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ロシア危機再来の可能性はあるのか

 相場の流れに変化が生じているのを見分けるのは難しい。現在の動きが一時的なものなのか、それとも大きなトレンドが変化しているのか。これはある程度、時間を置かなければ確認はできないが、トレンドが変化しているのならば早めに行動を起こす必要もある。

 今回の原油価格の下落による金融市場への影響は、いまのところサブプライムショック、リーマンショック、ギリシャショックと呼ばれた百年に一度の金融経済ショックに比べれば、そのショックの度合いはまだ小さい。しかし、大きなショックを引き起こす可能性もありうる。

 ここにきてのWTI先物の下げ方は、2008年7月からの急落に匹敵するような動きとなっている。このときは2007年1月の50ドル近辺から7月にかけて140ドルに上昇した反動であった。この際には2008年末にかけて30ドル台前半にまで急落していた。

 今回は、米国のシェールガスに対抗するためサウジアラビアなどが価格下落を意識して減産を阻止していることが、原油価格下落の最大の要因となっている。いまのところ、どのあたりまで下落するのかは見えてこない。WTIが50ドルを割り込むと、30ドル台あたりまで下落する可能性も月足チャートなどをみるとありうる。

 この原油価格の下落は、産油国ロシアの実態経済に影響を与える恐れがある。ルーブルはドルに対して最安値を更新し、株価も大きく下落した。ロシア中央銀行は11日に、ルーブルの下落に歯止めをかける必要があるとし、政策金利を9.5%から10.5%へと引き上げていたが、16日には10.5%から17%に大きく引き上げた。この動きから見ても、かなりの危機感を抱いていると思われる。

 16日にはタイの株価も急落し、一時も9%以上も下落する場面があった。資源関連株の比重が大きいマレーシアやインドネシアの株も下落するなど、原油安は新興国にも大きな影響を与えつつある。

 タイやロシアといえば、1997年5月にタイの通貨バーツの暴落がきっかけとなったアジア危機、そして1998年のロシア危機が思い起こされる。

 1997年のアジア通貨危機の影響もあり、ロシアの輸出の8割を占める天然資源、なかでも原油価格の下落により、国際収支が悪化し、それまでの財政の悪化にさらに拍車をかける結果となり、ルーブルが急落し、ロシアからの資金流出が発生した。

 1998年の際にもロシア中銀は超高金利政策を打ち出すものの効果なく、ルーブルの目標相場圏を拡大し、民間の対外債務支払を90日間凍結する声明を発表したが、むしろこうした措置が不安心理を煽る結果になり、ルーブルはさらに急落した。ロシアが資本主義体制へ移行して間もなく、ロシアの銀行の多くは海外から米ドル建てで資金を調達していたことで、ルーブルの暴落と共に破綻した。

 そして、ロシアの金融危機がユーロに影響を与え、またメキシコが大幅な金融引き締めをせざるを得なくなったように中南米へと影響が広がり、資金の貸し手となっていた欧米などの債権者は大きな損失を蒙った。これにより先進国で唯一景気がしっかりしていた米国にも影響が及んだ。

 ロシア危機が再来する可能性はあるのか。たしかに1998年の状況と似たところはあるものの、1998年の教訓もありロシアも積極的な対応を取ることも考えられる。ただし、歴史は繰り返すこともある。当時のロシアと現在のロシアでは環境はだいぶ異なっているが、原油価格の影響を受けやすいことには変わりはない。この歴史を見る限り、ロシア、さらには中南米やアジアの今後の動向も念のため注意しておいたほうが良さそうである。

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by nihonkokusai | 2014-12-17 09:40 | 国際情勢 | Comments(0)

アベノミクスの真価が問われる

 12月14日の衆院選挙で自民・公明両党は法案の再可決や憲法改正の発議に必要な全議席の3分の2を上回る326議席を獲得した。自民党は291議席と事前に予想された300議席には届かなかったものの、公明党の35議席を合わせると2年前の325議席を上回った。

 安倍政権にとってはアベノミクスは信任されたとして、今後も経済政策としてアベノミクスなるものを継続すると思われる。ただし、問題はそのアベノミクスとは何かということにもなる。

