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スイス中銀が匙を投げた日

 1月15日の日本時間の夜6時半あたりで為替相場が急変した。スイスフランが急騰したのである。スイスの中央銀行であるスイス国立銀行が、スイスフランの上昇を食い止めるために設定した、対ユーロの為替レートの上限を撤廃すると発表したことが要因であった。

 スイス中銀は信用不安が拡大していた2011年9月に、通貨スイスフランの上昇を防ぐため、ユーロに対する為替レートの上限を1ユーロ=1.20スイスフランに設定した。この水準を維持するため、つまりはスイスフラン高を防ぐため、外国為替市場での無制限介入、スイスフラン売りユーロ買いを実施してきた。この無制限介入を終了すると発表したのである。

 その上限の撤廃と無制限介入の終了の理由としてスイス中銀は、昨年からユーロとスイスフランが米ドルに対し大幅に下落し、国内産業への脅威も後退したため、上限を設定する大義は薄れたためとしていたが、本当の理由は異なると思われる。

 わずかな時間でスイスフランがユーロに対して40%も急騰したことをみても、市場参加者はまったくこの上限撤廃と無制限介入の終了は意識していなかったことが伺える。まさにサプライズと言えたが、ここにいったいどのような理由があったのか。

 スイス中銀は対ユーロの為替レートの上限を撤廃の代わりとして、超過準備に適用する金利をマイナス0.25%からマイナス0.75%とし、政策金利のLIBOR誘導目標レンジもマイナス1.25%~マイナス0.25%に引き下げた。つまり利下げを実施した。マイナス金利ではあるが、ある意味伝統的な金融政策手段に戻した格好となった。しかし、これはほとんど歯止めにはならなかったことからも、スイス中銀はいったい何を考えているのかということにもなりかねない。

 これにはスイス中銀としてはやむを得ない事情があったと推察せざるを得ない。そのひとつの要因として推測されるのが、1月22日のECB理事会である。この会合で量的緩和策を導入する可能性が高まっている。ドイツなどの反対は根強いが、ユーロ圏のディスインフレ傾向は強まっており、ドラギ総裁としては通貨安などでの物価上昇を意識した量的緩和を実現させようとしている。そのあたりの動きの情報をスイス中銀がキャッチしたことで、1ユーロ=1.20スイスフランに押さえ込むことは物理的にかなり厳しくなると判断したのではなかろうか。また、ギリシャの総選挙が迫り、安全資産としてのスイスフランへの買い圧力がさらに強まることも意識した可能性もある。

 さらに、この無制限介入という物量作戦にもかなり無理が生じてきた可能性がある。スイス中銀のバランスシートは膨れあがり、スイスの外貨準備はGDPの7割を超える規模に膨らんでいる。これ以上無理を重ねることに対して、大量に保有するユーロ資産のリスクが大きくなるなど、国内でこれ以上の介入に対して反対の声が上がっていたであろうことも想像させる。

 スイス中銀は、患者の治療方法が見つからず、医者(漢方医)がこれ以上の治療はないと見切りをつけ、その匙を投げ出してしまった、つまり匙を投げたということになるまいか。

 為替レートの上限設定にはかなり無理があったであろうことも確かであるが、むしろここまで良く続けてきたものともいえる。それほど規模が大きくないスイスフランであればこそできたかもしれないが、それでもかなりの無理をしてきたことも確かである。

 同様のことが日本の中央銀行である日本銀行の金融政策にも言える。すでに発行額相当の国債を買い入れているような状況下、ここからの国債買入はかなり無理がある。来年度の国債発行において中短期債は減額される。公的年金などが国債売却を進めるにしても限度はあるし、これは銀行にとっても同様である。ましてや追加緩和によるこれ以上の国債買入増額は技術的には無理がある。現在のペースの買入でもいずれ行き詰まってしまうことも予想されている。しかもこれだけの国債買入を実行しているにも関わらず、スイスと同様に結果が出ていない。日銀の物価目標2%は風前の灯火どころか、4月にむけて前年比マイナスとなる可能性すら出てきている。

 今回のスイス中銀の動きは、金融政策や為替政策には限度があることをあらためて見せつけた。すでにFRBはうまくタイミングを見計らってこのゲームから降りており、イングランド銀行も同様である。そのなかで無理を続けている日銀と、その日銀同様に無理をしようとしているのがECBとなる。これからはこの歪みが金融市場にとっての大きな課題となりかねず、その徴候を今回のスイスフランの急騰が示していたようにも思える。

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by nihonkokusai | 2015-01-17 08:25 | 中央銀行 | Comments(0)

日米欧の金利が過去最低を更新した謎

 日米欧の国債利回りが歴史上、最低利回りを更新し続けている。日本の10年債利回りは1月16日には0.225%をつけて、さらに記録を塗り替えている。すでに残存6年程度の国債利回りがゼロ%水準にある。

 14日の米国債券市場では30年債利回りが2.395%に低下し過去最低を更新した。米10年債利回りも1.8%を割り込んだ。ちなみに米10年債の過去最低利回りは2012年7月につけた1.38%である。

 14日には英国の30年債利回りも2.233%に低下して過去最低を更新した。10年債利回りも1.54%に低下したが、2012年には1.5%割れを記録しているのでここまでは低下していない。

