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日銀だけではなかった円高の背景

 28日の日銀金融政策決定会合で金融政策は現状維持となった。市場が予想というか期待した追加緩和は見送られ、これをきっかけにドル円は111円台後半から108円を割り込むなど、円高が急速に進行した。29日の東京市場は昭和の日で休日となり、この日からいわゆるゴールデンウイークがスタートした。過去にも日本が年末年始や盆休み、ゴールデンウイークなどの大型連休の間に外為市場が大きく動くこともあったが、今回もさらに大きく動く結果となった。円高に歯止めが掛からず、ドル円は29日のニューヨーク外為市場で106円台前半まで下落した。

 今回の急速な円高の背景としては、22日のブルームバーグの記事をきっかけとした日銀の追加緩和観測による円の急速な買い戻しの反動が起きた事があげられる。CFTCが発表しているIMM通貨先物の集計によると投機筋の円の買越額が4月19日の時点で過去最大水準となっていたが、26日の発表分ではそれが減少していた。ヘッジファンドなどが日銀の追加緩和観測により、いったん円買いのポジションを外していたことが伺える。ただし、ドル円は22日に反発した分の幅の倍近い下げとなっている。東京市場が開いておらず日本の投資家が動けず、実需の円売りドル買いなども入りにくかった面もあろうが、改めて円買いを仕掛けてきた可能性がある。

 そもそも何故、ヘッジファンドなどは円買いを仕掛けてきているのか。ここにきては、年初からの原油安とその要因のひとつでもあった中国などの景気減速への懸念によるリスク回避の動きは弱まってきたはずである。このリスク回避の動きもあり、円買いが仕掛けられたことは確かであるが、別な要因も働いていたとみられる。

 それがまず、日米欧の中央銀行の金融政策に対する反応の変化ではなかろうか。日銀やECBの追加緩和に対して外為市場はポジティブな反応を示さなくなってきた。これが顕著となったのが昨年12月3日のECB理事会で包括的な追加緩和策を決定した後や、今年1月29日に日銀がマイナス金利を導入後の市場の動向に現れている。一時的に株高・通貨安となったものの、その後再び株安・通貨高となっていた。

 金融経済危機も去り、FRBが正常化路線を着々と進めるなか、日欧の異常ともいえる金融政策に対して、市場も次第に冷めた目で見るようになってきているとも言える。それとともに日欧の金融緩和が通貨安を経由して効果をもたらそうとしていることも明らかであり、それに対して米国がかなり批判的な見方をしていることも、今回の円高の背景にあると思われる。その米国の動向が今年のG20からも垣間見えていた。

 4月14日から15日にかけてワシントンでG20が開催されたが、開幕に先立って、麻生太郎財務相は米国のルー財務長官と会談して為替政策を協議し、通貨安競争や過度な相場変動の回避を原則とするG20合意を「すべての国が尊重することが重要」との考えで一致した(以上、日本経済新聞の記事より)。また、麻生財務相はG20に出発する前に、「為替相場の急激な変動や無秩序な値動きは望ましくないことははっきりしていて、それに対してしかるべき対応を取ることをG20でも合意している」と述べて、急な円高の動きに対しては必要な措置を取る考えを改めて示した(NHK)。ところが16日の日経新聞電子版によると、ルー米財務長官は15日、米ワシントンで開いたG20後の記者会見で「最近は円高が進んだが、為替市場の動きは秩序的だ」と述べていた。これはつまり、日本政府が円安誘導策に動くことをけん制した格好となったのである。

 そして、米財務省は29日に貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書において、対米貿易黒字が大きい日本や中国、ドイツなど5か国・地域を監視リストに指定したのである。「米当局は相手国が不当な通貨切り下げなどを強めれば、対抗措置がとれるとしている。年明け以降の円高・ドル安については、市場は秩序的だと評価し、日本の円売り介入を改めてけん制した。」(日経新聞電子版)。

 今回の急激な円高は、そもそも日欧の中央銀行の金融緩和策に対する感応度が変化してきたこと、米国の金融政策の正常化に対して過度な警戒が後退してきたこと、日本に対しては通貨安を主軸としたアベノミクスに対して米国政府を中心に批判的な見方が強まってきたことなどがあり、日銀の追加緩和観測を巡っての反動のような動きが、ゴールデンウイークと重なって大きくなったのではなかろうか。

