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マイナス金利は非常時の対応にも障害に

 4月14日に熊本で大きな地震が発生し、16日にはマグニチュード7.3の地震が起きた。その後、過去にないような余震が続き大きな被害が発生した。ただし、日銀は今回の震災に絡んでは特に臨時の資金供給オペなどは行わなかった。

 2011年の東日本大震災の際には週明けとなる3月14日に日銀は9時1分(過去最大規模の7兆円)、10時30分(5兆円)、12時50分(3兆円)の3回に分けて、総額15兆円の即日資金供給オペを実施した。しかし、今回は淡々と国債買入をオファーしたのみとなった。

 これは津波による未曾有の被害が生じた東日本大震災の際と今回震災の被害規模の違いとともに、首都圏への直接的な影響等などにより、資金供給の必要性の有無の判断が働いた可能性がある。また日銀の異次元緩和で、すでに大量の資金が当預に積み上がっているということもあり、今回の資金供給は見送った面もあるかもしれない。

 ただし、金融市場が動揺を示すような状況となった際には、2011年の東日本大震災のときのような即日資金供給オペが可能なのかといえば、そこにマイナス金利という障害が発生することになる。

 もちろんそういう際には、臨時の金融政策決定会合を開催し、即日資金供給オペにより当座預金に積み上がった分については、マイナス金利は適用しないような措置が取られるとは思う。しかし、それはそれで何のためにマイナス金利政策を行っているのかという疑問も生じよう。

 今回の震災被害に対する募金などについてもマイナス金利が影響する可能性もある。つまり、募金の振込先が限られており、震災の募金窓口となっている金融機関の預金増加分が日銀の当座預金に積み上がるとマイナス金利に晒される懸念がある。善意により送られた資金に対して日銀がペナルティを課すような事態もありうることになる。

 ちなみに日銀が18日に公表した業態別の3月の日銀当座預金残高によると、マイナス金利が適用される残高分が29兆7240億円になった。2月の22兆3030億円からさらに増加していた。

 19日の日経新聞によると、三菱UFJ国際投信や大和証券投資信託委託などは、マイナス金利に伴う負担を投信の基準価格に反映させる方針を決めたそうである。間接的な格好ではあるが、個人にマイナス金利分の負担が掛かる格好となる。

 異次元緩和でいっこうに物価は上がらず、日銀はここまで(マイナス金利にまで)追い込まれてしまった感もあり、本当にマイナス金利政策は必要なのかという疑問があらためて生じよう。

 4月27日、28日の金融政策決定会合では震災の影響も意識して、追加緩和か何かしらの補完措置が検討される可能性はある。ただし、マイナス金利の深掘りについては逆効果となろう。量にも限界はあるが、新たな資金供給のオペレーションなりでの工夫も求められよう。その際にもマイナス金利がむしろ邪魔になる懸念があることで、この際、無理を承知で指摘したいが、マイナス金利を止めるという選択肢はないのであろうか。

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by nihonkokusai | 2016-04-20 09:59 | 日銀 | Comments(0)

東京株式市場が乱高下した理由

 4月18日の東京株式市場で日経平均は大幅下落し、500円を超す下げとなった。この株価下落の要因としては大きく3つ存在した。そのひとつは米国のルー財務長官が15日のG20財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で、為替市場の動きは秩序的だと述べ、日本政府が円安誘導策に動くことをけん制したことによる円高である。

 G20の開幕に先立って、麻生太郎財務相は米国のルー財務長官と会談して為替政策を協議し、通貨安競争や過度な相場変動の回避を原則とするG20合意を「すべての国が尊重することが重要」との考えで一致したとの報道があった。しかし、これはそれぞれ都合良い解釈によるものではないかと私はみていた。

 ただし、IMFのラガルド専務理事が14日の記者会見で、足元で進む円高について「日本の市場を注視している」と述べた事が気になっていた。急激な為替変動があった場合には「為替介入は正当化される」と指摘しており、日本の為替介入について同意を示すような発言があったのにむしろ違和感を覚えていた。

 IMFの対日審査責任者を務めるリュック・エフェラールト氏が「為替レートが極めて無秩序な動きを示さない限り、現時点での日本の介入には正当な理由はない」と発言していたこともあるが、少なくとも米国が日本の為替介入を認めるようなことは、これまでの経緯からは考えられないと見ていたからである。現実に米国はルー長官が自ら念を押すような発言をしてきたと言える。これにより外為市場でドル円は107円台をつけてきた。

