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FRBと日銀の金融政策は似て非なり

 日銀の岩田副総裁は以前の国会での質疑応答で、日銀の量的・質的緩和政策はバーナンキFRB前議長の政策と全く同じと答えたそうである。仮にこれが黒田日銀以前の金融政策であれば、この発言はある程度納得できるが、現在の黒田日銀の異次元緩和はFRBのQEと一般に呼ばれた政策とは似て非なりである。

 インフレ・ターゲットを主張していたのはバーナンキ教授であったが、バーナンキ教授がFRB議長になると主張していたインフレ・ターゲット政策は封印した。FRBは2012年1月に物価に対して特定の長期的な目標(ゴール)を置くこととし、それをPCEの物価指数(PCEデフレーター)の2%とした。しかし、これはガチガチのインフレ・ターゲットとは異なるものである。あくまでひとつの目安であり、それに向けて邁進するような政策ではない。物価目標の設定についてはインフレ目標やインフレターゲットを連想させるが、特にその数値に法的な拘束力などがあるわけではなく、あくまでECBの「物価安定の量的定義」や当時の白川日銀の「物価安定の理解」に近いものである。

 さらにFRBによる国債やMBSの巨額の買入についても、日銀の量的・質的緩和とは目的そのものが異なるし、そもそもFRBの国債買入をQEと呼んだのは市場参加者であり、FRBはこれをLSAPと別な呼び方をしていたぐらいである。日銀は政策目標をマネタリーベースに置いたが、FRBはあくまで月々の国債とMBSの買入額を目標値にしていた。そして、日銀がその目的を物価目標達成としていたのに対し、FRBは基本的に住宅ローン等も意識して国債やMBSなど長め金利の低下を促すことを目的としていた。ここが根本的に異なる点となる。

 これについて最近、日銀が企画局から出した『「量的・質的金融緩和」:2年間の効果の検証』というレポート(日銀レビュー)では、マネタリーベースのことは一切触れず、まるで日銀はFRBの目的と同様に異次元緩和は長期金利の低下、つまりは実質金利の低下を促すことが主目的のようなとらえ方をしていた。これをみると本当の目的は物価目標ではなく、FRB同様に長期金利の低下にあり、その意味では当初の目的を達成させている的な解釈となっていた。国会での岩田副総裁の発言もこれを意識したものであったろうか。

 しかし、日銀の異次元緩和の発想は岩田教授が主張していた貨幣数量説に基づいてたマネタリーベースを思い切って増加させることで予想物価を引き上げて物価目標を達成するものであったはずである。いわゆるリフレ派の主張であり、黒田日銀以前の日銀が否定的な見方をしていたものであったはずである。バーナンキ議長も昔はリフレ派の始祖のような立場にあったが、リフレ的な発言は議長就任後はほとんどしていない。日銀だけがいわゆるリフレ政策の壮大な実験を行っていることになり、これをFRBのLSAPと同じものとするのはかなり無理がある。

 やはり日銀同様に大量の国債を買い入れているECBも量的緩和と言っているが、マネタリーベースの拡大を政策目標とはしておらず、政策目標はいまだ金利である。日銀だけが以前はタブー視されていたリフレ政策を実施したが、肝心の物価は上がらず、FRBのように簡単に出口政策を行うことすらできない状況に自ら追い込んでしまっている。

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by nihonkokusai | 2015-05-19 14:02 | 日銀 | Comments(0)

日銀の利下げへの思惑

 日銀の黒田総裁は5月15日の『「量的・質的金融緩和」の2年』と題する講演のなかで次のような発言をしていた。

 「皆様の実感としても、「物価がどの程度上がると思うか」と聞かれて、2年前と今では違う答えになるのではないでしょうか。「デフレ」という言葉も「デフレ脱却」という文脈以外ではあまり聞かれなくなりました。企業の価格や賃金設定行動も変化しており、10数年来途絶えていたベースアップが、昨年、今年と2年続けて実現しました。こうした事実がある以上、予想物価上昇率が上昇したこと自体は、疑いようがありません」

 黒田総裁は予想物価を数値で示すことはせずに、人々の物価観が変化したような気がするという説明をした。これはBEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)などで示すよりは良いとは思うが、予想物価に最も働きかけるとされる現実の物価指数はここでは差し置いている。

