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今後のCPIと円安による金融政策への影響

 9月26日に公表された8月の全国消費者物価指数によると、総合が前年比プラス3.3%、生鮮食料品を除く総合がプラス3.1%、食料及びエネルギーを除く総合がプラス2.3%となった。

 日銀が目標に掲げる2.0%の物価指数は総合ではあるが、通常、物価を見る上で参考としているのが、生鮮食料品を除く総合であり、ここから日銀が試算している今年4月の消費増税の影響分2.0%を除くと、前年比プラス1.1%となる。

 量的・質的緩和を決定した2013年4月以降のコアCPI(消費増税の影響分除く)の推移は以下の通り(数値は前年比、%)

2013年4月-0.4、5月0、6月0.4、7月0.7、8月0.8、9月0.7、10月0.9、11月1.2、12月1.3
2014年1月1.3、2月1.3、3月1.3、4月1.5、5月1.4、6月1.3、7月1.3、8月1.1

 金融緩和の影響は半年遅れて出てくるという見方があるそうだが、この数字を見る限りタイムラグなしで物価は上昇しているように見える。それだけ異次元緩和による物価上昇への影響が大きかった、わけではないであろう。

 異次元緩和のさらに半年前のアベノミクス登場での円安による影響が予想以上の物価上昇に影響を与えていたといえる。特にエネルギー価格の上昇が大きく影響していた。そのエネルギー価格の上昇幅は7月の8.8%から6.8%に縮小した。これが7月から8月にかけての上昇幅の減少に影響した。

 日銀の岩田副総裁は9月10日の講演で、「現在の物価上昇は円安による輸入物価(特にエネルギー価格)の上昇によるものであり、その効果が剥落すれば物価上昇のペースは下がるに違いない」という議論に関して、「実際のデータを確認すると、「量的・質的金融緩和」以前は、為替レートの変化と物価上昇率の間に、有意な相関は見出せません。つまり、円安が物価上昇をもたらすという関係は、必ずしも成立していないのです」と発言している。

 そして「足許の物価上昇の最大の要因は、金融政策の効果などによって経済全体の需要が拡大していることであり、そうした需要圧力があるからこそ、輸入品のコスト増や消費税率引き上げの価格転嫁も、円滑に行われている」としている。

 しかし、現実には7月から8月にかけては、今年に入っての円安一服もあり、さらにはここにきてのエネルギー価格の下落もあり、コアCPIは前年比プラス1.1%と1.0%近くまで落ち込んでいる。ここにきて円安が急速に進んでいるが、前回同様にその影響にはタイムラグがあるとすれば、すぐにCPIに跳ね返ることなく、コア指数が一時的に1.0%かそれ以下に落ち込む可能性もある。

 岩田副総裁は円安による物価上昇の波及効果について否定的な発言をしたが、黒田総裁は円安を歓迎するような発言をしており、それは今後の物価上昇圧力が弱まるため、円安により少しでも引き上げようとの意図があった可能性もある。

 円安が物価上昇に与える影響については見方が分かれていても、さすがに輸入物価の上昇等で影響が出るとみて良いかと思う。いずれ今回の急激な円安の影響も加味されると思うが、その前にいったん物価上昇にブレーキが掛かる可能性もある。ただし、円安株高が続く限りは、物価目標はさておいて市場からの日銀への追加緩和圧力が増してくることは考えづらい。しかし、円安株高が一服し、物価が思うほど上昇してこないとなれば、再び追加緩和圧力が強まることも予想される。

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by nihonkokusai | 2014-09-30 09:38 | 日銀 | Comments(1)

ドラギECB総裁の量的緩和導入への本気度

 ECBのドラギ総裁は22日の欧州議会での証言で「必要になれば、責務の範囲内で追加の非伝統的政策手段を活用し、非伝統的な介入の規模や手段の組み合わせを変更する用意がECBにはある」と表明した(ロイター)。

 さらにドラギ総裁は、フランスのラジオ局とのインタビューで、「金融政策は長期にわたり緩和的であり続ける。理事会は、2%をやや下回る水準にインフレ率を回復させるため、すべての手段を活用するという決意において一致している」と述べた(9月24日のロイター)。

 ドラギ総裁はリトアニアの経済紙とのインタビューでも「中期インフレ目標に対するリスクに断固として対処する構えだ」と述べた。さらに「低水準のインフレが過度に長期化するリスクに対処する必要性が一段と高まる場合、われわれは、責務の範囲内で非伝統的な措置を追加で実施し、非伝統的な介入の規模または内容を変更する準備ができている」と述べた(25日のWSJ)。