 日本政府は今回の米財務省のレポートにより、介入等の手段が余程の事態でない限り、さらに取りづらくなったことは確かである。しかも5月には伊勢志摩サミットも控えている。日銀の追加緩和に対しても一時的に円安を招く可能性は22日の相場を見ても明らかではあるが、それが長続きすることはむしろ考えづらい状況にある。今後、ドル円は目先の節目の105円も突破して、2012年11月にアベノミクスがスタートしての急速な円高調整が一息ついた水準でもある100円台あたりを目指して下落してくる可能性がありそうである。

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by nihonkokusai | 2016-04-30 10:56 | 為替 | Comments(0)

日銀の現状維持で株急落の背景

 28日の日銀金融政策決定会合で金融政策は現状維持とした。量と質の現状維持には木内委員が反対し、マイナス金利に関しては木内委員と佐藤委員が反対した。このあたりの構図は前回の3月の会合とまったく同じであった。ただし、今回は熊本地震の被災地の復旧・復興に向けた被災地金融機関支援オペを実施することも決定したが、これは追加緩和には相当しない。

 この現状維持に対して、東京株式市場は予想以上の反応を示し、日経平均は600円を超す下げとなった。しかし、ここでも下げ止まらず、CMEの日経平均先物は米株の下落も手伝って海外時間で16120円まで下落している。28日の日経平均先物の引けが17270円であったことで、1000円以上も下落したことになる。ドル円も昨日の高値111円80銭台あたりから、引けあと108円を割り込むなど4円近くも下落した。

 なぜ日銀の金融政策が現状維持となっただけで、東京市場はこれほどの動揺を見せたのであろうか。ひとつのきっかけは、4月22日に出されたブルームバーグの記事、「日銀:金融機関への貸し出しにもマイナス金利を検討-関係者」にあった。

 この記事では「複数の関係者によると、今後、日銀当座預金の一部に適用している0.1%のマイナス金利(政策金利)を拡大する際は、市場金利のさらなる引き下げを狙って、貸出支援基金による貸出金利をマイナスにすることを検討する可能性がある。」とあった。英文では複数の関係者は「BOJ Official said」となっていた。しかし、日本語の記事からは日銀の関係者からのコメントであるとは触れておらず、民間エコノミストの「案」がいくつか紹介されていた(28日の会見で黒田総裁は貸出金利のマイナス化については議論はされなかったと発言していた)。

 熊本地震もあり、日銀も何らかの動きを示すことが予想され、支援策となれば貸し出しに絡んだものも想定される。そうであればECBが3月10日に導入を決定したTLTRO2と呼ばれる物に近いものとなる(現実には被災地金融機関支援オペというかたちとなった)。貸し出しにマイナス金利を課すのではとの観測は、ECBの決定後にも出ていたことで特に目新しいものではなかった。

 ただし、このブルームバーグの記事には「マイナス金利(政策金利)を拡大する際は」という前提も付けられていた。批判が高まっているマイナス金利の深掘りは容易とは思えないにもかかわらず、日銀はやる気なのかとの思惑も強まった可能性がある。

 この記事を受けて東京市場では、株式市場や外為市場を中心に急速に日銀の追加緩和期待が高まった。ドル円は22日のニューヨーク外国為替市場で111円80銭台をつけるなど、さらに円安が進んでいた。CFTCが発表しているIMM通貨先物の集計において、投機筋の円の買越額が過去最大水準となっていることで、何かしらのきっかけで反対売買(円売り)が入りやすかった可能性があった。ただし、投機筋の円の買越額が過去最大水準となっていた背景としては、今後のトレンドとして円高を見込んでいたこともあったとみられる。そのトレンドがもしや修正されるかもとの警戒もあったのではなかろうか。

 市場関係者のマインドが追加緩和に傾いていったのは、QUICKが27日に市場関係者に向けて行った緊急アンケートの結果からも読み取れる。実に市場関係者の59%が「追加緩和に踏み切る」と回答していたのである。ブルームバーグの記事が出る前には追加緩和期待がそれほど高まってはいなかった。それが市場別では株式担当の65%、外為担当の64%、そして債券担当も52%と追加緩和予想が半分を超えていたのである。これは私もさすがに驚いた。

 展望レポートで物価などの見通しを下方修正し、物価目標達成時期を先送りする可能性があり(実際に下方修正され、先送りもされた)、そのため追加緩和を検討かとの思惑もなくはない。しかし4月27、28日の金融政策決定会合で金融機関への貸し出しのマイナス金利化と合わせてマイナス金利の深掘り、つまり現状のマイナス0.1%をマイナス0.2%にするのかといえば、ハードルは依然として高いとみられていた。QUICKのアンケートではたしかにマイナス金利の深掘りを予想する向きはむしろ少なく、量か質の拡大や貸出支援基金へのマイナス金利適用との回答が多かった。

