牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

<   2016年 04月 ( 26 )   > この月の画像一覧

増加した個人向け国債販売額

e0013821_9592513.jpg

 4月発行(3月募集分)の個人向け国債の発行額が前月に比べて大幅に増加した。財務省のサイトにある個人向け国債の発行額の推移によると、固定3年が3月発行分の365億円から4月発行分が418億円に、固定5年は同311億円から1117億円に、そして変動10年は同1659億円から2467億円に増加した。

 日銀のマイナス金利政策の導入により、10年国債までの利回りがマイナスとなっているなか、この個人向け国債に関しては最低保証利率の0.05%が設定されている。このため、4月発行分の固定3年、固定5年の利率は最低の0.05%となり、変動10年の初期利子も0.05%となっていた。

 2003年に発行がスタートした個人向け国債はピーク時には2兆円を越す販売額となっていたが、国債の利回りの低迷により販売額は落ち込み、昨年12月は3種類の合計で729億円と1000億円を割り込むこともあった。国債利回りは今年に入りさらに低下し、利率の面での魅力はさらに薄れていたが、日銀のマイナス金利の導入で状況が変わった。

 日銀のマイナス金利の導入により、預貯金金利が大きく引き下がった結果、個人向け国債の最低保証利率の0.05%が魅力的に映るようになったのである。これもあってか証券会社なども積極的にキャンペーンなどを張ったことで販売額が増加したものと思われる。

 個人向け国債は国債であるため信用度は高い上に、ここまで利回りが低下してしまうと今後の状況次第では国債の価格が大きく動く懸念があるがその価格変動リスクもなく、1年経過すれば売りたいときに財務省が買ってくれるため流動性リスクもないという、かなりリスクの低い金融商品である。さらに変動10年に至っては、途中で長期金利が上昇するとそれに応じてもらえる利子が増える仕組みになっている。

 財務省は2016年度に印刷する1万円札を前年度より1.8兆円分多い12.3兆円分とする計画を決めたと報じられた。これは日銀のマイナス金利により、お札を使いたい人が増えた、というわけではなく、行き場を失ったお金をタンス預金にしようとする人が増えているためである。マイナンバー制度で自分の資産を把握されたくない人はさておき、高価な金庫を買って、盗難リスクもあるタンス預金よりも、1年以上資金が寝かせられるのであれば、この個人向け国債に資金を置くというのも選択肢となるのではなかろうか。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2016-04-08 09:59 | 国債 | Comments(0)

終焉を迎えつつあるアベノミクス相場

e0013821_10111996.jpg

 4月5日のニューヨーク外為市場でドル円は一時109円台をつけ、2014年10月31日に日銀が量的・質的金融緩和を決定した前日の水準にまで低下した。日経平均株価は16000円を割り込み、すでに2014年10月31日の水準を下回っている。そして、昨日までの日経平均株価は7日続落となり、2012年11月13日までの7日続落以来の出来事となった。つまりアベノミクス相場が始まってから初の7日続落となった。

 2012年12月の総選挙を経て誕生した安倍政権であるが、その政権奪取に向けて打ち出した政策がアベノミクスと呼ばれる経済対策であった。11月17日に自民党の安倍総裁は熊本市内での講演で、衆院選後に政権を獲得した場合、「建設国債をできれば日銀に全部買ってもらう。新しいマネーが強制的に市場に出ていく」と述べた上、同日に山口市では「輪転機をぐるぐる回して、日本銀行に無制限にお札を刷ってもらう」と発言した。アベノミクスとはいわゆるリフレ政策と呼ばれ、日銀が次元の違う金融緩和を行うことでデフレマインドを払拭させるというものではあった。その結果として現れたのが円安・株高と、その円安にも影響された一時的な物価の上昇となった。

 安倍政権は常に日経平均をチェックしていると言われるように、株価の動向をかなり意識している。その意味では最初の市場への奇襲作戦といえるアベノミクスの登場はおおいに成功した。ただし、それは欧州の信用不安の後退期という絶妙のタイミングと、リフレ政策による株高を連想したヘッジファンドが美味しいところを持っていったこと(大量の円売り・日本株買いの仕掛け)によるところが大きい。