 「欧米の研究などによれば、経済・物価に対して長期金利の低下は短期金利の低下の数倍の政策効果を持つとされています。また、「量的・質的金融緩和」がイールドカーブ全体を下押ししている効果について実証分析を行ったところ、同じ効果を短期金利の引き下げのみで得ようとすれば、2%程度の引き下げが必要になるという結果が出ました。」

 予想物価が総裁の指摘通りに異次元緩和で上がったとしよう。さらにこの長期金利の押し下げ効果(ただしそれはマイナス0.3%程度でしかない点も指摘している)により、実質長期金利が低下して、それにより異次元緩和の効果が出たとしている。

 ここで気になるのは、この総裁の発言だけでなく、先日の企画局の「量的・質的金融緩和」:2年間の効果の検証』というレポートでもそうであったが、マネタリーベースの増加による影響は無視して、長期金利の低下による効果を殊更、強調している面である。むろん、マネタリーベースが2倍になっても自動的に物価が上がるという理論通りに行かなかったことで説明の矛先を金利に向ける意味合いがあったのかもしれないが、これは別の憶測も呼びやすい。

 ここにきての日本の債券市場は一時の下落相場から回復している。これはドイツを中心とした長期金利の急反発が収まり、買い戻しの動きが強まったことの影響が大きかったはずである。たしかにその影響が大きかったとは思うが、中短期債の買われ方などをみると何かしらの思惑が出ていた可能性もある。

 14日には一部の業者がかなり大口の取引を国庫短期証券で行ったとの観測があった。これは日銀の国庫短期証券の買入額の増額観測が影響しており、それにより中期債にも波及したとの見方もあろうが、15日の2年債利回りはマイナス0.015%に低下している。

 14日からの日本の債券の反発も利回り低下幅からみれば超長期ゾーンが大きいものの、商いは薄かった。低下幅は超長期よりも小さいが、かなりまとまった商いがあったのが、長期債とともに中短期ゾーンとなっていた。ここには欧米の利回り低下だけでなく、別途「期待」が出ていたとしてもおかしくはない。

 日銀は本来の金融調節の目標である「マネタリーベース」による効果を封印してきているかにみえる。その分、長期金利の低下による効果を強調している。ECBの関係者からはECBが量的緩和を行ったら即時に効果が出たかのようなコメントもみられているが、ECBの量的緩和の目的は長期金利の押し下げであった。

 こうなると日銀はいずれマネタリーベースという目標をそっと取り下げて、金利に戻し超過準備の付利を含めて、政策金利の引き下げを行うのではないかとの観測も出ていたとしてもおかしくはない。むろん現時点ではマネタリーベースが目標である限り、黒田総裁の発言にもあったように付利の引き下げ、撤廃は考えていないと答えざるを得ない。

 今週、21日、22日には日銀の金融政策決定会合が開かれる。それに向けての思惑的な動きがと出ていた可能性がある。ただし、目標をマネタリーベースから金利に戻すとなれば、その効果がなかったことを認めることになり、日銀の金融政策への信認を低下させかねない。現実にそれをするためには、総裁や副総裁が代わらなければ無理ではなかろうか。金利への政策目標の変更の可能性は極めて薄いながら、思惑が少しでも働いていたとすれば、今週の金融政策決定会合の動向は市場にとっても要注意となる。

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by nihonkokusai | 2015-05-19 09:13 | 日銀 | Comments(0)

金融緩和への甘えの構造

 ものごとには継続性が存在する。相場もしかり。ファンダメンタルズから機械的に株価や金利も為替水準を導き出せるものではない。その水準は絶対的なものではなく、相対的な見方によって決定される。だからこそ相場の居所を探るためには流れをみることが必要となり、そのためにチャートと呼ばれる相場の推移を確認できるグラフが重宝される。

 ドイツの長期金利は4月17日に0.049%まで低下し、5月7日に0.78%まで上昇した。この間にファンダメンタルズには大きな動きはない。せいぜい欧州の物価や景気が底打ちしたような兆しが出ていただけである。果たしてどちらの水準が正しいといえるのか。極端な例では、2013年4月5日の日本の長期金利は0.315%から0.620%に上昇した。これもどちらが正しいと言うことはできない。絶対的な水準ではなく、相場の流れとその流れを変化させる材料のインパクトなどにより相場は動くことになる。

