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フィッチによる日本国債格下げについて

 格付け会社のフィッチ・レーティングスは4月27日に、日本の外貨建ておよび円建て長期発行体デフォルト格付をA+からAに格下げした。これはつまり日本国債の格付けを21段階あるうち上から5番目のAプラスから、Aに1段階引き下げたことになる。

 フィッチは今回の格下げ理由として、延期された消費税増税に代わる十分な構造的な財政措置が含まれていないことを挙げている。

 昨年12月に格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは日本の政府債務格付けをAa3からA1に1ノッチ格下げしており、それに続いてのものとなる。

 12月のムーディーズによる日本国債の格下げも、今回のフィッチによる格下げも日本の国債市場にはほとんど影響を与えていない。国内投資家でも運用における格下げの影響はまったく受けないわけではないものの、その影響は限定的とみられる。

 格付け会社による国債の格付けについては、市場での需給がタイトとなっているなかで、強固な信用力が維持されているとみられている間には、市場への影響は軽微となる。フィッチも日本の財政には弱みや脆弱性があるものの、政府の極めて高い資金調達の柔軟性は格付を支える要因となっている、と指摘している。

 政府による資金調達を楽にさせている最大の要因が、現在は日銀の国債買入となっている。これがむしろ今後の最大の不安要因でもある。日銀に果たして出口が残されているのか。日銀に代わる国債の買い手が存在しているのか。むろん、現在は国債の保有者が民間金融機関から日銀にシフトしているだけで、それが元に戻れば済むとの見方もできなくはないが、そう簡単には言い切れない。公的年金などの資産保有比率の変更、銀行ではBIS規制による影響、そもそも利回りが低すぎる等などから、日本国債を保有しづらい環境になっている確かではなかろうか。

 国債の格下げは市場の地合いがしっかりしているときにはあまり影響を与えなくても、いったん不安が生じると、格下げが火に油を注ぐことになる。これは2010年のギリシャの国債の動向をみれば明らかである。

 国債格付けはあくまで民間会社の勝手な判断ではある(勝手格付け)。しかし、それを完全に無視することはできない。日本国債の置かれた状況を確認する意味でも、その格付け変更の理由等は確認しておく必要があろう。

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by nihonkokusai | 2015-04-29 07:50 | 国債 | Comments(0)

日銀の追加緩和シナリオはあり得るのか

 自民党の山本幸三衆院議員は、30日に控える日銀の金融政策決定会合に関して、「何もしないという話はちょっとあり得ない」と述べたと伝えられ、これが30日の決定会合での追加緩和観測のひとつの要因となっている。

 山本幸三衆院議員は安倍晋三首相の経済政策ブレーンとされる。消費再増税の延期を提言し、安倍首相はそれを決断している。昨年10月8日のロイターとのインタビューでは、日銀が掲げる「2%の物価安定目標」の達成を確実にするために、追加緩和を行った方がよいと述べた。放置すれば目標達成時期は2016年度中に後ずれしかねないとも指摘していた。

 昨年10月31日に日銀が決定した量的・質的緩和政策は市場にとってサプライズとなったが、それを事前に山本議員は求める発言をしていたのである。さらにこの際には、ある大手証券が追加緩和を予想をしており、そこが今回も追加緩和がありうるとの見方となっていることから、4月30日の追加緩和観測が出ているようである。

 追加緩和の可能性はさておき、もしこのタイミングで追加緩和を決定するとなれば、何がその背景にあるのか。前回10月の追加緩和のタイミングはFRBのテーパリング終了を意識していた可能性があったが、山本議員は、追加緩和したからといってすぐに急速に円安が進むことは今回の場合は心配ない、と指摘している。

 山本議員は現在、首相とともに訪米している。ワシントンで行われる日米国会議員会議に参加するほか、安倍首相が29日に上下両院合同会議で行う演説も傍聴。これとは別にイエレンFRB議長とも面会する予定だそうである(ブルームバーグ)。