 ところが、アベノミクスの勢いは2014年あたりで一服した。日経平均は16000円台、ドル円は110円台でいったんピークアウトしたのである。これもあり、あらたな打開策として登場したのが日銀による追加緩和である。これは原油安により物価目標達成がより困難になりつつあったことも背景にあるが、あらためて円安・株高の勢いを取り戻そうとの作戦となった。

 日銀のバズーカ第二弾もあり、さらに米国株式市場の上昇も追い風となって日経平均は2015年4月に2万円台を回復し、ドル円は2015年6月に125円台をつけた。しかし。このあたりで改めてピークアウトする。2015年8月に日米の株式市場は大きく調整した。これは中国の元切り下げなどもきっかけではあったが、中国経済の減速傾向がはっきりし、世界的な景気減速への警戒が世界の株安連鎖に繋がった。中国などの経済減速は、原油価格の下落の要因ともなり、原油価格の下落がリスク意識を強めさせた。

 日米の株価の本格的な調整は、原油価格の下落も伴って2016年に入ってから起きた。ダウ平均は17000ドル台から15000ドル台に急落した。しかし、原油価格の下げ止まりもあり、ダウ平均はその後17000ドル台まで回復している。

 ところが日経平均の戻りは鈍かった。ここで再び登場したのが日銀であり、2016年1月の決定会合でマイナス金利付き量的・質的緩和を決定した。しかし、市場はこれに対してネガティブな反応をした。マイナス金利への負の反応もあったかもしれないが、市場はすでに金融緩和に踊らされる地合ではなくなっていた。

 あらためて東京株式市場は売られて円高は進み、ドル円と日経平均は2014年10月の水準まで下落した。日銀にとっても打つ手は限られ、政府がいくら財政政策などを行っても地合を変化させることは難しい状況にある。むしろGPIFなども使っての無理矢理な株価対策に対する反動もあるとみられ、よほどのファンダメンタルズの改善でもない限りは、力尽くでの株価浮揚策には無理があろう。円安・株高に頼ったアベノミクスはすでに終焉を迎えつつあり、問題はその後始末にあるように思われる

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2016-04-07 10:11 | アベノミクス | Comments(0)

4月の日銀による追加緩和が難しい理由

 日銀は4月27、28日に金融政策決定会合を開く。昨年までは年14回の決定会合が開かれ、展望レポートの発表がある4月と10月は月2回開かれていた。しかし、今年からは年8回となり、4月は27、28日の会合のみとなる。決定会合が年8回となれば、昨年までと異なり臨時の決定会合を開くことがなければ、金融政策変更のタイミングが減少することになる。4月の会合の次は6月15、16日の予定となる。つまりもし仮に今後追加緩和を必要とするのであれば、4月を逃すと6月までできない。

 日銀短観の悪化やここにきての円高・株安もあり、4月の決定会合では追加緩和の有無を検討する可能性指摘されている。経済・物価情勢の展望(展望レポート)の発表は昨年までの年2回から年4回となったが、4月にも予定されている。ここで日銀は物価の見通しをさらに下方修正する可能性があり、物価目標達成時期も先送りしてくる可能性がある。このための追加緩和期待も出てこよう。

 5月には伊勢志摩サミットの開催が予定されているが、それに向けた経済対策を政府が講じる可能性が高まっており、それをフォローするための追加緩和の必要性もあるのかもしれない。このように何も障害がなければ、日銀が逐次投入型の追加緩和を決定してもおかしくはない。しかし、それは現実的には難しいと思う。

 日銀は1月の決定会合でマイナス金利政策を導入し、量と質、金利の三次元の緩和を行うとした。ところがこのマイナス金利に対する評判が芳しくない。同じくマイナス金利を導入したECBはマイナス金利は打ち止めにする意向を示している。それでは量で行くのかとなれば、昨年12月の補完措置で量を拡げる措置はとったものの、国債をさらに大量に買い入れるとなれば2016年度の市中発行額をも上回ることになり、国債の買い入れで札割れが起きる懸念が強まる。

 もちろん質を含め、あらたな手段を講じる可能性はなくはないが、さらに次元の異なる政策は見いだせるのかは疑問である。つまり黒田総裁がいくら限界はないと主張しようが、現実的には追加緩和手段には限界が見えてきている。