 市場は力尽くで動かせるようで、実はそのようなことはない。為替介入をみてもイングランド銀行とジョージ・ソロスの攻防戦、さらに最近ではスイスの事例を見てもわかるように、介入することで相場変動を抑えようとしても無理がある。

 ただし、相場が下落したような時には他力本願となりやすいのも相場である。一度甘い汁を吸うとその状況が未来永劫続くことを望むことになる。現在の世界の市場を取り巻く過去に例を見ない超金融緩和状態もしかりである。サブプライム・ショックによる世界的な金融不安とギリシャを発端とした欧州の信用危機が続いて起きたことで、金融政策の流れは過度の緩和状態を生み出した。日米欧の中央銀行は政策金利がゼロ近くまで引き下げたあと、大量の国債等の買入に踏み出した。これは二度にわたる世界的な金融危機への対処が目的のはずであった。

 その大きな危機は去った。しかし、過去に例を見ない金融緩和の状態は続いている。せいぜい英国や米国が新規に国債を買うことを停止した程度である。世界経済はまだ万全な体制ではないものの、過度な金融緩和や、さらなる緩和が必要な状況には陥っていない。それにも関わらず予想よりも経済指標が悪化すると、それで追加緩和への期待が高まったりする。これはこれまでの流れを受け継いでしまっているため、市場そのものが金融緩和に対しての甘えを継続させているためと思われる。だからFRBの利上げを示唆されても、市場ではそのようなことができるわけはないとの思いも強い。

 この過度な金融緩和への甘えの構造がFRBの正常化によって変化する可能性がある。過度な金融緩和の副作用はいまのところ見えていない。しかし、超金融緩和を続けざるを得ない状況下で、米国株式市場の指数が過去最高値を更新しているのはなぜなのか。むろん過度な金融緩和がその要因でもあるが、この矛盾に対しておかしいとの指摘がないことが危険な徴候とも言えるのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2015-05-18 09:07 | 日銀 | Comments(0)

マネタリーベースの呪縛、日銀は動けない

 現在の日銀の金融政策の目標は何であるのか。ここをしっかり抑えておかないと日銀の次の一手を見誤る。現在の日銀の金融政策における市場調節の操作目標は、公定歩合でもないし、無担保コール翌日物の金利でもない。「マネタリーベース」なのである。

 日銀は2013年4月4日の金融政策決定会合で、量的な金融緩和を推進する観点から、金融市場調節の操作目標を、無担保コールレート(オーバーナイト物)からマネタリーベースに変更した。マネタリーベースとは現金通貨(日銀券、補助貨幣)と日銀当座預金を合計したものであり、現金通貨は基本的に操作できないため、日銀の当座預金残高を増加させることになる。

 そのための手段として国債を中心に金融資産を大量に買いあげているのである。日銀が大量の国債を民間金融機関から買い入れれば、売った代金が民間金融機関の日銀当座預金口座に積み上がる。それによりマネタリーベースの目標を達成させようとしている。このマネタリーベースは順調に目標値に向けて積み上がり、4月末残高は300兆円を超えている。

 ただし、それによって肝心要の物価は前年比2%どころかゼロ%近辺にいる。だから追加緩和を日銀は決定するではないかとの観測がある。それでは日銀はいったい何ができるのか。黒田総裁は手段はいろいろあるとし、市場でもいろいろな観測が出ているが、実は日銀はできるものはあまりない。それはマネタリーベースの呪縛があるためである。

 12日に参院財政金融委員会に出席した日銀の黒田総裁は、日銀の当座預金の超過準備に付く金利(付利)について「引き下げるとか撤廃するということは考えていない」と述べていた。これは当然のことである。付利があればこそ金融機関は日銀の当座預金口座に資金を置いておける。この資金を追い出すというか積みづらくさせるような政策は取りづらく、付利の撤廃や引き下げは「マネタリーベース」が目標となっている間は考えにくいのである。

