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市場の期待の流れを変化させるFRB

 3月29日のニューヨークでの講演においてFRBのイエレン議長は、海外経済と国際金融情勢の不確実性がリスクとなり続けると指摘し、今後の利上げに関しては海外経済のリスクを考慮して慎重に進めるとコメントした。ただし、利上げを進めるというシナリオを大きく修正したわけではない。

 FRBは12月に公表された政策金利の見通し、いわゆる「ドット・チャート」では、2016年に0.25%の4回の利上げの可能性が示唆されていた。これが今年3月の「ドット・チャート」では年2回分に修正されていた。

 ドット・チャートがFRBの政策見通しを伝えるものではなく、あくまでメンバー個々の見通しの集計に過ぎないながらも、市場ではこれをFRBの金融政策の道筋を示すものとして解釈している。FRBとしてもこの見通しの数字をかなり意識している面もあると思われる。

 昨年12月の時点では四半期ベースの利上げの可能性を意識していたFOMCメンバーが多かった。ところが現実問題としては2006年の日銀のゼロ金利解除の際の利上げペースもかなり慎重となったように、せいぜい半年に一度ぐらいのペースになるのではないかと個人的には見ていた。

 今年に入ってからの国際金融市場では、中国経済への懸念や原油価格の下落などにより、リスク回避の動きを急速に強め、世界的な株安等を招くことになった。これはFRBの利上げそのものも影響している可能性があった。FRBの正常化により過剰流動性相場が終焉しつつあり、新興国からの資金引き上げなども要因となったことは確かであろう。

 FRBに3月に利上げの意図があったのかどうかは定かではないが、3月のFOMCでは金融政策は現状維持とした上で、ドット・チャートにて今後の利上げのペースを緩やかなペースに修正され、それを市場に示した格好となった。

 これを市場は好感し、原油価格の下げ止まりもあり、世界的なリスク回避の動きは後退した。欧米の株式市場は年初の水準を上回るまでになった。ただし、FRBとしては利上げそのものを停止するわけではないものの、市場ではこの一連の動きからFRBの利上げは困難との見方も一部に出ていた。

 これに対して牽制球が投げられた。投げたのは地区連銀の総裁であった。アトランタ連銀、サンフランシスコ連銀、シカゴ連銀の各総裁に続き、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁、セントルイス連銀のブラード総裁も利上げについて前向きな発言をしたのである。これは4月のFOMCでの利上げの可能性を示すというよりも、FRBは正常化というベースとなる路線は放棄したわけではないことを示すことが狙いであったのではないかと思われる。

 ただし、4月のFOMCで利上げをするのかどうかはまだ不透明であり、むしろ議長会見のある6月の可能性もありうることで(個人的には6月の可能性が強いとみている)、あまり市場が前倒しでの利上げの可能性を意識させることに対してもブレーキを踏ませようとしたのが、今回のイエレン議長の発言であったように思われる。もしそうであれば、31日に予定されているニューヨーク連銀のダドリー総裁の講演内容も、今回のイエレン議長の発言と似た趣旨になると予想される。

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by nihonkokusai | 2016-03-31 09:41 | 中央銀行 | Comments(0)

日銀のCP買入で札割れが生じた理由

 日銀が3月28日に実施したCPの買入において奇妙なことが発生した。当初買入予定の6000億円分のうち、応札は6449億円あったにも関わらず、購入額は5304億円と予定額を割り込み「札割れ」となったのである。

 CPとはコマーシャルペーパー(Commercial Paper)の略で、企業が割引方式で発行する短期社債である。CPは金融機関や一般企業が資金を調達するために発行しているもので、このため信用リスクなどから、本来であれば発行する企業の信用度に応じて金利が決定されているはずである。ところが日銀のマイナス金利政策によって、国債の利回りがマイナスとなったことで、CPの利回りもマイナスとなっている。日銀が買入の対象としてCPも加えており、日銀がより高い値段(低い利回り)での購入をすることにより、信用リスクが見えなくされて、マイナス金利での取引が生じている。

 つまり業者がマイナス金利でも国債やCPを買うのは、国債の大量購入を続ける日銀がより高い値段で買ってくれるという前提があるためである。日銀に対する売却インセンティブが生じるとの認識があってこそ、マイナス金利でも業者などはいったん購入し、それを日銀の買いオペにぶつける格好となっている。

 ところが今回のCPの買入においては、CPの金利そのものの急低下により、初めて債券購入で金利に下限を設ける格好となった。マイナス0.647%以下の応札を購入の対象外としたのである。もちろんこれは日銀にとって損失を一定に食い止めたいとの意向があったのかもしれないが、これは確実に日銀に売れると践んで購入している業者に不安をもたらす懸念がある。もちろんそれ以前の問題として、このようなマイナス金利で日銀が購入し続ければ、市場の金利形成をゆがめる懸念がある(すでにかなり歪められてはいるが)。

 日銀はどんなマイナス金利でも購入するわけではないということが、CPだけでなく国債にもいずれ適用されるとなれば、日銀が必要とする残高目標まで買入が可能なのかという疑問も生じかねない。

 多層式のマイナス金利政策という絡め手を出した日銀ではあるが、本来は水と油のような性格であるところのマイナス金利と量的緩和は相性が悪い。もし今後、日銀が追加緩和としてマイナス金利をより深掘りしたり、量を拡大すればするほどこの矛盾が拡大し、国債の買い入れにおいても札割れが頻繁に発生する懸念が強まることになる。

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by nihonkokusai | 2016-03-30 09:37 | 日銀 | Comments(0)

昨年末時点での日本国債の保有者

 
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 日銀は3月25日に資金循環統計(10~12月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は昨年末時点で約1741兆円となり、過去最高を更新した。個人の金融資産の内訳は「現金・預金」が前年比1.3%増の約902兆円、「株式等」が2.9%増の約169兆円、「投資信託」は4.1%増の約96兆円となっていた。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

保 有 者        国債残高 シェア 前期比増減 単位 億円、%
中 央 銀 行     2,883,416、31.6、200,606
民間の保険・年金     2,315,088、25.4 、4,721
民間預金取扱機関     2,297,047、25.2、-160,317
公 的 年 金      518,218、5.7、-3,659
海     外      488,576、5.4、31,843
投信など金融仲介機関    307,954、3.4、74,023
家     計        135,967、1.5、-8,740
そ  の  他      167,091、1.8、-9,236
合     計     9,113,357、100.0、129,241

 2015年9月末(確報値)に比べ、国債(短期債除く)の残高は約13兆円増加し、約911兆円となった。このうち日銀が約3割を占め、次に銀行などの民間預金取扱機関を抜いて民間の保険・年金が約232兆円で25.4%、次が銀行など民間預金取扱機関が約230兆円の25.2%となった。

 9月末(確報値)に比べて大きく増加したのは、大量に国債を買い入れている日銀で20兆円の増加となった。次に「投信など金融仲介機関」の7.4兆円増となっている。「投信など金融仲介機関」の内訳をみると「ディーラー・ブローカー」が7.5兆円増となっていたため、ほとんどがディーラー・ブローカーによる増加分となる。次に「海外」の約3兆円増となっている。

 9月末に比べて大きく減少したのが、銀行など民間預金取扱機関の約16兆円で、内訳をみると「中小企業金融機関等」が約7.5兆円、「国内銀行」が約6.5兆円の減少となっていた。ゆうちょ銀行や都銀などの残高が減少したと思われる。

 短期債を含めた国債全体の数字をみると残高は約1036兆円となり、日銀が約331兆円で32%のシェアとなっていた。そして海外勢の残高が約110兆円となり、短期債を含めると国債全体の10.6%のシェアとなり、初めて10%を超えた。

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by nihonkokusai | 2016-03-29 09:38 | 国債 | Comments(0)

コール市場の残高が過去最低に

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 先週のNHK連続テレビ小説「あさが来た」では、大阪の難波銀行が倒産したことが引き金となり「取り付け騒動」が発生し、大阪経済が大混乱に陥る大阪金融恐慌の様子が描かれていた。この大阪金融恐慌をきっかけに日本の短期金融市場の中心的な役割を担うことになるコール市場が誕生した。

 日清戦争後の反動不況に加え、米国経済の低迷などを受けて日本からの輸出が低迷となり、正貨流出を防ぐ目的で、日銀は一般貸出を抑制し、貸し出し回収をはかった。1900年に九州の銀行で支払が停止し、1901年4月には大阪の第七十九銀行と難波銀行が休業した。これが全国に波及し、金融恐慌が発生した。日銀の大阪支店が救済融資をすることなどで騒動は収まるが、この金融恐慌の経験に基づき、預金に対する支払準備資金の必要性に対する認識が高まった。

 このため、金融機関相互の資金繰りを最終的に調整し合う場として、1902年にロンドン市場をモデルに誕生したのが「コール市場」である。コール市場とはその名の由来が「money at call」、つまり「呼べば直ちに戻ってくる資金」と言われ、民間金融機関が短期的な手元資金の余剰や不足を調整するための市場である。

 日銀の政策金利が無担保コールの翌日物となったことからもわかるように、コール市場は日本では短期金融市場の中心となっている。このコール市場の取引残高が日銀による今年1月のマイナス金利政策の導入によって、それが適用された2月16日から急減してしまった。

 これはコール市場でも2006年2月以来のマイナス金利が発生し、取引が手控えられてしまった面が大きいが、さらに担保が確保できないという要因などからも取引が手控えられるようになってしまった。

 短資協会が発表した市場残高によると3月23日のコール市場の残高は3兆9954億円となり4兆円を割り込んで過去最低を更新した。内訳は有担保コールが1兆1709億円、無担保コールが2兆8245億円となった。

 マイナス金利導入前のコール市場の残高をみると、今年1月のピークは23兆円台となっていたことで、規模がこのときに比べて五分の一以下に落ち込んだことになる。短期金融市場の中心的な存在であるところのコール市場の残高のここまでの落ち込みは、まさに異常事態ともいえる。短期金融市場が機能不全に陥りつつあることが、この数字からも確認できる。

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by nihonkokusai | 2016-03-28 09:40 | 日銀 | Comments(0)

物価連動国債で期待インフレ率が示せない理由

 3月23日に財務省で国債市場特別参加者会合が開催された。このなかで財務省から4~6月期における物価連動債の発行額等について発行計画から1,000億円減額し4,000億円とし、その上で、4月と6月にそれぞれ200億円の買入消却入札を実施してはどうかとの提案がなされていた。

 その理由として、2015年度においてBEIは低下傾向で推移しており、特に入札の度にBEIの水準が切り下がるような状況となっている、こうした状況について、原油価格の下落等のファンダメンタルズ要因による一時的な低下との見方もある一方、課題となってきた投資家層の拡がりが依然限定的であるため、恒常的な需給の不均衡が生じているという見方も少なくない、さらに値動きが大きく、投資家の買いが手控えられる中で流動性プレミアムが拡大していることを指摘する意見も聞かれている、との指摘がなされていた。

 BEIとはブレーク・イーブン・インフレ率とのことであり、物価連動国債の実質価格に市場が織り込んでいる期待インフレ率とされている。これが原油価格の下落によって低下傾向にあり、さらに投資家層の拡がりが依然限定的との指摘がなされた。

 ここには日銀の量的・質的緩和による影響などの指摘はなかったが、日銀は岩田副総裁をはじめ、このBEIによって期待インフレ率が上昇することを確かめて、それが物価に波及するであろうとの認識であったはずである。

 ところが物価連動国債はこのように投資家層は限られ、需給の不均衡もあり、その価格が適正な期待インフレ率を示しているかどうかはかなり慎重に見極める必要がある。それ以前に、あれだけの異次元緩和を日銀が実施しても、原油価格の下落によって実際の物価上昇率はコアCPIなど前年比ゼロ%近辺にあり、実際の足元物価にも影響を受けやすい物価連動債のニーズが低迷し、減額の提案がなされたのである。

 この財務省の提案に対して国債市場参加者からは、当局の提案に賛成する意見が多く、「日本だけでなくグローバルにインフレ期待が低下している状況下においては物価連動債への需要が高まっていないため、現状の発行額である5000億円はやや多いと感じており、減額することが適当と考える」などの指摘があった。

 このBEIについては、あくまで期待インフレ率の参考指標のひとつではあるが、もしこれで期待インフレ率を示そうとするのであれば、現実の国債市場での取り扱いがどのようになっているのかを確認する必要があろう。市場規模も大きくなく、投資家層も限られ、結局、値付けは業者の一部の市場参加者による足元物価なども参考としたものとなっている。これによって市場というか国民全体の期待インフレ率が示される、というのにはかなり無理があるのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2016-03-26 10:16 | 国債 | Comments(0)

マイナス金利撤回論も出た決定会合

 24日に日銀は3月14、15日に開催された金融政策決定会合における主な意見を公表した。この会合では金融政策は現状維持となったが、1月に導入を決定したマイナス金利に関して、かなり激しい議論があったようである。

 3月の決定会合でマイナス金利に賛成したのは黒田委員、岩田委員、中曽委員、白井委員、石田委員、原田委員、布野委員で、1月のマイナス金利導入に反対した白井委員、石田委員は今回は賛成票を投じている。いずれも反対したのは佐藤委員、木内委員となっていた。

 マイナス金利の評価としては、貸出の基準となる金利や住宅ローン金利ははっきりと低下しており、金利面では政策の効果は既に現れている、制度の設計段階で考えていたとおりの効果が現れた、との見方が示された。

 その一方で、「マイナス金利導入の副作用として挙げたリスク、すなわち、国債買入れの限界と誤解される、催促相場になる、金融機関や預金者の懸念・不安を招き2%目標への誤解を高める、複雑な仕組みが政策効果を削ぐという点が全て顕在化している」との見方や、「ポートフォリオ・リバランスは、国内での再投資対象が限られており、期待される効果に必ずしもつながっていない」との見方も示された。

 また、「マイナス金利については、市場もそれを前提に動き出し、関係する多くの経済主体でも対応が採られていることから、元へ戻すという選択肢は採り得ない」、「マイナス金利政策は撤回が望ましいが、導入直後の撤回は市場を混乱させるほか、日本銀行の信任を失墜させるリスクがあるため、効果を明確に示せない限り現状維持にすべきと考える」との意見があり、マイナス金利の撤回論も出たが、それでも日銀の信認維持のためには元に戻せないとして、3月の現状維持に賛成した委員からの発言とみられ、これは白井委員と石田委員からの意見か。

 金融仲介機能に対する影響については、銀行収益はデフレ脱却により大きく改善するとの指摘や、利益の源泉が長短金利差だけであれば金融仲介を十分に行っているとは言えない、との指摘がある一方、「マイナス金利政策は金融仲介機能の低下から経済に悪影響をもたらすほか、将来の金融不均衡蓄積のリスクを高める。また、人々の不安を高め、デフレマインドをかえって強める方向に作用している」との指摘もあった。

 3月の会合でMRFがマイナス金利適用外となったことに関しては、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の緩和効果を最大限に引き出すため、今回の実務面の対応策のように改良・工夫を重ねていくことは政策当局としての当然の責務である」、「特例的取扱いはマイナス金利の限界を示唆し、市場の振幅を高めかねない。催促相場に入った以上、市場との対話はきわめて難易度が高くなった」との両極端の意見が出ていた。

 マイナス金利に対する評価については、長期金利の急激な低下の影響も見定める必要もあり、もう少し時間を掛けて見る必要はあるとは思う。ただし、撤回が望ましいとの意見や、その副作用を指摘する意見も出ていた。そして、主な意見ではあまり議論がなかったとみられる肝心の物価目標の働きかけについては疑問が残ろう。

 「マイナス金利が国民の一部に不安をもたらしている面もあり、期待に働きかける難しさを感じる」

 「サプライズが日本銀行の政策反応関数を不透明にし、市場の不安定化に拍車をかけた」

 「マイナス金利導入決定後の急激な金融市場の収縮、国債市場のボラティリティ上昇等に起因する金融市場全体の不安定化が、経済に及ぼす悪影響を注視したい。」

 上記の意見は木内委員や佐藤委員などマイナス金利に反対した委員からの発言と思われる。個人的にはこちらの方が正論に聞こえるが、それはさておき、このような反対意見も委員会制度を取っている日銀の金融政策の決定にはたいへん重要なものとなろう。しかし、審議委員の任期満了になるごとに、現在の執行部のスタンスに対する反対者が減っていくという事態が起きており、いずれはこのような反対意見を見ることができなくなるのかもしれない。果たしてそれで良いのだろうか。

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by nihonkokusai | 2016-03-25 09:30 | 日銀 | Comments(0)

2月に都銀は中期債を大量売り越し、海外勢は買い越し

 3月22日に日本証券業協会(JSDA)は2月の公社債投資家別売買高を公表した。発表される公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。それが下記となる。

2月の公社債投資家別差し引き売買高 注意、マイナスが買い越し、単位・億円 ()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別 都市銀行 20763(-1686、865、23149) 地方銀行 542(-1411、4412、345) 信託銀行 2046(1379、-4880、3519) 農林系金融機関 -2783(-2353、475、50) 第二地銀協加盟行 -2056(-1541、349、-10) 信用金庫 -1841(-402、303、876) その他金融機関 -2606(-1091、-406、-1549) 生保・損保 -5266(-4190、976、692) 投資信託 1378(-20、524、971) 官公庁共済組合 283(146、0、325) 事業法人 -782(1、-22、13) その他法人 -426(185、-72、221) 外国人 -26356(-400、-1310、-26892) 個人 385(18、63、8) その他 1380(3484、214、3645) 債券ディーラー 1107(696、453、12)

 目立っているのは都銀の売り越しと海外投資家の買い越しである。都銀は中期ゾーンを中心に2兆円を越す売り越しとなった。売り越しは2か月ぶりとなる。これに対して海外投資家は中期ゾーンを中心に2.6兆円もの買い越しとなった。海外投資家の買い越しは20か月連続となった。

 1月29日の日銀の金融政策決定会合のマイナス金利政策の決定と2月16日からのマイナス金利の施行により、国債のマイナス金利化が一気に進んでいた。2月9日には10年国債の利回りがマイナスとなり、その後プラスに戻したものの、18日には再びマイナスに転じている。この間、2年債や5年債の利回りはマイナスの状態となっていた。

 この集計については発行時の年限がベースとなっているため、長期債に分類されていても残存が2年や5年といった10年国債も含まれている。それも意識しながら数値をみてみると、少なくとも中期債を買い越しているのは海外投資家を除くと「その他金融機関」と「第二地銀協加盟行」だけとなる。その他金融機関には在日外銀なども含まれているため、買い越しとなっているとみられる。

 長期債については海外投資家、その他金融機関、さらに信託銀行が買い越しとなっている。信託銀行はプラス利回りとなっていたときに10年債のカレント中心に買い越していた可能性はあるが、何かしらの事情もあったのかもしれない。

 そして、超長期債については主な投資家が買い越しとなっており争奪戦の様相となっている。この状況は3月に入りさらに顕著になっているのではなかろうか。

 気になるところの国債売買高であるが、昨年11月に一時落ち込んだものの、その後は回復基調となっている。いまのところ国債の売買高で見る限りは、流動性がそれほど大きく低下しているわけではない。

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by nihonkokusai | 2016-03-24 09:27 | 債券市場 | Comments(0)

国債先物の建玉に異変

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 現在の金融先物取引は米国のシカゴで生まれたが、その原型は江戸時代に大阪の堂島で取引された米の先物取引(帳合米商い)にある。帳合米商いとは1年を春夏冬の三期に分け、4月28日、10月9日、12月24日を精算日とし、各期に筑前・広島・中国・加賀米などから1つを標準米として売買し、反対売買による差金決済を原則とする取引であった。

 これに対して1985年に東証に上場した日本初の金融先物取引である長期国債先物は、3月、6月、9月、12月のそれぞれ20日を精算日とし、利率6.0%の架空の長期国債を標準物として売買するものである。差金決済が多いが現引・現渡しも行われる。

 このように債券先物には精算日が年4回あり、取引される現月は年4本ある。その限月の取引最終日は精算日であるところの受渡決済期日(各限月の20日、休業日の場合は繰下げ)の5日前(休業日を除外)となっている。

 今年の3月限の取引最終日は3月14日であった。日本の債券先物は取引慣習上は出来高が逆転した時点で中心限月が移行したとされる。正式には当日約定分(イブニング含む)の出来高が逆転した翌日から中心限月が変わることになるのだが、取引している当事者は出来高の逆転をみて中心限月が移行したと認識している。

 今回の3月限から6月限への中心限月の移行は市場参加者ベースでは11日となっていたが、今回の中心限月の移行にあたっては興味深いことが起きていた。それは中心限月となった6月限の建玉にある。

 上のグラフを見ていただけるとわかるように限月移行時は期近の建玉が減少し、中心限月が移行すると新たに中心限月となったものの建玉は回復する。これまでの中心限月の移行にあって、新しく中心限月となった移行日の建玉は8兆円から9兆円台でスタートしているが、今回の6月限の11日の建玉は6兆円台前半しかなかったのである。

 この原因としては3月限が中心限月であった際の期先であるところの6月限の売買高が少なく、中心限月の移行にともなっての建玉の移行がスムーズに進めなかったのではないかとの見方がある。確かに11日以降は少し増加している。それでも22日の速報ベースではまだ7兆円割れとなっている。

 今後の6月限の建玉の推移をもう少し確認しないと何が起きたのかは明白ではないものの、一部の市場参加者がいったん先物から手を引いた可能性もあるかもしれない。

 日銀の異次元緩和での大量の国債買入による国債需給の逼迫に加え、マイナス金利政策により10年を超える国債の利回りがマイナス化した。これらにより国債市場の流動性の低下が懸念されている。

 ここにきて超長期債が買い進まれ、10年債利回りは18日にマイナス0.135%まで低下したが、商いそのものは盛り上がっているわけではない。特に超長期債は売り物が限られ、売り物が出ると高いところでも買われて値が飛ぶような地合となっている。その結果、過去最低利回りを更新しているが、あまり実感がない買われ方ではある。

 この現物債の流動性の低下は債券先物の出来高にも現れているが、債券先物の建玉そのものにも影響を及ぼしている可能性があるかもしれない。

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by nihonkokusai | 2016-03-23 09:46 | 債券市場 | Comments(0)

日銀の石田審議委員の後任候補

 3月15日の金融政策決定会合では、三次元緩和の現状維持を決定した。このうち「量」と「質」に関してはマイナス金利付き量的・質的緩和を導入した1月29日の会合時と同様に8対1の賛成多数で決定した。反対したのはいずれも木内委員である。

 これに対して「金利」の部分については1月29日には、木内委員に加え佐藤委員、白井委員、石田委員が反対したため5対4の僅差での決定となった。ところが3月15日の決定においては白井委員と石田委員は賛成に回ったため、7対2の賛成多数での決定となった。

 2014年10月の量的・質的緩和の拡大の際も、木内委員・佐藤委員に加え、森本委員と石田員が反対したが、次回11月の会合では反対は木内委員だけとなっている。

 一度決定してしまったものに対しては、それを覆すことは難しい。ひとまずその効果を見定める必要もあり、導入には反対したものの、その政策の継続には賛成するということもわからないわけではない。しかし、反対した以上はそれなりの理由があったはずであり、その意見を貫くこともときには必要ではなかろうか。

 1月のマイナス金利政策の導入に反対したものの、今回の現状維持に賛成した白井委員と石田委員はそれぞれまもなく任期満了を迎える。そのあたりの配慮もあったのかもしれない。

 ちなみに3月末に任期満了となる白井委員の後任にはサクライ・アソシエイト国際金融研究センター代表の桜井真氏が政府から提示されている。桜井真氏はいわゆるリフレ派に近いとされており、今回のマイナス金利政策についても賛成に回るであろうと予想される。

 そして石田委員は6月29日までの任期となっており、まだ政府からの後任の提示はなされてはいない。しかし、候補として新生銀行の政井貴子氏の名前が挙がっている。後任候補としては銀行出身で、できれば白井委員の後任が男性となったことで、女性が望ましいとの見方となっているのであろうか。

 ただし、このポストの人選はなかなか難しいのではなかろうか。新日銀法が施行されてからは特に政策委員における産業枠や銀行枠など業界枠が明確になっているわけではない。しかし、石田委員までの前任者はすべて結果としてメガバンクからの出身者となっている。

 果たしてメガバンク以外からの人選があるのであろうか。日銀は銀行の銀行であることで、当然ながら銀行との繋がりは強いはずである。ただし、この人選は政権が握っていることも確かであり、慣習に縛られないかたちでの人選もありうるのかもしれない。

 それよりも注意したいのは、いずれにせよ銀行出身者となれば、マイナス金利政策については銀行の利ざや縮小や資金運用の困難さを招いたこともあり、素直には賛成できない面もあるのではなかろうか。銀行出身者でもマイナス金利を含めての日銀の異次元緩和に理解を示す人もいるかもしれないが、それはむしろ少数派ではなかろうか。それでもある程度、現在の黒田日銀の政策に理解を示す人選となることが予想される。

 ただし、これが良い人選かといえばそうではなかろう。日銀の政策委員は多様な業種出身で専門分野を生かしながら金融政策という重要な決定を多数決で行うことになる。いまの日銀の金融政策に理解を示す人選というより、本来は公正で的確な判断を下せる人物を選ぶべきではなかろうか。石田委員の後任人事は、意見や枠にとらわれない人物を望みたいが、どうもそういうわけにも行かないようである。

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by nihonkokusai | 2016-03-22 09:12 | 日銀 | Comments(0)

上海のG20での謎の非公式会合

 3月7日のWSJは「日本への批判高まり、円安誘導の選択肢なくなる」との記事のなかで、G4という非公式会合の存在を指摘していた。

 2月26、27日に上海で開かれた20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の際、日本の他にユーロ圏、米国および中国のいわゆるG4が財務相・中銀総裁レベルの非公式会合を持ったそうである。関係者によると、G4の財務相・中央銀行総裁会議は少なくともここ数年、G20や国際通貨基金(IMF)年次総会などの際に定期的に行われているそうである。

 ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)の議長を務めるオランダのダイセルブルーム財務相はG20会期中に、日本が通貨戦争を引き起こす危険性が協議されたことを明らかにしたと報じられた。これについて麻生太郎副総理・財務相は4日の参院予算委員会で、ダイセルブルーム財務相の上海での発言は誤って引用されたものだと欧州委員会高官から伝えられたと報告した。しかし、欧州委員会報道官はウォール・ストリート・ジャーナルに対し、オランダ財務相の発言は正確に報じられたものだと述べたそうである。

 ダイセルブルーム議長の発言があったのかどうか、非公式会合も開催されたのかどうかは定かではない。真偽のほどは定かではないが、オランダ財務相であるダイセルブルーム議長のお膝元のECBもこれまで通貨安を意識した金融緩和を行ってきた経緯もあり、さらに3月にはECBは追加緩和を決定している。もしかすると2015年1月のECBの量的緩和政策決定の際にドイツとともにオランダは反対しており、日本を持ち出しながらも実はドラギ総裁に釘を刺した可能性もあるのかもしれない。これもあくまで憶測ではあるが。

 G4のうち利上げした米国以外は、G20直後に預金準備率を引き下げた中国を含めて、通貨安狙いの追加緩和策を講じているところでもあり、ダイセルブルーム議長の後ろには米国の意向が働いた可能性もありうるか。米政府は安倍政権が日銀の金融政策に頼り、円安で成長を促そうとすることに対して懸念を示しているとされる。このような米国サイドの批判もあってか、日本政府は2011年の冬以降、為替介入は実施していない。

 もしG4という会合が存在しているのであれば、昔のプラザ合意ほどではないものの、非公式に行われながらそれなりの影響力を持っている可能性もある。IMFのSDRにはドル、ユーロ、英ポンド、円、そして人民元で構成されており、そのうちの4つの通貨に絡んだ国々の会合であり、特に為替政策に関しての協議の場である可能性がある。ただし、ここになぜ英国の名前が入っていないのかは疑問である。

 その英国の中央銀行であるイングランド銀行のカーニー総裁からは上海のG20において「金融緩和が世界レベルで効果を上げるためには、単にある国から他国に需要の乏しさを移し替えるだけの方法を当てにすべきではない」との発言もあった。さらに「世界的なゼロ金利の中、フリーランチ(タダ飯)などない」という警告も発している。

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by nihonkokusai | 2016-03-21 13:06 | 中央銀行 | Comments(0)
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