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異常な国債利回りのツケ

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 いまから13年前の2003年6月に国債市場ではある異変が起きていた。債券相場は1日あたりの値幅も限られながらも、じりじりと高値を更新し続け6月11日に30年債が0.960%、20年債0.745%、そして10年債0.430%とそれぞれ過去最低利回りを記録した。

 この相場上昇過程において、目立ったのがメガバンクの一角や地銀を含めた銀行主体の債券買いであった。銀行などがポジションのリスク管理に使っているバリュー・アット・リスク(VAR)の仕組み上、変動値幅が少ないことでそのリスク許容度がかなり広がりをみせていた。株価の低迷にともなって債券での収益拡大の狙いもあり、必要以上にポジションを積み上げ、異常なほどの超低金利を演出した。

 しかし、これもいわゆる債券バブルに近いものとなった。6月17日に日経平均株価が9000円台を回復し、この日実施された20年国債の利率が1%割れのクーポンとなったことにより、大手投資家などが超長期国債の購入を手控えた。これをきっかけにして、債券相場が急落したのである。いわゆるVARショックであった。

 それから13年経って6月28日に30年債利回りは0.050%、20年債利回りは0.040%、そして29日に10年債利回りはマイナス0.240%まで低下し、過去最低を更新した。

 20年国債の利率は6月23日に入札されたもので0.2%に低下している。40年国債の利回りが28日に0.05%にまで低下していたことで、この利回り水準が続けば日本の国債の利率はすべて0.1%に引き下げられてしまうことになる。

 2003年6月の国債急落のきっかけは大手投資家がこの異常な低金利の水準では運用出来ないとして購入を手控えたためであるが、いまは国内大手投資家が購入せずとも日銀が大量に国債を吸い上げてしまうため、ここまでの利回り低下が生じている。

 もし2003年の債券市場関係者が今回の国債利回りの水準を見たら、冗談としか思えないのではなかろうか。2003年6月の日経平均は9000円台、ドル円は120円近辺、消費者物価指数(除く生鮮)は前年比マイナス0.4%となっていた。ここにきて日経平均は下げたとはいえ15000円台、ドル円は102円台、直近の消費者物価指数(除く生鮮)は前年比マイナス0.3%となっていた。当時の人に何も説明がなければ、いや説明をしたとしても、現在の金利水準を納得してもらうことはできないのではなかろうか。

 つまりこの利回り水準でも致し方ないと思ってしまっていることの方が、やや麻痺してしまっているとも言えまいか。日銀がその目的はさておき、これほどの国債を買い入れて国債利回りが大きく低下している事実に対し、本来は驚愕すべきことであり、それによるツケはいずれ支払わなければならないことになるのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2016-06-30 09:32 | 国債 | Comments(0)

市場参加者による国債への懸念

 6月24日に開催された国債市場特別参加者会合(第66回)議事要旨が公表された。このなかの「最近の国債市場の状況と今後の見通し」に関する参加者の意見からいくつかピックアップしてみたい。ちなみに国債市場特別参加者とは、少し前に話題となった日本版のプライマリー・ディーラーである。

 たとえば、このまま円高が進めば日銀が追加緩和するとの見方が強まり、更なるイールドカーブのフラット化の圧力が掛かるとの見方があるが、それにも限度があり、ゼロ%が1つの目安ではないかとの指摘があった。28日に20年債の利回りは0.04%にまで低下しゼロに接近していたが、超長期債の利回りのマイナス化までは現状は想定しづらいというところか。

 複数の出席者が指摘していたのが、国債市場の流動性の低下である。これにより国債による価格発見メカニズム自体が失われていくことも懸念され、さらに流動性の低下はまとまった額の売りが出ると、一時的に金利が急上昇する可能性は絶えずあるとの指摘があった。更に下記のような指摘もあった。

