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リーマン・ショック並みのクライシスへの備え

 安倍首相は28日夜、麻生副総理兼財務相、自民党の谷垣幹事長らと会談し、来年4月の消費税率の10%への引き上げについて、2019年10月に2年半、再延期する考えを伝えたそうである。

 これに対して麻生財務相は、29日に富山市で開かれ谷垣幹事長も同席した会合で、仮に引き上げを再延期する場合には、衆議院の解散・総選挙を行う必要があるのではないかという考えを示した。

 リーマン・ショック並みのクライシスに備えて、どうやら安倍首相は消費増税延期で無理矢理押し通す構えのようである。クライシスの備えで延期するとなれば、たぶん永遠に消費税の引き上げなどは難しくなりそうだ。ただし、この消費増税延期について市場は特に動揺を示すことは考えづらい。債券市場においても安倍首相が在任中に二度の消費増税などはやるわけはないとの突き放した見方はすでに以前から出ており、やはりな、といった結果となった。

 ただし、安倍首相はリーマン・ショック並みのクライシスに備えての財政政策も打つつもりのようである。その中身よりも規模とそれによる国債増発の有無などが注目されよう。財政規律は維持するということが口先だけのものとして認識されるようであれば、国債市場に動揺が起きる懸念は皆無ではない。

 そして、米国ではFRBが6月か7月のFOMCでの利上げを視野に入れていることがイエレン議長の発言で明確となった。

 イエレン議長は27日、ハーバード大学でのイベントで、「これまでにも話したことだが、金融当局が時間をかけて緩やか、かつ慎重に政策金利を引き上げていくのは適切だ」とし、「恐らくは、今後数か月のうちにそうした行動が適切になるだろう」と述べた(ブルームバーグ)。

 今後数か月となれば6月14、15日もしくは7月26、27日のFOMCのどちらかということになろう。可能性とすれば議長会見がある6月の可能性が極めて高いとみている。

 ここにきて地区連銀総裁からは利上げに向けてかなり前向きの発言が相次いだことで、イエレン議長は多少なり慎重な姿勢を示して、調整を図る可能性もあるかとみていた。ところがすでに市場は6月の利上げも織り込んでいながらも、米株も米債もかなり冷静な動きとなっていた、株式市場はむしろ利上げが可能なほど米国経済がしっかりしているとの認識を強めた格好となり、イエレン議長もその見方を強めさせたと思われる。

 リーマン・ショック並みのクライシスに備えて政府は消費増税を先送りし、デフレ脱却のためと称して中央銀行はマイナス金利まで導入した我が国に対し、リーマン・ショック並みのクライシスはすでに去り、金融政策についても正常化に戻しつつある中央銀行を有する米国との違いは明白である。いったいどちらが見方や手段を間違えているのかは言うまでもなかろう。

 米国市場はすでに利上げに耐えうる状態となっており、健全な形で株価も金利も上昇してくる可能性が高いと思われる。これに対して財政規律の緩みも意識される上で財政ファイナンスの様相を強めている我が国にとっては、別の意味でリーマン・ショック並みのクライシスに備える必要も出てきているのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2016-05-31 09:09 | アベノミクス | Comments(0)

債券先物のナイト・セッションの時間延長

 1985年10月に東京証券取引所に上場され、現在では大阪取引所で取引されている長期国債先物取引(債券先物取引)は前場、後場以外にイブニング・セッションがある。ただし、そのイブニング・セッションは時間が延長され、いまは翌朝3時まで取引が行われている。

 2000年9月に東証で債券先物とオプションのイブニング・セッションが開始された。2011年11月21日からはイブニング・セッションの終了時間が18時から23時30分まで延長された。そして2014年3月24日からはイブニング・セッション取引の終了時間は、23時30分から翌日午前3時に変更された。

 イブニング・セッションが午前3時まで行われることにより、LIFFEで上場されていた日本国債先物取引は細った。大阪取引所とLIFFEとの間の相互決済はあったが、当然ながら市場参加者にとってイブニングを使ったほうが使い勝手は良い。このため、LIFFEでの日本の国債先物は上場廃止となった。

