokusai | 2016-07-29 09:52 | 中央銀行 | Comments(0)

内閣府の予測、雇用は当たり、物価は外れ

 7月26日に開かれた経済財政諮問会議の資料が面白い。その前提となる経済環境について「経済再生ケース」においては、日本経済再生に向けた、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を柱とする経済財政政策の効果が着実に発現するとして、中長期的に経済成長率は実質2%以上、名目3%以上となるとした。消費者物価上昇率(消費税率引上げの影響を除く)は、中長期的に2%近傍で安定的に推移するとしていた。

 アベノミクスがスタートしていた2013年8月の経済財政諮問会議の資料を確認してみたところ、経済に立てするシナリオは上記とほぼ同じであった。

 2013年8月の計数表の2016年度の予測と、最新の計数表の2016年度の数値を比較してみたい。2013年に予想していた2016年度の実質GDPはプラス1.9%(最新予測はプラス0.9%)、2016年度の物価上昇率は消費者物価指数でプラス2.8%(同プラス0.4%)、完全失業率は3.4%(同3.2%)、名目長期金利はプラス2.7%(同プラス0.3%)となっていた。

 念のため直近の数字を確認してみると2016年1~3月期の実質GDPは前期比年率プラス1.9%。5月の消費者物価指数は総合、コアともに前年同月比マイナス0.4%、5月の完全失業率は3.2%、そして7月27日の名目長期金利はマイナス0.285%となっていた。

 2013年8月の試算に比べてGDPや失業率については、ほぼ予測に近いものとなっていたが、物価上昇率と名目長期金利は予測から大きく乖離している。

 2013年から本格的に始動したアベノミクスであったが、そろそろその総括もする必要があるのではなかろうか。今回の経済財政諮問会議の資料の比較から見る限り、経済成長はそれなりに、雇用は予想以上の回復をみせた格好となっている。しかし、アベノミクスは本来、大胆な金融緩和を軸としたデフレ脱却がキーであったはずが、肝心の物価はむしろ前年比は下がっており、名目長期金利は足元マイナスとなっている。

 これはアベノミクスの三本の矢が物価は経由せずに、直接、景気や雇用に働きかけたかのように見える。しかしそれはそれで理屈が通らないであろう。アベノミクスは確かに円安株高に働きかけた。それは世界の金融経済リスクが後退したタイミングで、リフレ政策をぶち上げたことで市場が驚き、円高株安ポジションのアンワインドが発生したからに他ならない。その円安も長くは続かなかった。それでも景気が比較的しっかりしているのは、大きな世界的リスクの後退で米国経済などがしっかりしていためであろう。

 物価は上がらずとも景気や雇用がしっかりしている。そうであるのであれば無理な金融緩和で物価を上げようとする政策が果たして必要であったのかとの疑問もわく。それ以前に上記の試算の比較から浮き出るものとしては、異次元緩和は物価上昇にはまったく働かず、物価そのものは低迷し続け、物価の先読みをして動く長期金利も低迷どころかマイナスに沈んでいるという事実である。

 今回の試算によると「経済再生ケース」においては、2024年の名目長期金利の予測はプラス4.4%となっている(2013年の予測によると2023年に5%)。物価が上がれば長期金利も上昇するための予想であろうが、政府債務が1000兆円もあるなかでの長期金利4%と1993年ごろの長期金利4%とはかなり様相は異なる。そのため市場の価格変動リスク等はかなり大きくなるものと予想される。

 その長期金利が抑えられていることで、むしろ安定した経済成長が計れるということも言えまいか。しかし物価の先行きはさておき、その物価を上げようとして日銀がかなり無茶をやっている反動もいずれこよう。長期金利の予測も意外にあたっていたといった状況になった際に日本の金融経済がどのようなものとなるのか、むしろあまり想像はしたくない気もする。

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by nihonkokusai | 2016-07-28 10:06 | アベノミクス | Comments(0)

日本でも50年国債の発行を検討?

