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9月に都銀は中期債を大量売り越し

 10月20日に日本証券業協会は9月の公社債投資家別売買状況を発表した。これは日本証券業協会の協会員、つまり証券会社から、当月中に取り扱った公社債の一般売買分(現先(条件付売買)を除き、国債の発行日前取引を含む)の状況についての報告を基に、集計したものである。発表される公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっている。このため、短期債を除く債券のデータについては、全体から短期債を引いたものを使うことになる。

 9月の都銀は1兆1559億円の売り越しとなった。3か月連続での売り越しである。同時に発表された国債の投資家別売買状況を確認すると、超長期を2839億円買い越し、長期を2兆7440億円買い越しに対し、中期を4兆2258億円売り越していた。8月と同様に中期ゾーンから長期・超長期ゾーンに乗り換えた格好で、残高を落としながらデュレーションをやや長めにしてきた。そして、9月の都銀による中期国債の売り越しの4兆2258億円は2004年4月からの集計データのなかでは過去最大規模となっていた。

 地銀も9月は1625億円の売り越しとなっていたが、ほかの業態は個人などを除くと買い越しとなっていた。

 買い越し額で最も大きかったのは、外国人であり3兆4699億円もの買い越しに。中期債を2兆9269億円買い越し、長期債を1447億円買い越し、超長期債を3868億円の買い越しとなっていた。

 次に買い越しが大きいのは、生損保の8901億円。こちらは超長期国債を6890億円買い越しとなっており、長いところの国債主体に買い越していた。

 続いて信託銀行の7907億円の買い越し。信託銀行は8月が7783億円の売り越しとなっていたが、9月は再び買い越しに転じていた。ただし、超長期国債が1255億円の売り越し、長期国債が2476億円の売り越しとなり、中期国債を1兆2112億円の買い越しとなっていた。残高は落とさずにややデュレーションをやや短くしてきたようである。

 信用金庫は4952億円の買い越し。こちらは8月の超長期や中期主体の買い越しから9月は長期主体の買い越しとなっていた。農林系金融機関は3474億円の買い越し。引き続き超長期債主体の買い越しとなっていた。

 債券相場は9月に入ってからは、それまでの上昇トレンドからいったん調整局面に移行した。9月4日のECB理事会での追加緩和により、噂で買って事実で売る動きが出たことで、欧米の国債が売られた。それとともにFRBの利上げ観測もあって、ドル買いの動きを強め、日銀の黒田総裁の発言などをきっかけとした円売りが加わって、ドル円が9月始めの104円台から一気に109円台まで駆け上がった。この円安とともに米株がダウで過去最高値を更新するなどしたことで東京株式市場は上昇し、日本の10年債利回りはいったん0.5%台の後半まで上昇した。

 ところが9月19日あたりから欧米の株式市場の地合いが悪化する。株式市場ではダウ平均やS&P500が最高値をつけていたのがこのタイミングであり、ナスダックもこのあたりから大きく下落した。米債も9月19日あたりがターニングポイントとなり利回りは低下した。世界的なリスクオフの動きの強まりとともに、日本の国債は再びしっかりとなり、10年債利回りは9月末にかけて0.5%台前半に低下し、債券先物は146円台をつけた。

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by nihonkokusai | 2014-10-21 09:45 | 債券市場 | Comments(0)

FRBのテーパリング停止延期の可能性はあるのか

 セントルイス連銀のブラード総裁は16日、ワシントンでのブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、インフレ期待の低下に歯止めをかけるため、FOMCは債券購入プログラムの終了の先送りを検討するべきだとの見解を表明した。米国経済のファンダメンタルズはなお力強いものの、市場で混乱が生じているのは欧州の先行き見通しが悪化しているためだとの見方を示したそうである。

 ブラード総裁は今年のFOMCで投票権を持たないものの、FOMCの参加メンバーからテーパリング停止の延期発言が出たのは初めてである。しかも、それがハト派で知られたブラード総裁の発言だけに意外感があった。今回の米国市場を含めた相場変動に、よほどの危機感を覚えたのであろうか。

 ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁(今年の投票権あり)も16日に、抑制されたインフレ見通しを踏まえると、2015年のいずれの時期も利上げは不適切との考えをあらためて示していた。