 「仮に、日本銀行が2%の物価目標を引き下げるようなことになれば、金融政策の出口につながり、大きな金利上昇となるリスクを孕んでいるのではないか。」

 ただ、物価目標がいつまでたっても達成できないかといって、日銀による大量の国債買入もいつまでも継続できるものでもない。日銀の国債買入での未達が連続して発生するような事態が起きる懸念があり、いずれ何らかのかたちでテーパリングを行う必要が出てくると思われる。しかし、その際には物価目標を柔軟なものにするといった対応が取られる可能性がある。

 そして、複数の参加者からレポ取引に関わる課税の面での指摘があった。現在、国内金融機関と海外ヘッジファンドとのレポ取引は非課税措置の適用対象外であり、このことは海外ヘッジファンドが日本の金融機関とレポ取引を行う上での制約になっている。海外ヘッジファンドはマイナス金利の下で日本国債に非常に関心を高め、こうした投資家を日本のマーケットに呼び込み日本国債の取引量を回復させる必要があるのではとの指摘である。

 日本の国債市場を大きく動かしている市場参加者は日銀トレードを行っている日銀と業者を除くと、いわゆる投資家は海外投資家が中心となっている。マイナス金利の日本国債を購入できる海外の投資家や、イールド・カーブの裁定取引をしている海外ヘッジファンドなどであり、さらに海外投資家を呼び込み流動性を少しでも向上させる必要性はあるかもしれない。

 そして、日本の信用力を保つことに向けたしっかりとしたコミットメントが必要との指摘もあったが、やはりここが一番重要なポイントかではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2016-06-29 09:47 | 国債 | Comments(0)

リーマン・ショックと英国ショックの違い

 6月23日の英国の国民投票によりEUからの離脱が決まった。開票時間に市場が開いていた東京市場では、日経平均が1000円以上も下落し、ドル円は一時99円台まで下落するなど、ややパニック的な動きとなった。24日の欧米市場でもリスク回避の動きが強まり、ダウ平均は610ドル安となるなどしたが、肝心のロンドン株式市場はいったん急落したものの、英国の通貨ポンドも急落したことで輸出株などが買われて、こちらは下げ幅を縮小させた。ただし、27日のロンドン株式市場は続落となっていた。

 2008年9月15日にリーマン・ブラザーズが破綻し、大規模金融機関が破綻したことで金融市場は極度の不安に陥り、これはリーマン・ショックと呼ばれた。巨大金融機関の破綻がもたらす影響を懸念した米政府は金融機関を破綻させない方針に転じ、FRBは9月16日に米国の大手保険会社AIGに対して緊急融資を行うことを表明した。しかし、緊急経済安定化法案が9月29日に下院で否決され、これは金融市場に再び大きなショックを与えることとなり、29日のダウ平均株価は終値で777ドル安と史上最大の下げ幅を記録した。

 英国のEU離脱について、事前の世論調査ではかなり拮抗していた。ただし、2014年におけるスコットランド独立の有無を決める住民投票においても結果として反対派が勝利していたことで、これも踏まえ今回の国民投票も離脱は回避されるとの楽観的な見通しが多かった。このため、開票途中で離脱派の優位が伝えられたことで、市場はパニック的な様相を強めたのである。しかし、英国の国民投票結果により、金融市場に直接何かしらの影響があったわけではない。必死で作り上げたEUという組織の崩壊の兆しに歴史の変化を感じ、先行きの不透明感を強め、急激なリスク回避の動きが起きたものと思われる。

 これに対してリーマン・ブラザーズの破綻は金融市場において直接的な影響を与えることになった。大手金融機関の破綻が金融システムそのものの危機となったのである。例えば日本でもリーマン・ブラザーズ証券の破綻の際に、「正確な財務状況が確認されるまで既往契約に基づく決済を停止する」旨が発表され、約定済みの国債取引が一切履行されないという非常事態が発生したのである。

 今回の英国のEUからの離脱により、ロンドンに拠点を置く金融機関などに何らかの影響は出たとしても、金融システムを揺るがすほどのものになるとは思えない。また、英国国民投票で予想外の結果が出たことで、米国の大統領選挙でも予想外というか、なってほしくない候補が大統領になってしまうかも、との懸念も出たようだが、これも選挙結果をみるまでは当然わからない。