 米国の動向を意識して今回の緩和効果については、円安を強調しなかったとみられるが、山本議員とイエレン議長の会見はたしかに気になるところではある。

 追加緩和の理由はさておき、確かに昨年10月のサプライズを予見した人たちによる今回の追加緩和観測コメントは無視はできないものの、山本議員の発言は日銀の動向を察知してのものかどうかはむろんわからない。異次元緩和第二弾は密かに1か月前あたりから黒田総裁を中心に少人数で準備を進めていたとの観測もあり、その動きを知っていた可能性もゼロではないが、最近の日銀の守秘義務は徹底しているようにも思われる。

 昨年10月31日の決定会合の追加緩和の決定にあたり、政府関係者が異例の中断を申し入れていたことを考えると、この際に政府側には追加緩和の可能性は打診していなかった可能性がある。このときは政府の意向はさておき、消費増税の決断を促す意味での追加緩和との見方もできよう。たまたまリフレ派の一部の追加緩和期待と黒田総裁の思惑の方向性が一致していたという見方もできるのではなかろうか。個人的には4月30日の決定会合での追加緩和の可能性は極めて薄いとみているが、それでも市場の注目度が高くなるとみられ、注意しておく必要はありそうである。

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by nihonkokusai | 2015-04-28 09:41 | 日銀 | Comments(0)

来週のFOMCと日銀決定会合の予想

 4月28日、29日にFOMCが開かれる。その翌日、30日には日銀の金融政策決定会合も開かれる。それぞれ今回は現状維持と予想する。

 前回3月のFOMCでは金融政策は現状維持となり、声明文では忍耐強くなれる(can be patient)との文言は削除された。その上で、4月28~29日のFOMCでの利上げの可能性は低いとしていた。

 このときの議事要旨によると、何人か(2~3人か)の会合参加者は、経済データや見通しからみて、6月の会合で正常化を開始することが妥当であろうと指摘した。他の参加者は原油価格の下落による影響やドル高による物価低迷が長引く状況を考慮すれば、今年の後半になるまで金利の引き上げは待つべきとの意見のようである。さらに2人の委員は利上げが適切となる経済情勢は2016年まで訪れない公算が大きいとの認識であった。

 4月20日にニューヨーク連銀のダドリー総裁は講演で「経済データが年内の利上げ決定を支持すると期待している」と述べていた。比較的利上げには慎重派のダドリー総裁だが、現在のイエレン総裁などの主流派は今年後半の利上げを意識しているとみられ、ダドリー総裁もそちらに入っているようである。

 ここにきての米国の経済指標は4月3日に発表された3月の雇用統計を含めて予想を下回るものが多い。この点からは経済データが年内の利上げ決定を可能にできるのかを見極めるものとなり、今回のFOMCでは金融政策は現状維持となり、利上げ時期の見方については大きな変更はないものの、やや慎重になることも予想される。

 10月30日には日銀の金融政策決定会合が開かれる。4月23日に参院の財政金融委員会に出席した日銀の黒田総裁と岩田副総裁の発言内容からみると、これまでのスタンスには大きな変化がないように思われる。もちろん昨年10月と同様のサプライズ緩和もないとは言えないが、あのタイミングではまさに「今でしょう」という理由が、いくつか存在していたのに対し、現時点ではそのような要因は見当たらない。

 昨年のタイミングは、原油下落で物価の前年比が縮小していたことや、FRBのテーパリング終了にぶつけられることによる円安誘導、政府による消費増税の決断などが考慮されたのではないかと推測される。しかし、今回はFOMCに動きはなく、物価目標はさておき、このタイミングで日銀が動くことは考えづらい。

 注目はむしろ展望レポートになるのではなかろうか。1月の中間レビューでは2015年度の物価見通しが前年比プラス1.0%と昨年10月のプラス1.7%との見通しから大きく下方修正されていた。それが30日に発表の展望レポートでは、さらに下方修正されて、ゼロ%台の後半になるとの見通しである。ただし、2016年度については10月の予測がプラス2.1%となっており、今回も2.0%台を維持させることで、2016年の序盤までに物価目標は達成できるという数字を出してくることが予想される。このため、足元の物価がゼロ%近辺でも、そのための追加緩和は行わず、現状維持とする可能性が高い。

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by nihonkokusai | 2015-04-27 09:38 | 日銀 | Comments(0)