 選挙明けの12月15日の東京株式市場は12日の米国株式市場の大幅下落を受けて、売りが先行した。アベノミクスへの期待よりも、原油安をきっかけとした海外市場の動向に大きく影響を受けた格好となった。2年前の2012年12月16日の衆院選の結果を受けての翌17日に円安株高が進んだのとは景色が変わってきていた。

 アベノミクスの根幹にはリフレ的な発想があり、それを具体化させたのが2013年4月の日銀の異次元緩和であった。しかし、今回日銀はすでに解散総選挙が決まる前に異次元緩和第二弾を打ち出しており、ここで再び円安の動きが強まり、ドル円は120円を突破していた。

 しかし、ここからは新たに日銀の金融政策を元に円安株高を仕掛けることは難しい。日銀が第二弾を打ち出した要因が原油安により物価抑制にあったが、原油安は株価の上昇も結果として抑制させることになった。

 原油安とそれにより株安の動きに影響される格好で、円安の動きも止まり121円台から117円台あたりに下落した。今回の米国株式市場の下落は一時的な調整の可能性もあるが、ダウ平均は過去最高値をつけるなどしていたことで、いったんピークアウトした可能性もありうる。

 日経平均株価のトレンドは、日銀短観の大企業製造業DIの動きにある程度連動していることが知られている。その日銀短観が12月15日の朝に発表された。大企業製造業DIはプラス12と前回の13からやや悪化し、3か月先についてはプラス9になる見通しとなっていた。これからみると日経平均もここでいったんピークアウトする可能性がある。

 12月16日、17日のFOMCでは声明文における「相当な期間」との表現の部分が削除され、利上げに向けた動きを強めることも予想される。これはドル買い円売りの材料ではあるが、それもかなり織り込みつつある。むしろFRBが利上げに向けて慎重姿勢を示してくるとなれば、ドル安の動きを強めることも予想される。

 円安株高と日銀の異次元緩和というアベノミクスの原動力については、ここからはあまり期待はできない。それでも経済成長を継続させるというのであれば、三本目の矢をしっかり撃つ必要があるが、果たしてそれができるのか。ここから本当の意味でのアベノミクスの真価が問われる。

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by nihonkokusai | 2014-12-16 09:35 | アベノミクス | Comments(0)

デイトレードは順張りか逆張りか

 デイトレードでは順張りが良いのか、逆張りが良いのか。最近のデイトレーダーは逆張り派が多いとの話を聞いて再び疑問が沸いてきた。

 市場の流動性を確保するためには、デイトレーダーを含めた、個人からヘッジファンドなどのプロなどの投機家の存在は必要不可欠だと思っている。ときとして相場の攪乱要因ともなり、HFTと呼ばれる超高速取引も流動性確保のためには必要悪だと思っている。

 私がデイトレードに携わっていたのは1986年から2000年あたりの債券市場においてであった。プロのデイトレーダーと自称したが、トレードの利益で生活していたわけではなく、会社の資金を利用して債券市場で日計り商い(いわゆるデイトレード)を中心に売買して、会社の債券売買損益に影響を与えていたサラリーマンであった。年間ベースでは当初の1986年10月から1987年3月末の1986年度で損失を出したが、1987年度からはすべて売買益を計上していた。ただし、年間何十億もの利益を出していたわけではなく、そこそこ稼ぐことができたディーラーであり、だからこそ14年間も続けられたのだと思う。

 デイトレードから足を洗って10年以上も経過し、その間、個人による株やFXのデイトレードが盛況になるのも見てきた。コンピュータの進歩とともに、私の時代ではディーリングルームにいる市場関係者しか知り得なかったような価格を含めた情報も個人は得ることができる時代となった。HFTなど新手の取引も生まれ、たしか時代は大きく変わった。

 しかし、相場である限りその本質には変化はないはずである。私の時代の相場の教科書といえば、江戸時代から伝わる酒田五法であったぐらいである。現在の金融先物の仕組みはすでに江戸時代の堂島にあり、やはりデイトレーダーも存在していたのである。