 これに対して、フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁(今年の投票権あり)は、16日の講演で「個人的には、早く利上げを始めた方がいいと思っている」と語ったそうである。

 金融政策は98%がトークとバーナンキ前FRB議長は語ったが、投票権の有無はさておいて、これら連銀総裁のそれぞれの意見も耳を貸しながら、今後のFRBの動向を予測する必要がある。

 10月28日、29日のFOMCでは150億ドルとなった毎月のMBSと米国債の買入れを停止するかどうかを検討する。10月でテーパリングは終了する予定であることはすでにアナウンスされており、もしテーパリング停止が先送りされると意外感が出てくることが予想され、利上げの予想時期も大きく先延ばしされることになる。

 テーパリングを停止しないことも、市場に対して大きな影響力を与えることが予想される。市場ではその可能性を踏まえて、29日のFOMCの結果を注目しよう。

 今回の欧米市場を揺るがしたリスク回避の動きがこのまま収まるかどうかはわからず、さらなる米株やドルの急落が起きるとすれば、たしかにテーパリング停止の延期も選択肢に入る。しかし、このリスク回避の動きが一過性のものであるとなれば、予定通りにテーパリングを終了させよう。

 これまでのイエレン議長、フィッシャー副議長、そしてニューヨーク連銀のダドリー総裁、イエレン議長に近いとされるサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁などの発言からは、来年半ばあたりまでを意識したゼロ金利解除にむけたロードマップが用意されていることがうかがえる。それに修正が加わるとすればよほどの事態が起きた場合になると予想されるが、それも欧州の経済の先行きへの懸念よりも、これから29日にかけての金融市場の動向次第ということにもなりそうである。

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by nihonkokusai | 2014-10-20 10:03 | 中央銀行 | Comments(0)

債券先物は過去最高値を更新、追加緩和はリスク増加も

 10月15日の欧米市場ではリスクオフの動きが強まり、ややパニック的な様相となった。米国株式市場でダウ平均は一時460ドル以上の下げとなり、16000ドルを下回る場面もあった。その後下げ幅を縮小させたが173ドル安に。欧州の株式市場も軒並み大幅下落となっていた。

 15日の米10年債利回りは一時1.86%まで低下し、その後2.1%台に。ドイツの10年債利回りは過去最低を記録し、0.72%近辺まで低下した。フランスの10年債利回りも1.10%まで低下し、過去最低水準を更新。英国の10年債利回りも一時1.92%と2%を大きく割り込んでいた。それに対してギリシャ、スペイン、イタリアの国債は大きく売られた。

 この世界的なリスクオフの動きにより、日本の債券先物は15日のイブニング・セッションで146円60銭まで上昇した。これまでの債券先物のザラ場の最高値は、2013年4月4日のイブニング・セッションでつけた146円44銭であったことで、ここであっさりと過去最高値を更新したのである。

 2013年4月4日に何があったかといえば、日銀が量的・質的緩和を決定した日である。この4月4日の先物の高値は146円05銭、引け値は146円04銭。その後のイブニングで146円44銭まで上昇した。翌日の4月5日の債券先物は146円38銭で寄り付いて146円41銭まで上昇した。この間、10年債利回りは0.315%まで急低下したが、先物はイブニングでつけた高値の146円44銭は抜けなかった。その後、過去最低利回りを更新していた10年債に売りが入り、0.315%から0.620%に利回りが急騰。これにより債券先物も急反落となり、サーキットブレーカーが2度も発動し、債券先物は143円10銭まで下落し、5日の大引けは144円02銭となっていた。

 債券先物のザラ場の過去最高値は、2013年4月4日のイブニングでつけた146円44銭となったのだが、引け値での高値は4日の146円04銭であった。今年の8月5日に債券先物は146円05銭で引けたことで、引け値としての過去最高値を更新した。その後じりじりと記録は更新され、8月28日の債券先物の引け値は146円29銭となったことで、ここが引け値としての過去最高値となっていた。

 その後、債券相場は中心限月の移行もあり、いったん145円台をつけていたが、ここにきて再び切り返し、ザラ場での過去最高値を更新した。ただし、15日の大引けは146円24銭となったため、引け値としての過去最高値は更新しなかった。15日の前後場、いわゆる日中の高値は146円42銭となったことで、イブニングを除いた日中ベースでは2013年4月5日につけた146円41銭を抜いて過去最高値となったが、こちらはあくまでチャートを見る上での参考数字となり、記録上の最高値は146円60銭となる。