 そして、もうひとつ注目されていたのが17日の産油国会合で増産凍結合意できずとの報である。イランが凍結に応じず、サウジアラビアがイラン抜きでの増産凍結に反対し、原油価格押し上げに向けた増産凍結の見送りが決定された。

 市場では増産凍結にはなんとか合意に持ち込めるのではとの希望的観測が強まっていた。原油先物も40ドル台で推移し、市場も原油価格の動向に一喜一憂することがなくなりつつあった。ところが、増産凍結合意ができなかったことにより、時間外取引で原油先物は大幅下落となった。この円高と原油安によって、東京市場ではリスク回避の動きを強めることとなった。

 これに加わったのが熊本地震による影響で、部品供給が滞っているトヨタが18~23日に全国の完成車工場の生産を段階的に停止すると発表したことである。トヨタだけでなく、ルネサスやソニーも熊本などの工場停止が相次いでいるが、あらためてサプライチェーンの問題が浮上し、これも株式市場などにインパクトを与えたといえる。

 東京株式市場の大幅な下落や原油安を受けて18日の欧米の株式市場も売りが先行した。18日の原油先物も下落したが、その後下げ幅を縮小させた。欧米の株式市場は結局買い戻されたが、これは原油価格の下げ幅縮小によるというよりは、以前に比べて原油価格に対する市場の感応度が低下したという見方の方が良いのではなかろうか。18日の東京株式市場は円高が進行したが、つまりドルやユーロは円に対しては下落しており、これは欧米の株式市場では売り要因とはならない。また、18日の東京株式市場はやはり熊本地震の影響が強く意識されていた側面があり、そこに円高と原油安が加わっての大幅下落となったものとみられる。

 しかし、18日の欧米の株式市場の上昇を受けて、19日の東京株式市場でもやや不安感が払拭された。ショートカバーも入り、ほぼ前日の下げ分を取り戻す格好となっている。東京株式市場が大きく値を戻したこともあり、外為市場でドル円はあっさりと109円台に戻している。これはいまだに株とドル円はセットで動いているためとみられる。どうやら欧米の株式市場が大きく崩れない限りは東京株式市場もしっかりした地合は継続しそうな感じである。

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by nihonkokusai | 2016-04-19 09:43 | 為替 | Comments(0)

ECBのヘリコプターマネー構想

 ドイツ財務省は4月9日、欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏の消費喚起や物価押し上げを狙って市民に直接資金を配る「ヘリコプターマネー」政策を行う場合には法的措置を検討するとの独シュピーゲル誌の報道を否定した(ロイター)。

 ヘリコプターマネーとは、ヘリコプターから市中に現金をばらまくように、政府や中央銀行が国民に現金を直接供給する政策のことである。 米経済学者のミルトン・フリードマンが著書「貨幣の悪戯」で用いた比喩であり、社会の貨幣総額を増やしたらどうなるかという思考実験のようなものであった。

 それから30年の時を経て、ベン・バーナンキ教授(のちのFRB議長)が日本の需要低迷と物価下落への対策としてヘリコプターマネーを提案したことで有名となった。この政策がどうしてECBに絡んできたのであろうか。

 発端はECBのドラギ総裁の3月10日の会見にあった。記者からの質問のなかにヘリコプターマネーに関するものがあり、それに対してドラギ総裁は検討はしていないが、非常に興味深い手法とする発言があったためである。

 日本で言うところのリフレ派に近い発想をドラギ総裁は持っているとみられ、ヘリコプターマネーに対して、即座に否定はしなかった。このため、ドラギ総裁の追加緩和の隠し球として、ヘリコプターマネーがあるのではとの思惑が生まれたものと思われる。

 これに対してECBのコンスタンシオ副総裁とプラート専務理事は、ヘリコプターマネー構想は議論していないと明確に否定したが、ドラギ発言に怒りを覚えたのがドイツのようである。

 これが、週刊誌シュピーゲルの、財務省の匿名筋の話として、ECBが市民に直接資金を配る場合、ドイツ政府はECBの責務の限界を法的に明確にするため、裁判所に訴えることを検討する方針だとの記事に繋がる。

 そもそも前提となるヘリコプターマネー構想はあくまで一部の観測に過ぎず、そのような検討がすぐにされることは考えづらいが、それだけドイツ側の反発が大きかったと言えよう。 そもそもヘリコプターマネーは、量的緩和よりももっと明確な形で行われる中央銀行に拠る直接的な財政ファイナンスである。従ってその導入は、国債や中央銀行、さらに政府の信認を失墜させる要因ともなりうるだろう。

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by nihonkokusai | 2016-04-17 12:04 | 中央銀行 | Comments(0)