 このようにイブニング・セッションは取引時間が延長されてきたことで、深夜というか早朝まで取引が行われ、実質的にはイブニング・セッションというよりもナイト・セッションとなっている。大阪取引所のサイトで確認しても、債券先物のこの時間帯の名称はナイト・セッション(夜間取引)となっている。

 さらに今年の7月19日に予定されている次期デリバティブ売買システム(次期J-GATE)の稼働開始に伴い、このナイト・セッションの時間帯がさらに延長されて翌朝の5時半までとなる。ほとんどモーニング・セッションに近いものとなるが、とにかくもイブニングという名称は実態に合わなくなっていることは確かで、私もいまさらながら今後はナイト・セッションという用語を使いたいと思う。

 ちなみに米国のFOMCは日銀の金融政策決定会合と違って終了時間というか、結果の発表時間があらかじめ決められている。最終日は夏時間で日本時間午前3時15分、冬時間で日本時間午前4時15分に結果が発表される。つまり7月19日以降はこのFOMCの結果発表のタイミングで日本の債券先物を売買できることとなる。

 日銀の金融政策決定会合も終了時間を統一してほしいとの要望がある。いつもより終了時間が遅いだけで妙な思惑が働き相場が乱高下することもある。決定事項の数が会合毎に違うなどの事情はあるかもしれないが、これは是非検討していただきたいと思う。

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by nihonkokusai | 2016-05-30 09:03 | 債券市場 | Comments(0)

プライマリーバランスを均衡化させる必要性

 これだけ大量に発行されている国債が円滑に消化されているのは日銀が大量に購入していることもありますが、国債への信認が維持されているという点が重要です。

 国債の信用を維持するために必要とみられる政策のひとつが、基礎的財政収支の均衡、さらにその黒字化に向けての政府の姿勢です。基礎的財政収支とはプライマリーバランスとも呼ばれます。プライマリーバランスとは、国債費関連を除いた基礎的財政収支のことで、国債の利払いと償還費(国債費)を除いた歳出と、国債発行収入を除いた歳入についての財政収支です。プライマリーバランスがプラス(またはマイナス)の場合には、プライマリーバランスの黒字(または赤字)と表現します。

 プライマリーバランスが均衡すれば、毎年度の税収等によって、過去の借入に対する元利払いを除いた毎年度の歳出を賄うこととなります。プライマリーバランスが均衡し、その上で金利と名目成長率がほぼ同じとなればあらたな借金は増えないことになります。つまり税収以内で一般歳出を補うということになります。しかし、現在のように一般歳出が税収より大きくなると税収に加えて国債の発行による収入を充てることになるため、プライマリーバランスが赤字の状態が続きます。

 今後は少子高齢化が進むと予想されており、税収の伸びもそれほど期待できないため、さらに財政赤字幅が増加する懸念もあります。プライマリーバランスを保つためには大幅な歳出カットとともに、消費税などの増税による歳出歳入改革が必要とされます。しかし、それでもプライマリーバランスを均衡化するのは並大抵のことではありません。

 そこまでしても、何故プライマリーバランスを均衡させる必要があるのでしょうか。膨大な日本の国債残高はいずれ国民の税金で返していかなければいけません。しかし、現在の国債残高をすべて短期間に返済することは現実的に不可能です。

 ただし、日本政府に対する信認が続く限りは国債を最終的に償還せずに借り換えの繰り返しである程度赤字財政を維持していくことは可能です。この持続可能性のことを「サステナビリティ」と呼びます。

 国の財政赤字を維持可能とさせるためにはプライマリーバランスを黒字化させ、国債残高そのものを減少させていく必要があるのです。政府は2020年度の基礎的財政収支の黒字化を目指すこととしています。この目標の達成は難しいとの指摘もありますが目標に向けての政策を維持することにより、日本国債への信認は維持されていくものと思われます。そのためにも妙な理屈をこねて延期するのではなく、消費増税は予定通りに実施するべきです。国債の信任は積み上げるのはたいへんですが、崩れ出すと速いことも認識する必要があります。

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by nihonkokusai | 2016-05-29 16:29 | 国債 | Comments(0)

