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長期金利のガラパゴス化は継続可能か

 いよいよ年も押し詰まり、これを書いている本日は大納会ということで、今年の債券相場の予想に対する反省と、少し早いが来年の課題を考えてみたい。

 今年の相場に対する私の予想は私のサイト「債券ディーリングルーム」のコラム「若き知」というコーナーの過去ログを探っていただけると2013年1月4日のところに掲載されている。

 言い訳ではないが、元債券ディーラーとして、相場水準を予想して当てることは無意味と考えている。それでは儲からないではないかと言われそうだが、ディーラーは水準を当てるのではなく流れを読むことが重要であり、自分の事前予想など書いたそばから忘れてしまうような人のほうがむしろ儲かる。予想に縛られて流れに乗れないといった事態は避けなければならない。繰り返すが、これは言い訳ではない。

 それはさておき、1月4日に書いた「今年のテーマは超低金利時代の終わりか」というタイトルであった。どうやらタイトルからして外しているようである。超低金利時代は終わっていない。1月の長期金利は0.8%台にいたことで、それよりも現在の0.7%近辺はむしろ低い。これを書いた当時は日銀総裁が誰になるのかもまだわからなかった。国債の大胆な買入れという異次元緩和の可能性をさほど高く見積もっていなかったのが、大きな反省材料であった。ただし、日銀が国債を大量に買い入れることが仮に分かっていたとしても、それで何が生じるのかを適格に予想することはかなり困難であったことも事実である。

 そして、1月4日のコラムでは、以下のようなことも書いていた。

 「アベノミクスへの期待が円安を進行させ、株高を演出した側面はあるが、あくまでこれは、大きな流れが変わっていたタイミングで、その流れを強めさせる起爆剤になったに過ぎないとみている。今回の円安の最大の要因は、世界的なリスクの後退にある。それを裏付けるようなものが年初に出てきた。1月3日に発表された2012年12月11~12日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨である。この中で、一部の委員から出口を意識した発言が出ていたのである。 複数の委員は資産購入策を13年末までに停止するかペースを減速することが適切になる可能性があるとした」。

 2012年11月以降のアベノミクスと呼ばれた急速な円高調整とそれにともなう株高の背景には、世界的なリスクの後退があったことは間違いないと思っている。米国の株式市場が過去最高値を更新しているが、これは当然ながらアベノミクスによるものではない。それを示す顕著な事例として持ってきたFRBのテーパリングについても、ぎりぎりながら12月のFOMCで実現化した。

 「いきなり2%まで上昇するようなことは考えづらいが、1%割れがそもそも過去には一時的であったことを考えれば、1%台への回復あたりは近いうちにありうると見ている。ただし、これはあくまで異常ともいえる超低金利の状態が終焉するとの予想であって、長期金利が加速して上昇するようなことは想定しづらい。実際に債券先物の動きを見ても、じりじりと下値を切り下げている格好である。現物債には投資家の押し目買いも控えているとみられ、日本の長期金利の上昇は緩やかなものになると予想される。」

 近いうちと書いたが、日本の長期金利が1%に乗せたのは5月であり、それが今年の長期金利の最高値となった。その後は10月30日に0.6%を再び割り込むなど超低金利が続く事になった。そこからじりじりと上昇し、年末に向けて0.7%台に上昇した。

 ということで、今年の相場予想の反省を踏まえて、来年の債券相場を予想するにあたり、ひとつテーマを掲げてみたい。そのテーマとは「長期金利のガラパゴス化は継続可能か」である。

 FRBのテーパリングの開始の決定、イングランド銀行は将来の利上げ観測も出てきている。ECBについても追加緩和にはかなり慎重な姿勢を見せている。それに対して、日銀は外部環境などおかまいなしに、2%という物価目標に向けて邁進している。その目標となるコアCPIはプラス1.2%まで上昇してきたが、それはそろそろ頭打ちになる予想となっている(消費増税の影響は除く)。

 来年4月からは消費増税が実施され。それによる景気への悪影響も意識して、日銀の追加緩和期待も根強い。しかし、日銀の次の一手はかなり困難さを秘めている。日銀は戦力の随時投入はしないと宣言している。追加緩和期待に応えようとしても中途半端な緩和でお茶を濁すようなことはむしろできない。かといって今年4月のようなバズーカは撃てない。同様規模でまた国債買入増額などしようものなら、さすがに債券市場は機能不全に陥り、財政ファイナンスとの見方があらためて浮上しかねない。

 来年はアベノミクスやこの異次元緩和の矛盾点が次第に浮き彫りになる年と思っている。日本の長期金利だけが低位安定し続けられるのか。日銀が舵取りを誤るとマーケットはかなり荒れてくることも予想される。期待に働きかけるのは良いが、追加緩和という期待に対して日銀はどう応えるのか。追加緩和に財政拡大、打ち出の小槌や麻酔に頼ることによるリスクをどう考えるのか。そのあたり、来年の大きな課題になると思われる。

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by nihonkokusai | 2013-12-31 08:31 | 債券市場 | Comments(0)

2013年の債券相場を振り返る(上半期編)

 2013年の金融市場は大きな変化の年であった。債券市場でも4月の日銀の異次元緩和を受けて一時的に大きな値動きもあったが、長期金利は1%以内での推移となっていたことで、総じて超低金利の状態は継続していたと言える。