 ユーロ圏の国債も買い進まれており、ドイツの10年債利回りは0.424%とこちらは過去最低水準を更新し、フランス、オランダ、ベルギー、オーストリア、フィンランドの10年債利回りも過去最低を記録した。

 この日米欧の国債利回りの低下の原因は何なのか。たとえば、ここにきての原油価格の下落も一因であることは確かである。それでなくても日米欧の物価は上がりづらい環境にあるなか、原油価格の下落でさらにディスインフレの傾向を強めさせている面もある。

 日本や欧州の中央銀行の金融政策が影響しているとの見方もできる。FRBがテーパリングを終了させたが、その代わりに日銀は大胆な金融緩和を実施し、ECBは政策金利の下限をマイナスにし、今後は国債買入による量的緩和も視野に入れている。

 たしかにECBの政策金利の一部がマイナスとなったことで、欧州の中短期債がマイナスとなり、日本でも日銀の大規模な国債買入が続き、それにより短期債がマイナスとなり、徐々に長めの金利も押しつぶされてきての現在の水準となったとも言える。

 しかし、いくらCPIが低いといっても日本を含めて前年比ではプラスのところが多い。日本では日銀の物価目標達成は困難との見方は出ているが、それでもまだ前年比ではプラスにいる。

 長期金利は物価や経済のひとつの物差しでもある。長期金利は経済成長率予想と将来のインフレ率、さらにリスクプレミアムによって構成されているとの見方が一般的な図式である。しかし、足下の景気や物価の動向を見る限り、かなり乖離している。つまり将来の景気の低迷や物価のかなりの下落を予想していない限り説明が難しい。

 ここであらためて英国と米国、そしてドイツの10年債利回りの推移を確認してみた。それぞれ2013年4月あたりまで大きく低下傾向にあったが、これは米国のサブプライムローン問題からリーマン・ショックという大きな金融経済危機後に、今度は欧州での信用危機が発生し、その欧州の信用不安がピークアウトするまで、リスク回避により米独英の国債が買われたためである。その信用不安が後退し、それぞれの長期金利は2013年末にむけて上昇していた。このあたりまでは納得できる動きと言えた。

 ところが2014年に入るとすぐに英米独の10年債利回りはそろって綺麗なダウントレンドを描いている。つまり低下し続けている。原油先物が下落し始めたのは、2014年の7月以降であり、2014年当初からの原油価格の動向が英米独の長期金利のダウントレンドに直接的な影響を与えたことは考えづらい。

 さらに面白いことに2014年に入るとFRBはテーパリング、つまり買い入れる国債の量を徐々に削減していった。これは国債の需給にとっては当然ながらマイナス要因となり、金利の低下要因になることはないはずである。それにも関わらずなぜ2014年当初から英米独の10年債利回りは低下し続けたのか。

 2014年の米国株式、たとえばダウ平均などのチャートをみると上昇トレンドとなっており過去最高値も更新してきている。これからみてもリスク回避の動きや景気悪化とかが意識された金利低下とも考えづらい。

 いったい何が2014年当初から日本も含めて、欧米の長期金利を低下させたのか。余程の将来の景気悪化もしくはデフレの懸念でもなければ、説明できない水準に低下してきている。百年に一度といわれた危機が立て続けに起き、その間に日米欧の中央銀行は積極的な金融緩和を進めた。その余波が影響したとの見方もできるかもしれないし、日銀はさらに大胆な緩和を進めた結果であるかもしれない。

 つまりまだ大きな資金がうごめいて行き場を失い、それが国債に向かっているとの見方が可能か。いわゆる過剰流動性と呼ばれる状態にある。しかし、すでにFRBは出口に向けた政策を進めている。スイス中銀同様に、日銀も身動きができなくなりつつある。ECBも大胆な政策は取りづらい。中央銀行の金融政策が今回の異常事態を招いたとすれば、その反動はいずれくる。もしこの金利低下の謎が解けたとき、日米欧の長期金利は新たな動きを見せている可能性がある。

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by nihonkokusai | 2015-01-16 10:07 | 中央銀行 | Comments(0)

2015年度の国債発行計画

 1月14日に来年度の政府予算案が閣議決定され、財務省は2015年度の国債発行計画を発表した。通常であれば年末に政府予算案が閣議決定されるが、12月に衆院選挙があった関係でこのタイミングとなった。

 これによると新規国債(建設国債と赤字国債)が36兆8630億円(前年度当初予算41兆2500億円、補正後40兆4929億円)、借換債が116兆2986億円(前年度当初122兆1495億円、補正後120兆714億円)、財投債が14兆円(前年度当初・補正後16兆円)、そして復興債が2兆8625億円(前年度当初2兆1393億円、補正後1兆970億円)となった。

 歳入において税収が消費税率8%引き上げ分を年度を通じて反映させることや、法人税収などで当初予算として7年ぶりの高い水準となり、新規国債発行額は当初予算として6年ぶりの30兆円台となった。

 これにより2015年度の国債の発行総額は、170兆241億円(前年度当初181兆5388億円、補正後177兆6613億円)と、前年度の当初ベースからは11兆5147億円の減少となった。