 それでも量で使えるカードはあと一回程度、質だけでは株価対策のようになってしまう。深掘りのない貸出支援基金へのマイナス金利適用だけをするとなれば戦力の逐次投入となってしまう。どう考えても日銀がこのタイミングで貴重なカードを使うことや、逐次投入ペースとすることは考えづらかったはずである。それでも市場に急かされる格好で追加緩和はあるのか、との見方も出ていたのかもしれない。それはしかしサプライズを重視していた黒田総裁の過去の政策変更パターンともそぐわない。

 ということで金融政策決定会合の結果は現状維持となったが、これだけ追加緩和期待が強まり、それなりのポジションが積み上がっていたこともあり、大きな反動が出たとみられる。本来、円高に賭けていた向きがあらためて円買いを仕掛けてきた可能性もある。またゴールデンウイーク前ということでのポジション調整の売りも株式市場には入ったことも考えられ、これらにより今回の東京株式市場の急落を招くことになったと思われる。

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by nihonkokusai | 2016-04-29 10:14 | 日銀 | Comments(0)

日銀によるマイナス金利への評価

 日銀は4月22日に「金融システムレポート(2016年4月号)」を公表した。このなかで「マイナス金利付き量的・質的金融緩和と金融システム」との箇所を確認してみたい。

 「マイナス金利付き量的・質的金融緩和の影響という観点から改めて整理すると、市場金利は長期ゾーンまでマイナス化するなど一段と低下し、預金・貸出金利も幅広く低下している。こうしたもとで、金融機関等に対して、貸出に対するより前向きな取り組みを含め、もう一段のポートフォリオ・リバランスを促す力が作用している。これらは、金融システムの機能度をより円滑化する方向での変化である。」

 1月29日の金融政策決定会合で導入を決定した「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」であるが、その影響を一番大きく受けたのが当然ながら金利である。日銀の狙いもイールドカーブの一段の引き下げにあった。そこからどう物価上昇に波及するのかはさておき、金利は確かに低下した。ちょうど世界的にリスク回避の動きも強まっていただけに、10年を超える国債の利回りまでマイナスとなった。

 しかし、すでに金利は歴史的水準にまで低下しており、10年債利回りまでマイナスとなったからといって貸し出しが急に伸びわけではない。ポートフォリオ・リバランスにしても、日銀は自ら大量に買い込んでいることもあり、最も巨大な金融商品でもある日本国債を買いづらくさせ、「安全」とされる国債からリスクの高い金融商品を買い込むように追い込んでいるのが、いわやるポートフォリオ・リバランスということになる。これらは、金融システムの機能度をより円滑化する方向での変化であるとは思えない。

 「もっとも、効果の浸透を制約している要因も存在する。たとえば、幅広い主体が運用方針の見直しやシステムを含む実務対応を進めていく途上にあるなかで、取引見合わせの動きが幅広くみられるほか、投資家や法人がマイナス金利での取引を回避し、多額の資金が信託銀行や大手銀行等に滞留するなど、資金の流れの停滞を示す動きもみられる。また、本年入り後、国際金融資本市場の不安定な動きが続いたことが、株安・円高や外貨調達コストの上昇等に繋がっているほか、金融機関等のリスクテイクを一部抑制する方向に働いている。これらの要因が解消されていけば、政策効果がより浸透していくとみられる。」

 「運用方針の見直しやシステムを含む実務対応を進めていく途上にあるなかで」という部分は、市場に事前に浸透させてマイナス金利の準備をする暇もなく決定されたマイナス金利により、慌ててその対応を迫られた金融機関の姿を示している。

 「投資家や法人がマイナス金利での取引を回避し、多額の資金が信託銀行や大手銀行等に滞留」するなどしたことはある程度、想定内であったかもしれないが、これは金融機関のみならず法人企業や個人にもその費用負担が掛かる可能性を強めることになった。

 国際金融資本市場の不安定な動きが続いたことが、そもそも1月に日銀が追加緩和を決定した理由であろうが、それで止めたかったのが円高株安であったとみられる。しかし、すでに市場は追加の金融緩和に対する感応度は変化しており、今回のリスク回避の動きの収束は原油価格の下落基調が収まるのを待つほかなかった。その間、外債投資など増やしたくてもリスクを取れる環境になかった。この不安定要因が後退したからといって、政策効果が浸透していくとは思えない。すでに金利は短期金融市場でマイナス1%にも低下していた。これは日銀トレードも影響しているが、これで何かしらの政策効果が出るとは思えない。

