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消費増税の影響は7~9月期を確認すべき

 7月30日に発表された4~6月期の米国の実質GDPは、年率換算で前期比4.0%増となった。予想は3%近辺であったことで予想も上回った。米国では1~3月期が深刻な寒波の影響でマイナス成長に陥ったの反動が大きかったとみられる。その1~3月期のGDPもマイナス2.9%からマイナス2.1%に修正された。

 4~6月期はGDPの約7割を占める個人消費が2.5%増と、前期の1.2%増から大きく伸び、民間設備投資も5.5%増と、前期の1.6%増から拡大した。輸出も9.5%増と二期ぶりのプラスとなった。

 日本の4~6月期のGDPは8月13日に発表されるが、30日に発表された6月の鉱工業生産指数が前月比3.3%低下となったことを受け、民間エコノミストの推計では7.1%減との予想となった。これは消費増税の駆け込みによる反動とみられ、1~3月期の実質GDPは前期比で6.7%増となっていたが、その伸び以上に減少するとの予想となっている。

 前回の1997年の消費増税の際は、1~3月期に3.0%増、4~6月期に3.7%減となっており、このときよりも振れ幅が大きい。ただし、このときと現在は経済を取り巻く環境が大きく異なる。1997年はバブルの後遺症ともいえる不良債権処理の遅れで金融不安が拡がりつつあった。まさに暗い状況となっていた。企業の破綻が相次ぎ、7月4日に東海興業、7月30日に多田建設、8月19日大都工業、9月18日ヤオハンが会社更正法の適用申請を行った。11月に入ると金融システム不安が一気に表面化し、3日に三洋証券が会社更正法適用を申請、17日には都銀の北海道拓殖銀行が経営破綻し北洋銀行への営業譲渡を発表した。さらに24日には証券大手の山一證券が自主廃業を届け出、26日には徳陽シティ銀行が分割譲渡と金融機関が相次いで破綻したのである。

 これに対して現在は、欧州の信用不安が後退し、サププライム問題から、リーマン・ショック、さらには欧州の信用不安と、立て続けに起きた世界的な金融ショックがやっと沈静化してきた。そのタイミングでアベノミクスが登場し、急激な円安・株高がおきてムードが一変した。2020年の東京オリンピックの開催も決定し、日本経済には明るいムードが出始めていた。消費増税前の駆け込みが一気に入ったわけだが、それだけ個人消費が回復しつつあるとも言える。このためその反動も大きくなったともいえる。消費増税による影響が果たしてどの程度あったのかは、4~6月期の数値より、7~9月期のGDPなどを確認する必要がある。

 その意味では米国経済の回復基調は心強い。FRBも予定通り10月にもテーパリングを終了し、来年4~6月あたりでの利上げも予想される。その前にイングランド銀行の利上げもあるとみられ、正常化も意識されやすい。急速な景気回復などを期待するよりも、この正常化が徐々に進むほうが、景気回復そのものも長続きするとみられる。日本だけが消費増税の影響で景気が悪化することは考えづらい。仮に日本だけが景気悪化となれば、それは消費増税の影響というよりも、別な要因による可能性を意識する必要があろう。


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by nihonkokusai | 2014-08-06 19:07 | 景気物価動向 | Comments(0)

パソコンから見た失われた15年

 自宅で使っているパソコンを買い替えた。これまで使っていたのはウインドウズのデスクトップのパソコンで、OSはXPではないが、そのあとのVISTAであった。最近になって動作が鈍くなったり、動かなくなるなどの症状が出ていたが、ついにそのパソコンから異音が出たことでハードディスクの寿命と決断して、新たなパソコンを購入した。

 これまでもデスクトップを使っていたので、今回も同様にデスクトップにした。OSは考慮した結果、最新のウインドウズ8.1とした。安定性ではウインドウズ7といわれるが、個人で使用することもあり、使い勝手より新しいものを選択した。

 故障しかけたVISTAのパソコンを購入したのは6、7年前かと思う。CPUなどの性能は劇的に向上しているのかもしれないが、ネットやもの書きに使う分にはそれほど体感的な速度に変わりなく、値段も当時とは大きな差はなかったように思う。

 買ってみてから思ったが、果たして今後もこのようなデスクトップのパソコンに需要はあるのであろうか。XPの乗り換え需要でパソコンが一時的に売れたようだが、大きな箱型のデスクトップはいずれオフィスからはなくなってくると思われる。もちろん画像処理能力が必要とされる業務や、3Dゲームなどをしている個人ユーザーにはデスクトップが必要とされるかもしれない。しかし、表計算やワードなどを中心に使う業務には、それほどの処理能力は必要ない。動画も鮮明な4Kの映像を求める人はまだ一部であろう。