 英国のEU離脱により世界経済にも影響が出るのではとの懸念もある。伊勢志摩サミットの首脳宣言でも「成長に向けたさらなる深刻なリスク」と明記されていた。ところが肝心の英国の株式市場をみると懸念などより、24日はポンド安による輸出企業への恩恵が意識されて、下げ幅を大きく縮小させていたのである。むしろ急激な円高も加わっての日本経済への影響の方が大きいのではないかとも思われるぐらいであった。

 英国のEU離脱により、たとえば英国の信用が大きく低下し、英国債が売られるようなことも考えづらく、英国債は買い進まれていた。27日にS&Pは英国の最上位トリプルA格付けを2段階引き下げ、AAとしたがこれにより英国債への影響も限定的ではなかろうか。このあたり2010年のギリシャ・ショックとも異なるところである。金融システムへの直接的な打撃、もしくは国の信認の急低下といった事態は金融市場を直撃し、世界的な金融経済リスクを生じさせる。しかし、今回の英国のEU離脱については、その懸念が全くないわけではないものの、ショックの質が異なるように思われるのである。

ご連絡

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by nihonkokusai | 2016-06-28 10:09 | 国際情勢 | Comments(0)

解明されていない量的緩和のメカニズム

 日銀の黒田総裁は20日の慶應義塾大学の講演で、今年1月に導入を決定したマイナス金利付き量的・質的金融緩和について、これまでの量的・質的金融緩和の延長線上で、その効果を一段と強化するものであり、いわば「enhanced QQE」とでも呼ぶべきものであると発言した。

 総裁はマイナス金利の導入について、「イールドカーブの起点を引き下げることにより、大規模な長期国債買入れと相まって、短期から長期にわたる実質金利をさらに押し下げることを狙っています。」とコメントしている。

 現実に2月9日に日本の長期金利は初めてマイナスとなり、すでに15年を超える期間の国債利回りがマイナスに転じている。日銀のエンハンスドQQEにより、名目長期金利が大きく引き下がったことは事実である。

 黒田総裁は日銀のバランスシートの対名目GDP比が今年3月末で約81%まで拡大し、FRBのバランスシートの名目GDP比が同じく3月末時点で25%しかないことで、日銀の金融緩和の規模の大きさを示した。この効果について黒田総裁は下記のようなコメントをしている。

 「しかしながら、量的緩和がどのような環境の下で、どのようなメカニズムを通じて、効果を発揮したのかは、必ずしも十分に解明されているとは言えないように思います。」

 さらにバーナンキ前FRB議長の下記発言も引用している。

 「量的緩和の問題点は、現実には効果が認められるのだけれども、理論的には効果が説明できないことである」

 量的緩和政策のメカニズムについては、はっきりとした波及経路への解釈はいまのところない、ということになるのであろうか。さらにバーナンキ前議長の指摘している「現実には効果が認められる」との発言についても、効果ということは物価への効果であるはずが、現実には物価目標が達成されていない事実についてどのように解釈すべきなのであろうか。

 これについて黒田総裁は下記のような発言をしている。

 「特に、国や地域によって金融システムの構造が異なることを考えれば、大規模な資産購入の対象となる金融市場だけでなく、その金融システムを通じた波及メカニズムなど、国や地域による違いを明示的に取り込んだ分析も必要になってくると思われます。」

 この分析に関しては2001年から2006年にかけて行った量的緩和政策も参考になるのではなかろうか。今回の量的・質的緩和についても3年以上経過していることで、ある程度のデータも蓄積されており、分析を行う必要があろう。それでもし量的緩和と物価上昇に関して、日本に於いては波及メカニズムになんらかの支障があるなどといった結論が出た際には、日本の国債市場が機能不全に陥る前に大量の国債買入の見直しを行うという選択肢も考慮すべきなのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2016-06-27 09:52 | 日銀 | Comments(0)

