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3月末時点での日本国債の保有者

 日銀は6月17日に資金循環統計(1~3月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は昨年末時点で約1706兆円となり、過去最高を更新した昨年末の約1740兆円から減少した。個人の金融資産の内訳は「現金・預金」が前年比1.3%増の約894兆円、「株式等」が9.9%減の約153兆円、「投資信託」は3.7%減の約92兆円となっていた。年初からの原油安などを背景としたリスク回避の動きによる株安の影響を受けたものと見られる。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

保有者        国債残高 シェア 前期比増減 単位 億円、%
中央銀行 3,171,186 33.2 287,770
保険・年金基金 2,448,288 25.6 132,495
預金取扱機関 2,323,088 24.3 35,877
公的年金  524,955 5.5 5,660
海外      508,201 5.3 30,168
家計       137,556 1.4 1,589
その他      437,221 4.6 -42,788
合計     9,550,495 100.0 450,771

 2015年12月末(確報値)に比べ、国債(短期債除く)の残高は約45兆円増加し、約955兆円となった。このうち日銀が317兆円と約33%を占め、民間の保険・年金が約245兆円で25.6%、次が銀行など民間預金取扱機関が約232兆円の24.3%となった。

 12月末(確報値)に比べて大きく増加したのは、大量に国債を買い入れている日銀で約29兆円の増加となった。次いで保険・年金の約13兆円増となっていた。9月末に比べて大きく減少したのが、ディーラー・ブローカーで他の業態は増加となっているところが多かった。日銀は1月29日にマイナス金利政策を導入し、2月9日には10年債利回りもマイナスとなるなど国債は買い進まれており、その結果がこの数字にも表れたとみられる。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1075兆円となり、日銀が約364兆円で33.9%のシェアとなっていた。そして海外勢の残高は約110兆円と短期債を含めると国債全体の10.2%のシェアとなり、前回に続いて10%を超えた。

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by nihonkokusai | 2016-06-18 08:33 | 国債 | Comments(0)

7月におけるFRBと日銀の政策変更の可能性

 6月14、15日に開催されたFOMCでは全員一致で金融政策の現状維持を決定した。前回利上げを主張し反対票を投じたカンザスシティー連銀のジョージ総裁も今回は賛成票を投じた。

 イエレン議長は会見で、これまでの第2四半期の経済指標は、成長がかなり持ち直していることを示唆しており、緩やかなペースで拡大するとの認識を維持した。利上げに関してFOMCは適切と考えれば、今後数か月中にためらわず行動するとし、次回会合、次々回会合と特定するのは心地悪いが、可能性はあるとして、早ければ7月のFOMCで利上げを検討する可能性があることを示唆した(ロイターの記事より一部引用)。

 そして、海外情勢の不透明性が大きいとし、英国の欧州連合離脱(ブレグジット)問題では、国民投票の結果が将来の政策を決定する上で考慮する要因となると指摘した。つまり今回、利上げが見送られた背景としては英国の国民投票を控えて市場がリスク回避のような動きを強めていたことが挙げられよう。

 歴史にもしはありえないが、もし英国の国民投票に対して離脱派の勢いがこれほど盛り上がらなければ、今回のFOMCで利上げが決定されていた可能性はある。しかし、ブレグジット問題に対して市場が神経質になっているばかりでなく、現実に離脱の可能性も出てきたことにより、それによる世界的な金融経済への影響が読みづらくなっているため、動くに動けなかった面があろう。もちろん5月の雇用統計の非農業雇用者数をみてとの判断もあったのかもしれない。

 私はFRBに関しては昨年12月の利上げから、約半年程度の期間を置いて追加利上げをすると見ていた。これは2006年7月の日銀のゼロ金利解除から次の利上げとなる2007年2月までかなりの期間を置いていた事例があり、FRBも追加利上げには慎重になるであろうと見ていたためである。ただし、スタンスとしてはリーマン並みのショックが起きない限りは、年1回か2回の利上げペースを維持してくるとみていた。そして、利上げをするタイミングとしては議長会見のあるFOMCの方が説明がスムーズにいくことで6月の可能性が高いとみていた。しかし、残念ながらその見通しは外れたことになる。ただし、議長会見の予定はないが、6月の雇用統計などを確認して、7月のFOMCでの利上げの可能性はまだ残っているとみている。