 ECBは12月に新本部ビルに移転するそうである。参考までに欧州中央銀行はドイツのフランクフルトにある。新本部ビルは高さ185メートルの高層ビル2棟で、建設コストは最大12億ユーロ(約1220億円)となるとか。

 ドラギ総裁はどうやら真新しい本部ビルに移転することもあり、金融政策も新たな手段に移行しようとしているように思える。マスコミを使ってのコメントは、国債買入れによる量的緩和に反対するドイツなども意識して、ユーロ圏の国民への理解を求めているようにも思える。機が熟したとみたタイミングで、ドラギ総裁は非伝統的手段に打って出る可能性は徐々に高まりつつあると見ざるを得ない。物価や景気の動向を確認しながら、早ければ年内にも追加緩和が決定される可能性がある。

 また、イングランド銀行のカーニー総裁は25日の演説で、利上げ開始が近づいているとの認識を示した。カーニー総裁は、政策金利を過去最低から引き上げる時期についての判断は最近数か月に「一段と均衡」してきたと語っている。すでにイングランド銀行のMPCでは2人の委員が利上げを主張しており、こちらも早ければ年内に利上げを行う可能性がある。

 FRBは昨日、確認したように来年3月か4月のFOMCでの利上げ、つまりゼロ金利解除を実施する可能性が高いとみている。方向は違うが、ECB、BOEそしてFRBの金融政策の変更が近づきつつある。

 それに対して日銀はどうであろうか。9月26日に発表された8月の全国消費者物価指数(除く生鮮食料品)は、前年同月比で3.1%のプラスとなった。7月よりも伸びが0.2ポイント縮小し、予想も下回った。消費税引き上げの影響分(日銀試算)を差し引くと1.1%の上昇に止まる。9月東京都区部の消費者物価指数はエネルギー価格の上昇幅が縮小したため、コアCPIは縮小した。9月の全国コアCPIの前年比はさらに縮小してくる可能性もあり、先行き前年比プラス1.0%をキープできるか、微妙な状況となっている。

 今後は円安の影響も加味する必要はあるが、円安だけでCPIを目標値まで引き上げることにも無理がある。政府の消費増税判断との兼ね合い含め、さらにはECBの量的緩和の可能性の強まりなどもあり、日銀には今後、追加緩和圧力が強まりかねない。そのために先手を打って、黒田総裁は円安容認発言をしてきたとみられる。しかし、日銀のシナリオ通りになるとも限らず、年末に向けて日銀の動向も含め、日米欧の中央銀行の動きがさらに注目を浴びることになりそうである。

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by nihonkokusai | 2014-09-29 09:39 | 中央銀行 | Comments(0)

ディーリングにおける逆張りの難しさ

 「これまで逆張りが目立った「ミセス・ワタナベ」は、ドル先高観を背景に直近では押し目買いで存在感を見せるようになっている。利益確定のドル売りを進める海外勢との対決も注目される」とのロイターの記事があった。

 そもそも「ミセス・ワタナベ」が何者であるのかが良くわからない。FXなどの取引をしている日本人の投資家というか投機家というべきか、その女性たちを総称してのものなのか。それとも日本人の個人投資家の総称なのかも良くわからない。

 それはさておき、私は1986年から2000年あたりまで債券ディーラーという仕事をしていた。ただし、大きな資金の運用を行っているのではなく、会社の資金を使ってのいわばミセスワタナベのような仕事をしていた。数十億単位で債券先物や現物債の売買を日計り、つまりデイトレード主体に行っていた。ポジションを持つのはせいぜい翌日まで。主に日中の値動きで値ざやを取る仕事であった。いわば債券版の会社の資金を使ってのミスター・ワタナベみたいな存在であった。

 1985年に銀行の国債のフルディーリング、つまり持っている国債を使っての売買が可能となり、この年には国債のヘッジを目的とした債券先物も東証に上場された。先物は少ない資金で大きな取引が可能となり、売りからも買いからも入れる。ここで債券のディーリング環境が整った。為替市場では1985年のプラザ合意後の大きな変動もあり、こちらも市場が揺れ動き、債券市場も私のようなディーラーが一斉に出てきたのである。私は1986年10月から債券ディーラーとなった。

 当時の日本の債券の値動きは、ここにきてのドル円の値動き以上のものであった。また、大手証券や銀行などが数百億から数千億円単位で動かすこともあるなど、規模も非常に大きくなり、腕さえあれば儲けられるチャンスがあったのである。

 そのなかで私は14年間、ディーラーを続けてきたのだが、特に上手なディーラーだったわけではない。年間数億円も稼ぐディーラーではなかったが、少なくとも年間での売買損を発生させたことはなかった。そこそこ稼いで生きながらえていたのだが、それをもとに書いた本が「マーケット・サバイバル」であった。