 国債の消化別発行額を見ると、カレンダーベースの市中消化額は、152兆6000億円(前年度当初155兆1000億円)と、2.5兆円減額となった。

 カレンダーベースの市中消化額とは、4月から翌年3月にかけて入札により発行される国債の金額であり、年度の国債発行総額とは異なる。その理由は入札以外で発行される個人向けの国債や日銀乗換があるとともに、市中消化分には第2非競争入札による発行があり、さらに国債は前倒し発行と出納整理期間内発行が可能なため、年度間の調整分等が存在しているからである。ちなみに2016年度借換債の2015年度での前倒し発行は2.5兆円程度となる。

 第2非競争入札による予定発行額は4兆3800億円(前年度当初4兆4700億円、補正後6兆8793億円)。 年度間調整分(前倒債の発行や出納整理期間発行を通じた前年度及び後年度との調整分)が3441億円(前年度当初8兆3688億円、補正後2兆5820億円)。日銀乗り換えが10兆4000億円(前年度当初・補正後11兆1000億円)、個人向け販売予定分が2.1兆円(前年度当初2.1兆円、補正後2.4兆円)。その他窓販分が2000億円となっている。

 カレンダーベースの市中消化額は152.6兆円と今年度補正後の154.5兆円から減額される。カレンダーベースでの減額は2年連続となる。内訳は40年国債を0.4兆円、30年国債を1.6兆円、物価連動国債を0.4兆円(補正後0.2兆円)それぞれ増額する。そして5年債と2年債をそれぞれ2.4兆円減額、割引短期国債も1.3兆円(補正後0.5兆円)減額する。

 40年債は4月、6月、8月、10月、2月の5回の発行予定で一回あたり0.4兆円と今年度から回数が1回増える。30年債は毎月8000億円となり、今年度から合計で1.6兆円上積みされる。20年債は1.2兆円、10年債は2.4兆円の毎月発行とこちらは現状維持。5年債と2年債は一回あたり2.7兆円から2.5兆円にそれぞれ減額される。1年割引短期国債は2.1兆円を2回、2.2兆円を10回となり合計で今年度から1.3兆円(補正後0.5兆円)減額される。10年物の物価連動国債は5000億円を4回となり、今年度から0.4兆円(補正後0.2兆円)増額される。流動性供給入は今年度の毎月0.7兆円から0.8兆円に増額される。

 この結果、カレンダーベース市中発行額の平均償還年限は9年と今年度の8年5か月からさらに長期化される。

 2015年度の公債依存度は2014年度の43.0%から38.3%に低下した。新規財源債の発行は抑制されたが、予算そのものの規模は96兆3420億円と過去最大規模となる。

 債券市場での国債需給に影響するカレンダーベースの発行額については、事前に予想されていたように超長期債が2兆円程度増額され、中短期債主体に5兆円程度減額された。平均償還年限の長期化が図れたことで今後の利払い費用の抑制にも繋がるが、国債需給については日銀の国債買入の影響が大きく、この兼ね合いも考慮する必要がある。すでに5年債の利回りはゼロ%に低下している。現在の日銀の巨額の国債買入が継続するといずれ流動玉が枯渇してくる可能性もある。中期債の減額により、4月以降の需給に与える影響も考慮する必要があるかもしれない。

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by nihonkokusai | 2015-01-15 09:38 | 国債 | Comments(0)

2015年のFOMCのメンバー

 今年の金融市場を取り巻くテーマのひとつが、いつFRBがゼロ金利解除、つまり利上げに動くのかである。その金融政策を決定するのがFOMCであるが、年が変わると投票権を持つメンバーの一部も変更される。そのメンバーの変更を含め、今年のFOMCについて確認しておきたい。

 金融調節などの公開市場操作の基本方針は年に8回、ワシントンの理事会会議室で開催される最高意思決定機関である連邦公開市場員会(FOMC)において決定される。今年のFOMCの開催スケジュールは1月27~28日、3月17~18日、4月28~29日、6月16~17日、7月28~29日、9月16~17日、10月27~28日、12月15~16日の予定。イエレン議長の記者会見は3月、6月、9月、12月の会合後に予定されている。

 FOMCの投票権のあるメンバーは理事会から7名の理事全員と、地区連銀から5名の地区連邦銀行総裁の合計12名によって構成される。ただし、現在のFRB理事の布陣は、ジャネット・イエレン議長、スタンレー・フィッシャー副議長、ダニエル・タルーロ理事、ジェローム・パウエル理事、ラエル・ブレイナード理事の5名である。FRBの理事会は本来、7人の理事で構成されるが現在空席が2つある。ただし先日、オバマ大統領はFRB理事にハワイの地方銀行バンク・オブ・ハワイのCEOのアラン・ランドン氏を指名する意向であると発表した。もしランドン氏が議会で承認されると空席がひとつ埋まる。

 地区連銀の投票権のあるメンバーについては、ニューヨーク連銀だけが理事と同様に常に投票権を有するが、ほかの連銀は年ごとに交代制となる。2015年の連銀メンバーは、エバンス・シカゴ連銀総裁とラッカー・リッチモンド連銀総裁、ロックハート・アトランタ連銀総裁、ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁となる。

 それぞれ考え方の違いでハト派(緩和的)、タカ派(引締的)と分けられることもあるが、現在の中央銀行の金融政策の行方を読む意味では、あまりこの区分けは意識する必要はないと思う。そもそもイエレン議長がハト派の代表のようにみられていたが、すでにテーパリングを終了させて、利上に向けての準備を進めているのがイエレン議長を中心とした執行部である。ハトやタカというよりも、データをにらみながら、とりあえずは出口政策を進め通常の金融政策に戻すことを現在のFRBが模索していることは確かではなかろうか。

 今年初めてのFOMCは1月27~28日となる。イエレン議長は少なくとも3月まで利上げは決定しないことを明言している。そこまでは忍耐強く待つということであり、利上げの準備に取りかかるのはデータ次第ながら4月以降となる。記者会見の有無がどの程度影響するかはさておき、議長会見のある6月にゼロ金利解除というのが市場のコンセンサスとなりつつある。そのあたりの動きにむけて、1月のFOMCの公表文の内容なども確認したいところである。

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by nihonkokusai | 2015-01-14 09:51 | 中央銀行 | Comments(0)

今年最も注意すべきはFRBでもECBでもなく日銀

 日米欧の中央銀行の金融政策では「二極化」がキーワードとなりそうである。これはFRBとイングランド銀行がゼロ金利解除を実施してくる可能性があるのに対し、ECBと日銀はさらなる金融緩和に追い込まれることを意味している。

 FRBのゼロ金利解除、つまり利上げは今年6月のFOMCでというのがコンセンサスとなりつつある。しかし、今後のデータ次第では4月の可能性も残る。いずれにしても真っ先に出口から出るのが米国であると予想される。世界経済のなかで米国経済は順調に回復し、特に雇用の回復が著しく、今後も原油安なども手伝っての回復基調が継続すると予想される。サウジアラビアの石油戦略によってはシェールガス関連企業が痛手を食う可能性はあるが、米国全体でみれば原油安はプラス要因と思われる。ただし、物価は低迷しよう。

 米国よりも早く利上げをするかに見えたのが英国であるが、ここにきての経済データがあまり良くない。物価についても同様である。このため、イングランド銀行の利上げはかなり慎重になることも予想される。ただし、物価はさておき、景気回復の徴候が見られれば、再び利上げに向けての準備が進められる可能性がある。それがなければ年内の利上げは見送られることも想定される。

 ECBについては1月22日のECB理事会で量的緩和を決定するのではないかとの観測が出ている。12月のユーロ圏CPI速報値は、前年比マイナス0.2%となったが、マイナスとなったのは2009年10月以来となった。デフレ懸念の強まりにより何かしらの政策、特にドラギ総裁がどうしても実施したい量的緩和が現実味を帯びてきた。5000億ユーロの国債買入かとの観測も出ているが、まだハードルは意外と高いと思われる。ドイツなどの反対派を押さえられるのか。さらに日銀の大規模な量的緩和の効果が出てないことをどう意識するのか。そして、政策金利の下限をマイナスにしてしまっているなか、量的緩和によるマネタリーベースの増加をどのように実施するのかなどの技術的な問題も抱える。ユーロ圏の国債を買い入れるとしてどのような配分にするのかという問題も残る。現実にはECBの国債買入を主体の量的緩和はかなり困難さも抱えるが、それが実施されるときはいろいろと小技も必要となるし、説明責任も問われかねない。

 そして日銀であるが、今年はかなり難しい選択を迫られる可能性がある。2013年4月に量的・質的金融緩和、つまり異次元緩和を決定し、そのタイミングで都合良く物価がプラスとなり上昇してきた。しかし、消費増税がスタートした2014年4月に前年比プラス1.5%までいったところで、ピークアウトしてしまった。このため、日銀は2014年10月に異次元緩和第二弾を決定せざるを得なかった。原油価格の下落でそれ以降も消費者物価のプラス幅は縮小し、4月にむけて前年比ゼロ%近くになるとの予想もある。  消費増税の影響とか原油先物の下落とかの理由はさておき、気合いというか期待で物価が上がるとしたシナリオは完全に崩れた格好であり、異次元緩和第二弾も円安に頼らざるを得ないことを示した格好となった。それでもこのまま物価目標が達成できないとなれば、何かしら手を打たざるを得ないであろ。日銀総裁はそのための手段はいくらでもあるというが、現実には効果的な手段はほとんど見あたらない。これ以上の国債買入は危険であり無理もある。リスク商品の買入にも限度がある。期待で物価は上がらないことがはっきりすれば、むしろ日銀の信認問題にもつながりかねず、微妙な立場に追い込まれることも予想される。それでも追加緩和の可能性は強い。その追加緩和は円安誘導のため、6月にも予想されるFRBのゼロ金利解除にぶつけてくることもありえそうだが、その内容次第によっては、少し大げさながらも日本発の金融危機を招くこともありうるか。

 このように今年の日米欧の中央銀行の動向を占う上で、最も注意すべきはFRBでもECBでもなく、日銀であると考えている。

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by nihonkokusai | 2015-01-13 09:38 | 中央銀行 | Comments(0)