 「金融機関収益に対しては、当面、一段の下押し圧力が働くが、金融機関は総じて充実した資本基盤を有するもとで前向きの信用仲介を継続していくとみられる。金融機関のポートフォリオ・リバランスが、経済・物価情勢の改善と結びついていけば、基礎的収益力の回復にもつながっていくと考えられる。」

 金融機関にはマイナス金利による負担はこれまでの収益の積み重ねもあり耐えてほしいとの願いが込められているようだが、すでにメガバンクのトップからもマイナス金利政策に対しては批判的なコメントも出ている。金融機関のポートフォリオ・リバランスが、経済・物価情勢の改善と結びついていけばとあるが、リスク資産を増やすということは、株式市場が右肩上がりの環境であれば収益力が改善しようが、その分安定性・安全性を損なうことになりはしないのであろうか。

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by nihonkokusai | 2016-04-28 09:40 | 日銀 | Comments(0)

欧米の長期金利が底打ちした可能性

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(FRBのデータベースを基に作成)


 ここにきて米国やドイツ、英国など欧米の長期金利、つまり10年債の利回りが徐々にではあるが上昇しつつある。

 今年に入り、原油安やその要因となった中国経済の減速懸念などからのリスク回避の動きにより、欧米の長期金利は急速に低下した。米10年債利回りは昨年末の2.30%あたりから今年の2月11日に1.65%あたりまで低下した。

 しかし、このあたりからリスク回避の動きは後退し、3月9日あたりにかけて米10年債利回りは2%近くまで上昇した。これは原油先物が底を打ったかたちで反発しており、原油価格の上昇とほぼ同じタイミングとなっていた。

 その後、米10年債利回りは再び低下し4月7日には1.7%割れまで低下した。原油先物が再び売られていたこともあるが、原油先物の下げピッチに比較すると、米10年債利回りの低下は意外に大きかった。利上げは慎重にとのFRBのマーケットフレンドリーな姿勢を好感した可能性はあるが、4月7日頃を底に再び米長期金利は上昇し、これによりダブルボトムを形成することになる。米10年債利回りは1.7%割れから再び上昇トレンドを形成し、4月25日に1.9%台まで上昇した。

 この動きは、FRBとは金融政策の方向性が真逆となっているユーロ圏を代表する長期金利、つまりドイツの10年債利回りも同様の動きとなっていた。ドイツの10年債利回りも2月末に0.1%近くまで低下し、4月8日に0.1%割れとなったあと上昇し、4月25日に0.26%をつけ、ダブルボトムを形成した格好となっている。

 そして米国債と連動性も高く、金融政策は中立的なスタンスの英国でも英国10年債利回りも、米国やドイツほど綺麗なかたちではないが、ダブルボトムのようなかたちとなっている。

 これらを見る限り、どうやら欧米の長期金利の低下はいったん底打ちし、6月のFOMCでの利上げ観測もあり、米長期金利は再び2%台を見据えた動きとなることが予想される。

 それではこの欧米の長期金利の動きに対し、日本の長期金利はどうなっているのか。日本の長期金利は長らく低下トレンドが継続中で、1月29日の日銀によるマイナス金利の導入でさらに加速され、10年債利回りそのものもマイナスとなった。ただしその低下基調もここにきて弱まりつつある。

 これは日銀のマイナス金利への批判などからこれ以上の深掘りは難しいのではとの観測だけでなく、米債などの動きも影響している可能性がある。もし米長期金利が2%台に乗せて昨年末の水準である2.2%あたりまで回復するとなれば、ドイツや英国の長期金利も同様に上昇してくる可能性がある。そうなれば少なからず日本の長期金利にも上昇圧力が掛かる可能性がある。

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by nihonkokusai | 2016-04-27 09:49 | 債券市場 | Comments(0)

日銀の追加緩和観測への疑念

 4月22日の東京市場では、後場に入りブルームバーグの記事、「日銀:金融機関への貸し出しにもマイナス金利を検討-関係者」を受けて円安が急速に進み、日経平均も押し上げられた。ドル円は22日のニューヨーク外国為替市場で111円80銭台をつけるなど、さらに円安が進んだ。これにはいくつかの要因が重なったものとみられる。