 現在の相場でもその手法はそれほど大きく変化しているとは思えない。そのなかで順張りより逆張りが多いとの指摘には、やや違和感を覚える。これは自分の経験から、よほどの天才型のディーラーでない限り、逆張り型はいずれ大きな損失を発生し自滅する可能性が高いとの結論に達していたためである。順張り型は確率は低いものの大きな流れが出たときに乗って利益を出し、その利益をなるべく確保すれば、とにかく大きな損失が発生する懸念は少なくなる。

 ただし、何のトレードかによって多少の違いもあるかもしれない。株なのか為替なのか債券なのか。いまの債券相場で順張りで稼ごうとしてもかなり無理はある。反対に現在の原油先物などの動きでは、逆張り派は目も当てられない状況ともなることになる。

 逆張り派が多くなったということは、それだけ天才型のディーラー、つまり節目などでの勢いの変化をうまく利用できるディーラーが増えてきたということなのか。それとも私の時代にも多くいたが、初心者が陥りやすい逆張りを行っているディーラーが多いというのであろうか。

 私は逆張りやナンピンはディーラー時代には御法度としていた。それが生き残る術だとも思っていた。もしかすると、もうそんな時代ではないのだよ、と言われるかもしれない。それでは、いまの逆張り手法とはどんなもので、それによりマーケットサバイバルは可能なのか、このあたりたいへん興味がある。

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by nihonkokusai | 2014-12-15 09:39 | 投資 | Comments(0)

債券先物の過去最高値の取り扱い

 12月11日が長期国債先物(通称、債券先物)の12月限の取引最終日であった。取引最終日については昨日のコラムにて解説させていただいたが、今回は中心限月の取り扱いについて確認させていただきたい。

 先物の中心限月とは、同時に上場している限月のなかで最も出来高の多いものとなる。ちなみに長期国債先物については取引ができる限月は直近の3本で、取引最長期間は9か月となる。

 通常、債券先物の中心限月と呼ばれるものは期近物と呼ばれる限月が最も近いものとなる。12月12日以降であればそれが2015年3月限(ぎり、と読む)となる。ところが11日の12月限の取引最終日までは12月限が期近物となる。12月限の取引最終日前に12月の出来高と3月限の出来高が逆転し、それをもって中心限月が移行したと市場ではしている。これは建玉の逆転でない点にも注意したい。建玉はその前にすでに逆転していることがほとんどである。

 債券先物に関してはいったん出来高が逆転してからの再逆転はこれまでになく、出来高が逆転した段階で中心限月が移行したとしている。

 12月9日のイブニング・セッションだけの取引高で、すでに3月限の出来高が12月限を上回った。このためこの段階で中心限月は移行していたとの見方もできる。ただし、その場の出来高の逆転で中心限月が移行したとの認識は、あくまで債券先物の市場参加者の認識であることに注意が必要である。

 取引所においての中心限月との扱いは、取引高が期先に移行したのを大引けに確認し「翌日」から扱いが変わる運用となっている。つまり今回でいえば、12月10日の朝には市場参加者は中心限月が移行したと認識していても、実際には12月10日の約定ベースでのイブニングを含めて当日出来高が逆転したのを確認した翌11日から、中心限月が移行したことになる。

 そのような決めごとなど関係なく、実質的に中心限月が変われば新たな限月で売買するだけで問題ないとの声もあるかもしれないが、この中心限月の移行日あたりに債券先物が過去最高値を更新することが今回を含めて過去にあり、その取り扱いが問題となる。

 12月10日に12月限は147円59銭まで買われ、大引けは147円42銭となった。市場参加者にとってすでに中心限月は3月限の認識であり、12月限につけたものは参考的なものでしかないとの認識となる。それではもしこれが高値となってしまった場合にどのような取り扱いとなるのか。これを高値とは認めないという参加者もいるかもしれないが、とにかく10日の引けの時点では、長期国債先物の市場開設来最高値として、147円59円銭(瞬間ベース)と147円42銭(終値ベース)が記録される。

 それでは中心限月としての高値はいくらとなるのか。これはもし取引所に問い合わせれば、10日の時点ではまだ中心限月は12月限なので147円59銭との回答が返ってくると思われる。