 マーケット・サバイバルにも書いたが、デイトレードのような短期勝負のディーリングで、よほど相場観に自信がある、いわば天才型のディーラーでない限り「逆張り」はリスクが高い。流れにうまく乗って飛び降りる順張り型のほうが儲けやすい。相場の流れの変化を瞬時に見分けることはかなり難しい。トレンドが変化したかどうかを見分けるのにも経験ばかりでなく、感性も求められる。さらに損切りも早くできるなど、思い切りの良さも必要となる。

 そのようななかでの逆張りという手法は、普通のディーラーであれば、損失を拡大させるだけとなる。自分の相場観に頼るばかりに損切りが遅れ、相場の変化に対して自分のポジションによってバイアスが掛かり、流れに乗れず、適切な判断ができなくなる。

 これに対して順張りは、いったん大きな動きを始めたと感じたときに、多少遅くても乗っかり、ある程度の利益が乗ったところで降りればよい。底値で買って天井で売るなんて芸当は天才ディーラーでも難しい。順張りで儲けた利益を、もみ合相場などで失わないように、小動きのときは自制し、自分にあった流れがくるのを待つ。そんなディーラーであれば大儲けは無理でも、大きな損失も出さずにサバイバルが可能となる。

 ミセス・ワタナベはいったいどのようなディーラーなのかはわからない。しかし、本当に儲けられるディーラーは債券であろうが、株であろうが、為替であろうが、ほんのひと握りである。プロ野球選手でも年収が億円単位であるのはひと握りの選手であろう。多くのミセスワタナベが生き残りをはかるのであれば、逆張りより順張りのほうが生き残る可能性は高いのではないかと思う。

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by nihonkokusai | 2014-09-28 14:44 | 投資 | Comments(0)

FRBの利上げは出口にあらず

 FRBの今後の金融政策に関しては、イエレン議長などの発言からは市場に具体的な時期の憶測を与えないようにしていることがうかがえる。あくまで雇用などを含めての米国経済の動向次第との姿勢を崩していない。

 市場では景気の先行きは不透明なため、利上げはかなり遅れるとの見方があった。これに対してイエレン議長は、米経済動向が引き続き予想を上回れば事実上のゼロ金利政策を「相当な期間」維持する方針を見直す可能性を指摘した。よほどの景気の下振れでもない限り、FRBはテーパリングの終了からそれほど時を置かずに、次の段階となるゼロ金利解除、それはつまり利上げを実施してくるであろうことは確かであろう。

 FOMCの今後の予定を確認してみたい。次回会合は10月28、29日。この会合で米国債とMBSの毎月の買入れを150億ドルからゼロにして、テーパリングを完了させるとみられる。年内はあと12月16、17日の会合(議長会見あり)を残すのみとなる。

 2015年のスケジュールを確認すると以下のようになっている。

1月27、28日
3月17、18日(議長会見あり)
4月28、29日
6月16、17日(議長会見あり)
7月28、29日
9月16、17日(議長会見あり)
10月27、28日
12月15、16日(議長会見あり)

 議長会見の有無はさておき、個人的にはイエレン議長の就任直後の会見での、相当な期間を半年とした発言と、2006年に日銀が量的緩和解除からゼロ金利解除までに要した期間の4か月程度を参考にすると、3月もしくは4月のFOMCで最初の利上げの可能性が高いとみている。

 ゼロ金利解除にあたっては、それを決定するメンバー構成も意識する必要がある。すでにフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁やダラス連銀のフィッシャー総裁の退任も伝えられている。ちなみに2015年の連銀で投票権を持つのはニューヨーク連銀と、クリーブランド、ボストン、セントルイス、カンザスシティの各連銀となる。

 ただし、あまりこのメンバー構成については、ゼロ金利解除時の動向には大きな影響はないとみている。結果としては、イエレン議長とフィッシャー副議長の意向が強く反映されると思われる。

 そして、注意すべきはゼロ金利解除が出口政策や正常化の仕上げとなるわけではないことである。FRBはテーパリングで毎月の資産買入れ額は落としてきたが、バランスシートは膨らんだままとなっている。こちらの削減が次の課題となる。

 買入れができたのならば売ればよいというものではない。市場への影響も考えれば、米国債の売りオペはかなり難しいこととなる。しかし、償還がきたものを乗り換えるだけであれば、バランスシートを正常化させるには2020年近くまでかかるともイエレン議長は指摘している。こちらの正常化をどのような手段を使って、どのようなペースで行うのかが、ゼロ金利解除後の大きな課題となろう。

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by nihonkokusai | 2014-09-26 09:35 | 中央銀行 | Comments(0)