市場混乱でも日銀の追加緩和のハードルは高い

 英国の国民投票の結果はEU離脱派が勝利し、世界の金融市場はパニック的な様相を強めた。ちょうど開票時間に開いていた東京市場では日経平均は1000円を大きく超える下げとなり15000円を割り込んだ。ドル円は一時99円台をつけるなど急激な円高も進んだ。

 英国EU離脱により英国だけでなく欧州、さらには世界経済への影響が懸念されるとして、25日午後には財務省、金融庁、日銀が会合を開き、今後の対応を協議するそうである。日銀に対しては追加の金融緩和期待も強まる可能性がある。また、24日には急激な円高に対し介入は見送られたが、今後再び円高の勢いが強まることになれば為替介入への期待も強まろう。

 しかし、為替介入に対してはドル円などでは協調介入は難しく、単独介入をするにしても米国政府の対応を考えると困難ではないかと思われる。今回は特に日本の国内要因で動いたわけではなく、さらに米国では大統領選挙も控えており、よほどの事態とならない限り政治的な摩擦を生みかねない為替介入は難しい。また、介入したからといって円高の流れを食い止めることが絶対に出来るというわけでもない。

 それでは日銀の追加緩和というと、こちらも燃料弾薬はほぼ尽きかけている。黒田総裁が言うようにいくらでも買えるものはまだ存在する。日本国債もあと700兆円程度買えるし、米国債などを買う手段もある。しかし、いずれも現実的には難しい。

 日銀は6月15、16日に開催された金融政策決定会合における主な意見を公表した。6月の会合では追加緩和を議事提案した委員はいなかったが、金融政策運営に関する議論のなかでは追加緩和を主張した委員がいた。主な意見の「金融政策運営に関する意見」のなかで、下記の意見があった。

 「マクロ経済の安定と「物価安定の目標」の実現のために必要と判断される場合には、追加的な金融緩和策の実施を検討すべきである。」

 「生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価前年比や予想インフレ率指標に弱さがみられるなど、物価安定目標達成に警戒信号が点滅している。2%達成時期が遅れる蓋然性が高くなる場合には、追加緩和により、2%達成に向けた日本銀行のコミットメントを、人々とマーケットに改めて示す必要がある。」

 しかし、今回の主な意見をみても追加緩和のハードルは高いと言わざるを得ない。これは下記のような意見が出ていたためである。

 「現状の国債買入れはそれ程長く続けられない。まだやっていけるという段階で、より持続可能なものに転換していく必要がある。」

 「これだけ絶大な金利低下効果が出ている以上、現行政策の持続性を確保するため、量のコミットメントについては、これを軟着陸させる方策を考える必要がある。」

 「国債を大量に買い入れる現在の政策は、財政政策、金融政策双方の信頼性を損ねているため、見直すべきである。市場実勢からかい離した価格での資産買入れは、最終的に国民の負担に繋がる。」

 「サプライズを狙った政策は、金融政策の予見性を大きく低下させ、市場のボラティリティを高めて、政策効果を減じる可能性がある。市場との対話の正常化、双方向での対話の強化を早期に図るべきである。」

 「ポートフォリオ・リバランスは、借入需要がそれ程伸びないもとで、大量の資金をヘッジ付外債投資に向かわせ、ドルプレミアムの拡大をもたらしている。日本の投資家の利益が海外の投資家に移転するとともに、外国の債券利回りを引き下げ、金融緩和効果が海外へ流出しているとも言える。」

 上記の意見は佐藤委員と木内委員だけのものかどうかはわからない。石田委員などの意見も含まれているかもしれない。いずれにしても量と金利による弊害がコンパクトにまとめられている。執行部としても当然、追加緩和を検討するのであればこのあたりの弊害も考慮する必要がある。