 11日に12月限は147円59銭を抜いて147円61銭まで買われており、瞬間ベースでの長期国債先物の高値は更新され、引けも147円49銭と高値を更新した。しかし、正式にも12月限は中心限月ではない。12月限の引けの147円49銭は引け値としての市場開設来最高値として記録されるが、こちらも中心限月ではないことで、ますますややっこしくなる。

 もちろんこれから3月限がザラ場と引け値で最高値を抜いてくれれば問題はクリアーされる。しかし、もし今回が高値となってしまった際にはこのような取り扱いになる。とりあえず中心限月以外でつけたとしても長期国債先物としての過去最高値として、それを記録しておいたほうが良さそうである。

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by nihonkokusai | 2014-12-12 09:54 | 債券市場 | Comments(0)

国債先物の取引最終日から受渡決済日までの期間短縮

 債券先物と呼ばれている大阪取引所に上場している国債先物には取引最終日がある。先物取引には限月というものが存在し、3月限、6月限、9月限、12月限の4つがある。たとえば2014年12月9日現在、売買は2014年12月限が中心となる。売買が中心となっている限月は中心限月と呼ばれるが、この12月限の最終売買日が12月11日となっている。

 12月11日かその前に通常、中心限月は次の限月、つまり今回でいえば3月限に移行する。国債先物では実質的には当日売買高が逆転したタイミングで中心限月が移行したとしてしている(厳密にはイブニング含めた出来高が逆転した翌日から中心限月の移行となる)。

 日経平均先物にも最終売買日があり、その日までに反対売買するか、翌日に算出される特別清算指数(SQ値)で損益が確定される。ところが国債先物にはSQ値は存在しない。日経平均先物は差金決済のみで処理されるためSQ値が必要となるのに対し、国債先物は最終売買日までに差金決済されないものは、売り方が現物債を渡し、買い方は現物を引き受けることになる。つまり国債先物は現引き現渡しが存在することでSQ値は存在しない。

 この場合の現物債とは長期国債先物については、残存7年以上11年未満の10年利付国債である。現在の金利の状況等から、このなかで最も割安なものが残存7年の10年国債となる。これがチーペストと呼ばれ、この価格に債券先物はほぼ連動することとなる。いわば長期国債先物は7年債の先物ともいえる。

 国債先物の受渡日は3月、6月、9月、12月の20日(ただし20日が休業日にあたるときは順次繰り下げ)と決められている。そして限月の最終売買日はこの受渡日(20日)の7営業日前となっている。このため、2014年12月限の売買最終日は12月11日となる。

 この売買最終日は、2015年12月限(3月取引開始)から5日前に変更されることになった。これは金融所得一体課税導入に伴う税制改正により、公社債の利子課税が、源泉分離から申告分離に変更となり、いわゆる課税玉・非課税玉がなくなるためである。受渡決済事務処理に関して、最初の2日間に申告する課税・非課税申告が廃止されることによる。

 債券の売買に携わっていないと少しわかりにくいかもしれないが、現場にとっては課税玉と非課税玉が存在していたことは決済をしづらくさせていた面があり、それがクリアーされることで、期間短縮が可能となった。

 また、この期間短縮には現物国債の決済期間の短縮や、取引に参加する金融機関などの事務処理、特に外国人投資家が受渡しを行う場合の事務処理などが以前に比べて迅速にできるようになったことも影響しているようである。

 大阪取引所では、国債先物取引の受渡決済における経過利子の計算方法を変更するとともに、決済リスクの削減及び取引機会の拡大を図る観点から、取引最終日から受渡決済期日までの期間を2日間短縮するとしている。この期間短縮は債券相場そのものにはあまり影響を与えることはないと思われるが、国債先物を多少なり使いやすくさせることになることは確かであろう。

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by nihonkokusai | 2014-12-11 09:50 | 債券市場 | Comments(0)

FRBと日銀の出口政策

 量的緩和や質的緩和、信用緩和など政策金利がゼロ、つまりゼロ金利政策をとってからのあらたな中央銀行の金融政策は、非伝統的な金融政策と呼ばれる。この非伝統的な金融政策から出た経験を持っているのは日銀だけである。FRBは出口に向かっている最中であり、来年にも出口から脱する予定である。