 日本でも50年国債の発行が検討されているとWSJが伝えた。この記事によると「その詳細は安倍政権が経済対策の一環として公表される可能性がある」そうである。国債は現在、最長は40年国債であるが、これは財務省主導で発行されたものである。ところが今回の50年国債は、WSJの記事をみる限り官邸主導の気配がある。もしそうであればヘリコプターマネーを意識したものとの憶測が出てくる可能性もあろう。財務省はこの50年国債の発行を検討しているとの報道を否定した。

 ただし、50年国債については、たとえば2006年の「国の債務管理の在り方に関する懇談会」の資料のなかでも大きくスペースを割いての説明もあった。財務省はいずれ50年国債の発行を目指していたことは確かであろう。ただし、直近の国債市場特別参加者会合では触れられていないなど、今回のことはやや唐突感もあったことも確かである。

 少し古い資料ながら、2006年の「国の債務管理の在り方に関する懇談会」の資料を基にして海外の50年以上国債発行についてみてみたい。

 フランスでは、オランダにおける年金基金の制度改正など年金に関する制度改革などにともなって、超長期債のニーズ増大に応えることを目的とし、2005年2月に50年固定利付債をシンジケート方式にて発行した。発行額は60億ユーロ。

 イギリスでは「利払負担の軽減」を目的として、2005年5月に50年固定利付債を入札方式にて発行している。発行額は25 億ポンド(約0.53兆円)。さらに9月には50年物価連動債をシンジケート方式にて発行。その後、それぞれリオープンを行っている。また、2006年5 月には40年固定利付債を入札方式にて発行しており、発行額は22.5 億ポンド。

 50年以上の国債は、他にポーランドで50年債、スイスでも50年債、中国では100年債が発行されている。

 もし50年債発行の可能性があるのであれば、50年ではなく60年債の発行が望ましい。国債(建設国債と赤字国債)には60年償還ルールがあるため、60年国債ならば借換債の発行をしなくても済むためである。しかし、その前に30年国債や40年国債の流通市場を整備するのが先決かとも思われるのだが。

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by nihonkokusai | 2016-07-27 13:39 | 国債 | Comments(0)

ヘリコプターマネーの議論の意味のなさ

 もうヘリコプターはどこかに飛んで行ってしまったようだが、ヘリコプターマネーの議論の意味のなさをあらためて確認してみたい。

 政府の経済対策の真水と呼ばれる部分は3兆円程度とされていたが、数年掛けて6兆円程度に修正されているようである。いずれにしても国債の増発はあったとしても限定的である。仮に10兆円規模で国債増発があったとしても、特に消化に支障を来すようなことは考えづらい。国債増発により財政規律が緩むため国債価格の下落を招くから、日銀が直接引き受ければ問題ないわけではなく、その方がむしろ財政規律の緩みがより意識されよう。

 国債発行に支障がないのに、政府の財政政策の財源に永久国債を発行する必要性はまったくない。しかもそれを日銀が直接引き受ける必要性もない。以前指摘したように仮に永久国債を発行するのであれば、建設国債や赤字国債は60年償還ルールがあり、このかたちでは発行ができないため、あらたに発行根拠法を制定し、新規の国債として発行する必要がある。これは国会で決めることで、日銀の金融政策決定会合で決めるものでもない。

 日銀が保有する国債を永久国債に置き換えるという手段もヘリコプターマネーの形態のひとつだそうだが、日銀保有の国債を別なものに置き換えても反対側にある日銀の負債が消えるわけではない。その負債とは現金と日銀の当座預金残高である。つまり我々の持っている現金そのものと日銀の口座に置いてある民間銀行の資金である。それを政府・日銀の都合で勝手にないものとすることなどできやしない。いや、そんなことをしたら国民が黙ってはいない。

 そして日銀保有の国債を永久国債に置き換えるにしても、当たり前だが手続きがいる。まず現在発行されている国債は途中償還条項が削除されている。つまり繰り上げ償還はできない。これをまず修正する必要がある。政府がその分を途中償還した上で、永久国債を新規に発行しなければならない。利率がゼロであろうか、マイナスであろうがとにかく、永久国債を発行するには繰り返しになるが新たに法律を制定しなければならない。そこまでしてこれをすることで何が変わるというのか。

 永久国債との名称ではあっても過去に海外で発行された永久債はすでに償還されているように、永久に償還されないわけではない。その国債を大量に日銀が直接引き受けを続けるようなことになれば、何が起きるかは過去のドイツや日本の歴史をみれば明らかである。なぜ中央銀行の国債直接引き受けは各国で禁じられているのかを確認すべきである。