日銀政策委員にふさわしい人物とは

 1949年に日銀法の一部が改正され、戦後民主化の一環として日銀の最高意思決定機関である政策委員会が設置された。政策委員会のメンバーは、日銀総裁、大蔵省代表1名、経済安定本部代表1名、金融業に関し優れた経験と見識を有する者2名(都銀と地銀)、商業及び工業に関し優れた経験と見識を有する者1名、農業に関し優れた経験と見識を有する者1名の計7名となった。

 1998年4月1日に施行された新日銀法のもとでは、日銀の最高意思決定機関として政策委員会が置かれた。新日銀法23条2項に「審議委員は、経済又は金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験のある者のうちから、両議院の同意を得て、内閣が任命する。」とあるように、6名の審議委員は旧日銀法のあったように、それぞれの業界団体を代表するようなメンバーとは特に決められていない。しかし、旧日銀法の政策委員の選定方法がある程度世襲されており、産業界出身者、銀行出身者、学者、市場関係者、そして日銀プロパーなどでバランスが取られている。そして、例えば銀行出身者が任期満了となる際には、次期審議委員は同じ銀行出身者から選ばれることが多かったことも確かである。

 ブルームバーグによると、内閣官房参与の浜田宏一氏は、3月と6月に相次いで任期を迎える2人の日本銀行審議委員の後任人事について、産業界や金融界などから選ぶべきではないとの見方を示したそうである。3月には神戸大学教授であった宮尾龍蔵委員が任期満了となり、6月には東京電力出身の森本宜久委員が任期を迎える。

 後任人事については業界の世襲制といった形式よりも、日銀法にあるように経済又は金融に関して高い識見を有する者であれば、特定業界などを問わず、場合によれば日本国籍を問わず選出する必要があるという意見であれば賛成である。幅広いジャンルからいろいろな意見を持ちながら、ある程度の金融経済の知識、できれば実務面にも詳しい人物を選抜すべきであろう。参考までにオバマ大統領はFRBの次期理事に地銀出身ランドン氏を指名している。

 ただ、もしかすると今回の浜田氏の意見は正論を唱えているように見せながら、本音は現在の日銀の政策に異を唱える人物は審議委員には適さないため、選出すべきではないと言いたい可能性もある。昨年10月の異次元緩和第二弾では政策委員の票が割れ、かろうじて5対4で追加緩和を決定した経緯がある。今回任期を迎える宮尾氏は賛成、森本氏は反対に回った。反対した4人は実業界出身者で、執行部(総裁と2人の副総裁)以外で賛成に回ったのは2人の「学者」出身者であった。

 高度な金融や経済に関する知識を持っていても考え方はそれぞれであり、いろいろな考え方を持ち、できれば専門分野の異なる人物を政策委員に配するべきである。ある特定の考え方、しかもそれが正しいものであるのか非常に疑問が出てきた考え方をするような人物に統一してはいけない。日銀総裁の考え方に常に賛成するような人物は当然ながら配すべきではない。浜田氏の「業界の利益代表のような審議委員の選び方は好ましくないと思う」との発言に、もしもリフレ派の考え方に与する学者を取り込むべきとの考え方があるのであれば、それは間違った発想である。

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by nihonkokusai | 2015-01-10 11:06 | 日銀 | Comments(0)

過去最低金利は中央銀行による自作自演

 現在の日本と欧州の金利は歴史的な状況にある。あとで振り返ると当時、いったい何があったのかと疑問が生じるかもしれない。金利がマイナスになるほどのリスクがあったのか。金融経済に危機的状況が発生していたのか。リーマン・ショックやギリシャ・ショックと同様の危機が発生していたわけではない。なぜマイナス金利が発生したり、長期金利が過去最低水準にまで低下しているのか。

 これはまさに中央銀行による自作自演とも言える。サブプライムローン問題に端を発した米国発の金融経済危機とギリシャの債務問題に端を発した欧州発の金融経済危機に対して、日米欧の中央銀行は政策金利をほぼゼロ近辺に引き下げたのち、国債の買入を中心とした非伝統的手段に転じた。金融政策は本来時間稼ぎでしかないものの、ユーロ危機が南欧を中心とした国債の問題であったこともあり、中央銀行の国債買入は国債市場の動揺を抑えることに成功し、大きな危機は去った。

 米国ではサブプライムローン問題がそもそも住宅ローンに関する問題でもあり、米国債と同様の規模をもつ住宅ローン担保証券(MBS)の市場が大きかったこともあり、米国債とMBSの国債の買入がある程度の効果を与えたであろうとも確かであろう。しかし、それ以上に大きな危機が沈静化し、経済が回復する余地が広がったことも大きかったと思われる。このためFRBはいち早く非伝統的手段からの脱出に成功しつつある。

 これに対して信用危機の発生元である欧州の景気回復は鈍く、物価も低迷し続けた。ECBは2014年6月に政策金利の下限下限金利であるところの中銀預金金利(預金ファシリティ金利)をマイナス0.1%に引き下げ、マイナス金利を実施した。

 ECBのドラギ総裁は国債買入を主体とした量的緩和を実施したいと考えていたようだが、ドイツなどの反対で量的緩和には踏み込めず、やむなくマイナス金利を導入した。しかし、その効果もなくユーロ圏のCPIは前年比マイナスに落ち込み、今月22日の理事会で国債買入を中心とする量的緩和導入の可能性が出てきた。