 英国の国民投票を控えて動けないということについては、日銀も同様かと思われる。日銀の場合はむろん利上げではなく、追加緩和となる。今回は現状維持となったが、目標から遠ざかっている物価指標を睨んでの追加緩和に対する検討を市場は予想しており、7月に追加緩和をするとの見方が多いようである。

 ただし、日銀の追加緩和についてはその手段を意識するとかなり難しいはずである。日銀は異例ともいえる任期の長さとなっている雨宮理事、内田企画局長、正木企画課長といういわば異次元緩和の参謀たちを中心に、果たしてこの次にどのような手立てを打ってくるのかは想像できないが、日銀はすでに八方塞がりになっているのではなかろうか。

 金利という面からはマイナス金利政策についてはメガバンクや生保の一角、さらには地銀などからも批判的な声が出ている。選挙を控えて政府もマイナス金利の深掘りに対しては容認しづらいのではなかろうか。しかも波及経路となるはずの長期金利はすでにマイナス0.2%台に低下している。量については国債買入の10、20兆円の増額とかは不可能ではないが、国債買入の未達が現実化してくる。質という面でその他の資産買入の増額だけでは、いわゆる逐次投入と認識される懸念があるし、市場規模も大きくはないため限界がある。

 つまり三次元の緩和方式のいずれも、かなり難しいと見ざるを得ない。それとも新たな次元をひとつ開拓してくるというのであれば別であるが、私の想像力ではその新たな次元となる施策が思い浮かばないのである。ちなみに米国債の買入という手段については、大統領選挙も控え米国の政府サイドが為替介入も含めて、よほどの事態とならない限りは容認するとは思えない。

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by nihonkokusai | 2016-06-17 09:42 | 日銀 | Comments(0)

ドイツの長期金利がマイナスに

 マイナス長期金利倶楽部にドイツも加入した。6月14日の欧州債券市場では、英国のEU離脱への懸念の強まりからリスク回避の動きをさらに強めた。この結果、ほぼゼロ近くまで低下していたドイツの10年債利回りはゼロを突破し、一時マイナス0.033%まで低下した。ドイツの10年国債利回り、つまり長期金利がマイナスとなったのは初めてである。

 長期金利のマイナス倶楽部の先駆者はスイスである。2015年1月15日のスイス国立銀行がスイスフランの上昇を食い止めるために設定した対ユーロの為替レートの上限を撤廃し、超過準備に適用する金利をマイナス0.25%からマイナス0.75%とするなど利下げを実施したことも影響し、10年債の利回りまでマイナスとなったのである。現在ではスイスの国債は残存20年以上の利回りまでもがマイナスとなっている。

 その後、日銀が今年1月29日の金融政策決定会合でマイナス金利政策を導入したことにより、日本の10年債利回りも低下を続け、2月9日に初めて日本の10年債利回り、つまり長期金利がマイナスとなった。その長期金利は6月15日にマイナス0.195%まで低下した。日本の国債は残存15年あたりまでマイナスとなっている。

 現在、いわゆる長期金利がマイナスとなっているのはスイス、日本、そしてドイツだけとなる。しかし、中央銀行でマイナス金利政策を導入しているのはスイス国立銀行、ECBと日銀の他に、スウェーデンの中央銀行であるリクスバンクとデンマーク中銀、そしてハンガリーの中央銀行であるハンガリー国立銀行がある。

 念のため、スウェーデンとデンマーク、ハンガリーの10年債利回りを確認したところ、この3か国はまだ利回りはプラスとなっている。しかし、デンマークの国債利回りは5年あたりまでマイナスとなるなどしており、マイナス長期金利倶楽部への加盟も時間の問題となるかもしれない。

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by nihonkokusai | 2016-06-16 09:27 | 債券市場 | Comments(0)