 安倍首相はWSJとのインタビューで「恣意的な為替市場への介入は慎まなければならない」と発言していたが、政府による為替介入などによる円安政策には米国を中心に批判的な声が高まっている。サプライズ的な日銀の追加緩和に対しても海外からは批判的な見方をされていることも追加緩和への障壁となりうる。もし日銀が追加緩和を行う心づもりがあるならば、少なくともECBなどのように事前に市場に向けて申告する必要性があるように思う。

 2014年10月の「量的・質的緩和の拡大」に際しては、いろいろとタイミングが意識されていたが、そのひとつに消費増税の行方が意識されていたのではなかろうか。黒田総裁としては消費増税が予定通りに実施されることを望んでいたとみられ、そのための事前策としての追加緩和との意識もあったのではなかろうか。

 今回も政府が消費増税を巡って予定通り実施するのか再延期なのか、2014年10月時と同様に不透明感が強まっている。ただし、安倍首相にとって自らの任期中に2度の消費増税の引き上げは正直なところ、したくはないというのが本音ではないかとみられ、そのために海外からわざわざ有識者まで呼んで意見を聞いたぐらいである。今回も延期される可能性が強いことも確かではなかろうか。そうであればここで予定通りの消費増税を前提とした追加緩和を打つ必要性はない。

 このようにタイミングとしては追加緩和を期待する声も出てもおかしくはないが、現実としては追加緩和を行うにはいくつもの障壁が存在し、難しいのではなかろうかというのが結論となる。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2016-04-06 09:42 | 日銀 | Comments(0)

異次元緩和からまる3年の効果検証

e0013821_9465587.jpg

 日銀が2013年4月4日に量的・質的緩和を導入してまる3年が経過した。量的・質的緩和政策とは、量的な金融緩和を推進する観点から、金融市場調節の操作目標を、無担保コールレート(オーバーナイト物)からマネタリーベースに変更し、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するとした(2013年4月4日に発表された公表文より引用)。

 それではこの3年間で、操作目標となったマネタリーベースと、そのマネタリーベースの目標達成のための国債買入やイールドカーブの押し下げ効果、そしてその結果として物価の状況について確認したい。

 物価のデータが最新のもので2016年2月のものとなっているため、2013年4月末と2016年2月末の数値を比較した。マネタリーベースは2013年4月末が149兆5975億円、2016年2月末は355兆415億円となっている。すでにマネタリーベースは2倍を大きく超えている。日銀の大量の国債買入などにより、長期金利は2013年4月末が0.6%近辺にあったものが、2016年2月末はマイナス0.05%近辺に低下した。このあたりまでは日銀が想定したとおりか、それ以上の結果であったと思う。

 それでは肝心の物価の動向はどうなっているのであろうか。ここでは日銀の物価目標の総合ではなく、ベンチマークとなっているコア指数でみてみたい。全国コアCPIは2013年4月が前年比マイナス0.4%であったのが、2016年2月は前年比ゼロ%となっている。総合もほぼこの数字に近い。念のため、日銀の物価目標は前年比プラス2.0%となっている。

 マネタリーベースは2014年10月の量的・質的緩和の拡大もあり、順調に積み上がっている。そして、長期金利は2016年1月のマイナス金利付き量的・質的緩和の導入もあり、一時マイナス0.135%にまで低下した。しかし、いっこうに物価は上がる気配はない。これはどうしてなのか。

 これに対して日銀は原油価格の下落を主要因に挙げている。また、2013年4月の消費増税の施行が原因と指摘する向きもある。

 コアCPIは2013年4月のマイナス0.4%から翌月5月にはゼロ%に浮上し、そのままの勢いで消費増税がスタートした2014年4月に前年比プラス1.5%まで上昇した。まるで日銀の異次元緩和に即効性があるかの勢いであった。ところが、消費増税スタートのタイミングで急低下する。

 2014年4月に100ドル台となっていた原油先物のWTIは2015年1月には50ドルを割り込み半値以下となった。コアCPIについては原油価格との連動性が高いことは当然、日銀も理解していたと思われる。ただし、これほど急激な原油価格の下落は想定していなかったということであろうか。それはつまりマネタリーベースだけ増やしても、このような外部要因により簡単に下方圧力が簡単に掛かってしまうということになり、どれだけマネタリーベースに物価への影響力があるのかという問題も出てこよう。