 できるだけサプライズを避け、国債買入の増額はそれほど長くは持続可能ではない、マイナス金利についてはすでに長期金利が先んじて低下している環境下、利回りの押し下げ効果は限定的となろう。追加緩和によりドルプレミアムの拡大をもたらす懸念もある。こういった問題をクリアーした上で追加緩和策を検討する必要がある。これはかなりの難問と言わざるを得ないのではなかろうか。

 それでも昨年12月の補完措置もあり、最後の切り札というべき国債の10~20兆円程度の買入にETFなどの金融資産の買入増額、マイナス金利の深掘りもセットした3次元の追加緩和をしてくる可能性はないとは言えない。もしくは金融界からも反対のあった日銀貸し出しのマイナス金利の適用なども検討するかもしれない。しかし、この追加緩和は最後に残していた切り札とも言える。これで物価が上がる保証は全くなく、出口も遠ざけることになりかねない。外部要因による円高株安をこれで食い止めるられる保証もない。もし日銀が次に大胆な追加緩和をするのであれば、それはまるで太平洋戦争末期の戦艦大和の出撃となった天一号作戦に例えられることにもなりかねないのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2016-06-25 12:09 | 日銀 | Comments(0)

高橋財政とヘリコプターマネー

 高橋是清は、世界最速のデフレからの脱却に成功させたと言われているが、これは井上準之介による緊縮政策により、輸出競争力強化のために引き下げた物価の部分を元に戻した格好であり、その分の物価上昇余地が高橋財政前には存在していたと言える。

 金解禁時の井上財政により、景気にしろ物価にしろ、バネを抑えるだけ抑える政策をしていたが、高橋是清による金輸出禁止により、このバネが解き放たれ、円安政策や低金利政策、さらには財政政策もミックスされて、景気が回復するとともに物価が上昇したのである。井上緊縮財政により、経営合理化が進み企業の体質が改善されていたことも景気回復に大きく貢献していたものとされている。

 ただし、高橋財政は世界経済が停滞する中での円安を梃子にした輸出の増加が大きく影響していたことで、諸外国はこれを「ソーシャル・ダンピング」と強く非難した。満州事変に続き上海事変などの軍事行動とともに、円安による輸出急増は対外摩擦を大きくする誘因となり、国際的孤立を招く要因となった。

 高橋蔵相が打ち出した日銀による国債引受が、物価の上昇にも影響を与えたのではないかとの見方もある。高橋蔵相は1932年6月に議会で国債の日銀引受の方針を表明していた。3月10日の「大毎新聞」は軍事公債、およびそれ以外の新規発行公債も日銀引受とする、前日の日銀主催時局懇談会で明らかにされた政府の方針を報じている。実際に日銀引受による国債発行が開始されたのは11月からとなったが、アナウンスメントはすでに行われていた。

 この日銀による国債引受が物価上昇の大きな要因になったのかどうか。これはアベノミクスの主軸である一本目の矢である大胆な金融緩和がどれだけ物価上昇に寄与するのかを推し量る上でも参考となろう。

 実は上記の記述は、拙著「聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓」の一部を引用したものである。いまになってヘリコプターマネー論が出てきているが、そもそもこの高橋財政を元に行ったのが、いわゆるアベノミクスであったはずである。ところが現実にはその効果は円安・株高といったものに限られた。その円安や消費増税前の駆け込み需要、原油価格の高止まりなどで物価も一時的に上昇した。しかし、原油価格の下落も手伝い、あっさりと前年比ゼロ%近辺に戻っている。

 これはアベノミクスでは財政ファイナンスの踏み込みが甘かった、とかではなかろう。財政法で禁じられた財政ファイナンスを行うヘリマネならば確かに物価は大きく上がるかもしれない。円や国債の信認を低下させ、その物価上昇とともに金利も急騰しよう。それがいったい何を意味するのかは、あまり考えたくはない。