円安を巡り政府と日銀の認識に違いも

 外為市場では円安が進み、9月19日にドル円は109円46銭まで上昇した。しかし、ここをピークにドルは戻り売りに押され、108円前半あたりまで下落した。110円という大台を手前にしての利益確定売りが入ったものと思われる。

 米国株式市場ではダウ平均など過去最高値を更新していたこともあり、こちらも戻り売りに押され、22日と23日は連日でダウ平均は100ドル以上の下げとなった。また、米国債は押し目買いが入り、10年債利回りは2.6%台から2.5%台に低下した。ドイツや英国の長期金利も同様に低下していた。

 今回のドル高、米国株式や米長期金利の上昇は、これでピークアウトしたのであろうか。ダウの下げ幅はやや大きくなってはいたが、今回の下落は一時的な調整とみられ、大きな流れに変化はなく、ドル円の110円台乗せも時間の問題のように思われる。

 安倍首相は23日夜(日本時間24日朝)、ニューヨーク市内で同行記者団と懇談し、最近の円安傾向について、「円安はプラスもマイナスもある。地方経済や中小企業への影響をしっかり注視したい」と述べ、輸入品の価格高騰などに関し、慎重に見極める考えを示した。

 2012年末にリフレ政策を掲げて華々しく再デビューを果たした安倍首相であるが、アベノミクスの目的は、2%の物価目標にあった。その原動力となったのが、自らのリフレ発言をきっかけとした円安・株高である。三本の矢をあとから掲げてはいたが、その中心にあったのが円安・株高であり、そこに政府の財政政策が多少加わったものが、アベノミクスと騒がれた。

 そのアベノミクスの勢いが削がれ、消費増税による影響が思いのほか大きいとみられていたときに、再び円安の勢いが増してきた。この流れをうまく使おうと日銀の黒田総裁は円安容認とも取れる発言を繰り返し、これもひとつのきっかけとなり、円安の勢いが増してきた。

 今回の円安は2012年11月のような急激な円高調整ではなく、ドル高が大きな要因となっている。そのドル高の背景に、FRBの利上げ観測がある。それに対して日銀は追加緩和も辞さない構えをみせており、日米の中央銀行のスタンスの違いが円安ドル高の背景にある。もちろん、米国の利上げを可能にするだけの米国経済の回復への期待と、それに対する日本や欧州の景気の低迷がドル高に拍車をかけていた面もある。

 22日にニューヨーク連銀のダドリー総裁は、急激なドル高に関して、経済成長とインフレの浮揚に向けた金融当局の努力を損なう恐れがあると発言していた。ただし、これはあくまで急激な動きに対する警鐘であり、米国としてはドル高についてはある程度、容認せざるを得ない。

 米国のルー財務長官は17日の講演会で「強いドルは良いことだ」と述べ、円安ドル高を事実上容認した格好となった。これは過去に米国の財務長官がドル高は国益にかなうと常に言い続けてきたことの延長線上にあるものの、G20でもドル高に関しては黙認となったように、けん制はしづらい状況にあることも確かであろう。

 23日にセントルイス連銀のブラード総裁は、10月のFOMCでテーパリングの終了を発表するのに伴い、声明から低金利維持の文言を削除する必要があろうとの認識を示した。10月に削除されるかどうかはわからないが、ゼロ金利解除に向けた姿勢を徐々に強めてくるであろうことは確かである。

 これに対して日銀は物価目標の達成には、黒田総裁の円安容認発言などから、円安のフォローが必要と認識しているようにも思える。26日発表の8月のCPIなども確認したいが、秋以降のCPIが予想ほど上昇してこない可能性もある。そうなれば日銀には追加緩和圧力が掛かってくることが予想される。

 現在の日銀のスタンスからみて追加緩和は、かなり難しい問題となる。むろん追加緩和手段がないと言うわけではない。ただし、バズーカと呼ばれた異次元緩和や戦力の随時投入はしないとの主張と、次の緩和ではその内容によってはスタンスに大きなかい離が生じる可能性がある。日銀への期待がそこで削がれ、むしろ市場にとっては逆効果となる懸念すらありうる。

 日銀にとってはこのまま円安の勢いが増して、株高も伴ってくれれば追加緩和は先送りできる。株高は政府にとって歓迎であろうが、円安については日本経済の受け止め方がこれまでと異なりつつあり、そのあたり今回の安倍首相の発言からもうかがえる。政府というか自民党にとって、今後の選挙を見据えると地方を意識せざるを得ないが、円安はむしろ地方経済にとってはマイナス要因ともなり、物価目標達成よりも、選挙のほうが意識されることは十分考えられる。