欧州の金利低下の背景と今後

 ドイツの10年債利回りは、昨年1月初めの1.9%台から右肩下がりとなり、今年の4月16日には0.1%を割り込んできた。この日は9年債利回りが初のマイナスとなった。4月17日にドイツの10年債利回りは0.049%まで低下し、これがいまのところ過去最低利回りとなっている。

 また、20日にベルギーが実施した5年債入札で利回りがマイナスとなったが、ユーロ圏ではフィンランド、ドイツ、オーストリア、オランダ、フランスに次いで6か国目となったようである。

 このようなユーロ圏の国債の異常とも言える利回り低下背景には、ECBによる量的緩和による国債買入がある。それとともにギリシャの債務問題によるリスク回避の動きも影響していた。

 ギリシャの債務問題は予断を許さないものの、少なくともユーロ離脱という事態は避けようと動いているように思われ、ぎりぎりの交渉が続けられている。22日のECBの政策委員会による電話会議では、ギリシャの銀行向け緊急流動性支援の上限を約15億ユーロ引き上げ755億ユーロとすることを決めたようである。24日にはラトビアでユーロ圏の財務相会合が開かれ、ギリシャの資金が底を突く前に救済融資を受けるための経済改革をギリシャが約束するよう説得を図るとされている。

 ギリシャの動向も気になるものの、ユーロ圏の中核国の長期金利の低下はそろそろボトムアウトしてくるのではないかと思われる。ドイツの10年債利回りは17日に0.05%割れとなったあと戻しており、22日には0.16%となっている。短期的な調整の可能性はあるが、ここにきて米国の10年債利回りもレンジの上限2.0%に接近し、英国の10年債利回りも1.7%台に上昇している。

 イングランド銀行が22日に公表した4月8、9日開催分の金融政策委員会(MPC)議事要旨によると、インフレが予想以上のペースで加速するリスクが意識されていたようで、イングランド銀行の利上げが再び意識され始めた。ただし、この日の会合では9人の委員全員一致で金融政策の現状維持を決めていた。

 日本では22日に2年債利回りが3か月ぶりにマイナスとなったが、この背景にあるのが、日銀による国債買入と欧州での金利低下である。需給がタイトとなるなか、海外勢などによる需要でマイナスをつけたとみられるが、欧州の利回り低下が止まるとこの構図にも変化が生じる可能性がある。日米欧の長期金利の地合に変化が出てくるのかも注意したい。

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by nihonkokusai | 2015-04-24 09:17 | 債券市場 | Comments(0)

日銀審議委員にトヨタの布野氏起用は安全策か

 政府は21日に6月30日に任期満了となる日銀の森本宜久審議委員の後任に、トヨタ自動車の布野幸利相談役を充てる国会同意人事案を衆参両院の議院運営委員会理事会に提出した。

 昨年10月31日の量的・質的緩和の拡大(異次元緩和第二弾)の決定にあたっては、政策委員の票が割れ、かろうじて5対4で追加緩和を決定した。今回任期を迎える森本氏はこのとき反対に回っていた。反対した4人は産業界出身者で、執行部(総裁と2人の副総裁)以外で賛成に回ったのは2人の学者出身者であった。

 このため、内閣官房参与の浜田宏一氏は、今年3月と6月に相次いで任期を迎える2人の日本銀行審議委員の後任人事について、産業界や金融界などから選ぶべきではないとの見方を示していた。つまりこれは現在の日銀の政策を理解するリフレ派の学者から選出すべきということになる。現実にリフレ派の原田氏を前回、政府は起用した。ところが、今回は浜田氏の主張通りにはならず、森本氏(東京電力出身)と同じ産業界から、しかも日本を代表する輸出産業のトヨタから布野氏が選出された。

 リフレ派を代表するような学者であった原田泰審議委員の選出にあたっては、日銀が財務省と擦り合わせしながら官邸に人選をあげていく過去のプロセスを経ずに、一貫して官邸主導だったとされる。今回も同様に過去の慣例にとらわれず、浜田参与などの意見をもとにリフレ派を代表する学者を選出してくる可能性もあるかとみていたが、官邸の決定は極めてオーソドックスなものとなった。

 むろん、昨年10月の異次元緩和第二弾での票割れは意識したとみられ、黒田総裁など執行部の意見寄りの人選であったと想像される。しかし、リフレ派学者による日銀政策委員のシェア拡大といった事態にはならなかった。