 物価は日銀の金融政策で制御は可能などということが幻想であることをアベノミクスは立証した。ヘリマネ論を展開したいのであれば、何故、異次元緩和で物価が上がらなかったのかを説明する必要がある。それをすべて消費増税や原油安などの影響と単純に決めつけるのはおかしい。そもそも金融政策で物価は動かせるという前提に大きな問題があったのではなかろうか。それならば物価上昇時の制御なども金融政策でできることにはならない。

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by nihonkokusai | 2016-06-24 09:40 | アベノミクス | Comments(0)

日銀の物価見通しのおかしな点

 日銀は4月27、28日に開催された金融政策決定会合の議事要旨を公表した。物価の基調的な動きに関して下記のような記述があった。

 「委員は、需給ギャップや予想物価上昇率の動向を踏まえると、物価の基調は着実に改善しているとの見方を共有した。」

 さて、ここで私の知り合いが面白い指摘をしていた。1年前の決定会合議事要旨を今回の議事要旨を確認すると中身があまり変わっていないという。試しに今回と昨年の同時期に公表された2015年5月開催の決定会合議事要旨を特に今後の予想物価上昇率に関するところで確認してみた。

 今回、「大方の委員は、消費者物価の前年比は、物価の基調が着実に高まり、2%に向けて上昇率を高めていく、2%程度に達する時期は、原油価格が現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、2017年度中になる、その後は、平均的にみて、2%程度で推移する、との見方を共有した。」(2016年4月開催分の決定会合議事要旨より)  1年前、「委員は、予想物価上昇率は、やや長い目でみれば全体として上昇しているとの認識を共有した。そのうえで、多くの委員は、先行き、物価の基調を規定する需給ギャップは着実に改善し、予想物価上昇率も高まっていくことから、原油価格下落の影響が剥落するに伴って消費者物価は伸び率を高め、2016年度前半頃に2%程度に達する可能性が高いとの見方を共有した。」(2015年5月開催分の決定会合議事要旨より)

 需給ギャップや予想物価上昇率に関しては、2013年4月の量的・質的緩和と2014年10月のその拡大により、着実に改善しているとの前提のようだが、現実の物価はいっこうに改善してはいない。その理由として昨年も今年も原油価格の下落を指摘している。これは裏を返せば物価は需給ギャップや予想物価上昇率などよりも、原油価格の動向に左右されるということを示しているということになるのではなかろうか。

 原油先物価格でみると2015年5月のWTIは60ドル前後、今年4月は40ドル前後にいた。確かに原油価格は低迷が続いている。これが2014年の頃のように100ドル台に戻れば、2014年4月のコアCPIの前年比プラス1.5%程度に戻ると日銀は読んでいるということであろうか。しかし、仮にそうであるとしてもこれに需給ギャップや予想物価上昇率の改善とかは、さほど関連性はなくなるのではなかろうか。

 しかも2014月4月のコアCPIの1.5%まで上昇は、アベノミクスをひとつのきっかけとした急激な円安効果が背景にあり、そこに消費増税前の駆け込み需要や値上げ等が影響するという別の現実的な側面があったはずである。それを無視して原油価格さえ戻れば2%の物価目標を達成できるとするのはあまりに無理があるように思われるのだが。

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by nihonkokusai | 2016-06-23 09:40 | 日銀 | Comments(0)

国債売買高が低迷、新たなリスクに

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 6月20日に日本証券業協会は5月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

5月の公社債投資家別差し引き売買高 注意、マイナスが買い越し、単位・億円
()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -3419(-281、-823、-1570)
地方銀行 234(-86、906、-279)
信託銀行 -2415(-1881、1088、-496)
農林系金融機関 2230(2249、187、-150)
第二地銀協加盟行 640(150、220、130)
信用金庫 -1099(67、268、113)
その他金融機関 1374(171、2010、-178)
生保・損保 -2541(-3316、475、625)
投資信託 -131(-466、322、327)
官公庁共済組合 -117(-97、32、175)
事業法人 -135(-2、11、18)
その他法人 -350(101、11、17)
外国人 -16775(1347、-6186、-10933)
個人 342(1、29、7)
その他 13842(1489、941、15154)
債券ディーラー 906(65、309、534)