 いやすでに日銀は国債の直接引き受けに近いことをしている、それにも関わらず国債利回りは低位安定している。だから直接引き受けを行っても問題はない、ヘリマネも一回ぐらいならば問題はないとの意見もある。

 アベノミクスと呼ばれたリフレ政策の原点はヘリコプターマネーに近いものであった。だから私を含めて警鐘を鳴らす向きも多かったはずである。いまのところ国債市場は非常に素直に利回りを低下させている。これは裏返せば、それだけこれまで積み上げてきた国債への強固な信認が存在していたためと考える。しかし、その信認を取り崩そうとするようなヘリマネ論議まで出てきている現状は国債への信認がいずれ崩れ落ちるリスクを増加させているようにしか思えない。ヘリマネは技術的にも無理がある上、それが孕むリスクは金融市場を崩壊させるほど大きなものといえる。

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by nihonkokusai | 2016-07-27 09:37 | 日銀 | Comments(0)

ヘリマネ狂想曲と日銀の追加緩和期待

 黒田日銀総裁は24日、中国・成都で開かれた20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の終了後に会見し、28、29日に開く金融政策決定会合では物価2%目標の早期達成の観点から金融政策を適切に判断すると語った(ロイター)。

 29日には6月の全国消費者物価指数の発表も予定されており、生鮮食料品を除くコア指数の前年比は5月のマイナス0.4%からさらに悪化しマイナス0.5%あたりの予想となっている。いずれにしても物価目標(こちらは全国消費者物価指数の総合)の2%からは大きく乖離していることは確かである。

 日銀は29日に公表する展望レポートで物価見通しを下方修正するとみられており、物価目標達成時期もさらに先延ばししてくる可能性がある。このため市場では物価2%目標の早期達成の観点から、日銀は追加緩和を検討するのではないかとの見方が強い。ブルームバーグがエコノミスト41人を対象に15~22日に実施した調査では、日銀が28、29日の会合で追加緩和を行うとの予想が32人(78%)と圧倒的多数を占めたそうである。

 上記の中国・成都での黒田総裁の発言には続きがあり、「ヘリコプターマネー」について「G20の中では、ヘリコプターマネーという言葉もヘリコプターマネーらしきことも全く議論はなかった」と発言していた。これは記者が「ヘリコプターマネー」の質問を振っての答えかと思われるが、常識としてヘリマネが追加緩和の手段としてG20で議論されるようなことは考えられない。それにも関わらずなぜ、日本の市場ではヘリマネ期待論が出ていたのか。

 この背景にはいわゆるアベノミクスの推進者ともいえた現スイス大使で前内閣官房参与であった本田悦郎氏などが絡んでいたとみられる。学者時代はヘリコプターマネーの推進者でもあったバーナンキ前FRB議長を日銀総裁や安倍首相と引き合わせることにより、ヘリマネがいかにも現実性があるように演出していた。これはある意味、アベノミクスの大きな柱である大胆な金融政策の限界を示すものとなる。リフレ政策を打ち出しても物価は上がらないとなれば、究極のリフレ政策であるヘリマネ導入を持ちかけた。ところが政府も日銀も過去の歴史を振り返り、さすがにヘリマネ導入に向けて動くことはなかった。

 それならばヘリマネは無理としても何かしらの追加緩和を日銀は検討せざるを得ないというのが市場参加者のコンセンサスであるのあろうか。これについてもやや疑問を呈せざるを得ない。やっても無駄だと言いながら、しかもやってもやらなくても円高になるとの予想をしながら、追加緩和すべきという意味が良くわからない。しかもあれだけ大胆な緩和をしながら物価が上がらないという現実を直視すれば、追加緩和に何の意味があるというのであろうか。まずはその異次元緩和の効果について総括をするべき時期に来ているのではなかろうか。

 英国のEU離脱により金融市場がパニックに陥るなどの非常時であれば、市場を落ち着かせる意味でも何かしら手を打つことも必要であろう。しかし、そのような市場の混乱は一時的であり、当事国の英国のイングランド銀行もECBも金融政策は現状維持とした。それにも関わらず日銀がこのタイミングで追加緩和をする必要性はないはずである。