 官邸としても、ここにきて日銀とはやや距離を置き始めている。異次元緩和第二弾にも絡んでいたとみられる消費増税を巡っての意見の相違、さらには財政健全化を巡っての経済財政諮問会議での黒田総裁のオフレコ発言等もあった。円安そのものについても、政府と日銀はやや意見を異にし、円安の効果を含めて物価目標達成を目指す日銀に対して、円安による中小企業などへの悪影響も政府は意識しているようである。物価目標そのものの見方についても浜田参与は「インフレ目標はそんなに重要ではない」とまで言い切っている。

 安倍首相がアベノミクスの中核となっていたリフレ的な発想を放棄したとは思えないものの、今回の人事案を見る限り、政府が日銀とやや距離を置いた上に、過度なリフレ的な政策についても、やや懐疑的な見方をし始めている可能性がある。物価そのものが日銀の掲げる目標に届かないばかりか、前年比マイナスとなる可能性も出てきている現状を見る限り、政府がある程度の安全策をとったとしてもおかしくはない。

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by nihonkokusai | 2015-04-23 09:01 | 日銀 | Comments(0)

日本国債を都銀は売り越し、海外は買い越し継続

 日本証券業協会は4月20日に3月の公社債投資家別売買高を公表した。これは日本証券業協会の協会員、つまり証券会社から、当月中に取り扱った公社債の一般売買分(現先を除き、国債の発行日前取引を含む)の状況についての報告を基に集計したものである。発表される公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっている。このため、短期債を除く債券のデータについては、全体から短期債を引いたものを使う。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

 2月に669億円の売り越しとなっていた都銀は今回も7397億円の売り越しとなっていた。これで9か月連続での売り越しとなる。2月とは反対に長期国債を4910億円買い戻し、中期国債を1兆1738億円売り越していた。

 売り越しでは他に地銀が2243億円の売り越しとなっていた。中期国債を3627億円売り越していたが、期末ということでのポジション調整も入ったものと思われる。信託銀行は1027億円の売り越し。長期国債を4634億円、超長期国債を995億円売り越して、中期国債を3288億円買い越していた。デュレーションを結果として短期化していた。

 買い越しとしては、今回も外国人が1兆7069億円の買い越しとなっていた。こちらは9か月連続での買い越しとなる。長期国債を9742億円、中期国債を6891億円買い越していた。ECBの量的緩和により、相対的に日本国債の利回りがドイツなどに対して高くなり、購入しやすい地合が継続しているものとみられる。

 投資信託は5595億円の買い越し。中期債主体の買い越し。生損保は4968億円の買い越し。超長期債主体の買い越し。農林系金融機関は3723億円の買い越し。こちらも引き続き超長期債主体の買い越しとなっていた。

 3月の債券相場を振り返ってみると、1月20日以降の下落相場が2月中旬あたりでいったん底打ちし、その後は債券先物で147円近辺から148円近辺の間での方向感に乏しいレンジ相場が継続している。ECBの量的緩和によりドイツなどユーロ圏の中核国を中心に長期金利が低下し、日本国債の割安感も意識された。さらにギリシャに対する懸念も再び強まり、これも安全資産としての日本国債への買い要因となったとみられる。

 しかし、10年債の0.3%割れでは高値警戒も意識され、2年債の利回りでのマイナスも意識されたことで、先物の148円近辺が戻りの目処となっている。3月は決算期末ということもあり、国内投資家は主に入れ替えなどポジション調整のような動きが主体になっていたものと思われる。

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by nihonkokusai | 2015-04-22 09:44 | 債券市場 | Comments(0)

物価目標達成時期は最長で2016年6月なのか

 4月19日に日銀の黒田総裁は、米国のミネソタ州ウェイサタで「インフレ予想に対する我々の理解はどこまで進んだか?」と題する講演を行った。その講演の邦訳が日銀のサイトにアップされている。講演後には質疑応答もあったようで、ロイターは以下のように伝えている。