 都銀はそれほど金額は大きくはないが買い越しに転じた。海外投資家は中期ゾーンを主体に引き続き大幅買い越しとなった。先月と同様に長期債も買い越してはいるが、超長期債は売り越している。

 国債の投資家別売買高(一覧)での合計の国債売買高でみてみると、2016年5月の国債売買高は162兆1940億円となり、統計のある2004年4月以降最低となった。それまでの国債売買高で最も少なかったのは2005年12月の187兆1997億円であった。ちなみに2005年度の国債残存額は527兆円程度であり、今年度は838兆円程度となっている(財務省、国債残高の推移より)。

 この要因としては都銀や生保などによる売買高が大きく減少してきたことがあげられよう。それに対して海外投資家の国債買い付け額に占めるシェアは25%程度あり、存在感を強めている。

 日銀のマイナス金利政策などにより国債利回りは15年を超すゾーンもマイナスになるなどしたことで国内投資家は国債の売買を手控えつつある。現在の国債市場が海外投資家と日銀トレードを行っている日銀と業者だけとなりつつあるという歪な状況に陥っている。このまま国債の売買高が低迷するとなれば、国債取引の厚みがさらに薄くなり、国債の価格変動リスクが今後大きくなる懸念がある。

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by nihonkokusai | 2016-06-22 09:34 | 債券市場 | Comments(0)

ポートフォリオ・リバランスの意味

 日銀による大胆な金融緩和の波及経路のひとつにポートフォリオ・リバランスというものがある。日銀が安全資産とされる国債を大量に買い占め、国債の利回りを徹底的に引き下げることにより、資金運用を行っている投資家に対し、貸し出しや国債以外の金融資産に資金を振り向けさせようとするものである。

 20日の日経新聞の記事によると、ゆうちょ銀行が今後5年程度で国内外の不動産や未公開企業などの代替投資、いわゆるオルタナティブ投資に最大6兆円振り向けるそうである。

 アベノミクスには日銀の異次元緩和だけでなく、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産構成の見直しなども加わっていた。安全資産としての国債運用主体とするのではなく、国債よりも安全性は低いものの収益性は高いとされる資産、たとえば株式や外債などに資金を振り向けさせようとしたものである。株価対策の一環でもあったようである。

 日銀はマイナス金利政策にまで追い込まれたことで、国債の利回りはすでに残存15年あたりまでもがマイナスとなってしまっている。これでは年金運用もゆうちょの運用も国債ではできない状態にある。結果とすればGPIFの動きは先を読んでいたとの見方もできるかもしれないが、リスクを大きく抱えたことに変わりはない。アベノミクスと騒ぎ立てられ、GPIFの資産構成の見直も影響し、円安・株高が進んでいた際にはリスクよりもリターンが意識されよう。しかし、それが逆回転となるとリスクが顕在化する。

 年金などの運用はある程度の損失は覚悟の上で、資産を大きく増やすことが本来の目的ではないはずである。少なくとも元金は維持させることは大きな前提条件となるのではなかろうか。

 資産の運用先を分散させればリスクも分散させられるというのも一概には言えない。現実的には資産の配分方法によってはリスクを高めるようなことにもなりかねない。金融商品も多種多様となってはいるが、巨額の資金を運用するとなればやはりマーケットは限られることも確かである。

 オルタナティブ投資を含めて運用の多様化については、ある程度の必要性は認めるものの、年金にしろゆうちょ銀行にしろ、ヘッジファンドなどの運用とはまったく異なるものであろう。たとえばヘッジファンドへの投資資金については大きな儲けを期待する反面、元本が半分以下となっても文句は言えない。それに資金を投ずる者はその運用リスクを当然理解して資金を出していると思われるためである。