 日銀は2001年3月から2006年3月にかけて量的緩和政策を実施してきた。この際のターゲットは日銀の当座預金残高であり、国債の買い入れの増額もあったが、短期市場に資金を主に供給していた。このため、2006年3月の量的緩和の解除も日銀の得意とするところの短期金融市場での調節で済むことで、実はあっさりと出口から出られた。

 この際の出口の際には、日銀の国債買い入れは減額していなかった。速水総裁時代は追加緩和において何度か国債の買い入れを増額していたが、福井総裁時代は当座預金残高は増やしても国債買い入れの額は増やすことはなかった。日銀にとって国債買い入れの減額はある意味タブー視されている感があったためと思われる。国債買い入れの減額もできなければ、当然ながら制度的には存在する国債の売りオペなどできるわけはない。これは1998年の資金運用部ショックが影響していた可能性がある。この際、資金運用部の買い入れ停止がきっかけで、国債が暴落していたためである。

 2006年3月の量的緩和解除の際に国債の買い入れは減額していなかったが、日銀の保有する国債の残高そのものはその後大きく減少していた。この頃の日銀の国債買い入れが中短期債主体であったことや、長期国債が償還された際に1年短国に乗り換えるなどしていたことで国債の償還が短く、簡単に残高を減少させることが可能であったためである。

 これに対して、黒田日銀による第一次異次元緩和は買い入れ額を倍増するとともに、平均残存年数も倍にした。第二次バズーカにより、さらに買い入れ額と残存年数を増やす格好となった。これでは2006年3月当時と比べて国債の残高を落とすことは容易ではない。

 それ以前に、そもそも国債買い入れの額を減少できるのかという問題がある。これについてはFRBが先駆者となった。FRBはいわゆるテーパリングを見事に成功させている。テーパリングを当初打ち出した際にはやや市場が過剰反応したものの、それは次第に市場に織り込まれ、テーパリングの最中でも米長期金利は落ち着いていたというかむしろ低下していたぐらいである。これを見る限り、日銀も現在の過剰な国債買い入れを減額することはそれほど困難ではないかもしれない。しかし、うまく行く保証があるわけでもなく、運用部ショックの亡霊もちらつく。

 FRBも早めに国債等の残高を減少させるべきとの意見もある。QEを開始当初は売りオペもあるので簡単に国債残高を落とせるとしていたFRBも、そう簡単にいくものではないことは学んだようである。このため、テーパリングは可能であっても売りオペについては、かなり慎重になることが予想され、償還された国債を乗り換えしないかたちで少しずつ残高を減少する方法がとられるのではなかろうか。むろん、マーケットの状況次第では売りオペに踏み切る可能性もゼロではない。ツイストオペのような手段もある。

 日銀にとってはそもそも出口があるのかという議論はさておき、何かの拍子に2%の物価目標を達成してしまう可能性もないとはいえない。その際にどのような出口政策がとられるのか。日銀の出口が意識されるほどの外部環境となっていれば国債へのニーズは低下している可能性もある。むろん大きく残高を減少させてきた都銀などには買い余力はあるかもしれないが、いずれにせよマーケット次第の面もある。日銀の出口政策を考える上では、国債やMBSの平均残存年数としては日銀同様に長めになっているFRBの出口政策がうまくいくのかどうかをまず確認したい。

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by nihonkokusai | 2014-12-10 09:40 | 日銀 | Comments(0)

警戒すべきはトリクルダウンならぬトリプルダウン

 12月8日の朝方に発表された7~9月期GDP二次速報は実質で前期比0.5%減、年率換算では1.9%減となった。11月17日公表の一次速報の前期比0.4%減、年率1.6%減から下方修正された。12月1日に発表された7~9月期の法人企業統計で、全産業の設備投資は前年同期比5.5%増となっていたことで、これが反映されるGDP二次速報では一次速報に比べて上方修正されるのではとみられていたが、結果は下方修正となった。ただし、4~6月期のGDPは今回の見直しにより、前回の年率マイナス7.3%からマイナス6.7%に上方修正されていた。