 しかし、ECBが実施しようとしている量的緩和に、果たして効果はあるのか。マイナス金利まで導入したにも関わらず、物価がいっこうに上がらず、さらなる緩和に踏み込む必要性は本当にあるのか。しかし、その追加緩和期待からドイツなどの長期金利が異常な水準にまで低下している。

 金融政策にはタイムラグが必要との声を聞くが、あれだけの金融緩和をここ数年にわたり実施してきて物価がいっこう上がらないのはなぜなのだろう。中央銀行は政策変更の前にこのあたりを分析する必要があるのではないのか。そのデータも当然ある。それをまず生かすべきであり、むやみやたらに異次元緩和だ量的緩和だ、マイナス金利だ、に踏み込むべきではない。

 日銀の異次元緩和も今年4月で2年が経過する。すでにその効果がなかったことは昨年の追加の異次元緩和でも明らかである。これを消費増税や原油価格の下落を理由にするのはおかしい。思い切った金融緩和で期待や予想が変わり、それで物価が上がるとしていたのではなかったろうか。ECBも同様である。マイナス金利を導入しても効果がないものを国債買入で物価を上げられるのか、日銀の実証例はまったく参考にしていないのか。

 もちろんECBも日銀も本音を言えば、期待などより通貨安を狙った策であろうことも確かであるが、気まぐれな市場を相手にしている以上、その効果は限定的であるのも確かである。大胆な緩和策で、残るのは異常な金利の状態と、日本では中央銀行による大量の国債買入という事実である。しかも、日欧の物価は原油価格の下落など次第ではまだ下がるかもしれない。それに対して、大胆な国債買入などのメリットはほとんどなくデメリットのほうが大きくなる可能性がある。

 何のための金融緩和なのか。そろそろ日銀も含めて真剣にこれまでの異次元含む金融政策の効果について大胆な検証をして、その効果をはっきりさせた上で、今後の金融政策の方向性を探る時期にきてはいまいか。日本も欧州も長期金利が過去最低の水準にまで低下したのは中央銀行による自作自演によるものであり、それが何これからを引き起こすのか、これも良い実証例となるかもしれないが、これが新たなリスクを生じさせる可能性もある。

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by nihonkokusai | 2015-01-09 09:54 | 債券市場 | Comments(0)

日本の長期金利はマイナスになるのか

 妖怪、油すましが暴れている。1月6日にWTI原油先物は47.55ドルまで下落し、2009年4月21日以来の安値を付けた。この原油先物の下落とギリシャの政局不安というかユーロ離脱の懸念により、6日の欧米市場はリスク回避の動きをさらに強めた。

 6日の米長期金利は2%を割り込み1.94%に。ドイツの長期金利は0.44%と過去最低を更新中。フランス、オランダ、オーストリア、ベルギーなどの長期金利も過去最低を更新。英国の長期金利も1.56%に低下していた。

 日本の長期金利(10年国債利回り)も昨年12月25日に0.310%と、先年4月5日につけた0.315%を下回り過去最低を更新した。 その後さらに低下し、1月6日には0.3%を割り込み、はじめて0.2%台をつけた。

 市場関係者にとり、10年債の0.2%台よりも、20年債の1%割れのほうが気になったかもしれない。それは2003年6月のVARショックと呼ばれる国債の急落が、20年国債の利率が1%を割り込んだことがきっかけで起きたためである。しかし、当時の金利低下と今回の金利低下はやや性格が異なっている。

 2003年6月にかけての金利低下は、その背景に量的緩和と呼ばれた日銀の金融緩和があったことは今回と同様であるが、買い手が異なっていた。2003年当時の積極的な買い手は都銀などを中心とした銀行であった。価格変動幅の大きな超長期債を含めて、長い期間の国債を主体に買い進んだが、生保などの投資家にとっては20年債の1%割れでは購入を敬遠した結果、急落が起きたのである。

 しかし、今回の国債の主な買い手は日銀であり、2003年とは異なり、短い期間からじりじりと金利が押しつぶされた格好になっている。短期債が量的緩和時代以来のマイナス金利となり、それが2年債にも波及し、直近では残存4年半あたりの国債の利回りがマイナスとなっている。いずれこれが長期金利、つまり残存10年の国債あたりまで波及する可能性はあるのか。

 10年国債に波及する前に残存5年という節目とともに、もうひとつの節目が存在する。それは長期国債先物である。これは標準物と呼ばれる残存10年、利率6%の国債を売り買いするもので単純には利回りゼロ%は160円であるが、現実には現引き現渡しがある関係で、残存7年のチーペストと呼ばれる国債に連動している。現在のチーペストの利回り等から導かれるゼロ金利水準は149円あたりとなり、すでに148円台を長期国債先物はつけているため、あと1円程度に迫っている計算となる。

 ドイツでは5年債あたりまでマイナスとなっており、日本も5年債がマイナス金利となるのは時間の問題になりつつある。これが7年債あたりに波及し、長期金利までもマイナスとなりうるのか。その可能性は否定はできないが、そこまでの金利低下の要因を考えるとかなり無理もある気がする。