 16日の10年債利回りの低下は、0.470%までの低下に止まっていた。この水準そのものは、2013年4月8日以来のものとなるが、昨年4月5日の0.315%という過去最低利回りにはまだ距離がある。昨年4月5日に0.315%からの0.620%の利回りの急上昇を市場参加者は目の当たりにして、警戒心も強く買い進みづらい状況のように思われる。それでも、世界的にリスク回避の動きがまだ続くとなれば、0.315%という長期金利の過去最低もいずれ視野に入ることも考えられなくもない。

 しかし、ドイツやフランスの長期金利が過去最低を記録し、日本の債券先物も過去最高値を更新するほどのリスクが発生しているとも思えない。欧州の景気悪化や、英国を含めての物価の上昇の鈍さは気になる。それでも、何かしらの外的ショックが発生しているわけではない。米株式市場は過去最高値を更新し、その反動もあって世界の金融市場が動揺したが、ここまでリスク回避が進むはっきりとした理由もない。

 これも日米欧の中央銀行の金融緩和が招いた可能性があるまいか。資金はあふれているが、その行き先が不安定になりつつある。これを沈めるには、極論ではあるが、追加の金融緩和より、むしろ出口政策を進めるほうが適切ではなかろうかとも思ってしまう。これ以上の追加緩和はむしろ今回のような価格変動リスクを増加させるだけになることも意識する必要があるのではなかろうかと思う。

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by nihonkokusai | 2014-10-17 09:32 | 債券市場 | Comments(0)

世界的な相場変調のきっかけは9月19日の米国株式市場

 今回の世界的な相場の変調がどのタイミングで起きていたのか。株や債券、為替のチャートを確認したところ、ひとつの起点となる日が浮かんでくる。9月19日である。

 株式市場ではダウ平均やS&P500が最高値をつけていたのがこのタイミングであり、ナスダックもこのあたりから大きく下落している。米債も9月19日あたりがターニングポイントとなり反発(金利は低下)していた。ユーロ円も19日までいったん戻してここから再び下落している。円安ドル高は10月1日に110円台に乗せたが、日経平均は9月19日に直近のザラ場高値を付けていた。

 9月19日には二つの大きなイベントがあった。ひとつがアリババの新規上場である。 中国の電子商取引最大手アリババグループが9月19日にニューヨーク証券取引所に上場した。時価総額で約25兆円と一気にフェイスブックなどをしのぐIT大型株となった。この上場に絡んでの資金シフトがあり、それがナスダックの下落を招いて、米株全体が調整局面入りしたとの見方もあった。

 もうひとつ9月18日にスコットランドの住民投票が実施されている。結局、スコットランドの英国からの独立は回避された。スコットランドの住民投票への市場の注目度は高く、もし独立となれば金融市場にも大きなショックが走ることが懸念されていた。

 ただし、9月19日以降の金融市場の動きはリスク回避にみえる。スコットランドの独立回避をきっかけにして動きが出たとすれば、むしろリスクオンになってもしかるべきであり、これを材料に動いたとするには説明が難しくなる。ただし、地合いを変化させたひとつのきっかけとなった可能性はある。

 9月22日には米政府がイスラム国を標的にシリア領内で空爆を始めた。エボラ出血熱の流行もあった。さらにIMFが10月7日公表した世界経済見通しで2014年と15年の世界経済の成長率予測を引き下げたこともきっかけとの見方もある。しかし、タイミングからみれば、今回の世界的な大きな調整は9月19日近辺ですでに始まっており、日経平均もIMFの発表前にピークアウトしており、これはあくまで下げを加速させた要因に過ぎないように思える。

 やはりこのなかで最も怪しいのはアリババの新規上場ではなかろうか。史上最大規模のアリババの新規上場というイベントが終了し、ここで米国株式市場がいったんピークアウトしたと思われる。

 それまでの米株の上昇、しかもダウ平均やS&P500の史上最高値更新というにより、マーケットではリスクオンの様相を保っていた。米株がしっかりしていたことで、ある程度、リスクが覆い隠されていたとみられる。しかし、そのベールがはがされると、欧州経済の先行きなどの不安要因が今度は市場参加者の視線の先にあった。このため、あらためてリスクオフの動きが強まり、米株が不安定な動きを示したあと急落し、それとともにドルも下落した。不安感が強まるなか、世界経済の悪化が意識され、原油価格の下落なども世界経済の悪化のサインとされた。