 ひとつはCFTCが発表しているIMM通貨先物の集計において、投機筋の円の買越額が過去最大水準となっていることで、何かしらのきっかけで反対売買(円売り)が入りやすかったものとみられる。しかも海外ヘッジファンドなどは日銀の金融政策の動向には敏感なだけに追加緩和は困難かとの見方であったのが、この手段であればあるうるかとの思惑も働いたのかもしれない。

 ちなみに22日の債券市場は、この記事が出たことで債券先物には買い戻しも入るが、それほど大きく動いたわけではない。2年債は過去最低利回りを更新したが、ほかの年限は過去最低利回りは更新しておらず、むしろ超長期債は大きく値崩れしていたように、21日の20年国債入札に絡んで大きく買われた反動も出ていた。

 さてそのブルームバーグの記事の内容であるが、「複数の関係者によると、今後、日銀当座預金の一部に適用している0.1%のマイナス金利(政策金利)を拡大する際は、市場金利のさらなる引き下げを狙って、貸出支援基金による貸出金利をマイナスにすることを検討する可能性がある。」とのものである。英文では「BOJ Official said」となっていた。しかし、日本語の記事からは日銀の関係者からのコメントであるとは触れておらず、民間エコノミストの「案」がいくつか紹介されていた。

 熊本地震もあり、日銀も何らかの動きを示すことが予想され、支援策となれば貸し出しに絡んだものが想定される。そうであればECBが3月10日に導入を決定したTLTRO2と呼ばれる物に近いものとなる。このような手段を日銀も取るのではとの観測はECBの決定後に出ていたことで特に目新しいものではない。

 ただし、この記事には「マイナス金利(政策金利)を拡大する際は」という前提も付けられていた。批判が高まっているマイナス金利の深掘りは容易とは思えないにもかかわらず、日銀はやる気なのかとの思惑も強まった可能性がある。

 G20では日銀のサプライズ的な金融緩和策についても懸念が出ていたことで、事前にそれとなく示唆することで様子をみたのではとの見方もなくはないが、今回はそのような動きがあったわけでもないようである。

 ただし、日銀にとっては今回の外為市場の動きをみて、良い思考実験が出来たと思っているかもしれない。昨年末あたりから日銀やECBの追加緩和もしくはその示唆に対し、市場はポジティブな反応を示さなくなっている。しかし、今回は素直な反応を示したと。

 だから4月27、28日の金融政策決定会合で金融機関への貸し出しのマイナス金利化と合わせてマイナス金利の深掘り、つまり現状のマイナス0.1%をマイナス0.2%にするのかといえば、ハードルは依然として高い。たしかに今回出される展望レポートで物価などの見通しを下方修正し、物価目標達成時期を先送りする可能性があり、そのため追加緩和を検討かとの思惑もなくはない。

 1月のマイナス金利政策もとりあえず追加緩和手段はないのかと探し求め、その結果のマイナス金利政策であった。ただし、影響を受ける金融機関などに事前に対策を講じる時間も与えず、システム上の問題だけでなく、資産運用にも負の影響を与えるなど、マイナス金利に対しては効果よりも懸念が強い状況となっている。日銀はまずこの懸念を払拭させることが必要となるのではなかろうか。闇雲に緩和を進めれば良いというものでもない。しかし、黒田総裁の行動は予測できないことも確かである。

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by nihonkokusai | 2016-04-26 08:50 | 日銀 | Comments(0)

金融政策の正常化こそが好影響との見方

 米国株式市場はここにきて再び上昇圧力を強め、ダウ平均は4月18日に18000ドルの大台を回復した。今年に入ってからの原油安やその要因ともなった中国経済の減速などによるリスク回避の動きで、米国株式市場も大きな調整が入った。しかし、このリスク回避の動きは原油価格の下落が一服するなどしたことで終了し、2月11日あたりを起点にダウ平均は切り返してきた。

 このままの勢いが続くと昨年5月の過去最高値(5月19日の18351.40ドル)に接近することも予想される。米国の中央銀行であるFRBが昨年12月に利上げをし、今年も何回かの利上げも予想されているにも関わらず何故、ここまで米国は株価がしっかりしているのであろうか。

 市場では、予想されたよりもFRBの利上げのペースが緩やかになりそうなため、マーケットフレンドリーとみられるFRBの姿勢を好感しての上昇との見方がある。しかし、FRBは利下げをしようとしているわけでもなく、利上げを中止したわけでもない。利上げに向けた姿勢は維持している。