 それではまず1月の債券相場から振り替えってみたい。今年の債券先物の寄り付きは143円32銭と昨年末からは33銭安となった。米国での財政の崖問題が回避されたことで、年末年始の間に米株は上昇し、米10年債利回りが1.9%近辺に上昇したことが影響した。日銀の追加緩和期待などから中期ゾーン主体に買いが入り、債券先物も144円台を回復した。10年債利回りは0.8%を割り込む。日銀の追加緩和期待や日本の閣僚の発言などをきっかけに再び円安が進行し、ドル円は2年7か月ぶりの90円台、ユーロ円も120円台に乗せた。1月22日の金融政策決定会合で、日銀は政府からの要請のあった「物価安定の目標」を導入することを決定し、同時にあらたな追加緩和策として「期限を定めない資産買入方式」を導入することを決めた。5年債利回りが0.140%と過去最低利回りを更新した。外為市場ではドル円は91円台、ユーロ円は122円台と円安が進み、28日の日経平均は11000円台乗せに。28日に米10年債利回りが一時2%をつけた。

 2月に入って12日のG7の緊急共同声明では、円の過度な動きに懸念を表明することが目的だったとの匿名のG7筋による発言があったが、これは米政府の意向を反映した可能性があった。2月25日に日銀の白川方明総裁の後任に黒田東彦総裁を起用、副総裁には岩田規久男教授と中曽宏氏を軸に検討と伝えられた。リフレ派と呼ばれる黒田氏と岩田氏の起用で、アベノミクスへの期待が強まった。債券市場では積極的な追加緩和策への期待も出てきたが、特に期間の長めの債券の買入等も期待され、超長期債を中心に買い進まれた。イタリアの政局が不透明となったことで、25日の欧米市場ではリスクオフの動きが強まった。外為市場ではドル円は94円台から一時90円台に、ユーロ円も一時120円割れとなった。円債もさらに買い進まれ、26日に5年債利回りは0.115%に低下し連日で過去最低を更新。10年債利回りも0.7%割れに。10年債は0.640%をつけ2003年6月以来の水準に。

 3月4日の衆議院運営委員会の所信聴取で日銀総裁候補の黒田東彦氏は、デフレ脱却へ向け可能なことは何でもやると表明し、長期の国債も購入対象として検討すべきだと述べた。4日の債券先物はこの発言を受けて上昇し145円32銭の高値引けとなり、12月11日につけた過去最高値を更新した。10年債利回りも2003年6月以来の水準に低下した。外為市場では2月のG7以降、円安の動きにはブレーキが掛かった格好となったが、欧米市場ではあらためてリスクオンの動きが強まり、再び円安の動きを強めつつあった。3月14日にかけて米国株式市場でダウ平均は10日続伸となり、8日連続で過去最高値を更新。これに対し米債は上値が重くなり、10年債利回りは2%台に上昇した。外為市場では円安の動きは鈍くなったものの、米株の上昇を受けて東京株式市場も上昇し、8日に日経平均は12500円台を回復した。この株高や米債の上値の重さにも関わらず円債は堅調地合となった。ユーロ圏財務相会合ではキプロスへの財政支援と引き換えに全ての銀行預金への課税を決めたことを受け、キプロス政府は16日に全銀行口座からの引き出しを制限する預金封鎖を開始した。この異例の措置に市場は動揺した。新体制となった日銀による国債買入対象になると見込まれる10年債は28日に0.510%まで買われた。

 4月4日の日銀の金融政策決定会合では量的・質的金融緩和の導入を決定した。マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍程度にし、長期国債の平均残存年数を現行の2倍以上にするなど、量・質ともに次元の違う金融緩和を決定した。これを受けて4日の引けあとに10年債利回りは0.425%をつけ過去最低利回りを更新。5日に日経平均は13000円台を一時回復、外為市場ではドル円97円台、ユーロ円は125円台を回復した。10年債利回りは0.315%に低下し、債券先物も146円69銭まで上昇したが、中期ゾーン主体に銀行からとみられる売りが入ったことをきっかけに、債券先物は二度のサーキットブレーカーが発動し、143円10銭まで急落した。その後145円台まで戻すなど、相場は乱高下した。8日の債券先物は買いが先行。日銀は新たな国債買入を実施し、その結果も好感され債券先物は後場に入り145円02銭と5日の清算値から1円高となったことで、サーキット・ブレーカー制度が発動した。その後145円25銭まで買われたが、戻り売りも入り144円57銭まで急落するなど荒れた展開に。10日には5年債主体にまとまった売りが入り、債券先物は引けにかけて下げ足早め144円16銭で引けた。引けあとにさらに下げ足を速め、債券先物はイブニング・セッションでサーキット・ブレーカーが発動した。11日も荒れた相場となったが、日銀はシグナルオペとして初の1年物の共通担保資金供給オペをオファー、午後にも1年物2兆円のオペを追加し1日の供給額としてはオファー・ベースで4.3兆円に。さらに長期国債買入れのオファー日程も公開した。18日になると超長期債の板も厚みが出てくるなど流動性も回復してきた。18日の夕方に発表された日銀の国債買入方式の一部修正により、オペの頻度を多くし、その分、一回あたりの買入額を減少するなど、市場への配慮が示された。19日に閉幕したG20の声明では日本の金融緩和を容認、日銀による最近の政策はデフレから脱却し、国内需要を支えるためのものだと声明文に明記された。このG20での日銀の異次元緩和への理解により、円安が進行し22日にドル円は99円98銭をつけて100円に接近した。