 日米欧の中央銀行の金融政策動向の先行きよりも、リスクオフの動きにより、米国や英国、そしてドイツの国債が買い進まれた。ギリシャの国債がここにきて大きく下落しているのもリスクオフの動きと言えるのではなかろうか。

 もし今回のリスクオフの動きのきっかけが米国株式市場にあるとして、この流れに変化が生じるとすれば、やはり米国株式市場からになろう。年末にむけての相場動向を占う意味でも、米国株式市場の動向に注意を払うべきなのかもしれない。

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by nihonkokusai | 2014-10-16 08:02 | 国際情勢 | Comments(0)

金融政策は98%がトークとバーナンキ前FRB議長

 回顧録の執筆を予定しているとされるバーナンキ前FRB議長が、10月8日に「Nikkei Asian Review」がニューヨークで協賛したシンポジウムで講演したそうである。千人単位の聴衆の前で話すのは今年1月の議長退任後はじめてとなるとか(9日の日経新聞電子版より)。

 この講演のなかで、バーナンキ前議長は後任のイエレン議長の対応について、直近の出口戦略の技術的な対応をめぐり手法の一部に疑問を呈した。さらに、中央銀行は「2%が行動(アクション)、98%が言葉(トーク)だと考えている」とも明らかにした。

 2%がアクション、98%がトークとの表現は自らの体験に基づくものであろうか。イエレン議長の直近の出口戦略の技術的な対応については何かしら意見があるようだが、自らが議長時代にその出口政策へのトークの難しさは痛感していたのではなかろうか。

 2013年5月22日にバーナンキ議長(当時)は、上下両院合同経済委員会の証言後の質疑応答で、景気指標の改善が続けば債券購入のペースを減速させる可能性があると指摘した。FRBの出口に向けた姿勢への変化は市場に動揺を与えた。

 5月23日の東京市場では債券先物はサーキット・ブレーカー発動し、現物10年債利回りは2012年4月5日以来の1%台乗せとなった。円安ドル高が進み103円台に。この円安もあって23日の東京株式市場は一時前日比300円を超す上昇となり、日経平均は16000円手前まで上昇した。ところが、債券は売り一巡後は買い戻され、日経平均は16000円手前で買いが止まった。そして、債先売り・株先買いのポジションがひっくり返され、日経平均先物は震災後の2011年3月15日以来のサーキッド・ブレーカーが発動し、日経平均は前日比1143円安と2000年4月以来の大きな下げ幅となったのである。

 このバーナンキ発言は、新興国市場に大きな影響を与え株や債券、通貨の下落を招いた。米債も下落し10年債利回りは2%台に乗せて、3%台に向かうこととなった。

 しかし、それ以降のかじ取りはうまくいった。2013年12月のFOMCではテーパリングの開始を決定したが、それによる市場の動揺は抑えられた。米長期金利は再び3%台を12月末につけたがそれ以降はむしろ低下しており、ここにきて2.3%近辺にいる。このあたりは後任のイエレン議長の功績のようにも思うが、バーナンキ前議長は米長期金利が低下したことに、むしろ警戒をしているのであろうか。

 中央銀行が特に市場と向き合う際には、確かにトークが非常に重要となる。特に金融引き締めの方向の際には、政策変更をどのように市場に動揺をあまり与えずに織り込ませることができるのかが重要である。まさに98%がトークというのはこのことであろう。

 バーナンキ前議長は今回の講演後の質疑応答で、米国は長期の経済停滞に陥っているとするサマーズ説には賛同できないとした。「雇用は完全雇用へと近づいている」と反論したそうである。

 世界的ベストセラーになった「21世紀の資本論」のピケティ氏の見方に対しても、ピケティ氏の分析が主に富の格差を取り上げていることに対し、「米国ではむしろ所得の格差が大きな問題だ」と述べたそうである。