 ところが年金にしろ、郵便貯金にしろ資金を払い込んだ人たちには、大きなリスクを負っての運用は本来望んではいないはずである。少なくとも元金が目減りするようなことは考えてはいないのではなかろうか。だからこそ、これまでは年金もゆうちょ銀行も国債を主体とした運用をしてきた。現在の国債利回りでは運用できないということも確かではあるが、だからといって資金の出し手に、どの程度までリスクを享受できるのかといったことは問われていないのではなかろうか

 金融リテラシーの向上が図られていない以上、年金などの資金の出し手である国民にこのようなことを説明し理解してもらうことは難しいとの理由もあるかもしれない。金融リテラシーとはそもそも何であるのか。私が金融リテラシーをどの程度理解しているのかはわからない。しかし、長いこと金融市場の世界で生きてきて経験だけは積んでいる。そこで一定額の収益を継続してあげることの難しさはしみじみと感じている。資産の運用は機械的にできるものではなく、本来はかなり職人芸に近いものである。金融の世界でも腕の良い職人は確かに存在する。しかし、それがほんの一握りでしかないことも知っている。

 安全資産の国債利回りがこのような状況になっているのは、資金の行き先が封じられてしまっているためともいえる。安定した資産運用のためには、日銀の意地元緩和はそろそろ終了してもらい、国債利回りを正常な水準に戻した上で、多少なりのリスク資産への投資も考慮すべきなのではないかと思う。

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by nihonkokusai | 2016-06-21 09:34 | 投資 | Comments(0)

イグジットで注目すべきは日銀の出口か

 英国でのEU離脱か残留かを問う国民投票が注目されている。英国のEU離脱問題はブレグジット(Brexit)と呼ばれる。BrexitとはBritain(英国)とExit(退出する)を組み合わせた造語である。

 23日の国民投票の結果については残留となるであろうとの楽観的な見通しが強かったとみられる。ところが英国の世論調査で離脱派が残留派を上回ったことにより、金融市場ではブレグジットへの懸念が強まり波乱要因となった。

 23日の投票結果次第では、金融市場が大きな波乱を起こす可能性がある。現実に英国のEU離脱となれば先行きの不透明感を強めることも予想され、不安定な相場が継続する懸念はある。

 ブレグジットの行方も気になるものの、イグジットといえば最も懸念されるのが日銀の異次元緩和からの出口戦略になるのではなかろうか。

 日銀の物価目標の達成が困難となるなか、出口を模索するような状況にはない。しかし、国債の大量の買入がこのままスムーズに継続されることはむしろ考えづらい。今年度の国債発行額のほぼ全額を日銀は買いあげる格好だが、いずれ日銀の国債買入において未達が発生する可能性は高い。

 また、日銀はポートフォリオ・リバランス効果も狙っていたが、リスク資産に乗り換えるにしても環境は良くない。年初には原油安やその背景となった中国の景気減速、そしてここにきてのブレグジットのリスクにより、今年は円高圧力が強まり、株価は低迷している。この環境下でなかなかリスク資産へのシフトも難しい。米国債の利回り低下も加わり、米国債への投資もそれほど魅力あるものとはなっていない。かといって欧州の国債では利回りの低下ばかりでなく、流通量そのものがそれほど大きくはない。 このように日本の投資家は投資対象となる商品があまり存在せず、八方塞がりのような状況にある。この状況を改善するには日銀のサプライズ緩和による円安株高、というわけにはもういかないであろう。

 むしろ日銀がすべきことは物価目標を長期的な目標として、マイナス金利政策を止めて、国債の大量買い入れも減額し、国債の利回りを正常な水準に戻すことではなかろうか。つまり出口政策である。方針変更の際には一時的なショックが起きるかもしれない。しかし、マイナス金利という異常な事態から抜け出るには、国債買入の未達などにより追い込まれてするよりも、早めに行った方が影響は少なくなるのではなかろうか。今年のイグジットで注目すべきは日銀の出口ということになるのではなかろうかと思う。

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by nihonkokusai | 2016-06-20 09:16 | 日銀 | Comments(0)
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