 5月1日の10年国債の入札がまずまず順調なけっかとなり、2日に債券先物は145円台を回復し、10年債利回りは0.560%まで低下した。2日のECB政策理事会では政策金利の0.25%引き下げを決定。2日のドイツ連邦債先物は過去最高値を更新した。9日のNY外為市場でドル円は4年ぶりに100円の大台に乗せ、円安を受けて10日の日経平均は2008年6月6日以来の14500円台を回復。10日の東京時間でドル円は一時101円台に。日経平均は14600円台。10年債利回りは2月25日以来の0.7%台乗せとなった。債券先物は前日比1円安の143円72銭まで売られてサーキットブレーカーが発動した。13日も債券先物は142円70銭まで下落し、サーキット・ブレーカーが発動した。10年債は0.800%まで利回りが上昇。22日にバーナンキFRB議長は出口を意識した発言をしたことで、米債は下落し10年債利回りは2%台に乗せた。この米債安もあり、23日の債券先物は寄付から下落し、サーキット・ブレーカー発動後、140円70銭まで下落した。10年債利回りは昨年4月5日以来の1%台乗せに。ドル円が103円台をつけるなど円安ドル高が進み、この日の日経平均は16000円に接近した。ところが中国の5月製造業PMIの低下などがきっかけとなり、一気に利益確定売りなどが膨らみ、日経平均は前日比1143円安と急落した。日銀がシグナルオペ等をオファーしたこともあり、債券先物は142円74銭まで買い戻されて、10年債も0.825%に低下した。

 FRBの量的緩和の早期縮小観測もあり、米国株式市場は強い経済指標に売りで反応するなど、やや不安定な展開となった。6月3日の日経平均は500円を超す下げに。この株安も意識されて債券先物は143円台に上昇した。3日のニューヨーク市場でドル円は100円を割り込んだ。6日のニューヨーク市場でドル円は一時95円台に。19日のFOMC後のバーナンキFRB議長の会見では、6月19日の会見でバーナンキFRB議長は年内に緩和策の縮小に踏み切る可能性を示し、これを受けて米長期金利は大きく上昇し21日に2.5%台に、24日には一時2.66%近辺まで上昇した。日本の10年債利回りも21日に0.890%まで上昇した。25日には中国市場での短期金融市場の混乱も手伝い、上海株式市場が急落するなど不安定な動きとなり東京株式市場も下落し日経平均は13000円を割り込む場面もあった。

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by nihonkokusai | 2013-12-30 09:27 | 債券市場 | Comments(0)

コアCPIは5年ぶりの1%台

 12月27日に発表された11月の全国消費者物価指数(除く生鮮食料品、コア)は、前年同月比でプラス1.2%となり、2008年11月以来5年ぶりに1%台に乗せた。市場予想は1.1%近辺となっており、それもやや上回った。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(コアコア)は、前年同月比でプラス0.6%と、こちらは15年3か月ぶりの上昇となった。

 昨年12月からのコアCPIの前年同月比の推移をみると、昨年12月がマイナス0.2%、今年3月にマイナス0.5%まで低下していたが、そこから次第に上昇し5月には0.0%、6月に0.4%、7月は0.7%とブラス幅を拡げ、11月に1.2%と1.0%台に乗せてきた。

 コアコアに関しても昨年12月はマイナス0.6%となっており、今年2月にはマイナス0.9%まで低下していた。こちらもそこからマイナス幅を縮小させ、9月に0.0%となり、11月はプラス0.6%まで回復している。

 総合指数の前年同月比に寄与した主な内訳をみると、前月と同様に電気代や自動車等関係費が上げられている。原発停止の影響による電気代の上昇と、ガソリン価格の値上げ、傷害保険料の引き上げ、外国パック旅行価格の上昇などが要因となっている。

 4月の異次元緩和というよりも、昨年11月のアベノミクスの登場による急速な円高調整による影響は確かに大きい。円安の影響とともに、原発問題に絡んだ電気代の上昇、世界的なリスクの後退に伴うエネルギー価格の上昇、円安の影響もあり輸入の割合が高いパソコンやタブレット端末の価格の上昇、液晶テレビなどの価格下落が止まったことも影響している。いまのところ、景気全体の底上げにともなう賃金上昇等の影響を受けての価格上昇というより、傷害保険料の引き上げなども加わって1%台に乗せてきたといえる。

 問題はここからである。コアCPIの予想としてはそろそろピークアウトし、年度内は1%近辺に止まる見込みとなっている。消費増税の影響を除くと5月以降は鈍化するとの見方もある。ただし、4月以降は消費増税の影響をどの程度と見極めるのか。内税となっている場合などを含めその作業もなかなか困難であり、とりあえず消費増税の影響も加味して物価そのものが上昇していくことで、デフレ脱却がイメージされるかもしれない。

 26日に安倍首相は日銀の黒田総裁と会談し、その際、黒田総裁は日本経済が2%の物価上昇目標に向け順調に推移していると説明した。ただし、まだ道半ばであり、完全に(デフレ脱却)との状態ではないとし、2%の物価安定目標を実現しそれが安定的に持続できるまで現在の金融緩和を続けていきたいと語ったそうである。