 ただし、相場は政府・日銀であろうとコントロールできるものではない。2012年のアベノミクスもたまたまタイミングが良かった。今回もタイミング良く、円安の勢いを強めた格好だが、この流れを人為的にうまくコントロールすることは難しい。今回、円安ドル高の動きにはいったんブレーキが掛かったが、あくまで小休止しているだけと見ておいたほうが良さそうである。

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by nihonkokusai | 2014-09-25 08:06 | アベノミクス | Comments(0)

8月は海外投資家が積極的に日本国債を購入

 9月22日に日本証券業協会は8月の公社債投資家別売買状況を発表した。これは日本証券業協会の協会員、つまり証券会社から、当月中に取り扱った公社債の一般売買分(現先(条件付売買)を除き、国債の発行日前取引を含む)の状況についての報告を基に、集計したものである。

 発表される公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっている。このため、短期債を除く債券のデータについては、全体から短期債を引いたものを使うことになる。

 8月の都銀は4671億円の売り越しとなった。7月の4527億円の売り越しに続いて、2か月連続での売り越しである。同時に発表された国債の投資家別売買状況を確認すると、超長期債を2493億円買い越し、長期債を7148億円買い越しに対し、中期債を1兆4506億円売り越していた。中期ゾーンから中長期債に乗り換えた格好で、残高を落としながらデュレーションをやや長めにしてきた。

 8月の債券相場は途中、利食い売りを挟みながら基調は上昇トレンドを維持していた。ECBの追加緩和期待によるユーロ圏の国債利回りの低下が意識され、日本国債も買い進まれ10年債利回りは0.5%を割り込んだ。

 信託銀行は7783億円の売り越し。信託銀行が売り越しとなるのは今年5月の売り越し以来。ただしその前は2012年10月以来となり、信託銀行としての売り越しは極めて珍しい。超長期債はやや買い越しとなっていたが、長期債と中期債は売り越し。GPIFのアロケーション変更に伴う動きの可能性が高そうである。むろん、GPIFだけの残高調整だけでなく、それを意識しての共済年金等も同様に残高を落としてきた可能性がある。

 農林系金融機関は4354億円の買い越し。超長期債主体の買い越しとなっていた。信用金庫は3873億円の買い越し。こちらは超長期や中期主体の買い越し。生損保は3372億円の買い越し。超長期債と中期債を買い越して、長期債を売り越していた。

 買い越しで最も金額が大きかったのが外国人であり、2兆381億円の買い越しに。ECBの追加緩和観測による欧州の国債の利回り低下などもあり、日本国債にも買いを入れてきたものと思われる。超長期債を3599億円、長期債を8971億円、中期債を7797億円、それぞれ買い越しとなっていた。

 債券相場は9月に入ってからは、それまでの上昇トレンドから調整局面に移行した。9月4日のECB理事会での追加緩和により、噂で買って事実で売る動きが出たことで、欧米の国債が売られたこともある。それとともにFRBの利上げ観測もあってのドル買いの動きに、日銀の黒田総裁の発言などをきっかけとした円売りが加わって、ドル円が9月始めの104円台から一気に109円台まで駆け上がったこと。この円安とともに米株がダウで過去最高値を更新するなどしたことによる、東京株式市場の上昇もあり、9月の10年債利回りは0.5%台の後半まで上昇した。この債券相場の下落過程では、投資家の利益確定売りなども入ったとみられ、来月発表される9月の公社債投資家別売買動向も確認しておきたい。

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市場をうまくコントロールしたFRB

 9月16日、17日に開催されたFOMCでは、予想されていたとおり、住宅ローン担保証券(MBS)と長期国債の買い入れ額を100億ドル縮小し、月額150億ドルとした。FRBはいわゆるテーパリングを10月に終了するとしており、次回10月28日、29日のFOMCにて月額150億ドルの資産買入れをゼロにし、量的緩和策を解除すると予想される。

 量的緩和政策が解除されるとなれば、次に控えるのがゼロ金利政策の解除、つまり利上げである。利上げの時期を巡っては市場ではかなり先になるとの見方が強かった。これに対してFRBのFF金利の見通しは市場観測より早めに利上げが実施される可能性を示していた。市場では元々、ハト派とされるイエレン議長が利上げについてはかなり慎重との見方を持っていた。しかし、イエレン議長は経済動向次第ながら、利上げの可能性を示唆しており、市場も次第に早期利上げの可能性を意識し始めてきた。

 このため、9月16日、17日のFOMCでは、テーパリングの10月完了を見据えて、利上げの準備に取り掛かるのではないかとの見方も強まってきた。そのひとつの作業として、FOMC後に発表される声明文のなかの、テーパリング終了後もゼロ金利政策を「相当の期間にわたり」維持するとの文面が修正されるのではないかとの観測が出てきた。これが米国株式市場を不安定にさせ、債券市場もやや動揺を示してきた。仮に今回、この「相当の期間にわたり」との部分が削除されるなり、変更されるなりすれば、FRBの利上げ観測が急速に強まり、市場が動揺し米国の株式や債券、さらにはドルが急落するような事態も想定された。