 日本のマイナス金利の要因については海外投資家の存在が大きく、そこに日銀の大量の買入が絡んでいる。金利がマイナスで購入しようが、さらなるマイナスで購入してくれるところがあれば、マイナス金利でも利益が生まれる。しかし、そんなカラクリがいつまでも通用するとは思えない。

 需給ではなくファンダメンタルの要因としては、原油下落や景気減速による物価の低迷もある。日銀が目標としている消費者物価指数は、原油価格の下落も手伝い、いずれ前年比マイナスとなる可能性も指摘されている。現在の長期金利が過去最低となっているのも日銀の異次元緩和による国債買入とともに、異次元緩和では物価は上がらないとの市場参加者の見立ても根底にあろうし、現実に物価は日銀の想定通りには上がっていない。

 買い手の主役が投資家や業者でなく日銀である以上、現在の金利低下は債券市場のバブルではないとの見方もある。しかし投資家よりも国債の買い手が中央銀行であるほうがタチが悪い。財政ファイナンスとの認識が高まり、市場参加者の間が不安感が強まると何かのきっかけで国債が売られ、1998年の運用部ショックや2003年のVARショックのような国債価格の急落を引き起こす懸念は存在する。

 いまのところ原油価格下落と共にギリシャのユーロ離脱懸念などによるリスク回避の動きで、日米英独などの国債は買われているが、ドイツや日本の長期金利はすでに未踏の段階にある。利上げが予想されている米国や英国の長期金利までもが、ユーロ危機の水準にまて低下しつつある。しかし、現在、ユーロ危機に匹敵するほどのリスクが生じているわけではない。このあたりの矛盾が解消されるときに何が起きるのか。むしろそのリスクを心配しておいたほうが良いのではなかろうか。個人的には日本の長期金利がマイナスになる前に調整は起こりうるとみている。

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by nihonkokusai | 2015-01-08 09:36 | 債券市場 | Comments(0)

妖怪、油すましとサウジアラビア

 「妖怪、油すまし」と言えば、全身に蓑を羽織った妖怪で、峠に突如出現して通行人を驚かせる。正体は油を盗んだ罪人の亡霊とされている。妖怪の噂話をするとその妖怪が現れることでも知られる。

 全身に蓑を羽織ったすまし顔の姿は、漫画「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する「油すまし」である。日本の妖怪と言えば民俗学者の柳田國男の著書などでも知られているが、その姿を思い浮かべるときには、水木しげるの妖怪画がいわゆるオリジナルとなっている。映画の「妖怪大戦争」などに出てくる妖怪も水木しげるの妖怪画がオリジナルである。

 妖怪といえば水木しげるであり、妖怪を取り扱う際にはそれが大きな壁となっていた。いわば妖怪の圧倒的なシェアを「ゲゲゲの鬼太郎」の妖怪たちが担っていたといえる。このためアニメで妖怪を取り上げたくても、それが難しかったのはこれが要因との説もある。しかし、その壁を打ち破ったのが、昨年ブームになった「妖怪ウォッチ」である。水木しげるの妖怪画に触れることがないようにしたゲームをまず仕上げ、それがアニメ化されて大ヒットとなったとされている。元々、日本人は妖怪好きであるらしい。

 好き嫌いに関わらず、日本人にとっても必要なのは「油すまし」ならぬ「油」である。原油に関しては日本でも秋田県や新潟県を中心に生産が行なわれているが、国内消費量は1%未満であり、国内消費量のほとんどは中東などからの輸入に依存している。

 その油というか原油価格がさらに値下がりしている。1月5日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)でWTI原油先物は2009年4月以来、約6年ぶりに50ドルの大台を割り込んだ。2009年には30ドル台にまで下げており、今回も40ドル割れもあるのではないかとの観測がある。

 1月5日の原油先物の下落の背景には、ロシアの生産増加とイラクの輸出増加計画などが指摘された。さらにサウジアラビアが、2月積みの欧州向け原油価格を大幅に引き下げ、米国向けも小幅に引き下げたことも要因とされた。ただし、アジア向けは逆に値上げをしている。もちろんこれは日銀の金融政策に配慮したわけではなく、サウジアラビアの原油戦略の一環といえる。

 今回の原油価格の下落の要因としては、このサウジアラビアによる原油戦略も指摘されている。米国を中心としたシェールガスへの対策が大きな要因となっている。米国ではシェールガス掘削ブームに乗り、2005年に国内消費の60%を占めていた外国産原油が2016年には25%まで減る見込みとされる。このシェールガスに対抗するには、原油価格を引き下げてもシェールガスの採算を取れなくする狙いもあるものとみられる。

 サウジアラビアは原油シェアを維持するために価格下落には目をつぶっているとの見方もある。さらに米国経済は順調に回復しているが、欧州や中国、さらには新興国、そして日本を含めて景気減速の懸念もあり、石油需要が減少するとの見方も原油価格下落の背景にある。

 水木ワールドで占められていた妖怪世界に、新手の「妖怪ウォッチ」が進入してきたように、それまでエネルギーとしては原油の占める割合が大きかったところに、シェールガスという新たな勢力が出てきた。サウジアラビアは生き残りをかけ、身を削ってまでもシェア維持に躍起になり、それが結果としてさらなる原油価格の下落の要因となっているのではなかろうか。