英国のEU離脱問題(ブレグジット)とは何か

 英国でのEU離脱か残留かを問う国民投票を控え市場が揺れに揺れている。このEU離脱問題はブレグジット(Brexit)と呼ばれる。BrexitとはBritain(英国)とExit(退出する)を組み合わせた造語であるが、元はグレグジット(Grexit)と呼ばれたギリシャのユーロ圏離脱を意味する造語にあるのではなかろうか。こちらもGreece(ギリシャ)とExit(退出する)を組み合わせた造語であった。

 英国は1973年にヒース政権下でEEC加盟を決定したものの、1975年にEECからの離脱をめぐって国民投票を実施しており、この際にはEEC側が妥協案を提示したこともあり残留が決まった。1992年にジョージ・ソロスがイングランド銀行相手にポンド売りを仕掛け、結局、イングランド銀行は買い支えることができず、英国はERM(欧州為替相場メカニズム)を脱退した。このため2008年にリスボン条約を批准したことで英国は欧州連合(EU)には加盟しているが、ユーロ圏には属していない。

 今回はこの欧州連合(EU)からの離脱を巡っての国民投票が実施される。なぜ離脱を望む声が出ているのかといえば、国家統一を目指すような欧州連合(EU)に縛られたくないことや、EU法による過度な規制が中小企業の経営を圧迫しているとの議論があり、EU法上は難民受け入れを拒否できないなどとの理由が挙げられている。

 これに対して残留派はシティというグローバルな金融市場を抱えていることでのEUに属する利点があり、離脱すると安全保障上の脅威が及びかねず、他のEU加盟国との関係が悪化する懸念を指摘している。また、中長期的に英国経済にはマイナスとなる懸念なども強調している。

 この英国のEU離脱問題に対しては、5月の伊勢志摩サミットの首脳宣言でも「成長に向けたさらなる深刻なリスク」と明記されているなどとして懸念されていた。しかし、市場ではリスク要因ではあるが、EU離脱は避けられるであろうとの楽観的な見方が支配していた。ところが、ここにきて英国での世論調査で離脱派が残留派を上回るといった事態が出てきたことで、金融市場は急速にリスク回避姿勢を強めることになったのである。

 英国のEU離脱がすぐに世界経済に何かしらの影響を与えるものではないが、先行きの不透明感が増すことになる。英国の国内問題に止まらず、EUというシステムそのものが崩壊する懸念も生じよう。市場ではすでに英国の通貨であるポンドが売られ、安全資産として英国債は買い進まれ、英国の10年債利回りも過去最低を更新した。リスク回避の動きからドイツの10年債利回りが初めてマイナスとなった。

 23日の国民投票の結果をみるまでは金融市場は不安定な動きをすると予想される。またもし23日の国民投票で離脱派が過半数を占めた場合には金融市場がさらに動揺する懸念もある。その前に開かれるFOMCや日銀の決定会合では金融政策は現状維持とするのではないかと予想される。市場が不安定なところに、新たら不安定要因をここで投じることは避けたいところではなかろうか。ただし、イングランド銀行がすでに臨時の資金供給を実施するなどしており、23日の国民投票の結果次第ではECBなども対応を迫られる可能性がある。

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by nihonkokusai | 2016-06-15 10:00 | 国際情勢 | Comments(0)

ギクシャクする日銀と政府の関係

 日銀に対する追加緩和期待も市場の一部では強まっているようで、むしろ多くの市場関係者が追加緩和を予想していないことでサプライズ狙いの黒田総裁が動くのではとの期待もある。参院選を控えて安倍首相がアベノミクスの再スタートをスローガンに挙げており、それに呼応する形での日銀の追加緩和を期待する声も出ている。

 しかし、サプライズ狙いだとしても日銀にできることは限られている。それでも国債の買い入れ額を10~20兆円もしくはそれ以上増やすこともできないわけではない。ETFやREITの買入をさらに増やすこともできないわけではないが、いずれもあまり現実味はない。

 国債の買い入れを増額させればさせるほど日銀の国債買入が未達となる時期を引き寄せるだけである。ETFやREITの買入増額にもその市場規模から限界があろう。それならば米国債の大量買入はどうか。いま為替絡みで事を起こすと、せっかく関係が改善しつつある米国が黙ってはいない。まして米大統領選挙も控えている。となれば日銀の追加緩和は米国も納得できるよほどの事態の裏付けがないと難しいことになる。もちろん米国の顔色を見ながら政策変更をするわけではないが、自国通貨安政策に対しては国際的な非難を浴びかねない。