 それならば現在のタブレットでも十分にその処理能力はある。ただし、画面が小さい、キーボード、マウスが使えないとの不便さがある。もちろんノートパソコンという選択肢もあるが、ディスプレーとキーボード、マウスが一体化し、そこにタブレットを接続すると通常のパソコンのような業務ができるようなコンポーネントが普及してくる可能性はある。

 iPhoneの登場をきっかけに、世界的に一気に普及した現在のスマホやタブレットは少し前のデスクトップに匹敵するかそれ以上の性能を持っており、まさにパソコンである。パソコンの普及もNECの8001のように個人から始まり、性能が向上し、NEC9001のような業務用が誕生した。スマホやタブレットも同様に個人に普及し、いずれ業務用にも広がっていくことが予想される。ちょうどいまがその端境期にいるのではなかろうか。

 パソコンが個人に普及したのがウインドウズ95が登場した1995年あたりであるが、その前に1992年に発売されたウインドウズ3.1のヒットが大きな起爆剤となっている。世の中にパソコンが普及を始めたころ、日本では政策金利が実質ゼロに近い状態となっていた。日本で失われた15年とされている期間は、ある意味、パーソナルコンピューターの普及期にあたっている。

 もちろんパソコンの普及がデフレの主要因であると指摘したいわけではない。日本だけがそのマイナスの影響を受けたとは考えづらい。日本企業もパソコンの普及により恩恵を受けたところも多い。しかし、結果としては美味しいところは米国、韓国、中国などに持っていかれたような気もする。失われた15年の間に、本当は日本で何が失われたのか。パソコンなどひとつのものに焦点をあてて考察するとまた別の理由が見えてくるかもしれない。少なくとも日銀の緩和が足りなかったからというのは、まったく理由の説明にはなっていないことは確かであろう。

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by nihonkokusai | 2014-08-06 09:26 | 景気物価動向 | Comments(2)

欧米市場を揺るがしたリスク要因

 8月1日の欧米市場ではリスク回避のような動きとなり、欧米の株式市場は下落し、欧州の債券市場ではイタリアやスペイン、ポルトガルの国債が売られた。それに対して米国やドイツ、英国の国債は買われていた。

 1日に発表された7月の米国雇用統計、非農業雇用者数は20.9万人増となった。予想の23万人程度は下回ったものの、FRBが目安としているとされる20万人は上回った。また、前月は29.8万人増と速報の28.8万人増から上方修正された。失業率は6.2%に上昇したが、労働参加率が上昇した。

 雇用統計の内容は引き続き雇用の改善を示すものであり、FRBの金融政策にはあまり影響は与えないと思われる。予定通りに10月にもテーパリングを終了させ、来年の利上げに向けた準備が着々と進められよう。雇用統計の数字はさほど市場には影響を与えず、リスク回避とみられる動きは別な要因があった。

 そのひとつはアルゼンチンのデフォルトである。国際スワップデリバティブ協会(ISDA)が、7月30日にアルゼンチン政府が債権者に支払いができなかった事態をクレジット・イベント(信用事由)と認定し、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の販売元には、購入者に保険金を支払うよう命じた。今回のISDAによる判断の結果、最大10億4000万ドルが保有者に支払われる可能性があるという(WSJ)。

 ウクライナ情勢に関してはロシアへの制裁が欧州の経済そのものにマイナスの影響を与えかねず、欧州の株式市場ではそれがひとつの懸念材料となっていた。

 中東情勢の緊迫化もリスク回避要因となっている。イスラエル軍の地上部隊は、作戦の目標がほぼ達成できたとして、パレスチナ暫定自治区のガザ地区の境界線付近まで撤退を始めたが、イスラム原理主義組織ハマスはロケット弾を発射するなど攻撃を続け、各地で衝突は続いている。

 そしてもうひとつの懸念材料が、ポルトガルの銀行、エスピリト・サント銀行(BES)の問題である。1日に同行の株価が急落し、取引停止という事態となった。公的資金注入かとの観測も流れたことが背景にあったが、実際にポルトガル中央銀行がBESの経営権を取得する事態となった。49億ユーロによる救済となるが、ポルトガル中銀は銀行整理基金から救済資金を賄う。預金は劣後債以外の全ての債券と共に全て保護されるが、株主と劣後債保有者は損失を被る。BESは新たにノボ・バンコと名付けられるグッドバンクと、エスピリト・サント財閥向けエクスポージャーで構成されるバッドバンクに分割される。BES株は上場廃止となる。