 サマーズ氏とピケティ氏は米国経済の行方についは悲観的ながら、バーナンキ前議長は自らの議長時代の功績も意識してか、強気の見方は崩していない。しかし、ここにきて欧州や中国、さらに新興国の景気悪化が意識され、米国株式市場も大きな調整を迎えている。これが一時的なものであるのかどうか。ここで米国経済まで悪化するとなると、世界経済の先行きがかなり不透明となり、FRBも利上げどころではなくなる恐れもある。このあたり、98%のトークの部分ではなく、2%の本音の部分として、どのようにバーナンキ前議長は見ているのかも知りたいところである。

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by nihonkokusai | 2014-10-15 09:18 | 中央銀行 | Comments(0)

消えたアベノミクス

 アベノミクスとは2012年11月の衆院解散後、安倍自民党総裁が輪転機発言などでリフレ政策を全面に打ち出したことでスタートした。ユーロ危機が後退しつつあるなかでの、国債を日銀が大量に買い込む政策が打ち出され、ヘッジファンドなどは絶好のタイミングとばかり、円売りと日本株買いを大量に仕掛けた。これを受けて急激な円高調整が入った。さらに政権交代による期待感も加わり、日経平均株価は上昇した。円高圧力の後退で、景気にも好影響を与えることとなり、物価も予想以上に上昇した。

 安倍政権が打ち出したリフレ政策による円安株高とそれによる経済効果はアベノミクスと呼ばれた。そこに安倍政権は財政政策と成長戦略を加え三本の矢とした。ただし、その財政政策は補正予算によるものであり、成長戦略も名ばかりのものでしかなかった。ただし、最初の矢については安倍政権が任命した黒田日銀総裁により実現化する。2013年4月の決定会合で日銀は量的・質的緩和政策を決定した。  

 2012年11月のアベノミクスの登場は日本の金融市場にとってはまさに奇襲攻撃に映った。円安株高という援軍を得て、デフレ脱却という目標に向かって邁進することになる。異次元緩和の登場のタイミングで物価が上昇し始めた。ある程度の物価上昇は予測されていたが、円安効果でそれが予想以上に上乗せされ消費者物価指数は2014年4月には前年比プラス1.5%程度まで上昇してきたのである。

 ところが、2014年4月の消費増税あたりから様相がおかしくなり始めた。消費増税の影響を除いた物価が頭打ちとなってきたのである。円安の動きにブレーキがかかり、エネルギー価格の下落などが影響したとみられる。もし日銀の異次元緩和が人々の物価予想を引き上げるというのであれば、大規模な国債買入れが続き、日銀のバランスシートが膨らみ続ければ、何があろうと物価は上がるはずである。しかし、物価は途中まで調子よく上がったものの、目標値前で腰折れとなってしまった。

 しかし、今年の9月から再び円安ドル高の動きが強まる。アベノミクスに再び神風が吹いた格好だが、ドル円が110円台に乗せたあたりから今度は円安への警戒論が強まってきた。そこに米国株式市場の大幅な調整が加わり、ドル円は下落基調となりつつある。神風は二度吹いたものの、二度目は風向きが怪しくなってきた。

 すでに日銀には二度目のバズーカ砲は存在しない。一度目のバズーカも事前に安倍首相がアナウンスしており、市場へのインパクトとしては債券市場を乱高下させただけになった。二度目のバズーカは、もし威力のあるものにすると債券市場を破壊する。もしくは国債の信認を低下させ、日本のリスクを増大させ取り返しのつかないものにさせる可能性がある。小出しにして、いろいろなものの買入れをちょこちょこ打ち出すとしても、市場が納得できるようなものは打ち出せないであろう。

 どうやらアベノミクスと呼ばれたものは自然に消滅しつつある。欧州を中心に景気の低迷が、世界に拡散されるリスクが出てきており、その兆候が商品価格の低迷などにも現れてきつつある。米国の景気はなんとか踏ん張っているが、米国経済が世界経済を牽引することも難しくなるのではなかろうか。新興国景気もここにきてやや暗雲が漂いつつある。このままアベノミクスが消滅すると、日銀による大量の国債買入れ作業が残るばかりとなる。それでなくても日米欧の長期金利が再び低下傾向にあり、これはリスク回避も示している。ここからの日本の長期金利の低下は国債バブルの最終局面となる可能性もありうるのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2014-10-14 08:20 | アベノミクス | Comments(0)