 これ以上は買入を大きく増やすことが難しい国債に替わり、社債やETFなどを買い増せば良いとの見方もある。しかし、量を増やせなければ現在の日銀の貨幣数量説に基づいた政策では理屈が成り立たない。量ではなく質であったとしても、それは株価対策などのように映ることで説明がより困難になる。

 量を増やして国債をさらに2倍買いあげれば良いのかといえば、現在の買入額でもいずれ札割れが生じるリスクが出ている。いったん札割れが起きると国債の買い入れを減額せざるを得ない状況にもなりかねず、それを市場はテーパリングと認識する可能性がある。

 それでは政策目標の「マネタリーベース」を再び金利に戻して、ECBのようにマイナス金利も許容するといった政策にすれば良いのかといえばこれにも無理がある。それをするとマネタリーベースを増やしても物価は上げられなかった、ということを正式に認めてしまうことになり、現在の黒田日銀の金融政策そのものへの信任が失われかねない。

 このように日銀はマネタリーベースの呪縛により、物価目標が達成できずとも新たに動くことは難しい。あとは物価の前年比が目標値に向かって上がることを祈るしかない状況にあると言える。だからこそ「物価の基調は確実に回復」との発言を繰り返すしかないのである。

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by nihonkokusai | 2015-05-15 09:02 | 日銀 | Comments(0)

日欧米の長期金利の変動は一時的なのか

 ここにきて欧米市場を揺るがしている要因は欧米の長期金利の急反発であるが、特に顕著なのがドイツの長期金利といえる。ドイツの長期金利は昨年1月初めの1.9%台から右肩下がりとなり、今年の4月16日には0.1%を割り込み、17日に0.049%まで低下した。しかし、ここから急反発し7日に0.78%まで上昇した。

 米国の長期金利も1月30日に記録した1.64%から5月12日には一時2.37%まで上昇していたが、チャートをみるとそれほど振れが大きいわけでもない。今回、注意すべきは2014年当初からほぼ一方的に低下基調となっていたドイツの長期金利のトレンド変化と言える。

 果たしてこのドイツの長期金利の反転は一時的なものであるのか、それとも欧州の債券バブルの崩壊を意味するのか。今回のドイツの長期金利と同様の動きとしては、期間の違いはあれど、日本の1998年末の運用部ショックや2003年6月のVARショックと呼ばれたものと似ている。じりじりと長期金利が低下トレンドを形成したが、そのプチバブルが崩壊し、一時的な長期金利の急反発を招いた。しかし、その後の長期金利は落ち着いて再び低下しており、債券バブルそのものが崩壊したわけではない。

 これに対して1989年末にかけての日本の株式相場や地価の上昇と1990年以降のその急落はバブル崩壊といえるものとなり、その後、デフレというその遺症に苦しむことになる。

 2012年11月あたりからの円高トレンドの急激な調整も、バブル崩壊的な動きといえた。きっかけはアベノミクスではあったが、1989年末にかけての株高同様にポジションが大きく偏り、その反動が大きなものとなっていた。

 今回のドイツの長期金利の上昇が一時的なプチバブルの崩壊なのか、それともトレンドそのものに変化が生じるのか。いまのところはECBの量的緩和導入とそれによるドイツなどの国債買入による過剰なまでの金利低下の一時的な反動との見方ができよう。日本の債券市場同様に流動性の低下も相場の攪乱要因になったとみられるが、バブルの崩壊時はプチであろうが流動性リスクは一気に大きくなることも確かである。

 今回の世界的な金利上昇の震源地はドイツであったが、その余震を引き継ぎ次の震源となりそうなのは米国の長期金利となる。年内のFRBによる利上げはよほどのことがない限りは実行されよう。これからのFOMCでは毎回利上げが協議されるとしており、市場では7月以降のFOMCでの利上げが予想されている。イエレン議長もその心の準備をしておくように警告を発していた。テーパリングの可能性を指摘したバーナンキ・ショックで米長期金利は一時3%台をつけている。ここが米長期金利にとっての大きな目安となろう。

 超低金利時代の終焉は欧州の信用リスクが後退した2012年末あたりからかと予想していたが、日銀の異次元緩和とECBの量的緩和が、そこからさらに異常ともいえる超低金利を生み出した。その反動の兆しがここにきての日欧米の長期金利の変動に現れているとすれば、もしかするとプチバブルの崩壊では済まないのかもしれない。