 コアCPIは前年比1.0%台に上昇し、予想も上回ったものの27日の債券市場はこれによる影響はあまり受けていない。日銀の国債買入による需給面の影響もあろうが、動揺を示さぬあたり、日銀の掲げる2%の物価目標の達成は困難との見方も強いのか。ドル円は27日に105円台に乗せてきたが、こちらも目標達成困難のため日銀による追加緩和期待が背景にある。数字だけでみれば、CPIは順調に日銀の目標に向かっているかにみえる。しかし、マーケットの反応は、どうもそう結論づけているわけでもなさそうである。

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by nihonkokusai | 2013-12-28 10:21 | 景気物価動向 | Comments(2)

日銀の国債買入目標はフローかストックか

 まもなく今年も終わろうとしており、来年の動向も気になってくる頃でもある。そのなかで日銀の国債買入について、来年は毎月の国債買入額が減少することが明らかとなり、一部では日本版テーパリングかとの報道もあった。

 そもそもテーパリングとは、FRBが量的緩和で買い入れている国債の量を削減して、最終的にはゼロに持っていこうとするものである。つまり非伝統的な金融政策の脱却を意味するものである。仮に日銀の毎月の国債買入が技術的な要因で多少削減されても、それはテーパリングと言えるものではない。FRBのように緩和政策から向きを変えるわけでは全くない。

 しかし、このあたり市場に混乱を与えかねないことも確かである。その原因を作ったのも日銀である。大胆な国債買入を演出しようとあまりに、FRBやイングランド銀行の量的緩和のいいとこ取りをしようとした。イングランド銀行の量的緩和の目標は、国債を主体に買い入れる総額の規模とした。それに対してFRBが行ってきたのは毎月の国債の購入額を決めるものとなった。

 今年4月4日に決定された量的・質的金融緩和策(QQE)では、長期国債の保有残高が年間50兆円に相当するペースで増加するよう買入を行うとした。長期国債の買入対象を40年債を含む全ゾーンとし、買入の平均残存年数を現状の3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度に延長する。「この結果」、毎月の長期国債のグロスの買入額は7.5兆円規模(これまでは3.8兆円程度、4月の買入予定額は6.2兆円)になる。2013年度の長期国債のカレンダーベースの発行予定額は126.6兆円となっており(年間発行額156.6兆円から短国の30兆円を差し引いたもの)、7.5兆円の12か月で88.7兆円をグロスで日銀が購入するとなれば、毎月の発行額の70%を買い入れることになる。

 日銀はコアCPIの2%という物価目標に対して、2年程度の期間を念頭に置いて、早期に実現するため、マネタリーベース(現金通貨と日銀の当座預金残高)および長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍程度とし、長期国債の平均残存年数を現行の2倍以上にすると、2という数字を強調した。その結果、毎月の国債買入も2倍規模となった。

 ところが国債には償還がある。異次元緩和以前では別枠での買入で中短期債を大量購入していたこともあり、その分の償還に見合う買入もかなり含まれていた。しかし、国債の買入対象が超長期債まで延びて日銀の買い入れる平均残存年数も3年弱から7年程度となれば、その分償還見合いで買う国債は減少する。つまりストックについては目標に変化がなければ、フローで買い入れる国債の量は必然的に減少する。

 果たして中央銀行の国債を主体とした資産買入は、フローで見るべきなのかストックでみるべきなのか。FRBはMBSの買入も行ったように住宅ローン金利の抑制も大きな目的であり、またECBは南欧諸国の国債市場の安定化を図るために、買い入れる国債の量がポイントとなっていた。これに対してイングランド銀行は景気への影響を重視して保有額を目標としていた。

 それでは日銀の異次元緩和の目的は何であったのか。それは物価の上昇である。国債を大胆に買って物価を上げるというまさに「異次元」の発想の元の緩和策であった。それには期待に働きかけるというのが重要だそうで、別に大胆であればフローであれストックであれ、あまり関係はないように思われる。

 黒田総裁は12月20日の会見で、「長期国債の保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う」ということを強調していた。4月の異次元緩和の決定に際しても、長期国債の保有残高ありきで毎月の国債買入が結果として7兆円規模になるとしており、ストックを重視していたことも確かであり、フローはそれほど意識したものではなかったはずである。ただし、黒田総裁は「現在の買入れのペースが大きく変わるとは考えていません」とも会見で発言していたことで、もし仮に現在のペースでの国債買入を維持させるとなると、事務方はなかなかの難題を突きつけられることにもなりかねない。

 いずれにせよ、そもそも日銀の国債買入のターゲットがストックであれフローであれ、それがどのような経路で物価上昇に結びつくのか、そこがそもそもはっきりしていない。日銀がしっかり説明すべきはむしろこちらにあるような気がするのだが。

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by nihonkokusai | 2013-12-27 09:37 | 日銀 | Comments(0)

来年度の国債発行計画

 12月24日に来年度の政府予算案が閣議決定され、財務省は2014年度の国債発行計画を発表した。これによると新規財源債(建設国債+赤字国債)が41兆2500億円(前年度42兆8510億円)、借換債が122兆1495億円(前年度補正後110兆8074億円)、財投債が16兆円(前年度11兆円)、そして復興債が2兆1393億円(前年度補正後3569億円)となった。

 これにより2014年度の国債の発行総額は181兆5388億円(前年度当初170兆5452億円、補正後167兆6264億円)と、前年度の当初ベースからは10兆9936億円の増加となった。発行総額の181兆5388億円は過去最高となる。新規国債は1.6兆円削減されたが借換債が10兆円規模で増加したことが影響した。