 「(黒田総裁は)金融市場における疑念と日銀における自信との間にはギャップがあると指摘。「向こう数年における金利の市場見通しは非常に低い。一方で、さきほど述べたように、われわれは2%の物価目標を2015年度、もしくは16年度序盤に(in fiscal 2015 or early fiscal 2016)達成できると見込んでいる」としたうえで、「これは金利が徐々に上昇することを意味し、そうなれば日本の市場は驚くだろう」と述べた」(4月20日のロイターの記事より引用)

 黒田総裁は、4月15日の信託大会での挨拶において、「消費者物価の前年比は、原油価格下落の影響が剥落するに伴って伸び率を高め、2015年度を中心とする期間に2%に達する可能性が高いとみています」と述べていた。その2015年度を中心とする期間とは、「2015年度、もしくは16年度序盤(in fiscal 2015 or early fiscal 2016)」ということであれば、つまり2016年の第一四半期あたりを示すとみられ、目標達成時期は最長で2016年6月あたりということになろうか。

 その時期までに2%の物価目標が達成できるとの根拠は何であろう。黒田総裁は講演において、最近の労働市場での動きをひとつの指標として示している。

 「1990年代から、すなわち、約20年間にわたって、交渉の結果としての基本給の引き上げ(ベースアップ)はゼロが続いていました。しかし、2014年の春闘では、多くの企業で約20年振りにベースアップが実現し、今年はさらに多くの企業でベースアップの実現が見込まれています」(ミネソタでの講演の邦訳より引用)

 ベースアップが可能となった環境と異次元緩和との関係についてはさておき、果たしてベースアップで物価は上がるものなのか。昨年の春闘でのベースアップ効果は、消費増税や円安の影響で名目上の物価上昇率は前年度を大きく上回り、実質所得が低下、個人消費の足を引っ張ったとの指摘もある。ただし、この4月からは消費増税の影響分はなくなる。さらには原油安の影響もあり、実際の物価は前年比ゼロ%近辺と日銀の物価目標を大きく下回っている。

 日銀総裁は今回の講演で、「先行き4四半期のインフレ予想の変化のうち、およそ40%は、過去の実際のインフレ率の動きで説明できる」とのボストン連銀のジェフリー・ファーラーによる最近の研究結果を紹介している。もしそれが仮に正しいとして、現在の足元物価がゼロ近辺となれば、日銀が異次元緩和で上げるはずの物価予想もかなり低い位置にあるということにはならないだろうか。それを押し上げるには、原油価格が日銀の思惑通りに上昇基調となり、ベースアップ分が即座に物価に反映されるということが前提となるのか。

 原油価格の先行きについては予想しづらいが、すでにボトムをつけて、ある程度の上昇もありうると思うが、それでも居所としては、WTIで50ドル近辺が居心地が良いのではなかろうか。

 ベースアップにより実質賃金もプラスとなり消費拡大により、短期的に物価上昇に繋がるのかについては懐疑的な見方もある。そもそもの巨額の政府債務が懸念材料となり、家計も攻めの構図というより守りの構図となっているように思われる。このため、ベースアップで消費が大きく拡大し、現在前年比ゼロ%の物価を2%に上昇することは、かなり難しいことのように思われる。だからこそ、現実に2016年6月あたりまでに日銀の物価目標が達成され、それにより金利が徐々に上昇すれば、たしかに日本の市場は驚くことは間違いない。

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by nihonkokusai | 2015-04-21 09:11 | 日銀 | Comments(0)

FRBの正常化は年末前か

 イエレン議長は、就任後初めて開催された2014年3月18日のFOMC後の会見において、FRBはテーパリングを秋あたりに終了後、利上げまでは相当の期間(considerable period、声明文はconsiderable time)があるとしていたが、その期間とはどの程度なのかとの記者からの質問に対し、その相当の期間とは「Around Six Months」との考えを示した。

 そのテーパリング終了を決定したのは2014年10月28日、29日に開催されたFOMCにおいてである。ただし、声明文になかで、事実上のゼロ金利政策に関しての「相当な期間」維持する方針について、変更は加えられていなかった。

 12月17日のFOMC後に公表された声明文では、「金融政策の運営姿勢の正常化開始において辛抱強くいられる(can be patient)と判断する」との表現が加わった。さらにこのガイダンスはゼロ金利政策を「相当な期間(considerable time)維持することが適切になるだろうとした前回の声明と合致する」とし、市場が注目していた「相当な期間」との表現を残す格好となった。