 むしろこのFRBの利上げに向けた姿勢の維持こそが、米国株式市場の上昇の背景にあるとの見方もできまいか。中国など新興国経済の減速への懸念もあり、原油価格もサウジアラビアとイランなどのにらみ合いも加わって簡単には上昇しそうにない。いわゆるリスクオフの懸念は残るが、ここにきての米国市場動向をみると原油価格の動向に一喜一憂することもなくなりつつある。

 これはFRBが正常化の道を歩むことができる環境こそが、米国株を支えているためとの見方はできないだろうか。FRBは雇用等の状況を確認しながら、テーパリングを成功させ、予定通りに昨年12月に利上げも行ってきた。これは百年に一度という世界的な金融ショックの影響も後退しつつあるなか、まさに正常化が必要とみなされたのと見方もできるのではなかろうか。

 だからこそすでに平時にも関わらず、デフレ脱却に向けて異次元の緩和を続けている日銀や、やはりデフレへの懸念によりマイナス金利政策を続けているECBの追加緩和に対して、市場がポジティブな反応を示さなくなっていると言えるのではなかろうか。

 いまは慎重さは必要ながら、方向性は正常化、つまり本来あるべき金融政策の姿に戻すことが必要とされ、それを実行している米国市場が素直に反応しつつあるとの見方はできまいか。もしそうであれば、日銀やECBがこれからすべきことは追加緩和よりも経済情勢を確認しながらのテーパリングではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2016-04-24 12:16 | 中央銀行 | Comments(0)

強まるECBや日銀の金融政策への懸念

 4月21日のECB理事会では市場で予想されていた通りに、金融政策の現状維持が決定された。ドラギ総裁は会見で「物価安定の見通しの進展を注視し、必要に応じて責務の範囲内で利用可能なあらゆる手段を利用して対応する」と述べ、政策への批判に対しては「ECBの政策は機能しているし効果的だ。時間を与えて欲しい」と述べていた。また、ヘリコプターマネーに関しては検討も協議もしていないと発言した。

 ドイツなどからの批判に対しては、「ECBの金融政策を説明する一助となるため、丁寧かつ活発な議論は歓迎できる。ある種の批判はECBの独立性を脅かしていると受け取られ、投資やリスクテークを後退させる恐れがある。」「ECBは独立した機関だ。(ECBの独立性を脅かすと受け取られるような批判によって)望む結果を得る時期は遅れることになる。」と指摘した(ロイター)。

 これに対してドイツのメルケル首相は21日、ECBの低金利に対するドイツ国内の批判は正当化されるとし、ECBの独立性への介入にはあたらない、との見方を示していた。

 ECBのマイナス金利政策に対しては、それほど批判は目立っていなかった。しかし、ここにきてドイツなどを中心に批判が強まりつつある。ドラギ総裁は時間がほしいと指摘しているものの、その効果は目に見えて現れていないだけでなく、金融機関などへの悪影響が強まりつつある。

 ロイターが日本で実施した企業調査(資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に4月1日~15日に実施。調査対象企業は400社で、うち回答社数は245社程度)によると、日銀のマイナス金利のさらなる拡大について、賛成との回答は22%に止まり、反対は78%となっていた。ロイターによると「導入は失敗だったと思われる」(運輸)、「マイナス金利で改善されたものがない」(化学)、「効果が疑問視されている」(鉄鋼)などといった声が聞かれたそうである。

 21日の日本の短期金融市場では一部の国庫短期証券の利回りが一時マイナス1%台まで急低下するなど異常な現象が起きていた。これはいわゆる日銀トレードが引き起こした現象とみられる。ここにきて20年国債、30年国債、40年国債がそれぞれ過去最低利回りを更新するなど、期間リスクに応じた金利というよりも、プラス金利だから買われるという異常な状況が続いている。これにはファンダメンタルなどほとんど関係なく動いているため、国債の価格発見機能が完全に喪失したばかりか、日銀のマイナス金利政策により見えないリスクが積み上がっているともいえる。

 21日の欧州の国債はドイツをはじめフランスやオランダ、イタリアやスペインの国債も売られ、英国債の利回りも大きく上昇した。ドラギ総裁から追加緩和の示唆もなく、発表された社債購入計画で買入の軸が国債から社債などに移行かとの思惑もあったようだが、ECBの金融政策そのものに対しての懸念が出ている可能性はあるまいか。外為市場でもユーロは不安定な動きを示したようだが、欧州の国債もやや不安定な相場になる可能性がある。これは日本の国債市場でも同様の懸念がある。

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by nihonkokusai | 2016-04-23 12:12 | 日銀 | Comments(0)

3月の都銀の国債売買高は過去最低水準

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 4月20日に日本証券業協会(JSDA)は3月の公社債投資家別売買高を公表した。発表される公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。それが下記となる。

3月の公社債投資家別差し引き売買高 注意、マイナスが買い越し、単位・億円
()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -9524(-3686、-2743、-3081)
地方銀行 -1201(-386、1794、-667)
信託銀行 13860(4720、2871、2838)
農林系金融機関 -4591(-4301、146、0)
第二地銀協加盟行 -47(-740、500、140)
信用金庫 -1074(335、431、55)
その他金融機関 -448(144、870、-1497)
生保・損保 -7917(-7430、489、539)
投資信託 -877(-549、-473、415)
官公庁共済組合 241(50、15、1)
事業法人 -403(93、18、42)
その他法人 -894(-540、117、133)
外国人 -14551(8527、-8516、-14360)
個人 333(38、61、9)
その他 -10097(-124、-1532、-2752)
債券ディーラー 838(83、980、-211)

 都銀は9524億円の買い越しに転じた。マイナス金利となっている中長期ゾーンも買い越しとなっていたが、償還見合いに担保としての国債を購入していた可能性もある。

 そして、データの残る2004年4月以降の国債(短期債除く)の売買高でみると、都銀の売買高は2兆8402億円と過去最低水準となった。ちなみにこの期間で最も売買高が多かったのは2012年4月で、この月は70兆1079億円もあった。売買高の増減は債券市場の動向により起こりえるが、決算月という要因もあったが、ここまでの低水準の売買高の最大の要因は日銀のマイナス金利政策によるものであろう。

 売り越しで目立ったのが信託銀行の1兆3860億円の売り越しとなり、過去最大の売り越しとなったようである。

 外国人は1兆4551億円の買い越しとなり、21か月連続の買い越しとなった。

 国債の売買高で確認したところ、国債全体(短期債除く)の売買高はそれほど落ち込んではいない。海外投資家の売買高が比較的高い水準となっていることや、債券ディーラーの売買高が都銀の減少分をカバーしている格好となっている。

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by nihonkokusai | 2016-04-22 09:41 | 債券市場 | Comments(0)

石田日銀審議委員の後任は政井貴子氏に

 政府は19日午前、国会同意が必要な7機関13人の人事案を衆参両院に提示し、日銀審議委員では、6月末に任期が満了する石田浩二審議委員の後任には、政井貴子・新生銀行執行役員を充てるそうである。衆院と参院での同意が必要だが、覆されることはないとみられ、石田審議委員の後任は事前報道もあった政井貴子氏になるとみられる。

 これにより新日銀法の下に組織された日銀の政策委員のなかの審議委員にあったメガバンクの席がなくなることになる。新日銀法が施行されてからは特に政策委員における産業枠や銀行枠など業界枠が明確になっているわけではない。しかし、石田委員までの前任者はすべてメガバンクからの出身者となっていた。

 政井貴子氏はクレディアグリコル銀行・金融商品営業部部長を経て、2007年5月に新生銀行に入行し、2013年4月から同行執行役員となっている(ロイター)。たしかに銀行枠という意味では銀行枠かもしれないが、今回はそれよりも女性枠が意識された可能性がある。

 3月末に任期満了となった白井さゆり委員の後任にはサクライ・アソシエイト国際金融研究センター代表の桜井真氏が就任した。これにより日銀の政策委員には女性が一人もいない状況となっていた。安倍首相が成長戦略の柱の一つとして打ち出した「女性の活躍推進」政策において、「上場企業に女性役員を1人」というのもある。日銀の審議委員は日銀の役員である。日銀理事も役員であるが、こちらも全員男性となっていることで、女性の審議委員が検討されたものと思われる。

 ただし、日銀は銀行の銀行でもあり、なぜ日本の銀行を代表するメガバンクから選出されなかったのであろうか。佐藤健裕審議委員は住友銀行出身ではあるが、審議委員に選出された際はモルガン・スタンレーMUFG証券に在籍していた。

 もちろんメガバンクから登用する決まりはない。しかし、メガバンクの立場からみて、日銀の役員でもある審議委員には人材を送り込みたかったのではなかろうか。もしかすると政府が女性を選出しようしとしても適任の人材がいなかった可能性もありうるものの、ひとつの可能性として日銀とメガバンクとの間のパワーバランスに何らかの変化があったのかもしれない。