 イングランド銀行とFRBが正常化に向けて歩を進めるなかにあり、日銀とECBは緩和方向を向いたままとなっている。ユーロ圏の信用不安は後退しているものの、この後遺症が残り、今回のような問題が発生した。BESの問題が新たな危機を招くことは考えづらいが、欧州の回復にはさらに時間が掛かり、その間、ECBは緩和姿勢を貫かざるを得ない。その分、ドイツの国債利回りにはさらに低下圧力が加わることも予想され、それが英国や米国の長期金利の上昇抑制要因となっている。

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by nihonkokusai | 2014-08-05 09:54 | 国際情勢 | Comments(1)

米株急落、グリーンスパンの予言が的中なのか

 7月31日の米国株式市場でダウ平均は317ドル安と大幅に下落した。ナスダックも93ポイントの下落となり、S&P500種も39ポイント下落した。特に何かしらの売り材料が出たわけではない。いくつかの要因が重なり合っての下落であったと思われるが、この下落を予言した人物がいた。元FRB議長でマエストロとも呼ばれたアラン・グリーンスパンである。

 グリーンスパン氏は30日に、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「株式市場はかなりの長期にわたって相当急激に回復しており、著しい調整をいずれ迎えることを想定しておく必要がある」と述べた上で、「それがどの時点になるのかは分からない」と説明したそうである。

 この発言そのものが31日の株価の急落に影響を与えた可能性も否定はできないが、グリーンスパン氏の見方と同じような認識を持っていた市場参加者がいったん売りを出してきた可能性もある。グリーンスパン氏の予想はもう少し腰を据えた調整かと思われ、31日の米株の下落をもって予想が的中したとは言えないが、金融政策ではなくマーケットの見方として、グリーンスパン氏の分析は念のため意識しておく必要もあるかもしれない。

 31日の米株の急落のきっかけは、欧州での株式市場の下落にあった。欧州の株式市場の下落は、欧米による対ロシア制裁により欧州経済に大きな影響が出ることも予想された上に、ポルトガルのBESが公的資本の注入を迫られるとの観測なども影響したようである。直接的な影響はさておき、アルゼンチンの債務問題をめぐる懸念も不安要因となり、中東などでの地政学的リスクも意識されていた可能性がある。

 ただし、欧州の債券市場では特にリスク回避のような動きは出ておらず、ドイツの10年債利回りはほとんど居所は変わっていなかった。さらに米債をみると一時10年債利回りは一時2.60%するなど、31日の欧米の株式市場の下落はリスクオフといった動きではなかった。

 ダウ平均やS&P500の最近の日足チャートをみると目先の高値をつけたあと、ここにきて少し調整売りが入っていた。31日はその動きが加速したものとの見方もできる。米雇用統計の発表を控えてはいるが、チャートはいつ崩れてもおかしくない格好であり、いったん利益確定売りに押された結果、予想以上の下げとなってしまったように思われる。

 この下げがFRBの利上げが意識されてのものとの見方もあった。30日に発表された米国の4~6月期の実質GDPは年率でプラス4.0%となり予想も上回った。FRBの利上げはかなり慎重に行うであろうとの見方も多い。30日のFOMCの声明文からも慎重姿勢は伺える。しかし、その声明文は市場が早期利上げ観測で動揺することをなるべく抑えたいがための表現との見方もできる。

 10月でのテーパリング終了を宣言しているのに、利上げは意識していないはずもなく、テーパリングが可能となった段階で次のステップを視野にいれない方がむしろおかしい。半年程度の期間をおいての利上げはある程度、想定されるはずだが、市場では慎重派も多い。GDPを受けて慎重派が利上げ予想時期を前倒してきたことが、株安の一因となった可能性もありうるか。

 31日には米10年債利回りが2.60%まで上昇したことをみてもそれは伺えるが、その後押し目買いから2.56%まで戻していた。利上げ観測が強まっても米長期金利の上昇は抑制されている。実はこれ、以前の日本でもみられたことであった。

 2006年3月に日銀は量的緩和政策を解除し、7月にゼロ金利政策を解除した。10年債の利回りは2006年1月に1.4%台となっていたが、日銀の量的緩和解除の可能性が高まってきたことからほぼ一貫して利回りは上昇を続けた。3月の量的緩和解除後も長期金利は上昇を続け、5月には長期金利は2.005%をつけてきたが、ここがピークとなった。7月のゼロ金利解除により再び2%近くまで10年債利回りは上昇したもののこの際には、2%には届かずに、利上げが実施されたにも関わらず、その後の長期金利はむしろ低下傾向を強めた。