 そしてアベノミクス絡みでの日銀の動向については、アベノミクスがスタートした頃と現在ではずいぶんと様相が変化している。端的に言えば首相官邸と日銀の関係が当初の二人三脚の関係から、いまはかなり冷え込んだ関係になっていると予想されるのである。

 その要因として最も大きいのは消費増税を巡る動きにあろう。特に2014年10月の日銀による量的・質的緩和の拡大の背景のひとつが、消費増税実施を前提に、その景気への配慮が意識されていた。ところが安倍首相は消費増税を先送りした。過去の黒田総裁の発言からも日銀が国債を大量に買い入れている状況下、国債への信認維持のための財政健全化は、財政ファイナンスと意識されないためにも、大きな前提条件となっていたはずである。ところがそのための前提条件であったはずの消費増税について、安倍首相は二度に渡り延期を決定している。日銀としてもこれは心中穏やかではないのではなかろうか。

 さらにアベノミクスのリフレ政策の大きな柱ともなった通貨安政策に対して、米国がはっきりとノーを突きつけてきただけでなく、国内の企業などからも過度な円安に対して批判的な声が出ていた。政府としても通貨安狙いとされる日銀の追加緩和に対しては参院選を考えるとそれほど望ましとは考えてはいないのではなかろうか。

 今年1月のマイナス金利政策の導入についても、官邸は日銀に対して何をしてくれたのだという見方になっているのではなかろうか。国民の評判が良くない上に、金融機関も日銀に対してプライマリー・ディーラーの資格返上などを通じて暗黙の批判を投げかけている。ここからのマイナス金利の深掘りは、すでに国債のイールドカーブが想定以上に引き下げられているなか、長期金利の低下を通じたものとの理屈において効果はほとんどない。仮にアナウンスメント効果狙いであるとしても、こからのマイナス金利の深掘りは、金融機関、国民さらには選挙も控えた政権をも敵に回すような懸念すら存在している。

 最後にここが一番重要なのだが、そもそもアベノミクスによる異次元緩和で物価目標がいっこうに達成されていないという現実がある。それが日銀と政府の関係を余計にギクシャクさせているのではなかろうか。だから追加緩和が必要だとの言うのであれば、それがどのように物価を押し上げるのかを説明する必要もある。

 もちろん政府も日銀もアベノミクスとその柱の異次元緩和は成功したと表向きは主張したいところであろう。しかし、それが結局は成功しなかった事実により、サミットを利用して妙な説明を行ったり、異次元ではなく三次元なる緩和を決定したりした。

 これらが市場にすでに見透かされていることは、それらに対する株式市場や外為市場の反応からも伺える。これは今後の日銀の追加緩和に関しても同様であろう。その間、リスク回避として日本国債は異常なまでに買われ、その分の国債のリスクを増加させている。

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by nihonkokusai | 2016-06-14 09:25 | 日銀 | Comments(0)

日本国債格下げの懸念

 日本国内の大手格付け会社、格付投資情報センター(R&I)は、政府が消費税率の引き上げを再延期することで財政再建に対する不透明感が高まったとして、日本国債の信用度を示す格付けの方向性を、これまでの「安定的」から将来的に引き下げる可能性がある「ネガティブ」に改めた(6月6日のNHKニュース)。

 安倍首相が消費増税の再延期を表明したことに対し、海外の大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズは直ちに日本の財政が悪化することはないとして当面、日本国債の格付けを見直すことはないという見解を示していた。これに対してムーディーズは財政再建の目標達成に対する疑念が強まったとして、格付けを評価する際にマイナスの要因になるという見解を示していた。

 海外格付け会社は意外と冷静に見ているなと思っていたが、国内格付け会社による見通し変更は意外感もあった。とはいえ、格付け会社がこのような警告を発することは必要かと思われる。いまのところ日銀の大量の国債買入により需給はタイトとなっており、国債への信認も維持されていることで、日本の10年国債利回りが過去最低を更新するなどしている。