日本の為替介入への牽制

 IMFのラガルド専務理事は14日の記者会見で、足元で進む円高について「日本の市場を注視している」と述べた。そのうえで急激な為替変動があった場合には「為替介入は正当化される」と指摘した。

 14日から15日にかけてワシントンでG20が開催されたが、開幕に先立って、麻生太郎財務相は米国のルー財務長官と会談して為替政策を協議し、通貨安競争や過度な相場変動の回避を原則とするG20合意を「すべての国が尊重することが重要」との考えで一致した(以上、日本経済新聞の記事より)。

 また麻生財務相はG20に出発する前に、「為替相場の急激な変動や無秩序な値動きは望ましくないことははっきりしていて、それに対してしかるべき対応を取ることをG20でも合意している」と述べて、急な円高の動きに対しては必要な措置を取る考えを改めて示した(NHK)。

上記の記事からは、今回のようにドル円が120円から110円割れに大きく切り下がるようなケースの場合には、為替介入もありうることを示したかにみえるが、これは通貨安競争や過度な相場変動の回避を原則とするG20合意を確認したものである。しかし、これで本当に為替介入は可能なのかといえば、疑問が残る。ラガルド専務理事がわざわざ日本について言及した背景には、何かしら理由もありそうだが、そのIMFの関係者からは下記のような発言も出ていた。

 IMFの対日審査責任者を務めるリュック・エフェラールト氏は12日、ワシントンでのインタビューで、「為替レートが極めて無秩序な動きを示さない限り、現時点での日本の介入には正当な理由はない」と発言していたのである(ブルームバーグ)。

 要するに「過度な相場変動」という表現に対する解釈の違いがここには存在する。G20では「過度な相場変動」に対する介入の必要性は認めており、その解釈の上で今回のような円高にも介入で対応できるかといえば、現実にはかなり難しいといえる。

 エフェラールト氏の発言にもあったように「極めて無秩序な動き」、つまりは過去のイングランド銀行を狙い撃ちにしたような動きや、百年に一度といった金融不安による通貨の急落などに対しては介入の必要性は認める。しかし、今回の円高は円安がやや進みすぎたことの調整ともいえるため、無秩序な動きに該当するとは思えない。

 16日の日経新聞電子版によると、ルー米財務長官は15日、米ワシントンで開いたG20財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で「最近は円高が進んだが、為替市場の動きは秩序的だ」と述べた。これはつまり、日本政府が円安誘導策に動くことをけん制した格好となった。

 このように米国やIMFが今回のような円高の是正に対して、介入もありうるとした日本の意向に賛同するとは考えづらい。このため、日本での為替介入、特に通貨安となる円売り介入についてはかなり困難ではないかとみている。

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by nihonkokusai | 2016-04-16 12:25 | 為替 | Comments(0)

日銀の異次元緩和による歪み

 日銀の黒田総裁は米国のコロンビア大学における講演で、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和は、近代の中央銀行の歴史上、最強の金融緩和スキームと言っても過言ではないでしょう。」と語った。マイナス金利付き量的・質的金融緩和は史上最強のスキームのようである。それはさておき、黒田総裁はこの講演で下記のような発言もしている。

 「そもそも、金利がマイナスということは、お金を借りると利息がもらえ、逆にお金を貸すと利息を払わなければならないということですので、通常、起こりそうもないことです。しかし、近年、欧州の幾つかの中央銀行の経験から、民間金融機関が中央銀行に保有する当座預金にマイナス金利を適用するという手法によって、金融のプロフェッショナル同士の取引については「ゼロ金利制約」を乗り越えることができることが分かってきました。日本でも、欧州の中央銀行の経験に学びつつ、日本の状況に即した独自の工夫を加えたうえで、マイナス金利の枠組みを導入したのです。」

 日本ではマイナス金利をどのようなかたちで金融のプロフェッショナル同士が乗り越えようとしているのであろうか。これについて金融機関の一部からは、顧客の口座に手数料を課すような動きが出ていることは以前に紹介した。今後も同様の動きは広がることが予想される。

 債券市場では、すでに利回りがマイナスとなっている債券の取引については、マイナス金利でも運用可能な一部の海外投資家と、プライマリーディーラーを中心とした業者の売買がほとんどを占めている。業者の売買の後ろに控えているのが日銀である。つまり、日銀の国債買入があればこそ、マイナス金利での債券の取引が可能となっている。

 しかし、入札で購入した国債を日銀に売却するまでタイムラグもあり、その間の金利変動リスクを業者が負うことになるが、それに対して日銀に高値で転売することを目的にしたとみられる不自然な取引が膨らんでいるとの指摘がある。