リーマン・ショック並みのリスクとは何か

 2007年の2月あたりから米国住宅市場が減速し、2005年から2006年に証券化されたサブプライムローンについて、金利が跳ね上がる2年を過ぎたものが出てきました。これらのローンについては、借り手に返済能力があるかという審査も不十分で、支払い遅延やデフォルトが相次ぐようになりました。これによりサブプライムローンを組み込んだ債務担保証券(CDO)の価格が大きく下落しました。さらに資産担保CPを購入することで、様々な証券化商品プログラムに資金を供給していた投資家が、担保にサブプライムローンが含まれていることを嫌気し、購入を手控えてしまったのです。これにより欧米の金融機関が資金繰りの問題に直面し、その後、巨額の損失見込みを計上するなどしたことで、金融市場を大きく混乱させる原因となりました。

 金融市場の動揺の背景には、高度化というよりも複雑化した金融商品に隠れていたリスクが表面化したことも大きいと言えます。サブプライムローンについてはそういった層に融資していた金融機関が直接被害を受けるものの、本来なら世界的な影響を及ぼすことは考えづらいはずです。しかし金融機関一社が、こういったローンのリスクをすべて一人で背負うことには無理があり、そのローンを担保にした証券を発行し、数多くの投資家に転売してしまうという仕組みが考え出されました。つまり一社では背負い切れないほどの信用リスクを、細分化して広範囲にばら撒いてしまう手法です。もちろんトータルのリスクが軽減するわけではありません。しかしこの仕組みならば、従来では不可能であったようなローンも提供することが可能となったのです。このような住宅ローンを裏付けにした証券が、住宅ローン担保証券(RMBS)と呼ばれるものでした。さらに合成債務担保証券、CDOの一部には、ローンや住宅ローン担保証券を組み入れたものがあったのです。

 米住宅バブルの崩壊により、サブプライムローンの焦げ付きが増加し、格付会社がそれを組み入れた証券化商品を格下げしたことで巨額の評価損が発生しました。その結果、それらを大量に保有していた欧米の金融機関で、数十兆円とも言われる天文学的な損失が表面化したのです。2008年9月15日のリーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに、カウンターパーティ・リスクに対する市場参加者の警戒感が高まりました。

 たとえばリーマン・ブラザーズ証券の破綻の際に、「正確な財務状況が確認されるまで既往契約に基づく決済を停止する」旨を発表したことで、約定済みの日本国債の取引が一切履行されないという非常事態が発生しました。この結果、リーマンが国債取引について引き起こしたデフォルトの規模は、2008年9月の予定分だけでも約7兆円規模に上ったのです。これによりリーマンと決済を予定していた相手先では、ポジション再構築、リーマンから引渡しを受けられなかった国債の調達及びリーマンに引き渡す予定であった国債の売却処分を余儀なくされたのです。また、リーマンから引渡しを受けなかったものについては、即日にその国債を調達することもできずフェイルを余儀なくされました。リーマン・ショックのあった2008年9月において、累計で6兆円弱のフェイルが市場で発生しました。リーマン破綻の経験を通じて、市場では、「破綻等のストレス時にモノ・金を予定通りに受け取れないリスク」(デフォルト・フェイルに伴う流動性リスク)が、概念上の存在に止まらない現実的なリスクとして、改めて強く認識されたのです(「リーマン・ブラザーズ証券の破綻がわが国決済システムにもたらした教訓」日本銀行資料より)。

 「リーマン並みのショック」は米国住宅市場のバブルが崩壊し、そこに複雑に高度化した金融商品のリスク分散手法の欠点が顕在化し、そのようなリスクが顕在化すると前提せずに投資していた金融商品に大きな損失が発生し、グローバルな大手金融機関を直撃したのです。大手金融機関の破綻により市場における流動性リスクが顕在化し、カウンターパーティ・リスクに対する市場参加者の警戒感が世界の金融市場を直撃しました。そこで世界的な金融経済危機が発生したのです。それが日本の国債市場も揺るがしたのです。ではいま、このような潜在的なリスクはどこに存在していると言えるのでしょうか。中国、産油国などにもないわけではないものの、むしろその潜在的なリスクは債務残高の異常な大きさと中央銀行が財政ファイナンスのような行動をしている日本にこそ潜んでいるとも言えるのではないでしょうか。