 期待先行方ともいえるような今回の日銀の追加緩和期待ではあるが、これはサプライズを重視していたことによる黒田総裁と市場の対話がうまくいっていないことの現れでもあるのかもしれない。日銀はある意味いろいろと追い詰められている。市場はさらにその日銀を追い詰めることにより、むしろ今回の日銀の異次元緩和の矛盾をさらけ出そうとの意図もはたらいているのではないかとも勘ぐりたくなる。

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by nihonkokusai | 2016-07-26 09:44 | 日銀 | Comments(0)

ヘリマネを決めるのは日銀ではなく政府

 7月21日の夕方にブルームバーグが「日本銀行内で、巨額の長期国債を買い続ける現在の量的・質的金融緩和の持続可能性について懸念を示す向きが増えつつある。複数の関係者への取材で明らかになった。」と報じたことで、ドル円は107円台から下落した。そこにさらに「日銀の黒田総裁が21日に放送された英BCCラジオとのインタビューで、ヘリコプターマネーについて「必要も可能性もない」との見解を示した」と報じられたことで、その流れが加速され、ドル円は105円台にまで下落した(円高が進行)。

 28、29日の日銀の金融政策決定会合まで1週間あまりとなり、何かしらの観測気球のようにもみえるが、ブルームバーグの記事の内容をみるとその関係者は「新たな政策の在り方や、そのタイミングについても言及していない」としており、金融政策の方向性を示すものではなかった。しかし、市場では追加緩和観測が強まっていただけに、緩和なしとの選択肢の可能性が意識されたものと思われる。

 日銀の追加緩和観測が強いのは物価が目標から遠ざかる一方であり、何かしらの手を打つ必要があるのではとの見方が背景にあるかと思う。しかし追加緩和手段以前に、異次元緩和で物価は上がらなかったこと、マイナス金利により異常に国債利回りが低下してしまって深掘りの意味がなくなった上に、これだけ国債利回りが低下しても目に見えた改善が起きていないこと、追加緩和が単純に円安に働きかけなくなったことなどなどの課題も山積している。

 さらに国債の買入はほぼ限界に近づいているというのは債券市場参加者の共通認識とみられ、技術的にはあと10兆、20兆は増やせても、国債買入未達時期を引き寄せることになる。マイナス金利の深掘りは金融界だけでなく政権にも不評であり、ECBも深掘りは止めている。ちなみに21日のECB政策理事会では金融政策現状維持となっていた。

 質的緩和として、ETFやREIT、社債等の買入増額にしても、市場規模からの限界や、すでに買入額が大きすぎることによる悪影響も懸念される上、戦力の逐次投入という格好になる。これだけでは市場も納得いかず、逆効果の恐れもあろう。それでもやらないよりましとしてやれば、さらに深みにはまる恐れもある。

 このように日銀による追加緩和の可能性はその手段に限界もあり、個人的にはさほど高いとは思っていない。さらに黒田総裁がヘリマネに否定したことで円高が加速した理由が良くわからない。

 このインタビューは6月に行われたもので、7月11日に黒田総裁がバーナンキ議長と会う前だから意味がないというつもりではない。バーナンキ氏に会おうが会わまいが、黒田総裁の「必要も可能性もない」との認識に変わりはないと思われる。当然ながらこのタイミングで記事が出ることは日銀も了解していたはずであり、それはつまり市場による過度なヘリマネ期待を後退させる意図があったとしてもおかしくはない。

 そして最も注意すべきことはヘリマネと呼ばれるものの決定権は日銀にはないことである。ヘリマネは日銀の金融政策決定会合で決めるようなものではない。ヘリマネが「政府が市場性のない永久国債を発行し、これを日銀が直接全額引き受ける」というのであれば、新たな国債を発行するための法律が必要となる上、財政法上との兼ね合いをどうするのか国会で審議する必要もあろう。日銀が勝手に国債引き受けますからよろしくで済むものではない。

 もちろんそれ以前にそのようなリスクある手段を取らなければいけないような状況下におかれているわけでもない。ヘリマネを期待するのは勝手ではあるものの、少なくともヘリマネを決めるのは日銀ではなく政府ということだけは認識しておく必要があるのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2016-07-23 11:31 | 日銀 | Comments(0)