 現実にはこのタイミングで、相当の期間にわたり」との部分を削除する必要性は感じない。10月以降に削除なり変更なりしても問題はないのではと個人的には見ていた。しかし、マーケットはこの部分に注視し、相場変動に備えるような格好となった。ここに現れたのが、FRBの伝達師ともいえるウォール・ストリート・ジャーナルの米連邦準備理事会(FRB)担当であった。

 FRBはこれまでマスコミを通じてのリークというか情報伝達を行っていたとの見方がある。相場に大きな影響を与えないようにするため、もしくは市場の反応を見るため、市場に事前準備をさせるために行っているのではないかとの観測は、かなり昔からあった。その担当者は、ウォール・ストリート・ジャーナルのFRB担当とされていたのである。

 その担当であるジョン・ヒルゼンラス記者が、妙な動きを見せた。本来であれば記事に書いても良いはずなのに、速報性の強いウェブサイトのビデオを使って、事実上のゼロ金利政策を維持する期間について、FRBは声明で表現を変更はするものの従来の「相当の期間」との文言を基本的に維持すると指摘したのである。

 もちろんFRDウォッチャーとして個人的な予測を述べたに過ぎないように見えるかもしれないが、自信たっぷりに、しかもFOMC期間中なので速報性を意識してのウェブサイトのビデオを使って、過去にFEDの意向を事前に伝えていたウォール・ストリート・ジャーナルのFRB担当者がこのようなコメントをしたのである。当然、市場はこれに反応した。

 ただし、利上げについては当然視野に入る。利上げに向けての準備として声明文、もしくはイエレン議長の会見における表現のなかに、何かしらの但し書きが加えられるであろうことも、ヒルゼンラス記者は示唆していた。昨日のFOMC後に発表された声明文、及びその後のイエレン議長の会見はまさにそうなっていた。

 イエレン議長は、われわれの仕事は、政策スタンスは指標次第という点において、できるだけ明確に市場と対話するよう努めることだ。またそのように努力すると約束するとコメントした。さらにイエレン議長は相当な期間という約束には条件が伴うとの発言もあった。つまり相当な期間が意外に短い可能性を示したと言える。

 このウォール・ストリート・ジャーナルのFRB担当を使った相場の鎮静化は功を奏した。それどころか、結果として17日のダウ平均は過去最高値を更新し、米長期金利の上昇は小幅に抑え込み、ドル円は108円台に上昇したのである。結果から見る限り、うまくやったと言える。イエレン議長は市場の動揺をうまく抑え込んで、さらに利上げの可能性も浸透させてきた。このあたり、テーパリングを示唆して相場が急変してしまい、その時期を先延ばしせざるを得なかった前任者の教訓も生かされていたのかもしれない。

 FRBはゼロ金利解除に向けたロードマップは当然用意しているとみてよいが、そんなものは存在しないと主張し続けるであろう。しかし、テーパリング実施もほとんど市場には影響を与えなかったように、徐々に利上げの可能性を浸透させ、現実に利上げが行われても市場は無反応といった状況を作りたいのではなかろうか。むやみに市場を動揺させる必要はない。金融緩和はサプライズが重要で、金融引き締めは織り込ませることが重要という、当たり前の政策をFRBは目指しているようである。

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by nihonkokusai | 2014-09-23 15:23 | 中央銀行 | Comments(0)

急速な円安による日本国債の下落リスク

 円安の勢いが止まらない。ドル円は109円台に乗せ、ユーロ円は140円台を回復した。日銀の黒田総裁による円安容認発言がひとつのきっかけとされているが、チャートが意識されたテクニカル的な買戻しも入ってきたものと思われる。

 2012年11月のアベノミクス登場の際には、通貨価値を下げさせるごとくの安倍自民党総裁の輪転機発言等に、いちはやくヘッジファンドなどが反応した。ユーロ危機が後退しつつあるなかにあり、行き過ぎた円高調整がいつ入ってもおかしくないタイミングでのアベノミクスの登場であった。この円安がアベノミクスの原動力となった。

 今年4月の消費増税による影響から2014年4~6月期のGDPは大幅減となったが、1~3月期の駆け込みの反動という面も大きかった。問題は7~9月期の動向となるが。こちらもやや思ったほどの回復ではなくなる可能性が出てきた。秋以降の物価の動向についても、日銀は強気の姿勢を崩さないが、その日銀のシナリオに市場ではやや懐疑的となってきた。このあたり日銀もやや不安を抱える格好になったと思われる。