 そのサウジアラビアであるが、国王アブドラが王位を退く用意があると発言したそうである。91才という高齢であり、次期継承者は78才のサルマン皇太子が指名されており、もし国王が交代するとサウジの石油戦略が変わるのではないかとの観測も出ている。

 いずれにしても、WTIが50ドル割れとなれば、そこからせいぜい下げても40ドル割れ程度までとみられ、ここからの下落余地にも限りはある。原油安によるロシアなど産油国経済への影響も懸念はされているが、1998年のロシア危機の再来の可能性も現状は低い。むしろ世界経済にとっては原油価格下落による恩恵の方が大きいとみられる。いずれにしても原油価格の先行きは、戦略家ともされる「油すまし」ならぬサウジアラビアが握っていることは確かなようである。

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by nihonkokusai | 2015-01-07 09:10 | 景気物価動向 | Comments(0)

牛さん熊さんが占う今年の金融市場

熊「いきなり難しいタイトルを任せられたぞ」
牛「まあ、占いとなれば当たるも八卦、当たらぬも八卦やろ」
熊「おいおい」

牛「それはさておき、今年の注目材料としてはやはり中央銀行の動向か」
熊「年初からECBのドラギ総裁は量的緩和をやる気満々の姿勢を見せていた」
牛「早ければ今月22日のECB理事会での量的緩和の可能性もないとは言えんけど」
熊「ドイツなどの反対を抑えて、どこまで踏み込むことができるのか」
牛「国債を買い入れるとして、どの国債をどの程度買い入れるのか」
熊「南欧の国債も買えるのか、を含めて課題もかなり多い気もするな」

牛「米国のFRBは4月以降、ゼロ金利解除というか利上げを決定するとみられ」
熊「経済データがよほど悪化したり、何かしらのアクシデントがなければ」
牛「4月か6月のFOMCでゼロ金利を解除し、正常化への大きなステップを踏むことに」

熊「利上げを控えている割には、米長期金利は低位安定している」
牛「これは欧州の長期金利の低下とともに、原油価格の下落もひとつの要因か」

熊「原油価格がどこまで下落するのかも、今年の注目材料となる」
牛「サウジアラビアなど産油国は米国主体のシェールガスを脅威ととらえ」
熊「シェールガスの採算が合わなくなる程度に原油価格を押さえ込もうとしている」
牛「この原油価格の下落は産油国には打撃やが、世界経済にはプラスの面も」
熊「物価の上昇も抑え、それで米長期金利は低位安定、欧州の金利低下の要因にも」
牛「しかし、これで予定が狂ってしまったように見えるのが日本の中央銀行やな」

熊「ある意味、今年最大の注目材料は、日銀の動きとなるかもしれない」
牛「原油価格の下落は、日本の消費者物価の抑制要因ともなり」
熊「2%の物価目標達成はさらに困難になりつつある」
牛「それで昨年10月に異次元緩和パート2を打ち出したが」
熊「そもそも異次元緩和で期待が出て物価が上がるという理屈がよくわからない」
牛「頼みの綱は円安やが、それだけでは原油安には対抗できない状況に」
熊「株がしっかりしているうちは、さらなる緩和圧力は強まらないかもしれないが」
牛「今度緩和するには理由付けも難しいし、これ以上の国債買入もかなり危ない橋に」

熊「この日銀の動向次第では、日本の債券相場はかなり波乱含みの展開もありうるか」
牛「いまのところ、FRBの利上げ観測で米長期金利が急騰するようなこともなく」
熊「ECBの量的関与観測などで、ドイツなど欧州の国債利回りが軒並み低下し」
牛「日銀の国債買入も手伝って日本の長期金利も過去最低を更新しつつあるものの」 熊「債券市場そのものは日銀の関与が大きすぎて機能不全の状態となりつつある」
牛「日銀については、異次元緩和の意味が問われる年になることも予想され」
熊「物価目標達成が困難となれば、ある意味、責任問題が生じることも」
牛「巨額の国債買入の意味も問われ、その後始末についても大きな問題に」

牛「ただし、消費増税は延期されたが、国債への市場参加者の信認はまだまだ厚く」
熊「そこに何かしらの変化が生じるとすれば外部要因による可能性も高い」
熊「ドイツなどの欧州の国債がかなり買い進まれており」
牛「こちらが何かしらのきっかけで大きく反転する可能性もありうるか」
熊「ドラギ総裁が意地を通せるのか、はたまたギリシャの政局不安などもある」
牛「原油価格もどこまで下げるのか見通しもしづらい状況下」
熊「日銀の金融政策だけでなく、新興国などへの影響も考慮する必要も」

熊「ということで、今年は日米欧の金融政策の行方とともに」
牛「それに影響を与える原油価格の動向に注目か」
熊「年初は日欧米の長期金利はどこまで下がるかに挑戦しそうだが」
牛「年央の米国の利上げあたりから、相場付きが変化してくることも予想される」
熊「上がり続けている株価の動向も気になるところか」
牛「いずれにしても、債券を含めて相場が大きく動く可能性はありそうやな」

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by nihonkokusai | 2015-01-06 09:29 | 債券市場 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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