 その「相当な期間」が外されたのは2015年1月27日、28日のFOMCとなった。声明文では、 正常化まで「can be patient」との表現が維持されたものの、前回のFOMC声明文で、「considerable time」の部分は削除された。さらに「can be patient」との表現が残されたことに関して、前回のFOMC後の会見でイエレン議長は、我慢できるということは、FRBが今後2回の政策会合で利上げしない可能性が高いことを意味すると述べていた。

 2015年3月18日のFOMCの声明文では、忍耐強くなれる(can be patient)との文言は削除された。その上で、次回の4月28~29日のFOMCでの利上げの可能性は低いとし、最短で6月のFOMCでの利上げの可能性があることを示唆した。

 果たして就任直後にイエレン議長の言った「Around Six Months」はどこからカウントすべきなのか。今後のFOMCの日程は4月28~29日、6月16~17日(議長会見有)、7月28~29日、9月16~17日(会見有)、10月27~28日、12月15~16日(会見有)となっている。

 テーパリング終了時であればその半年後の次回4月28、29日のFOMCとなるが、その可能性はなさそうである。「相当な期間」が外されたのは2015年1月となれば、それから半年後の7月のFOMCとなる。しかし、どうやら6月や7月のFOMCでの正常化も難しくなってきたようである。

 3月17~18日開催のFOMC議事要旨によると、何人か(2~3人か)の会合参加者は、経済データや見通しからみて、6月の会合で正常化(つまり利上げ)を開始することが妥当であろうと指摘していた。しかしながら、他の参加者は、原油価格の下落による影響やドル高による物価低迷が長引く状況を考慮すれば、今年の後半になるまで金利の引き上げは待つべき、との意見のようである。さらに2人の委員は利上げが適切となる経済情勢は2016年まで訪れない公算が大きいとの認識のようであった。

 このようにFOMCの参加メンバーのなかでも正常化時期については見方が分かれている。最近でもフィッシャーFRB副議長は年末前に利上げできる状況にある可能性と発言した。イエレン議長を含め、主流派の見方は「later in the year」との慎重姿勢に変化しているようである。足元経済指標が、好調を保っていた雇用も一時的かもしれないがブレーキがかかり、他の指標は総じて景気の減速を示すものとなっているためである。また、ギリシャの動向もリスク要因として意識されている可能性がある。

 指標が軟調でも6月利上げなお可能と、クリーブランド連銀のメスター総裁は発言し、リッチモンド連銀のラッカー総裁やサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁も同様の見方のようであるで、いまのところ早期利上げ派は少数派となっている。

 これに対して6月利上げ望まずと、アトランタ連銀のロックハート総裁は述べており、こちらも主流派に属しているようである。

 また、利上げ開始の条件は満たされていないとボストン連銀のローゼングレン総裁は述べており、投票権は有してないものの年内利上げについては慎重派のようである。

 これらの意見が、ある程度集約されるのはいつになるのか。6月のFOMCで正常化を決定することはかなり困難となりつつあり、フィッシャーFRB副議長の言うところの年末前との見方が主流になっているように思われる。そうであれば9月というより、10月もしくは議長会見のある12月ということになる。FRBの正常化は予想以上に慎重に時間を掛けるようにも思える。

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日銀は出口を意識した政策に転換すべき

 日銀の黒田総裁は、4月15日の信託大会における挨拶において、「消費者物価の前年比は、原油価格下落の影響が剥落するに伴って伸び率を高め、2015年度を中心とする期間に2%に達する可能性が高いとみています」と述べていた。  

 2013年4月4日に日銀が量的・質的緩和、いわゆる異次元緩和を決定した日の総裁会見では、黒田総裁は次のように述べていた。
「2%の物価安定の目標について、2年程度を念頭に置いて実現する。そのために必要な置は、ここに全て入っていると確信していますし、実際に、2年程度で物価安定目標を達成できるものと思っています。」