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by nihonkokusai | 2015-05-14 09:11 | 債券市場 | Comments(0)

量的・質的金融緩和の検証の検証

 日銀は2015年5月1日に個人の名前ではなく企画局の名前で、『「量的・質的金融緩和」:2年間の効果の検証』というレポート(日銀レビュー)を発表した。

「量的・質的金融緩和」:2年間の効果の検証
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2015/rev15j08.htm/

 2013年4月に「量的・質的金融緩和」を導入してから2年が経過し、「量的・質的金融緩和」が金融・経済に与えた政策効果についての定量的な検証を試みたものだそうである。それによると「量的・質的金融緩和」の効果の波及メカニズムは、2%の「物価安定の目標」に対する強く明確なコミットメントとこれを裏打ちする大規模な金融緩和により予想物価上昇率を引き上げると同時に、巨額の国債買入れによってイールドカーブ全体に下押し圧力を加えることで、実質金利を押し下げることを起点とするとある。

 この計測の結果、「量的・質的金融緩和」は、実質金利を1%弱押し下げた、実際の経済・物価は、概ね「量的・質的金融緩和」が想定したメカニズムに沿った動きを示している、と評価できる、としている。ただし、最近では、原油価格の下落を主因に消費者物価上昇率は低下しており、これが人々の予想物価上昇率の形成との関係でどのような影響を与えるか、注視していく必要がある、としている。

 110兆円まで膨らんだ日銀の国債保有残高であるが、この累積の国債買入れ効果は、10年物実質金利換算で0.8%ポイントとの結果が得られたそうである。そもそも実質金利とは何か。実質金利=名目金利-予期インフレ率で表すことができるとされる(フィッシャー方程式)。予期インフレ率の算出そのものに疑問があり(岩田副総裁はBEIについて欠陥があると明言)、さらに経済活動を行う上で実質金利を意識している経済主体が果たしてあるのかという疑問もある。それにも関わらず、実質金利の低下による経済効果を算出することが可能なのだろうか。

 株価や為替の動きを載せているが、すでに株価の上昇も急激な円安も日銀の異次元緩和以前に始まっており、これを実質金利の低下によるものと結論づけることは無理があるまいか。景気や物価、雇用の個別の数字を出して効果があったと結論づけているが、ここにはユーロ圏の信用危機の後退による影響等も当然含まれていたはずである。

 このレポートでは肝心要の「マネタリーベース」という言葉が出てこない。黒田日銀の金融政策の目標値は「マネタリーベース」であるにも関わらず、これが増加すれば自然と物価が上がるというような説明はない。しかも最大の目標となっている2%の物価上昇については原油価格の下落の影響により達成できなかったとしている。マネタリーベースは予定通りに順調に増加していたのに、物価は予想通りには上がらずとも、当初の目的は達成できたとの結論はやはり無理があるのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2015-05-13 09:14 | 日銀 | Comments(0)

日銀は誰の分の国債を買い入れたのか

 5月11日付け日経新聞のエコノフォーカスでは「日銀、買える国債先細り」と題した記事が掲載された。このなかで、日銀の国債買入について日銀担当者による「この先は根雪を掘るような作業になる」との発言が紹介され、別の幹部からは「市場には国債が600兆円以上残っている(民間が)手放さないなら金利がマイナス1%になろうと買い続けるだけだ」との発言が紹介されていた。

 もしや後者は最近、企画局のレポートでも無視し始めた「マネタリーベース」を止めて、ECBのように金利に政策目標を戻して、マイナス金利政策に変更することも意識した発言であったのだろうか。それはさておき、それでは日銀の異次元緩和以降、日銀はいったい誰から国債を購入していたのか。誰に変わって国債を買い入れたのかについて、日銀の資金循環統計を元にして見てみたい。