 そこで出てきたのが、再度の円安策であったとみられる。今回は急激な円高の反動といったことは期待できない。しかし、ドルが意外に底堅く推移しており、むしろじりじりと上昇し、ドル円は長い目でみてのチャートの上値の節目に届こうとしていた。この円売りドル買いの原動力となったのが、FRBと日銀の金融政策のスタンスの違いであり、米国はこの円安ドル高はある程度、容認せざるを得ない。ドル円は110円どころか120円も視野に入るようなチャートとなりつつある。

 この円安による日本経済への影響については、すでに新聞などでも取り上げられているように、決してプラス要因ではなく、むしろ輸出の伸びがとまり輸入が増えているなか、原材料費の上昇で打撃を受ける企業のほうが多くなる可能性が高い。

 しかし、今回も海外ヘッジファンドなどを含め、円売りと日本株買いはセットにしてきた。これには米国株式市場の上昇も背景にあろうが、円安にして物価を刺激させたい日銀と、株高にして支持率を上げたい政府の意向に沿ったかたちで市場は動くことになった。ここにひとつ取り残された格好の市場がある。債券市場である。

 2012年11月のアベノミクスの登場により、日本国債は日銀の大量買入れも意識され底堅いというか買いが優勢となり、長期金利は徐々に低下し、一時0.5%を割り込んできた。円安株高となれば、債券は売りがひとつのパターンであったが、債券相場は蚊帳の外に置かれた。果たして今回も同様なのであろうか。

 アベノミクスは行き過ぎた円高調整が急激に入ったものであるが、長期金利の0.5%割れも行き過ぎではないのだろうか。すでに1年物の金利がマイナスとなっているなか、行き過ぎもないだろうとの見方もある。しかし、その背景には強引ともいえる日銀の国債買入れがある。

 このまま円安が進み、さらに円売りが加速するような事態が生じるとなれば、円の下落そのものに対しての不安が生じる可能性がある。FRBの利上げにむけた動きで、米長期金利にいずれ上昇圧力がかかると、日本国債もさすがに動揺する可能性がある。

 急激な円安とそれによる物価高が意識されると、今度は日銀の物価目標達成も視野に入る。日銀の出口政策が市場で意識されると債券市場の地合いが急速に変化する可能性がある。日銀が国債を大量に買っているから、そんなことは起こりえないとの見方があるかもしれないが、それでは2013年5月のバーナンキ・ショックを思い出してほしい。FRBが大量に米国債を購入していても米債の急落は起きていた。同様の事態が日本でも発生する可能性も意識しておく必要があるのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2014-09-22 08:17 | 国債 | Comments(0)

公的年金やゆうちょ銀行が国債残高を減少か

 7月18日に日銀は2014年4~6月期の資金循環統計を発表した。この資金循環統計を基に、2014年6月末時点の国債保有者別の残高と全体に占める割合を算出してみた。ただし、これは国庫短期証券を含んだものではなく、国債・財融債のみの数値を個別に自分で集計し直したものである。一般的に国債の保有者の割合としては、こちらの数値が使われることが多い。

 6月末の国債(国債・財融債のみ、国庫短期証券を除く)の残高は、852兆4316億円(3月末840兆7572億円)と前回の3月末から11兆6744億円増加した(速報ベース)。国庫短期証券を加えると国債の残高は約1013兆円と1000兆円を突破した。

 参考までに日銀の資金循環統計の数値は額面ベースではなく「時価ベース」となっている点に注意いただきたい(財務省の国債残高などは額面ベースが多い)。以下、投資家別に残高の多いものから並べてみた

銀行など民間預金取扱機関 285兆8224億円(3月末287兆5071億円)、33.5%(同34.2%)
民間の保険・年金 228兆2342億円(同225兆3200億円)、26.8%(同26.8%)
日本銀行 169兆8223億円(同156兆8771億円)、19.9%(同18.7%)
公的年金 65兆1899億円(同66兆9164億円)、7.6%(同8.0%)
海外 35兆1977億円(同34兆4478億円)、4.1%(同4.1%)
投信など金融仲介機関 31兆6164億円(同30兆2533億円)、3.7%(同3.6%)
家計 20兆3879億円(同21兆0328億円)、2.4%(同2.5%)
財政融資資金 3978億円(同6043億円)、0.0%(同0.1%)
その他 15兆7630億円(同17兆7984億円)、1.8%(同2.1%)

 3月末に比べて、残高が最も増加していたのが例によって日銀である。3月末比で12兆9452億円の増加となっている。つまり3月末から6月末にかけての全体の増加分11兆6744億円以上を日銀がカバーしていた計算となる。次に増加額が大きかったのは民間の保険・年金で2兆9142億円増、続いて投信など金融仲介機関の1兆3631億円増。