 しかし、日銀の大量の国債買入により日本国債は価格発見機能を失いつつあることも確かである。それにより日本国債に対するリスクも覆い隠されている。しかし、それが突如として顕在化する懸念は存在する。禁じ手とされるヘリコプターマネー論も出てきているなど今後、日本国債のリスクが増加してくる懸念はありうる。

 ムーディーズが1998年にはじめて日本国債の格付けを引き下げて以降、スタンダード&プアーズも含め海外格付け会社は幾度も日本国債を格下げしてきた。しかし、日本国内の格付け会社が動いたのは2011年12月であり、このときはR&Iが日本の外貨建て・自国通貨建て発行体格付けをAAAからAA+に引き下げた。しかし、これ以降はR&Iによる格下げはなく、現在R&Iの日本国債の格付けは上から二番目のAA+である。

 海外格付け会社による日本のソブリン格付けは、ムーディーズがA1でアウトルックは安定的、スタンダード&プアーズ(S&P)がA+でアウトルックは安定的、フィッチがAでアウトルックはやはり安定的となっている。

 これと比較してR&Iによる日本国債の格付けはまだ高いともみられ、その意味では格下げ余地はあるとの見方もできる。しかし、それでも日本の格付け会社が見通しを変更というのは海外の格付け会社の見通し変更に較べて重みもある。米国の格付け会社のS&Pが2011年8月に米国の長期格付けを最上位のAAAからAA+に1段階引き下げたときも市場に動揺が走った。

 日本の国債市場は格下げに対してほとんど動揺せず、というのがアノマリーと化しており、今回のR&Iの見通し変更の反応も同様であった、しかし、国内の格付け会社が懸念を示したという事実はまったく無視してはいけないであろう。今後の日本国債に対する格下げの可能性は意識しておく必要があろう。

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by nihonkokusai | 2016-06-13 09:59 | 国債 | Comments(0)

世界的な国債バブルによるリスク

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 10日のドイツの10年債利回りは一時0.009%まで低下し過去最低を更新した。英国のEU残留か離脱を問う国民投票を23日に控え、リスク回避の動きも出たとみられる。また、日本の国債などは10年以上のものまで利回りがマイナス化しており、比較的安全性の高い国債でプラス利回りのものが物色されていた面もあろう。

 10日の東京市場でも日本相互証券で10年債利回りがマイナス0.155%まで低下しており、今年3月18日と4月20日、21日に付けていたマイナス0.135%を下回って、いわゆる長期金利が過去最低を更新した。

 9日に日銀の中曽副総裁は講演で、下記のように発言していた(日銀サイトの講演内容より引用)。

 「金融市場に対しては、日本銀行が大量の国債買入れを継続するもとで、国債市場の需給はきわめてタイトになっており、そうした状況でマイナス金利政策を行うことは、国債市場に攪乱的な影響を与え、市場の流動性や機能度に大きなダメージを与えるのではないかという意見があることも承知しています。」

 「国債市場は、本来、市場参加者の経済成長率見通しや物価観を映し出す鏡です。過去に例のない大規模な金融緩和によって国債市場が大きな影響を受けることは間違いありませんので、そうした鏡が曇ることのないよう、国債市場の流動性や機能度がどのように変化するかという点については、引き続き、注意深く点検していきたいと考えています。」

 果たして国債は市場参加者の経済成長率見通しや物価観を映し出す鏡となっているのであろうか。国債はその信認が維持される限りは、中央銀行の金融政策に素直に反応してくる面がある。特に政策金利がゼロ近辺となり、非伝統的な金融手段が講じられると中央銀行が国債を大量に買い入れるという手段が用いられた。これで需給面がタイトとなり、ここにマイナス金利政策まで打ち出して、国債のイールドカーブがこれでもかと押し下げられた。

 中央銀行がここまで力任せに金利引き下げを行っているのは何のためなのか。日銀やECBはデフレ脱却やデフレ懸念の払拭と言うが、異次元緩和をしても物価目標はいっこうに達成する見込みはない。市場もさすがに金融緩和による物価の浮上効果について疑問を抱きつつある。