 日銀の資金循環統計は四半期ごとに発表されている。それを元に国債(短期債を除く)の保有者別の残高を個人的に集計し直している。その自分のデータを元にして異次元緩和前の2013年4月と直近のデータである2014年12月末の数値を比較してみたい。このコラムでも四半期毎の保有者別の国債残高は紹介しているが、今回は保有者についてはいつものデータの元となるもの、つまりより細分化されているもので参照してみた。以下がその結果である(単位、億円)
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 結論から言えば、日銀の買入はその7割が国債残高全体の増加分で占められていたことになる(これは時価ベースのため値上がり分もある。参考長期金利2013年3月末0.565%、2014年末0.325%)。つまりは民間金融機関等が国債の増額分を買い増ししなかった分を日銀が買い入れていたことになる。日銀の買入増加分の残り3割については、主に中小企業金融機関等(主にゆうちょ銀行)と国内銀行(主に都銀)、そして公的年金の減少分で補充されている。

 これを見る限り、日銀の買い入れる国債に数字上は当面不自由しないようにも思われる。銀行などは担保としての必要額等もあり、かなり残高を落とした都銀などここからの国債保有額の減額は厳しくなっていくかもしれない。公的年金もすでにかなり国債残高を落としている。

 しかし、ゆうちょ銀行などの国債保有額はまだまだ巨額であり(2014年末で約110兆円)、生保や共済保険などは残高をむしろ積み上げている。外部環境が変われば大きく積み上げた海外投資家が保有額を減らすこともありうる。新規国債の発行額は減額されても、マイナスではなく国債の残高そのものは増加傾向が続いている。

 このようにあくまで数字上は、日銀が買い入れる国債は存在しているように見える。しかし、現実には流通している国債の量や市場参加者が限られることもあり、今後の国債買入がかなりタイトになることもあろう。そしてもちろん金利環境が大きく変わると状況が変化する可能性もありうる。

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by nihonkokusai | 2015-05-12 09:15 | 国債 | Comments(0)

日本の国債が暴れるリスク

 原油先物は5月6日に62ドル台を付けて日銀が想定した70ドル台に向けて順調に値を戻しつつあるように見える。原油価格はある意味、売られすぎており、その反動が起きているといえるが、今回の原油先物の反動は少し注意すべきものとなる。

 ここにきて各市場のトレンドに変化の兆しが見えてきている。特に顕著なのがドイツを初めとする国債利回りの低下が止まり、急激な反動が起きていたことである。17日に0.049%まで低下したドイツの長期金利は7日に0.78%まで上昇し、米国の長期金利も1月30日に記録した1.64%から5月7日には一時2.31%まで上昇していた。

 欧州のデフレ懸念、それに対処するためのECBの量的緩和を意識しての、ドイツなどの国債買い、ユーロ売り、さらに景気減速も背景とした原油先物の売りを同時に仕掛けていたヘッジファンドなどがあったとしてもおかしくはない。金利はゼロがひとつの壁となっていたが、そこを突破すれば理論上は無限大となる。ドイツでは9年債の利回りまでマイナスとなっていた。市場はみんなで渡れば恐くない世界であるが、気がついたら飛んでもないところまで来てしまい、一斉に安全なところに戻ろうとする。そんな巻き戻しが発生し、ドイツの金利が反転し、ユーロが買われ、株は下落し、原油価格は反発した。

 これが日本にどのような影響を与えるのか。ECBの量的緩和もあり、海外投資家はドイツなどに比べて相対的に高くみえた日本の債券も大量に購入してきた。しかし、ドイツの長期金利が日本の長期金利を上回るようなことになると、日本の国債が割高に見えることになる。日本の国債市場を支えていたのは日銀の国債買入に見えたが、それはあくまで支えているものであり、海外投資家が買いから売りに転じれば、当然ながら日本の国債も無傷ではいられない。

 そんなときにイエレンFRB議長が、米株式市場に関して、一般的に言うととても割高との認識を示し、長期金利は非常に低い、利上げを始めた場合に長期金利が急激に上がる可能性に注意を払う必要がある、と指摘した。経済データ次第ではあるが、FRBの年内利上げの可能性は高い。利上げとなれば、現在の米国の長期金利が低すぎるとの認識を中央銀行のトップが警告を発した。ドイツの長期金利の反騰のタイミングで、米長期金利の上昇要因が加わった。こうなると日本の長期金利もかなり低すぎるということにもなりかねない。原油価格の上昇も加われば、日本のCPIも底打ちしてくる可能性もある。2.0%に届くかはさておき、多少なり前年比のプラス幅が大きくなれば、日銀の出口が意識されることも予想される。