 日銀は4月8日に実施したTDBの買い入れで、金融機関が応札できる額を予定額全体の2分の1から4分の1に制限し、制限を強化したが、これにはより高い価格で日銀に転売する、いわゆる「日銀トレード」を牽制したのではとの見方もある。

 ただし、このトレードについて非難はできない。そもそもマイナス金利と日銀による大量の国債購入という異常な状況下、業者も食べていくためには手段は選べない。これはマイナス金利により、利ざやが圧迫された銀行も同様であろう。金利が奪われているのは何も金融機関だけに負担が掛かるわけではなく、それは結局、我々が本来得られるはずの利子をも奪われた格好になる。それではそれで誰がその分、利益を享受しているのか。

 4月14日の日経新聞には、「インフラにゼロ金利融資」という記事が出ていた。政府・与党はインフラの整備に使う資金をほぼゼロの金利で民間企業に融資する仕組みを検討するとし、日銀のマイナス金利政策で発行コストが大幅に低下した国債を増発し、資金を政府系機関を通じて貸し出すそうである。

 国債は10年債までマイナス金利で発行しているが、これは国債を発行すれば儲けがくるということになる。つまりマイナス金利は政府など大きな債務を抱えているところに恩恵を与えることになる。発行コストの削減はいずれその借金を返済する必要のある国民負担を軽減させるとの見方もできる。しかし、これにより財政規律の緩みが生じるという懸念も生じる。

 この記事では、それとなく3兆円規模の国債増発としているが、これが今後いろいろなかたちで膨らむ可能性もある。そもそも国債の発行額は減少しているからといっても、新規の国債は発行され続けており、債務は減ってはおらずむしろ増えている。それを日銀の異次元緩和が見えにくくさせていることにも注意を向ける必要があろう。

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by nihonkokusai | 2016-04-15 09:35 | 日銀 | Comments(0)

日銀対メガバンクと審議委員人事

 なかなか衝撃的な記事が「週刊現代」2016年4月16日号に掲載されていた。タイトルは「日銀が作った『5分で読めるマイナス金利』にメガバンク行員がブチ切れた! 「ケンカ売ってんのか」」となっていた。

 この記事では、「(黒田総裁は)なにもわかっていない」という、日銀の黒田総裁がマイナス金利の導入を決定した直後の在阪記者との懇談会に出席したメガバンクのあるトップからの発言も掲載されていた。

 全国銀行協会の佐藤康博・前会長(みずほフィナンシャルグループ社長)は、2月18日の記者会見で、日銀が導入したマイナス金利政策について「経済の下振れを防ぎ、デフレからの脱却を確実にしていく日銀の強い決意を反映したもの」と評価した。銀行界として「個人や法人のポートフォリオ・リバランス(運用資産の見直し)を後押ししていく」と表明した(日経新聞)。

 4月1日に全国銀行協会の会長に就任した国部毅氏(三井住友銀行頭取)は、日本経済新聞のインタビューで、日銀のマイナス金利政策について「全体的に金利が下がり、消費や投資を喚起する効果が時間とともに出てくる」と語った。銀行収益には「貸し出しの利ざや縮小や国債運用利回りの低下で短期的にはマイナス」としつつ、デフレを脱却できれば「中期的にはプラス」と述べていた(日経新聞)。

 我々が目にしたものは上記のような内容のものが多かった。ひとまず日銀のマイナス金利政策については、メガバンクのトップは表面上は賛同しているかに思えた。しかし、マイナス金利が銀行経営を圧迫することはたしかであり、本音のところはどのように考えているのだろうかとの疑問もあった。

 もし本当に週刊現代が報じたような発言がメガバンクのトップから発せられたとしたのであれば、つい本音の部分が出てしまったのかもしれない。週刊現代の記事のタイトルは週刊誌ということもあって、かなり過激なものながら、日銀の出した「5分で読めるマイナス金利」についても、金融関係者からの評判はあまり芳しくないことも確かである。日銀は銀行の銀行であるという立場上もあるかもしれないが、やや上から目線的な指摘とのコメントもみられた。

 見えないところで、日銀と民間銀行を代表するメガバンクなどがマイナス金利を巡っての意見の相違等が生じているとなれば、日銀の審議委員人事にも影響を与えかねない。

 石田審議委員の任期は6月29日までとなっており、後任の人選も進められていると思われる。ここで気になるのは石田委員までの前任者がすべてメガバンクからの出身者となっていた点にある。