 2013年4月から消費増税がスタートする2014年4月までに物価が前年比マイナスからプラス1.5%に上昇したのは、マネタリーベースやそれによる長期金利の低下が要因であったとは言えない。なぜならば2014年4月以降もマネタリーベースやそれによる長期金利の低下が起きても物価に上方圧力は掛かっていないためである。

 それよりも2012年11月頃からの欧州の信用不安の後退のタイミングでのアベノミクスと称された安倍自民党総裁の輪転機発言をきっかけとした円安・株高による影響が大きかったと思われる。ドル円は2012年10月に80円割れとなっていたのが、2013年4月に98円近割れが、2014年4月には102円台となっていた。このドル安により輸入される原材料価格の上昇、消費増税のタイミングでの値上げや駆け込み需要、さらに株高による効果などが相まって、コアCPIはプラス1.5%に上昇したとの見方のほうが適切ではなかろうか。

 アベノミクスとそれに実現した異次元緩和は、たしかに円安・株高、長期金利低下をもたらせた。円安などは一時的に物価の押し上げ圧力となったが、マネタリーベースの増加そのものが物価を押し上げていたわけではない。さらにマイナス金利によるイールドカーブの押し下げも同様に直接的な物価に波及する効果はかなり不透明である。日銀はなぜ予想通りに物価は上がらなかったのかを検証した上で、方針転換も必要になるのではなかろうか。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2016-04-05 09:47 | 日銀 | Comments(0)

国債先物の乱高下の背景とは

 3月31日の債券先物は5銭高の151円88銭で寄り付いたがここが高値となり、その後も売りに押され、53銭安の151円30銭の安値引けとなった。50銭以上の下落はそれほど珍しいことではないが、ここにきて膠着相場が続いていただけにやや奇異に感じた。しかも先物主導であり、現物債の売りは後からついてきた格好となっていた。

 要因としては新年度入りすることで、銀行などによる期初の売りへの警戒も出ていたと思われる。5日に10年国債の入札を控え、業者がヘッジ売りを入れてきたのではとの見方もあった。月末にも関わらず年金などの買いが限定的であったことも意識されたのかとの思惑も。

 31日の夕方に日銀が「当面の長期国債買い入れの運営について」を発表するため、今後の日銀の国債買入の増減に向けた思惑的な動きも出ていた可能性もある。こちらはむしろ30年債の買い材料となり、イブニング・セッションでの債券先物は151円50銭と買い戻されていた。これは米債が買われていたことも影響したと思われる。

 米債高などから4月1日の債券先物は買いが先行し、前日比19銭高の151円49銭で寄り付いた。朝方発表された日銀短観は大企業製造業DIがプラス6となり、12月調査のプラス12から6ポイントの悪化となった。これもあってか日経平均は大幅に下落したが、同時に債券先物も寄り付き後、昨日よりピッチの速い下落となった。債券先物は一時151円02銭まで急落した。

 たしかに以前に比べれば債券先物も出来高は薄くなっており、板が薄いなか値段だけが大きく飛んだ可能性はある。しかし、31日の債券先物の出来高は3兆円近くあったことでそこそこまとまった売りが入っていたとも思われる。

 銀行などは国債が利回りがマイナスにまで低下していたことで、膨大な含み益を抱えている。もちろん最大の国債保有者は日銀ではあるが、日銀が利益確定のため国債を売却することはない。しかし、民間金融機関は特にマイナス金利となっているゾーンについては利益確定売りを入れてくる可能性はある。保有国債を売却するとそれが日銀の当座預金に積み上がり、マイナス金利のペナルティーが科せられる可能性はあるものの、それでも利益幅はそんなものではないため、目先の売りは出てもおかしくはない。そのような売りを先取りするような格好で債券先物に売りが入った可能性がある。

 いずれにしてもこのような思惑も出ておかしくないような動きに債券先物がなっている。手口がわからない以上は売り手は想像するほかはない。ただし、1日の債券先物は151円02銭が安値となり、その後買い戻され、151円66銭まで戻して、引けは18銭高の151円48銭となっていた。これは日銀の国債買入結果や、日経平均の下げなどをきっかけとした買い戻しではあるが、現物債は中長期債に益出し売りが入ったものの、売られたところでは押し目買いも待っていたことで先物が買い戻された格好となっていた。または、思惑的なショートのカバーが入った可能性もある。いずれにしても債券市場では先物主導で動意を見せつつあり、期初の売り観測も残っており注意する必要がある。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2016-04-04 09:23 | 債券市場 | Comments(0)