 そして、2014年10月31日に量的・質的緩和の拡大を決定した際の会見で黒田総裁は次のように述べていた。
「昨年4月に「量的・質的金融緩和」を導入した直後の展望レポートでは、2014年度、2015年度の見通し期間の後半にかけて2%程度に達する可能性が高いとしていました。その後、本年4月の展望レポートでは、見通し期間が2016年度まで延長されましたので、2014年度から2016年度までの見通し期間の中盤頃に 2%程度に達する可能性が高いとしていました。今回の展望レポートも全く同様に、見通し期間の中盤頃、すなわち2015年度を中心とする期間に 2%程度に達する可能性が高いとみており、そういった見通しに変化はありません」

 上記の発言と先日の信託大会における総裁の発言は「2015年度を中心とする期間に 2%程度に達する可能性が高いとみている」ということで一致している。これで何か問題があるのかと問われれば、当然ある。発言のタイミングが異なるためである。

 昨年10月における2015年度を中心とする期間には2014年度も含まれるような意味合いがあるが、この発言がすでに2015年度に入ってからでは、そこからさらに1、2年との意味合いに変わってくる。同じ発言ではあるが、そのタイミングの違いにより、目標達成の時期の範囲が拡大されることになるのではなかろうか。

 ここで言葉尻を捉えて黒田総裁を責めるつもりはない。しかし、このまま目標が達成できないとなれば、現在の異次元と呼ばれる異常な金融政策を半永久的に続けざるをえなくなる。それが問題ではなかろうか。そもそも異次元緩和により物価上昇期待が拡がっていたわけではないことは、目標とする物価そのものが上がっていない以上、明らかになっている。

 アベノミクスの提唱者の一人である浜田宏一内閣官房参与は「インフレ目標はそんなに重要ではない」とまで言い切っている。そうであれば、ここからさらに無理をする必要性もない。このまま物価目標が達成できないとして、さらに追加緩和を繰り返すようなことになれば、財政ファイナンスとの認識を強めさせ、取り返しの付かない状況に日銀自ら追い込まれる懸念すらある。

 物価上昇を経由せずに、株高や円安、雇用の回復、景気の回復を、異次元緩和の効果や結果とするのはあまりに都合が良すぎるものの、それでも結果オーライとして、日銀はある程度の目標は達成できたとして、出口を意識した政策に転換すべきと提言したい。

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by nihonkokusai | 2015-04-18 10:29 | 日銀 | Comments(0)

米国債保有、日本がトップに返り咲く

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES、http://www.ustreas.gov/tic/mfh.txt)を確認してみたところ、2月時点でトップが入れ替わった。1月までのトップであった中国に替わり2008年8月以来、6年半ぶりに日本がトップに返り咲いた。

2015年2月の上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)
1.日本(Japan) 1224.4
2.中国(China, Mainland) 1223.7
3.カリブ海の金融センター(Carib Bnkng Ctrs) 350.6
4.ベルギー(Belgium) 345.3
5.石油輸出国(Oil Exporters) 296.8
6.ブラジル(Brazil) 259.9
7.スイス(Switzerland) 201.7
8.英国(United Kingdom) 192.3
9.ルクセンブルグ(Luxembourg) 179.2
10.香港(Hong Kong) 175.4

 国別の米国債保有残高は日本と中国だけで4割を占めており、その差もわずかなものとなっていた。中国の米国債保有額が頭打ちとなりつつあるなか、日本では日銀の大規模な国債買入により閉め出された資金の一部が米国債などに向かっていることに加え、GPIFなどが株式や外債などの運用比率を高めていることが要因とみられる。GPIFだけでなく、ゆうちょ銀行とかんぽ生命も、日本国債の保有高を減少させて米国債主体の外国債券の保有額を増加させている。

 GPIFの運用方針の変更とそれによる共済年金なども同様に、国債から米国債などへの資金シフトは今後さらに進むとみられ、かんぽ生命ばかりでなく、他の生保なども利回りの低い国内債から米国債などへの資金シフトが継続することも予想される。

 FRBは年内にも利上げを実施すると予想され、その後時間を掛けながらもいずれ保有する米国債やMBSの残高を減少させていくことが予想される。その大きな受け皿のひとつに日本の投資家がなることも予想される。ただし、これもあくまで日本の株式市場が右肩上がりの状態が続けばということが前提となりそうである。

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by nihonkokusai | 2015-04-17 09:27 | 国債 | Comments(0)
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