 新日銀法が施行されてからは、特に政策委員における産業枠や銀行枠など業界枠が明確になっているわけではない。しかし、果たしてメガバンク以外からの人選があるのであろうか。日銀は銀行の銀行であることで、当然ながら銀行との繋がりは強いはずである。

 ただし、この人選は政権が握っていることも確かであり、慣習に縛られないかたちでの人選もありうるのかもしれない。また、もし上記のようにマイナス金利を巡っての日銀と銀行との間に意見の相違が出ているとなれば、それも影響する可能性はある。

 白井さゆり委員の後任が桜井真氏となっていたことで、日銀の政策委員には女性が一人もいない状況となっている。そうなると、もしや銀行枠にとらわれずに女性枠が意識された人選となるやもしれない。

 そういえば安倍首相が成長戦略の柱の一つとして打ち出した「女性の活躍推進」政策において、「上場企業に女性役員を1人」というのもあった。日銀の審議委員は日銀の役員である。日銀理事も役員であるが、こちらも全員男性となっている。

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by nihonkokusai | 2016-04-14 09:40 | 日銀 | Comments(0)

IMFの指摘するマイナス金利の効果への疑問

 IMFは「名目マイナス金利のプラス効果」と題するレポートを公表した。冒頭で「IMFは一部の中央銀行が実施したマイナス政策金利を支持しています」とコメントしている。

 ECBをはじめとする欧州の一部の中央銀行と日本銀行が採用したマイナス金利政策について、各国でのこれまでの経緯、名目マイナス金利の実効性とその限界、および意図しなかった副作用を確認したのが今回のレポートの内容となる。

 名目マイナス金利は非伝統的金融政策の最新の手段であり、金融緩和により、民間部門の支出を増加させ、物価を一層安定させることを目指し、小国開放経済にとって、その国の通貨の上昇圧力を低下させる一助となるとしている。

 「量的緩和にはある程度限度があり、政策金利をマイナスにすることにより、短期金融市場の金利を一段と低下させ、イールドカーブをさらに引き下げ、ポートフォリオのリバランスを加速させる効果を狙うことにより、金融政策の効果を高めることができます」

 たしか、日銀は量的緩和には限度がないとしているのだが。それはさておき、確かにイールドカーブは引き下げられたが、ポートフォリオのリバランスは加速してはいない用に思われる。

 「今回新しい点は、マイナスなのが名目金利であることです。名目金利がマイナスになれば、金融政策の波及メカニズムも変化する可能性があります。一般預金金利の下方硬直性と非線形性の関係があるためです。一般預金金利はマイナス金利になりそうもありません。一般預金金利がマイナスならば預金者は現金保有に切り替える可能性があるためです。」

 「貸出金利の低下幅は、一般預金の金利がゼロまたはそれ以上に固定されたため限定的となりました。個人客の預金に資金源をより多く依存する銀行は、そうでない銀行より貸出金利を引き下げられませんでした。貸出金利は大半の場合低下しましたが、企業向け市場と比べると、推移にはより大きな違いがありました。個人向け貸出金利の一部は上昇さえしました」

 一般預金金利の下方硬直性とマイナス金利政策により、直接マイナスの影響を受けるのが金融機関となる。このため容易には貸出金利は引き下げられず、むしろ市場動向に関わらず個人向け貸出金利の一部が上昇するケースもみられた、との指摘となる。

 「貸出量の観点からすると、確定的な結論を下すには時期尚早過ぎますが、例えばユーロ圏の与信の伸びは、マイナス金利の導入以来、高まったようです。」

 このあたりが効果のひとつということであろうが、「時期尚早」とか「高まったようです」との表現が奥歯に物が挟まったような表現である。

 「借り手の信用度の上昇、不良債権の減少、引当金の調達コストの低下、保有証券のキャピタルゲインなどにより、銀行は物価安定と成長を支援する政策からは恩恵を受けます。」

 これはマイナス金利が企業業績を向上させて景気回復を促し、その結果、株価なども上昇し、物価も上昇するということが前提となっているが、そもそもマイナス金利が景気や物価を上向かせているとの前提で良いのであろうか。そうであるのであれば、4月の日銀の展望レポートをしっかりと確認したいところである。

 「一部の銀行では手数料やコミッションなどのほかの収益源を引き上げることができました。多くの中央銀行が、民間銀行の中銀に預ける預金残高の一部について、マイナス金利の適用から外しました。いわゆる「階層」システムの採用で、預貸利鞘への潜在的な悪影響を軽減しようとしたものです。」

 この表現は銀行の利ざや縮小が前提の表現になっているように思われる。それでも銀行は収益はあげられるとの言い訳のようにも見えるのだが。現在の日本の金融機関でも、マイナス金利の恩恵で収益をあげているところがどれだけあるのだろう。