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by nihonkokusai | 2016-05-29 10:48 | アベノミクス | Comments(0)

サミットという虎の威を借る安倍首相

 今回の伊勢志摩サミットで議長の安倍晋三首相は機動的な財政戦略や構造改革を提案し、リーマン・ショックを引き合いに出して世界経済の危機(クライシス)に懸念を示したが、危機の度合いの表現をめぐって疑問も出たことから調整もあったようである。

 今年に入っての金融市場のリスクオフの動きなどから現在がリーマン・ショック前のような危機的状況に陥っているとの判断はかなり無理がある。中国を中心とした新興国の景気下振れリスクはたしかに存在する。しかし、これはリーマン・ショックやギリシャ・ショックのように金融市場を大きく揺るがすようなクライシスに相当するとは思えない。しかも世界的なクライシスはテールリスクとも呼ばれるように予測不可能なものであり、それを事前に予測できるものにクライシスなどはない。さらに言えば、米国はすでに金融政策の正常化を進めているぐらいである。

 何故、安倍首相はリーマン・ショックという表現を盛り込もうとしたのか。これは自ら消費増税の先送りの条件に「リーマン・ショック」という表現を組み入れてしまったからに他ならない。世界経済の認識については、多くの首脳から新興国の現状に厳しい認識が示されることは予想されており、それに乗じてリーマン・ショックという表現を盛り込んで、G7という虎の威を借りて消費増税を先送りさせることが目的であったのではなかろうか。これは以前にノーベル賞級の経済学者を呼んで消費増税に対する意見を聞く場を設けたことも同様の目的であったと思われる。

 サミットなどの主要国首脳会議は政治ショーの色彩が強く、開催国の首脳に花をもたせることも定例化しているそうである。安倍首相もこのあたりを計算に入れて、消費増税先送りへの道筋を付けようとしたのではなかろうか。それでも参加国は素直にうんとは言えなかったようである。

 本来危惧すべき問題は、あるかないかわからないリスクなどよりも、むしろ日本が抱える巨額の債務問題のほうではなかったのか。そうであれば消費増税先送りなどもってのほかという結論となってしまう。

 消費増税の先送りの可能性はより強まった。果たしてこれは手放しで喜べることになろうか。実は世界経済の危機(クライシス)になりそうなもの、潜在的なリスクが大きく膨らんでいるのは日本にあるように思われる。

 4月のコアCPIは前年比マイナス0.3%となった。日銀は物価を上げるためと称して年間発行額に相当する国債を買い入れているが、それが物価に直接反映されることはないことをむしろ証明してしまった。しかし、いったん踏み込んだ以上、日銀はどうやら後戻りもできそうにない。マイナス金利まで付けて、異常な金利体制を構築してしまった。つまり異常なほど日本国債の価格は上昇していることになり、これはバブル以外の何ものでもなかろう。このバブル崩壊のリスクこそ本来は意識すべきものであるはずである。

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by nihonkokusai | 2016-05-28 10:19 | アベノミクス | Comments(0)

いま何故、G7で財政政策なのか

 5月26日、27日にかけて開催されている伊勢志摩サミットでは、議長国である日本は安倍首相が世界経済を支える強いメッセージを打ち出す必要を訴えてきた。これは安倍政権の基盤そのものがアベノミクスと呼ばれた経済政策が柱であったため、アベノミクスの海外拡大版を意識したものであろうか。

 20日、21日に仙台の温泉地である秋保で開催されたG7財務大臣・中央銀行総裁会議では、協調しての財政出動に関して英国やドイツの慎重姿勢に変化はなく見送られた。これに関しての一連の議論は伊勢志摩サミットに引き継がれたようだが、やはり合意は難しいと思われる。

 ここにきて何故、財政政策なのか、それは年初からの原油安やその要因でもあった中国の景気悪化などによるリスクオフの動きも意識されたのであろうか。ただし、中国の景気減速はそもそも中国のバブル崩壊とも言えるべきもので、それが少し日米欧の積極的な金融緩和で先送りされていたところ、米国の利上げなどもあって顕在化したものであろう。その影響は無視はできないが、そのリスクオフの要因のひとつであった原油価格は反発し、WTIは50ドル近辺にまで戻ってきている。これをみても今になって何かしらの危機対策で、緊急の財政政策を打つ必要性は各国首脳もそれほど望んではいないのではなかろうか。

 7か国の間には協調しての財政出動に関して温度差があると指摘されている。積極的なのは日本と米国、中立ながらもやや前向きであるのがカナダ、フランス、イタリア。財政再建に取り組む英国と財政規律を重んずるドイツが消極的という構図とされる。

 ただし、現実問題として積極的な財政政策を打ち出せる国は本来いない。そもそも何故、欧州の信用不安に対し中央銀行の積極的な金融緩和に委ねられたのかといえば、財政政策に限界が見えたためであった。フランス、イタリアにはそんな余裕があるとは思えない。さらに米国も同様であり、自分の国はさておいて日本やドイツが頑張ってくれるなら応援するよとの認識ではなかろうか。

 日本もこれだけの政府債務を抱えて2020年のプライマリーバランスの黒字化を目指すはずが、どうやら消費増税は見送るだけでなく、積極的な財政政策も打つつもりなのであろうか。日銀が異次元緩和と称して大量に国債を購入し、マイナス金利政策まで加え、長期金利までマイナスと化している状況下、国債を発行すれば儲かるような図式となっている。ここでの積極財政、その財源としての国債増発となれば財政規律の緩みも意識されよう。

 国債というか長期金利はすでに、このようなリスクを示す指標とはなっていない。だから問題ないということではない。そのサインが出ないようにと国債管理政策等も進められてきた。急激な金利上昇は20年間起きなかったことがこれから起きるわけはないと言う人もいる。しかし、過去の歴史を振り返ると国が財政ファイナンスを行って成功した事例はないことも確かである。

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by nihonkokusai | 2016-05-27 09:41 | アベノミクス | Comments(0)

消費増税の延期と財政の緩み

 5月25日の読売新聞によると、安倍首相が夏の参院選と次期衆院選を同じ日に行う「衆参同日選」を見送る公算が大きくなったと伝えた。現時点では衆院解散を考えていない意向を与党幹部に伝え、これは参院選情勢や熊本地震の復興状況などを踏まえたとみられる。来年4月の消費税率10%への引き上げについては先送りする方向で、6月1日の今国会閉会後にも表明するとした。

 つい最近まで安倍首相は来年4月の消費増税について「リーマン・ショックや大震災のような事態が発生しない限り、予定通り引き上げる」と繰り返し答弁してきた。熊本地震のあとでも同様の発言をしていたため、熊本地震による日本経済への打撃はそれほど大きくはないとの認識であったのか。それでは世界の金融経済は今、リーマン・ショックのような百年に一度とされる危機を迎えているのか。いやむしろ大きな危機は去って米国のFRBは正常化路線に舵を切り替えているぐらいである。

 1~3月期の日本のGDPでは多少個人消費が回復していることを示していたが、なかなか個人消費が回復し切れていないのは、日銀の新たな指標からも明らかである。しかし、これをリーマン級の影響によるといった判断はできまい。

 つまり本当に消費増税を延期するのであれば、これまでの首相の発言とは矛盾した結果となる。もしかすると今後、嘘をつけるものとして日銀の公定歩合、衆院解散に続いて消費増税が加わることになるやもしれない。

 ただし、市場ではかなり消費増税の先送りは織り込んでいた。日銀の異次元緩和にも関わらず物価目標が達成できない理由についには日銀も2014年4月の消費増税による影響を指摘するようになっていたぐらいである。予定通り実施しても物価目標はできると2013年4月には日銀は胸を張っていたはずなのではあるが。

 それはさておき、どのような理由付けになるかは知らねど、首相として在任中に二度の消費増税の引き上げなどはできないであろうというのが市場関係者の読みであった。今回予定通りに実施されるほうがサプライズとなる可能性があった。

 日銀が大量に国債を購入しているが、物価はいっこうに上がる気配はなく、長期金利は上がる理由がいまのところ見当たらない。10年債あたりまでのマイナス金利により、国債を発行すると政府は儲かるシステムとなっている。国債需給もタイトであり、いまのうちに国債を大量に発行して大胆な財政政策を打つべしとの声も出ている。財政規律は緩みつつある。長期金利は上がる理由がいまのところ見当たらないとしたが、上がるリスクそのものは見えないところで膨れあがっていることにも注意すべきである。

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by nihonkokusai | 2016-05-26 09:34 | 財政 | Comments(0)

異次元緩和で長期金利が上がらぬ不思議

 日銀のいわゆる異次元緩和の目的は2%の物価目標を達成することであるが、その手段として大規模な長期国債の買入れを行うのは、イールドカーブ全体にわたって名目金利に低下圧力を加えるためであると日銀は説明している。

 今年1月に異次元緩和にマイナス金利という新たな装備をセットしたことで長期金利、つまり10年国債の利回りまでもがマイナスとなった。日銀が大量に国債を買い入れで需給をタイトにさせ、日銀が操作可能な足元金利をマイナスにしたのだから当然であろう、と思われるかもしれないが、これは実はおかしい。

 日銀が目指しているのは「思い切った金融緩和によって、デフレマインドを抜本的に転換し、インフレ予想を引き上げること」(23日の中曽副総裁の講演より引用)である。長期金利、つまり日本国債の利回りは株や為替と同様に市場で決定される。ここに市場参加者のマインドが影響していることは多少でも取引をしたことがある人であればおわかりかと思う。長期金利は日銀が強制的に決めているものではない。

 日銀の予想インフレ率を示すために岩田副総裁などはかつて物価連動国債から算出されるBEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)などを持ち出していた。この物価連動債の流動性はかなり低く、その価格も一部の参加者のみで決定されるものであり、それが的確に予想インフレ率を示すとは言えないと私は主張してきたが、日銀もさすがに気がついたようで、最近はあまりBEIを持ち出していない。もちろんBEIそのものが低迷しているからという理由かもしれないが。

 そんなBEIなど持ち出さずとも人々というか厚みのある市場参加者の予想インフレ率を示すものがある。それが長期金利である。この長期金利は将来の金利を予想して動いているものでもあり、将来、物価が2%に上がると予想していれば当然、長期金利もその2%目指して上昇しなくてはおかしい。

 日銀が大量に購入するから長期金利が抑えられているも言えなくもないが、長期金利も市場で形成される以上、市場参加者のこのような予想も抑えられているとは言えない。長期金利までもがマイナスに低下しているという事実は、日銀がいくら国債を購入し、マイナス金利を導入しようが、将来物価が2%に向かって上昇するということを市場参加者が疑っているというか、信じていないということを示している。

 ただし、長期金利がかなり無理矢理抑えられている面があることも確かであり、債券市場参加者のマインドに何かしらの変化が生じ、物価が日銀の思惑通りに上がるかもしれないと認識するとなれば、債券市場の流動性が枯渇しつつあることもあり、長期金利が一気に跳ね上がるリスクも存在する。

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by nihonkokusai | 2016-05-25 09:39 | 債券市場 | Comments(0)

為替を巡る日米の見解の相違

 20日から21日にかけて仙台の温泉地である秋保で開催されたG7財務大臣・中央銀行総裁会議は何事もなく無事に閉幕した。歓迎レセプションで、鏡開きをする様子や仙台城跡で記念撮影が財務省のサイトのフォトライブラリーで見ることができる。仙台城跡の伊達政宗像の前での記念撮影の一枚には、麻生財務相、黒田総裁、ルー財務長官、イエレン議長など皆笑顔のなかで一人だけ、むっとしているドラギ総裁がいた。たまたまそのタイミングで撮ってしまったと思われるが、もしや何か思うところがあったのだろうか。

 それはさておき、今回のG7財務大臣・中央銀行総裁会議では本当に何事もなかった。注目ポイントのひとつとみられた日米政府の外為市場の見解の相違に関しては、互いへの強い批判は避けた格好となった。

 日経新聞によると「ここ数週間をみれば、10日間で8円とか9円とか振れるのは秩序だった動きとはいえない」との麻生財務相の発言に対し、「相場は無秩序とはいえない状況だろう」とルー財務長官は発言するなど平行線のままではあった。21日朝に開いた日米財務相会談でも麻生財務相は「ルー長官と特に激論があったわけではない」と発言している。日米とも今年は選挙を控え、それぞれの立場も意識し、米国としても開催国の日本に配慮していた可能性もある。