FRBのゼロ金利解除は来年4~6月か

 10月8日に公表された9月のFOMC議事要旨において、ユーロ圏の成長減速や物価低迷が続けば「ドルがさらに上昇し(輸出企業など)米国の対外部門に有害な影響を及ぼす」との懸念が表明されたことなどから、8日の米国市場ではFRBの利上げ観測が後退、とされたが、FRBのスタンスそのものには大きな変化はない。

 たとえばFOMCの議事要旨のなかで使われている「相当な期間」という声明の表現に関して、経済指標にかかわらずゼロ金利の長期化をコミットメントしたように映るとして見直しを求める声が出ていた。ただし、多くのメンバーは現時点で手を加えれば、緩和姿勢の本質的なシフトと誤解されるとして据え置きを主張していた。「相当な期間」はなるべく早めに修正したいが、利上げ観測の強まりにより市場に余計な動揺は与えたくない。このあたりはじっくりやっていこう、ということであろう。

 この「相当な期間」について、注目すべき人物が面白い発言をしていた。FRBの大御所、フィッシャー副議長である。フィッシャー副議長が相当な期間とは「2か月から1年程度」と指摘したのである。経済指標次第としながらも、具体的な数字がまた出てきたことが興味深い。イエレン議長が就任直後に「相当な期間」を6か月程度と発言してしまい、その発言はなかったようなことにされている。しかし、今回のフィッシャー副議長の発言から、具体的な期日についてはある程度、想定していることがうかがえる。FRBにゼロ金利解除に向けたロードマップは存在していることは確かではなかろうか。

 ここにきてほかのFOMCの参加メンバーからもコメントが相次いでいる。リッチモンド連銀のラッカー総裁は、一般にFRB当局者が投資家よりも早い利上げ開始と積極的な引き締めサイクルを見込むことに関して、懸念材料には当たらないとの認識を示していた。

 ニューヨーク連銀のダドリー総裁は7日に利上げを先送りするのは2015年半ばまでとなる可能性が高い、との見方を示した。

 サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁も9日、利上げ時期について、来年半ば頃を見込んでいると述べた。

 セントルイス連銀のブラード総裁は10月2日の講演で、「来年1-3月期に政策金利を引き上げたとしても、2012年9月に打ち出した計画に照らし合わせると、かなり慎重を期したことになるだろう」と述べている。

 ブラード総裁の発言はさておき、ハト派とされFRBの中心メンバーの一人ともいえるニューヨーク連銀のダドリー総裁が来年半ば「まで」と発言し、イエレン議長に近いとされるウィリアムズ総裁からも来年半ばとの発言が出ていた。さらにフィッシャー副議長も2か月から1年、つまり10月29日のFOMCでテーパリング終了が決定されるため、来年1月から10月あたりまでの間でのゼロ金利解除を見込んでいる。

 これらの発言からみてFRBのゼロ金利解除は、テーパリングから終了後から半年後の4月から2015年半ば、つまり6月あたりの可能性が高いのではなかろうかと思われる(4月28~29日か6月16~17日のFOMC)。

 ただし、問題は経済環境がそれを許すかということにもなりそうである。日銀の最初のゼロ金利解除はそごう問題で1か月先送りされた。今回は欧州や中国の景気動向が改めて意識されつつあり、9月のFOMC議事要旨にもあったが、日本経済とともに米経済への影響も懸念されている。あくまでこれが懸念に止まり、米国経済への影響は限定的となれば、来年春から初夏に向けてのゼロ金利解除観測が次第に強まってくることが予想される。

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by nihonkokusai | 2014-10-12 08:17 | 中央銀行 | Comments(0)

LIFFEでの日本国債先物取引の終了

 9月16日に大阪取引所はLIFFEにおいて、長期国債先物取引及び東証株価指数(TOPIX)先物取引が廃止されることに伴い、当社とLIFFEとの間の移管取引を終了するとり通知を出していた。

 10月1日よりLIFFEの長期国債先物の値段表示がなされなくなり、この日から日本の長期国債先物の取引は廃止されたようである。またひとつ、債券市場の伝統あるものが密かに消えていった。

 ロンドン国際金融先物取引所、通称LIFFE(ライフと呼ぶ)に日本の長期国債先物が上場したのは、1987年7月のことであった。日本で初めての金融先物取引である長期国債先物が東証に上昇したのが1985年10月であった。それから2年足らずでLIFFEにも上場したのである。