 日本の長期金利の低位安定は、日銀の大量の国債買入も確かにひとつの背景だが、それだけで相場が支えられるものではない。欧米の長期金利の低下も大きな要因であったはずであり、原油価格下落による日銀の物価目標達成の先送りも、日本の長期金利の低下を促していた。このあたりのシナリオの前提が崩れてくる可能性がある。物価目標はさておいて、日本の長期金利が暴れてくるリスクが出てきている。

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by nihonkokusai | 2015-05-11 09:17 | 債券市場 | Comments(0)

イエレン議長の市場に対する発言の意図

 5月6日の米国の株式や国債の下落は、ドイツの金利上昇が続いていたことも要因だが、イエレンFRB議長の発言も発言も影響していた。このイエレン議長の発言は、その状況を考えるといろいろと意図が見え隠れする。

 6日のイエレン議長の発言は、国際通貨基金(IMF)本部で行われたラガルド専務理事との対談においてのものである。金融界で最も影響力を持つ2人の女性の対談は今回が初めてではない。その影響力は当然、理解しているはずであり、この対談の内容は事前に綿密に練られていたとしてもおかしくはない。さらにFOMC後の会見や議会証言などのように肩肘張ったものでもない。しかも質問者がラガルトIMF専務理事となれば、曖昧な回答ではなく、より明解な答え方をしたとしてもおかしくはない状況を設定できる。

 このような状況下でイエレン議長は、米株式市場について、かなり高い水準だと述べ、潜在的に急落する危険性があるとの認識を示した。それとともに債券市場にも以下のような警告を発していた。

 「長期金利は非常に低い水準にあり、低いタームプレミアムを表しているようだ。それは変動する可能性があり、しかも急激に変動することがあり得る」(ブルームバーグ)

 「われわれは注意する必要がある。金融当局が利上げ開始の時期だと判断した際にタームプレミアムが上昇し、長期金利が急上昇する可能性にわれわれは注意している」(ブルームバーグ)

 「FRBが利上げを開始した後、長期金利が急上昇する可能性がある。このため、金融市場にショックを与えないよう、われわれはできるだけ明確に金融政策について市場とコミュニケーションを図っている」(ロイター)

 FRBは経済データ次第であるものの、年内に利上げをするであろうとの意思を明確にしている。しかし、米債の動向をみても利上げを織り込んでいるようには見えない。むしろECBの量的緩和を受けたドイツの長期金利の低下などを背景に、米国の長期金利も低位安定していたような状況にあった。さらに株式市場は指数が過去最高値を更新するなど、日本を含めた金融緩和の影響で過剰流動性相場が形成されつつあった。しかし、この流れが永遠に続くわけではない。突発的なバブル崩壊のような動きが起きる懸念を秘めている。現実にここにきてのドイツ国債の動きをみると、その流れに変化の兆しも見える。

 相場には天井三日、底百日といった格言がある。買いは100日掛かっても、その分の売りは3日で起きてしまうという意味である。FRBの利上げをきっかけにこのような大きな相場変動を起こしてしまうことは避けたいはずである。

 2013年6月19日のFOMC後の記者会見において、当時のバーナンキ議長は、失業率が低下基調を維持するなどの経済情勢が見通しどおりに改善すれば、今年後半に資産購入プログラム(LSAP)の規模縮小をスタートさせるのが適当と見ていると述べた。これをきっかけに米国の株式や債券が大きく下落し、これは「バーナンキ・ショック」と呼ばれた。この発言は失言ではなかったかとの見方もあったが、これも事前にガス抜きを意図していた、つまり用意周到に準備されていたとの見方も可能となる。現実にその年の12月のFOMCでテーパリングを決定している。

 イエレン議長もこのときのバーナンキ議長の発言を意識して、今回の発言をラガルト専務理事と示し合わせて行った可能性があるかもしれない。バーナンキ・ショックの半年後にテーパリングは現実化したことを考えると、9月のFOMCの可能性もあるものの、約半年後の10月か12月あたりの正常化、つまり利上げを意識した発言であったのかもしれない。

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by nihonkokusai | 2015-05-10 10:07 | 中央銀行 | Comments(1)