 GDPは過去の数字であるためか、8日の東京株式市場はGDPの数字にはあまり反応しなかった。むしろ12月5日の米雇用統計で非農業雇用者数が上方修正されて、米株が上昇しダウやS&P500が過去最高値を更新し、さらにはドル円が121円台をつけるなど円安が進行したことを好感し、日経平均は7年4か月ぶりに18000円の大台を回復していた。

 12月14日の衆院選を控え、自民党にとりGDPの下方修正は本来マイナス要因となるところが、日銀の10月31日の異次元緩和第二弾の影響もあり、内閣支持率のバロメーターとされる株価は上昇しつつある。

 ここまでの急ピッチな円安は、中小企業や我々消費者にとってはマイナス要因となるが、大手輸出企業にとっては思わぬ神風となりうる。これについて安倍首相はトリクルダウンという言葉を使っているが、大手輸出企業が為替差益で儲かっても、それが中小企業や個人全体に還元されることは考えづらい。長い目でみれば、海外の工場を国内に移転するような動きが出てくることも予想されるが、ここにきての円安による原材料価格の上昇によるマイナスを打ち消すにはかなりのタイムラグもあるし、完全に還元されるわけでもなかろう。

 今回の円安株高が何をもたらすのか。自民党にとっては票の上積みをもたらすのかもしれないが、市場ではそれによる反動も恐れている。いまのところ円安と株高はセットとなっているが、今回の円安については日米の金融政策の方向性の違いだけではなく、将来の日本売りも意識されている可能性もある。日本国債の格下げがあろうと日本国債はびくともしなかった。しかし、為替に関しては円の下落傾向が続いている。円のショートが増加すればその反動での円買いも起こりうると、通常ならば、円高株安を警戒しなければいけないところではある。しかし、最も警戒すべきなのは、むしろ円安のさらなる進行と株安、さらには国債の下落というトリクルダウンならぬトリプルダウンではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2014-12-09 09:49 | 債券市場 | Comments(0)

なぜいま解散総選挙なのか

 12月14日に衆院選挙が実施される。12月4日の新聞各紙は自民党が300議席を伺う動き(日経)、自公、300議席超す勢い(読売)、自民300議席超える勢い(朝日)とそれぞれ別な調査ながら、同じような結果が出ていた。

 なぜいま解散総選挙なのか。消費増税を先延ばしするために、その是非を国民に問う必要があるというが、それは言い訳に過ぎないであろう。12月8日に発表された7~9月期のGDP二次速報は上方修正かとの予想に反し下方修正されたが、そもそも消費増税の決断はこの二次速報を確認してからと官房長官などからは指摘があった。しかし、それを一次速報のタイミングに前倒しした。ご承知のように一次速報もプラスとの予想に対してマイナスとなったことで、消費増税延期やむなしとの見方も強まった。

 たしかにこの7~9月期のGDPも解散に向けたひとつのきっかけにはなった。事前予想もマイナスというのはなかったものの、エコノミストの予想も以前の予想から大きく下方修正されており、一次速報の発表で消費増税延期の決断をし、解散に打って出るとのシナリオが遅くとも11月はじめには練られていたことが下記要因により推測できる。

 11月2日に安倍首相の右腕と言われる飯島勲氏がテレビ番組で「12月2日に衆議院が解散、14日に投開票が行われる」と発言したことが話題となった。飯島氏はテレビ番組で、「補欠選挙をやった後に7月~9月の経済状況が明らかになる。11月17日くらいにはわかりますから、20日くらいに総理は消費税を10%に上げるかどうか決断する」と一気に読み上げ、 さらに「その後の12月2日に、思い切って衆議院解散して、12月の14日に投開票。24日に内閣改造、予算は越年」と告げたそうである。飯島勲氏のほぼ予言通りに衆院は解散され、14日に投開票となったのである。これは偶然の一致であったであろうか。

 11月9日の読売新聞朝刊は一面で、安倍首相が来年10月に予定されている消費税率10%への引き上げを先送りする場合、今国会で衆院解散・総選挙に踏み切る方向で検討していることが8日、分かったと伝えた。首相はこうした考えを公明党幹部に伝えたとみられるとしている。年内に解散する場合、衆院選の日程は「12月2日公示、14日投開票」か「9日公示、21日投開票」とする案が有力だという。この読売新聞の記事については自民党に影響力を持つ渡辺恒雄主筆からの指示だとの見方が週刊誌に掲載された。ある程度、解散総選挙への道筋が示されていたと思われる。

 実際には11月18日に安倍首相は記者会見を開いて消費再増税延期と年内解散・総選挙を表明した。21日に衆院を解散、衆院選の日程は12月2日公示、14日投開票となる。

 GDPも消費増税も解散総選挙に向かう材料にされたに過ぎず、今回の衆院解散については綿密な戦略な練られていた可能性があった。その戦略を立てる上で、ビッグデータが利用されていたとの見方がある。つまり、いま解散すればどの程度の議席を与党というか自民党が確保できるのか、ある程度予測していた可能性もある。

 内閣改造後の二人の閣僚の辞任により、安倍政権の支持率は低下しつつあるとはいえ、まだ高い水準を維持していた。さらにこのタイミングでの解散総選挙となると、野党の準備が間に合っていない。アベノミクスの効果そのものに疑問符もつき始めていたが、このタイミングであれば、現議席に近い議席を維持可能とのデータがあった可能性がある。遅くとも11月上旬には衆院選挙に向けたタイムスケジュールが組まれ、それが連立与党の公明党にも流れ、いずれ公になるのであればと飯島氏がテレビで発言し、与党は準備態勢を整えたということであろうか。

 ここでひとつ大きな疑問が残る。10月31日に異次元緩和第二弾を決定した日銀はこの動きを知っていたかである。解散総選挙に向けての安倍首相の動きは日銀は感づいていなかった可能性がある。そのひとつの証拠として、10月31日の政府側出席者による異例の中断要請である。政府としても日銀のこの動きはサプライズであり、歩調を合わせたものではなく、日銀が勝手に動いてくれたことで、円安株高も期待され、政府にとってはしめしめという状況となったのではなかろうか。これがさらに解散総選挙に向けた追い風になった可能性もある。その期待通り、ドル円は121円台に乗せ、12月8日に日経平均は18000円台に乗せてきた。

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by nihonkokusai | 2014-12-08 09:42 | アベノミクス | Comments(0)

日銀の異次元緩和を評価しづらいドラギ総裁

 12月4日のECB政策理事会では、金融政策の現状維持を決めた。12月にECB本部は移転し、新しいビルにおいて会見したドラギ総裁は、「来年の早い時期に現在の金融緩和策の効果を再評価する」と述べた。これはつまり、効果が不十分だと判断した場合には、追加の金融緩和に踏み切る可能性を示唆した。さらに、量的緩和の導入にあたっては、理事会で全会一致で決める必要はないという認識を明らかにし、反対者がいても量的緩和に踏み切る姿勢をあらためて示した。広範なQEプログラムは1月22日のECB理事会で検討することが予想される。

 ECBは2015年のユーロ圏の実質成長率見通しを9月時点の1.6%から1.0%に引き下げ、物価上昇率は1.1%から0.7%に下方修正した。ドラギ総裁はこの原因のひとつとして、地政学リスクなどとともに、原油価格の下落をあげていた。原油価格の下落は、コアインフレ率に影響を与えるだろうとのコメントもあった。

 原油価格の下落が想定外であったとして、追加緩和を10月31日に決定していたのが日銀であった。それに対してとにかく量的緩和をなんとしても実行したいドラギ総裁は日銀同様にこの原油価格の下落も都合の良い材料として利用したいようである。

 そのドラギ総裁が会見で次のような発言をしている。

 「Well, QE has been shown to be effective in the United States and the UK. In Japan, it’s harder to assess because other things have taken place concerning the process of structural reforms and the fiscal policy decisions that have taken place. So the assessment on the effectiveness of QE there is more complicated.」(ECBのサイトより)

 QEと言い切ってしまっているがFRBはQEとは正式に認めていなかったはずだが、それはさておき、量的緩和は米英で効果を発揮したとしている。だからすでにFRBとイングランド銀行は出口に向けた動きを始めているということであろう。

 これに対して日銀は、量的緩和政策の元祖であり、より大胆に異次元緩和と呼ばれるような量的緩和をしていながら評価が難しいとしている。構造改革やら財政政策に絡んでいる、つまりは同時に実施された二の矢、三の矢にも絡むものであることや、消費増税なども意識してのコメントかと思われる。しかし、その効果について評価は難しいとして、日銀の異次元緩和そのものの効果についてのコメントは避けている。これは日本では残念なことにその効果が現れていないと暗に示唆しているようにも思われる。

 しかし、ドラギ総裁がしようとしていることは日銀のコピーにほかならない。過去最低にまで低下しているユーロ圏各国の長期金利の低下圧力を加えても大きな効果は望み薄。そこでドラギ総裁が期待しているのは日銀と同様に通貨安であろう。しかし、その手段は財政ファイナンスに近いものとならざるを得ない。ならざるを得ないというより、日銀同様に財政ファイナンスに近い政策をとることで物価に刺激を与えようとのリスクの高い政策をとりたいようにもみえる。これに対しては当然ながら、ドイツなどは反対してこよう。それが果たして物価にも影響を与えられるのか。その結果は日本で先に出ているように思われる。

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by nihonkokusai | 2014-12-07 12:34 | 中央銀行 | Comments(0)

正常化に向かうFRBと無間地獄に陥りそうな日銀

 FRBのフィッシャー副議長は2日、WSJ紙主催の会議で「それに関する協議があったことが前回のFOMC議事要旨で分かっており、当局がその削除に数か月前よりも近づいているのは明白だ」と述べたそうである(ブルームバーグの記事より)

 「それ」というのはFOMC公表文にある、低金利を「相当な期間」維持する、との文言」に関するもので、「相当な期間」を削除するかどうかに関することである。すでに「相当な期間」という声明の表現に関しては、9月のFOMCで経済指標にかかわらずゼロ金利の長期化をコミットメントしたように映るとして見直しを求める声が出ていた。

 フィッシャー副議長は「われわれがそれを突如やめて何も言わないというのではなく、単にそれを削除し低金利を維持する期間に関するガイダンスのない状態にするということが想定できる」とコメントした。さらに「当局は市場を驚かせたくはない」とフィッシャー氏は指摘している。「当局は市場を驚かせたくはない」ために、今回、フィッシャー副議長は今回、このようなコメントを発したものとも考えられる。

 次回のFOMCは12月16日、17日に開催される。今回はFRB議長の会見もある。このタイミングで、「相当な期間」が削除され、「データを確認しながら」のようなコメントに置き換えられる可能性がある。これについては早期の利上げを意識したものではなく、あくまで利上げは経済指標など次第であると強調するであろうが、これは利上げに向けたステップのひとつとなることも確かである。

 フィッシャー副議長は先日、エネルギー価格の急落について、米消費押し上げにつながるとして歓迎する姿勢を示していた。ニューヨーク連銀のダドリー総裁も同じタイミングで同様の発言をしている。フィッシャー副議長は「原油価格下落によるインフレ率低下は一時的」とし、GDPの押し上げ要因になるとの見方を示した。これはつまり、原油価格の下落によるディスインフレへの懸念より、景気へのプラス効果を意識しているとの見方となり、これも利上げを意識しての発言と受け取れる。

 ここにきてのドル高はこの大御所、フィッシャー副議長の発言によるところも大きいと思われる。FRBは想定通りというか、ロードマップに沿って着々と正常化に向けた動きを進めていくことが予想される。

 それに対して日銀は原油価格の下落などにより想定外の事態となり、2%の物価目標達成に向けたロードマップが狂い始めている。その効果についての検証はなしに、果てしなく国債を買い続けなければならないような状況に陥ってしまっている。

 本来であればフレキシブルなインフレターゲットを設定すべきところが、リフレ派の主張に乗ってしまった安倍政権の意向もあり、達成しなければいけないような目標を設定してしまった。たまたま途中まではうまくいったように見えたが、やはり中央銀行が大胆に国債を買っても、単純に物価は上がるものではないという結果を見せつけられた。無間地獄に陥る前に、日銀はそれとなくフレキシブルな政策に戻す必要がある。

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by nihonkokusai | 2014-12-05 09:42 | 中央銀行 | Comments(0)
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