 1985年には銀行の国債のフルディーリングの認可もあり、債券市場は先物上場と相まって活況を呈することとなった。債券のディーリング時代を迎えたのである。

 東証の国債先物は株式市場と同様に15時で引けていた。このため、そのあとの時間帯で何かしらの出来事があった際には、先物を使ってのヘッジ等はできなかった。その時間帯の一部を埋めたのが、LIFFEの国債先物取引であった。当初は東証との相互決済はできなかったものの、ヘッジとして利用されることも多かった。

 それ以上に、海外の時間帯での、日本国債の価格の動きを知る大きな指標となっていたのである。当時の朝は、ディーリングルームの席に着くと、まずチェックしたのが欧米の株や債券、為替の動向と、LIFFEの国債先物の価格動向であった。これをもとに当日の債券先物の寄り付きの居所を探ったのである。

 2000年9月に東証で債券先物とオプションのイブニングセッションが開始された。ただし、東京時間の15時半から18時までの取引であり、18時以降についてはLIFFEの値動きを参考にしていた。

 2011年11月21日からはイブニングセッションの終了時間が18時から23時30分まで延長された。このあたりから、LIFFEよりもイブニングセッションの活用も増えたとみられ、次第にLIFFEの引けよりもイブニングセッションの引けを意識するようになっていた。

 2014年3月24日から、国債先物のイブニングセッション取引の終了時間は、11時半から、翌日午前3時に変更され、これが決定打となった。国債先物の取引は東証から大阪取引所に移された。

 イブニングセッションが午前3時まで行われることより、LIFFEでの国債先物は細り、イブニングセッションの引けが重視されるようになった。LIFFEとの間の相互決済はあったが、当然ながら市場参加者にとってイブニングを使ったほうが使い勝手は良い。このため、LIFFEでの日本の国債先物とTOPIX先物取引は上場廃止となったものと思われる。

 1985年に東証に上場された日本の国債先物は、一時売買高では世界有数のデリバティブ取引となっていた。しかし、海外市場での取引はシンガポールなどでも上場していたが、主にこのLIFFEが頑張っていた。しかし、そのLIFFEでの取引もなくなった。非常に寂しい限りではあるが、これも時代の流れということであろうか。

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by nihonkokusai | 2014-10-11 10:59 | 債券市場 | Comments(0)

長期金利0.5%割れは市場への警戒信号

 10月9日の債券市場では、10年債利回りが0.5%を下回った。米10年債利回りは一時2.28%に低下し、ドイツの10年債利回りは一時0.858%と過去最低を記録した。

 9月のFOMCの議事要旨では「相当の期間」という言葉の使い方でも議論しており、これが指標次第でなく、コミットメントと受け止められる懸念も示されていた。正常化に向けた道筋に大きな変化があったようには見えないが、市場は別な部分に反応していた。複数の委員が世界景気の減速に米景気が悪影響を受けるとの警戒感を示し、ドル高が物価を押し下げるとの懸念が示されていたのである。

 特に「世界景気の減速」との部分が注視された。複数の委員は「海外の経済成長が予想よりも弱かった場合、米国の経済成長のペースが予想以上に減速する可能性がある」と述べていた。ここにきて経済指標の悪化が目立ってきたドイツを中心としたユーロ圏の景気減速あたりも意識されていたとみられる。

 7日にIMFは「世界経済見通し」を発表し、今年の世界経済の成長率予想を3.3%、来年は3.8%にそれぞれ引き下げた。ユーロ圏中核国やブラジルなど新興国経済、さらに日本の成長の弱まりを警告した。IMFは今年の日本の経済成長率予想を0.9%とし、7月時点から0.7ポイントも引き下げ、先進国の中で最も大きな下方修正となった。

 世界の景気減速が懸念されるなか、ここにきての米国株式市場は乱高下しており、ドル高の流れにも変化が生じていた。特に米株式市場の最近の乱高下する様相は、何らかの余震も感じさせるものである。さらに欧米の長期金利が再びじりじりと低下基調を強めていることも、むしろ不安要因といえる。米国やドイツ、英国さらに日本国債を含め、リスク回避による「安全資産」としての買いが入っているように見えるためである。