日本では何故、永久国債は発行できないのか

 バーナンキ前FRB議長が今月11日から12日にかけて、安倍首相や黒田日銀総裁と会談したことで、市場ではヘリコプターマネーへの思惑が出ていた。そのヘリコプターマネーについては人によって解釈が異なるが、今回について言えば「政府が市場性のない永久国債を発行し、これを日銀が直接全額引き受ける」との認識で捉えられていたかと思われる。

 日銀による国債の直接引き受けは、高橋財政による日銀の国債引き受けが結果として戦後のハイパーインフレの大きな要因とされたことで戦後に制定された財政法の五条で「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない」として禁止されている。

 しかし、「但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない」との抜け道も用意されている。実際に過去、この但し書きにより、日銀が保有している国債が満期償還を迎えると、1年間に限って現金償還を延長し、現金の代わりに短期国債を発行し、それを日銀が引き受けるという手段をとっていた時期が存在した。むろんだから日銀による国債の直接引き受けは実質的に可能であり、しても良いと言っているわけではないが、絶対にできないものではない。

 そして今回のヘリコプターマネーとされる解釈にはもうひとつの障壁が存在する。それが永久国債(コンソル債)である。かつて英国では、国債はこの償還期限のないコンソル債が主体であった時期があったぐらいにそれほど特殊な債券ではない。ただし、この永久国債を日本で発行しようとしても簡単にはできない。それは国債には当然ながら発行するために関係する法律が存在しているためである。建設国債は財政法、赤字国債は発行するたびに特別法を制定して特例により発行されている。さらに下記のような償還の仕組みも存在している。

 一般会計の各年度の歳出財源を賄うために発行される国債(つまり建設国債と赤字国債)の償還は、すべて国債整理基金を通じて行われている。国債整理基金に関する法律である特別会計法の第四十二条には、「国債(一般会計の負担に属する公債及び借入金(政令で定めるものを除く。)に限る。以下この項及び次項において同じ。)の償還に充てるために繰り入れるべき金額は、前年度期首における国債の総額の百分の一・六に相当する金額とする。」とある。

 何のことかわかりにくいが、要するに建設国債と赤字国債は60年かけて償還されるという「60年償還ルール」が存在している。

 1965年度に戦後初めて発行された国債(特例国債、7年債)は、その満期が到来する1972年度に全額現金償還されたが、1966年度以降に発行された建設国債については、発行時の償還期限にかかわらず、すべて60年かけて償還される仕組みが導入された。これは公共事業によって建設された物の平均的な効用発揮期間、つまり使用に耐えられる期間が、概ね60年と考えられたためである。これが国債の60年償還ルールと呼ばれるものである。これに基づいて発行される国債が借換国債もしくは借換債と呼ばれている。

 1985年からは建設国債だけでなく特例国債(赤字国債)にも借換債の発行が認められることになった。これは1970年代後半から国債の大量発行が続き、1972年に国債発行の中心となるものの年限が7年から10年に延長されており、1970年代後半の10年後には大量の国債償還・借換えに対応する必要が出てきた。この際に厳しい財政事情のもとでそれを現金償還するとなれば、極端な歳出カットが求められることになるため、特例国債についても借換債の発行を行わざるを得なくなったためである。

 このため、歳出財源を賄うための国債として永久国債を発行しようとするとこの60年償還ルールに引っかかってしまうのである。もちろんこれについても新たな法律を作ってそれを発行根拠法とした上で新たな国債として永久国債を発行するなりといった手段もあり、絶対に無理というわけではない。しかし、それには法律を制定するなりの手続きが必要となり、簡単には発行できるものではないし、それは日銀の仕事でもないのである。

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by nihonkokusai | 2016-07-22 10:00 | 国債 | Comments(0)

6月は日本国債の売買高が回復

 7月20日に日本証券業協会は6月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

5月の公社債投資家別差し引き売買高 注意、マイナスが買い越し、単位・億円
()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 1174(-235、-1726、3328)
地方銀行 5659(1430、4568、448)
信託銀行 -2612(670、-893、-3296)
農林系金融機関 188(144、326、0)
第二地銀協加盟行 923(204、465、10)
信用金庫 608(477、1437、-318)
その他金融機関 -562(175、143、-1)
生保・損保 -4453(-3902、126、801)
投資信託 -1202(-303、34、-283)
官公庁共済組合 -131(68、-1、0)
事業法人 -255(83、-144、53)
その他法人 2(19、199、14)
外国人 -22166(-394、-7896、-12515)
個人 489(42、41、9)
その他 12670(2591、2840、12089)
債券ディーラー 393(103、323、28)