 それでも根本的な見解の相違が存在していることは確かである。日本としては急激な円高に対しては介入という手段があることを市場に認識させておきたい意向はあるであろう。米国としては為替介入などもってのほかとのスタンスは継続しよう。しかし、ドル円そのものがここにきて105円台から110円円台に戻すなどしていたことで、それほど神経質にはなっていないことも確かである。

 ただし、ここからあらためて円高が進むような事態になると状況が変わる可能性がある。今週は伊勢志摩サミットも控えている。6月にFRBが利上げをする可能性も高まっている。日銀の今後の動向も念のため確認しておく必要もある。

 もうひとつ注目されていた協調しての財政出動に関しては、英国やドイツの慎重姿勢に変化はなく見送られた。これに関しての一連の議論は伊勢志摩サミットに引き継がれるようだが、やはり合意は難しいと思われる。

 意外にサプライズとなるかもしれないのは日本の消費増税の行方となるかもしれない。市場は見送りと読んで、これをかなり織り込んでいただけに、予定通り実施されるとなると株式市場などがやや動意を示す可能性はある。個人的には財政規律を維持させるためにも消費増税は予定通り実施されるべきであると思っているが。

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by nihonkokusai | 2016-05-24 09:31 | 為替 | Comments(0)

海外投資家の国債売買シェアの拡大のリスク

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 5月17日の日経新聞朝刊に「国債購入、海外勢27%に」との記事が掲載された。これは日本証券業協会が毎月20日に公表している公社債投資家別売買高のなかの国債投資家別売買高(一覧)を元に算出したものであろうと思い、早速検証してみた。たしかに2016年3月の外国人による国債の買い付け額(短期債含む)は金額で29兆5446億円となり、全体の買い付け額109兆4686億円の約27%を占めていた。

 国債買い付け額では債券ディーラーがほぼ5割近くを占めており、投資家別ではトップとなるがこちらのシェアはあまり大きな変化がない。それに対していわゆる本来の意味での投資家のシェアは2012年4月あたりから大きな変化を見せていた。

 2012年4月の都銀の国債買い付け額のシェアは17.6%、それに対して外国人は11.7%となっていた。しかし、ここが都銀のシェアのピークとなり、その後10%も割り込んだ。量的・質的緩和の拡大があった2014年10月にいったん10%まで戻すが、そこから再び減少し、直近の2016年3月は2.4%にまで低下している。

 これに対して外国人は2015年3月に20%を超えて、2016年3月に27%まで上昇している。国債全体の買い付け額から債券ディーラーの分を除いて計算し直すと52%のシェアとなっており、その影響力の大きさがわかる。

 代表的な投資家のひとつとして信託銀行のシェアも確認したところ、こちらも2013年2月に10%を超えるシェアであったのが、2015年10月には2.6%まで低下し、2016年3月は4.2%となっている。いずれにしても外国人の日本国債における売買シェアが2015年3月に20%を超えてから急激に上昇していることは確かである。

 国債の買い付け額全体でみると、それほど落ち込んでいるわけではない。国債の流動性は維持されているように見える。大量に国債が発行されており、それが債券ディーラーを通じて投資家と売買されているが、ただし投資家のシェアが様変わりしている。

 過去において債券相場が大きく揺れ動いたときなどメガバンクや信託銀行を通じた年金などが大きな売買をしていたことが多かった。いわばメガバンクなどが債券相場を動かしていたと言えたが、その存在がどうやら外国人投資家に移行してきたようである。

 もちろん国債残高の三割を保有する日銀とその日銀とオペを通じてトレードしている業者、つまり債券ディーラーの存在感も大きい。ただ、今後日本の債券相場を大きく動かすであろう存在として比較的足の速い投資家といえる海外投資家が浮かび上がってきた。高値圏での膠着感が強まる日本の債券相場ではあるが、こういったところにも新たなリスクが存在しているように思われる。

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by nihonkokusai | 2016-05-23 10:00 | 国債 | Comments(0)
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