 いまのところ、金融市場が激変するような具体的な材料が見えているわけではない。しかし、最近の商品市況、米国での資金の流れの変化も含め、何かしらの注意信号が発せられているようだとみている市場参加者も多い。漠然としながら、世界の金融市場がおかしくなりつつあるとの予感を抱いている人も出てきている。

 日本の10年債利回りでの0.5%はひとつの心理的な壁となっていた。ここをあっさりと割り込むほど、地合いが変わりつつあるともいえる。漠然とした不安要素がいずれ具体化してきたときは、大きな相場変動が起きる可能性もある。ここからの金融市場の動向には細心の注意を払う必要がある。

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by nihonkokusai | 2014-10-10 08:10 | 債券市場 | Comments(0)

日銀は物価目標達成の時期を修正か

 7日に日銀の金融政策決定会合があったが、このタイミングで興味深い記事があった。7日の昼に出ていたブルームバーグの「日銀が2%物価目標「2年」で達成の修正を検討へ、年内にも」との記事である。タイトルからみて、これは日銀内部からのリークかと思ったが、内容を読むとそうではなかった。元日銀副総裁やいわゆる日銀ウォッチャーと呼ばれる人たちがそのように見ているとの内容であったが、それにしてはタイトルが日銀自身がそのように考えているかのようなものとなっていた。批判するわけではなく、このタイトルに違和感というか、見えない主張が覆い隠されているようにも感じたのである。

 2013年4月の量的・質的緩和の決定の際に、「日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」とした。

 2013年3月5日に、日銀の副総裁候補に政府が提示した岩田規久男学習院大学教授は国会での所信聴取において、2%の物価目標の達成について日銀が全面的に責任を持つ必要があるとした上で、今後2年間で目標を達成できない場合は辞職する意向を示していた。

 日銀は2年で2倍で2%という数字合わせのような目標を打ち出したは良いが、どうやら肝心の物価目標の2年以内の目標達成が怪しくなり、日銀は軌道修正を図りたいとみられる。

 日銀総裁の円安容認発言をきっかけとしたここにきての円安の動きは110円でブレーキが掛かった。政府からは円安のデメリットに関する発言も出てきている。一部の大手企業に円安による恩恵はあっても、原材料費の高騰で中小企業にはダメージを与える。安倍首相は円安とそれによる株高による資産効果を強調したが、それは個人のなかでも投資額の大きないわゆる富裕層に恩恵はあっても、株などほとんど持たない層には影響はない。むしろ輸入物価などの上昇によるマイナスの影響すらある。選挙を見据えれば、ここはあまり主張すべきところではないはずである。

 日銀が頼ろうとした円安もここでいったんピークアウトしてしまうと、物価の上昇要因はあまり見当たらなくなる。IMFが7日発表した最新の世界経済見通しで、今年の日本の経済成長率予想を0.9%とし、7月時点から0.7ポイントも引き下げた。先進国の中で最も大きな下方修正となったのである。足元景気が良くないとなれば、日銀が描いていた好循環シナリオにも狂いが生じ、秋以降の物価上昇シナリオも軌道修正を迫られることが予想される。

 市場では、来年4月までに物価目標(消費者物価指数)の前年比プラス2%の達成が、日銀の異次元緩和の目的との認識でいる。このため、その目標達成が難しいとなれば、追加緩和期待が強まることも予想される。しかし、日銀の追加緩和は異次元緩和というバズーカを打ってからは、簡単にできるものできなくなっている。

 このため、日銀としては市場が認識している来年4月までの物価目標との認識を改めさせようとしているようにも思える。目標達成時期を具体的なものでなく、やや曖昧にするが、現在の異次元緩和は継続させ、来年4月以降も続けることをアピールし緩和効果を期待させるのではないかと思われる。

 はたして市場はそれで納得するであろうか。景気回復の足取り鈍く、円安の流れも変わり、株価も低迷といった状況となれば、物価目標達成の時期に関わらず、追加緩和期待が強まることも予想される。年末に向けて日銀は何らかの形で、舵の修正を行うことも予想されるが、市場の期待を繋ぎとめることができるかどうか。消費増税の行方を含めての政府とのタッグも可能なのか。年末に向けての日銀の動向はかなり興味深いものとなる。

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by nihonkokusai | 2014-10-09 09:15 | 日銀 | Comments(0)
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