 反対に3月末から6月末にかけて残高を大きく落としていたのは公的年金で、1兆7265億円の減少となっていた。GPIFの運用見直し作業も進んでいるようであるが、国債の残高はすでに落とてきている。

 次に残高を大きく減少させていたのが銀行など民間預金取扱機関で、3月末から1兆6847億円の減少に。内容をみてみると都銀を含む国内銀行が4兆4120億円増加させていたが、中小企業金融機関等が今回も4兆9940億円も減少させていた。ちなみに中小企業金融機関等は12月末から3月末にかけても3兆8355億円もの減少となっていた。現在、ゆうちょ銀行は個別にカウントされていないが、その多くはゆうちょ銀行の可能性が高い。また、農林水産金融機関も1兆1290億円減少させていた。上記の集計上はその他に入れてしまっているが、非金融法人企業も2兆2404億円も国債残高を減少させていた。。

 海外投資家の長期国債のシェアは4.1%。国庫短期証券を含んだ数字で見ると全体の8.5%のシェアとなり12月末の8.4%からやや増加した。個人の長期国債のシェアは2.4%に低下した。その家計の金融資産は、1644兆7604億円と過去最高を記録した。

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日銀、資金循環統計を元に作成

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by nihonkokusai | 2014-09-19 09:46 | 国債 | Comments(0)

FRBはWSJ記者を通じ意向を伝達

 9月17日の日経電子版の米国株式市場に関する記事(電子版)に以下のような解説があった。

 「米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの米連邦準備理事会(FRB)担当であるジョン・ヒルゼンラス記者が、事実上のゼロ金利政策を維持する期間について、FRBは声明で表現を変更はするものの従来の「相当の期間」との文言を基本的に維持すると指摘した。市場では利上げに前向きな表現に変わるとの見方がくすぶっていただけに、買い安心感が昼ごろから急速に広がった。」(日経新聞電子版より)

 ひとりの記者のコメントで何故、これほど相場が動くのか。これについてはある程度、FRBの動向に詳しい方であれば今回の反応に、なるほど、と思うかもしれない。しかし、その理由がわからない方もいたかもしれない。

 17日朝の牛さん熊さんの本日の債券では、下記のように指摘した。

牛「この記者は記事ではなく、速報性の強いウェブサイトのビデオで述べたそうやが」

熊「これがFRBの意思を表しているとの見方もできなくもなく、相場が大きく反応したのかな」

 FRBがイエレン議長に代わっても伝統は変わっていなかったのか確信が持てず、やや曖昧な表現となってしまったが、これはFRBの意向がこの記者に伝えられて、それを記事のような格好で市場に伝達した可能性が高い。FRBの意向を表したものとの認識で市場も動いた。

 FRBはこれまでマスコミを通じてのリークというか情報伝達を行っていたとの見方がある。相場に大きな影響を与えないようにするため、もしくは市場の反応を見るため、市場に事前準備をさせるために行っているのではないかとの観測は、かなり昔からあった。その担当者は、ウォール・ストリート・ジャーナルのFRB担当とされていたのである。

 今回は記事というかたちではなく、速報性の高いウェブサイトのビデオを使ったことから、FOMCの開催中ではあるが、その結果をそれとなく市場に伝達し動揺を抑えようとしたのではないかと思われる。

 市場では、FOMC後に発表される声明文のなかの、低金利を「相当な期間」維持する、の「相当な期間」という文言を削除するとの思惑が出ていた。10月のFOMCでテーパリングが終了する予定であり、市場は次のステップであるゼロ金利解除、つまり利上げの時期に目を向けている。もしこの文言が削除されるとなれば早期利上げ観測が強まり、市場は動揺しかねず、状況によっては市場が利上げを催促するような状況にもなりかねない。FRBはこのため、この文言は削除しないであろうことを、WSJの記者を通じて事前に知らしめたとみられる。

 ただし、利上げについては当然視野に入る。利上げに向けての準備として声明文、もしくはイエレン議長の会見における表現のなかに、何かしらの但し書きが加えられるであろうことも、ヒルゼンラス記者は示唆していた。昨日のFOMC後に発表された声明文、及びその後のイエレン議長の会見はまさにそうなっていた。

 FRBとしてはある程度のゼロ金利解除に向けてのロードマップは作成していることが予想されるが、そのようなものは存在しないという前提でコメントしてくるのではないと思われる。ただし、「相当な期間」の解釈については、相当先の話との印象から、状況次第ではそんなに先ではない可能性も織り込みたいのではないかと思われるのである。

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