 「マイナス金利には限界があるかもしれません。どの程度までのマイナス金利にできるか、ということと、どのくらいの時間マイナス金利を適用できるかという両面からの限界です。」

 これについてはいろいろと試算もあるかもしれないが、少なくとも日銀のマイナス金利はすでに限界を迎えているように思われる。それは数字上の問題以前に、このレポートでも指摘された下記の問題による。

 「しかしこれらの物理的な限界より重要なことは、マイナス金利を使うには大きな政治経済的、社会的限界もあるとみられることです。預金金利がどんどんマイナスに向かえば、民衆は違った形の「増税」と感じるかもしれません。その結果、マイナス金利に対する世論の支持は弱まる可能性があります。」

 3月のロイター企業調査によると、日銀が導入したマイナス金利政策を評価しない企業が全体の62%にのぼったそうである。

 「銀行は個人向け預金金利をマイナスにすることに消極的であるか、或いはマイナスにはできないようです。銀行の純資金利鞘は圧縮されるでしょう。」

 日銀の黒田総裁は、個人向け預金金利はマイナスにはならないとしているが、民間銀行はマイナスにはできないということを見越しての発言か。そうであれば、民間銀行にある程度の損は被れということになる。株式市場で銀行株が売られていたのは、当然ながらマイナス金利政策も要因となっていた。

 「低金利またはマイナス金利が長く続くと、生命保険会社や年金基金、貯蓄機関の経営を悪化させるでしょう。低金利によって保険会社は保証したリターンを支払うのが困難になり、デュレーションにミスマッチが生じます。それによって最終的に生命保険会社の契約者の損失につながるでしょう。」

 この点も重要な指摘である。物価を上げるためとしている政策でいっこうに物価は上がらなくても、我々はこのような見えないかたちで不利益を被っていることも認識する必要がある。

 「名目マイナス金利の経験は限られていますが、われわれは暫定的に、総じてマイナス金利には追加的な金融刺激の効果があると考えます。市場金利は一部の銀行の貸出金利とともに低下しました。これは需要を増やし、価格の安定に役立つでしょう。」

 すでにかなり低下していた貸出金利が多少さらに下がって、どのような効果が出るというのであろうか。5%が1%に下がるのと、0.5%が0.1%に下がるのでは同様以上の効果があるのであろうか。そもそもどのようなファンダメンタルズ、金融環境でも金利さえ下がれば、景気回復や物価の上昇に寄与するのか。このあたりは特に日本の事例をもう少し検証する必要があると思われる。

 「金融政策は低成長やデフレ圧力に対処するために不可欠である一方、マイナス金利の幅や継続できる期間には限界がありそうだということを強調しておくことが重要と考えています。金融政策だけが政策ではないということです。」

 金融政策は低成長やデフレ圧力に対処するために不可欠であるという前提もさておき、最後の下記の指摘はその通りだと思う。

 「精緻な構造改革、成長を促す財政政策、金融セクターの体力を増強するプルーデンス政策などをはじめとするバランスの取れた強力な政策アプローチの一環でなければならない」

 たしかに安倍政権も三本の矢を打ち出したが、果たしてどこに向かって放たれたのか。結局、金融政策に依存しすぎた結果が「マイナス政策金利」ではなかったのか。

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by nihonkokusai | 2016-04-13 09:52 | 日銀 | Comments(0)

消費増税の行方とその影響

 消費増税を再延期するのかどうか、それに合わせる格好での衆参同時選挙があるのか。5月の伊勢志摩サミットあたりまでには何らかの結論が出ているかもしれないが、現状ではリーマン級の事態に関わらず、再延期される可能性は高いのではないかとみている。ここでは過去の消費増税のタイミングで何が起きていたのかを確認してみたい。

 1979年9月の大平総理の所信表明において、特例国債を含めた国債の本格的な償還が始まる1985年を控えた1984年までに特例国債依存体質から脱却するための目標が明らかにされた。この財政再建のために一般消費税の導入が図られ、10月の総選挙で国民に問われることとなったが、国民の反発は強く自民党は大敗した。

 その後、1986年の中曽根政権の際にも、赤字財政を解決するために、税制を是正しようとの動きがあった。売上税法構想であるがこれも世論の反発等もあり導入は失敗に終わる。