 それ以上に注意すべきはここに至る過程にある。昔のように政策金利を引き上げたり引き下げたりしていた時代であれば問題はなかったと思われるが、いまは違う。

 世界的な金融経済危機を二度に渡り経験した際の非常時の対応の延長線上にいまがある。つまり世界的な危機があっての非常事態のための金融政策であったはずである。ところが状況が改善に向かっても、デフレ脱却という名目でそこからさらに金融緩和の度を深めるようなことをしているのがいまの日銀とECB等である。その結果として、ファンダメンタルズから乖離した国債の利回りが形成されていると言えまいか。

 これが株や地価ならばバブルということがわかろうが、債券の価値は利回りで示されるためわかりづらい。債券の価格と利回りは逆に動く。つまり国債の価格は異常なまでに上昇している。さらに、バブルの状態にあるなかで、中央銀行による大量の国債買入とマイナス金利政策は国債の流動性を低下させ、いずれ国債市場が大きな影響を受ける懸念を強めさせている。

 現在の日米欧の長期金利は、物価の前年比などでみると違和感はないとの見方もできるかもしれない。しかし、必ずしも長期金利と物価が常に連動しているわけでもない(上記グラフも参照)。長期金利がマイナスにあるというのは、異常な状況であるのは確かであり、これが実態経済や世界的な危機の度合いと整合性があるかといえば疑問を感じざるを得ない。この乖離がいずれ修正される事態はやってこよう。

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by nihonkokusai | 2016-06-12 10:33 | 国債 | Comments(0)

日銀のマイナス金利の深掘りが困難な理由

 三菱東京UFJ銀行がプライマリー・ディーラーの資格資格を返上するとの報道があったが、この主たる理由は銀行が主に保有していた中長期の国債の利回りがマイナスとなったことで、国債での運用が難しくなったためである。これを日銀の言うところのポートフォリオ・リバランスの動きと見えなくもないが、少なくとも銀行とすればこれは積極的な動きというよりも、こういった環境下となってしまったことでの消去法的な動きとなったとみられる。マイナス金利は銀行にとって利ざや縮小どころか、運用リスクを高めるなどはっきり言えば、余計なことをしてくれたとのイメージではなかろうか。

 銀行だけではない。年金や生保などの資金運用も同様に安全資産としての国債を新規で保有すると極めて小さな利回りか、マイナスの利回りで購入せざるを得ない。さらに外為市場の動きをみてもわかるがドル円は120円台から105円台、105円台から110円台とここ半年あまりでも大きな変動を見せている。この通貨の動きを的確に当てることなど困難であり、外貨建て金融資産を大量に保有するにしても為替リスクは常につきまとう。また国債と同規模で株式などを購入するとなれば、こちらも信用リスクや価格変動リスク等を抱え込むことになる。

 日銀は6月、もしくは7月にも追加緩和を決定するとの見方は市場参加者でも多い。先日のQUICKの緊急アンケートにおいても、消費増税の再延期を踏まえ、5割以上の市場参加者が6、7月の決定会合において追加緩和ありと答えていた。

 私は6、7月どころか年内含めて日銀が追加緩和に動くことはかなり困難であるとみている。その理由としては追加緩和手段として準備したマイナス金利の深掘りができないことにある。もちろんマイナス金利の深掘りを日銀がやろうと思えばできようが、市場も政府も海外もそれは望んでいない。さらに1月に日銀がマイナス金利を導入した事実そのものが、深掘り以外の手段がほぼ限界近くに達していることを意味していることで、マイナス金利の深掘り以外の手段も限られた状態にある。

 銀行や生保などはこれ以上のマイナス金利の深掘りには賛成はしてこないと思われる。さらにマイナス金利に対してマスコミ含めてかなり批判的な声が強まっているなか、参院選を控え政府としても余計なことはやってくれるな、との立場にいるのではなかろうか。自民党が発表した7月10日投票の参院選挙の公約に金融政策への言及が盛り込まれなかったことからもこれは垣間見える。さらに通貨政策に絡んで米国などを中心に円安を意識したような追加緩和政策は打ちにくい。