 国債の消化別発行額を見ると、カレンダーベースの市中消化額は、155兆1000億円(前年度当初156兆6000億円)と、1.5兆円減額となった。国債発行総額は前年度、つまり今年度に比べて10兆円以上も増加したのに、入札で発行される国債は何故、減額できるのか。

 カレンダーベースの市中消化額とは、4月から翌年3月にかけて入札により発行される国債の金額である。年度の国債発行総額とは異なる。その理由は入札以外で発行される個人向けの国債や日銀乗換があるとともに、市中消化分には第2非競争入札による発行があり、さらに国債は前倒し発行と出納整理期間内発行が可能なため、年度間の調整分等が存在しているからである。この調整分が12兆6011億円も存在したため、 カレンダーベースの市中消化額は抑えられたのである。これには日銀による異次元緩和による大規模な国債買入により第2非競争入札による追加発行が膨らむなどしたこともあり、来年度前倒し発行分が増加していたことで大きな調整が可能となったと思われる。

 第2非競争入札による予定発行額は4兆4700億円(前年度当初4兆4775億円)となった。年度間調整分については、前年度は前倒し債発行による調整分がマイナス4兆2323億円となっていたのに対し、2014年度はプラス8兆3688億円となった(前年度当初比12兆6011億円増、補正後からは19兆3229億円増)。 つまりその分、市中発行額を抑えることができる。

 日銀乗り換えが11兆1000億円(前年度当初11兆7000億円)、個人向け販売分が2.5兆円(前年度当初2兆円、補正後2.4兆円)。

 買入消却は総額4兆円を上限に実施される。来年度における前倒し債の発行限度額は25兆円となった(前年度当初は20兆円)。

 カレンダーベースの市中消化額は155.1兆円と今年度の156.6兆円から減額される。カレンダーベースでの減額は2008年度以来6年ぶりとなる。内訳は30年国債を1.2兆円、物価連動国債を1兆円、流動性供給入札を1.2兆円増額する。そして2年債を2.4兆円減額、割引短期国債も2.5兆円減額される。

 年限別に観ると、40年債が5月、8月、11月、2月の4回の発行予定で一回あたり0.4兆円と今年度と変わらず。30年債は5月、8月、11月、2月が6000億円、その他の月が7000億円と今年度から一回あたり1000億円上積みされる。20年債は1.2兆円、10年債は2.4兆円、5年債は2.7兆円の毎月発行とこちらは現状維持。2年債は一回あたり2.9兆円から2.7兆円に減額される。1年割引短期国債は今年度の2.5兆円の毎月発行から、2.2兆円を1回、2.3兆円を11回に減額される。今年度も6か月割引短期国債の発行予定はない。10年物の物価連動国債は4000億円を4回となり、今年度の6000億円から増額される。流動性供給入は今年度の毎月0.6兆円から0.7兆円に増額される。

 この結果、カレンダーベース市中発行額の平均償還年限は、8年5か月と前年度当初の7年11か月からさらに長期化される。

 2014年度の公債依存度は2013年度の46.3%から43.0%に低下した。新規財源債の発行は抑制されたが、予算そのものの規模は95兆8823億円と過去最大規模となる。

 債券市場での国債需給に影響するカレンダーベースの発行額については、ほぼ市場からの希望が取り入れられた格好となり、発行体の財務省としても平均償還年限の長期化が図れたことで今後の利払い費用の抑制にも繋がる。国債需給については日銀の国債買入の影響も大きく、国債の信認そのものが維持されている状況では問題はない。これにより今回も翌年度の国債発行計画の発表が、国債市場に大きな影響を与えるようなことは考えづらい。

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by nihonkokusai | 2013-12-26 09:34 | 国債 | Comments(0)

都銀が8か月連続で国債を売り越した理由

 20日に日本証券業協会が発表した11月の公社債投資家別売買高(除く短期証券)によると、4月から10月まで売り越しとなっていた都市銀行は11月も9754億円の売り越しとなっていた。10月の3兆236億円の売り越しほど大きくはなかったものの、売り越しは異次元緩和決定の4月以来、8か月連続となる。ほかの投資家、地銀や信託銀行、信金、生保などは皆ほぼ買い越しなのだが、いったいメガバンクの売り越しはいつまで続くのか。それとともに何故、売り越しとなっているのかも気になるところ。

 国債の投資家別売買高から内訳をみると、都市銀行は超長期債を713億円の売り越し、長期債を1319億円売り越し、中期債を7499億円の売り越していた。中期債を主体に超長期、長期も売り越し。

 11月の都銀の国債の売買高(除く短期)は11兆149億円と10兆円以上ある。5月に3.5兆円程度に落ち込んでいたが、9月以降は10兆円以上の売買高があり、売買を行いながら残高も落としつつある。

 都銀の売り越しは、日銀の異次元緩和に協力しているとの見方がある。国債を結果として日銀に売却する格好となり、日銀の当座預金残高の増加に寄与しているが、それでは地銀や信託銀行は日銀の異次元緩和に非協力的ということなのであろうか。そうではなく、都銀は日銀の異次元緩和に協力しているというより、結果としてそうなっていると見ないとこのあたりの説明がつかない。

 日銀の異次元緩和による大胆な国債買入の分は、どこかがその分を負担せざるを得ない。都銀は他の収益機会も意識した上で、残存2年程度の利回りが0.1%以下であることから、日銀の当座預金の超過準備に付く利子(付利)も0.1%であることを考えれば、短めの国債を当座預金にシフトしても収益はさほど変わらない。残存を落とした分はデュレーション(平均残存年数)を多少伸ばすことで、ある程度の利回りも確保しようとしているのではないかと予想される。

 他の投資家の11月の売買状況を確認すると、買い越しの最大手は9月の信託銀行に変わり地銀となっており、7389億円の買い越し。内訳は超長期債を937億円売り越していたが、長期債を2723億円、中期債を3554億円買い越していた。引き続き地方債なども買い越しになっていたと思われる。都銀の売り越しに対して、地銀の買い越しは債券運用以外の収益チャンスが都銀よりは少ないことも要因か。ある程度、債券で運用せざるを得ないことで、残高も増加させていることが考えられる。

 信託銀行は6854億円の買い越し。超長期債を1841億円買い越し、長期債を512億円売り越し、中期債を4571億円買い越しとなっていた。次に生損保が5790億円の買い越し。超長期債を4938億円買い越し、長期債1098億円売り越し、 中期債575億円買い越し。

 信金が5006億円買い越し、投資信託が4101億円買い越し、農林系金融機関が3964億円買い越しとなっていた。信金は長期債主体、投資信託は中期債主体、農林系金融機関は超長期債と中期債主体に買い越しとなっていた。

 参考までに国債の投資家別売買高(一覧)を基に、投資家全体の売買高の状況を確認してみたところ、7月は国債合計(短期債と割引債除く)で126兆9632億円となっていたが、8月は140兆円1549億円、9月は156兆1005億円、10月も149兆7425億円、11月は131兆5400億円と異次元緩和以前の水準に回復してきている。板付き等はさておき、日銀の異次元緩和による国債市場の流動性の低下はこの売買高を見る限り解消しつつある。都銀の残高の減少は国債市場の流動性の低下が要因ではないと思われる。

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by nihonkokusai | 2013-12-25 09:47 | 債券市場 | Comments(0)

9月末の国債の投資家別シェア

 12月19日に日銀は2013年6~9月期の資金循環統計を発表した。これによると2013年9月末時点の家計の金融資産は1598兆1565億円(2013年6月末速報値1590兆1054億円)に増加した。これは四半期ベースでみると2007年6月末に次ぐ規模となる。株価の上昇による影響が大きかったとみられる。

 この資金循環統計を基に、2013年9月末時点の国債保有者別の残高と全体に占める割合を算出してみた。ただし、これは国庫短期証券を含んだものではなく、国債・財融債のみの数値を個別に自分で集計し直したものである。一般的に国債の保有者の割合としては、こちらの数値が使われることが多い。

 9月末の国債(国債・財融債のみ)の残高は、817兆6857億円(6月末799兆7521億円)と前回の6月末から17兆9336億円増加した(速報ベース)。国庫短期証券を加えると約980兆円となる。参考までに日銀の資金循環統計の数値は額面ベースではなく「時価ベース」となっている。

銀行など民間預金取扱機関 293兆4269億円(6月末292兆8944億円)、35.9%(同36.6%)
民間の保険・年金 221兆7273億円(同217兆8053億円)、27.1%(同27.2%)
日本銀行 128兆4982億円(同111兆9663億円)、15.7%(同14.0%)
公的年金 69兆0849億円(同68兆7737億円)、8.4%(同8.6%)
海外 33兆0306億円(同33兆4195億円)、4.0%(同4.2%)
投信など金融仲介機関 31兆0690億円(同33兆9432億円)、3.8%(同4.2%)
家計 21兆9728億円(同22兆8585億円)、2.7%(同2.9%)
財政融資資金 6226億円(同4212億円)、0.1%(同0.1%)
その他 18兆2534億円(同17兆6700億円)、2.2%(同2.2%)

 2013年6月末に比べて、残高が大きく増加していたのが4月4日の金融政策決定会合で量的・質的金融緩和、いわゆる異次元緩和を導入し大規模な国債買入を行うことになった日本銀行である。6月末比で16兆5319億円もの増加となっている。

 3月から6月に向けて残高を大きく落としていた銀行など民間預金取扱機関は、6月から9月にかけては5325億円とやや残高を増加させた。国内銀行は2983億円の売り越しとなっていたことから、ほかの金融機関がその分をカバーしていたとみられる。

 民間の保険・年金は3兆9220億円程度残高を増加させてきた。3月から6月にかけては残高を減少させたが、再び国債の残高を積み上げてきた。6月にかけての残高の減少には、国債市場の流動性が低下していたことも要因となっていた可能性がある。しかし、市場もだいぶ落ち着きを取り戻してきたことで、再び残高を増加させてきたとみられる。

 公的年金は3112億円の増加であるが、今後はここの動向も気掛かり材料となる。3月から6月にかけては、銀行の売却を日銀とともにこの公的年金の買いで支えた格好となっていたが、買い支えどころか今後は売り手の代表となる懸念も出ている。

 海外投資家は3889億円の減少となっており、長期国債のシェアは4.0%。国庫短期証券を含んだ数字で見ると、海外は全体の8.0%のシェアとなり6月末の8.4%からやや低下した。個人は8857億円の減少となり、長期国債のシェアは2.7%、短期債を含めたシェアは2.2%となった。

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by nihonkokusai | 2013-12-24 09:48 | 国債 | Comments(0)

テーパリング開始後のFRB

 12月17日、18日に開催されたFOMCにおいて、量的緩和政策の縮小、いわゆるテーパリングの開始を9対1の賛成多数で決定した。ローゼングレン・ボストン連銀総裁が時期尚早と反対した。来年1月から月額850億ドル規模の証券購入額を100億ドル減らし750億ドルとする。内訳としては米国債の買入は450億ドルから400億ドルに、エージェンシー発行モーゲージ債(MBS)は400億ドルから350億ドルに減額する。

 来年1月末でバーナンキ議長の退任が決まっており、後任の議長にはイエレン副議長が就任する予定である。

 ラスキン理事はオバマ大統領が財務副長官に指名している。米上院財政委員会は13日にラスキン理事の財務副長官指名を承認し、近く行われる上院本会議での採決で正式に承認される見通し。

 パウエル理事の任期も来年1月に終了するが、こちらは大統領が再指名するとみられている。この理事のポストには、11月8日に退任したブレイナード財務次官(国際問題担当)が指名されるのではないかとの見方もあるが、まだはっきりしていない。 イエレン副議長の最有力候補にはスタンレー・フィッシャー氏の名前が挙がっている。

 このようにFRBは理事の交代を控えているが、FOMCのメンバーのうち連銀の代表も年を越すと入れ替わる。FOMCで投票権を持つ地区連銀総裁は、2013年がセントルイス、シカゴ、カンザスシティ、ボストンの各総裁となっていたが、2014年はクリーブランド連銀のピアナルト総裁、フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁、ダラス連銀のフィッシャー総裁、ミネアポリスのコチャラコタ連銀総裁に代わる。

 このFRBの人事の変更も年内のテーパリング開始の決定に少なからず影響を与えていたのではないかと考えられる。もちろんバーナンキ議長としては、自ら行ってきた極端な金融緩和策をそろそろ打ち止めとして、通常の金融政策に戻そうとの意識も強かったのではなかろうか。

 バーナンキ議長は2006年2月1日に就任したが、就任後の6月のFOMCまで3回連続で利上げを決定してきた。これにより、政策金利であるフェデラルファンド金利の誘導目標は5.25%まで引き上げられていた。前任のグリーンスパン議長が利上げ局面に入ったのは2004年6月で、FOMCはそれから2年間にわたり慎重なペース(Measured Pace)で17回の会合で毎回0.25ポイントずつ小刻みな利上げを継続していた。

 その利上げが打ち止めになった原因は、2006年5月あたりから住宅価格が下落に転じたことによる。ここからサププライム・ショックが発生し、リーマン・ショックへと波及することになる。その後の欧州の信用不安も加わり、FRBは7年半ものあいだ追加緩和策を実施してきており、今回やっとその方向を変えることができた。

 今後の債券買入の縮小については、in further measured stepsで実施するとしているが、特に大きな危機が発生するようなことがなければ、淡々と国債買入の金額を縮小させてこよう。その後、膨らんだ資産をどう処分してくるのかに焦点が移る。こちらも慎重に行うと予想され、インフレ懸念などの強まりでもない限り、償還分の乗換を行わないといった形である程度資産も減少させていくことが予想される。その上で、雇用をはじめとする経済指標や物価の動向を確認して、最後のステップである利上げに向かうと予想される。

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by nihonkokusai | 2013-12-21 08:02 | 中央銀行 | Comments(0)

セントラルバンカーであったバーナンキ議長

 12月17日、18日に開催されたFOMCでは、量的緩和政策の縮小、いわゆるテーパリングの開始を9対1の賛成多数で決定した。ローゼングレン・ボストン連銀総裁が時期尚早と反対した。

 来年1月から月額850億ドル規模の証券購入額を100億ドル減らし750億ドルとする。内訳としては米国債の買入は450億ドルから400億ドルに、エージェンシー発行モーゲージ債(MBS)は400億ドルから350億ドルに減額する。

 今回、MBSの減額はないのではとの見方も一部にあったようだが、そこまで市場に配慮する必要はないと思われる。今後は淡々と買入額を米国債、MBSともに減額してくることが予想される。

 失業率が6.5%を下回り、かなりの期間が経過するまで事実上のゼロ金利政策を維持するとの方針も表明したが、6.5%という数字は維持されていることもあり、これはフォワード・ガイダンスの強化といえるかどうか微妙なところであろう。むしろこれはいずれ近いうちに6.5%近辺まで低下する可能性があり、あまり早く利上げ観測が出ても困るための予防線を張ったように思われる。

 いずれにせよ、バーナンキ議長は5月の段階で年内のテーパリングの可能性を指摘していたが、それを現実化させた。10月の米政府機関閉鎖が余計な出来事となったものの、10月と11月の雇用は改善し、経済指標も景気の回復を示すものが多くなり、最大の懸念材料であった財政協議についても解決に向けて動いていたことで、予定通りのテーパリング開始決定が可能となった。

 実質的なゼロ金利政策は維持されることで、テーパリングの開始は金融引き締めとは言いがたいものの、当然ながら緩和とは反対の方向となる。FOMCで緩和策ではない政策を決定したのは2006年6月のFOMC以来、7年半ぶりのこととなる。これはつまり、サブプライム・ショック、リーマン・ショック、ギリシャ・ショックと世界の金融経済を襲ったショックがやっと沈静化しつつあることを示す出来事であると考えられる。テーパリング開始の決定での株高を見ても、市場はむしろこれを好感した。

 今回のテーパリング開始の決定は、米国の雇用をはじめとする経済環境や、米財政協議の行方なども要因となったろうが、バーナンキ議長は何とか任期中に道筋をつけたかったと思われる。1月のFOMCでは連銀のメンバーの入れ替えもあり、いずれ理事の一部も替わる。年を跨ぐより可能ならば12月のFOMCで決定したかったのではなかろうか。

 ハト派とされるイエレン氏も副議長という立場もあろうが、テーパリングの開始には反対はしなかった。バーナンキ議長は元々は学者ではあるが、今回の決定をみてもそれ以上にセントラルバンカーであったように思う。これはイエレン氏も同様であり、あまりハト派だという思い込みも禁物となろう。

 非伝統的手段はあくまで非常時のものである。FRBのテーパリングの開始により、日銀との政策の違いが次第に鮮明になってくる。FRBは深みにはまる前に脱しつつあるが、日銀は底なし沼に入り込んだかの印象であり、これはいずれ大きな副作用を生じさせる可能性も秘めていると思われる。

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by nihonkokusai | 2013-12-20 07:51 | 中央銀行 | Comments(0)

来年度の国債市中発行額は今年度並みか

 12月16日に開催された国債市場特別参加者会合(第54回)の議事要旨が公表された。これによると、平成26年度予算に伴う国債発行計画について財務省から以下のような発表があった。

 12月12日に予算編成の基本方針が閣議決定され、「新規国債発行額についても、平成25年度を下回るよう最大限努力する」とされた。つまり新規国債(建設国債と赤字国債)については、今年度の43兆円規模を下回る可能性が高そうである。

 「26年度は、借換債及び財投債の増加により、国債発行総額の増加が見込まれているが、一方で、25年度中の前倒債の発行が進んでいる。このため、26年度のカレンダーベース市中発行額は、今年度並み又は若干下回る見込み。」(財務省)

 借換債、前倒債、日銀乗換分等々の数字を細かく見ておく必要もあるが、特に前倒債の活用次第でかなりの調整が可能であるため、細かいところはさておき、要するに実際に入札等で発行される「カレンダーベース市中発行額は、今年度並み又は若干下回る」との部分がポイントとなる。つまり来年度の国債発行額の規模は180兆円程度に増額されるが、市中で消化される分については今年度並みの156兆円程度となるようである。ここから年限別の配分を予測することになる。

 「カレンダーベース市中発行の年限構成については、超長期債市場の消化余力、中短期債の投資ニーズ、国債市場の流動性の維持・向上などの観点を踏まえ、各年限についてバランスのとれた増額・減額を行いつつ、平均償還年限の長期化を行うこととしている。」(財務省)

 これまでの国債市場特別参加者会合や国債投資家懇談会での意見等からみて、増発の対象は30年国債と物価連動債が中心となりそうである。12月18日付けの日経新聞によると、来年度の30年国債は年間7.2兆円と今年度から4000億円増額し、毎月6千億円を発行するとしている。物価連動国債も1.6兆円として、今年度の1兆円から増額され、さらに来年10月以降はさらに上積みも検討するとある。加えて流動性供給入札も拡充する。それに対して2年債や5年債など中短期債は3兆円規模で減額する。10年債は据え置き。

 中短期債の3兆円規模の削減により、2年国債と5年国債は毎月の発行額から1000億円減額されると見込まれる。2年国債は年度で毎月2.9兆円のトータル34.8兆円から毎月2.8兆円の33.6兆円に、5年国債は2.7兆円の32.4兆円から2.6兆円の31.2兆円に減額されるのではなかろうか。2年国債と5年国債で2.4兆円の削減となり、残りの0.6兆円は1年の割引国債の発行額をその分減額すると思われる。

 3兆円分の増額については、30年国債で4000億円、物価連動国債で10月以降の増額も意識して増額分を年度で8000億円と置く。流動性供給入札は毎月6000億円を7000億円とすれば1.2兆円で、30年と物国。流動性供給でトータル2.4兆円増となる。流動性供給入札は毎月7000億円ではなく7500億円とすれば、トータルは3兆円の増額となる。

 これに対して、18日にロイターは増減の対象となる30年債の増発規模は8000億円から1.2兆円と、年間1兆円規模で増発する。一方、2年債は年間2.4兆円減らすと報じている。

 30年国債の発行は2012年度は7000億円を8回発行した。今年度は5000億円を4回、6000億円を8回発行し都合6.8兆円の発行額となる。2013年度について日経新聞は6000億円を毎月発行の12回で7.2兆円としているが、ロイターの記事では月額7000億円の発行額を複数回加えることを意識したものであろうか。また、減額に関して5年国債の取り扱いも日経新聞とロイターでは異なっており、このあたりまだ不透明な部分となる。いずれにせよ、カレンダーベースの発行総額は今年度並みとなるが、発行期間の長期化を意識して、年限別の発行については3兆円規模の増発と減額を組み合わせてくると考えられる。

 今後の借換債のことを考案しても、利払い費用を抑えるためにも、低金利のうちになるべく発行年限を長期化することは発行体として望ましい。中短期ゾーンは日銀の国債買入もあり、需給面からみて特に減額する必要性はないが、余裕がある段階で発行年限の調整は必要か。物価連動国債については、GPIFのニーズもあり消化には問題はなさそう。30年国債も投資家から超長期ゾーンの増額については問題ないとの意見も出ているように、さほど消化に支障はない。日銀の国債買入の影響もあり、来年度の国債発行計画も特に債券市場に大きな影響を与えるようなことはないと予想される。

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by nihonkokusai | 2013-12-19 09:27 | 国債 | Comments(0)
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