 1988年の竹下政権時に消費税法が成立し、1989年4月からは所得税や法人税などの大規模な減税と引き換えに3%の消費税が導入された。消費税導入後の1989年5月に日銀は公定歩合を3.25%に、10月には3.75%に、12月には4.25%と引き上げ、完全に金融引締策へと転向した。これは消費税の導入の影響ではなく、景気の過熱感というかバブルへの対処であった。日経平均株価は1989年の大納会の大引けで3万8915円を付け、これが最高値となってバブルは崩壊する。

 このように1989年4月の消費増税導入の金利への影響については、バブル期という特殊事情もあり、その影響だけを判断することは難しいが、消費税導入後の短期金利は上昇し、債券相場も1989年には下落基調となっており、金利は上昇局面にあった。

 1993年8月に38年ぶりの非自民政権である細川内閣が誕生した。1994年には細川政権で消費税を廃止し、税率を7%とするという国民福祉税構想を突然打ち出した、しかし、これは与党内からの反対もあり翌日、白紙撤回された。

 1995年11月に武村大蔵大臣は財政危機宣言を行った。1996年度の国債発行額が22兆円近くに迫り、税収の約半分にも達する見込みとなったためである。

 1997年4月に橋本内閣において、減税の財源として消費税の5%への引き上げが実施された。財政構造改革と消費税の導入がその後の景気後退の要因とも指摘されたが、バブル崩壊後の金融システム不安などによる影響もあり、その影響だけを判別することは難しい。長期金利の動向だけみれば、消費税導入以降は上昇基調となり、そして5%への消費税の引き上げ以降は歴史的な水準にまで長期金利は低下した。このように消費増税のタイミングは金利にとっても何か大きな変革期であったことは確かである。

 そして、2014年4月1日に安倍内閣時に消費税は5%から8%に引き上げられた。このタイミングで何が起きたのか。いわゆるアベノミクス相場は継続中であったが、いったんピークアウト感も出ていた。ただし、最もピークアウト感が強かったのが消費者物価指数であり、このため同年10月に日銀は異次元緩和第二弾を決定した。

 そして2014年11月18日に安倍首相は2015年10月に予定していた消費税率10%への引き上げを2017年4月まで1年半延期し衆院解散・総選挙に踏み切る考えを表明した。

 米国株式市場の上昇も追い風となって日経平均は2015年4月に2万円台を回復し、ドル円は2015年6月に125円台をつけたが、ここで完全にピークアウトすることになる。そして、金利については2016年1月に日銀がマイナス金利付き量的・質的緩和策を決定したこともあり、10年債利回りもマイナスとなった。

 個人消費がこの間、落ち込んでいるため、リーマン級の事態が発生しているとの見方もあるようだが、個人消費の落ち込みをすべて消費増税の影響とするのはかなり無理もあるまいか。

 国債については消費増税の有無よりも、日銀の金融政策などに影響を受けやすい。これは海外格付け会社の日本国債への格下げの際にも言えることではあるが、財政規律等が意識されて日本国債が動揺することは過去にあまりない。それだけまだ国債への信認は厚いとの見方もできようが、その信認は今後も維持されるから何を行っても大丈夫であるとの保障はない。信認は積み上げて維持する事は大変な労力が必要であるが、崩れるときはあっけない。これは近年のギリシャなどが良い事例となろう。

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by nihonkokusai | 2016-04-12 09:45 | 国債 | Comments(0)

徐々に広がるマイナス金利分の負担転嫁

 三井住友銀行は海外の金融機関が送金などのために保有するコルレス口座の一部に対し、4月から手数料を課すことを決めた。他のメガバンクも同様の措置を検討しているそうである。マイナス金利政策の導入後、大手行が顧客の口座に手数料を課す動きが表面化するのは初めてとなる。

 また、三菱UFJ信託銀行や三井住友信託銀行など信託銀大手各社は、顧客の投資信託やファンドが運用する資産のうち、現金部分について新たな手数料を徴収すると報じられた。日銀のマイナス金利政策で日銀の当座預金に預ける資金の一部にマイナス金利が課されることとなるため顧客に転嫁する。事実上のマイナス金利適用となる(3月31日付け日経新聞より)

 投資信託などは顧客の解約などに備えて、一部の資金を短期金融市場で運用している。このため、MMFについては新規の購入申し込みを停止し、運用を終了して顧客に資金を返す繰り上げ償還も実施された。ただし、MRFについては証券取引の決済機能を担っている関係で、日銀は3月の決定会合でMRFの分はマイナス金利が適用される政策金利残高ではなく、ゼロ金利が適用されるマクロ加算残高に適用させるとした。