 それよりも、ここでマイナス金利の深掘りをする意味がほとんどないという状況も存在する。何でも良いから追加緩和をすれば良いというのであれば、それはそれでアナウンスメント効果という意味ではありかもしれないが、仮に金融市場を通じて実質的な何らかの効果を狙うとしても、ここからのマイナス金利の深掘りに効果は求められない。つまり国債のイールドカーブをここからさらに引き下げても実質的な効果は出ない。

 これは日銀が想定していた以上に1月のマイナス金利政策で日本の国債利回りが急低下してしまったためである。ドイツのようにECBが政策金利を深掘りし、10年債利回りが過去最低は更新しても、いまだ10年債利回りがかろうじてプラスであれば、長期金利の引き下げ余地はあるかもしれない。

 しかし、日本の長期金利はすでにマイナス0.1%台にある。これをマイナス0.2%にして何らかの意味があるとは思えない。日銀のマイナス金利政策により意味があるのはプラスの金利をマイナスにすることにあったはずである。しかし、これが日銀の想定下以上のピッチですでに進んでしまい、10年債利回りがマイナスにまで低下してしまった。

 これ以上低下しても、たとえば住宅ローン金利や貸し出し金利がマイナスになるようなことがなければ、これによる引き下げ余地は極めて限定的となろう。仮にこれらの金利をマイナスにするとなれば預貯金金利もマイナスにする必要性が出てくるが、それはマイナス金利政策への批判をさらに強めさせることにもなりかねない。

 ちなみにECBのドラギ総裁は3月の追加緩和を決めた理事会後の記者会見で、事実上の利下げ打ち止め宣言を行っている。

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by nihonkokusai | 2016-06-10 10:04 | 日銀 | Comments(0)

メガバンクのプライマリー・ディーラー資格返上

 8日の日経新聞に「三菱UFJ銀、国債離れ 入札の特別資格返上へ」という記事が掲載され、債券市場関係者を中心に衝撃が走った。これによると、三菱東京UFJ銀行は国債の入札に特別な条件で参加できる資格を国に返す方向で調整に入ったそうである。記事には「今回は財務省も資格の返上を受け入れる見通し」ともあった。

 国債市場特別参加者制度とは日本版のプライマリー・ディーラー制度のことであり、一定の応札(発行予定額の4%)・落札責任が課されるが、国債市場特別参加者会合への参加資格や定率公募入札や買入消却入札への参加資格といった特別の資格が与えられる制度である。国債の入札はこの国債市場特別参加者(5月2日現在22社)を中心に行われるが、入札資格については246の金融機関が有している。

 国債市場特別参加者の資格返上は過去になかったわけではないが、外資系金融機関に限られた。国内金融機関としては初の返上となる上に、かつては日本の国債市場の方向性を決めていたとも言われた三菱東京UFJ銀行であっただけに、債券市場関係者は驚いたものとみられる。

 ただし、系列の三菱UFJモルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレーMUFG証券は資格を維持するようである。三菱東京UFJ銀行もかつては国債の落札額が大きかったが、ここにきては減少していた。三菱東京UFJ銀行の資格返上で、国債市場における業者の存在感が大きく低下するというわけではない。

 そもそも業者と呼ばれる金融機関は主に証券会社を指すものである。しかし、国債市場における銀行の存在は極めて大きく、1985年に東証に日本初の金融先物取引である長期国債先物(債券先物)が上場された際にも、銀行には特別会員として売買の参加資格が与えられていた。銀行の証券子会社の設立等もあったが、国債市場特別参加者としても銀行本体は参加していたのである。

 国債市場特別参加者22社のなかで銀行は、三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行、みずほ銀行が参加している。銀行は自ら大量の国債を保有しており(だいぶ減ってはいるが)、業者というよりも投資家としての存在感の方が大きい。その投資家としては、日銀の異次元緩和とマイナス金利政策により、国債の保有額を大きく減少させていた。特にマイナス金利により、銀行が主に保有している中長期の国債利回りがマイナスとなってしまい、国債での運用がしづらい状況にある。つまり今回の三菱東京UFJ銀行の動きは投資家としての日本国債離れが意識されるものとなる。他の2つのメガバンクが追随したとしてもおかしくはない。