マイナス金利による個人への負担

 日銀の「5分で読めるマイナス金利」によると、「個人の預金金利はマイナスにはならない?」との問いに対し、回答は「ヨーロッパでは日銀よりも大きなマイナス金利にしていますが、個人預金の金利はマイナスにはなっていません。」となっている。

 これは答えになっているようで、実は答えになっていない。先行してマイナス金利政策を導入したスイスやスウェーデン、ユーロ圏などの欧州では、個人預金の利子に対しては適用した例はないとの状況を説明しただけである。

 現在は昔のように規制金利の時代ではなく金利は自由化されている。このため、個人の預貯金金利は銀行などが決めている。日銀が決めているわけではないため、個人の預金金利はマイナスには絶対しません、といった答えは日銀にはできない。

 マイナス金利を特集したNHKの番組では、たしか欧州の一部銀行で、手数料形式で結果として個人向け預金でのマイナス金利の適用事例が報じられていたと思ったが私の見間違いであったろうか。大口預金等を含めると個人向けのマイナス金利の適用事例はあったようなに思うのだが。それについては後日あらためて調べるとして、個人に関係してきそうな新たな事例が発生した。

 「三菱UFJ信託銀行や三井住友信託銀行など信託銀大手各社は、顧客の投資信託やファンドが運用する資産のうち、現金部分について新たな手数料を徴収する。4月中旬から始める。日銀のマイナス金利政策で日銀の当座預金に預ける資金の一部にマイナス金利が課されることとなるため顧客に転嫁する。事実上のマイナス金利適用となる。」(3月31日付け日経新聞より)

 投資信託などは顧客の解約などに備えて、一部の資金を短期金融市場で運用している。なかにはMRFやMMFのように短期金融市場だけで運用している投信信託もある。日銀のマイナス金利政策により、10年を超える国債までマイナス金利となり、当然ながら短期金融市場で運用しようとしてもマイナス金利となる。このため、MMFについては新規の購入申し込みを停止し、運用を終了して顧客に資金を返す繰り上げ償還も実施された。

 しかし、MRFについては証券取引の決済機能を担っている関係で、証券業界からは日銀のマイナス金利の適用除外とするよう求めてきた。MRFなどの運用資金を管理・保管している信託銀行はマイナス金利がつく短期金融商品を購入するのを避け、MRFの資金の一部を自行の「銀行勘定」に貸し出すかたちで移しており、銀行勘定に現金が急速に積み上がった結果、それが日銀の当座預金に積み上がり、日銀当預のうちプラス金利が適用される基礎残高部分を超えてしまう状況となっていた。

 日銀は3月の決定会合で、MRFの分はマイナス金利が適用される政策金利残高ではなく、ゼロ金利が適用されるマクロ加算残高に適用させるとした。日銀によるマイナス金利が適用されていた分は、とりあえず信託銀行などが負担していた格好であったが、日銀は業界の要望もあって、MRFの分は適用除外としたのである。

 しかし、公社債投信に限らず株式投信でも換金に備えてある程度短期金融市場での運用をせざるを得ない部分がある。年金などの運用も同様となる。特定金銭信託と呼ばれる預金口座のその資金は通常、コール市場などで運用される。ところが短期金融市場でのマイナス金利化により、それが日銀の当座預金に積み上がることになり、その分はマクロ加算となり、日銀によるマイナス金利が適用されることになる。そうなると信託銀行としては収益が圧迫されかねない。そのため、信託銀行は資産運用会社などにその分の手数料を課すことになった。これがもし個人に課す手数料に再転嫁されるとなれば、結果として投資信託などを保有している個人に対してマイナス金利分の手数料が課せられることになる。

 もちろんこれは個人の預貯金が直接、マイナス金利に晒されるというわけではないが、投資信託の保有者などにはマイナス金利分の負担分が課せられる可能性があるということになる。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2016-04-01 09:40 | 日銀 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー