牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

<   2015年 10月 ( 26 )   > この月の画像一覧

米利上げは12月が濃厚に

 10月27日から28日にかけて開かれたFOMCでは9対1で現状の金融政策を維持することを決定した。反対したのはリッチモンド連銀のラッカー総裁で今回も0.25ポイントの利上げを主張した。

 ダニエル・タルーロ理事やラエル・ブレイナード理事から年内の利上げに対して懐疑的な発言が出ていたことで、注目された声明文であったが、むしろ12月の利上げに向けてさらに一歩進めたような内容となっていた。

 声明文で注目されたのは、9月の声明にあった「最近の世界的な経済・金融情勢は経済活動をやや抑制する可能性があり、近い期間にインフレ下方圧力におりうる」との文言が削除されたことである。

 ブレイナード理事は10月12日に、世界経済の減速や中国での混乱など国際リスクが米経済の足かせとならないことが明確になるまでFRBは利上げを見送るべきとの考えを示していた。

 しかし、その中国発の混乱はひとまず収まったかに思える。米国の正常化路線に対してそれほど大きな足かせとはならないとの判断も働いたのか、利上げ観測を後退させた要因ともなったものをとりあえず排除させた格好となった。

 さらに、前回までは特定の会合についての言及はなかったものの、今回の声明文では次回12月の会合で政策金利引き上げを検討すると表明していた。

 これらの声明文の内容からみて、ダドリー・ニューヨーク連銀総裁などを含めて、理事などからもやや慎重論が出ていたが、予定通りに12月のFOMCでの利上げ、つまり正常化を決定してくる可能性が強まったといえる。

 ただし、前回から今回の会合の間に別の変化があったことも要注意事項となる。これはECBが12月15日から16日にかけてのFOMCの前に、ECBが12月3日の理事会で追加緩和を決定する可能性が強まったことである。FOMCの利上げについては、まだやや曖昧な表現が残されているものの、ECBについてはドラギ総裁が追加緩和を示唆している。また、日銀も追加緩和に向けた議論を始める可能性も出ている。

 2014年10月の日銀の異次元緩和第二弾はFRBのテーパリングの終了のタイミングに合わせるような格好となったため、急速に円安ドル高が進行した。ECBとしても今回の追加緩和の狙いもユーロ安にあるとみられ、このタイミングを狙った可能性がある。FRBとしては過度な為替市場の動きは避けたいとみられ、米国政府も巻き込んで12月に向けて緊張が高まる可能性がある。

 いずにしてもFRBは2013年のテーパリング開始の決定時と同様に時間を掛けて市場に浸透させた上で、予定通りに12月のFOMCで利上げを決定してくるものと予想される。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-10-30 09:42 | 中央銀行 | Comments(0)

原油価格の下落を生かす工夫も

 原油価格の推移を見る際の指標として使われるのがWTIである。これは債券の動きをみるのに都合が良い債券先物と同様に、流動性の高さなどから原油価格の上げ下げを見る指標として都合が良いため、指標として使われている。

 WTIとは「West Texas Intermediate」の略称で、アメリカ合衆国南部のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される原油の総称であり、硫黄分が少なくガソリンを多く取り出せる高品質な原油であり、そのWTIの先物がニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されている。

 WTIが上場したのが1983年であり、すでに1973年と1978年の二度のオイルショック後となる。上場後は30ドル近辺での推移であったのが、1985年のプラザ合意前後に原油価格の大幅な低下が進み、WTIは20ドルを大きく割り込む。しかし、その後切り返し、1987年のイランイラク戦争時に40ドル近辺をつけることがあったが、2000年あたりまで20ドル近辺での動きが続いた。

 その様相が変化したのが、2004年あたりからである。2008年7月11日に最高値147.27ドルを記録した。この原油価格上昇の要因は、中国などを中心とした新興国の需要増加であることは確かである。ただし、2008年の140ドル台はややバブルの様相を示し投機的な動きもあったとみられる。その後、リーマン・ショックもあり40ドル近辺にまで低下した。

 しかし、欧州の信用不安による日米欧の金融緩和などもあり、これも新興国経済には下支えとなったとみられ、2011年あたりからWTIは再び100ドル台を回復した。ところが、2014年7月あたりから原油価格は急落する。2015年8月には40ドルを割り込む場面があった。現在も43ドル近辺となっており、再び40ドルを割り込むとの見方も出ている。

 今回の原油先物の下落の影響としては、米国のシェールオイル増産も当然絡んではいようが、WTIの32年間のチャートをみると、2004年あたりからの大相場が終焉しつつあるようにしかみえない。そうであれば、中国を中心とした新興国経済の急成長の反動、つまりその落ち込みが顕著になったことが影響しているといえる。

 日本もそうであったように高度成長は永遠に続くものではない。中国も高成長から安定成長の時代を迎えつつあると思われる。これにより、原油価格のバブルも終焉した。これはオイルマネーなどにも影響を与えているとみられ、株安の一因ともされている。

 WTIのチャートからみると、もしバブル前の原点に戻るとすれば、1バレル30ドルあたりまで下落してもおかしくはない。これは物価に対しては上昇抑制要因となる。しかし、原油価格の下落そのものは日本経済にとっては決してマイナスではない。エネルギー価格の下落をうまく生かす政策も必要になってくるのではなかろうか。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-10-29 09:41 | 景気物価動向 | Comments(0)

日銀の現状打開策

 10月27日の朝日新聞電子版によると、日銀は30日の金融政策決定会合で、追加の金融緩和を議論するそうである。「日銀内で浮上しているのは、追加緩和で企業心理を改善させ、賃上げを促す構想。新興国経済の減速で国内景気の先行きに不透明感が出て、物価の上昇要因となる賃金の伸びが鈍る懸念があるためだ」(朝日新聞電子版より)。ただし、追加緩和を不要とみる会合の委員もいて、結論はなお不透明のようである。

 日銀の追加緩和に関しては、リフレ派の重鎮ともいえる浜田宏一内閣官房参与が、26日にロイターとのインタビューで、市場で追加金融緩和観測が広がっている30日の日銀金融政策決定会合では、雇用情勢の改善が続く中で日銀が追加緩和を見送る可能性があるとの見解を示していた。

 本田悦朗内閣官房参与も、23日に停滞する日本経済の再生のために最大5兆円規模の追加的な財政出動策を打ち出す必要があるとしたが、日銀が新たな措置を講じなければならない状況にはないとの見方を示していた。

 浜田参与や本田参与がどの程度の影響力を保持しているのかは不透明ながら、10月30日の日銀の追加緩和にはそれほど積極的にプレッシャーを掛けているわけではなさそうである。

 10月30日の日銀の金融政策決定会合後には、展望レポートが発表され、物価の見通しなどが下方修正される予想となっている。市場では物価目標達成に向けて追加緩和を決定するのではとの観測も出ているが、現在の日銀にはいろいろと足かせがあり、追加緩和そのものはなかなか難しい状況にある。そのなかで、日銀内部では少しでも動きをとれるようにしようとする動きが出ていてもおかしくはない。その一環が、朝日新聞の記事からも垣間見えるのではなかろうか。

 リフレ的な考え方を取り入れたアベノミクスを具体化したのが、日銀の異次元緩和であった。これはマネタリーベースを単純に膨らませるだけで、結果として物価が上昇するということを前提にしている政策であった。しかし、そのシナリオには無理があったことは確かであり、日銀の金融政策で直接物価上昇を促すことは結果をみても難しいことがわかった。このため、賃金上昇というワンクッションを置くことをあらためて意識しているとみられる。

 ただし、浜田参与の発言にもあったように、日銀としても雇用情勢の改善が続いているというのが現状認識となっており、これは黒田総裁の発言にもみられる。しかし、それがなかなか賃金上昇に結びつかない現状を金融政策という手段で、何とかなるものであるのか。単純に国債買入をさらに10兆円程度増加させたとしても、これまで2回の大規模な買入の結果からみても、影響が出るようには思えない。ETFの買い増しとかは物理的に限界もあるとともに、企業経営者がそれで賃金を上げるかどうかの判断はまた別物であろう。

 日銀が追加緩和策を検討するとなれば、これまでの二度にわたる異次元緩和とは趣を異にする政策を打ち出す必要がある。それは単純に量によるものとはならないのではなかろうか。大規模な異次元緩和で、できなかった企業心理の改善のための新たな施策、どのような絡め手を検討しているのかは定かではないが、10月30日の会合で披露されるかはさておき、日銀が何らかの現状打開策を検討していることも確かなのかもしれない。ただし、それはアベノミクスの前提となっているリフレ政策の効果に対して疑問を投げかけることにもなろう。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-10-28 09:52 | 日銀 | Comments(0)

氷河期の国債市場

 10月22日のECB理事会後の会見でドラギ総裁は、12月3日のECB政策理事会において追加緩和を打ち出す可能性を示唆した。追加の緩和手段としては、2016年9月までとしている量的緩和の期間を延長することのほか、銀行が中銀に余剰資金を預け入れる際の手数料(マイナス金利)を拡大することなどを今回の理事会で協議したそうである。政策金利の下限金利である中銀預金金利はマイナス0.2%となっているが、これをさらに引き下げることも選択肢となり、10月23日のユーロ圏の債券市場では中短期債主体に買い進まれた。ドイツとフランスの2年債利回りが過去最低を更新し、イタリアとスペインの2年債利回りは初めてマイナスをつけた。ドイツでは6年債の利回りまでマイナスとなった。

 スイス中銀も2014年12月にマイナス金利を導入したが、スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)のトップからは、同国の低金利環境が「何年どころか何十年も続く可能性がある」との見方を示したそうである。「日本を見ると、1990年代に、現在まで低金利が続いていると予想できた人はいなかった」とも述べたそうである(ロイター)。

 日本の長期金利が初めて1%を割り込んだのは1997年であり、日銀が初めてゼロ金利政策を決定したのが1998年であった。このあたりから日本では長期金利は、ほぼ2%以下の時代が続き、日銀の政策金利もゼロ%に近い水準が続く。日本ではその間に政府債務は膨らみづけたが、そのリスクをこの低金利が見えにくくさせていた。

 このように特に日本と欧州では金利が抑えられるなか、クレディ・スイス・グループは22日、欧州のプライマリーディーラー業務から撤退すると発表し、欧州の債券市場関係者を驚かせた(ブルームバーグ)。

 国債を主体とした債券の利回りが押さえつけられ、その主役に中央銀行がなることで、債券の流通市場はさらに冷え込むことになる。それだけでなく、バーゼル銀行監督委員会が国債をリスク評価する新たな規制を検討しており、これにより世界の大手銀行が債券トレーディング業務を縮小させる要因ともなる。

 プライマリーディーラー制度とは、指定を受けた証券会社や銀行に対し、一定の規模の国債の入札や落札、市場の状況等の報告が義務付けられる代わりに、一定の優遇措置が認められる制度。 日本では国債市場特別参加者制度と呼ばれ、現在はクレディ・スイスを含めて22社が選ばれている。

 日銀が国債発行額の9割も吸い上げ、ほとんど金利がつかないというかマイナス金利まで発生しているなかで、プライマリーディーラーは国債を入札で落として、そのほとんどを日銀に売却するという業務が主流となってしまっている。この状況ではなかなか債券業務で収益を挙げることは難しい。それでもプライマリーディーラーという肩書きの威力は大きく、国債以外の債券業務で投資家との取引を維持するためにも必要なものとなる。しかし、債券ビジネスそのものが割に合わないとなれば、今後クレディ・スイスのような動きが、欧州や日本で拡がる恐れもありうる。

 ちなみに昔、国債は引き受けシンジケート団がまず引き受けて、それを1年後に日銀や資金運用部がほぼ全額を買い入れるような時代もあった。ただし、これは国債の発行額が大きくなったことや、金利の自由化などから、銀行が自由に国債を売買できるようになり、国債は日銀や資金運用部ではなく、民間の金融機関がその多くを保有することになった。それが現在は再び日銀が大量の国債を買い入れており、こと国債をみると再び規制金利の時代に逆戻りしつつあるかのようである。

 日本ではすでに20年近く低金利の時代が続いている。その間の国債市場はなんとか維持はされてきたが、今後も同様であるのかは疑問である。金融市場は官から民への時代に形成されてきたものだが、中央銀行の国債の大量保有により再び官の時代に逆行するようなことになると、市場そのものが衰退しかねないのではなかろうか。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-10-27 09:19 | 債券市場 | Comments(0)

日銀の追加緩和への壁

 アフリカ中部ザンビアのエドガー・ルング大統領は10月18日に、自国通貨の急落を「癒やす」ことを願って神に祈りをささげたそうである。ルング大統領は前もってこの日を「不況脱却のため全国民が祈る日」と定め、全土でバーが休業し、サッカー国内リーグの試合も全て中止された(AFP=時事)。

 先進国のなかにはデフレ脱却のため、自国通貨を下落させようと金融政策を行っているところもあったような気がするが、自国通貨が急落するとそれどころではなくなり、まさに祈るしかないような状態になりうる。

 昨年10月末の日銀による量的・質的緩和の拡大、いわゆる異次元緩和第二弾は市場にとってかなりサプライズであった。このため、黒田日銀総裁が物価の基調は回復しつつあると主張しても、市場では10月30日の金融政策決定会合では、追加緩和を決定するであろうとの見方が依然として結構強い。これは、タイミングとしてのサプライズとなるとか、その内容はさておき、行動する事に意義があるとの理由のようである。つまり物価上昇を祈るのではなく、何でも良いから行動を起こすべきということになる。

 その手段のひとつとして日銀の当座預金の超過準備の付利の引き下げや撤廃なども予想されていたようだが、超過準備の付利の変更については黒田総裁がきっぱりと否定した。このため、それを睨んでどうやら買い進まれていたらしい中期債には戻り売りが入る場面もあった。付利が無理ならば、今度は買入国債の年限長期化が想定されたようで、超長期債の売買が盛り上がるような場面もあった。

 ただし、日銀が追加緩和をするにはいくつかの壁が存在している。たしかに今度の展望レポートでは物価や景気の見通しが下方修正される可能性が高い。もしそれを意識して追加緩和を行うであれば、これまで黒田総裁が主張してきた物価の基調についての考え方をあらためる必要がある。さらに二度の大胆な緩和で消費者物価指数が上がらなかったことの説明も必要となる。もしそれが原油安や消費増税とかの影響とするのであれば、日銀の金融政策とは違ったところの要因となりうる。大胆な金融緩和で物価が上がるという理論立てにも疑問も生じさせかねない。さらに追加緩和で物価上昇に働きかけられるとの説明にもかなり無理が出てくる。

 政府の経済対策とも呼応して、世界的な景気低迷による景気下振れの回避のためとして、何でも良いから追加緩和を行うとしても、すでに追加緩和への在庫も限られている。このため、よほどの秘策でもない限り、大胆な緩和となることは考えづらい。これはつまりフレキシブルで逐次型の緩和に取られることにもなりかねず、これはリフレ派が否定していた本来の日銀の金融政策のあり方に戻ることになる。これも現在の日銀としては受け入れがたいものとなるのではなかろうか。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-10-26 09:39 | 日銀 | Comments(0)

中国が金利自由化、日本は30年前あたりから

 中国人民銀行は10月23日に、銀行が預金金利を決める際の上限金利を撤廃し、銀行金利を原則自由化すると発表した。すでに貸出金利の下限規制は撤廃しているため、制度上は銀行の裁量で金利水準を自由に決めることができる。これは人民元がIMFの特別引き出し権(SDR)と呼ばれる準備通貨に早期に採用されるよう、金融自由化に向けた取り組みを強化することが大きな狙いとされる(日本経済新聞)。

 特別引出権(SDR)とは、加盟国の準備資産を補完する手段として、IMFが1969年に創設した国際準備資産である。SDRの価値は主要4大国・地域(ユーロ、日本円、 スターリング・ポンド、及び米ドル)の国際通貨バスケットに基づいて決められ、自由利用可能通貨との交換が可能。2015年3月17日時点で2040億SDRが加盟国に配分されている(IMFのサイトより)。

 中国政府は人民元の国際化を目指し、IMFが設定している特別引き出し権(SDR)の構成通貨に人民元を採用するように要請している。今回の金融自由化に向けた取り組みはその一環とみられる。

 それでは日本の金利の自由化が始まったのはいつのことであったろうか。2015年10月21日は1989年に公開された「バック・トゥ・ザ・フューチャー 2」で、主人公マーティがタイム・トリップした1985年から30年後のその日であった。1985年はプラザ合意があり、債券先物も上場された年であったが、この年に日本では金利が市場の実勢で決められる大口定期預金が導入されていた。日米円ドル委員会作業部会報告書に基づいて、円の一層の国際化を含む新しい金利自由化の指針が1984年に提示された。1970年代後半から金利自由化が推進されていたが、これをきっかけに一連の金利の自由化が促進された。その後、1994年10月に民間銀行の金利は完全に自由化された。

 いまから30年前の日本は現在の中国といろいろな面で共通点があるとの指摘もある。日本では1964年に海外旅行が自由化され、高度経済成長期を迎えた1985年頃には日本からも大量の観光客が海外に出かけていった。中国では1997年に観光目的の海外団体旅行が解禁され、現在では中国からの多くの観光客が日本に押しかけている。30年前頃に日本が国際化を強めていたように、現在の中国も国際化を推し進めようとしていると言える。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-10-24 11:35 | 金融の歴史 | Comments(0)

ドラギマジックは日銀を動かすか

 10月22日にマルタで開かれたECB政策理事会では、主要政策金利である短期買いオペの最低応札金利は0.05%で、中銀預金金利と限界貸出金利もそれぞれマイナス0.2%とプラス0.3%に据え置かれた。

会合後の会見でドラギ総裁は、「今日、事態は変わった。これは必ずしも、特定のこの手段を使うことを示唆しているわけではない。が、議論は非常にオープンだった」と述べた(ブルームバーグ)。

 ドラギ総裁は、採用の可能性がある複数の緩和手段について、「非常に濃い議論」があったとし、さらに金融緩和の度合いを最新のマクロ経済予測が手に入る12月に再検証する必要がある」と発言した上で、近い時期の緩和を示唆する「警戒を怠らずにいたい」とトリシェ前総裁が使った言葉を付け加えた。つまり次回、12月3日のECB政策理事会において追加緩和を打ち出す可能性を示唆したのである。

 追加の緩和手段としては、2016年9月までとしている量的緩和の期間を延長することのほか、銀行が中銀に余剰資金を預け入れる際の手数料(マイナス金利)を拡大することなどを、今回の理事会で協議したこともドラギ総裁は認めた。

 今回もドラギマジックは遺憾なく発揮され、欧米の株式市場は上昇し、23日の東京株式市場も上昇した。外為市場ではユーロが売られ、リスクオンの動きから円安も進行し、ドル円は121円近くまで上昇した。

 ドラギ総裁は追加緩和の内容よりも、行動を起こすことにより、市場参加者への期待感を強めようとした。その手段はどうあれ、金融政策で直接、物価などに働きかけることは難しいものの、ユーロ安や株高に働きかけることで多少なりの効果を狙ったものと思われる。

 ドラギマジックに市場は素直に反応した。これに対して日銀はドラギマジックのようなピーターパン効果を与えることは可能なのであろうか。ドラギ総裁は緩和ありきの姿勢を示した。しかし、日銀は物価の基調は回復しているとの姿勢は崩しておらず、付利の引き下げも否定している。ECB同様に日銀も道具箱にはあまり道具はない。その道具を適切に使うとすれば、マジックも必要になる。

 10月30日の展望レポートが発表されるタイミングでの追加緩和があるのか。もし追加緩和をするのであれば、大胆なものは難しく、金融政策のスタイルを以前の姿に戻すことが必要になる。フレキシブルな金融政策に戻した上での、追加緩和というのであれば少ない道具でも有効に使えるかもしれない。しかし、それはアベノミクスで打ち出した金融政策とは趣が違うものとなり、異次元から通常の次元に戻ることになる。ここにきて、いわゆるリフレ派の重鎮とされる国会議員や内閣参与から日銀の追加緩和に対して消極的な発言が出ているのも、リフレ派の主張する政策に限界が見えてしまうことを嫌ってのもの、との見方も可能ではなかろうか。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-10-24 10:10 | 日銀 | Comments(0)

日銀のピーターパン物語

 日本銀行金融研究所は、2015年6月4、5日に日銀本店において、「金融政策:効果と実践(Monetary Policy: Its Effects and Implementation)」と題する 2015年国際コンファランスを開催した。その開会挨拶において、黒田総裁が中央銀行が現在直面している様々な課題を提示したうえで、引用したのがピーターパンの物語の一節であった。

 「飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう(The moment you doubt whether you can fly, you ceaseforever to be able to do it)」

 「PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~」という映画がまもなく公開されるが、これはネバーランドに連れて来られた孤児が「ピーターパン」になるまでを描く作品である。この作品ではフック船長は単なる悪役では無く、かつてはピーターパンと盟友であったとの設定になっている。

 黒田総裁は、盟友であったかどうかは知らないがアベノミクスという夢の王国を打ち出した安倍首相に請われて日銀総裁となった。そこで取った政策が量的・質的緩和政策であり、異次元緩和政策とも呼ばれた。ただし、この政策は2年という時を設定した。フック船長は、時計を飲み込んだワニに追われることになるが、アベノミクスの場合は時に追われているのは黒田総裁となっていた。

 しかし、2年が経過しても魔法の効果は出なかった。途中まで出たような気がしていたが、何か別の力が働いていたのが要因であったようで、油の値段が下がったとたんに、期待はどこかに失せてしまったのか、目標から遠ざかってきてしまった。

 魔法の効果を信じていなければ、魔法は使えなくなってしまうのか。本当にその魔法は効くのであろうかと市場参加者が疑問を抱いたことで、魔法が消えてしまったということなのか。

 それならば再び市場参加者達にも魔法を掛ければ良いのであろうか。フック船長ならぬ安倍首相は、旧三本の矢を再び取り出して磨きを掛けるという。その一本目がピーターパンならぬ日銀の大胆な金融緩和という矢である。飛べるかどうか(物価目標を達成できるかどうか)を疑う人たちに対して、新たな矢を射ることで本当に願いは叶うのか。これは今回、ECBのドラギ総裁もあらためて試そうとしている。

 どうも市場参加者は、飛べるかどうかを疑う以前に、飛べるわけないことを知っていたのではなかろうか。ただし、飛べるかどうかはさておいて、魔法が掛けられると、なぜか株が上がったり、通貨価値が下がることがあるので、魔法そのものは掛けてほしいと願っている。しかし、それは何か起きると魔法にばかり頼ることにもなりかねない。そもそもその魔法のためには必要なものが存在するのだが、その道具にも限界がある。これはECBも同様か。

 はたして日銀のピーターパン物語の続きはどうなるのか。ネバーランドでは結局、ピーターパンとフック船長は敵同士となってしまう。そんな結末も待っているのか。10月30日の魔法を決める会合への期待も出ているが、魔法を信じさせながらも限られた道具しかないなか、金融政策はネバーではないが、当分の間はそのまま据え置かれるのではなかろうかと予想される。それともドラギさんのマジックが成功しそうなので、大胆なというより、やることに意義があるとして、自ら禁じ手としていた小出しの魔法を掛けるのであろうか。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-10-23 09:16 | 日銀 | Comments(0)

中国は8月に米国債を売っていなかった?

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、「8月」の国別の米国債保有高のトップは引き続き中国(China、Mainland)であり、しかもここ1年あまりでは最も多い1兆2705億ドルとなっていた。二番目は日本の1兆1970億ドルとなっていた。

 8月11日に中国人民銀行は人民元取引の目安となる基準値の算出方法を変更し、対ドル基準値を前日比1.9%近く引き下げた。つまり人民元の引き下げを実施した。米財務省の為替問題議会報告によると、中国は7~9月の3か月間で2290億ドルの為替介入を実施したとされる。しかし、米国債国別保有残高の数字を見る限り、8月末時点ではそのための米国債の売却は行われていなかったように見える。ただし、この数字がいずれ修正される可能性もあるため、実際に大量のドル売り介入のための米国債の売却があったのかどうかは、これだけでは確定的ではない。

 中国の8月の外貨準備は3兆5600億ドルと前月比940億ドル減となっており、絶対額としては過去最大の減少を記録していた。米国債国別保有残高を見る限り、この影響は米国債保有高には現れていない。

 参考までに8月時点の日本の外貨準備は1兆2442億ドルであり、このうち1兆1191億ドルが証券となっている。8月の日本の米国債保有高は1兆1970億ドルであり、ほぼ整合する。つまりこの外貨準備の大部分が米国債で保有されていることになる。

 ところが中国に関しては外貨準備が日本の倍以上存在しているにも関わらず、中国の米国債の保有高は1兆2000億ドル近辺で日本とほぼ並んだ状況となっている。残りの2兆ドルあまりはいったい何で運用されているのであろうか。

 中国の外貨準備の運用先は非公開となっているようであり、そうであれば8月の人民元切り下げ時の介入資金は米国債を売却せずとも、残りの2兆ドルあまりから取り崩せば可能となる。本当に2兆ドルあまりが中国国内に存在するのであればだが。

 そもそも2兆ドル以上もの資金の運用先はどこかにあるのか。世界有数の発行量を誇る日本国債にも資金が流れている可能性はあるものの、8月の日本の公社債投資別売買高を確認しても、外国人は売るどころか大きく日本国債を買い越していた。

 はたして中国の介入資金はどのように調達していたのか。そもそも外貨準備の相当分は何で運用しているのか、謎は深まるばかりである。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-10-22 09:25 | 国債 | Comments(0)

海外投資家の日本国債の買い越し続く

 日本証券業協会(JSDA)は10月20日に9月の公社債投資家別売買高を公表した。これは日本証券業協会の協会員、つまり証券会社から、当月中に取り扱った公社債の一般売買分(現先を除き、国債の発行日前取引を含む)の状況についての報告を基に集計したものである。発表される公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっている。このため、短期債を除く債券のデータについては、全体から短期債を引いたものを使う。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。 9月の公社債投資家別差し引き売買高
注意、マイナスは買い越し、単位・億円
()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 11033(2277、-7562、15645)
地方銀行 1971(-1490、4761、164)
信託銀行 1352(-2257、3052、-265)
農林系金融機関 -1379(-1036、427、-20)
第二地銀協加盟行 804(363、543、209)
信用金庫 734(1382、1379、-361)
その他金融機関 906(-566、137、1561)
生保・損保 -3112(-3406、514、538)
投資信託 -2424(-682、127、-1253)
官公庁共済組合 -279(-85、-41、-1)
事業法人 -2172(12、-157、-1579)
その他法人 -1055(8、-38、-23)
外国人 -17779(-2242、-596、-14764)
個人 384(6、44、10)
その他 13124(4089、4681、7941)
債券ディーラー -1400(106、-1227、-207)

 9月に都銀は1兆1033億円の売り越しとなった。8月は8384億円の買い越しとなっていたが、再び売り越しに転じた。同時に公表された国債投資家別売買高でみると、都銀は超長期債を2277億円売り越し、長期債を7562億円買い越し、中期債を1兆5645億円売り越していた。

 外国人は、9月は1兆7779億円の買い越しと、8月の2兆4121億円の買い越しほどではなかったが大幅買い越しとなっていた。外国人は15か月連続の買い越しとなる。超長期債を2242億円、長期債を596億円、中期債を1兆4764億円、それぞれ買い越していた。

 地銀は1971億円売り越しと長期債主体の売り越し。信託銀行も1352億円売り越しと長期債主体の売り越し。生損保は2424億円買い越しとなり、超長期債主体の買い越しに。

 そして、今回も「その他」が1兆7779億円売り越していた。8月は1兆2672億円の売り越しとなっていた。9月は超長期債を4089億円、長期債を4681億円、中期債を7941億円と万遍なく売り越しに。ゆうちょ銀行やかんぽ生命の動きであろうか。

 9月の債券市場は、債券先物は148円近辺、10年債利回りでは0.3%台での膠着相場が継続していたが、投資家はそれなりに動きがあったようである。中期ゾーンでは都銀の売却分を海外投資家が購入したような格好となった。10月に入ると債券市場は膠着感がさらに強まることになる。全体の売買高は9月は8月よりは増加していたものの、このままの閑散とした相場が続くと10月はかなり減少してくるのではないかと予想される。

*** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。

ヤフー版(サイトでお読み頂けます)
まぐまぐ版(メルマガでお読み頂けます)
BLOGOS版(メルマガでお読み頂けます)

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp
[PR]
by nihonkokusai | 2015-10-21 09:35 | 国債 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー