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新年度入り後の国債市場の変化点

 まもなく新年度入りするが、消費増税などを含めていろいろと変化も出てくることで、今回は国債に関しての変化についてまとめてみた。

 すでに長期国債先物は3月24日に大阪取引所のシステムに統合された。これにより長期国債先物の取引にも変更があり、これまで誤発注予防のため呼値可能値幅が設定されていたが(例えば長期国債先物はザラ場中は20銭等)、これが即時約定可能値幅となり、上下10銭を飛んで動くような場合にはいったん板寄せのような格好となり、昔のスタイルに戻った。さらに成り行き注文は出せなかったが、引け成り行きの注文も可能となる。取引時間帯についてはイブニング・セッションが午前3時まで延長された。

 さらに4月7日からは超長期国債先物の取引が再開される。超長期国債先物取引は2002年の12月限月以降は新たな限月取引を休止していた。再開される超長期国債先物については、標準物のクーポンは6%(長期も6%)、取引単位1億円(同1億円)、呼び値の刻みは100円につき5銭(同1銭)、即時約定可能値幅は30銭(同10銭)、受け渡し適格銘柄は残存18年以上21年未満の20年利付国債(同残存7年以上11年未満の10年利付国債)となっている。値幅制限に関しては9.0円(同3.0円)となっている。

 国債発行についても4月から一部の年限の国債の発行額が変わる。2年国債は毎月2.9兆円の発行額が2.7兆円に減額される。5年国債は毎月2.7兆円、10年国債も毎月2.4兆円、20年国債も毎月1.2兆円とこれらは毎月の発行額に変更はない。30年債は5千億円が4回、6千億円が8回から、6千億円が4回、7千億円が8回に変更される。5月・8月・11月・2月に6千億円、その他の月に7千億円の発行を予定している。40年債は3千億円4回と前年度と同じ。

 10年物価連動国債は今年度は3千億円で2回発行されたが、来年度は4千億円の4回発行が予定されている。流動性供給入札については、今年度の毎月6千億円の発行から来年度は毎月7千億円の発行となる。

 この流動性供給入札については、これまで国債市場特別参加者の指定基準のなかでの応札義務が課せられていなかったが、4月1日以降は他の国債入札と同様に、発行予定額の3%以上の応札義務が課せられる。ただし、落札義務はこれまで同様に課せられない。流動性供給入札は国債市場の流動性の維持および向上等を目的として実施するものであり、財政上の理由から発行しなければならないものではない。この意味で落札義務までは必要はないとされたものと思われる。

 10年国債の発行条件については、昨年7月以降、新発債の表面利率と入札日の市場実勢利回りの乖離が概ね15bpである場合にはリオープン発行とし、1月以降はこれを20bpに拡大してリオープン発行としてきたが、今年4月及び5月の10年債のリオープン方式については、現行の方式を継続するとしている。

 4月以降で国債市場に関わる変化点をピックアップしてみたが、特に大きな変更点があるわけではなく、市場への影響もほとんどないものと思われる。ただし、日銀の大規模な国債買入が依然として日本の債券市場に影響を及ぼしていることに変わりはなく、国債の発行や先物を含めての市場の変化よりも、日銀の今後の動向のほうが影響力は大きいように思われる。

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by nihonkokusai | 2014-03-31 08:07 | Comments(0)

予想インフレ率を探す日銀

 日銀の黒田総裁は、講演でデフレから脱却するためには「インフレ予想への働き掛け」が必要であると発言している。人々の間に「物価は上がらない、むしろ下がるものだ」というデフレ予想が生まれ、デフレ予想自体が自己実現的に物価の上がりにくい経済を作り上げてしまったとしている。そもそもデフレ予想が生まれた背景は何であるのか。それは日銀の金融政策だけが原因であったのかといった問題は、ここではさておき、そもそもインフレ予想、デフレ予想なるものとは何であるのか。

 人々の将来の物価に対する予想という、かなり曖昧で漠然としたものを操作しようとしているのが、現在の日銀の異次元緩和である。その漠然としたものを数値で示せばわかりやすいとばかり、日銀の岩田副総裁はかつてから予想インフレ率を示すものとして、日本の物価連動国債のBEIのグラフを使っていた。そもそも新規発行が停止中であったことで10年債ながら残存5年程度の既存の物価連動国債の流動性はあまりに低かった。昨年10月よりあらたに物価連動国債の発行は再開されたが、発行額はまだ6千億円程度しかない。そこから導き出される数値に何らかの意味を取りだそうにも無理がある。それ以前に人々のインフレ予想と言いながら、物価連動国債から見いだされる予想インフレ率とは、それでなくても債券市場関係者という限られた世界の人間のなかの、さらに一部の市場参加者のたまにつける売買(気配?)によるものである。

 このあたりも意識されてか、日銀はここにきて違うものから予想インフレ率を見いだせないかとしているようである。その動きのひとつに4月1日に発表される日銀短観から新たに加わる企業の物価見通しがある。調査方法としては、従来の日銀短観の業況感、事業計画に続く3番目の質問として、1年後、3年後、5年後の「販売価格見通し」と「物価全般の見通し」の2種類について、具体的な上昇(下落)率を聞くそうである。この物価見通しについては基本的には消費増税の影響を除いた回答を要請しているとか。(ロイター)