 公社債投信に限らず株式投信でも換金に備えてある程度短期金融市場での運用をせざるを得ない。年金などの運用も同様となる。特定金銭信託と呼ばれる預金口座のその資金はマイナス金利の影響で日銀の当座預金に積み上がり、基礎残高、マクロ加算残高を超えた分には日銀によるマイナス金利が適用される。そのため、信託銀行は資産運用会社などにその分の手数料を課すことになった。これがもし個人に課す手数料に再転嫁されるとなれば、結果として投資信託などを保有している個人に対してマイナス金利分の手数料が課せられることになる。

 三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行は4月の住宅ローン金利において、10年固定型で最優遇金利を3月より0.10%引き上げて年0.90%にすると発表した。10年固定型の基準金利となっている10年国債の利回りは3月18日にマイナス0.135%にまで低下し、ここがいったんボトムとなり、これ以降の長期金利は比較的落ち着いた動きとなっていた。このため大手銀行が10年固定型の金利を上げたのは、長期金利の低下が一服したことが要因ではないかと予想される。しかし、大手銀行にとってはマイナス金利による利ざやの縮小もあり、これ以上の住宅ローン金利の引き下げも困難になりつつあるということも示している可能性もある。

 個人の預貯金金利がマイナスになることはないと日銀の黒田総裁が発言していたが、この金利を決めるのは日銀ではなく民間金融機関である。いくら大手銀行を中心に大きな利益を出していたとはいえ、利ざやの縮小に目を瞑ってはいられない。すでにマイナス金利分をこのように転嫁する動きが出ている以上、さらにマイナス金利が進むようなことになれば、いずれ個人の預貯金の金利なども手数料といったかたちでマイナス金利が課せられる可能性はないとは言えない。

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by nihonkokusai | 2016-04-11 09:38 | 日銀 | Comments(0)

急激な円高の背景

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 4月7日のニューヨーク外為市場では円高の流れが強まり、ドル円は一時107円67銭まで上昇し、2014年10月29日以来の108円割れとなった。しかし、8日には「場合によっては必要な措置取る」との麻生財務相の発言をきっかけに、ドル円は109円台まで買い戻された。

 7日にも菅官房長官が「場合によっては必要な措置」と発言したにも関わらず、円高基調は変わらなかった。これは為替介入の権限を持つ財務大臣の発言なのでドル円が巻き戻されたというよりは、そろそろ買い戻されそうなタイミングでの麻生財務相の発言であったため、反応したような格好となったのではなかろうか。

 4月14、15日にはワシントンでG20財務相・中央銀行総裁会議が開催される。麻生財務相や菅官房長官が「場合によっては必要な措置」と発言しようとも、G20も控え、さらには5月の伊勢志摩サミットも控え、自国通貨安を防止するための円売り介入は現実としてはかなり無理があろう。

 今回の急激な円高の背景には、FRBの利上げが緩やかになることで日欧の中央銀行による積極的な金融緩和策よりも、基軸通貨を有する米国の中央銀行の政策に影響した面はあろう。しかし、それよりも米国サイドがFRBの利上げが意識されるなかでのドル高の動きを牽制していた側面も大きいと思われる。

 日米欧の中央銀行による積極的な金融緩和策は、百年一度という非常時ならば市場を安定させ金融不安を後退させるために有効であったとしても、平時となるとそれは通貨安を意識した政策に捉えられてしまう。

 日欧の異常な金融緩和は一時的にせよ、中国などの新興国経済の悪化を見えにくくさせていた面もあった。しかし、原油安が象徴するように新興国経済の悪化は顕在化しており、それが昨年8月あたりからの市場のリスクオフの動きとして現れた。

 リスクオフの動きは東京市場では円高株安圧力となるため、日銀がマイナス金利政策を導入しても、ECBが追加緩和を行っても、すでに世界的なリスクオフの動きを止めることはできなかった。これはいずれ起こるであろうことが、日欧の異次元緩和で先延ばしされた分、変動幅が一時的せよ大きくなった面もあると思われる。

 ただし、米国経済は緩やかな利上げを許容できるぐらいの回復地合を見せており、その分、米国株の戻りは早かったとも言えるのではなかろうか。それではどうしてなぜ、日本の株価の戻りは鈍く、円高もさらに進んでいたのか。

 これは異常ともいえる日銀の金融緩和策によって持ち上げられた株価やドル円が、金融政策のイリュージョンによって実態経済以上の底上げが生じたことで、その分がそげ落ちてきたためとも言えるのではなかろうか。それを演出したのが海外投資家でもあった。

 いずれ東京株式市場もドル円も落ち着きどころを探る展開が予想されるが、さらに一段安となる懸念も存在する。

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by nihonkokusai | 2016-04-10 10:13 | 為替 | Comments(0)
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