 都銀はそれほど金額は大きくはないが再び売り越しに転じた。今回、その他を除くと売り越しトップは地銀となっていた。長期ゾーンを中心に外していたようである。海外投資家は中期ゾーンを主体に引き続き大幅買い越しとなった。長期債も買い越しとなり、超長期債も金額は大きくはないが買い越しとなった。

 国債の投資家別売買高(一覧)での合計の国債売買高でみてみると、先月発表された2016年5月分の国債売買高は162兆1940億円となり、統計のある2004年4月以降最低となっていた。しかし、6月は201兆7760億円とかなり回復していた。6月は英国のEU離脱により市場ではリスク回避の動きを強め、日本国債も買い進まれていたことで売買高が膨れた面もあった可能性もある。売買高の低迷が一時的であったのかどうか、もう少し見極める必要もありそうである。

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by nihonkokusai | 2016-07-21 09:49 | 国債 | Comments(0)

多様なリスクと日米欧の金融政策の行方

 14日にフランスのニースでトラックが群衆に突っ込むという痛ましい事件が発生したが、これはテロであったようである。そして、日本時間の16日の未明にトルコでクーデターが発生した。当初は情報が錯綜したが、市民が立ち上がりテロは未然に防がれた。

 6月23日の英国の国民投票によりEUからの離脱が決まったことによる金融市場や世界経済への影響も懸念され、これを受けての日米欧の政府の対応とともに中央銀行の金融政策への影響も市場では意識された。

 7月14日のイングランド銀行のMPCでは、一部に利下げ期待があったが現状維持となった。発表された議事要旨によると、ほとんどの金融政策委員は新しい経済予測をまとめる8月の金融政策委員会で、新たな金融緩和策を議論することを支持するとなっていた。つまり、利下げは8月のMPCで検討されるということになる。だかといって必ずしも8月のMPCで利下げが決定されるということではない。ロンドンの株式市場の代表的な指数であるFTSE100指数はすでに昨年8月あたりまでの水準に切り返している。8月の英国利下げを織り込んでとの見方もできなくはないものの、むしろ米国の株式市場でダウ平均が過去最高値を更新していることなどが影響しているとみられる。

 今週21日のECBの政策理事会でも、英国EU離脱による金融市場への影響は一過性のものであったことや、懸念されていたイタリアの銀行問題についても市場を脅かすような状況に陥る懸念は後退しており、追加緩和は議論はされてもそれが決定されることはないと思われる。

 株価指数が連日の高値更新となっている米国に関しても、英国のEU離脱による金融経済への影響、フランスのテロやトルコのクーデター未遂事件による地政学的リスクも意識されたが、比較的その影響は限定的となっていた。米株式市場では、これらよりもソフトバンクによる英ARM買収のニュースやポケモンGOの人気に影響を受けるなど、地合は明らかに改善されている。

 ただし、世界経済そのものについては低迷が続くとの見方が強い。中国経済についてもバブルは崩壊し、クラッシュまでは起きていないが、低迷が続くことは確かであろう。アジア、欧州、中東、ロシアなどいろいろとリスク要因となりそうなものは潜在しているが、世界の経済や金融は以前に比べれば比較的安定しているように見える。

 日米欧の中銀のなかで真っ先に正常化に向けた踏み出した米国であるが、6月の利上げは見送ったとは言え、利上げに向けた姿勢には変化はないとみられる。英国のEU離脱懸念を理由に6月に利上げを見送ったことで7月についても様子を見て、9月のFOMCで利上げを検討するのではないかと予想される。

 そして日銀であるが、日銀の金融政策は建前上、為替や株を見て検討されるわけではない。しかし、それをかなり意識していることも確かであろう。ここにきて一時ドル円が99円台をつけた円高は調整されつつあり、株価は回復してきている。長期金利は比較的低位で安定しており、ここからさらにマイナス金利を引き下げても効果は限定的となろう。そうであれば無理をする必要はない。物価目標は遠い、だからといって追加緩和を決定すべき環境にあるわけではない。

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by nihonkokusai | 2016-07-20 09:58 | 国際情勢 | Comments(0)
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