 標本数からみてBEIに比べるとより多くの予想値が集まるものと思われるが、それでもこれは企業経営者が経営計画等を立てる上での物価見通しであり、ある程度のバイアスも掛かりやすい。参考数値としては面白いものとなるかもしれないが、これが人々の予想インフレ率の数値として用いるにも無理があろう。この調査は、黒田総裁が2%の物価目標を掲げる以前の2年程前から議論されてきた調査だと、日銀は説明しているが、何故、このタイミングで始めたのであろうか。

 そして日銀は27日に「家計のインフレ予想の多様性とその変化」とするレポートを公表した。ここでは「インフレ予想は予想する主体によって様々であるという基本的な特性には、必ずしも十分な関心が払われてこなかった。」とのコメントがあった。日銀は当然ながらこの点は認識しているようである。さらに日銀が4半期ごとに実施している「生活意識に関するアンケート調査」の集計結果を利用し下記のようなコメントをしている。

 「5年予想の分布は、「物価安定の目標」を認識している家計の方が、2%を中心に鋭く尖った形状となっている。一方、同目標を見聞きしたことのない家計は、予想分布の山が低く、その分、両裾が相対的に厚い。こうした現象は、金融政策に関する情報発信が、家計の多様なインフレ予想を2%に収斂させる役割を果たしている可能性を示唆している。」

 ちなみにこのアンケート結果からは、日銀が消費者物価の前年比上昇率2%の目標を掲げていることを知っているとしている人は全体の3割に過ぎず、さらに見聞きしたことがないとの回答が4割近くいた。

 もし私が金融市場とか日銀の金融政策についてさほど関心はなく、それでもニュースとかで、日銀が大胆な金融緩和で物価を上げようとしている。実際に円安などによる影響で日常品の値上がりとかガソリンの値上げもみてきた。そうであれば、日銀からきたアンケートでは、日銀のいうところの2%という数値を意識して記入した可能性がある。これがインフレ予想の引き上げそのものだといわれれば、そう取れるかもしれない。しかし、書いた本人は2%という数字に何かしらの意味を見いだしているわけではない可能性もある。このようなアンケート結果からインフレ予想を無理矢理導きだすこともかなり無理がある。インフレ予想とはあくまで漠然としたものであり、それを数値化することそのものが実は困難なものであり、いうなれば相場の地合みたいなもので、感覚として捉えるしかないものなのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2014-03-30 11:52 | 日銀 | Comments(0)

日銀の政策委員内の不協和音

 昨年4月4日に日銀の量的・質的金融緩和政策(QQE)、いわゆる異次元緩和政策が決定して、まもなく1年目を迎える。今年4月の日銀の金融政策決定会合は4月7日と8日に開催される。

 3月19日以降に立ち続けに金融政策を決めるメンバー、いわゆる政策委員の講演が続いていた。19日に黒田総裁と木内委員と佐藤委員、20日と21日にも黒田総裁の講演があり、24日には岩田副総裁の講演もあった。

 昨年4月の異次元緩和以降の金融政策決定会合では、昨年4月28日から今年3月11日まで都合13回の決定会合が開かれた。このなかで金融政策そのものの決定に関しては、13回すべてにおいて全員一致での現状維持が決定されている。しかし、次回の決定会合以降はこの全員一致が崩れる可能性があり、最近の政策委員の講演内容をみると、その予兆のようなものを感じさせる。

 黒田総裁は19日の講演で、「これまでのところ、量的・質的金融緩和は、狙いどおりの効果を着実に発揮しています」としている。予想インフレ率は体として上昇し、名目金利は先進国の長期金利が景況感の改善などに伴って上昇しているのとは対照的に、わが国の長期金利は0.6%前後という極めて低い水準で安定的に推移している。日本経済は緩やかな回復を続け、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は政策の導入時にはマイナスだったが、直近のデータでは1%台前半のプラスまで改善していると指摘。わが国経済は2%の「物価安定の目標」の実現に向けた道筋を順調に辿っており、我々はこの政策に確かな手応えを感じているとしている。

 これに対して19日の木内審議委員の講演では、「私自身は、この間の物価上昇率の押し上げに最も大きな影響を与えたのは為替要因であったと考えており、為替要因を除いた基調的な物価上昇ペースは、より緩やかであるとみています」としている。さらに「私自身は日本の中長期の予想物価上昇率は、日本銀行が掲げる物価目標の水準や財・サービス及び労働市場の需給関係よりも、潜在成長率や労働生産性上昇率などの供給側の要因で決まる部分が大きいと考えており、少なくとも現時点では、2%という水準は日本経済の実力をかなり上回っているとみています」とコメントしている。さらに「量的・質的金融緩和は、正常化のプロセスが容易でない、財政ファイナンス観測を高めかねないなどの相応に大きな潜在的リスクを抱えている」と指摘している。

 そしてやはり19日に講演を行った佐藤審議委員は「物価安定の目標が目指すのは、単に物価だけが上昇するのではなく、全般的な経済情勢の改善とともに賃金が上昇し、それとバランスよく物価が上昇する世界である。私見だが、そうした世界では、2%の目標といえども上下にアローワンスがあると考えるのが自然であろう。」と指摘した。また「巨額のマネタリーベースの供給が人々の予想物価上昇率に実際に影響を及ぼし得るかどうかについて知見は分かれる」との発言もあった。ただし、「予想物価上昇率への働きかけは、残された数少ない政策手段の一つと認識している」とも発言している。「中央銀行が名目長期金利水準をコントロールすることには限界があるので、政府による財政健全化の取り組みは極めて重要である。とりわけデフレ脱却の前後では、決定的に重要となってくる。」との指摘もあった。「自由な資本移動の下で中央銀行は万能ではない。たとえば、先ほどの名目長期金利の決定メカニズムに即して言えば、仮に、中央銀行が政府の調達コスト抑制のために国債市場への介入を増やしても、中央銀行による国債購入の増加が財政規律を弱めると市場に判断されれば、かえってプレミアム部分が上昇する可能性がある。」との指摘も重要なポイントとなる。

 24日の岩田副総裁の講演では、「消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、暫くの間、1%台前半で推移するとみています。その後は、次第に上昇傾向に復し、2014 年度の終わり頃から 2015 年度にかけて、物価安定の目標である2%程度に達する可能性が高いとみています」と目標達成に向けて順調に進んでいることを強調していた。

 昨年4月の量的・質的金融緩和政策は、過去の日銀の政策の延長上にあったものであり、規模を極端に膨らませたに過ぎない。しかし、安倍自民党総裁のリフレ政策に沿ったものであり、それまでリフレ的な政策には距離を置いていた日銀にとって大きな政策変更であったことも確かである。翁・岩田論争での宿敵とも言える岩田氏が副総裁に就任したことからもそれが伺える。つまり執行部と呼ばれる総裁・副総裁が変わり、金融政策そのものが過去の日銀が行ってきたものとは異質なものになった。これに対して本来、執行部以外の審議委員からは異論が出ていてもおかしくはなかったが、前述のように4月4日以降の金融政策は全員一致で決まっている。

 ただし、異次元緩和が決まった際、とりあえず1年は様子を見るつもりだとの一部の審議委員からの発言もあったようである。その1年がまもなく経過する。CPIの数字からみれば、確かに順調に目標達成に向かっていると言えなくはないが、そこに潜むリスクを木内委員や佐藤委員は指摘している。4月には消費増税があり、政府の一部からも追加緩和を求めるようなコメントも出てきている。債券市場はさておき、株式市場や外為市場からは日銀の追加緩和を求める声も出ている。その追加緩和を巡っては日銀の政策委員の間でも意見は割れることが予想される。異次元緩和から1年が経過し、これからは日銀の政策委員内の不協和音が高まっていくことが予想される。これはこれで本来の金融政策を決める姿ではあるが、いずれにせよ現状、日銀が危険な橋を渡っていることは確かであり、その行方を決めるのも日銀である。その動向次第では、山の如く動かなかった国債市場が動意を示す可能性もありうる。

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by nihonkokusai | 2014-03-27 09:27 | 日銀 | Comments(0)

昨年末現在の日本国債の保有者

 3月25日に日銀は2013年9~12月期の資金循環統計を発表した。これによると2013年12月末時点での家計の金融資産は1644兆7310億円と過去最高を更新した。株価の上昇による影響が大きかったとみられるが、それだけ国債購入余力が増加したともいえる。その国債は異次元緩和以降の日銀が積極的に残高を増やしている。

 この資金循環統計を基に、2013年9月末時点の国債保有者別の残高と全体に占める割合を算出してみた。ただし、これは国庫短期証券を含んだものではなく、国債・財融債のみの数値を個別に自分で集計し直したものである。一般的に国債の保有者の割合としては、こちらの数値が使われることが多い。

 12月末の国債(国債・財融債のみ)の残高は、827兆0624億円(9月末817兆6857億円)と前回の9月末から9兆3767億円増加した(速報ベース)。国庫短期証券を加えると約985兆円となる。参考までに日銀の資金循環統計の数値は額面ベースではなく「時価ベース」となっている点に注意いただきたい(財務省の国債残高などは額面ベースが多い)。以下、投資家別に残高の多いものから並べてみた

銀行など民間預金取扱機関 287兆4828億円(9月末293兆4269億円)、34.8%(同35.9%)
民間の保険・年金 224兆3643億円(同221兆7273億円)、27.1%(同27.1%)
日本銀行 143兆6162億円(同128兆4982億円)、17.4%(同15.7%)
公的年金 68兆5603億円(同69兆0849億円)、8.3%(同8.4%)
海外 32兆5652億円(同33兆0306億円)、3.9%(同4.0%)
投信など金融仲介機関 31兆3958億円(同31兆0690億円)、3.8%(同3.8%)
家計 21兆4229億円(同21兆9728億円)、2.6%(同2.7%)
財政融資資金 4947億円(同6226億円)、0.1%(同0.1%)
その他 17兆1602億円(同18兆2534億円)、2.1%(同2.2%)

 2013年9月末に比べて、残高が大きく増加していたのが2013年4月4日の金融政策決定会合で量的・質的金融緩和、いわゆる異次元緩和を導入し大規模な国債買入を行うことになった日本銀行である。9月末比で15兆1180億円もの増加となっている。9月末から12月末にかけて最も増加したのが日銀であり、次に民間の保険・年金が2兆6370億円増加させていた。特に企業年金が1兆7280億円の増加となっており、6月末から9月末にかけて4兆円程度増加させていた民間生命保険は1564億円の増加に止まっていた。

 反対に9月末から12月末にかけて残高を大きく落としていたのは銀行など民間預金取扱機関で5兆9441億円減少させた。6月から9月にかけては5325億円とやや残高を増加させていたが一転減少させた。特に減少幅が目立ったのは、中小企業金融機関等で4兆8290億円もの減少となっていた。都銀を含めた国内銀行は4681億円の減少となっていた。

 公的年金は5246億円の減少であるが、今後はここの動向も気掛かり材料となる。昨年、3月から6月にかけては銀行の売却を日銀とともにこの公的年金の買いで支えた格好となっていたが、今後は売り手の代表となる可能性も出ている。

 海外投資家は4654億円の減少となっており、長期国債のシェアは3.9%。国庫短期証券を含んだ数字で見ると、海外は全体の8.3%のシェアとなり9月末の8.0%からやや増加した。個人は5499億円の減少となり長期国債のシェアは2.6%に低下した。

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by nihonkokusai | 2014-03-26 09:33 | 国債 | Comments(0)

債券先物は世界のデリバティブ発祥の地に引っ越し

 2014年3月24日より、大阪証券取引所と東京証券取引所のデリバティブ市場が統合され、これまで両取引所で取引されていた商品は大阪取引所(デリバティブ市場統合日より、大阪証券取引所は「大阪取引所」へ社名を変更)で取引されることになる。つまり、東証と大証のデリバティブ売買システムが大阪取引所のシステムであるJ-GATEに一本化される。(以上、大阪取引所のサイトを参照)

 債券先物取引と呼ばれる長期国債先物取引は、1985年に日本で最初に上昇された金融先物取引であるが、こちらもTOPIX先物などと一緒に24日から大阪取引所で取引される。ただし、債券先物取引はすでに電子取引となっており、東証の立会場から大証の立会場に取引する人が移るといったことではなく、処理するコンピュータが東証のものから大証に切り替わることになる。

 デリバティブ市場の統合で何か社会に影響があるのかといえば、たぶんない。債券先物でいえば、先物の端末を操作している現場の担当者やシステムの関係者などは忙しかったと思うが、過去の債券先物のシステム変更に近いものであったのではないかと推測される。つまり、取引する人にとっても特に大きな変更ではない。

 ちなみに変更点としては、夜間取引の取引終了時刻が翌3:00に統一されたり、板寄せの際のマッチング・ルールがあったり、即時約定可能値幅(DCB値幅)制度があったりするが、このあたりはかなり専門的となるので、ご興味のある方は大阪取引所のサイトの「デリバティブ市場統合、商号変更及び新商品関連情報」に説明があるので参照してほしい。

 デリバティブ市場が大阪取引所に統合されることについては、債券先物にほぼ上場当初から関わってきた私にとっては個人的に寂しい気もするが、歴史的に見て実は大阪こそが世界のデリバティブ取引の発祥の地でもあり、ある意味ふさわしいものと言える。

 現在のかたちでのデリバティブ、つまり金融派生商品が登場したのは、米国のシカゴにおいてである。米国では19世紀に中西部の開拓が進み、穀物の取引が盛んになる。ミシガン湖畔で海上交通上の主要地であったシカゴに穀物は集められ、この穀の季節的な価格変動リスクを避けるために、収穫前に値段を決め収穫時に現物を受け渡すといった取引が盛んになる。1848年に世界初の先物取引所といわれるシカゴ商品取引所(CBT)が設立され、ここではまず穀物に対する先物取引が行われ始められた。この先物取引のモデルとされたのが、大坂堂島の米の先物取引なのである。

 江戸時代の大坂には諸藩が設けた蔵屋敷に年貢米が送られる。米の売却は蔵屋敷での競争入札で行う。落札した業者は代金の一分を支払い、蔵屋敷発行の米切手(米手形)を受け取り、一定期日以内に米切手と残銀を持参して蔵屋敷から米を受け取る仕組みとなっていた。この取引が時代とともに少しずつ変わり、米切手が転売されていくようになり、米切手そのものが米現物の需給に関係なく売買の対象となっていった。

 江戸時代の堂島米市場では着地取引として米の廻着を待たずに米切手が先売りされるようになる。米切手の保有している商人は米の価格変動リスクにさらされることとなり、この米価の価格変動リスクのヘッジを目的として「売買つなぎ商い」という先物取引が考案された。この「つなぎ商い」が1730年に徳川幕府により公認され、堂島米会所が成立したのである。

 すでに金融取引のデリバティブの隆盛時代は過ぎ去ってしまったかもしれないが、現在の金融取引にはなくてはならないものとなっている。そのデリバティブの聖地がシカゴであるとするならば、デリバティブの発祥の地は大阪であるともいえる。その大阪で24日から日本初の金融デリバティブ商品である債券先物も取引されることになるのは、ある意味感慨深いものがある。

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by nihonkokusai | 2014-03-25 10:02 | Comments(0)