 米長期金利でいえば3%ラインが、2003年当時の日本の長期金利の2%ラインのような感じてある。日本とまったく同様の動きとなるとは言わないが、長期金利の決定要因として政策金利の居所が大きく影響していることも確かであり、利上げがあったとしても政策金利が大きく跳ね上がるわけではなく、その意味で長期金利も大きく跳ね上がることは考えづらい。

 話がいつの間にか、長期金利となってしまったが、今回の米株の大幅下落はテクニカルな部分を含めての調整売りかと思われる。株式市場も次第に利上げを織り込むことも予想され、むしろ利上げができる環境となっていることを材料視してくることも考えられる。さらに長期金利の上昇が株価を抑えるようなことも考えづらい。グリーンスパンの予言は短期的に当たったかもしらないが、本格的な調整を迎えるまでには至らないのではないかと思われる。

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by nihonkokusai | 2014-08-02 07:05 | 債券市場 | Comments(0)

日銀の物価目標はすでに達成しているのか

 31日の日経電子版に「家計の実感では物価2%達成?」との記事が掲載された。市場ではあまり材料視されていなかった29日の石田日銀審議委員の講演であったが、このなかに興味深いポイントがあった。

 物価をみるにはいろいろな指標がある。消費者物価指数、企業物価指数、GDPデフレーターなどが代表的な指標となる。このなかで日銀が目標としているのは消費者物価指数であり、そのなかでも生鮮食料品を除く、コア指数と呼ばれるものである。物価目標の設定の前からコアCPIが展望レポートなどでも使われてきたように、長らく日本の物価の代表的なものとなっている。

 消費者物価指数の算出にあたってはかなり複雑な構造となっている。これについては総務省統計局のサイトにも説明があるものの、具体的な新型テレビの評価等については明らかにされていないなど一部ブラックボックスとなっているところもある。それはさておき、以前からコアCPIを引き下げているのでは、と指摘されているものが存在していた。「持家の帰属家賃」である。

 石田委員は今回の講演で「持家の帰属家賃を除く総合指数」について指摘していた。この持家の帰属家賃とは、「実際には家賃の受払いを伴わない自己所有住宅(持ち家住宅)についても、通常の借家や借間と同様のサービスが生産され、消費されるものと仮定して、それを一般市場価格で評価した概念的なもの」との注釈があったが、つまり消費者物価指数には賃貸住宅の家賃は含まれるが、持ち家についてはローンの頭金や支払いは含まれないため、その部分をいま持ち家を貸し出したものとしての家賃水準として算出している。つまり実際には消費されていないものである。そして、「帰属家賃はほぼ一貫して前年同月比0.3~0.4%程度の下落率となっており、CPI全体の伸びを押し下げる要因になっていた」(日経電子版)。

 30日の日経新聞の記事にもあったように、国内の住宅総数に占める空き家の割合が過去最高水準となっていた。景気動向等に関わらず帰属家賃が上がるような状況にはない。これがCPIそのものの足を引っ張る格好となっていた。

 石田委員は「持家の帰属家賃を除く総合」指数の動きをみると、「足もと6月の伸び率は+4.4%とコア指数よりも1%以上高い水準にあり、それが最近の実質賃金の大幅減につながっています。また、このところの推移をみると、昨年11月の時点で 1.9%に達したあと、直近6月までの間、消費税率引き上げの直接的な影響を除くベースでみて、2%近傍の水準で推移しています」と指摘している。そのグラフも講演要旨で確認できる。実際に払っているわけでもない持家の帰属家賃を除く指数では、すでに安定的に2%水準を達成しているとの見方も可能となる。

 持家の帰属家賃を除く総合指数が2%に達したから、目標達成というわけにはいかないであろうが、家計の実感として2%程度の物価上昇は感覚として達成しているとの見方もできなくはない。もちろん日銀は今後の政策運営にあたっては慎重に行ってくることが予想され、石田委員も「個人消費が底堅く推移していくためには、先行きの所得に対する改善期待が高まることが何よりも重要と考えられる」と指摘している。単純に物価だけで目標に達すれば良いというわけではなく、賃金の上昇等を受けての2%あたりの物価水準への移行が重要である。

 「消費者物価全体の基調的な変化を、総合指数やコア指数をはじめとする様々な物価関連指標で捉え、総合的に判断されるべきものである」との石田委員は指摘している。持家の帰属家賃を除く総合指数だけをみて、目標達成とはいかないであろうが、様々な物価指標の一部が目標達成を意識させていることは認識しておく必要があるかと思う。

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by nihonkokusai | 2014-08-01 09:38 | 日銀 | Comments(0)
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