 今回の動きは日本の国債市場が日銀トレードをしている業者と日銀、それにマイナス金利で運用可能な海外投資家だけとなってしまう懸念をより強めさせるものとなる。国債市場の流動性の低下とともに、将来の日銀の出口政策をより困難にさせかねないものとなる。いくら投資家は押し目買いを待っていると期待しても、国債市場の参加者の偏りは何かしらをきっかけとした国債の価格変動リスクを大きくさせかねないと思われる。

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by nihonkokusai | 2016-06-09 09:33 | 国債 | Comments(0)

ヘリコプターマネーの危険性

 6月7日の日経新聞の経済教室は「ヘリコプターマネーの是非」として、ヘリコプターマネー推進派のアデア・ターナー元英金融サービス機構(FSA)長官による論説が掲載された。

 ターナー氏は、日本では公的債務の一部の「マネタイゼーション(財政ファイナンス)」がもはや避けられない状況だと指摘している。日本の政策当局は、長年の物価低迷と公的債務の増加に対して万策尽きたようにみえるが、政府と中央銀行が弾切れになることはないと指摘した。それは、米国の経済学者、ミルトン・フリードマンの名高い「ヘリコプターマネー」作戦はいつでも可能だからだそうである。

 そのヘリコプターマネー作戦は2つあるそうで、「第1は、中央銀行が紙幣を増発して将来拡大する財政赤字を直接ファイナンスする方法だ。第2は、中央銀行が既発債を買い入れ、バランスシート上に無利子永久債として計上し事実上消却する方法だ。」

 日銀はすでに国債発行残高の3割を保有している。実質的に財政ファイナンスに近い状況と言えなくはない。ただし、財政法第5条では「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。」とある。もし本当に第1のヘリマネをするには、この財政法を修正するなりする必要がある。

 第2のヘリマネについては、日銀のバランスシート上の反対側にある負債の部を考慮するとかなり無理な話となる。つまり、日銀の資産となる国債の反対側にある負債が日銀券なり日銀の当座預金となる。国債を永久債として償却すると、決済などのために日銀の当座預金として積み上げてある民間金融機関の預金も消滅することになる。決済が機能しなくなるだけでなく、結果として我々の預貯金も消滅するということになる。

 さらにターナー氏は下記のような指摘もしている。

 「日本の公的債務残高から政府資産および準政府機関が保有する国債を差し引いた純債務は、国際通貨基金(IMF)の標準的な定義に従うとGDP比128%になる。このうち約半分(GDP比66%)は現在日銀が保有しており、日銀は政府の影響下にある。よって日銀を含む統合政府ベースではこの債務は存在しないので、本当の意味での純債務はGDP比62%となる。」

 政府資産に関しては証券化等の手段を含めてもすべて売却が可能となるのかといった問題もあるが、そこの部分はさておき、準政府機関が保有する国債や政府の影響下にあるとする日銀が保有する政府債務は存在しないような見立てとなっている。しかし、日銀のバランスシートなどを考えるとこれもおかしいであろう。

 日本では戦後に預金封鎖ということが起きた。新円切り替えと同時に国民の預金を封鎖しそれにより政府債務の削減を図った。ハイパーインフレも手伝ってあっさりと政府の巨額債務をなくしてしまった荒技である。

 ターナー氏も指摘しているように巨額の財政赤字を無制限に引き受けたら大幅インフレは避けられない。だからインフレ率に応じて引き締めることをルール化する必要があるとしているが、そんなルールは通用しなくなる。だから財政法で日銀の国債引き受けが禁じられているのである。

 ターナー氏は金融政策の手段としてヘリコプターマネーを持ってきたように思われるものの、日本の巨額の政府債務はヘリコプターマネーによりハイパーインフレを引き起こし、国民の預金を使って国民の負担により債務を返済すべしと暗に提示しているようにすら思えるのである。

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by nihonkokusai | 2016-06-08 09:26 | 国債 | Comments(0)
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