タヌキ度が低そうなイエレン議長

 FRBのイエレン議長が就任後初めて開催された3月18日、19日のFOMCは、正常化に向けた道筋をさらに印象づけた格好となった。

 予想されていたように毎月の債券購入額を4月からは550億ドルに減額(現状は650億ドル)することを決定した。4月からMBSの購入額を月額300億ドルから250億ドルのペースに、米国債は月額350億ドルから300億ドルのペースに減額する。

 テーパリングは淡々と進められており、このままFOMCの会合のたびに債券の買入額を100億円程度ずつ縮小すると仮定し、3月18~19日に550億ドルに減少させ、4月29~30日に450億ドル、6月17~18日に350億ドル、7月29~30日に250億ドル、9月16~17日に150億ドル、10月28~29日に150億ドルを一気に減らしてゼロとすれば、今年の秋のうちに終了することが予想される。

 フォワードガイダンスも修正し、6.5%という失業率の数値基準を削除した上で、実質的なゼロ金利解除を検討する際の条件は、労働市場やインフレ圧力など幅広い指標を考慮するとした。すでに1月の失業率が6.6%と数値基準に接近してきたことで、数値基準は取り除いた格好である。これはフォワードガイダンスの強化ではない。むしろ、裁量余地を拡げた格好ともなり、テーパリング完了後は利上げの準備にかかることを示唆しているものとみた方が良さそうである。

 これについては、イエレン議長としての初の記者会見において明らかとなった。テーパリングを秋あたりに終了後、利上げまでは相当の期間(considerable period、声明文はconsiderable time)があるとしていたが、その期間とはどの程度なのかとの記者からの質問に対し、その相当の期間とは「Around Six Months」との考えを会見でイエレン議長は示したのである。

 つまりテーパリング終了後、半年程度に利上げを準備するであろうとの見通しを明らかにしたのである。これは初の会見ということで緊張してつい口が滑って、自分の想定していたロードマップを答えてしまったとの見方もあるが、もちろん意図的に答えた可能性もある。

 この発言を受けて19日のダウ平均は200ドル以上下げる場面もあったようだが、その後は下げ幅縮小しており、市場の動揺も多少落ち着きを見せている。見方によれば、利上げが可能なほど、イエレン議長は今後の景気動向に自信を持っているとの見方もできる(追記、19日のダウ平均は114ドル安。20日は良好な経済指標が意識されて108ドル高)。

 FRB議長も人が変われば当然ながら対応も変わる。グリーンスパン元議長は難解な単語や言い回しを用いて煙に巻くことがよくあった。バーナンキ議長もはっきりしたことは示唆せずに曖昧さを残して市場の期待も損なうようなことは避けていた。

 これは日銀総裁にも言える。日銀法改正後の総裁としては、速水元総裁は市場を煙に巻くようなことはせず、その分、政府との対立色を強めることになった。そのあとの福井元総裁は就任後すぐに臨時会合を開き、量的緩和政策をさらに推し進めるなどしたが、国債の買入は増額しないなど、かなりしたたかさもあり、こちらは市場に対しても煙に巻くのがうまかったと思われる。そのあとの白川総裁は福井総裁とはやや対局にあり、真面目さが強く、そのため市場や政府からは緩和が足りない等の批判も強まった。

 この中銀総裁の煙に巻く能力は、失礼を承知の上で、タヌキの化かし合いにも似ていることでタヌキ度とも言えるものではなかろうか。中銀トップはタカ派とかハト派とかではなく、このタヌキ度が重要なもののひとつとなる。その意味で現在の黒田日銀総裁は極めてタヌキ度が高いように思われる。それに対してイエレン議長はタヌキ度は前任者などに比べて低いのかもしれない。

 このあたり今後のFRBの舵取りとそれによる市場の反応にも多少なり影響を与えてくると思われる。ちなみにこれはひとつの中央銀行と市場との対話能力とも言えそうで、その意味ではタヌキ度はある程度必要かもしれない。しかし、個人的にはタヌキ度が高いと曖昧さという意味合いからも多少の不安要素もあり、高いより低い方が良いように思っている。

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by nihonkokusai | 2014-03-21 07:41 | 中央銀行 | Comments(0)

危機を記憶ではなく記録として残す必要

 金融市場の動きは非常に気まぐれである。市場参加者のポジション状態や心理状態に動かされやすく、弱いところを突いて動かそうとするヘッジファンドなども存在し、相場変動を加速させるアルゴと呼ばれるアルゴリズムによる機械的な取引も存在する。

 市場参加者のポジションが大きく傾くことは、バブルとか金融恐慌などと呼ばれる。買いが買いを呼ぶ、売りが売りを呼ぶ、そんな相場は大なり小なり存在し、動きが派手になると百年に一度の大相場、百年に一度の金融危機などと呼ばれることもある。

 大きな動きが来るときには、そのきっかけとなる何かしらの材料が存在することが多い。たとえば1820年代のイギリスでの金融危機の発端のひとつが新興市場ブームであった。また1880年ごろから南米を対象とした投機熱が再び起こり、特にアルゼンチンに投資資金が向かった。ベアリング商会は大量のアルゼンチン政府債券を保有し、倒産しかねない事態になり、イギリス政府とイングランド銀行の介入により倒産は回避されたもののブームは終焉し、1890年の「ベアリング恐慌」を引き起こした。

 1920年代のアメリカでの強気相場も、南アメリカの債券に対する投機熱に続いて起きたものであった。1929年の世界恐慌はそれまでの投機熱の高まりによるバブル的な動きの反動が大きく、1929年10月24日のニューヨーク証券取引所での株価の大暴落で、世界的な金融恐慌を引き起こすことになる。大恐慌の時代に南アメリカの債券はすべて債務不履行となっていた。

 1990年代にも新興市場向けへの投資が活発化した。1990年後半には米国を中心にITバブルが発生した。1997年のアジアの通貨危機をきっかけにロシアやブラジルなどに飛び火し経済混乱を招いた。新興市場ブームは2000年代にも生じる。

 このような過去の歴史があり、今回のウクライナ問題によるロシアの動向、さらには中国の経済動向などが注目されてはいるが、いまのところパニック売りを引き起こすような状況とはなってはいない。

 日本でもバブルや恐慌は何度となく引き起こされていたが、有名なものとしては1927年の金融恐慌がある。3月14日に片岡蔵相が「東京渡辺銀行が破綻した」と発言し、この片岡蔵相の発言により一般預金者の不安が増長され、東京渡辺銀行やその関連銀行のあかぢ貯蓄銀行が取付に合い、休業に追い込まれ、その後他の銀行にも取付が波及したのである。この際、短期間に大量の日本銀行券が市中銀行に対する預金者からの預金払戻し請求などに応じるために発行されたことから、銀行券の印刷が間に合わず、やむなく裏面が白紙の200円の高額紙幣が発行されたことも有名な話である。

 上記の片岡蔵相の発言をきっかけとして恐慌は、すでに市場で不安心理が働いていたところに火に油を注ぐ格好となった。相場も行き過ぎがあると、そのしっぺ返しがくる。市場が価格変動以外の要因で不安心理が高まると、何かしらのきっかけでパニック的な動きが誘発されることもある。

 欧州の信用危機のきっかけとなったギリシャは現在、国債発行再開に向けて準備を進めているそうである。欧州の危機は去ったと言えるが、これはいったい何が原因でどのような事態が引き起こされたのかを確認しておく必要がある。

 別に犯人捜しをするわけではなく、ギリシャの財政状態の隠匿、格付け会社による格下げ、ユーロというシステムそのものに内在した不安要因など、ひとつひとつ吟味してどのような経緯で市場が動き、何をきっかけに沈静化してきたのか。不安が高まり、その不安が少しずつ解消されていく様子をいまならば記憶ではなく記録として残すこともできるし、その必要もあろう。

 気まぐれな相場の動きを実感のあるうちに残しておくことは今後の同様の事態に対処するために必要なことと思われる。これは日本も他人事ではない。むしろ日本発の急激な相場変動が起きる可能性も否定できない。そのリスクは次第に高まっていることも確かなのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2014-03-20 09:49 | 金融の歴史 | Comments(0)

個人向け債券の購入の際の注意点

 債券の代表といえば国債であるが、その国債の金利は極めて低い状態が続いている。その要因はいくつか考えられるが、その説明としては日銀が国債を大胆に大量に購入しているから、というのが最もわかりやすいかもしれない(現実にはいろいろと要因が重なっていると考えられる)。

 日銀の国債保有比率は9月末に発行残高の17.4%まで上昇し、2008年秋から量的緩和を行ってきたFRBを0.1ポイント上回ったとの記事が日経新聞に掲載された。FRBも大胆に国債とMBSを買い入れていたが、その大規模買入が行われている最中でも米国の国債は売られる場面はあり、米国の長期金利は1%台から3%近辺に上昇する場面があった。つまり中央銀行が大胆に国債を購入しているというだけで、長期金利は本来、押さえつけられるものではない。

 日本のデフレの進行が日本の長期金利の上昇を抑制しているとの見方もできなくはない。何をもってデフレと判断するかによって異なるが、そのひとつの指標であり、日銀のデフレ脱却の目標となっている消費者物価指数(除く生鮮)の前年同月比は、昨年の始めにはマイナス圏にあったものが、今年1月はプラス1.3%に上昇している。今後は消費税による影響も加わり、その分、物価は上昇する見込みとなっている。ただし、消費増税の影響分を除くと今後は頭打ちになると予想されている。

 景気についても2013年10~12月期のGDP改定値は実質で前期比年率0.7%増と速報値の1.0%増と下方修正されたが、名目GDPは年率では1.2%増となっていた。長期的にみて長期金利はこの名目GDPと比べられることが多いが、物価やGDPからみても日本の長期金利は極めて低い水準に納まっていることは確かである。

 国債の利回りが低位安定している大きな理由は、売る理由がない、というものではなかろうか。日本の財政悪化を理由に債券先物を売っても国債価格は下落せず、いつしかこのような日本国債の売りを仕掛けたり、それを主張する人達は狼少年とも呼ばれている。売っては儲からないのが日本国債となっており、それにより国債市場そのものが低迷している状況にもある。

 このような状況下、個人による債券購入については何に注意すべきであろうか。債券には3つのリスクがあるとされる。価格変動リスクと流動性リスク、そして信用リスクである。債券のベンチマークである国債の金利が超がつくほど低位安定しているとなれば、地方債や社債などの金利も極めて低い状態にある。社債などは格付けなどが参考となる信用力に応じて、同年限の国債との利回りの差、いわゆるスプレッドがどの程度、乗っているが参考になる。しかし、法人向けは買い手もプロなのでそのスプレッドに敏感ながら、個人は債券市場そのものの知識不足とともに、適正なスプレッド等を見いだす専門知識を持っている人は少数と思われる。個人では適正なスプレッドを見いだすことは極めて難しい。特に社債を購入する際には、この点に注意が必要となる。

 また地方債や社債は一回あたりの発行額が国債などに比べて小さくなっており、頻繁に売買が行われるものではない。特に個人向けの債券は流動性が極めて低いため、途中での売却は証券会社などに買い取ってもらう必要があり、その金額が額面を割り込む可能性があることも注意いただきたい。満期まで持てるのであれば、この流動性リスクは心配する必要はない。

 問題は価格変動リスクとなる。国債の価格の上げ下げと長期金利の上げ下げは反対に動く。現在が景気や物価の情勢と乖離して長期金利が低い状態となっていると考えれば、5年先、10年先は国債の利回りが上昇していることが予想される。もちろんこのまま日銀の買入もあり長期金利は5年先、10年先も押さえ込まれる、もしくはデフレは解消されず長期金利の上昇余地は少ないと考えるのであれば、現在の金利での5年債、10年債の購入も可であろう。

 しかし、今後の金利上昇に備えておきたいとするのであれば、なるべく期間の短いものの債券を購入する必要がある。さらに長期金利が上がると債券の価格は下落するため、途中換金の場合に損失が発生するリスクが高まる。これも期間の長い債券ほど、同じ幅の金利上昇で下落する価格が大きくなることや、流動性が低いものも価格に影響する点にも注意していただきたい。

 このあたりの懸念をすべて解消される個人向けの債券が存在する。個人向け国債の10年変動金利タイプである。国債への信用力をどうみるかは人によって異なろうが、少なくとも金融市場関係者は国内金融資産では最も信用力が高いものと認識している。個人向け国債は1年間という売却できない期間があるものの、それを過ぎれば財務省が額面で買い取ってくれる。つまり1年過ぎれば価格変動リスクと流動性リスクはない。個人向け国債の10年変動金利タイプは長期金利が上昇すると、利払いのある半年毎の見直しにより、受け取る利子が長期金利の上昇に応じて高くなる仕組みとなっている。

 もちろん自分の住んでいる地域に貢献したいので地方債を購入するとか、この会社であれば安心と思われ利率も良いと感じる社債を購入するのも購入者の判断次第であり、現実に個人向けの地方債や社債の売れ行きは国債利回りの低迷もあって良いようである。しかし、将来を見据えては一部の資金を個人向け国債の10年変動タイプに移すというのも良いのではなかろうか。今年の発行分からはこの個人向け国債の10年変動タイプは毎月発行されている。

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by nihonkokusai | 2014-03-19 10:12 | 債券市場 | Comments(0)

債券先物が13日に一時急落した理由

 3月13日の10時10分過ぎに、東証(24日から大証)に上場している長期国債先物(債券先物)の6月限が一時急落し、前日比1円安の143円75銭まで下落した。債券市場をウォッチしている人でなければ1円安といってもピンとこないかもしれないが、日経平均がいきなり1000円下がったイメージである。

 その売りのタイミングからみて、10時10分の日銀による日銀の国債買入が原因とみられる。日銀が13日に実施した長期国債買い入れオペののうち、残存期間10年超の国債買い入れ額は1700億円となった。2月26日実施分から従来の2000億円から1800億円に減額され、今回はさらに100億円減額となったのである。

 2月26日に2000億円から1800億円に減額された際にも債券先物は売られたものの、前日比では17銭安までであり、このときは日経平均がマイナスからプラスに転じたこともあって、オペの減額だけで売られたわけではなかった。不意を食らった面はあったが、この程度の減額はある程度想定されていたこともあり、タイミングはさておきサプライズとなるようなものではなかった。

 日銀は昨年4月に量的・質的緩和策を導入し、金融政策のターゲットをマネタリーベースに変更し、年間約60~70兆円に相当するペースで増加させるとしている。そのための資産の買入れについては、長期国債は保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加し、平均残存期間が7年程度となるよう買入れを行うとしている。 これにより当初の毎月の長期国債のグロスの予定買入れ額は7兆円としていた。

 ところが日銀保有の国債の残存期間も延びてきており、国債の保有残高と残存年数の目標を維持するとなれば、毎月償還されるものが相対的に少なくなることで毎月の買入額は縮小するなどの調整の必要が出てくる。

 FRBの量的緩和政策は債券の残存ではなく、毎月の購入額がターゲットとなっている。このため、この購入額を減らす政策(テーパリング)が現在取られている。日銀とFRBはやっていることは国債を主体とする債券の大規模買入だが、ターゲットの違いがあり、日銀が毎月の国債購入額を減少させてもテーパリングということではなく、あくまで目標に対しての残高と平均残存期間の微調整に過ぎない。

 このあたりのことは債券市場関係者は熟知していると思われ、昨日の100億円程度の減額で動揺を見せることは考えづらい。このため、昨日の債券先物の売りは、日銀の買入減額をみて、短期的な仕掛売りを入れたが、板が薄く思いのほか一気に下げてしまった可能性などが考えられる。ただし、現在のシステム上では成り行きでも20銭しか下げない。20銭下げてからまた売りを入れる必要があることを考えると、その売りに乗っかったか、ここにきて相場が膠着状態となっていたことで、ある程度の値幅の動きでストップロス、つまり自動的にロスカットしなければいけない投資家の売りが継続して入った可能性がある。

 このあたり現物債と比較すればわかるが、債券先物は1円下げても10年債の利回りは0.02%程度しか上昇していない(債券の利回りと価格は反対に動く)。10年債は価格に引き直すと20銭程度の下げである。これをみても先物だけが何かしらの要因で急落したとみるのが普通であろう。先物の下落をみて現物も少し連れ安した程度となっていた。

 昨日の動きに対し、日本取引所の高橋直也広報課長は、「特にシステム面や取引面では問題はないようだ。通常の取引。誤発注という報告は来ていない」と説明したそうである(ブルームバーグ)。たしかに現在は誤発注を防ぐような仕組みにもなっており、当初売った(仕掛けた?)発注者が数量を少し間違えた可能性は残るが、その後の売りは久しぶりに動いたことで乗っかった売りやストップロスによるものではなかろうか。

 現物債などの動きを冷静にみていれば、売った向きもおかしいと感じたはずで、1円安をつけたところでショートした参加者が今度は買い戻しに一斉に走ったとみられる。しかし、元にまで戻らなかったのは、システムの売りなどテクニカルによるものの売りが残った為ではないかと思われる。

 いずれにしても6月10日に中心限月が3月限から6月限に変わり、動かなかった3月限とは違い少しは動きがでるかと6月限には期待した。10日と11日の前後場の値幅はそれぞれ10銭と11銭となり、6月限よおまえもか、と思ったが昨日の動きでどうやら6月限は動いてくれそうな気配が出てきた。やはり相場は動いてくれないと相場らしくないし、市場は低迷してしまうばかりである。

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by nihonkokusai | 2014-03-15 13:33 | Comments(0)

流動性供給入札の応札義務の理由

 財務省の国債管理政策の一環として、国債市場特別参加者制度が存在する。これは日本版のプライマリー・ディーラー制度とも呼ばれているもので、指定を受けた証券会社や銀行に対し、一定の規模の国債の入札や落札、市場の状況等の報告が義務付けられる代わりに、一定の優遇措置が認められる制度である。

 財務省の国債市場特別参加者制度運営基本要領によると、国債の安定的な消化の促進並びに国債市場の流動性、効率性、競争性、透明性及び安定性の維持並びに向上等を図ることが国債市場特別参加者制度の主な目的となっている。

 国債市場特別参加者、つまりプライマリー・ディーラーとなった参加者に対しては責任が求められる半面、資格も得られる。責任としては、国債の入札で相応な価格で発行予定額の3%以上に相応する額を応札しなければならない。落札額も超長期国債・長期国債・中期国債についてそれぞれ1%以上、短期国債は0.5%以上の落札責任がある。また、国債流通市場に十分な流動性を提供することも求められている。毎週、自らのアウトライト取引(日計り売買)、債券先物取引、店頭オプション取引及び円金利スワップ取引等の取引の動向等について情報の提供が求められる。

 資格については、おおよそ四半期に一度開催される国債市場特別参加者会合(通称、PD懇)に参加することができる。ここで各年度の国債発行計画、各四半期の国債発行のあり方、国債に対する需要動向、国債の商品性のあり方、国債流通市場の動向等、財務省と意見交換等を行うことができる。

 3月12日の日経新聞朝刊一面に、国債取引増やし金利の乱高下を防ぐためとして、財務省が証券・銀行の応札義務付けを行うとの記事があった。これは上記の国債市場特別参加者制度に絡んだものと思われる。国債市場特別参加者は証券・銀行合わせて23社となっている。

 これまでは国債入札のうち、流動性供給入札に関しては、発行予定額の3%以上に相応する額を応札しなければならないとの義務はなかった。しかし、その流動性供給入札による発行量は増加してきており、来年度、つまり来月4月以降は現状の毎月6000億円の発行額が毎月7000億円に増加する。発行規模も大きくなってきたことで、こちらにも他の国債入札同様の義務を課すというものであり、国債取引増やし金利の乱高下を防ぐためというよりも、ほかの入札に合わせるといった面が大きいと思われる。財務省も特段、何かしら意図したものではないと思われる。

 ちなみに流動性供給入札の目的は、「特定銘柄の需給の著しい逼迫等の要因により国債流通市場の流動性が低下し、国債市場の機能が損なわれることを回避する観点等から、国債市場の流動性の維持および向上等を目的として実施する」ものである。

 つまり銘柄ごとに利率や発行量などの違いによって異なってくる国債の需給を安定させるための対策のひとつとなる。市場の人気が高く、さらに発行量が不足しているような国債の銘柄について、需給要因による利回りの大きな変動を防ぐ意味において、過去に発行した国債と同じ条件の銘柄を追加発行するというものである。

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by nihonkokusai | 2014-03-14 09:14 | 国債 | Comments(0)
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