 日銀のマイナス金利政策に対して、三菱UFJの平野社長は4月14日の講演で、銀行にとっては「短期的効果は明らかにネガティブだ」と述べていた。経済効果としては、企業の資本支出や個人の投資を促すかは分からず「懸念を増大させている」と指摘していた(ブルームバーグ)。

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by nihonkokusai | 2016-04-21 09:13 | 日銀 | Comments(0)

国債の金利はどのようにして決まるのか

 日銀のマイナス金利政策の登場で金利は日銀が決めているかのように思っている人がいるかもしれません。しかし、預貯金などの金利を決めているのは各金融機関であり、債券の利回りは市場で決められています。日本における金利の形成は、戦後から長い期間にわたり規制されていたのですが、国債の大量発行をきっかけとして徐々に規制によるものから、市場に委ねられるものとなってきました。

 第二次大戦後、経済復興のために厳格な金利規制が形づくられていました。これは日本経済の復興とその後の経済成長のためには、大手企業の設備投資などのために安定的な企業の資金調達を可能にする必要がありました。そのため金融機関の金利を一定にするなどによって、間接金融を通じての安定的な金融体制が作り上げられていたのです。

 ところが、高度成長から低成長時代への経済構造の変化に伴い、規制はむしろ金融の効率性を損なうと考えられるようになりました。海外市場ではすでに金利は自由化されていたこともあり、1970年代後半から日本でも金利の自由化が推進されたのです。

 日本での金利の自由化が推進されたひとつのきっかけが、第一次石油危機による不況の影響による国債の大量発行でした。国債を購入していた民間金融機関は、引き受ける国債の金額が大きくなってきたことで、その一部を流通市場で売却する必要性が生じたのです。このときまで銀行が勝手に国債を売ることが禁じられていたのです。国としても大量の国債発行を円滑に行うためには、銀行による国債の売却を認めざるを得なくなりました。このため日本でも本格的な債券の流通市場が徐々に形作られてきたことで、転売価格が自由に形成されるようになり、これをひとつのきっかけとして規制金利の一角が崩れたのです。

 1975年以降のコールレートや手形レートの弾力化などに伴い、短期金融市場においても金利自由化が進みました。1978年にはコールレートと手形売買レートの建値制度が廃止されました。大量の国債発行に伴い自然発生していた債券現先市場も発展し、企業の流動性資金を吸収する手段として、1979年には銀行にCD(譲渡性預金)の発行が認められました。また無担保コール市場が1985年に創設されています。

 預貯金金利に関しては、米国などからの圧力によって自由化が進められ、1985年にはMMC(市場金利連動型預金)が導入され、10億円以上の大口定期預金の金利が自由化されました。1993年には定期性預金、1994年には普通預金の金利が完全に自由化されました。

 このように日本における金利は戦後から長い期間にわたり規制されていたのですが、国債の大量発行をきっかけとして、徐々に規制によるものから、市場に委ねられるものとなっていったのです。

 ただし、短期金利については日銀の金融政策によりその水準が決められています。日銀の政策金利は無担保コール翌日物の金利という非常に期間の短い期間の金利となっており、日銀の金融政策によってこの金利の誘導目標値が決められており、その誘導目標値に近づけるように日銀はオペレーションなどを通じて調節を行っているのです。

 日銀は今年1月のマイナス金利政策の導入により、短期金利の基準となる無担保コールの金利をマイナスに促すことで、国債の金利を含めて期間の長い金利にも低下圧力を加えることになったのです。日銀の大量の国債買入があるため、市場では長い期間の国債までもマイナス金利で取引されるようになりました。

 このように日銀の金融政策の動向や、その背景となる日本の経済や物価の動向、さらに日本経済に影響を与える海外の経済の動向などファンダメンタルズが、市場で形成される金利に大きく影響を与えます。国債の発行額や投資家の債券投資動向とともに、現在では日銀の大量の国債買入による債券需給への影響も非常に大きくなっています。

 そして市場、特に国債で形成された金利を基にして、国債以外の債券の金利が決定されます。国債以外の債券は主にその信用力などに応じて国債の金利からの上乗せ金利が決められ、本来であればそれが発行される際の利子となるのですが、マイナス金利の登場によってベンチマークとなる国債の利回りがマイナスとなってしまっていることもあり、適正な社債などの金利が見い出しにくい状況となっているのです。

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by nihonkokusai | 2016-04-20 18:54 | 国債 | Comments(0)
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