オーバーシュートの反動相場

 欧州の国債利回りがここにきて反転し始めた。ドイツの10年債利回りは、昨年1月初めの1.9%台から右肩下がりとなり、今年の4月16日には0.1%を割り込み、17日に0.049%まで低下した。これがいまのところ過去最低利回りとなっている。ドイツでは9年債利回りまで一時マイナスとなっていた。20日にベルギーが実施した5年債入札で利回りがマイナスとなったが、ユーロ圏ではフィンランド、ドイツ、オーストリア、オランダ、フランスに次いで6か国目となった(4月22日の牛熊コラム「欧州の金利低下の背景と今後」より)。

 今年の1月20日に日本の10年債利回りは0.195%をつけ、新発5年債の利回りがマイナスをつけたところで、日本の長期金利はボトムアウトした。欧州ではさらにオーバーシュートしていたが、10年債利回り、つまり長期金利がゼロに接近したところでボトムアウトした格好となった。

 日足チャートでみると原油先物と外為市場のユーロの動きが似通った動きをしており、こちらもボトムを形成している。原油先物は2月末、3月半ばでダブルボトムを形成して上昇してきており、WTIは60ドル台を回復した。日銀シナリオの70ドル台も視野に入りつつある。ユーロは対ドルでみると、3月半ばと4月半ばあたりでダブルボトムを形成して上昇基調となっている。

 この動きをみると、2012年11月のアベノミクスの登場の際の円売り・日本株買いのほどの大きなアンワインドではないとしても、ヘッジファンドなどを主体としたアンワインドの動きがかなり入っていたものと予想される。

 ビル・グロース氏は4月21日に10年物ドイツ国債は「空前絶後のショート」とコメントし、これが当たった格好になった。ただし、ドイツ国債を中心とした欧州のバブル相場は弾けるまでどこがピークとなるのかは予想しづらい。ドイツの国債買い、外為市場でのユーロ売り、原油先物売りなどを組み合わせた、かなりの順張りのポジションが積み上がっていたであろうことも確かであろう。一部のヘッジファンドは4月に大きな損失を発生させていたことも明らかになっていた。

 5月の大型連休中もドイツなどの欧州の国債は下落を続け、4月16日に0.1%を割っていたドイツの10年債利回りは7日に一時0.8%近くに上昇した。ドイツの長期金利は日本の長期金利を下回っていたが、あっさりと逆転した格好となっている(5月7日の日本の10年債利回りは0.4%台)。

 ドイツの10年債利回りのチャートからは、トレンドが大きく変わってきたことが伺える。2014年1月以降はほとんど調整らしい調整がなかっただけに、ここにきてやっと本格的な調整が入ったとみられる。チャート上からは2.0%あたりからゼロ近辺に低下していたことで、次の節目は1.0%近辺となろう。

 今回の調整はアベノミクス相場と同様のアンワインドの動きであるため、たとえばギリシャへの懸念が強まり、ギリシャ国債が大きく下落しても、今回はリスク回避のドイツ国債買いのような動きはなかった。むしろドイツもギリシャ、イタリアもみな国債は下落するような地合となっていた。買いでオーバーシュートが発生していた以上は、売りもある程度オーバーシュートせざるを得ない。

 このようなタイミングで、FRBのイエレン議長が、米株式市場に関して、一般的に言うととても割高との認識を示し、長期金利は非常に低い、利上げを始めた場合に長期金利が急激に上がる可能性に注意を払う必要がある、と指摘したのは、相場の攪乱要因となってしまった。6日に米10年債利回りは2.2%台まで上昇し、30年債利回りは3%台に一時乗せていた。

 欧米の国債下落により、7日の日本の10年債利回りは0.4%台に乗せ、債券先物は2月16日につけた今年の安値146円69銭を割り込んできている。居所が大きく変わったことで、いったん押し目買いも入っているが、レンジ相場の下限が崩れてくる可能性もあり、一段安となる懸念もある。日本の金利低下の背景に欧州の金利低下による海外勢の買いがかなり影響していたことも確かであり、ここからの動きには一層の注意が必要となる。

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by nihonkokusai | 2015-05-08 09:05 | 債券市場 | Comments(0)
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